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二人?の異邦人IN麻帆良(ネギま×GS美神) 「第12話 動乱、混乱、大乱闘」 投稿者:九重九十九 投稿日:07/23-13:52 No.968

「なあ、アスナ。なんかお風呂場からすごい音せーへんかった?」

「うーん・・・音というより、何かがひき潰されるような声だったような気もするわねー」

アスナと木乃香は、大浴場の前に来ていたが、中から現在進行形で伝わってくる悲鳴、いや絶叫、いや断末魔、むしろ地球外生命体チックな声を聞き、中に入るのを躊躇していた。

「中でなんがあんのやろーね」

「うーん(たぶん・・いや間違いなくネギがまたなんかやらかしたわね)きっと清掃中の音よ。とりあえず部屋に帰らない?」

「清掃中とはちがうよーな気がするんけどなー。札もでてへんし」

「きっと札をかけるのを忘れたのよ・・・さ、いきましょ」

アスナは再び木乃香のトラウマを刺激するのを避けるため、一刻もはやく大浴場から離れようとしたが、その努力を無にする声が聞こえてきた。


「タマモさんごめんなさーい!!!」

「た、タマモさん。もうその辺で・・・・・・」

「そうね・・・・・これぐらいで勘弁してあげますか」



「あれ、せっちゃんや」

木乃香は刹那の声に反応して大浴場に入ろうとするが。

「ふう、ネギ先生はこれぐらいにしてっと・・・・ねえ刹那、さっき木乃香のことで何か言いかけてたわよね。あれはなんだったの?」

タマモの声を聞き、脱衣場で耳をそばだてた。アスナといっしょに・・・

「それは・・・私と木乃香お嬢様は、いわば幼馴染のような関係でした」

「過去形なのね」

「ええ、木乃香お嬢様はさる高貴な血筋を引くお方であり、今の私はその護衛なんです、ですから」

「護衛対象には近づかず、離れず護衛に徹する・・か・・・・・だから木乃香と一線を引いてるわけなのね」

「はい」

「じゃあ、あなたはもし木乃香の護衛じゃなかったら、木乃香から完全に離れるの?」

「そんなことありません!!私にとってお嬢様はかけがえのない人なんです!!」

「ふーん・・・よかったわね木乃香!あなた刹那に嫌われてないみたいよ」

タマモはそういうと、脱衣場のほうへ向かって歩き出し、扉を開けた。そこには呆然と立ち尽くす木乃香とアスナがいた。

「え・・・お嬢様」

「せっちゃん・・・・・」

「あ・・・いや、その・・・・失礼します!!」

刹那はそういうと、着替えを引っつかんで脱兎のごとく逃げ出していった。呆然とした木乃香をのこして。
一方アスナは・・・・

「キャー!!!ネギー!!!!!」

「ア・・・アスナさん・・・・たふけ・・・」

心身ともにいろいろな意味で逝きかけているネギを発見していた・・・

「ネギ君・・・大丈夫なん?」

「木乃香、見ちゃダメ!!またトラウマが!!」

アスナは木乃香のトラウマが復活することを恐れ、ネギを見せまいとするが、木乃香はソレをすり抜けてネギの元へ向かった。

「ネギ君、もう大丈夫やー、今楽にしてあげるからなー」

アスナは木乃香のトラウマ復活に備えて身構えたが、その気配は無い様だ。そう、木乃香はどうやらタマモのトラウマを完全に抜け出したのだ!
その証拠に、ネギを抱きしめている木乃香の姿は、まるでどこぞの大地母神のよう美しく清らかだった。

一方ネギの方を見ると、木乃香に抱きしめられ、安らかに目を閉じていた。

「あれ?」

その時、アスナはネギの姿がおかしい事に気付いた。ネギの体が二重に見えるのだ・・
しかも、ネギと木乃香の上に女性らしき姿がうっすらと見え始めてきた。

「ねえ、タマモちゃん・・・・・ひょっとして手加減間違えてない?」

「まさか、ネギ先生なら5分後に全快するように調節したはずよ」

「じゃあ、あれなに?」

アスナとタマモの目の前でネギの姿が二つに別れ、うっすらとした魂ちっくなネギが空に浮かんだ女性に手をひっぱられていこうとしていた・・・

「昇天している・・・のかしら」

アスナとタマモは顔を青ざめさせ、即座にネギに呼びかけた!!


