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リポート2 初めてのお仕事!! 投稿者:麒山悠青 投稿日:07/05-01:15 No.873
横島忠夫は困っていた。朝食をルームサービスで済まし、ルシオラと共にさぁ出かけようというところで気づいた。
お金はある、今朝届いた。では何に困っているのか?
話は2時間ほど前まで遡る。時刻はa.m8時“死の眼鏡(デスメガネ)”ことタカミチはホテルの廊下を歩いていた。
向かう先は昨晩案内した1組の男女、横島とルシオラの泊まる部屋だ。
たどり着いた部屋の番号は602号室。昨日借りた2部屋のうち横島に渡した鍵の部屋だ。インターホンを鳴らして待つこと少々、開いた扉の中から出てきたのはガウンのみを身に纏い、眠そうな、しかし幸せそうな顔をしたルシオラだった。
「おはようタカミチさん、どうしたんですか?こんな朝早くに。」
くどいようだが時刻は8時、決して遅くは無いが早くも無い時間である。
「あ、いや学園長に頼まれてこれを届けに来たんだが、こっちの部屋はルシオラ君が使ってたのか………。」
そう言いながら取り出した封筒を渡すタカミチ。それをルシオラは礼を述べつつ受け取った。
「わざわざありがとうございます。それとここはヨコシマの部屋よ。」
「え……」
タカミチは思わず咥えていたタバコを落としそうになってしまう。
さらに彼は昨日見た横島の記憶と彼女の格好から計算を終了、答えを導き出す。
(もうちょっと後に来ればよかったかな?)
「そ、そうか。それじゃぁ僕は用事があるから失礼するよ。横島君によろしく言っておいてくれ。」
立ち去るタカミチを見送り、ルシオラは部屋に戻り、ベットで眠る横島を起こす。ちなみに、予想はついていると思うが彼は何も身に着けていません。
「ヨコシマ起きて、朝よ。」
横島の上半身をゆすりながら声をかけると、横島はうっすらと目を開けてルシオラの両肩に手をかける
「え?」
「ル~シオラ~」
寝ぼけた声を上げてベットの中に引きずり込んだ。
「きゃ////」
そしてルシオラは顔を真っ赤にしながらうれしそうに悲鳴を上げる。
……………………………
…………………………
………………………
……………………
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
朝っぱらからの情事も終り、二人はルームサービスで取った朝食を食べていた。
ちなみに横島はステーキ(朝っぱらから)、人の金だと思って贅沢な食事をしています。ルシオラは部屋においてあったお茶のセットの中にあった砂糖をすべて水に溶かしてそれを飲んでいた。
「ねぇ、ヨコシマ。」
「むー?はふはふひほは。」
口に物を詰め込んだまま行儀悪く返事をする横島(みんなは真似しないように)。
「………。
ヨコシマ、話す前に口の中身をどうにかして頂戴。」
コクリと頷き、彼は口の中身を飲み込んだ。
「んでどうしたんだ?」
「さっきタカミチさんが来てこれ渡しに着てくれて貴方によろしくだって。」
タカミチから受け取った封筒を横島に渡し、受け取った横島はそれを開けて中身を取り出した。
50人の福沢諭吉さんが現れた。横島は感動のあまり言葉が出ない。【RPG風】
「さ、50万円ってあの学園長結構太っ腹ね。」
返事がないただの屍のようだ。【RPG風】
というのは冗談で、横島は気絶していた。理由は簡単、20歳になっても美神さんのもとで働き続けた彼はいまだに時給が低く、一月最高で6万円と低給料が続いており今回のようにいきなり一度に50万円などという大金が手に入ることは無かったからである。しかも何もしていないのにこの金額が手に入ったため、気絶してなお横島の心は感動の渦の真っ只中であった。
5分ほどして横島は目を覚まし、感動のため気絶したとの言葉にルシオラは苦笑を禁じえなかった。
「ねえヨコシマ、せっかくお金ももらったんだし後で買い物に行かない?」
「そうだな服とか色々と必要なものもたくさんあるからな。」
そう言って横島は残りをかきこむようにして片付け、さて行く準備をと言いかけて固まってしまった。
ルシオラはすでに着替え終わっていた。されで固まったわけではない。いやある意味そうなのだが着替えたことではなく、着替えたものに問題があった。初めて会ったとき、共に戦ったときいつも彼女が身に着けていたあの服を着ているのだ。
「どうしたの?」
「今思ったんだが、その服目立つぞ………、絶対に。」
「………どうしよう。」
実際のところ、ルシオラがそのままの格好で出歩いたとして、この学園にいるものは「あぁ変わった格好してるな。」程度にしか気にしないのだが、ここに来て日もない二人にはそのことを知るよしも無いのだった。
10分程して横島が何かを思いついたのかルシオラに服を脱ぐように言い……………。
「え………………、また?」
と頬を真っ赤に染める。
「出かけるためにどうすればいいのか考えてたのに何でそうなるかー!
