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二人?の異邦人IN麻帆良(ネギま×GS美神) 「第7話 魔女達の饗宴」 投稿者:九重九十九 投稿日:07/06-16:49 No.888

「天にまします我らが神よ、どうかこの哀れな子羊に慈愛の恵みを与え下さい。」

ネギはその日の早朝、わずかに見える星に向かって祈っていた。

「偉大なる魔法使いの試練としてどんな苦難も耐えて見せます。今なら悪魔だってドラゴンだって、まして『この世の全ての悪』だろうが、戦えと言われれば戦って見せます。」

その祈りはどこまでも清らかであり、どんな苦難にも打ち勝とうとする男の決意も秘められていた。

「けど・・・















新学期になってからの試練はイロイロとあんまりじゃないでしょうか!具体的にはタマモさんが転校してきてから!!もうお腹いっぱいです!!!」

ネギの絶叫が全てを台無しにしなければ・・・の話ではあるが・・・

「切羽詰ってるわねー」

「モガモガモガ(いや、姉さん。ネギの兄貴の気持ちはよーくわかりますぜい)」

東のはてでうっすらと見える金星に向かって絶叫しているネギのかたわらで、明日菜とオコジョのミイラが生暖かくネギを見つめていた。
『まだまだ序の口やでー』という幻聴も聞こえたような気もしたが・・・・

世界の侵食はついに神の世界まで到達した。


第7話   魔女達の饗宴




土曜日の昼下がり、学園都市のカフェテラスで横島はへたれていた・・・そりゃーもー盛大に・・・・

今朝になってようやく警察から解放され、家に帰ればタマモに焼かれ。トドメとして、昨日いい感じだった美女に再アタックしたら、悲鳴を上げて逃げられるといったコンボを喰らえば無理もないと思われる。

「くぅうううう昨日は唯一のチャンスやったのに・・・・・あかん・・・今日はなんもする気がおきん・・」

本来なら警備と称して学園の覗きポイントのチェック等にいそしむのだが、本日はテンションが下がりまくったのか、いっこうに動く気配がない。

「まあ、今日は依頼もないし家でのんびりとしますか」

「あれ?タマモさんのお兄さんですよね?」

横島は後ろから声をかけられ、振り向く。そこには中学生らしい三人組が横島に向かって手を振っていた。

「あー君達は?話の感じだとタマモのクラスメイトかな?」

「あ、そうです。私は柿崎美砂、こっちは椎名桜子、んでこっちは釘宮円」

柿崎たち三人は横島に自己紹介すると横島の座っているテーブルに座りだす。

「じゃあ、改めて俺は横島忠夫。一応タマモの兄をやっている」

「今日はタマモさんはどうしたんですか?」

「ん?ああ、今朝へそを曲げちまってな。今頃家でねっころがってるんじゃないか?」

「あっれー?なにかタマモちゃんを怒らせちゃったんですか?」

「いや、ちょっと燃やされただけだよ・・」

「燃やされたって・・・・」

釘宮と桜子の質問に素で返す横島。柿崎は横島の「燃やされた」発言が少々気になったようだが・・・

しかし、横島は気が付いているのだろうか。傍目から見たら美少女三人をはべらして談笑する姿はプレイボーイ以外何者でもない事を。
事実、周囲の男連中から殺意の波動が横島に向かって発せられていた。

