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二人?の異邦人IN麻帆良(ネギま×GS美神) 「第4話 Blood festival」  投稿者:九重九十九 投稿日:07/03-18:01 No.859

「あれ、ここはどこだ?」

気がつくと横島は赤い世界にいた。

「突然なにを言っているのよ、ヨコシマ。デートの雰囲気が台無しじゃない」

「デート・・・?」

「そう、約束したでしょ。すべてが終わったらまた一緒に夕日を見ようって」

「ああ、そうだったな・・・・ルシオラ」

横島は隣にいる女性が視線を向けている方向に目をやった。そこには真っ赤な夕焼けが世界をそめ、今にも沈んでいくところだった。
横島はふとルシオラに視線を戻す。だが彼女の顔は夕日の影に隠れてよく見えない。
ただショートボブの髪型に触覚らしきもの。それに慎ましやかな体のラインが見える程度だ。

(これは夢だ・・・)

横島は今見ているのが夢だと認識した。

(なんでルシオラの顔が見えないんだ・・・)

夢も中で自分とルシオラが夕日を背に恋を語らう、しかし横島にはどうしてもルシオラの顔を見る事ができなかった。

(なぜだ!ルシオラの顔が思い出せない)

夢の中の二人はやがて抱き合い、口付けをかわすかのように顔を近づける。しかし横島にはまるで映画を見ているように客観的に見ることしかしかできなかった。
そして二人の輪郭がだんだん薄れ、夕焼けと同じ色に染まっていく。

(目を覚ますのか・・・しかしルシオラ・・・俺はもうお前の顔すら忘れてきているのか・・・・いや忘れようとしているのか・・・)










横島は鼻腔をくすぐるいいにおいに目を覚ました、台所からトントンというリズミカルな音が聞こえている。

「夢・・・か・・・まったく俺は夢でも・・・・」

すっかり目が覚めた横島は顔を洗うために洗面所に向かう、そこで横島は鏡に映る自分を見て驚いた。

「ああ、俺はまだ泣けたのか・・・・やれやれ、こんな顔はタマモに見せられないな」

鏡の中の横島は確かに大粒の涙を流していた・・顔にも涙の跡が残っている。
横島は顔を洗い、鏡で目が赤くなってないか確認するため鏡をじっと見る。











5分後


「私は美しい・・・・・・」

洗面所に上半身裸の怪しいポーズで、口に血で紅をさしたおぞましい物体が降臨した・・・
どうやら鏡を見つめすぎて南の妖星っぽいものが降りてきたようだ。

「なに気持ちの悪いことをいっとるかー!!!」

「あべし!!!!」

いつまでたっても洗面所から出てこない横島を呼ぶためにやってきたタマモが、横島の後頭部をフライパンで叩きのめした。

「かんにんやー!!3分以上シリアス続けると、ソコでボケろという電波が!!」

「そんな毒電波受信するな!朝食できたからさっさと食べなさーい!」

「へーい」

横島たちが麻帆良へ来てすでに二週間、今日も相変わらずにぎやかな朝だった。





第4話  「Blood festival」




本日の朝食はお揚げの味噌汁に白米、海苔と焼き魚。
今の家に来てからはタマモが台所を占領していた。
この世界に来るまでは朝食どころか、三食をまともに食う事が出来なかった横島にとって夢のような食生活であった。少々油揚げ等の豆腐製品の比重が大きい気もしたが・・・・

食卓についた横島はむさぼるように食べ、タマモはゆっくりとお揚げを咀嚼する。
しばらくして散々食い散らかした横島が一息つき、改めてタマモの方を見る。

「なによ、ヨコシマ?」

「いや、今日から学校だなーと思ってな」

タマモは麻帆良学園女史中等部の制服を身にまとっていた。

「人間の学校って初めてだから楽しみだわ」

「時間は大丈夫なのか?初日だから早めに行かないとまずいだろう」

「そうね、そろそろ行って来るわ」

タマモは席を立ち、身支度を整えると玄関へ向かっていった。

「ヨコシマ、食器洗っといてね」

「ああ、タマモ・・・」

「なに?」

「楽しんでこい」

タマモは横島の言葉に笑顔で「当然!」と答えると学校へ向かった。

「さて、今日もお仕事がんばりますか・・・」

この家に来てから1週間、今日も変わらず一日が始まる。






「タマモさん、それでは僕が声をかけたら教室に入ってくださいね」

新学期の定番である始業式も終わり、タマモとネギは3-Aの教室の前に来ていた。
ネギはタマモの紹介の段取りを決め、教室に入っていった・・・しばらくして・・・

「「「「「3年A組、ネギ先生ー!!!!」」」」」

廊下まで響き渡る声にタマモは後頭部に汗を一筋たらす。

(なんか無駄にテンション高そうな連中ねー・・・)

