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二人?の異邦人IN麻帆良(ネギま×GS美神) 「第8話 みっしょんいんぽっしぶる」 投稿者:九重九十九 投稿日:07/07-23:06 No.896

「ヨコシマー、朝から何やってるのよ」

タマモは朝食の傍らでなにやら機会を整備している横島を見る。

「ん、今日の夜は8時から12時まで停電らしいからな、それの準備だ」

「ふーん、懐中電灯とかにしてはずいぶんとゴツイわね」

横島は機会の一つを整備し終わり、別の機会を手に取る。

「ああ、米軍の払い下げやスペッツナズご用達やらいろいろあるからな」

「ずいぶんとものものしい単語が出てくるわね・・・」

「この手の機械は日々の手入れが命綱だからな、肝心なときに使えなかったでは悔やんでも悔やみきれん」

「ふーん、あんたも事前の準備の大切さってものがわかってきたようね」

「ああ、今日は何でも年に二回の大停電。今日のチャンスを逃したら半年後まで待たなくちゃいけないからな。準備に怠りは無いよ」

「チャンス?」

タマモは横島の口からでたおかしな言葉に不穏なものを感じた。

「ちょっと具体的に聞くけど。その妙な筒はなに?」

「ああ、これはスターライトスコープだ、わずかな星明りでも昼間のようによく見えるぞ」

「じゃあ、これは?」

タマモは別のゴーグルみたいなものを指差す。横島はそれをカメラに連動させようとしていた。

「これは暗視ゴーグルと高感度赤外線カメラだ」

「・・・・・・・・・ちなみに今日8時からの予定は?」

「まず、八時に聖ウルスラ女子高の寮に行って、その後大学女子寮三つを制覇。さらに麻帆良大橋付近の独身女子寮に行く予定だが・・・・・・・ハッ!!!!」

横島はようやく自分が誰としゃべっているかを思い出し、硬直する。

「ヨコシマ・・・・・・・・」

「はい!なんでございませう!!!」

横島はタマモのただならぬ雰囲気に恐怖した、まるで捕食者を前にしたか弱き獲物のように。

「没収ー!!!!!!」

「ま・・まて、それ結構高かったんだぞ!!!」

横島の反論にタマモは無言で【雷神の槌】(100tハンマー)を手にし。横島のアゴに突きつける。

「ヨコシマ・・・・それ以上なにか言えば・・・・分かるわよね」

「い・・いや、けど・・・」

「返事は<はい>か<イエス>で言え!!!!」

「イ、イエスですマム!!!」

「結構、では学校へ行って来るけど・・・くれぐれも・・・ね」

タマモは米軍の新人担当教官すら恐怖させる微笑をうかべ、学校へ登校していった。
残された横島はと言うと・・・・

「ふふふ、さすがのタマモもこれがすべてダミーとは気付かなかったようだな。本物はちゃんとここに・・・」

横島は笑いながら別の戸棚から覗きセットを取り出す。
だが、その横島の背中をポンポンと叩く存在がいた。




その日、青年の1回目絶叫が朝の空にひびきわたった。

×横島忠夫 VS 横島タマモ ○
    時間無制限一本勝負
決まり手:1分25秒【無限なりし雷神の槌】(100tハンマー)リングアウト

本日も麻帆良は平和であった・・・・




第8話  みっしょんいんぽっしぶる



「みなさーん、授業を始めますよー!!!」

ネギは前回の修行から何かを吹っ切ったかの様に自分を取り戻していた。
ただ、胸に光る禍々しい聖印が少々、いや、かなり怪しかったが・・・・


授業は少々ネギのテンションが高めだったが、滞りなく終了し。只今の時刻は昼休み。明日菜とタマモが昼食をとりつつ談笑していた。

「ネギ先生、最近精彩がなかったけど。どうやら復活したようね・・・」

「タマモちゃん・・・原因のアナタがそれ言うのはどうかと思うなー。それにアイツ、なんか聞いちゃいけない声を聞いたみたいだし・・さらに精神力抵抗ボーナスがどうとか分けわかんないことも言ってるし・・傷口が広がってるような気が」

