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二人?の異邦人IN麻帆良(ネギま×GS美神) 「第19話 祭りの後」 投稿者:九重九十九 投稿日:08/16-12:59 No.1115
「横島殿・・・」
「・・・・・・ん?知らない天井・・・・・・天井ないな・・・それに知ってるし・・」
横島が気がつくとそこは微妙に見知った場所だった。
横島が気付いた場所、そこは川のほとりであった。
「またここか・・・さて、渡し守に挨拶して帰るとするかな」
すでに横島はここの常連であるようだ。
「待ちなさい、横島殿」
「んあ?」
横島が渡し守の所へ行こうとすると、横島を呼び止める声がした。
振り返るとそこには、金髪を腰まで伸ばした見目麗しい20代ぐらいの和装の女性がいた。
その顔はどことなくタマモに似ていた。
「ずっと前から愛してましたー!!!!」
横島がその女性を見た瞬間、例によって女性に飛び掛った。
「そのセリフを言う相手は我ではなかろうがあああああ!!!!」
女性はそう言うと、どこからともなく取り出した巨大なハンマーを横島の顔面に叩き込む。
「ぶげらあああああ!!!」
横島は三途の川で死にかけるという生物史上、極めて珍しい偉業を達成することとなった。
第19話 「祭りの後」
「まったく、節操が無いと聞いてたがこれほどとはな」
女性は横島の行動に少々あきれ気味である。
「で、俺はあれからどうなったんだ、それになんでそんなに成長したカッコウをしてるんだタマモ・・・いや違うな・・もしかして玉藻か?」
「ほう、気付いたか、さすが我が娘が選んだ男じゃ。いかにも、我が名は玉藻」
「娘?どういうことだ、タマモは九尾の転生じゃないのか?」
「確かにタマモは我の転生体じゃ、だが我とタマモは同じ存在ではない、だから娘と言ったのじゃ。横島殿もそれを感じ取って我とタマモを見分けたのであろう?」
「いや・・・なんかこう・・・つっこみの感触が微妙に違ったからな・・・」
「お、お主という男は・・・」
横島のあまりにも予想外のセリフに、玉藻は後頭部にでっかい汗を浮かべた。
「で、その玉藻がなぜに三途の川に?」
横島は突如苦悩し始めた玉藻に話を促す。
「ここは正確には三途の川ではない、お主の内面世界の一つじゃ。というかなぜ人間の内面世界に三途の川があるのか非常に気になるがの・・まあ、あまりにも常連となったのでラインが直接つながったといった所かの・・」
「俺っていったい・・・そんな直通便が出来たって嬉しくねーぞ!」
「まあ、気を落とすな。ほれ、そこの渡しならお主なら渡し賃いらぬそうじゃぞ。それに向こうにはなにやら坂もあるしの・・・便利ではないか。それにホレ、あそこを見てみるがよい」
玉藻はそう言うと、ある場所を指差した。そこには・・・・
<神魔共同保養施設 煩悩殿>
と書かれている巨大な城があった。・・・・ピンク色の・・・
まるで休憩といいながら、実はちっとも休憩できないとある特殊な目的で使用する建物のようである。
「尚のこといやじゃー!!つーかキーやんとサっちゃんが言ってた別荘ってこれかー!!!人の内面世界に勝手に保養施設なんか作ってんじゃねー!!しかもこの外観はなんだー!!!」
「けっこう繁盛しとるようじゃの・・・・」
なんに繁盛しているか、非常に問い詰めたいところである。
「そろそろ話を進めてよいか?」
しばらく神と悪魔を平等に呪い続けた横島を生暖かい目で見ていた玉藻が、話を進めるために声をかけた。
ちなみに同時刻、執務中であった二人の神魔は突如苦しみだし、病院へ搬送されたことをここに記す。
「あ、どうぞ」
「確か我とタマモの違いまで話したのであったな。さて、続きじゃが、たしかお主はどうなったかというとな」
「俺は死んだのか?それにタマモはどうした!」
「安心するがよい、タマモもお主も無事じゃ」
「そうか・・・よかった・・・」
横島は自分とタマモが無事と聞いて安心したのか、地面に膝をついた。
「まてよ、タマモが無事ならなぜ玉藻がここに?」
「そういえば言ってなかったな、我はタマモが横島殿を生かすために注ぎ込んだ力の残滓じゃ」
「早い話が、タマモの力の残りカスということか?」
「まあ、間違いではないが・・・もうすこし言いようというものがあるであろうに・・・」
玉藻は横島の発言に、額に微妙に青筋を浮かべる。
「ともかく、タマモが横島殿を生かすために注ぎ込んだ力の中に、本来タマモの中で眠っていた我の一部が横島殿の中で目覚めたのじゃ」
「そっか・・・で、話はもどるけど俺になにか用があったのか?」
「そうじゃ、せっかく久方ぶりに我の自我が目覚めたのじゃから、自我のあるうちにちと話し相手にでも思っての。それに頼みもあるしの」
「頼み?」
「うむ、頼みとはタマモのことじゃ。先ほどもいったがアレは我にして我が愛しき娘じゃ、どうか娘を幸せにしてやってくれ。あの娘の心が憎しみにとらわれぬよう・・・お願いじゃ」
玉藻はそう言うと横島に頭を下げた。
「あー・・・そうかしこまらんでも・・・・それにタマモは今でも十分幸せだと思うぜ、新しい友達も出来たし。それにもちろん俺もちゃんと幸せにするさ。つーかタマモを泣かせたやつは俺が殺す」
