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二人?の異邦人IN麻帆良(ネギま×GS美神) 「第10話 京都へ行こう!」 投稿者:九重九十九 投稿日:07/18-20:05 No.941

ここは麻帆良女子中等部学生寮の一室。
そこでは、一人の少女が身支度をしていた。

少女は鏡で自らを入念にチェックし、髪型が気に入らなかったのだろうか、再び髪をとかして整えた。

少女は、自分の身だしなみをチェックし終わると、今度は手荷物のチェックを行いだした。
少女と同室の娘は、昨日からすでに何度か行われている彼女の行為にちょっとあきれ気味だ。


「刹那、もう五回目だぞ。いくら修学旅行だからってやりすぎだ」

「う・・しかし不安なんだ。だって久しぶりの出番なんだぞ、とにかく気合をいれないと」

「この前は気合を入れて研ぎすぎて、夕凪が2mm細くなったよな・・・」

「そ・・・そのかわりよく切れるようになったぞ」

「妙な念もこもって妖刀じみた状態になってるけどな・・・いっそ銘を変えるか?「作者殺し」とでも」

「あう・・・」

「ふう、とにかくそろそろ出るぞ。事前に駅の安全確保をするんだろ?」

「当然だ、だがちょっと待ってくれ。この小包をコンビニに出しておかないとな」

「なんだそれは?」

「お前からもらったクレイモアの詰め合わせだ。蓋を開けたら自動的に炸裂する」

「・・・・・・・・ちなみに送り先は?」

「作者に決まってる・・・この前の番外編ではよくも河童河童と・・クスクスクス」

「・・・・・・さ、先に行ってるからな」

「ああ・・・くくくくく、くあははははははは!」

「この前の番外編では主役クラスで出られるって泣いて喜んでたからな・・・さすがに気の毒で止められん」

龍宮がつぶやいた言葉は、早朝の麻帆良の空に吸い込まれていった。
刹那の哄笑とともに・・・・・


第10話  「京都へ行こう!」



「これは夢だ!・・・俺はまだ布団の中に・・・って確かに今も布団の中だけど」

心地よい朝の日差しが部屋を照らす中、横島は頭を抱えながら苦悩していた。

「そうだ、これは夢なんだ・・痛ー!!」

横島はいまだ現実を見ようとせず、自分の頬をつねるが、無情にもその痛みは現実だと伝えていた。
横島はいったい何をうろたえてるのだろうか・・・その答えは横島の目に映る部屋の状況と、自分の体にダイレクトに感じる暖かくやわらかい感触によりもたらされたものだった。
具体的には人肌の感触である。しかも布越しじゃない・・・

横島がいる部屋は見覚えがあるが、少なくとも夜には絶対に入らない場所であり、ましてや朝を迎えることなどないはずの部屋だった。
その部屋には自分の服が脱ぎ散らかされ、さらに自分のではない衣類も目に付く・・・

「うそやー!!!昨夜おれにいったい何があったんだー!!!」

「うーん・・・うるさいわねー」

横島を苦悩させている元凶がお目覚めのようだ。
タマモは目覚めると、横島を見て、ついで自らの格好を見た。すると顔を真っ赤に染め、シーツを胸元に引き寄せ、うつむいた。
この時、横島は気付くべきであった。タマモの目がおかしそう笑っていたのを。そしてシーツで隠した口元に邪笑を浮かべていたことを。

「タマモ・・・違うんだー!!俺は何もやってない!!」

「ヨコシマ、昨日あんなに私を愛してくれたのに覚えてないの?」

「なんですと!!!」

「ひどいわ、初めてだったのに」

「マジでヤったのか・・・俺は?」

「大マジ・・・」

「ぐわーもったいねー!!!おれの初めてが記憶の外に。感触すら覚えてないのかー!!!・・・って俺はロリコンじゃねー!!ああ、けど俺はついに堕ちちまったのか・・けどタマモでよか・・・・・いや、タマモはまだ中学生・・・それじゃあ俺は・・・」

