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二人?の異邦人IN麻帆良(ネギま×GS美神) 「第14話 決戦シネマ村」 投稿者:九重九十九 投稿日:07/31-22:04 No.1019
ピピピピ・ピピピピ・ピピピピ
現在の時刻は午前八時、横島の眠りを覚ますため、今日も律儀に目覚まし時計は仕事を始める。
横島は、いつものように目覚ましを止めるため、枕元を手探りで探す。
「はいはい、今起きますよ・・・と」
目的のブツを見つけ、停止スイッチを押そうとする。しかしスイッチを押した瞬間聞きなれた声が耳朶をうった。
「ふぉっふぉっふぉ、おはよう横島君」
学園長の声が目覚ましのスピーカーからフルボリュームで流れてきた。
「・・・・・・なんで目覚ましがしゃべってるんすか・・」
「いや、ちょっとした緊急用連絡回線じゃよ」
「・・・・電話じゃだめだったんすか?」
「ちょっとした遊び心じゃよ。ともかく横島君に指令じゃ」
「指令って・・・・どこぞのスパイ映画じゃあるまいし、そもそもいつの間にこんな仕掛けを・・」
横島は学園長の悪ふざけに頭痛を感じて頭に手をやった。
「まあ、細かい話はおいといての。指令の内容じゃが、横島君には準備が出来次第京都へ行ってもらいたいんじゃ」
「京都っすか?そこってたしかタマモ達が修学旅行で・・・」
「うむ、先日刹那君から連絡があっての。どうも木乃香がさらわれかけたらしい。タマモ君の機転で奪還したらしいが、その後も狙われる可能性が高い」
「で、その増援にいけと・・・」
「そうじゃ、昨日君以外の魔法使いにも当たってみたが、他の魔法使いは動けんのじゃ。とにかくこっちの手札は今のところ横島君だけじゃ、すまんが行ってもらえんかの」
「そういうことならいいっすけど、木乃香ちゃんを守ればいいんすか?」
「むこうの狙いはおそらく木乃香じゃ、すまんが頼む」
「了解しましたっと」
横島は、学園長の依頼を受けるようだ。もっともその内心は・・・
(くうううう京都といえば舞妓さん!!昨日のささくれだった俺の心を癒すためにもこれは是非行かねば!!)
なんともアレであった・・・
「では、また詳しいことは追って連絡する」
「へいへいっと・・・さーって京美人が俺を呼んでいるー!!!!!」
横島の思いは早くも京都へ飛んでいるようだ。
「お、そうじゃ。大切なことを忘れとった」
「大切なことっすか?」
「うむ、それは・・・」
「それは?」
「この時計はあと3秒後に爆発する」
3
「まてやジジイ!!!」
2
「やはりこの手の締めはこれでいかんとのー、というわけで後はたのんだぞ」
1
「だからマテやー!!!普通10秒とかだろうが!!3秒なん」
0
すさまじい閃光と爆発音が麻帆良の朝に響き渡った。
「あんのクソジジイ!!!!ぜったい復讐してやるー!!!!!!」
横島は無傷であった・・・・・蘇生する必要もないぐらいに・・・
第14話 「決戦シネマ村」
「ほー・・・・・」
「すごーい!」
「きれいねー」
「似合ってるなー、おっと写真っと」
「すばらしいですわー」
上から長谷川、村上、那波、朝倉、あやかの発言である。
彼女達がなんに対しての感想を言っているかというと・・・
「なんかテレくさいわね、そう見つめられると・・」
タマモが十二単を着て皆の前に座っていた。
彼女達は現在シネマ村に来ていた。
来てそうそうに朝倉の提案により、時代物の服装に着替え、現在試着中なのだが、タマモの衣装を見て3班の皆は感嘆のため息を漏らした。
なんというか、綺麗なのだ。本来日本人の黒髪に一番映えるはずの衣装なのだが、タマモが着ると、まるでその金髪のためにあつらえたかのように調和するのだ。