「・・・・・・重症ね・・・ところで、例のお子様吸血鬼とはその後どうなったの?」

「へ、エヴァちゃん?」

明日菜はきょとんとした表情でタマモを見る。

「この前、茶々丸に奇襲かけて失敗したんでしょ。エヴァの報復に何か対策してるの?」

「茶々丸さん?奇襲?・・・・・あー!!!!!」

明日菜は突然頭を抱えて立ち上がった。

「ど、どうしたのよ。突然」

「わ・・・忘れてたわ・・・綺麗さっぱりと」

「忘れてたって、アスナ。若ボケには速すぎるわよ」

「だって、ただでさえでもタマモちゃんに追い詰められて所だったのに。トドメで5時間も横島さんに追いかけられ。ようやく開放されたらネギは泣き叫んで行方不明。帰ってきたと思ったら変なのに魅入られてるし・・・私にどうしろって言うのよー!!!!!」

「そんなの気にしてたら生きていけないわよ」

「気にしないで生きていける人間がいたら見てみたいわよ!!!」

「見てるじゃない・・・ヨコシマを」

「いっつも思うけど。タマモちゃんのお兄さんって本当に人間なの?・・・あ、答えなくていいわ。なんか怖い答えが返ってきそうだから。とにかく、帰ったらネギと相談するわね」

「それが賢明ね」

明日菜はなにかいろいろなことを諦めた表情でタマモとの会話を打ち切り、食事に集中した。






そのころ横島は、今朝タマモによって破壊された覗きセットを黙々と修理していた。

「タマモめ・・・まだまだ甘いわ!!俺には文珠という霊能を凌駕したびっくりアイテムがある!これの前には22世紀の青狸のもつ科学を無視した不思議道具すら生ぬるい!!こんなものすぐに修理してくれるわ!!」

横島は哄笑をうかべながら手に文珠を呼び出し、"複""元"と文字を入れて発動させようとした。

カチッ!!!

その時、横島の耳に何かのスイッチが入ったような音が聞こえてきた。

「へ・・・・・のわー!!!!!」

横島が音に反応し、顔を上げると。そこには天井から吊り下げられたとげ付きハンマーが、横島の顔面に向かって向かってくる光景が展開されていた。



本日二度目の絶叫は、穏やかな昼の空に吸い込まれていった。


×横島忠夫 VS 横島タマモ ○
    時間無制限一本勝負
決まり手:12秒  自動発動型【天かける禿鷲の爪Ⅱ】(こんぺいとう2号)失神10カウントKO


沈黙した横島のかたわらに手紙のようなものが落ちていた。そこには・・
<あんたのやることは全てお見通しよ>と書かれていた。




<まもなく午後8時です。生徒の皆さんは停電中の外出はできません、すみやかに部屋へ戻ってください。なお、最近女子寮近辺で不審な生物の目撃情報が相次いでいます。目撃者は速やかに情報を麻帆良報道部までよろしくお願いします>


学園都市全域の放送の後いよいよ停電が始まった。
みるみるうちに麻帆良の明かりが消え、唯一の明かりは雲の間からさすわずかな月明かりのみとなった。


「ふう、もう停電が始まっちゃった。まいったなーエヴァンジェリンさんに渡さないといけないプリントが大量にあるのに」

「まあ、しょうがないですぜ。明日しやしょう」

「そうだね、カモ君」

薄暗い町の中をネギはカモを引き連れ、帰宅の途につく途中であった。
その時、ネギの目の前に佐々木まき絵が現れた・・・・・全裸で。

「ネギ・スプリングフィールド。エヴァンジェリン様がお呼びだ、一人で大浴場まで来い」

「まき絵さん!裸で出歩いちゃいけませんよー!!!!」

「むほほほ」

ネギは目を即座に閉じ、後ろを向くが。カモはしっかりとガン見していた。

「そ、いうわけで。伝言伝えたからねー、ネギ先生♪。それじゃ、またあそぼーねー」

まき絵はネギに伝言を伝えると、新体操のリボンを使って蜘蛛男のような動きで消えていった。

「エヴァンジェリンさんが僕になんの用なんだろう?」

「さあ、ともかく行ってみようぜ、兄貴」

「うん・・・ただ、なんか大切なことを忘れてるような気がするんだけど・・」

「兄貴もかい?おれっちもだ」

ネギたちは、いまだに自分がとてつもなく大切なことを忘れていることに気づいていなかった・・・大丈夫か?