「ネギ先生、その人についていったら燃やすわよ!!!」

「ネギー!!!その人について行っちゃダメー!!!!」

タマモとアスナの声が功を奏したのか、ネギの魂は体に戻っていった。はたしてどっちの声に反応したのかは不明であるが・・・ただ、妙におびえた表情に見えたのだが・・・

空に浮かんだ女性は、ネギが元にもどるとその姿を消していた。




「京都って不思議ねー・・・」

「こんな不思議があってたまりますかー!!」

タマモとアスナは女性が消えた空間を見詰めながらポツリともらした。
京都の夜はまだ終わらない・・・・



第12話  「動乱、混乱、大乱闘」


所変わって麻帆良学園

横島は電話で呼び出され、学園長室に来ていた。

「こんな時間に呼び出してすまんの」

「用件については大体想像できますけどね、時間が時間ですし」

「それなら話が早い、さきほど学園内の結界に魔力反応があった、おそらく魔物じゃろう」

「で、私めにそれを退治しろと?・・・ほかの人たちはいないんすか?」

「なにせ修学旅行のせいで、かなりの人手が散らばっておるからの。まあ、今回のことも手薄になった隙を狙った何者かの威力偵察の可能性が高い」

「きついっすねー・・・タマモがいれば楽なんすけどなー」

「ま、そうだろうと思って助っ人は手配しといたぞい」

「助っ人すか?・・・・・野郎ならおれは帰りたいなー」

「安心せい、助っ人は女性じゃよ」

「マジっすか!!美人すね!美女ですね!いや絶対そうだ!!!そして一晩のアバンチュールを!!」

「予想はしとったが・・・・なんちゅーかアレな反応じゃのー」

横島の妄想がどんどんエスカレートしていく中、部屋にノックの音が響き渡る。

「おや、ちょうど来たようじゃな」

「カムヒアー!!マイハニー!!」

横島の期待の声と、学園長の深いため息が満ちる食空間に入ってきた女性は・・・・












「よろしくお願いします、横島さん」

茶々丸だった。

「どうせこんなこったろうと・・・・・・って普通、このパターンだとあのお子様吸血鬼じゃなかったんすか?」

「私もちゃんといるぞ」

茶々丸の後からエヴァも入ってきた。

「ぬう!時間差のボケとは・・やりおるな!」

「だれがそんな手の込んだことをするか!今日は貴様の腕前をじっくりと見せてもらうぞ、さっさと来い!!」

「へーい」

「では二人ともたのんだぞ」

横島とエヴァ、茶々丸による即席トリオが結成された瞬間だった。



麻帆良学園内の森の中、横島とエヴァたちは目の前を埋め尽くす妖魔たちを前にしていた。

「さて、横島忠夫。さっき言ったように貴様の実力を見せてもらうぞ。私と茶々丸は自分の身しか守らんからあてにするなよ」

「えーできれば手伝ってほしいなー」

「まあ、本当にやばくなったら死なないうちに助けてやる。安心して逝って来い」

「へいへい・・・まったくこのお子様は・・・」

横島はやる気なさそうに妖魔たちの前にでた。

「なんや、退魔士がでてきたと思ったら、お子様に小娘に青二才か・・・けがしとーなかったらどきーや」

「こっちも仕事なんでそうも行かないんでね」

「こっちは30体以上いるんやで、おとなしうしとったほうが身のためやと思うんやがな」

「ま、おしゃべりはこれぐらいにしよーぜ。それに俺達を甘く見てると痛い目にあうぞ」

「面白い、やってもらおうやないか」

「ほんじゃま・・・教育してあげるとしますか、本当の霊能者の戦いというものを」

今、横島と妖魔による戦いが始まろうとしていた。





再び京都

ネギ達はアスナ、刹那、タマモで3-Aヘルレイザース+1を結成していた。

(よーし、アスナさんと刹那さんがいれば百人力だ、さらにタマモさんが今回は完全に味方だし・・・・・たぶん・・きっと・・・めいびー」

「ネギ・・・あんた思ってること口に出してるわよ」

