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二人?の異邦人IN麻帆良(ネギま×GS美神) 「第11話 動乱への前奏曲」 投稿者:九重九十九 投稿日:07/19-21:19 No.946
「ねえ、カモ君・・」
「なんですかい兄貴・・」
晴れ渡る空、白い雲。そして自分達を遠巻きにして見守る生徒達。
「ようやく京都に着いたね・・・・」
「着きやしたね・・・」
ネギとカモは京都に到着した喜びをかみしめていた。ここ、京都にはネギの父、サウザンドマスターがすごした地でもある。
ここにならきっと行方不明の父の手が手がかりがあることだろう。
「僕は生きてるんだね・・・」
「俺っちも生きてやすぜい・・・」
おや?
「「生きてるってすばらしい!!!!!」」
ネギとカモは涙ながらに叫んだ・・・・新幹線の外壁に簀巻きにされた状態で。
「ねえ、タマモちゃん・・・」
「なに?アスナ」
「ちょっとやり過ぎたんじゃない」
「大丈夫よ、死なない程度の手加減はお手の物よ」
「いや・・・・ネギのことじゃなくてね・・・最近ネギは怪我しても自力で治してるっぽいし」
「それじゃなに?」
「こっちのこと・・・」
タマモはアスナが指差すほうを見ると、そこには・・・
「うそや・・・あの時のことは夢や・・・タマモちゃん・・横島さん・・・・ああ!アスナ、逃げんといてーな。うちをおいてかんといてー!」
タマモの折檻を目撃した木乃香が、封印したはずのトラウマを復活させていた。
「お嬢様ー!!!!」
京都駅にネギとカモのうつろな笑い声と、刹那の悲鳴が響き渡った。
第11話 「動乱への前奏曲」
清水寺
「京都ー!!!!」
「これが噂の飛び降りるアレかー」
「誰か飛び降りれ!!」
風香のセリフの後に長瀬が挑戦しようとしたが、委員長の一喝により場はとりあえず静まった・・あくまでもとりあえずではあるが・・
3-Aメンバーは晴れ渡る空の下、京都を堪能していた。
「ねー夕映ー、他に面白いところないかなー?」
「面白いとこですか?・・・・それでしたらこちらに縁結びの神社が」
夕映の言葉に反応した3-Aの面々は縁結びの神社に向かった。
その神社には恋の成就を占う石が道のど真ん中にあり、夕映の話だと目をつぶって20m向こうの石にたどり着いたら、恋がかなうらしい。
その話を聞いた委員長、まき絵、のどかが挑戦しようとしていた。
「ねえ、タマモちゃんはやらないの?」
そんな3人を遠巻きに見つめていたタマモに、笑みを浮かべた桜子が話しかけてきた。
「私はこういうのはちょっとねー、それにね・・」
「それに?」
「恋愛は自分の手で呼び込んでこそよ!私のプライドにかけて振り向かせてみせるわ!!」
タマモは天に向かって拳を突き出すように声を張り上げた。
前世の記憶はなくとも、さすがはかつて傾国の美女とよばれた妖狐の転生である。
「あはは凄い自信だねー」
桜子はタマモの自信に満ちた表情に唖然として返すしかなかった。
「「キャアアアア!!」」
その時、委員長とまき絵の悲鳴があたりに響いた。
委員長達がいた所を見ると、なにやら落とし穴にはまっている様だ。
「なんであんなところに落とし穴が?」
「あの二人は絶対に恋がかなわないという神様のお告げかな?」
「ずるしてバチがあたったのかも」
穴に落ちた委員長達を呆然と見詰めるタマモ達、しかも結構ひどいことを言っている。
「こんな人為的なお告げやバチがありますか!!」
「早く助けてー!!!ヌルヌルいやー!!またカエルー!!」
全員で委員長たちを助けようとするが、まき絵の叫び声で何人かの行動が止まる。
この時、一番遠くまで逃げたのが楓とタマモだった。
「「ヒィ!!!」」
タマモはもはや完全に野生を失っているようだ。
それとも新幹線の中でのことがトラウマにでもなったか・・・
この時、ネギとカモは性懲りも無くカエルを護身用に捕まえようとしていたのをアスナが無理矢理引き止めていた。
カエル騒動が一段落すると、次に「音羽の滝」へ向かった一行、そして予想通り半数以上が縁結びの水に殺到する。
そこにカエル騒動のせいで遅れて到着したタマモが何かに気付いた。
「あれ?この水・・・・お酒の臭いが・・」