てか俺はそんな風に見られてたんかー!」
喚く横島を何とか落ち着かせ、言われた通りにルシオラは服を脱いだ。
「それでどうするの?」
胸などを腕で隠しながら問うルシオラに、横島は双文珠を二つ出して見せる。
「これを使うのさ。」
横島がそれに文字を込めて再びそれを見せる。込められていたのは『洋/服』の二文字。
「うまくいくの?」
「剣だって作れるんだ、うまくいくだろ。」
そうして放られた文珠は淡い光を放つと共に、消えゆきその後には淡い緑色のワンピースのドレスを着たルシオラの姿があった。
「ほんと、なんでもありなのね文珠って。」
「そうだな。それじゃ仕上げわっと。」
残る文殊に『維/持』と込めてルシオラに渡す、これでかなりの時間この状態を維持できるはずだ。
「それじゃ行きますか。」
その日の夕方、女子中等部近くのあるカフェテリアの一席に精魂尽き果てた言った具合の横島がテーブルにぐったりと突っ伏していた。見ようによっては砂浜にうちあげられた何とやらである。彼がこのようになっている理由は簡単であの後買い物に出かけた後、昼食のためにレストランに入った以外に、休憩といったものをまったくとらずに引っ張りまわされたからである。ちなみに横島をこのような姿にした本人は、学園長に呼ばれてここにはいない。
「だいぶお疲れのようだね。」
ギギギと音が出そうなほどゆっくりと横島の顔が持ち上がり、疲れに澱んだその目が捕らえたのは、咥えタバコをしたタカミチだった。
「………ええ、ルシオラにほとんど休憩無しで町中引っ張られてきましたよ。」
と足元に置かれた買い物袋を指差す。
「ははは、女性の買い物はあっちへこっちへと色々と長いからね。」
席に着きコーヒーを二人分頼んだタカミチは、コーヒーが届くのを待って横島に話しかけた。
「一日回ってみてどうだい?この学園は。」
その質問に少々苦笑しながら答える。
「言いとこッスね。色々と前の世界を彷彿させてくれますよ。ロボットとか吸血鬼とか幽霊の女の子とか人外の娘とか。」
「わかりますか。」
「いましたからね、前の世界にも。マリア、ピート、おキヌちゃんとか、シロタマとか。まぁあっちにはさらに不老不死のじいさんとか妖怪とか神様とか魔族がふつうに闊歩してましたけどね。」
「それに結構霊障が多かったみたいだね。」
「でなきゃGSなんて仕事、公に存在してませんよ。もしここの世界みたいに霊障が少なかったなら、俺たちの世界もこっちの退魔師みたいなのが少数存在するだけだったかもしれないッスね。」
「そうかもしれないね。
そんな風にたった一つのものでここまで違う世界が出来上がるのかもしれない。」
「歴史は大して、というよりほとんど一緒ッスからね。」
コーヒーをすするタカミチに習うようにヨコシマもコーヒーをすする。
「ところでルシオラ君はどうしたんだい?」
「学園長のところっすよ。何の用かは知らないッスけどついさっきしずなさんって別嬪さんが呼びに来たんでそっちに行きましたよ。」
「それでなんですか?」
昨晩に続き学園長室に案内されたルシオラは、挨拶もそこそこに切り出した。ちなみに今のルシオラの格好は、上は黒い長袖のTシャツの上からチェックのブラウスで、下は縦に並んだ白いボタンがアクセントとなった黒いロングスカートに黒いブーツと以前にもどこかで見たことのある格好をしている。
「うむ実はな、戸籍を偽造しておったんじゃがちと問題が出てきたんじゃよ。」
「問題ですか?」
偽造に関してはスルーなのね。
「うむ。ルシオラ君の姓名なんじゃがな、お前さんは苗字を持っておらんじゃろ。流石にこれをこっちで勝手に決めるわけにはいかんと思ってな。」