横島はあまりの事態に錯乱状態に陥っていた、一方タマモは顔をうつむかせ、肩を震わせている。

「くくくく、くっくくははは」

「お、おいタマモ。どうしたんだ?」

タマモは突然笑い出した。まるで我慢ができなくなったように。

「くはは、もう我慢できない。おかしすぎる!!」

「おい、どういうことだ?」

「どうもこうも、今のは冗談よ。安心して、ヨコシマはなにもしてないわよ」

「へ・・・・」

真相はこうである。

時間は昨夜酔っ払って横島に背負われたタマモが部屋に帰ってきたときにさかのぼる。ちなみに、タマモの耳掻きの名を騙った拷問による傷は、すでに修復済みのようだ。

「みゅー、ヨコシマー・・ねよー」

「へいへい、ちょっとまてって。お前着替えてもいないだろうが。ちゃんと着替えてから寝ろよな」

「うん、わかった・・・だから寝よ・・いっしょに」

「何をいってるんだか。ほら、おろすぞ・・・ってこら手を離せ!首が絞まってるって」

横島はベッドにたどり着くとタマモを降ろそうとするが、タマモは首にしがみついて離れようとしない。

「だからーいっしょに寝よー。ぎゅーってしめてあげるからー」

「いや、だから首を絞めるんじゃねー。耳に息を吹きかけるな!背中に感触が!!!ああー!!」

横島はどんどん絞まってくる首の息苦しさと、背中に感じる最高の感触でもはや何も考える事ができない。
まさに、天に昇る気持ちで地獄逝きである。

「うふふふ・・・」

「ぐ・・ぐるじ・・気持ちい・・・・きゅ・・・・・・・・・・・・・」

いかな横島であっても脳に血流がいかなくては生きていけず、タマモによりあえなく落ちてしまった。
もっとも阿修羅男爵のように、顔の左右で至福に満ちた表情と苦悶に歪んだ表情をきっちり分けてるあたり、器用な男である。

「うにゅ?ヨコシマねちゃったの?じゃ私も・・・その前に着替えを・・・あ、ヨコシマも・・」

しばらく部屋の中からゴソゴソと音がする、具体的には服を脱ぐ音が・・・・











「わーこれがヨコシマの・・・・けっこうすごいわねー」

何についての感想なのか明言は避けよう、横島のためにも・・・・

「えへへへ、明日から修学旅行だし。しばらく会えないから堪能しとかないとね。それじゃお休みー」


回想終了

「よかった・・・・俺はまだ大丈夫だった・・・」

「誤解させたままのほうが面白かったかしら」

確信犯とはいえ鬼である。それと横島、君はすでに・・・いや、何も言うまい。


その後、少々のドタバタはあったものの、タマモの出発の時間が迫っていたためにすぐに朝食をすませ、横島はタマモを見送っていった。
タマモを見送る横島の心は、これから始まる5日間の自由への期待に満ちたものだった。
しかし横島よ、気付いているのか?
タマモがいなくなると言う事で自由を感じるということは・・・すでにタマモに捕らわれていると言うことじゃないのか?



AM9:30大宮駅

「みなさーん!それでは点呼を取ってから乗車してくださーい」

ネギの先導でぞくぞくと新幹線に乗車する3-Aの生徒達。
一部グリーン車にネギをひっぱりこもうとする者もいたが、全員無事に乗車を完了した。
ちなみにタマモは朝倉、委員長、那波、村上、長谷川達の班である。

「ネギ先生」

「あ、桜咲さん・・・とザジさん」

ネギが生徒の最終確認をしていると、背後から刹那がネギに話しかけた。
どうやら班の半数以上が欠席のため班員が二人となり、新しく班を組みなおす必要があるようだった。

「うーんそれでは桜咲さんはアスナさん達の班へ。ザジさんは柿崎さんにお願いします」

「あ、せっちゃん。一緒の班やなー」

ネギの脇にいた木乃香は、刹那が一緒な班になると聞いて嬉しそうに刹那に話しかけた。
しかし、刹那はそんな木乃香に軽く頭を下げただけで、特に会話もなく席に向かっていった。
悲しそうな表情をしながら・・・・