同時刻。聖ウルスラ女子高 学生寮前にて・・・・・

「フハハハハハ!!!甘い!甘いぞタマモ!!!確かに機材を壊され、復元不可能となった今。記録媒体に残すことは不可能だが・・・・この俺の脳内フィルムまで消去はできまい!!!!」

横島は寮の前で喜悦に満ちた表情で笑っていた・・・・目撃者がいたら間違いなく変質者として通報されるだろうが・・・・

「この大停電でセキュリティが作動しない今、まさに天があたえたもうた絶好の機会!このチャンスで覗きをやらなくて何が漢か!!さあ、今こそ桃源郷へ!!」

横島は演説がひと段落したのか、女子寮の壁を這い回りだした、なんの装備もつけずに。
それはまさに、かつて新宿に出現した「壁ちょろ男」の再臨だった。

「クククク・・・・それではいよいよお宝はいけ「そう簡単にことが運ぶと思ったの?」・・・・・ん?」

横島が振り向くと、そこには刺のついた鐘つき棒のようなものをかまえたタマモがいた。

「ヨコシマ・・・・good night♪」



本日三度目の絶叫は、静かな夜の空に吸い込まれていった。


×横島忠夫 VS 横島タマモ ○
    時間無制限一本勝負
決まり手:5分58秒  【天かける禿鷲の爪】(こんぺいとう1号)出血多量につきレフェリーストップ TKO




「エヴァンジェリンさーんどこですかー?」

大浴場前にてネギはエヴァを探していた。

「ふふふ、ここだよ坊や」

ネギが声の方向を見ると、見たことのない美女と茶々丸、大河内、明石、佐々木、泉の6人が東屋の上に座っていた。

「パートナーはどうした?一人で来るとは見上げた勇気だな」

美女がネギに向かって声をかける。その声は妖艶で並みの男なら間違いなく虜にさせられていたろう。しかしネギはまだ10歳のお子様であるため、美女の色気には無反応だった。

「あ!!あなたは・・・・・・誰ですか?」

「私だ私ー!!最強の悪の魔法使いエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ!!!」

美女はネギの言葉にコケた後、自らの正体をネギにさらした。どうやら幻術で姿を大人にしていたようだ。もし横島がこの場にいたら、さぞかし絶叫していただろう「俺のドキドキを返せー!!!っと・・・・」

「さて、満月の前で悪いが。この前の決着をつけさせてもらうよ」

「決着って・・・・なにかありましたっけ?」

「ほえ?・・・・・・」

ネギの言葉にエヴァはなんとも間抜けな声を出して硬直する。
それはそうだろう、15年にわたって自らを縛り続けていた呪いを解く千載一遇のチャンスに意気込んでみたら。当の本人がその前段の経緯をまったく覚えてないのだから。
空回りここに極まれりである。

「き・・・貴様・・よもや先週私に襲われて死にかけたことを忘れた、などとたわごとを言うつもりはないだろうな」

「へ、先週ですか?・・・先週はたしか・・・・・」

ネギはエヴァに促されて先週の出来事を思い出そうとしたが、見る見るうちに体が小刻みに震え、顔も生気を失ってブツブツと何かをつぶやきだした。

「ようやく、思い出したか。今こそ長年にわたる怨念を晴らしてくれる・・・っていつまでそこでうずくまっている」

エヴァは震えながら何かをつぶやいているネギに近づいていく。
エヴァはネギのそばまで来ると耳を澄ませてみた。すると・・・・・・















「ハンマーはイヤ、ハンマーはイヤ・・ああ、横島さんゴメンナサイもうしません、だから追いかけないで、切らないで・・・・タマモさんゴメンナサイ、後でカモ君を差し出しますからどうか、どうかお怒りをお沈めください・・・・偉大なるファ○リスよ、我に精神力ボーナス+4をを与えたまえ。できればついでに横島兄妹から逃げ切れる敏捷度を・・・・」