「それはたしかに。」
「で何か希望はあるかな。」
考え込むルシオラが顔を上げたとき、その表情は何かいいことに気づいたといったような笑みとなっている。
「それじゃぁヨコシマでお願いします。」
「いいのかね?」
「ええ、戸籍上しっかりと夫婦にしといて下さい。こっちで既成事実を作っておけばもとの世界に戻って美神さんたちになんら邪魔されなくなりますから。」
にこやかに告げるルシオラに、学園長は苦笑しながら分かったと告げる。
「なら『横島ルシオラ』でいいんじゃな。」
「そうですね、でもこのままじゃ不審がられたりしませんか?」
「そうじゃのぉ、世界中さがせば似たような名前の一つや二つはありそうなもんじゃが、たしかにその容姿でその名前は不審がる者の一人や二人はおるかもしれんの。いっそのこと偽名にするかの。」
「いいんですか?偽名でも。」
「なにばれなきゃいいんじゃよ、ばれなければの。第一戸籍の偽造の時点で違法なんじゃ、偽名ぐらいなんてこと無かろう。」
言いきるなよ。てかこの爺さん他になんか犯罪に手染めてんじゃね?
「それもそうですね、それじゃぁ『蛍』でお願いします。」
「なんじゃなんのひねりも無いのう。」
そして書類にすらすらと書き込む学園長。
「ところでルシオラ君に一つお願いがあるんじゃが、いいかの?」
「なんですか?」
「実はの、学園の方で教師をやってほしんじゃよ。」
「教師ですか?でも私、教免持ってませよ。(当たり前だけど)」
「なにそれくらい偽造すれば済むことじゃ、今更偽造の一つや二つ増えたところで何も変わらんからの。」
一体何やってんだよこの爺様は。
「はぁ、それはそちらに任せますけどどうしてなんですか。」
「うむ、今この学園では若い魔法使い見習いの子が修業で教師をしておってな、その補佐と前学期に止めてしまった数学の教師の代わりを頼みたいんじゃ。ほれルシオラ君なら計算などはお手の物じゃろ。」
「ええ、別にかまいませんけど。その子は若いって幾つなんですか?」
「数えで10歳じゃ。」
「………………………………。この世界には労働基準法って存在しないんですか?」
後頭部にジト汗を流しながら質問するルシオラ。
対する学園長は飄々としたもので(バルタン笑いなぞしながら)
「なにばれなきゃいいんじゃよ。誰に迷惑かけてるわけでもないしの。」
きっとどこかには迷惑が掛かってると思うぞ。
「まぁ、もろもろの書類はこっちで手配した後に明日にでもホテルに送ろう。今日の用件は以上じゃ。手数かけてすまなかったの。」
「いえこちらこそ何から何までお世話になります。」
一礼してルシオラが部屋を去った後、学園長は引き出しの中から書類の束を取り出し筆を走らせる。おそらく偽造書類などのけんだろう。
「教師?」
夕食のさいにルシオラから聞いた言葉に横島は疑問の声を上げる。
「そ、なんでも10歳の先生の補助をしてほしいんだって。」
「10歳って……………、労働基準法は?」
「ばれなきゃいいんだって。」
あの頭の通りとんでもない爺さんだなと失礼な考え浮かべる横島。
「それとね、ヨコシマ……………。」
空になったコップをテーブルの上に置き、ルシオラは横島の後ろに回りこみ彼の首に手を回し枝垂れかかるように体を預ける。
「戸籍のほう、お前と私で夫婦になってるからね。」
耳元で囁くように告げられ、最初は何のことか分からず、その意味が頭に浸透しきったところで横島は盛大に噴出しそうになるのを懸命に堪えた。
「ヨコシマ…………………、私と一緒になるのは嫌?」