タマモの言葉を聴いたネギがあわてて、皆が飲むのを止めたが時既に遅く、何人か酔いつぶれてしまっていた。中には顔を赤くする程度の者もいたが・・・・何度か行った宴会のせいで耐性がついたのかもしれない。
ちなみに委員長はやはりつぶれていた。現在酒との対決は3戦全敗である。
「なんでこんな所にお酒が・・・」
「しかし兄貴、西の妨害にしてはセコイというか・・・」
「ねえ、西の妨害ってどういうこと?」
ネギとカモが話していると、その話を聞きつけたのかタマモとアスナが話しに加わってきた。ネギは事情を説明し、助力を頼もうとしたが、タマモはネギの話を聞くと顔をうつむかせて肩を振るわせ始めた。
「そう・・・さっきまでのくだらない出来事は関西呪術協会とやらの妨害だったのね」
「おそらく」
「・・・よくもこの私に恥を・・・許さないわ!ネギ先生、私も手伝うわ。やつ等にこの世の地獄を味合わせてやる!!」
タマモは瞳に炎を映し出してネギの両手をつかんだ。よほどカエルに脅え、気絶させられたのがプライドに触ったのだろう。
「・・・・・・アスナさん」
「なによ・・・」
「なんか頼んだらいけない人に頼んでしまったような・・・・」
「京都が火の海にならないように神に祈るしかないわね」
「そこの神社で祈っときましょうか」
「そうね・・・」
ネギとアスナは賽銭を投げて祈りをささげた。
<あ、それ無理です>
「「へ?」」
「・・・・・アスナさん。今なにか聞こえました?」
「あははは・・・き・・気のせいよ。うん、きっと・・・たぶん」
「「あははははははは」」
ネギとアスナの乾いた笑い声が京都の空に響き渡った。
京都嵐山の旅館にて、ネギは酔っ払った生徒を部屋に送り出した後、ようやく風呂に入ることができた。
「ふわー、これが露天風呂ってやつかー。気持ちいいなー」
「おうよ、これで桜咲刹那の件がなければなー」
「でも刹那さんって本当にスパイなのかなー」
「名簿にも京都って書いてあったし、事件があればいつもいたから怪しいことこの上ないぜ、兄貴」
「でも、それを言うと事件中はクラスのほとんどがいたけど・・・」
「あ・・・」
「ふう・・・・・センス・イービルでも使えたらなー」
「なんのことですかい兄貴・・・」
「いや、こっちのこと・・・ん?誰か来たのかな」
ネギとカモが刹那のことについて話していると、誰かが入ってきたようだ。
「ねえ、刹那。今回のこと学園長からなにか聞いてる?」
「ええ、ネギ先生の親書について聞いています。私としてはタマモさんが知らなかったことが意外でしたが」
「ええ!!なんで刹那さんとタマモさんが!!」
「は・・はやく隠れないと兄貴」
ネギとカモはすばやく岩場の影に身を潜めたが、うかつに動くと見つかってしまうため身動きができなくなってしまった。
そんなネギにタマモと刹那の会話が聞こえてきた。
「うーんヨコシマもなにも言ってなかったからねー、特に依頼もなかったみたいだし」
「そうだったんですか、でもタマモさんが協力してもらえるなら心強いです。お嬢様の件もありますし」
「お嬢様?そういえば駅でも木乃香のことをお嬢様って呼んでたけど・・・なにかあるの?」
「それは・・・」
「まって・・・誰かいる!」
刹那がタマモに答えようとしたとき、タマモが何かを感じたのか岩場の影の方に視線を向けた。
「ひい!!!見つかった!」
「ああああああ兄貴どうしましょう」
「どどどどうしよう、カモ君・・このままだと・・・」
ネギとカモの脳裏には、タマモによって逆さ貼り付けにされ、火あぶりにされるシーンが明確に浮かんだ。
「タマモさん、どこにいます?」
「巧妙に隠れてるけど、私はごまかされないわよ・・これは術者のにおい・・・そこよ!岩場の影の奥!!出てきなさい!!!」
タマモの声と同時に刹那が夕凪を手にして走り出した。ネギたちの方へ向かって。
「ご、ごめんなさ・・・・・あれ?」
ネギが向かってきた刹那に謝ろうとしたが、刹那はネギのそばを素通りし、奥の茂みに向かっていった。
「出て来い!神鳴流奥義 斬岩剣!」
刹那が放った奥義は茂みを切り裂きいた。その時確かに茂みに人影のようなものがいたが、間一髪で刹那の剣をかわしたようだ。
「逃がすか!くらえ!!」