早くもネギは壊れていた。

「・・・・・・・・・・・な・・なにがあったんだ・・・」

エヴァは訳がわからず立ち尽くすが、気を取り直したようにネギの頬ペシペシと張って気づかせる。

「おい、坊や・・しっかりしろ。目を覚ませ」

「あ・・・エヴァンジェリンさん・・・・」

ようやくネギが現世に復帰したのか、目に生気が宿ってくる。

「ふう、まったく手間をかけさせおって。ともかく、お前は先週私と戦って敗れ、もう少しで血を私に吸い尽くされかけたんだぞ」

「え・・・先週ですか?」

「そうだ・・・・ってまた順を追って思い出すな! ピンポイントで思い出せ!!!ほら、始業式の日だ!!!」

再び目に生気がなくなりかけたネギに、エヴァが声をかけて現世に戻す。何気に面倒見のいい吸血鬼である。

「始業式の日ですか、あの日はたしかタマモさんが転向してきて・・・・・・・・ああ!!!!エヴァンジェリンさんがのどかさんを襲っていたんだった!!!」

「よ・・・ようやく思い出したか・・・」

「はい・・・すみませんでした」

「ええい、謝るな!!そして捨てられた子犬のような目をして私を見るんじゃない!調子が狂う!!ともかく、さっきも言ったが今日こそ」坊やの血を存分に吸わせてもらうぞ」

エヴァはようやく話が本筋に戻ったのに安堵し、改めてネギに宣言する。

「そうはさせません!タマモさんの恐怖を体験した今、僕に怖いものなんかありません!!!というかあれ以上の恐怖はイヤー!!!・・・ハッ・・ともかく、今日は僕が勝って悪いことをやめてもらいます」