「へう!!ああああああ僕さっそく外の見回りをしてきます!!」

ネギは逃げるようにしてホテルから出ていった。
一方タマモは・・・・

「さっきは逃がしたけど、今度こそ捕まえてみせるわ!私の狩りから逃げられる獲物なんていないのよ!!!美神直伝の数々の技を見せてやる!!」

燃えていた・・・・とりあえず、まだ見ぬ敵に合掌。

「この上なく心強いんだけど・・・・ものすごくマズイ状況のような気が・・・」

「あははは、アスナさん。気にしたら負けですよ、きっと」




アスナ達はとりあえずタマモと別れ、自室にもどっていた。

「アスナさんは先に休んでてください。私は廊下で各部屋を見回ります」

「うん、じゃあ何時間かごとに交代ね、タマモちゃんはネギ先生と一緒に外の見回りをしてるし、これならきっと大丈夫よ」

「そうですね、では・・・・」

刹那はそう言うと見回りにいった。



そのころ、タマモとネギはカモによる仮契約カードの講習を受けていた。

「ふーん、能力やアイテムの発動に念話に召還か・・・・けっこう便利そうね」

「だろ、姉さん」

「けど、念話だったら携帯のほうが早くない?」

「う・・・・・・」

「あらためて思うけど、科学って発展すると魔法と変わらないんですねー」

「まったくね・・・・うん?」

「どうしたんです?タマモさん」

「アレは・・・・・・猿?それに木乃香!!」

ネギはタマモが指す方向を見ると、そこには月明かりに照らされた巨大な猿が何かを抱えた状態で、着地した所だった。

「あら、さっきはおーきに、カワイイ魔法使いさん。それにそっちの娘は風呂場で世話になった娘ね」

猿のきぐるみのようなものを着込んだ女性が、ネギとタマモを見つけ、そうのたまった。

「木乃香さんを返せ!ラス・テル・マ・スキモガガガ!!」

ネギがすかさず魔法を使おうとしたが、小猿の式神に邪魔されて魔法が使えない状態になってしまった。カモも一緒に・・

「ネギ先生、ついでにカモ!ちょっと熱いけどガマンしてね」

「「もがが!!(いやー!!!)」」

タマモは自分にもまとわりついてきた小猿をネギ&カモごと焼き払おうとしていた。

「ほ、ほな、サイナラ・・・・」

猿女はそういうと再び逃げ出した。なんとなくタマモの気配に恐怖を感じながら・・・

「せいぜい逃げなさい、狐の狩りは相手を決して逃がさないのよ・・・」

気絶しているネギとカモを足元に、タマモは燃えていた・・・・ネギは物理的に燃えていたが・・・






「ふん、西洋魔術師言ーても大したことあらへん、木乃香お嬢様まで楽に手に入れてしもたわ」

猿女はネギ達を引き離して安心していた・・・・だが。

「木乃香さーん!!」

「このかー!!」

「お嬢様ー!!!」

「アナタは絶対に逃がさない!!!」

ネギ達はすぐに追いついていた。
一人は人質を無視してるような気がするのだが・・・・いいのか?

「ちっ、しつこい人は嫌われますえ」

猿女はそう言うと駅に向かって走り出した。
ネギ達は人のいない駅構内に入り、猿女が逃げ込んだ電車に間一髪で駆け込むことができた。
そのまま、猿女を追い詰めよと先頭車両へ向かって駆け出そうとしたが、突如車両の中に水が流れ込み、ネギ達を押し流す。
おそらく猿女がなんらかの術を使ったのだろう。

「ぐ・・・・この程度で私を止められるか!!斬空閃!!」

刹那は水中で奥義を放ち、水をすべて押し流した。

「見たか、このデカザル女、おとなしくお嬢様を返せ!」

「なかなかやりますな、でも・・・このかお嬢様はかえしまへんえ」

猿女はそう言うと再び木乃香を抱えて逃げ出した。

ネギとアスナは猿女のお嬢様発言に戸惑いながらも、再び追いかける。タマモは気にもしていないようだが・・・
刹那の説明によると、猿女は木乃香を利用して関西呪術協会を牛耳ろうとしているということらしい。