タマモが逃げ出そうとする人影に追撃の狐火を放つ、だがこれも距離があったためかわされたようだった。
「逃がさん!」
「まって!深追いは危険よ」
刹那がさらなる追撃を行おうとしたが、タマモがそれをとめる。敵の陽動の可能性もあり、今無茶な行動は危険すぎるためだ。
タマモが今後の思案をしていると、追撃をあきらめた刹那が帰ってきた。
「今のが西の刺客といったところかしら?」
「おそらく・・・でも、よく気づきましたね」
「私はその手の感覚が鋭いのよ・・・・・例えばほら、そこの岩陰にさっきから逃げ出そうとしてるエロオコジョと、ネギ先生もいるわよ・・まあ硫黄の匂いがきつくてさっき気づいたんだけどね」
「え・・・・ネギ先生・・」
刹那があわててその方向を見ると、そこにはちょうどネギとカモが岩陰から逃げ出そうとするところだった。
「ああああああの刹那さん、別に僕は覗いてたわけじゃ・・ここは混浴だったみたいですし」
「わかってるわよ、ヨコシマじゃあるまいしネギ先生はそんなことする子じゃないって」
「ほ、本当ですか。よかったー誤解されてなくて」
ネギは覗き扱いされずにすんだことで、安心したように湯船にへたりこんだ。
「でもね・・・・」
「「はい?」」
ネギとカモはタマモの口調になにか不吉なものを感じた。
「乙女の柔肌を見て無事でいられるなんて思ってないわよね・・・」
「あ・・・・あの、タマモさん。私は気にしてませんから・・・ネギ先生は子供ですし」
刹那はこの後に展開されることを正確に予測した。そのためなんとかタマモを思いとどまらせようと必死だ。
「だめよ、刹那・・・この子をヨコシマのようにしないためにも。たとえ不可抗力でも乙女の柔肌を見たらそれは万死に値するということを叩き込まないと・・・・それになにより!」
「なにより?」
「私の裸を見ていいのは一人だけよ!!!」
刹那はタマモの気迫に説得は無駄だと悟った。残す手立てはせめてネギが無事でいられるように神に祈るだけだった。
<それは無理っちゅーもんや>
「へ?」
「さて、ネギ先生、それにカモ・・・想像してごらんなさい、この世の地獄というものを」
「「ひいいい逆さ磔に火あぶりはいやー!!」」
「いや、ちょっとまってくださいタマモさん・・いまなにか変な声が・・・・」
「そんなものは天国よ!!!!」
「「うぎゃあああああああああああ」」
京都の空にネギとオコジョの悲鳴がこだました。
第11話 end
部屋に戻ると、疲れた足取りでシャワー室へむかった。
「さっきまでのドタバタのせいでろくに風呂にはいれなかったな・・・・もうシャワーでいいか」
そういうとシャワーのコックをひねる。
シャワーの流れる音と、あたりに湯気が立ち込める。同時に、シャワーのあたる心地よい感触が疲れを癒していく。
「ふう、たまんないな」
シャワーの水滴が若く瑞々しい小麦色の肌の上を滑り落ち、排水口に流れていく。
湯気の影から覗くその姿は引き締まり、まったく無駄のない究極の美を表していた。
やがてひとしきりシャワーを浴びて満足したのか、シャワーを止め、脇においてあったタオルで体を拭き始めた。
瑞々しく水分を含んだ髪を、引き締まった手足を。そして胸のふくらみがちょっぴりたりないスマートな体を・・・
体を拭き終わるとタオルを体に巻き、窓際にたって外の風景を見る。そして冷蔵庫から失敬した牛乳を口に含み飲み込む、少し口の端からこぼれる姿はひどく淫靡であった。
「ぷはー!!!やっぱ風呂上りの牛乳は最高やなー!!!」
横島は普段タマモがいるためできない裸同然の格好で家の中をうろついていた。
横島はつかの間の一人暮らしを満喫しているようだ。
じりりりりりりり
突如横島の家の電話が鳴り響く、横島はあわてず牛乳を飲み干した後、声をかけた。
「おーい死神ー!!電話もってきてくれー!!」
横島の声を聞いて死神が電話を持ってくる。どうやら昼間の際になんらかの友情が芽生えたようだ。
横島の悲鳴が聞こえぬ珍しい麻帆良の夜がおとずれようとしてた。
(あとがき)
うん・・・横島いなくてもストーリー進められるな・・・
まあ、それは冗談として。
次回はいよいよ本格バトル・・・・になるのかなー
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