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麻帆良学園の煎餅やさん  プロローグ(魔法先生ネギま!×魔界都市)+オリ主 投稿者:仮の俊介 投稿日:04/09-04:13 No.156

魔界都市・新宿のある場所で、二人の男が立っていた。



そこは、新宿区民なら決して立ち寄らない新宿中央公園だった。



『"新宿中央公園・・・・MDZ(最高危険地帯)無期限・無制限立ち入り禁止。』



〔妖気などに敏感な人は近づいただけで体調を崩し、最悪の場合は死に至ることもあります。

 公園内で行方不明になった場合、区および警察は一切の責任を負いません・・・"〕



新宿を訪れる観光客に無料で配られる『新宿観光ガイド』の一文である。 



あるいは区外や新宿で発行されているガイド本には必ず書かれている。



まともな区民ならば近づきもしない。



しかし、その立っていた男のひとりを知っていたらだれも驚かないだろう。



彼は、秋DSMセンターの所長であるマン・サーチャーで「秋せんべい店」の三代目「秋せつら」であった。





「せつ兄、やっぱりこうなっちゃったね。」



そう呼んだ男は、せつらよりも背は低いが同じ格好をしておりせつらのミニ版といった感じだった。



「ほんと、まいったね。」



まるで、のほほんと財布でも落として愚痴をいっているような返事をする。



しかし、のんきな彼らと違って周りの妖気は彼らを引きずり込もうと蠢いていた。



「仕方ないよ。

 僕が新宿にいてはいけなかったのも事実だし。

 せつ兄が、僕をうるち米の買い付けに行かせたのはなるべく区外に出すようにしてくれたためでしょう。

 そのことには感謝しているんだ。」



「けどセツラ、君はここに戻ってきてしまった。」



「やっぱりね、僕も魔界都市・新宿の人間だったんだよ。

 区外も住み心地いいんだけどね。」



セツラは手を頭にまわしながらため息をついた。



顔を上に向けて、空を見ながら話す。



「父さんが僕を区外に養子に出したのは、このことを防ぐためだったんだろうね。

 何も知らなければ、僕は区外で普通の生活を送っていたのかも。

 そして、こうしてせつ兄と戦うことも無かった。」



セツラは手をポケットにもどし、顔をせつらに向けると



「さて始めようか、せつ兄。

 僕だってせつ兄とは戦いたくない。

 けどね、ここ新宿で同じ名と性をもつ人がいるのは元々おかしいんだ。

 そして、僕の中に居るもう1人の『僕』が、せつ兄の中にいる『魔人』と戦いたがっている。

 だから・・・ここで決着をつけよう。」





『魔界都市・新宿』の新宿中央公園の中でせつらとセツラが対峙した。



傍目には、二人が闘争している様には見えなかっただろう。



二人は5m程の距離を置いて立ち竦むだけだったからだ。



しかし、二人の魔人は全神経を駆使した攻防を展開していた。



妖糸は目には見えない。



せつらの拘束を狙った妖糸をせつらが断つ。



せつらはセツラを拘束せんと無数の妖糸を放った。



だが、妖糸はことごとく断たれ、逸らされ、跳ね返された。



新たな妖糸が想像も付かない角度から迫り、切り離したはずの糸がセツラを狙う。



それも目に見えぬ妖糸で辛うじて防ぎ切った。



「せつ兄! まだまだだ。

 いくぞ、次元刀!」



返す刀でセツラの放った高速の手刀が肩にあたり血が流れた。





その瞬間セツラの背筋が凍り付いた。 



来たのだ。もう一人の新宿の魔人が。



「私の前に現われたな。」



氷点下の声でせつらが言った。



ああ、なんて美しいのだ。



ああ、なんて恐ろしいのだ。



セツラにかつてない恐怖がはしった瞬間、彼の中で何かが変わった。



セツラは動いていない。



だが、変わった。 



外見はそのままで何かが変わった。



「我、お前を滅してやろう。」





セツラの右手がひかり、その右手にはおおきな拳銃が握られた。