もっとも横島は、目の前の三人が消費するパフェについて、奢るべきなのかそれともワリカンにするべきか葛藤していて、男の嫉妬なぞ微塵も感じていなかったようだが。

「さて、それじゃあ俺はそろそろ帰るかな。タマモの機嫌も直ってるだろうし」

「「「あ、ご馳走さまでしたー」」」

「やっぱり俺が奢るわけなのね・・・」

懐の福沢諭吉さんに別れを告げながら内心涙する横島。

「あ、そういえば。横島さんたちはドコに住んでるんですか?」

「ああ、この近くだよ。それがどうかした?」

「桜子、釘宮。ちょっとこっちに・・・」

柿崎が二人を横島からすこし離し、ボソボソと話し出す。

「ねえ、今からタマモさんとこ行って見ない?」

「え?タマモちゃんとこ?」

「そうそう、もしかしたら噂の禁断の園が見られるかも知れないし」

「でも男の人のところへ行くのはまずくない?」

どうやら柿崎は「突撃、隣の晩御飯」よろしくタマモの家に行きたいようだった。もっとも釘宮は少々不安そうでもあるが。

「タマモさんもいるし大丈夫なんじゃない?それに心配ならいっそのこと歓迎会ってことにして他の皆と押しかければ安心でしょ」

「あ、それナイス!!」

「んーそれならいいか」

三人の話がまとまったのか柿崎は横島に声をかける。

「横島さん、今日これからおじゃましていいですか?」

「へ、どうして?」

「タマモさんの歓迎会をまだやってなかったんで。いい機会かなと思って。よかったら今からクラスの皆を呼ぼうと思うんですけどいいですか?」

「んー、いいんじゃないか?タマモも喜ぶだろうし」

「あ、スペースは大丈夫です?下手したら30人ぐらい来ますけど・・・」

「大丈夫だよ、なんか無駄に部屋が広いし。それに庭もあるしな」

「それなら遠慮なく」

横島のGOサインを合図に柿崎たち三人は3-Aメンバーの集合を促した。




30分後・・・・

「「「「「「じゃ、横島さん案内よろしくー!!!」」」」」」

「いくらなんでも行動早すぎないか・・・・・」

手に手にパーティーグッズを持った3-Aメンバーが横島の目の前に集合していた。ネギと明日菜他数名の連絡がとれなかったようだが・・・

美少女中学生の集団を率いる冴えない男という、レアな絵面は自然に周囲の視線を横島に集中させる事になるのだが、横島は自分に集まる視線の量に反射的にボケるべきかボケざるべきか苦悩していた。




横島の内なる世界

<ここは彼女達のつかみをとるためにも、一つボケをやったほうがいいですねー>

内なる世界で神々しい光が横島に語りかける。

<せやけど今この状態でボケろっちゅーても、肝心のつっこみ役がおらんと片手落ちやで>

もう一つの12枚の翼を持った禍々しい影が同じく語りだす。

<大丈夫です、彼のボケなら世界の修正力で突っ込みキャラがその場に生まれるはずです、具体的には隕石とか隕石とか隕石とか>

<メテオストライクでもかます気かいな・・・>

<さあ、横島さん。今こそそのボケの神に魅入られた才能を発揮し、彼女達に見せ付けるのです。具体的には服を脱ぎながら飛び掛るとか>

<いや、それやったらさすがにまずいやろ・・・・>

<何を言うんですか、美(小)女に埋め尽くされてもみくちゃにされる。これは横島さんの夢だったんじゃないですか。私が許します、さあ今こそ自由なる神の翼をはためかせるのです、このままロリコンの世界へGO!!!>

<キーやん、この前の呪い事まだ恨んでるんか?>

<そんなことアリマセンよ、呪いで集中力乱されて50万近く負けたことなんて気にしてません。ましてそのせいで我が母に折檻されたことなど気にするはずがないじゃありませんか>