まさにかつての傾国の美女がここに復活である。
「タマちゃんいいねー、その感じ。あ、顔こっち向けて、写真撮るから」
朝倉はそういうと手にしたデジカメでタマモの写真を何枚か撮っていった。
「これでよしっと、あとでプリントしてあげるからね。家でタマちゃんの兄さんに見せるといいよ」
「ありがとう、朝倉。けどやっぱ重くて動けないわ、この衣装。別のにしよっと」
「えー脱いじゃうのー、もったいないー」
「だって動けないし、これじゃあ外歩けないわよ・・・・あ、これにしよっと」
村上の不満そうな声に答えるタマモ、そしてしばらく見渡した後、手に取った衣装は巫女服だった。
「あ、それもいいですわね・・・どうしたんですのタマモさん」
巫女服を手にして何か懐かしそうな顔をしているタマモにあやかが質問する。
「なんでもないわ、前にいたところでこの服を着てた人がいたからね、思い出したの」
「巫女さんだったんですの?」
「まあ、そんなもんね」
タマモはすこしごまかすように答えた後、再び試着室へと入っていった。
「このかお嬢様を賭けて勝負どすえー」
「お嬢様は絶対に渡さない!!!」
タマモが着替えて外に出ると、そこでは新撰組の格好をした刹那とお姫さまの格好をした木乃香、そして・・・・・・貴婦人の格好をした月詠がいた。
「どういう状況なの・・・これは・・・」
タマモの目の前で繰り広げられる百合ちっくな光景に戸惑っていると、いつの間にか早乙女達を筆頭にした3-Aのメンバーが集合してきていた。
なにやら刹那と木乃香の愛を応援すると息巻いている。
「刹那・・・レズはどうかと思うわよ」
「ちがいますー!!!」
「今の状況を見たら、誰だって否定できないと思うわよ」
「え?」
刹那はタマモに言われ、改めて自分の状況を見る。
その状況とは、刹那はしっかりと自分の胸に木乃香を抱きしめていた。
たしかにこの状況は百合要素満載である。
「誤解ですー!!私は純粋にお嬢様をお護りするために!!」
「はいはい、わかったから。とにかく・・・・向こうが指定した場所へ行きましょ。まったく・・・こんなところで妨害するなんて、つくづくこの前とり逃したのは痛かったわね。こんどこそ・・・・」
「タ、タマモさん、一般の人もいますので派手なのは控えてくださいね。お願いですから・・・」
刹那は念を押すようにタマモに言い、深いため息をついた。まるで月詠の冥福を祈るように・・・
タマモたちは委員長たちを引き連れ、指定の場所である日本橋へ向かっていた。
途中、タマモは朝に分かれて関西呪術協会へ親書を届けに行ったネギの状況を刹那に聞く。
「そういえば、ネギ先生はどんな感じなの?式神飛ばしてたから状況分かるでしょう?」
「ネギ先生ならとりあえず無事です。途中に敵に襲われましたが無事に撃退出来たようですし。もっとも今は動きが取れない状況のようですが」
「ふーんネギ先生もなかなかやるじゃない、たくましくなったもんねー」
「・・・・・・・・・戦闘中に泣きながら『タマモさんの折檻より温い!!』って叫んでましたけど・・・いったい何やったんですか?」
「聞きたい?」
「遠慮します・・・」
刹那たちがネギのことについて話していると、ちょうど話題のネギの式神がタマモ達に近づいてきた。
「刹那さん!!いったい何があったんですか?」
「あの女剣士が仕掛けてきたのよ、今決闘場へ移動中よ・・・おまけが大量にくっついてるけどね」
タマモの説明に、ネギが刹那の影からこっそりと後ろを見ると、あやかを筆頭に3-Aの大部分がついて来ていた。
「あの・・・ついてこられるとまずいんじゃ・・」