しばらくの後、アスナ達は猿女を追い詰めていた。もっとも女は猿のきぐるみをぬいでいたが。

「よーここまで追ってこれましたな、そやけどそれもここまでですえ。三枚目のお札ちゃんいかせてもいますえ」

女はそう言うと、札を懐からとりだし、術を放とうとしている。

「させるか!!!」

刹那は叫びながら、女に向けて駆け出すが、目の前で女の術が完成し、炎が目の前に迫っていた。

「桜咲さん!!」

アスナは炎に巻かれかけた刹那を間一髪で助け出した。

「タマモちゃん、この炎なんとかできないの!」

「く・・無理よ、私は本来後方撹乱が得意分野なのよ・・・・ここにヨコシマがいないのは痛すぎるわ」

「そんな!!」

アスナは前方の炎に絶望を感じた。だが、その時ネギがなにか呪文を唱え魔法を放とうとしていた。

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル  吹け、一陣の風 風花 風塵乱舞!」

ネギが魔法を放つと、前方にあった炎の壁が完全に消滅していた。

「やるじゃない、ネギ先生」

「あんな炎、タマモさんの火にくらべたら!!!」

「・・・・・・・あとでじっくりと話し合う必要がありそうね・・・」

ネギ・・・どうやら失言グセが完全についてしまったようだ。

「と・・ともかく!逃がしませんよ!!このかさんは大事な生徒で、僕の友達です!」

ネギは炎を消すと、すかさずアスナに契約執行を行い、女に向かって突撃した。

「そうだ!アスナさん、パートナーだけが使えるアーティファクトを出します。『ハマノツルギ』たぶん武器です!」

「武器?そんあのあるの!頂戴、ネギ!!」

ネギの呪文とともにアスナの手に現れたそれは・・・・・・ハリセンだった。それはもう完全無欠のハリセンだった。

「な・・なによこれー!!!」

「さすがアスナ、私と互角のつっこみをやるだけのことはあるわね」

「これって、アスナさんの属性はつっこみっていうことなんでしょうか・・・・」

「えーい、もうやけよ!!くらえー!!!!」

アスナと刹那が女に向けて攻撃を仕掛けようとしたその時、突如女の後ろにいた猿のきぐるみと、クマのぬいぐるみが動き出し、行方を阻んだ。

「な、なによこれ!」

「呪符使いの善鬼、護鬼です。みてくれはマヌケですけど気をつけてください!」

「く、このかー!!」

アスナはすこし戸惑ったが、女が木乃香をつれて逃げ出そうとしたため。猿に向かってハリセンを叩き込んだ。
すると、猿は見る見るうちに消滅していった。

「え・・なにこれ?」

「すごい・・」

アスナのハリセンによる予想外の効果に、敵味方ともに行動の空白が一瞬できた。
だが、ネギ達にはその一瞬のスキを決して逃がさない存在がいた。

「いまよ!くらえ!!!」

タマモは敵の動きが止まった瞬間を逃さず、クマに向かって狐火を最大火力で放射した。
すさまじい火とその余波による熱が収まると、そこにいたクマは跡形もなく消滅していた。

「す、すげえ・・・さすがタマモの姉さん」

「な・・・なんなんやあの小娘は。一瞬で熊鬼を燃やすなんて・・・」

「今だ、このかお嬢様を返せ!!」

再び呆然とする女にむけ、刹那が走り出そうとしたが、前方になにか自分に向かって飛び掛ってきた影が邪魔をしたため、いったん飛びのく。

「く・・・その太刀筋、神鳴流か」

「おはつに~、月詠いいますー。ではいきますえー」

小太刀を二振りもった月詠と名乗る少女はそう言うと、刹那に切りかかった。
その動きは早く、取り回しの難しい野太刀を振り回す刹那には、懐に入られた場合この上なくい相性が悪い相手だった。

「桜咲さん!!・・・っていやー!!なにこれー!!」

アスナは刹那の手助けをしようとしたが、再び小猿の群れが現れ、アスナを拘束する。

「アスナさん!!!ラ・ステル・・もががががが」

ネギも魔法で加勢しようとするが、やはり突然現れた小猿によって魔法を中断されてしまう。

「ほほほ、所詮素人中学生に見習い剣士と魔法使いや。私の敵やありまへんでしたな」

「私のことを忘れるんじゃない!!」

タマモは刹那たちの救出を一時あきらめ、木乃香を連れ出そうとする女に向かって駆け出した。

「甘いですえ!!」

「な!!!」

女はタマモが自分につかみかかる寸前に、懐から取り出したお札で炎を放った。

「うわぁぁぁぁ!!」

タマモはそれをまともに喰らい、階段の一番下まで転げ落ちた。

「「「タマモちゃん(さん)」」」

タマモは階段の下でピクリとも動かない。

「あははは、すこーしびっくりしはりましたけどやはり私の敵じゃあらしまへんな。さて、これでうちらの勝ちや、このかお嬢様はうちらで丁重にもてなしますえ」

「く・・・」

「お嬢様!!」

「それでは、小娘たち、さよーなら。あはははははははは」

女はそう言うと木乃香を抱え、駅から逃げ出していった。刹那は月詠をふりきれず、アスナとネギも小猿にまとわり付かれて追うことができない。
タマモにいたってはさっきからすこしも動こうとしない、いや動くことすらできない状態だった。

