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魔術使いの副担任(×Fate) 投稿者:虎白 投稿日:06/06-19:53 No.687

「---んっ」

目を開けると見慣れた天井が目に入った。
いつもの癖で体の調子を確認する。

「あれっ?なんで俺生きてるんだ?」

俺は戦争を起こした張本人とされて、殺されたはずだ。
生きているはずはない。
それに体に何か違和感があるようなーーー

「おはよう、士郎。体の調子はどう?」

顔を上げるとなつかしい仲間たちがいた。

「なんでみんながいるんだ?っていうかなんで俺生きてるんだ?」

そう言いながらキョロキョロとあたりを見回して気がついた。
ここは俺の家だ。
長年使われていなかった事が嘘のように掃除がされていてまるで昔に戻ったようだ、と感慨にふけっているとーーー

「あんたねえ、目が覚めて第一声がそれ?いったい何考えてるのよ!」

「そうですわ、シェロ!わたくしに無断で死ぬ事など許しません!」

「そうよ、シロウ!シロウは英霊エミヤを否定したんじゃないの!?」

「それなのにどうして同じ道を辿ってるんですか!?先輩!」

赤と金と白と黒の悪魔が降臨した。
なんかすごく怒っているようだ。
もうこの場をおさめられるやつはいないーーー

「みんなもう少し落ち着いてください。これでは話が進められません。それに士郎の疑問はもっともです。怒るのは間違っていると思いますが?」

一人いた。
ライダーは四人の悪魔を睨んでだまらせる。

「ありがとう、ライダー。あのままじゃどうなる事かと思った。」

「いえ、あのままでは話が進められませんでしたので。」

「で、しつこいようだけど、どうして俺は生きてるんだ?」

「それについては私から説明しよう。」

それまで黙っていた蒼崎さんが口を開いた。
蒼崎さんにはイリヤの体の件でお世話になった。

「簡単な事だ。お前が死んだ直後に魂を私の人形に移しただけのこと。ところで体に異常はないか?」

「ええ、特にはーーー」

言いかけて、さっきから感じていた違和感の正体がわかった。

「何で俺の体、縮んでるんですか?」

いや、縮んでるというよりも若返っていると言った方が正しいだろうか?
俺の姿はなつかしい高校生のときの姿になっていた。

「それは彼女たちの注文だ。何でも若いお前を見ると、自分も若返ったように思えるらしい。」

一気に脱力した。
とりあえず気を取り直して体を点検する。

魔術回路・・・異常なし
魔力・・・異常なし
肉体・・・異常なし
アヴァロン・・・正常に作動中

あれ?今何かおかしなものがあったような・・・
念のためもう一度確認する。

魔術回路・・・異常なし
魔力・・・異常なし
肉体・・・異常なし
アヴァロン・・・正常に作動中

「なんでアヴァロンがあるのさ?」

「アヴァロン?」

「ああ、エクスカリバーの鞘です。体に埋め込んで使用していたんです。でもあれはもとの体にあるはずじゃあ?」

「よくわからんが、おそらくお前の魂についてきたのだろう。体に害がないなら気にするな。」

「わかりました。他には異常がないみたいです。」

「そうか、よかった。若くした体に魂を入れるなんて私でもやった事なかったから何か異常があってもおかしくはなかったんだがな。」

俺の背中に嫌な汗が流れる。
っていうかお前ら、くだらない理由でそんな危険な事したのか。
俺はそんな思いをこめながら遠坂たちを見る。

「あ、あはははは、まあまあ士郎。よかったじゃない。異常がなくて。」

それまでライダーに話す事を禁じられていた遠坂がごまかし笑いをしながら言った。
そして、いきなりまじめな顔をする。

「それより、士郎。今からあなたを平行世界に送るわ。」

「平行世界?どうして?」

「それはこのままだと先輩が英霊になっちゃうからです。」

「だからこの世界からシェロを切り離すんですの。」

「ただし使うのはシロウが投影した宝石剣だからどんなところに飛ぶかはわからないんだけどね。」

最後にイリヤが恐い事を言ってくれたが、だいたいのことはわかった。

「ごめん。みんなには迷惑かけてばっかりだな。」

「いいんですよ。私たちは好きでやってるんですから。」

桜の言葉にみんながうなずく。

「じゃあそろそろやりましょうか。」

遠坂たちは宝石剣を構えた。
宝石剣が3つもならぶとさすがに圧巻である。
いくら失敗作とはいえ、宝石剣をこれだけ作るのは洒落にならないくらい負担がかかった。
丸一月ぐらい寝たきりだったもんなぁ。

「ちょっと待ってくれ。やるなら土蔵でやってくれないか?旅立つならあそこから旅立ちたい。」

「土蔵?どうしてですの?」

「あそこは俺にとって始まりの場所だからな。」




土蔵にみんなが集まった。

「じゃあ行ってくる。みんな元気でな。」

俺はみんなに別れを告げた。
みんながあからさまに不機嫌になった。

「いいえ、士郎。ここで言うのはさよならじゃなくてまた会いましょうよ。」

「また?」

「当たり前じゃない。いつか私たちの力で魔法の域に達したら真っ先にみんなで士郎に会いに行くんだから。」

蒼崎さん以外のみんながうなずく。

「そっか、じゃあみんな、またな。」

「ええ、また会いましょう。」

そんな答えと共に俺の視界は真っ白になった。
世界から出て行く直前に、俺はもう会えないだろう最愛の女性に別れを告げた。

(じゃあな、セイバー)

魔術使いの副担任 魔術使いの副担任 二話

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