「けど、今更追い返すことも無理ですね。派手な技は控えてやるしかありません」
そんな話をしながら歩いていると、やがて決戦の場、日本橋に到着した。
そこにはすでに月詠が橋の上で待ち構えていた。
「これは楽しくなりそうどすな、刹那センパイ」
「せっちゃんあの人、なんか怖い・・・・気をつけて」
「安心してください、このか嬢様、何があっても私がお嬢様をお守りします」
月詠におびえる木乃香に、刹那は笑顔でかえした。
一方、タマモは自分を無視して刹那にむかって喋る月詠に呼びかけた。
「この前あんな目にあったのによく敵対する気になったわね、アナタ」
だが、月詠はキョトンとした顔をして、不思議そうな顔でタマモを見返した。
「あの~、どこかでおーたことありましたか?」
月詠はまるで今初めて出会ったかのように、不思議そうな顔をして言った。
「どういうことかしら・・・・」
「たぶん、記憶を封印したんじゃないかと・・・あまりの恐怖に出会うと、人間は自己防衛で記憶を封印するらしいですから・・」
「分かります、月詠さん・・・その気持ちはよーく分かります。僕だって記憶を封印できたらどんなに楽だったか・・・・もしタマモさんの担任じゃなかったら僕だって・・・」
「ネギ先生、後でじっくりと話し合いましょうか」
ネギのうかつな発言に、タマモはキロリとネギを睨みつける。
「なんやよーわかりまへんけど、そろそろいきますえ。ひゃっきやこうー」
月詠が内輪でもめているネギ達を尻目に、式神を大量に召還する。ただし、外見はだれがどう見てもまごうことなきぬいぐるみの群れであったが。
召還されたぬいぐるみは刹那たちではなく、あやか達に群がりだし服を脱がしていく。
あたりは早くも女生徒の悲鳴がとびかう阿鼻叫喚の地獄絵図・・・・・一部男性にとっては眼福の状況となっていった。
そのころ、刹那は騒ぎにまぎれてネギの式神を等身大にしていた。
「ネギ先生、お嬢様をよろしくお願いします。私は月詠を押さえます!」
「私はあやか達を何とかしてくるわね、ちょっと見るに忍びない状況だし」
「はい、では木乃香さん行きますよ!!」
ネギは木乃香を引きつれ、騒乱の現場から離れていった。
「それでは刹那センパイ、いきますえー」
刹那と月詠の戦いが始まった。
あやかはあたりにあふれるヌイグルミの中に、木乃香をつれて逃げ出そうとするネギを見つけていた。
「あれ、ネギ先生がお姿が・・・・」
「あ、いいんちょ危なーい、なんかでっかいカッパがー!!」
ネギを見かけたことにより視線を敵からはずしたあやかに、人間大のカッパが迫ろうとしていた。
だが、それを警告した早乙女の声に反応したのは以外にもこの人物だった。
「私はカッパじゃありませーん!!!!」
月詠と壮絶な殺陣を行っている刹那が、カッパという言葉に反応して思わず怒鳴り返していた。
「刹那センパイ、どうしたんどすか?突然・・・」
「いや・・・なんか無性に怒りが・・・・」
「ともかく、いきますえー」
一瞬、動きが止まった二人だが、再び戦いは加熱していった。
一方、当のあやかは『雪広あやか流 雪虫花』などという合気道に近いような技でカッパを撃退していた。
「ホホホ着ぐるみごときで私のあいてをしようなどとはおろかな!私とネギ先生の間にはどんな障害も無意味ですわー」
カッパを撃退し、高笑いを続けるあやかだったが、その高笑いは長く続かなかった。
なぜなら、上空に今まさに彼女の上に落ちようとする巨大な招き猫の影が現れたのだから・・・
「それより、今ネギ先生が・・・・・・ネコ?・・・・ふぎ!!」