「いまごろ奴らは新幹線か」

「マスターは呪いのせいで修学旅行に行けず残念です」

新幹線が出発するころ、学校ではエヴァと茶々丸が屋上でまったりと過ごしていた。

「オイ、なにが残念なんだ?別にガキどもの旅行なんぞ・・」

「いえ、行きたそうな顔をしていましたので」

「アホか・・・・まあ、退屈であることは確かだしな・・終わったら街にでもいくか」

「ハイ」

麻帆良学園は平和であった。




新幹線が京都へ向かう中、生徒達は思い思いに楽しんでいた。ある者は本を読み。ある者は外の風景を眺める。
そして一番にぎやかなグループは・・・・

「お姉ちゃんソレ出すですよー!」

「えーここはこっちのカードだよー」

カードバトルに熱中していた。どうやらオヤツを賭けての勝負らしい。

「はい、氷の呪文。風香に5点の攻撃ね。次は裕奈の番だよ」

「うむむむむ」

明石裕奈が自分の番が来て悩みだす。のこりの生命点も心もとなく、かといって回復のカードはない。
攻撃をしようにも決定打に欠ける状態だ。

「ねえ、裕奈」

「なに?タマモちゃん」

後ろからゲームを見ていたタマモが裕奈に話しかける。

「このカードだして、次にこっち。それで最後にこのカードを出したらどう?」

「え、う・・うん」

裕奈はタマモの言うとおりにカードを出した。そして2順後、裕奈は見事にコンボを決め、早乙女にトドメをさしていた。

「勝っちゃった・・・・タマモちゃんありがとー!!!」

「ねえねえ、タマモさんもやってみない?」

「いいの?」

「もちろん!」

「今度は負けないよー!」

まき絵達はタマモを仲間に入れてカードバトルを続ける。
タマモにとって、それは横島で遊ぶのとはまた別のとても楽しい時間だった。

30分後・・・・・タマモ以外のメンバーは煙を上げていた・・・

「ぜ・・・全部すっちゃったー」

「タマモちゃん強すぎ・・」

「なんで出すカード全部がカウンターで帰ってくるですか」

「1ターンで負けた・・・」

「あーんオヤツがもう無いよー」

「史伽ーオヤツ頂戴!今度こそー!!!」

上から明石、佐々木、綾瀬、早乙女、桜子、風香である。
どうやらタマモに全部むしりとられたようだった。

「あはははは・・ちょっとやり過ぎちゃったかしら、後で返すねオヤツ・・」

タマモが皆にオヤツを返そうと袋に手を入れると・・・

ムギュ

おかしな感触がタマモの手に伝わってきた。

「あれ?」

タマモが手のひらを開けるとそこには巨大な蛙がいた・・・

「「「「キャー!!!!」」」」

と、同時に車両の後ろのほうでも悲鳴が響きわたる。
ネギがあたりを見回すと、蛙の大群が車両を埋め尽くしていた。

5分後、ネギとアスナ、古が中心となって蛙の確保に成功し、あたりを見回す。

「蛙107匹全部捕まえたアルよ」

ネギはすぐに混乱を収め、失神した生徒の介抱を始めた。その時、ふとタマモの方を見てみると・・

「・・・・・・・・・・タマモさん?」

「ものすごく意外ね」










タマモは立ったまま気絶していた・・・巨大な蛙を握り締めた状態で。

「タマモさんも女の子だったんですねー」

「ネギ、その言葉。もし聞かれてたらたぶん命無いわよ」

ネギとアスナが危険な発言をしている横で、カモがネギに話しかけてきた。

「兄貴、これはきっと関西呪術協会のしわざですぜ」

「本当かい?カモ君。でも、なんで蛙なんだろう」

「きっと最大の脅威であるタマモの姉さんを一番最初に無力化するためですよ。それに兄貴、親書は大丈夫ですかい?さっきのドタバタで掏られた可能性もありやすぜ」

ネギはカモの発言に不安になり、懐に入れた親書を取り出した。
しかし、何か鳥のようなものが飛んできて、ネギの手元から親書を奪っていった。

「まてー!!親書を返せー!!」

ネギは親書を取り返すために鳥を追いかけていた。しかし、鳥の動きは速く、さらにネギは販売員にぶつかるといったアクシデントもあり、突き放されてしまった。

鳥の式紙がネギを突き放し、車両の後方に差し掛かった時、式紙の前に人影がスっと現れた。
その人影は式紙を居合いのようなもので両断すると、落ちていた手紙を拾い上げた。
と、そこにネギがやってきた。

「あ、桜咲刹那さん・・・」

「ネギ先生・・落し物ですよ」

刹那は拾い上げた親書をネギに手渡し、そして去り際にポツリともらした。

「気をつけたほうがいいですよ、先生。特に向こうについてからは・・・」

刹那はネギに助言を与えると、颯爽と自分の席に戻っていく。
刹那を呆然と見ながらネギ達は、刹那の怪しい言動に刹那に対する警戒感を上げていった。

(くうううう、やっぱり私はこういうクールな感じが一番なんです!タマモさん、クールなキャラはアナタあなただけじゃ有りませんよ!)