「そいつは、オーディン1か。

 なぜ凍らせ屋のやつを持っている?」



「屍の奴がドラムを使いだしてから、使わないってもらったんだ。」



オーディン1は地上最強の拳銃であり、もともと屍刑四郎の愛用する銃であった。



55口径で銃身は6インチ、トップのレーザー・サイトを乗せている。



錆を生じぬ特殊処理を施してあり、S900ハイブリード鋼本体重量は1.7キロ、

米マコーミック社製レーザー・サイト1キロを加え、

6連発輪胴フル装填の重量はあわせて3キロを下らないのだ。



「国家権力の犬はまったく碌なことをしない。

 平和な新宿区民にそんなものわたすとは。」



「屍は日夜〈区民〉の幸せを願っているらしい。これもその一環だそうだ。」



「犬は私を一体なんだとおもっているんだ。」



「知らん。 終わりにする。 せつら!」



そういって、セツラはせつらに向けて6発全弾発射する。



せつらは「糸とりで」で全て防御するが、オーディン1の威力におされ体勢を崩す。



だが崩しながらもオーディン1をはじき飛ばすため妖糸をセツラに向けて放つ



そのとき、セツラは右手の撃ちつくしたオーディン1を頭上に投げ上げた。



放たれた妖糸をかいくぐりながら、両手を伸ばしてせつらの胸を掌で打つ。



投げ上げられたオーディン1のシリンダーが空中で開いて落下して来る。



右手で銃を受けとめたセツラは左手で廃莢幹を叩いた。



シリンダーから捨てられた空薬莢が地面に落ちる音が響くのと、

せつらが倒れるのは同時だった。



古代格闘技、ジルガ。



屍刑四郎が使い手であり、インドを発祥の地とする古代武道である。



せつらは起き上がりながらも、



「まさか、ジルガも使えるとは。恐れ入った。」



「あなたに勝つには色々対抗策が必要だった。これもその一つ。

 せつら、これであなたは糸を使い切った。」



「色々なかくし芸を使えるようだけどね・・・。

 結局は私の勝ちだ。それは昔から変わらない。」



「いや、我の勝ちだ。」



勝利を確信したセツラはせつらに右手の妖糸を放った。



そのとたん体が動かなくなった。



セツラは妖糸に拘束されていたのだ。





「バッ・・・バカな。我は妖糸は完璧にかわしきったはずだ。」



「確かに君はかわしたよ。だけど拘束しているのは僕のではなく君自身の糸でだ。」



「我の・・・糸だと。」



よく見ると確かにセツラを拘束していたのは、セツラ自身の一本の糸だった。



その拘束している糸を見たときセツラは思い出した。



「これは・・・確かせつ兄が。」



「そう、僕が昔君にあげた一本さ。

 それはもともと、僕の糸だったからね。

 だから僕でもそいつは操れたんだ。

 だから・・・・最後に妖糸ではなく、君のかくし芸を使えば勝てただろうな。」



「そうか・・・、結局"僕らは"はせつ兄の手の中だったんだね。」



セツラは死を覚悟したその瞬間に地震が起きた。



新宿中央公園にも亀裂が起こり、拘束され動けなくなっていたセツラは穴に落ちていった。



(おそらく新宿はこのまま僕を排除するのだろうな。)



セツラはそのまま気を失った。





ある場所に団体がいた。



年齢がさまざまで、一見しただけではなんの集まりか分からないが、

どうやら白いローブを着た男がリーダーらしい。



「なんじゃ!いきなり空が曇ってきたぞい。」



「やはり、爺の日ごろの行いが良くないからじゃないか。」



「お主はワシを何だと思っておるんじゃい。」



「人こき使い爺。」



とたんにいじけてしまった爺と呼ばれた老人が空に目を向けると固まった。



「どうしたんだよ?」



「ふむ、空から落ちていく人らしきものはなにかのう?」



こうして魔法の世界に新宿の魔人に敗れた一人の男が降り立った。

麻帆良学園の煎餅やさん
麻帆良学園の煎餅やさん  プロローグ2

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