無情にもあやかの上に落ちてくる招き猫、あやかはしばらくもがいていたが、やがてその動きは小さくなり、最後には動かなくなっていった。
「まったく、なにやってんのよアヤカ」
そこに巨大なハンマーを手にした金色の戦士が舞い降りた、そうタマモである。
タマモは招き猫を弾き飛ばしてあやかを救出する。
「タ、タマモさんありがとうございました」
「どういたしまして、さて・・・のこりの着ぐるみちゃっちゃとかたすわよ。ついてこれる?」
「はい、負けませんよ。先ほどの屈辱は倍にして返して差し上げます」
「その意気よ、アヤカ」
再び結成されたタマモ&あやかコンビは圧倒的な強さで敵を殲滅していった。
「・・・・・・麻帆良の金色撲殺天使のうわさ・・・・あれってやっぱりタマちゃんのことなのかな?」
タマモの勇姿をカメラにおさめつつ、チャンスがあれば取材を慣行しようと決意する朝倉であった。
しばらくの戦闘の後、周りにいた観客が城の天守閣を指差して声を上げだした。
すると、刹那に向かって天守閣の人影が叫んだ。
「きーとるか!桜咲刹那!!この鬼の矢が二人を狙っているのが見えるやろ!お嬢様の身を案じるなら手は出さんとき!!」
「お嬢様!!!」
「く・・あいつも復活していたの!!!」
タマモと刹那が天守閣の方を見ると、そこには翼を持った鬼の式神が弓に矢をつがえて木乃香とネギを追い詰めているところだった。
「刹那!あいつは私が抑えるから木乃香を!!」
「お願いします、タマモさん!」
刹那はタマモにそういうと、すぐに木乃香の元へと向かっていった。
「あ、刹那センパイ!」
月詠は刹那に追いすがろうとしたが、月詠の前に巨大なハンマーを手にしたタマモが立ちふさがった。
「さて、アナタの相手はこの私よ、忘れているみたいだけど、あの時の恐怖、思い出させてあげるわ」
タマモは月詠の目を見、すぐに幻術をかける。
すると、月詠は突然頭を抱えてうずくまり、なにかを叫びだした。
「ひやー!!来る、ハンマーが来るー!!!堪忍してーな。ああ、金色の悪魔がー!!」
タマモの幻術にかかった月詠は、あの時の恐怖を今再び追体験しているようだ。
「タマモさん・・この人はいったいどうしたんです?」
あやかがタマモに話しかける。
「すこーし昔のことを思い出してるだけよ、気にしなくていいわ」
「そうなんですか・・・・」
あやかが何か気の毒そうな瞳で月詠を見続けているのを尻目にタマモは天守閣へと向かって走り出していった。
一方、天守閣に追い詰められたネギは、矢で狙われ動く事が出来ないでいた。
「フフ坊や、一歩でも動いたら撃たせてもらいますえ、おとなしくお嬢様を渡してもらおうか」
猿女いや、今は着物を無理やり変形させたような服を着た女がネギを追い詰める。
「このかさんすみません」
「ネギ君、大丈夫や」
「え?」
「せっちゃんが何があっても守る言うたんや、必ずせっちゃんが助けてくれるで」
このかを無事に逃がすことができず落ち込むネギを木乃香が励ます、だがそれでも現状は変わらない。
しかも、状況はさらに悪化する。なぜならちょうど強風が吹き、そのせいでネギたちは足元をぐらつかせてしまったのだから。
鬼の式神に与えられた命令は『動いたら矢を撃て』である、その結果鬼はすこしの躊躇もなく木乃香に向かって矢を放つことになった。
放たれた矢は、かばおうとしたネギの幻体をつきぬけ、木乃香に一直線に向かっていった。
だが、木乃香にあたる寸前人影が矢と木乃香の間に立ちふさがった。
「刹那さん!」
「刹那ー!!!!」
矢に立ちふさがった刹那の肩に矢が命中する、刹那はバランスを崩しそのまま天守閣から落下していた。
「せっちゃーん!!」
落下する刹那を追うように木乃香も天守閣から飛び降り、途中で刹那を抱きとめる。