<めっちゃ気にしとるやん>

<サっちゃん・・・ギャグをやらない横島さんなんて想像出来ますか?>

<・・・・・・さあ、横っち今こそロリの世界へ>

<<GO!!!!!>>




現実世界

「貴様らー!!!人の脳内で勝手に漫才やってんじゃねー!!!!しかも神が悪魔を誘惑してどうするんだー!!!」

どうやらこの前の呪いでチャンネルがつながりやすくなったようだ・・

急に叫びだした横島を見ながら3-Aメンバーは新しいおもちゃを見つけたような邪笑をうかべていた・・・




「ふわー、結構大きい家なんですねー」

横島の案内で家の前に到達した柿崎が驚嘆の声をあげる。まあ、でかいといっても雪広あやかの実家とくらべたら月とすっぽんなのだが。

「ただの借家だよ、学園長の好意でな・・・事務所も兼ねてるんだ」

「へー・・事務所ですか?・・あ、看板だ『横島よろず調査事務所』・・・なんですかこれ?」

「ああ、探偵というか便利屋というか・・・まあ、そんなもんだ。さ、入った入った」

「あ、まって。みんな隠れてちょうだい。タマモさんをびっくりさせないと」

横島は柿崎のアイディアに苦笑しながら扉をあけた。

「うおーいタマモ、帰ったぞー」

「うー・・・お帰りー・・・」

横島を叩き出した後、二度寝でもしていたのだろうか、タマモは眠そうな声で玄関にやってくる。
















Yシャツ一枚で。

タマモのあまりの格好に横島は頭痛を覚えつつタマモを注意する。

「タマモ・・・まだ寝てたのか、それにその格好はどうかと思うぞ。つかお客・・」

「んーいいじゃない。だれも見てないし・・・」

「いや、だから・・・・」

「ふぅぁぁ・・・それに昨日ヨコシマの(帰りが遅かった)せいであまり眠れなかったんだから眠いのよ・・・」

「「「「「「「えー!!!!!!!」」」」」」

タマモのまるで誤解してくださいと言わんばかりの発言で、3-Aのテンションは上がりまくりであった。「スクープだー!!!」という発言も聞こえたが・・・

「え、なに?どうしたの?というかなんでみんなが?」

タマモはようやく覚醒するも、時すでに遅く。タマモの発言で朝倉を筆頭に質問がとびかっていた。

「タマモ・・・・お前責任をもって誤解を解けよ・・・・」

横島は自分の背後で、自分の存在を否定する発言に頭痛を覚えつつタマモに修正を促す。具体的には「禁断の園の噂は事実だったー!!!」とか「タマモさん進んでるー!」などといった発言が胸に痛い。

「解かなきゃダメ?」

「当たり前だ!!!俺の全人格が問われているんだぞ!!!」

タマモは少し考えながら騒いでるクラスメイトを順に見つめ、何かを思いついたかのように横島を見る。
そしてタマモはその口から力ある言葉をつむぎだした。
















「責任とってネ♪」

「なんの責任だー!!!誤解をさらに拡大させるんじゃねー!!!」

まだ宴は始まってもいないのにテンションだけは天井をつきぬけ、天に届かんとしていた。





宴が始まってすでに二時間
時間はすでに夕暮れとなり、本来なら彼女達を帰宅の途に付かせないといけないのだが。横島は彼女達を帰すわけには行かなくなっていた。
なぜなら・・・・・













「「「「「キャハハハハハハハハ!!!」」」」」

横島の目の前にはサバトが繰り広げられていた・・・・

事のおこりは横島が学園長からの電話で席を外した隙に、誰かが持ち込んだ酒をタマモにのませ。それによって暴走したタマモが冷蔵庫から横島秘蔵の酒をジュースに混ぜたのが原因だった。

「横島さん、すみません。騒がしくしてしまって」

夕日をみながらイロイロと現実逃避をしていた横島に、数少ないシラフの釘宮円が話しかける。
本来ならこういうキャラは委員長の雪広あやかなのだが、開始1R1分30秒でタマモにKOされていた。