京都駅に猿女の笑い声がいつまでも響いていった。


























「ねえ・・・・・タマモちゃん・・・いつまでこの状態なの?」

「もうすぐ解けるわよ、刹那そっちもうちょっと強く縛っといて」

「はい・・・しかしすごいですね」

「まーね、これが私の得意技だしね」

「・・・・・・・タマモさんてやっぱりすごいんだー、味方でよかったね、カモ君」

「まったくでさあ」

やや呆然とするネギとアスナの前には、異様な高笑いを続ける猿女と、月詠が刹那とタマモの手により拘束されていた。
月詠はなにやら「ざ~んく~せ~ん」とつぶやいている。

「さて、これでよしっと。そろそろ幻術が解けるわよ」

タマモがそう言うと、猿女はすこしづつ自我を取り戻していった。

「あははははははははは・・・・・え・・あれ・・・こ、これはどういうことや!!!」

「あれ・・・刹那せんぱい」

「ようやくお目覚めね」

「お、お前はなぜ!たしかに燃やしたはずや!さっきまで階段の下で重症を負ってたやないか!」

「さあ、なぜかしらね。経過はどうであれ、あなた達は私達に捕まった。このかは返してもらったわよ」

「な!!」

「貴様達、他に仲間はいるのか!目的はなんだ!!」

刹那が夕凪を抜き放ち、猿女に突きつける。

「ふん、私をあもーみてもっらちゃ困りますえ」

「いい度胸ね・・・・刹那、それにアスナ、頼みがあるんだけど」

「なんですか?タマモさん」

「このかとネギを向こうに連れて行って、特にこのかには刺激が強すぎるわ」

「「りょ・・了解であります!!」」

アスナと刹那はこの後に行われる惨劇を正確に予測し、背筋を凍らせた。

「さ・・・ネギ行くわよ」

「アスナさん・・でも」

「いいから早く!!へたしたらまきこまれ・・・・」

「アスナさん早く帰りましょう!!」

刹那は木乃香を抱え、アスナとネギは一目散に駅から脱出した。

「さて、これでいいわね」

「な・・・なにをするきや」

猿女と月詠は背筋に寒気を感じながらタマモに質問する。

「ちょっと確認したいことがあってね、今日新幹線でカエルを放ったのはアナタかしら?」

タマモはまず月詠に質問した。

「う・・・うちは違いますえ。それはこっちの」

月詠が恐怖のあまり仲間を売った瞬間だった。

「月詠はん、なにを・・・たしかにうちがやりましたが・・・あ、そういえばアンタは派手に気ーうしなっとったなー。おもしろ・・・・」

猿女は最後まで言葉を発することができなかった。
なぜなら目の前には恐怖という言葉を具現化したかのような存在が出現していたからだ。

「やはりあなただったのね・・・・・・じゃあ覚悟はいいかしら?」

「ま、まちーや・・・・情報なら話しますえ・・・」

「そんなものはもういいの・・・・それじゃ、さようなら」

タマモはにっこりと笑うと猿女に向けて死刑宣告を行った。







「ひぇえわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

京都駅に女の悲鳴が響き渡った。




「ウチはなにも見てへん、ウチはなにも見てへん、ウチはなにも見てへん、ウチはなにも見てへん、ウチはなにも見てへん、ウチはなにも見てへん、ウチはなにも見てへん」

もう一人の少女は心になにか大きな傷がついたようだった。







「ひぇえわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

駅の方から響く大きな声にネギ達はビクリとして振り返った。
その表情はとても気の毒そうな、なにかを哀れむような表情だった。

「ん・・・あれ、せっちゃん」

その時、刹那の腕の中で木乃香が目を覚ました。

「うち、夢をみたえ、変なお猿にさらわれて、でもせっちゃん達が助けてくれるんや」

「よかった・・・もう大丈夫です、このかお嬢様」

「よかったー、せっちゃんウチのこと嫌ってる訳やなかったんやな、タマモちゃんの言うとーりや」

木乃香の安心したようなとても綺麗な笑顔に、刹那は思わず顔を赤くする。

「そ、そりゃ私かてこのちゃんと話し・・・失礼しましたー!!」

刹那は何かを言いかけたが、すぐに飛び退り走り出した。

「桜咲さーん!!」