天守閣に到着していたタマモも追いすがるが、もはやどうにもできない状況であった。
だが、その時地上で刹那たちのもとへものすごい速さで向かう影があった。
その影と刹那達が交差する瞬間、すさまじい光があたりを包み、周囲の野次馬の視界をふさぐ。
「ぐへ!」
同時に奇妙なうめき声も聞こえたが。
光が晴れ、視界が復活してくると、そこには無事に地面に降り立った木乃香と刹那がいた。
「せっちゃん・・・よかった」
「お嬢様・・・今チカラをお使いに?」
「ウチ今何やったん?夢中やったから・・・」
どうやら無意識に木乃香が発動した魔法により、刹那の傷は一瞬で癒されたようである。
「ち、しまった・・・しかしアレがお嬢様のチカラか・・・さすがやな」
屋根の上で猿女がつぶやく、だがその猿音の肩をポンポンとたたく存在がいた。
「さて、幸いにも刹那達は無事だったようね。残るはあの時の続きだけど・・・覚悟はいいかしら?」
猿女が振り返ると、そこにはタマモがとてもいい笑顔でたたずんでいた。
「お、お前はあの時の!!!!」
「二日で復活したあなたには正直驚いたわ、けどね・・・・・・・・これでオ・ワ・リ」
「ひぃっぃぃぃぃぃぃ!!!!」
タマモが自らの狐火をハンマーにまとわせ、今まさに猿女にむけて振り下ろそうとした。
だが、その直前に白髪の少年がタマモと猿女の間に現れた。
「え・・・」
「キャァァァー!!」
タマモは自分がおかれた状況が理解できなかった。
もう少しであの猿女に一撃を与えられたのに、気づいたら自分は屋根から転げ落ちるところだった。
猿女の前に突然少年が現れたと思ったら、突然猿女が目の前から消え、少年が自分の腕をつかみ放り投げたのだ。
地面に向けて落下していくタマモ、突然の事態で変化して空を飛ぶことすら思いつかない。
「ヨコシマ・・・・」
助からないと悟ったのか、タマモは目をつぶり、横島の名前をつぶやいた。
「タマモー!!!!」
聞こえるはずのない声を聞いたような気がした直後、タマモの視界は暗転した。
「あたたたた・・・失敗しちまった・・・ってこのかちゃん達は無事か」
刹那達が落下した地点で、うずくまっていた青年がむくりと起き上がった。
その青年はジーンズにポロシャツ、頭にはバンダナといった風体をしていた。そう、横島忠夫である。
横島は学園長の指令により、京都へ急行しそのまま文珠により木乃香の位置を探索してシネマ村に来ていたのだ。
先ほど刹那達と交差しかけた影は横島だったのである。
「キャァァァー!!」
横島は起き上がって刹那達の無事を確認してほっとしていたが、突如あがった悲鳴に反射的に上を向いた。するとタマモが白髪の少年の手により屋根から落とされる瞬間が目に入った。
「タマモー!!!!」
横島は即座に文珠を呼び出し、"加""速"と込めた文珠を発動させ、タマモを救出すべく走り出した。
「ちくしょう、もっと速く!!」
横島は空気の壁を掻き分けながらタマモの落下地点にたどり着き、タマモを抱きとめることに成功した。
だが、勢いを殺しきることができず、そのまま転ぶが、タマモを守るべくタマモをかばうように地面とタマモの間にもぐりこんだ。
「あたたた・・・・タマモおい、無事か?」
しばらくタマモを抱えたままスライディングした後、ようやく止まりタマモの体を揺さぶる。
「ん・・・・・・・・ヨコシマ・・」
タマモがうっすらと目を開けるとそこには心配そうに自分を見つめる横島がいた。
「あれ、なんでヨコシマが・・・・」
タマモあ覚醒し、自分の状況をよく見るとの上に乗り、そのまま横島の胸に抱きかかえられている状態だった。