まだ微妙に壊れているネギだった・・・・

「そうか、怖いものがないか。では貴様に本当の恐怖というものを教育してやろう・・・やれ、我が下僕たちよ」

エヴァの言葉に操られ、まき絵たちがネギに迫る。

「カモ君、明日菜さんに応援を!!!」

「了解だぜ!兄貴」

カモはネギの言葉に従い即座に戦場から離脱する、ネギの勝利を祈りながら。

「さあ、行きますよ!エヴァンジェリンさん!!!!」

「いい度胸だ坊や、かかって来い!!」

今、真祖の吸血鬼と偉大なる魔法使いを目指す少年の戦いが始まった。




同時刻  聖ウルスラ女子高 学生寮前

静かな夜空に携帯の音が鳴り響く。

「ほらヨコシマ、いつまで死んでるのよ。とっとと生き返って電話にでなさい」

「あだだだだ・・・最近ほんとうに突っ込みに容赦がなくなったなー」

「ふん、あんたを痴漢にさせないための涙ぐましい努力と言って頂戴、ほらさっさと出る!」

「まったく・・・はい、こちら横島。現在、この電話は使われておりません」

「ボケはいいからさっさとする!!今回は容量多くて作者も困ってるんだから、早く話を進めなさい!!!」

タマモ、作者の意図を読み取って促すのはうれしいが・・・それなら突っ込みのほうも容赦してやれ・「無理!」・・さいですか・・

<フォフォフォ、用件をいっていいかの・・・>

電話の向こうはバルタン・・・もとい学園長だった。

「ええ・・・・なんですと!あのお子様吸血鬼が動き出した!!まだ満月じゃないのに?」

<そうじゃ、こちらも完全に虚をつかれたわい。しかもどうやら魔力封印の結界に気づいたらしく、今はかつての力を取り戻しておる>

「ということは・・・ネギは・・・」

<うむ、現在エヴァと交戦中じゃ、よくやってるようじゃが、いかんせん基本能力が違いすぎる>

「ザクとアレックスくらいの差がありますからねー・・・あれ?アレックスなら勝てるかな?」

<今はそんな生易しいもんじゃない。ザクとF91ぐらいの差はあるぞい>

「学園長も好きですなー・・・「さっさと話を進めなさい!!」はい・・」

<ともかく、ネギ君の救援に向かってくれ。ほかの者は結界の修繕で手が離せない>

「了解しましたっと、報酬は二割増しでお願いしますよ」

<むむむ・・・わかった。ともかく急いでくれ>

横島は学園長との会話を終え、タマモを見る。

「さて・・・仕事の時間だ。ちょっと予定が狂ったがいくぞタマモ」

「おっけー♪」

横島とタマモは戦場に向かっていった・・・ただし森に向かってだが・・・




ネギは善戦していた。真っ向勝負でまき絵たち4人を沈黙させるとこまではいったのだが、いかんせん茶々丸とエヴァの連携攻撃の前には手も足も出ず、ひたすら逃げに徹していた。

「ハハハ!!坊や。威勢のよかったのは最初だけかい!」

エヴァは笑いながら魔法を発動させ、ネギを少しずつ追い詰めていく。

(すごい力だ、今の僕ではとてもかなわない。でも、あと少し、あと少しであの場所が)

「どうした、逃げるだけか。もっとも呪文を唱える隙など与えるつもりはないがな。くらえ『凍る大地』」

ネギは大橋に到達したところで、ついにエヴァの魔法をまともに喰らい、撃墜される。

「く・・・思ったよりもダメージは少ない・・手加減されてるの?」

ネギは橋の上で片膝をつき、エヴァを警戒する。

「ほう、今のは直撃したはずだが、レジストするとは思ったより耐魔能力が高いようだな」

「まだまだ終わりじゃありませんよ・・・」

「ふん、私の呪いを利用して、いざとなったら外に逃げる心算か・・・以外にせこい作戦じゃないか」

エヴァはネギにトドメをさすべくゆっくりと近づく。

(あと少し・・・・あと一歩)

その時ネギに近づくエヴァの周りに魔方陣が現れ、エヴァと茶々丸を拘束していく。

「な・・・これは捕縛結界!!」

「やったー!!タマモさんと横島さん対策で仕掛けていた罠が役に立ったー!!!」

どうやら前回の逃走劇がよほど怖かったのだろうか、ネギは学園のそこかしこに同じような捕縛結界を仕掛けていた。

「これで僕の勝ちです。もうこれからは悪いことはやめてくださいね」

「やるなー坊や、感心したよ・・・だが、茶々丸!」

茶々丸はエヴァに声をかけられると、結界解除プログラムを作動させた。
すると、見る間に結界が破壊され、エヴァたちを束縛するものはなくなった。

「な!!」

「さて、坊や・・万策尽きたようだな。私の想像を超える善戦、見事だったぞ。一人で来たのは無謀だったがな」

エヴァはネギに顔を近づけ、血を吸おうとした。その時

「こらー!!!!待ちなさーい!!!」

明日菜が橋の向こうからネギ救出のため全力疾走していた。

「ふん、来たか・・・坊やのパートナーが」

エヴァは明日菜の姿を確認し、狙いが自分にあると読んで注意をネギからそらす。

(チャンスだ!!今こそアレを!!!!)