刹那の心の中の声が聞こえていたならネギ達はきっと刹那を西のスパイなんぞと思わなかったであろう・・・・





麻帆良学園都市

横島はタマモから開放された自由を満喫するために今日もナンパにいそしんでいた。
しかし・・・・横島は気付いているのだろうか。自分がナンパしている女性の平均年齢が最近だんだん低下して行っている事に。
タマモの作戦はボディーブローのように横島を捕らえつつあるようだ。

横島はナンパに失敗した後、気分転換にいつものカフェテラスで小休止をしていた。

「む!貴様は横島忠夫!!」

横島は急に声をかけられ振り向くと、そこにはエヴァと茶々丸がいた。

「おお、エヴァちゃんに茶々丸じゃないか。どうしたんだ?」

「貴様こそ、こんなところで何をやっている」

「ただのナンパだ、でエヴァちゃんは?」

「エヴァちゃん・・・慣れ慣れしく話す間柄になった覚えは無いがな」

「まあいいじゃないか。この前は仕事だったんだ、もう敵対する理由はこっちにはないぜ。あ、茶々丸もこっちに座るかい」

「はい、ありがとうございます」

「こら、茶々丸!なごんでるんじゃない!こいつは私をさんざんおもちゃにしたんだぞ!!!」





エヴァの発言でカフェテラスから喧騒が消えた。

「おもちゃとは人聞きが悪い、せめて遊んだと・・」

「なお悪いわー!!!」

当人達は自分の発言が回りにどのような誤解を与えているか、まったく自覚は無いようだ。






「だいたい貴様は私が怖くないのか?貴様なんか簡単に殺せる存在なんだぞ!」

「でも所詮吸血鬼だろ・・・いまさら吸血鬼相手に恐怖ってのもなー」

横島にとって吸血鬼と言えば同級生のヴァンパイアハーフのピートと"あの"ブラドー伯爵しか思い浮かばない。その結果、吸血鬼に対して恐怖というものがまったく感じられないのである。
ましてや目の前にいるのは、傍目で見たらただのお子様である。いったいどこに恐怖を感じろというのだろうか。

「それに俺を簡単に殺せる・・・か。さて、エヴァちゃんにそんな事が出来るかねー?」

「私を見くびるな、ナリはこれでも貴様なんぞ及びもつかないような死線をくぐり抜けてきたんだ。貴様を殺す事など私にとっては児戯に等しい、せいぜい月夜の晩は用心するんだな」

エヴァは横島に侮辱されたと思ったのか、すさまじいプレッシャーを横島にぶつける。

「ふーん、そりゃーすごいなー」

当の横島はそのプッレシャーにまるで気付いていないのか、飄々とエヴァと話を続ける。

「で・・・・俺を殺すとして、エヴァちゃんはいつまで生きていられるつもりかい?」

「なに?」

「いや、俺を殺すんだろう?けどエヴァちゃんは力を封印されている。満月じゃなきゃ碌に魔法も使えないくらいに・・・・で、もう一度聞くけど」

「な・・・なんだ」

エヴァは横島の口調に違和感を感じた。まるで世間話をしているように普通に会話しているのに、その口からつむぎ出される言葉にひどく寒気を感じた。
横島からはなんの殺気も感じないのに。










「エヴァちゃんは満月まで自分が存在する事が出来ると思ってるのかい?」




「な!!」




「俺だって簡単に殺される訳にはいかないからねー。そうするとエヴァちゃんが魔法を使えない今が最大の好機ってわけだ。だからエヴァちゃんが俺を殺すって言うなら・・・・」

横島は淡々と、子供に言い聞かせるように語っていく。

「俺は今この瞬間に君を"滅ぼす"」

横島は最後の言葉と共にすさまじい殺気をエヴァにたたきつけた。
その殺気はエヴァに恐怖を感じさせるのに十分だった。





時間にして10秒間、この場を沈黙が支配した。暫くすると横島はまるで何かに耐え切れなくなったかのように笑い出した。

「くくくく、冗談だって。俺がみたいなのがエヴァちゃんをどうこう出来る訳ないだろ。俺はエヴァちゃんに殺されないように、ご機嫌を取る事しかできないさ」

エヴァは暫くの沈黙の後、話しかけた。

「お・・・お前はいったい何者だ・・・」

「ただのしがない警備員だよ、まあ探偵もどきもやってるけど・・・開店休業状態だしなー。稼ぎが悪いとタマモにお仕置きされるし・・・ちくしょーお兄ちゃんだって頑張ってるんだぞー!!!」