「よかった・・・無事だったか」
「ヨコシマが助けてくれたの?」
タマモは横島の胸から体を起こした。
「ああ、しかしびっくりしたぜ。お前が空から降ってくるんだから」
「ちょっと不覚をとったみたいね」
「うかつだったな・・・・・ところで・・・」
「ところで?」
「曲がりなりにも女子中学生が・・・しかも巫女服着た少女がいつまでもこの体勢はまずいんじゃないか?」
「へ?」
横島の言葉にわけがわからず、自分達の体勢を改め見ると、タマモは横島にマウントポジションをとっているような体勢だった。ただし・・・・タマモが腰掛けてる部分は横島の下腹部付近であったが・・・
タマモは状況を理解すると顔を真っ赤に染め上げて横島から飛びのいた。修学旅行に出る前に、酒が入っていたとはいえ裸で抱きついていたのと同一人物とは思えない純情さである。
ちょうどその時、タマモ達の周りに刹那達が走りこんできた。
「タマモさん、無事でしたか・・・・・横島さん?なぜここに」
「あ、タマモちゃんのお兄さんやー」
「いや、ちょっと学園長からネギ先生に言伝があってね」
「そうでしたか・・・・ハッ、タマモさん猿女と白髪の少年は?」
「逃げられた見たいね、もう気配はないわよ・・・まったく今のは危なかったわ、ヨコシマがいなかったら怪我ですまなかったかもね」
「くそ、俺のタマモをよくも・・・・・」
「「「俺の?・・・・・・」」」
横島のセリフに思わずネギ、刹那、木乃香のセリフがシンクロした。
「ヨコシマ・・・・」
タマモは何かを期待するように横島に詰め寄る。
「あ・・・いや、そのな・・・・・なんというか今のは・・・・・・・・・・ハッあれは!!」
タマモに詰め寄られていた横島は、視線をそらした先に、あるものを見つけ即座に行動に移した。
「そこの美人のお姉さまー!!僕と京都をまわりませんかー!そしてそのまま!!!」
横島は、なにかをごまかすように堀の向こう側にいた女性に踊りかかった。
その女性は鳥を肩に止まらせ、緋袴に胴着姿でなにやら長い棒のようなものを持っていた。
「あら、積極的やなー。けど女性にいきなりそんなことしたらいけまへんえ」
その女性は大概の予想に反して横島が抱きついたのに気にした風もなく、むしろ抱きとめて諭すように横島をたしなめた。
「あれ?」
横島は完全に予想外の反応に戸惑い、女性から体を離した。
「ほな、私は失礼しますえ。そこのお嬢さんたちにもよろしう」
そういうと女性は人ごみの中にまぎれていった。
横島はというと、感動に打ち震えるかのように体を小刻みに震わせ、涙を流していた。
「生きててよかった・・・・・いいにおいやったー」
「ヨコシマ・・・・あなた・・・・」
タマモは肝心なところで横島に肩透かしを喰らい、しかも目の前で見せ付けられるように女性と抱き合った横島に怒り心頭であった。
だが、横島はあたりに瘴気を撒き散らすタマモにいっこうに気づかない。
「今の人はまさか・・・・・ハッ!タ、タマモさん落ち着いてください」
「横島さん、あなたのことは忘れません・・・・これで僕の被害も軽くなります」
刹那はタマモを止めようとしているが、タマモの耳に制止の声は届いていない。あとはタマモが殺人をしないように神に祈るしかなかった・・・・ネギの言動がちょっとアレであるが・・・
<これが見たかったんですよねー>
<せやな、やっぱネギ坊主じゃ締まらんからなー>
「へ????」
「えがった・・・・・ほんとうにえがった。我が人生に一片の悔いなーし!!!!」
「ちょっとは悔い改めろー!!!!!」
某拳王様のごとく天に拳を突き上げた横島にとどろいたものは、雷でなくタマモの放つ烈火の炎であった。