ネギはようやく見出した勝機にすべてをかけ、呪文を唱えた。




















「万能なるファ○リス、我に力を。毒をもちて、この女の身体を麻痺させ・・・・」

ネギはいつの間にか暗黒魔法まで身につけたようだった・・しかもレベル上がってるし、2LVに・・・

「その魔法使っちゃダメー!!!!!!」

「あぷろぱあー!!!!!」

明日菜は目標を急変更してネギにとび蹴りを喰らわせ、魔法の発動をギリギリで阻止した。そしてそのままネギを引っつかみ橋の影に隠れる。

「あ・・あぶなかった・・・いろいろと・・・」

「ハッ、アスナさん。僕はいったい・・・」

「ようやく正気にもどったようね。ネギ、あの魔法は二度と使っちゃだめよ」

「え?何故です?」

「いいから使うな!!イロイロと世界の決まりがあるの!!!」

明日菜はネギを無理やり黙らせ話を進めた。

夜の戦場交響曲はまだまだフィナーレには遠い。








「さーてと・・・どうやら間に合ったみたいだな」

横島たちはようやく戦場に到達した。
ネギ達は現在2対2で戦い、ネギはエヴァと明日菜は茶々丸と戦っているようだ。

「どんな感じだ?」

「んー・・・明日菜は結構がんばってるわねー。ネギ先生のほうは、ちょっと苦しいかしら」

「そうか・・・とりあえず。いつでも出られるよう準備しといてくれ。それと・・その袋貸してくれ」

「はい・・・けどヨコシマ。それが重要なものってよくわかったわねー」

「まあな、その辺は報告書でイロイロと調べたしな・・・お、決着がついたかな?」




橋の上での戦闘はネギとエヴァが強力な魔法の打ち合いとなっていたが、ネギの魔法がエヴァに打ち勝ち。エヴァが魔法の直撃を喰らう。
だが、それでもエヴァは健在だった。ネギはすべての力を使い果たし、崩れ落ちる。

「さすがは奴の息子・・期待以上だ、私をここまで追い詰めるとは・・だが、もう終わりのようだな」

エヴァはゆっくりとネギに向かい歩き出す。明日菜はネギを助けようとするが、茶々丸に妨害されネギのところに向かうことすらできない。

「く・・・僕はここまでなの・・・」

「さあ、今度こそ助けは来ない。あらためて血をすわせてもらうぞ」

「「はい、そこまで!!!」」

エヴァがネギに近づき、血を吸おうとした時。突然それを静止する声が響いた。そう、横島とタマモである。

「「タマモさん(ちゃん)、横島さん!!」」

「む・・・貴様は横島タマモ・・・それとその横のオマケが前に言っていた相棒か?」

「誰がおまけじゃー!!!」

「そうよ!!!」

横島がエヴァのオマケ発言を否定するが、間髪いれずにタマモがそれを肯定する。

「ふん、小娘。この前言ったはずだぞ。私の邪魔をするつもりなら命はないと」

「あら、私も言ったわよね。私の相棒が関わらないかぎり敵対するつもりはないって。相棒が関わる以上、私はあなたと全力で敵対するわよ」

「どうやら本気で命がいらないようだな」

「あら、私はお子様吸血鬼にやられるほど落ちぶれちゃいないわよ」

「「フフフフフフフ・・・・・」」

タマモとエヴァの不気味な笑い声があたりを震わす。
横島にはタマモとエヴァの背後に炎をまとった九本の尾を持つ巨大な狐と、タキシードを着たサリーちゃんのパパちっくな髪型をした吸血鬼の姿を見た。