タマモの内心の思いを他所に、教室でネギが挨拶を続けていた。

「それでは皆さん、突然ですが今日から新しいクラスメイトが来ますので仲良くしてあげてください。タマモさんどうぞ」

ネギの言葉と同時に開いた扉からタマモが教室に入ると、それまでざわついた教室がシーンと静まり返る。

タマモは教卓のそばで足を止め、教室を見渡す。

「タマモさん、自己紹介をどうぞ」

「横島タマモです、よろしく・・・」

「あの・・・タマモさん・・それだけですか?」

「他になにかいるの?」

ひどくそっけない自己紹介に冷や汗をかくネギ、しかしその時・・・

「「「「「きゃー!!綺麗ー!!!」」」」」

3-Aメンバーが爆発したかのように騒ぎ出し、めいめいでタマモに質問をあびせる。

「その髪型変わってるねー、どうやってセットしてるのー?」

「綺麗な金髪ー、手入れ大変?」

「どこからきたのー?」
 
「シロウ私のご飯はドコですか?」
    ・
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あまりの喧騒にタマモは質問に答える事もできず、ネギは生徒を静かにさせようとするがそれもかなわずにいる。
ちなみにこの時のタマモは心の中で・・

(なんというか・・・・量産型シロ?しかも大量に・・こっちの女子中学生ってみんなこんな感じなの?)

なにげに女子中学生というものを誤解し始めていた、確かに興奮したら話を聞かなくなる点はシロに通じるものがあるだろうが・・・

「はーい、はい、みんなタマモちゃんが引いてるじゃない。質問はあたしに任してちょっと座った座った」

その生徒の呼びかけに答え、教室は今までの喧騒が嘘のように静まり返る。ネギでも治められなかった騒動を治める当たり、かなり人望があるのかもしれない・・・・教卓の裏でネギが「僕はいらない先生なんだ・・・」といじけていたのが少々気になるが。

「質問は別にかまわないけど・・あなたは?」

「あ、名前は朝倉和美、よろしくねタマモちゃん」

「で、質問は?」

「まずは・・・タマモちゃん寮で姿を見ないけどドコに住んでるの?」

「都合で寮じゃなくて家から通ってるわ。それに近くだし」

朝倉の質問攻勢が始まった。
朝倉の質問に対しよどみなく答えるタマモ。いつしか時がたち、朝倉が最後の質問を投げかける。

「それじゃ、これが最後の質問ね。ズバリ彼氏いる?」

「気になるヤツならいるわよ」

朝倉の最後の質問に間髪入れず答えるタマモ、むしろ質問した朝倉が固まっている。朝倉の思惑としてはうまくすれば、タマモの恥じらいの顔を写真にとってやろうとしてしたのだが、恥じらいもなく即座に切り返されてはイマイチ面白さに欠ける。

「それはどんな人?」

クラス中の好奇心に満ちた視線がタマモに集中する。

「んー・・・一緒にいると退屈しないのは確かね。私が全力で燃やしても無傷で復活するから楽しいわよー、時々人類かどうか疑うけど」

((((ちょ・・燃やすって・・・それに人類かどうかって何?))))

クラスの心の中の突っ込みが一致した。

そこにドアが開けられしずなが声をかけた。

「みなさん、そろそろ身体測定の時間ですよ。準備してください」

「あ、そうでした。みなさーんすぐ服を脱いで準備してください」

ネギの言葉に静まり返る教室。双子の姉妹を筆頭に何人かはニヤニヤとネギを見ている。

「「「「キャー、ネギ先生のえっちー!!!」」」」

「あうー間違えましたー!!!」

ネギは恥ずかしさのあまり教室を飛び出していく。

「甘いわね、横島ならここで自分も脱ぐくらいのリアクションはするわよ」

タマモは飛び出していくネギを見ながらポツリとこぼした。
タマモよ、ネギにそれを求めるのは無理だろう、というか横島以外そんなリアクション不可能だ。





ネギの失敗を他所に身体測定の準備を進めていく3-Aメンバー。中にはスタイル勝負をしているのもいるが、トップクラス3人は我関せずと黙々と準備を進める。

「ねーねー、そういえば最近桜通りで吸血鬼が出るってさー」

そんな中、吸血鬼の話で盛りあがる。黒板にはなぜか南米の吸血生物が描かれてたりする。
タマモは吸血鬼の話には特に興味はなかったが、退魔の仕事をしている刹那にそれとなく聞いてみた。