そんな刹那にアスナが声をかける。

「明日の班行動、一緒に奈良を回ろうねー!約束だよー!!」

刹那はうれしそうに小さくうなずくと、ホテルへと帰っていった。

「まったく・・素直じゃないんだから」

そんなアスナの背後から声がかかる。

「うひゃ!タマモちゃん・・・・あいつらは?」

「んー・・逃げられたわ」

悔しそうにタマモは言った。

「なんですって!」

「式神みたいなものが突然現われてね、やむをえず見送るしかなかったわ・・・・まったく、まだ途中だったのに・・・」

「こ・・・あの女の人、幸運だったのかな」

ネギはアスナに言った。

「でも次にタマモちゃんにつかまったら間違いなく三倍は確定よ・・・いっそのこと今日で終わってたほうが幸せだったかも・・・」

「それは・・・・ありえますね・・」

「さ、早く帰るわよ!明日も早いんだから!!」

タマモはそう言うと、ホテルへ向けて歩き出した。
長かった修学旅行の一日目の夜がようやく終了した。





第12話  end






麻帆良学園の森の中、エヴァは目の前で繰り広げられている戦いに呆然としていた。
エヴァの目に映るのは、横島によって妖魔たちの群れが次々と屠られて行く瞬間だった。

「こ、これは・・・・」

エヴァは信じられなかった、横島は妖魔を目の前にしながら微動だにしない。ただ手元をすこし動かすだけで次々と妖魔を打ち倒していった。
ある妖魔は一瞬で押しつぶされ、ある妖魔は一瞬で姿を消してしまった。
そこかしこで響く妖魔たちの断末魔の声がひびく。
戦闘開始から15分、30体以上いた妖魔はすでに一体しか残っていなかった。

「き・・・きさま・・・」

最後に残った妖魔は横島に向かってうめき声をあげた。その姿は満身創痍であり立っているので精一杯という感じである。

「んー意外としぶといなー」

横島は涼しい顔で妖魔を見る。

「横島忠夫・・・・貴様というやつは・・それが霊能者とやらの戦い方かー!!!」

エヴァは横島に向かって搾り出すように声をかける。













「え?なんでトラップしかけてた所に誘い込んだだけじゃん」

「あほかー!!!さっきの戦闘前の口上はなんだったんだ!!それに私はお前の実力を見定めるためわざわざ来たんだぞ、それなのに貴様がやったことは、逃げてトラップゾーンに引き込んで罠を発動させただけじゃないかー!!

「ん、いけなかったか?」

「たしかに事前の準備という意味では正しいが・・・しかしなんか納得できーん!!!」

横島の周りにはトラップに引っかかった妖魔たちが死屍累々と転がっていた。
その脇では死神が嬉々として魂を刈り取っている。
どうやら横島の魂を取るのはあきらめて、横島に敵対する鬼の魂をとることに切り替えたようだ。

「おのれ・・よくも我等を・・・だが、空からなら罠もあるまい!!」

最後に残った妖魔は最後の力を振り絞り、飛び上がって横島たちに攻撃をしようとした。

「甘い!!いけー茶々丸!!」

「はい」

茶々丸は横島の呼びかけに答え、反射的に妖魔に攻撃した。それは妖魔に対しトドメとなり、最後の妖魔は大地に崩れ落ちた。

「ちゃ・・・茶々丸!おまえなぜ横島の命令を素直に聞いてるんだ!!」

「あ・・・あの・・なぜでしょう・・・なんか体が勝手に・・・」

茶々丸は自分がした行動に戸惑い、オロオロしている。
それはそうだろう、本来なら横島の命令で動くはずはないのだから・・・しかし、あの時はなぜか心の奥底から横島の放ったアバウトな命令に背けない強制力がくわわったのだ。

「横島忠夫、貴様茶々丸に何をした!!」

「別になにも・・・ただ日本古来からロボと名のつくものはあーいうアバウトな命令には逆らえないようにできているのだよ、うはははは」

「あ・・・・あほかー!!!!!!」


麻帆良の森にエヴァの大声がむなしく響いていった。




(あとがき)
横島忠夫、いまだまともな霊力戦闘せず・・・・・いいのか、これで・・・

ちっと都合により感想の返事はは月曜日以降になります。もうしわけありません。

二人?の異邦人IN麻帆良 「第13話 史上最大の作戦」

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