「白面とデミトリー?」

横島の意味不明な言葉が空に吸い込まれる・・・・




「何々?ひょっとしてこの二人仲悪いの?」

横島が気を取り直し、明日菜に聞く。

「どうも相性悪いみたいね・・・この前もすごかったし・・・」

「今回、俺の見せ場のはずなんだけどなー・・・」

横島はタマモの背後で明日菜とネギに愚痴る。気を落とすな、横島。お前の出番はもうすぐだ。

「フフフフ・・・いい度胸だ、貴様ら二人まとめてミンチにしてくれる」

「あら、あなたなんか一人で十分よ。さあ、横島行きなさい。悪の魔法使いを倒すのよ!!」

「コラまてタマモ!!!人を召還獣みたいに使役するんじゃねー!!!」

「いいじゃない、時間は稼いだでしょ・・・後3分よ」

「まあな・・・・ハア・・いくか・・・」

横島はタマモとボソボソと話すと手に先ほどの袋を持ち、エヴァと対峙する。

「と、いうわけで。ウチのお姫さんと戦うには、まず俺を倒してから・・・だそうだ・・」

「貴様一人でか?いい度胸だが。別れはすませたのか?」

「んー・・・別れはいらないだろう・・負ける気ねーし」

「本当にいい度胸だ、死んでいく貴様への手向けとして、せめて名前を覚えておいてやろう。名乗るがいい」

「横島よろず調査事務所 所長 横島忠夫  まあ、気楽にいこうぜ」

「横島忠夫か・・・では死ね!!!」

死刑宣告の後、エヴァは呪文を唱え始め、同時に茶々丸も横島に突入する。
横島は片手に持った袋に手を入れ、エヴァたちに声をかけた。

「そういうのは、俺の切り札を見てから言え!!!!」

横島はそう言うと、袋から切り札と呼んだ物を取り出した。それは・・・・・・・





















「タスケロー、ゴシュジン!!!」

チャチャゼロだった・・・・・・

「「「「「「だー!!!!!」」」」」」

横島とタマモを除くすべてがコケた。そりゃーもー盛大に。今までのシリアスがすべてぶち壊しである。今までの苦労を返せー!!!!

横島とタマモは戦場に行く前に、学園長にもらった報告書に書いてあるエヴァの家に行き、同じく報告書に記載されていたエヴァの従者であるチャチャゼロを文珠で封じ込め、今に至る。
ステキに過激で極悪な横島たちであった。

「ふははははははは!!!!さあ、この不思議人形を返してほしければ大人しくするんだ。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル!!!」

「き・・・きさまー!!!人質をとるとはそれでも偉大な魔法使いに連なる者かー!!!!」

「あーん?聞こえんなー!それに俺はそもそも魔法使いじゃねーし」

エヴァは横島と不毛な会話を続ける・・・この会話こそが横島たちの思惑とは気づかずに。

「タ、タマモさん・・・これじゃあどっちかというと横島さんのほうが悪に見えるんですが・・・」

「いくらなんでも卑怯なんじゃない?タマモちゃん」

「あら、戦いに卑怯なんて言葉はないわ、あるとしたらそれは負け犬たわごとよ。そして負けたほうは、卑怯という言葉も言えないただの骸になるだけよ」

「で・・・でも・・・」

「ネギ先生、戦うならその相手の強さ、そして自分の弱さ。相手に何ができなくて、自分に何ができるか見極めなさい。そして勝つための方法を考えるの、まして自分より遥かに強い相手には手段なんか選んでる余裕なんて有りはしない」

タマモの言葉はネギとアスナの胸をえぐった。それはネギたちでは到底及ぶことのできないタマモの、そして横島の実戦経験から来る言葉だった」

一方横島たちは・・・












「はーっはっはっは!!!鬼さんこちら、手のなるほうへ!!!」

「くっそー、茶々丸。さっさとその男を取り押さえろ!!」

「動きが予測不可能で追撃できません」

「無駄無駄無駄無無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無ァー!!!!」

「ゴシュジン、ハヤクタスケロー!!!」

おっかけっこをしていた・・・・・



「ねえ、気のせいかな・・・・横島さん、地面に両足ついたまま移動してない?」

「アスナさんもそう見えますか?・・・おかしいな目の錯覚かな」

「あ、アレは横島の対警察用逃走術の奥義で『ゴキブリ歩法」っていうやつよ。垂直の壁も自由自在だそうよ・・・」

「どういう奥義なのよ・・・・」

「奥義開眼の過程は聞かないでね、私も情けないから」


横島の動きはまったくの予想不可能であり、まるで氷の上をすべるように自由自在に逃走していた。

「ドムだ・・・あの動きはドムですぜ兄貴!」

くしくもその動きはカモの言うとおりドムにそっくりだった。
横島をしてかつてシロと雪乃丞に奥義を伝授し、黒い三連星ネタをやろうとして失敗したのはタマモの記憶に新しい。