「ねえ、刹那。吸血鬼がでるって本当?」

「いえ、まだ噂があるとしか聞いてませんが・・・・なぜです?」

「いや、もし本当なら横島に退治させてきつねうどんを・・・」

「もし何かあれば正式に依頼がありますよ、しかし横島さんは吸血鬼に勝てるんですか?」

「んー・・大丈夫なんじゃない?まあ、勝てなくても死ぬ事は絶対にないしね」

「横島さんっていったい・・・・」

横島について刹那と話していたタマモは視線を感じ、その方向を見る。そこには長い黒髪のかわいらしい子と、長い髪を二つにまとめた元気娘がいた。
タマモは刹那との話を打ち切るとその子の方に向かっていく。

「えっと・・なんか用?私のほうをずっと見ていたみたいだけど」

「あ・・なんでもないんや、ただせっちゃんと知り合いだったのかなって」

「ああ、この前森で道に迷ったところを助けてもらったからね」

「そうやったんか。あ、ウチは近衛木乃香よろしくなー」

「よろしく木乃香、そっちは?」

「あ、私は神楽坂明日菜よろしく!」

今度は木乃香たちと話すタマモ、何気にコミュニケーションをうまくとっている気がする。

ふと、タマモと明日菜は視線を合わせた、数秒後・・・

ガシィ!という音と共にお互いの腕をクロスさせる二人の姿があった。

「ちょ・・・突然どうしたん?明日菜にタマモちゃん」

「んーなぜだろう、急に仲間のような感じが・・・」

「私もなんか急に親近感が・・・」

どうやらお互いに突っ込みキャラという仲間意識が芽生えたようだった。

そんなタマモは突然教室の片隅から聞こえてきた言葉に意識をとらわれる。

「あ、そういえば吸血鬼とは違うけど一週間前から現れた謎の生物って知ってる?」

「あー知ってる、夜になると大学や高校の女生徒の前に現れて飛び掛ってくるってヤツでしょ。なぜか一発でもパンチあびせたら逃げ出す見たいだけど」

「あ、似たような話私も聞いたよ、大学部の女子寮の外壁をゴキブリのようにカサカサと逃げていく姿を見たって話だったよ」

「あ、私も聞いた事あるー!」

「私もー!!」



タマモは聞こえてくる噂話に激しいめまいを感じ、床に膝をついた。

「タ・・タマモさんどうしたの?」

「なんでもない、ただの立ちくらみよ」

「ならいいけど・・・顔色悪いよ」

「なんでもないったら・・・」

明日菜の追求を交わしながら、心の中に唯一浮かんだ容疑者、いや犯人への折檻を誓うタマモ・・・タマモは当時の美神の心境をいま追体験していた。


「た・・・たいへんやーまき絵がー!まき絵がー!!」

突然の叫びに全員が廊下の窓を開けて外をみる。

「うわわー!!」

突如現れた下着姿の少女達にネギはパニックに陥った。










そのころの横島

「うおおおおおおおん 結局男は顔なのか!!!金なのかー!!!!」

このセリフで何をやっていたのかご理解いただけると思う。
しかし、仕事はいいのか横島よ・・・・・






その日の夕方。はやくも日は落ち、あたりは夜の帳が下りている。
横島は学園内を見回り、不審者やサボリなど不届きな生徒を取り締まるための巡回を切り上げ、帰宅の途につく途中だった。
まあ、一番の不審者は横島だということは言わないでおいたほうがいいだろう・・・どうせ帰った横島を待つものはタマモの折檻なのだから。

その時横島の耳に小さく悲鳴が聞こえてきた。
横島はその悲鳴が女性のものであると判断すると、すさまじい速さで現場に急行した。
もちろん頭の中はその女性を助け、できればお近づきに・・・などと不届ききわまることを考えていたが。