申し訳なそうな表情の彼女に、横島はオーバーリアクションで首を左右に振りたくる。
「嫌なわけないだろ。………でもいきなりそう言われても心の準備が…………………。」
うろたえつつも出した横島の答えに、ルシオラは内心ほくそ笑み、しかしそんなことはおくびにも出さずに言葉を続けた。
「もしも嫌ならはっきり言ってもいいのよ。」
「そんなことない。」
立ち上がりルシオラに振り返った横島はヒシッと彼女を抱きしめる
「ごめん、いきなり言われてうろたえちまったけど、嫌なわけないだろ。ルシオラと一緒になることが。
そんなことな。」
「ありがとう。ヨコシマ。」
翌晩
「なんなんだろうなこんな時間に。」
昼に学園長から新居の鍵ともろもろの書類を受け取った二人は、すぐに荷物(やたら少ないけど)を持って、寮のあるエリア(ネギの住む女子寮の近く)にある一戸建ての建物に移り……………、除霊した。
大きさは美神除霊事務所より少し大きいと、二人で住むには大きすぎる建物なのだが、今までは結構な数の浮遊霊が集まっており、使う人がいなかったのをこれ幸いと横島たちに回したようだった。
そして除霊も終りのんびりとしているところに学園長から電話が入ったため、二人は夜空を横切り学長室へ急いでいた。
「仕事のことかもしれないわね。ほら、私たちもともとは退魔師ってのを仕事としてやるって話だったし。」
「そうか、そうなると急いだ方がいいかもな。」
ルシオラも頷き、視線を合わすとスピードを上げて夜空を突っ切っていった。
「横島とルシオラッス。」
学長室の扉をノックして来訪を告げると、中から学園長から返事が有り二人は中に入る。
「どうしたんスか?こんな時間に。」
「ちと問題が起きての。それにしても随分と早かったのう。」
「飛んできましたから。」
ルシオラが答え、学園長がそうかそうか頷き。
「誰にも身られとらんじゃろうな。」
と確認してくる。
「ルシオラの幻影をかけてたんで大丈夫だと思いますよ。」
「ふむ、それで今回呼んだ理由なんじゃが。まだ二人来るんでしばらく待ってくれ。」
続く
あとがき
なんとか2話目を書き終えました。今回もご愛読いただき真にありがとうございます。今回もあとがきの場にて質問に答えさしてもらおうお思います。
まずはソティ=ラスさんよりルシオラは双文珠を使えるのかですが、おそらく使えます。これはルシオラに限ったことではなく皆が使うことが出来ると思われます。理由は、横島以外に2文字以上使うことが出来るものがいないのではなく、2つ以上の文珠による並列使用が出来ないために、必然的に2文字以上は使用不可と思われがちですが、双文珠は2文字使用であっても2つ以上の文珠による並列使用ではないからです。原作ではかの文珠は使用期間が短く他の人が使う機会も無かったため確定は出来ませんが、以上の理由で今作は使用可能とさせてもらいました
続いて同じくソティ=ラスさんからで横島のセクハラ三昧の日々ですけれど、“エロいのも含めてあの横島なんだ”と納得というか諦めというかそういったことを当のルシオラ嬢本人がおっしゃっておりましたので問題ないかと。ただし今後はルシオラ嬢すぐ傍におられるのでセクハラ行動をとれば断固阻止します。ええさせますとも。
続いては@@さんからのタカミチが魔族であるルシオラに警戒するのではないかというものですが、横島の記憶をみて横島の世界の魔族のあり方と、横島との関係等を見ているので優しい彼なら納得してくれるかと。
それでは今回はこの辺で。また次もお願いします。
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