「タマモさん!!今また変な声が!!!てか横島さん焦げてますー!」
まわりの観客が最後のアトラクションに歓声を上げていた、その近くで『現在のアトラクション、炎の夜叉VS煩悩魔人』と書かれたプラカードを手にした着ぐるみが歩き回っていた。
着ぐるみの中で死神はヤレヤレ、フォローも大変だという表情をしながら練り歩いていった。
第14話 end
「さて、この後どうする?」
横島を消炭にして気が済んだのか、タマモは刹那にこれからの行動を聞いた。
「そうですね・・・・・このかお嬢様のご実家に参りましょう、そして神楽坂さんと合流します」
「そうね、それが良いわね・・・ところでヨコシマ、京都へはいつついたの?」
「ああ、朝に学園長から連絡ああってすぐにな。午前中にはついてたぜ」
いつの間にか復活した横島がタマモに答える。
「ふーん・・・午前中にねー・・・・じゃあ今まで何をしていたのかしら・・・」
ちなみに今の時間はすでに3時を回っている。
「う・・・それは・・・・」
ちょうどそこへ着ぐるみを脱いだ死神がタマモの前に姿をあらわした。
「あ、死神、いいところに来たわね。ヨコシマが京都についてからの行動は?」
死神はタマモの質問に直立不動で敬礼し、懐から手帳を取り出しタマモに見せた。
その手帳には京都についてからの横島の行動が事細かにかかれていた。もっともすべてがナンパの記録であったが・・・
「ふ~ん・・・私たちが大変なときにあなたはナンパなんかしてたんだ・・・」
タマモが再び剣呑な表情になり、炎をまといだした。
「死神!!裏切ったな!!あの時の友情はうそだったのか!!!」
「さて、覚悟はいいかしら・・・」
タマモが今まさに炎をヨコシマに放とうとした瞬間、死神がタマモの肩をつかみ引き止めた。
「なによ・・・邪魔するならあなたも容赦しないわよ」
死神はプルプルと首を振りながら先ほどと違うページを見せた。そこには『平均年齢 16.962歳』と書かれていた。
「これは・・・・もしかしてヨコシマのナンパした平均年齢?」
タマモの言葉にコクンとうなずく死神、さらに死神はタマモに別のページを見せた。そこにはズラリと女性の年齢が書かれていた。
「これはヨコシマがナンパした人の年齢でしょ、これがなに?」
タマモの質問に死神が手帳の一部を指し示す、そこには・・・
きっちりと赤字14、そして15という数字が書き込まれていた。
「これは・・・・・まさか」
死神の手帳に書かれていた事実の意味に気づき、タマモは怒りを収束させ、ニヤリと邪笑をうかべた。
一方横島は
「な!!!そんなばかな!!俺は中学生なんかに声かけた覚えは無い!・・・・・ハッまさかあの舞妓さん・・・」
横島はシネマ村に来る前にナンパした二人の舞妓さんを思い浮かべた。
死神は気の毒そうに横島を見、そして静かにうなずいた。
「ヨコシマ・・・・・」
「な、なんだタマモ・・・・」
「このロ・リ・コ・ン♪」
妙にうれしそうなタマモの声が横島の防弾ガラスの心臓にひびを与えた。
「うそだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
横島の絶叫が京都に響き渡るころ、横島をタマモから助け、同時にある意味トドメをさした死神は、赤字で書かれた数字を消し、16と書き直していた。
(あとがき)
都合で更新が大幅に遅れてしまいました。
しばらくは週1回~2回程度の更新となります。
ともかく、ようやく横島が合流です。やっぱタマモの相手は横島の方がしっくりきますな。
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