横島が現場に着いた時、そこにはマントをまとった金髪の少女と、黒髪の少女を抱えたネギが対峙していた。

金髪の少女は突然現れた横島を見ると姿を翻し空へ飛んでいく。

「ネギ・・・先生・・・いったいなにがあったんんだ?」

「タマモさんのお兄さん?いや、あの・・・ハッ追いかけないと。すみませんこの子僕の生徒なんです、ちょっとお願いします!」

「おい、何を突然・・・」

「では!!!」

ネギは魔法で強化して走り出しあっという間に横島の視界から消える。
ちなみに横島とタマモが魔法関係者であるとすでに紹介済みである。

「まったくいったい俺にどうしろと・・・ブハッ」

横島は託された少女の姿を見て鼻血を出した。
ほとんど裸同然の少女を見れば無理ないのかもしれないが・・・・

「俺はロリコンじゃない、俺はロリコンじゃない・・・・・」

ぶつぶつとつぶやく横島の姿は人が見たら一発で通報間違い無しであった。


「あー!!本屋ちゃん!!!!」

「へ?」

そこへ明日菜たちがやってきた。

「あんた誰よ!本屋ちゃんを放しなさい!!!」

「へ、本屋って・・・?」

「はわわー吸血鬼って男やったんかー」

「マテ、誰が吸血鬼だ!俺は人間だー!!!」

「じゃあ痴漢?」

ブチィ!!!!

明日菜と木乃香の背後で何かが切れたような音が響き渡った。

「ヨコシマ・・・・」

地の底から響くような冷たい声が横島の耳朶をうつ。

「た・・タマモか、助かったこの子達に説明してくれ・・・」

「説明・・・・クスクスクス・・・・貴方の性癖についてかしら・・」

「まて、何を言ってるんだタマモ・・・・」

「ヨコシマ・・・あなたはついに堕ちたのね、けど私に見向きもしないでその子に手を出すってどういうこと・・・」

「ちがーう!!!!!俺はネギ先生にこの子を頼まれただけだー」

明日菜と木乃香はネギの名前が横島の口からでたことで横島への警戒を解くが・・・・・

「アナタはいつも言ってたわね、俺はロリコンじゃないって・・・・」

「話を聞けー!!!」

横島とタマモの周りは南極並みに温度が下がっていた・・・

「あはははは・・・私はネギを追いかけるわね・・木乃香、あとよろしく」

「明日菜にげんといてー」

明日菜は木乃香の悲鳴を振り切りネギのほうに向かった・・・木乃香という生贄を残して・・・人それを逃亡という。

一方横島たちは・・・・・

「・・・・でもね・・いきなりロリコンを通り過ぎてペドにまで堕ちるのはどうかと思うわよ」

「だれがペドかー!!!!」

漫才が続いていた。

「ヨコシマ・・私はそこまで堕ちたお前は見たくなかったわ・・・」

「いや、だから堕ちてねーって!!」

「安心して・・・・貴方を殺した責任はちゃんととるわ」

タマモは言葉と共にどこから取り出したのか、いつぞやの巨大なハンマーを手に氷のような微笑を浮かべた。

「マテ、殺すってなんだ、それにセリフが微妙に違う」

「さようなら・・・ヨコシマ」

横島はタマモの背後でまるでタマモを応援しているかのように、旗を振りながら踊っている死神の姿を見た。「さあ姉御、ひと思いに殺っちゃってください!」という幻聴も聞こえてきた。

「だから話を聞けー!!!!!それにその後ろの死神ちっくな影はなんだー!!!」

「問答無用!くらえー!!!」








「うぎゃー!!!!!!!」

断末魔の声がドップラー効果を残し麻帆良の空に響き渡った・・・

「ウチはなにも見ていない、ウチは何も見ていない、ウチは何も見ていない・・・・」

一人の少女にトラウマを与えたかもしれないが・・・・



魔界からからくも脱出する事に成功した明日菜は屋根の上で戦っているネギと二つの影を捉えた。
二つの影はネギを追い詰め、影の一つがネギを羽交い絞めにした。
明日菜は急いで建物の屋根に登り、ネギにつかみかかってる小さな影に向かってとび蹴りを敢行した。

「こらー!!!ウチの居候になにやってんのよー!!!!」

とび蹴りは見事に小さな影を捕らえ、その影はネギを離して吹き飛んでいく。

「あんたたち、誰か知らないけどこんなことしていいと思ってるの!」

「ふん、神楽坂明日菜か・・まったくとんだ邪魔あはいりおって・・茶々丸!



明日菜の背後に忍び寄った茶々丸とよばれた影が明日菜を羽交い絞めにして捕らえる。

「あ・・貴方達はエヴァンジェリンさんに茶々丸さん!離しなさいよ!!」

「そこでおとなしく見ていろ、これ以上邪魔されてはかなわんからな。茶々丸、離すなよ」

茶々丸につかまった明日菜は、必死にもがくがその手を振り解くことができない。


あああ


「さあ、とんだ邪魔が入ったが・・改めて血をすわせてもらうぞ」

「ううううう」

ああああああ!

「うん?」

ネギに覆いかぶさって血をすおうとしたエヴァだったが、だんだん声が近づいて来るのに気付いて空を見上げた。

ああああああああああああああ!!!