「まあ、賑やかなのは嫌いじゃないしな。かまわないよ・・・飲酒についてはどうかと思うが・・・」

「あはははは、ごめんなさい」

「まあ、いいよ。今夜はみんなで泊まるといい。学園長経由で事の次第は寮に伝えてあるから大丈夫だよ。もちろんお酒の事は話してないから安心してくれ」

「お手数かけます」

横島は釘宮との話が一段落付くと、再び夕日を見つめた。

「横島さんも夕日を見るのが好きなんですか?」

「ん、ああ。好き・・・とはちょっと違うな。どちらかというと嫌いかもな・・」

「あれ、そうなんですか?私は結構好きですよ。夕日が沈んでいく一瞬の美ってすっごく綺麗じゃないですか」

「そうだな、けど・・・だからこそ・・・かな。はかな過ぎる命が後に残すのは悲しみと思い出だけ・・なんてな」

「・・・・・・・」

横島と釘宮は沈黙すると沈んでいく夕日をみつづける。
だが、そんないい雰囲気はサバトの魔女達に粉砕された。

「くぎみー、なに私達を差し置いていい雰囲気つくってんのよー」

柿崎が背後から釘宮の首を絞めながら魔界へと引きずっていく。

「ちょっと何をとつぜん・・・・横島さん助け・・モガガガガ」

「いいから、くぎみーも飲みなさい!!!キャハハハハハ!!!」

また一人魔界へと飲まれた少女を視界に入れないように、横島は大きくため息をつく。

だが、そんな横島の背中にタマモが抱きついてきた。

「うにゅー・・・ヨコシマー・・・なんか芸やれー」

「狐が大トラになってどうする」

「私をトラと呼ぶなー!!!!!」

がおーん!!!!とタマモが吠える。

「運命ネタと思わせつつ、実はジーザスネタとは腕を上げたなタマモ」

「えへへへへへへ」

タマモは横島にほめられたと思ったのか無防備に横島の前に回り、膝の上にちょこんと座った。

「コラ、タマモ抱きつくんじゃない」

「うにゅー・・・いいじゃない」

タマモは横島に抱きつき、暫くするとふと顔を見上げ横島と目を合わせる。

「ヨコシマ・・・」

「どうした?」

「・・・・・・お前は私を裏切らないよね・・・」

「タマモ、お前いきなり何を」

「お願い、答えて・・・・」

横島はタマモの真剣な表情に見惚れ、そして沈みかけた夕日をしばし見つめた後タマモに答えた。

「俺はタマモを裏切ったりはしないよ・・・」

「本当?」

「ああ、これは約束だ」

「約束・・・えへへへへへ♪」

タマモは横島の約束という言葉に安心したのか、横島の胸の中で眠りに付く。

その表情は穏やかで、どこまでも綺麗だった・・・・

「まったくこいつは・・・・・なあルシオラ、俺はお前の事をもう忘れてもいいのかな・・・」

横島は西の空を見ながらつぶやいた。そこにはそれまであった夕日は完全に沈み、夜のとばりが訪れていた。





「しかし・・・・・これ、誰が片付けるんだ?」

横島は背後でいまだに続いてる魔女達の宴の片づけを真剣に心配していた。
横島邸の屋根の上で、本日出番のなかった死神がやさぐれて酒を飲んでるのを見つめながら・・・・・



第7話  end






次の日の朝

「ネギ!!どこに行ってたのよ、探したじゃない」

明日菜とカモは早朝さんざん神にむかって絶叫した後、泣きながら杖に乗って飛び出したネギを探しに森の中で一晩中さまよっていが、ついさっきネギを見つけ、問い詰める。

「まったく兄貴、心配しやしたぜ。早く帰りやしょう」

「明日菜さん、カモ君。心配かけてスミマセンでした。もう大丈夫です!」

ネギは何か決意を秘めた目をして明日菜達を見る。

「大丈夫なの?」

「ハイ!あれからずっと考え続け、答えが出ました!!」

「答え?」

「ええ、日本古来からの修行方法をまねて滝に打たれていたら・・・」

「打たれていたら?」

「内なる声が聞こえてきたんです。」
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「『汝のなしたいようになすが良い』って・・・・」

「「ちょ!!その声を聞いちゃダメー!!!!!」」

どうやらどこかの暗黒神とチャンネルがつながってしまったようだ。
がんばれネギ!精神力抵抗ボーナス+4と暗黒魔法が得られる日はすぐそこだ。




(あとがき)
前回あとがきに書いたようにネギと楓の裏山イベントはスルーしてしまいました。楓ファンの方申し訳ありません。
変わりにチアリーディング三人組のなかから釘宮円と実験的に絡ませてみましたが・・・・いけるか?

あとは最後のタマモのセリフですが。
これは、人間に裏切られつづけ、それでもなお人間のぬくもりを求めたかつての自分。
そして、転生後、再び人間のぬくもりを感じている今。それが壊れてしまう不安が酒のせいで増幅された結果、つい横島に口に出してしまったという感じです。
まあ、横島がタマモを裏切るなんて事絶対にさせませんけどね・・・女性関係については別かもしれませんがw

それでは次回はいよいよ横島が表舞台に立つ予定です。
しかし・・・・ネギまとGSのクロスで横島がここまで戦わないのって珍しいかもしれないな。

クライマックスですら戦闘を回避してしまうかもしれないw


それと、私にメールを送って返信が帰ってこないという人がいると思いますが。メールが件名も内容も全くない空メールです。携帯メールからの発信と思われますが、心当たりのある方はご注意下さい。

二人?の異邦人IN麻帆良 「第8話 みっしょんいんぽっしぶる」

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