そして現在横島たちは・・・・








「はーっはっはっは!!!あばよーとっつぁーん!!」

「誰がとっつぁんだー!!!!喰らえ『氷爆』!!」

戦場は悲劇から完全に喜劇と舞台を変えていた・・・・



「さて、そろそろね・・・」

「そろそろ?」

タマモのつぶやきにネギが質問する。

「そう、もうすぐ舞台は終わり、幕を閉じるわ。まあどう考えても喜劇の幕だけどね」

「どういうことなの?」

「エヴァは力を封印されている。けど今は全力状態。そして現在停電中・・・これで導き出される答えは?」

「ひょっとして停電したからエヴァンジェリンさんの封印が一時的に解けた・・・ということですか?」

「そう、正解。ということは停電が終われば・・・・」

「そうか!エヴァちゃんは元に戻るのね」

「そういうこと・・・さ、時間よ」

タマモの言葉とともに学園の全電力が復活した。





「マスター!!!時間が!電力が復活します!!!」

「なに!・・・・キャン!!」

学園の全電力が復活し、エヴァの魔力は再び結界にとらわれ。エヴァはその衝撃で湖へ落下する。

「ちょっとどうしたのよ!!」

「封印が復活した今、マスターはただの子供です。このままでは湖へ」

明日菜と茶々丸の言葉を聞き、ネギは反射的にエヴァを追って橋から飛び降りた。

「エヴァンジェリンさーん!!・・杖よ!!」

「ネギー!!!!」

ネギは落下するエヴァをギリギリで抱きとめ、橋の上に戻ってきた。

「なぜ助けた」

「だってエヴァンジェリンさんは僕の生徒じゃないですか」

「バカが・・・・」

エヴァとネギは空に浮かんだ月に照らされゆっくりと舞い降りた。それはまるで姫を守る騎士のような光景だった。



「使う必要なかったかな?」

「まあ、いいんじゃない。助けにはなったみたいだし」

ネギのポケットにはいつの間にか入れたのか"加""速"と文字の入れられた文珠が発動していた。



「さーて、これでエヴァンジェリンさんに貸しひとつですよ。もう悪いことをやめて授業にも出てもらいますよー」

「わかったよ。確かに今日のこれはひとつ借りだな」

「よかったわね、ネギ!」

「だが、そこの横島忠夫!!!貴様満月の夜には注意しろよ!!」

「あーん?そ・れ・な・ら・ば、今記録したお前の醜態を麻帆良中にばらまくけどいいのか?」

「ぐぐぐぐぐぐ!!!」

エヴァは怒りに顔を朱に染めるが、横島が手にしたビデオに言葉を無くす。
本当に用意がいい・・・




「さてと、それじゃあネギ。今日は、いや昨日は大変だったからよく寝とけよ」

「はい、お休みなさい」

「ああ、俺はこれからちょっと寄る所があるからまだ寝れないけどな」

「へえぇぇぇぇ、どこに行くのかしら?」

「いや、そこの独身女子寮にしかけた暗視カメラを回収に・・・・・ハッ!!!」

横島は今朝、いや昨日の朝と同じように誰と話しているか思い出した。
横島が恐る恐る振り返るとそこには・・・・














「もはや問答無用!くらいなさい!!『打出の小槌君グレート』(アビゲイルホームラン!!!)」

「ちょ・・・まった。それはやばいー!!!!」







今回、最後の絶叫は、厳かな深夜の空に吸い込まれていった。
横島のそばにいたため、完全に巻き込まれた死神の絶叫と共に・・・・・



△横島忠夫 VS 横島タマモ △
    時間無制限一本勝負
決まり手:3分14秒  【打出の小槌君グレート】(アビゲイルホームラン)セコンド(明日菜たち)の乱入により無効試合




第8話  end





「あ、安心してくださいエヴァンジェリンさん。呪いは僕がうんと修行して解いてあげますから」

「そんなもん貴様が解けるという保障があるかー!!!」

「大丈夫ですよ」
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「ファラ○ス様にはLV7に呪文に『フリーダム』がありますから・・・今LV2ですからあと五つです」

「「「「だからその神の魔法はダメー!!!!!!」」」」」

ネギよ・・・それだけはやめたほうがいいと思うぞ・・・マジで・・




(あとがき)
長かった・・・ほんっきで長かった。そして書いていて面白かった。
読んでいる人たちも面白く感じてくれれば幸いです。

さて、これで第一部?終了です。次回の更新は来週かなー
あと、感想掲示板へのレスも来週になります。


作者注 フィリーダム』は本来なら束縛のない場所への異動するだけのものですが。まあ、ついでに束縛である呪いも解けるってことで・・・

二人?の異邦人IN麻帆良 「第9話 修学旅行前夜」

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