その時、突如バンダナをした見知らぬ男の顔が目の前まで迫っていた。

「うわぁあああああああ!!」

「へぶぅぅぅ!!!!」

エヴァは謎の男の天空×字拳をくらい屋根の上から男と一緒に落下していく。

「ああ、マスター!!」

茶々丸が明日菜を放り出してエヴァを救出に向かうが、明日菜たちはあまりの展開に魂が抜けかけていた。

「あたたた・・いったいなんなんだ今のは」

エヴァは魔法障壁のおかげでたいしたケガもなくすぐに気が付いたのだが、体の上になにか乗っているのか、体を起こす事が出来ない。

ゾクゥ!!!!

何とか身を起こそうともがくエヴァは突如身の毛もよだつ寒気を感じた。

「な・・なんだこの悪寒は・・・震えている・・この私が恐怖しているとでも

いうのか・・・・」

コツコツコツ・・・・

足音が自分に近づいてくる。

(ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ、ニゲロ・・)

エヴァの生物としての本能がこの場所からの撤退を強く主張する。

足音が自分の前でとまり、なにかが自分の方に向かって強力な殺気を放つ。それは今まで感じた事もない強力な殺気だった。

「クスクスクス・・・ダメよヨコシマ・・・さあ、起きなさい。」

言葉だけを聞いたならまるで恋人を優しく起こすときのようにも聞こえるが、実際は地獄の鬼達も裸足で逃げるような迫力の声だった。

「まて、タマモ冤罪だ!!!」

さっきまで死んだようにピクリとも動かなかった男がエヴァから身を起こしタマモに弁解する。
だが、それは完全に逆効果だったなぜなら
     ・
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エヴァが横島に抱きついていたから・・・


おそらく初めて感じた恐怖のせいで近くにあったものにしがみついたのだろう。
ある特殊な趣味をもつ人たちが見ても殺意を覚える状況に横島はただ混乱するのみ。
エヴァは自分が横島にしがみついていることに気付き、すぐに身を離す。

「そう・・・そうなのね・・・あなたはさらに深みにはまっていくのね」

「だから深みってなんだー!!!」

「ヨコシマ・・・昔のあなたは死んだわ、もう昔のヨコシマは返ってこないの・・」

「人を勝手に殺すなー!!!」

「やはりこれでは貴方を殺しきれなかったわね・・・・」

タマモは手にしていた雷神の槌(100tハンマー)を虚空に戻し。新たなる幻想を呼び出す。

その幻想は雷神の槌と同様、かつて新宿に名をとどろかせたセクハラ男を撃退するため幾たびも使用されたものだった。
ゆえにその効果はセクハラ男にとっては、回避不能・防御不能の絶対的な宝具。

「さあ、ヨコシマ・・お祈りは済ませたかしら?部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする準備はOK?」

「だからいろいろとマテや、そもそもその武器はどっからだしたー!!!」



「くらえー!!!【天かける禿鷲の爪】(こんぺいとう1号!!!!)」







「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



麻帆良の夜空に本日二度目の断末魔が響き渡った。


エヴァと茶々丸、明日菜とネギはこの世に現界した地獄絵図を前にフリーズしていた。


「明日菜さん・・・・タマモさんっていったい・・・」
「ネギ、私は何も見ていないわ・・・」

「ハハハハ・・茶々丸、あの血は完全に致死量超えてるよな」
「ハイ、彼の体型から推察した血液量の5分の4がすでに流出しています・・・・」
「ならなんで生きているんだ、あの男は・・・・」


麻帆良で始まる血の宴は始まったばかりである・・・・

第4話  end














次の日の教室
「ねーねー、昨夜、壁をカサカサ走り回る真っ赤な謎の生物と、巨大なとげ付きハンマーを振り回すハンターが出たんだってー」

「なんでもヨコタマー!とか呪文を唱えながら走り抜ける影が出たそうだよ」

麻帆良学園に新たな怪談が書き加えられたようだった・・・・




(あとがき)
横島とタマモの暴走がとまらないー!!!
ともかく第4話完成しました。ついにエヴァンジェリンとのからみになるのですが、どういようかなー。最終的な結末は決めてるんですが、その過程はまだ決めてないので我ながらどんな風に物語がつづられていくのか心配でもあります。
どうやらトールハンマーとガイエスハーケンがタマモの突っ込み道具として固定化していきそうな気配がしますが。

さて、次回はもうすこしネギたちにスポットを当ててみようかな

二人?の異邦人IN麻帆良 「第5話 Mad lunch party」

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