エヴァは唐突に天に向かって叫びだした横島を呆然と見つめていた。

「だいたいなんでタマモが金の管理をしてるんやー、おかげで俺はイヤーンなDVDすら碌に見ることできないんだぞー!!」

「あー・・・ゴホン。ちょっといいかね」

その時、突然横島の背後に現れた青っぽい制服を着た四人組みが横島に話しかけた。










「君かね、いたいけな幼女を監禁している変質者というのは」

「「へ?」」

「おまわりさん、こいつです。こいつがこの少女をもてあそんだとか、おもちゃにしたとかいうペド野郎です!」

「ちょ・・・誤解だー!!!」

「誰が幼女だー!!!!!」

「お嬢ちゃん、早くその男から離れて!今助けてあげるからね」

「人の話を聞けー!!!」

「問答無用!確保ー!!!」

警官の一人が号令を掛けると、一斉に横島に向かって飛び掛ってきた。

「冤罪だー!!!」

「ええい、大人しく捕まれ!このペド野郎」

「ぬおおおおお捕まってたまるかー!!」

横島は叫びながら警官の間をすり抜け、『奥義 ゴキブリ歩法』を使って高速で離脱していった。さながらドムの様に地面を滑りながら・・・

取り残されたエヴァはしばし呆然とした後、茶々丸に話しかけた

「なあ、茶々丸・・・・あいつは何者なんだ・・」

「横島忠夫、タマモさんの兄です。記録によると三月下旬に警備員として専属契約。それ以前の経歴は兄妹共に一切不明です」

「ふむ、兄妹ともにか・・・まともな兄妹というわけでもなさそうだ・・面白い、この私に恐怖を感じさせる兄妹か・・・今年はどうやら退屈な時間というヤツとおさらばできそうだ」

エヴァは口元に笑みを浮かべると、今だに繰り広げられてる逃走劇を観賞する事にした。

「横島忠夫、横島タマモ・・・私を退屈させるなよ」

エヴァの呟きが閑散としたカフェテラスに吸い込まれていった。








「ええい、まどろっこしい。総員銃撃用意!!」

「ちょっとまてー!!」

警官隊は号令と共に銃を抜き、横島に照準を合わせた」

「逃走犯につぐ・・・以下略!!」

「以下略ってなんだー!!!」

「犯人は降伏の意図なし!発砲を許可する!!」

「ちょ・・まった撃つなー降伏・・・」

横島が真剣に命の危険を感じ、降伏しようと警官たちの方へ振り返るとそこには・・・









指揮官らしき警官に取り憑いた死神が、嬉々として号令を下すところだった。

「まてや死神!!!それは反則だー!!!!」

「ファイヤー!!!!」

「うぎゃああああああああああ!!!!!」

今日もかわらず麻帆良の空に横島の悲鳴が吸い込まれていった。




第10話  end



新幹線の中にて

「ねえ、ネギ・・・いつまでそれ持ってるの?」

「アスナさん、ただのお守りですから気にしないで下さい」

「いや・・・正直私もかなり気持ち悪いんだけど・・・」

「我慢してください、ようやく反撃の糸口がつかめたんですから・・・・」

「そうですぜ、姉さん。これさえあれば俺たちは解放されるんだ」

ネギとカモは手にした袋を振り回しながら、アスナを説得しようとしていた。
アスナはそんなネギを呆れたような目で眺めていたが、ふとネギの背後にいる人物を確認すると顔を青ざめさせた。

「そ・・・そう?・・・けど・・・無駄みたいよ」

「へ?」

「そう・・・そのナマモノは貴方達の仕業だったの・・・・」

ネギとカモは背後からの声に一瞬硬直し、そしてギギギとさび付いた機械のような音をたてて振り返った。
そこには・・・・・













日本最大の荒神、スサノオのペルソナを発動させたタマモがいた

「タ、タマモさん。誤解です!」

「俺たちはただ、タマモの姉さんが蛙嫌いみたいだから護身用に・・・」

「クスクスクス・・・じゃあ貴方達は私の敵ね。大丈夫、熱いのは一瞬だから」

「「いやあああああああ、ごめんなさーい」」

「燃えろー!!!!!」




「「ぎゃぁぁああああああああ!!!!」」


その悲鳴は、奇しくも麻帆良の空に吸い込まれた横島の悲鳴とまったく同時であった。



(あとがき)
さて、いよいよ修学旅行開始です。
横島を修学旅行についていかせるかどうかは最後まで迷いましたが、結局はタマモと引き離すことにしました。

これが吉とでるか凶とでるか・・・幸いエヴァが麻帆良に残ってるんでエピソードに困る事はなさそうですけどね。

二人?の異邦人IN麻帆良 「第11話 動乱への前奏曲」

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