「そうか・・・・」
「まあ、こんな俺じゃ頼りないかもしれんが・・・一応俺の目標は『みんなで幸せになろう』だからな、まかしてくれ」(ハーレムならなお良しだな)
横島は玉藻を安心させるように言った。ただ、心の中で思ったことは言わないでいた・・・言った瞬間にバーベキューにされると予測したためであるが・・・
ちょうど、横島が玉藻に答えたとき、横島は自分の体がひっぱられるような感触を感じた。
「お・・・なんか目が覚めるみたいだな」
「そうか、もう時間か・・・それではまた会おうぞ、娘をよしなにな、婿殿」
その時、時が止まった。
「マテ・・・・イマナントオッシャリマシタカ?」
30秒後、ようやく再起動した横島は玉藻の発言の中に聞き捨てならない言葉に耳を疑った。
「だからまた会おうと言ったのじゃが」
「その後・・なんか気のせいか婿とか言わんかったか?」
「たしかに言ったぞ、婿殿」
「なぜにー!!!」
「今娘を幸せにすると誓ったではないか、神の社の前で・・・」
玉藻はそう言うと煩悩殿を指差した。
「まてや!たしかに幸せにするといったが意味がちがう!!それにアレを神の社といいますか!」
「それに娘と誓いの接吻もしたではないか、これはもう婚約の印としか思えぬ・・・さあ、潔く責任をとってもらおう」
「・・・・・マテ・・・接吻って・・・」
横島は再び聞こえた聞き捨てならないセリフにフリーズする。
「キスのことじゃが・・・ホレ」
玉藻はそういうと、どこからともなくとりだした液晶TVにタマモと横島のキスシーンを何度もリプレイさせて見せた。
ちなみに、そのキスシーンは様々な角度から撮影されている。
「うそだぁああああああああ!!!!!俺が中学生に手を出したなんてぇぇぇぇぇぇ!!!!」
横島はその叫び声とともに現世へと戻っていった。しかし横島よ、婚約のことは否定しないのか?
「さて・・・婿殿をいじるのは存外楽しかったな・・・あとは婿殿と同化するのみか」
玉藻は少しづつ薄くなってくる自分の体を見おろした。
「では縁があればまた会おう、婿殿・・・・いやその時はこう呼ばねばな・・・父様と・・・」
玉藻はその言葉を最後に、その姿を消した。
「誰かウソだと言ってくれー!!!!!!」
「キャア!!!」
横島はなにやら叫び声を上げながら目覚めた。と、同時になにやら女性の悲鳴のようなものも聞こえてきた。
「あれ・・・ここはどこだ?」
「横島さん、ここは西の本山です」
横島が目を覚まし戸惑っていると、看病していたのか、すぐ側にいた刹那が答えた。
「刹那ちゃん・・・・・さっきの悲鳴は刹那ちゃんだったのか、驚かせてスマン」
「いいえ、突然だったからびっくりしただけです。なにか夢でもみたんですか?」
「いやなんかこう・・・・思い出せないけど・・・俺の存在意義に関わる重要な夢だったような気がしたんだが・・・」
横島は刹那の質問でどんな夢を見たのか思い出そうとするが、霞がかかったようにいっこうに思い出すことが出来ない。
「そうだ!タマモはどうした!!無事だったのか?それにあのガキは!!」
「タマモさんは無事です、ずっと横島さんの看病をしてたんですけど、今は私と交代してます。それに白い髪の少年はタマモさんが撃退しました・・・・ひょっとして覚えてないのですか?」
「覚えてないって・・・なにかあったのか?」
「それは・・・私の口からはちょっと・・・」
刹那は横島とタマモのキスシーンを思い出したのか、顔を赤くしながら横島に答えた。
「そっか・・・じゃあ後でタマモにでも聞いてみるか」
横島はそう言うと、布団から身を起こした。
「あ・・・横島さん・・・少しいいですか?」
「ん、なんだい?」
「あの・・・・タマモさんから聞いたのですが、初めて会ったとき、横島さんはタマモさんが九尾と知っていてなぜ助けたのですか?」
「んー、何で助けたかって言われても・・・理由なんかないしなー、しいて言えば助けたかったから・・・かな?」
「助けたかったから・・・ですか?」
「ああ、あの時は子狐の格好をして、捕縛結界に囚われて・・そんで俺がトドメをさすはずだったんだけど、どうしてもトドメをさすことなんか出来なくてな・・・気がついたらタマモをリュックの中に入れて匿ってたよ」
横島は過去を懐かしむように刹那に答えた。
「あの・・・怖くは無かったのですか?九尾といえば大妖怪ですよ、人間なんか簡単に・・・」
「あのタマモが・・・か?どっからどーみても普通の女の子なんだけどな」
「普通の女の子・・ですか?」
「そう、友達と一緒に笑ったり、遊んだり。そんで俺に時々強力な突っ込みを喰らわせやがるただの普通の女の子さ」
横島はまるでなんでもないことのように刹那に言った。
その時、横島の言葉を聞いて刹那は横島に対してとある質問が頭に浮かんだ。
「あ・・・・あの、横島さん・・・わた・・・私も・・・」
刹那は横島に対してその質問の答えを期待してしまっていた。もしかしたら自分も・・・と。
だが、もしその答えが自分の期待と違う言葉が返ってくるかと思う恐怖が、刹那の心をさいなんだ。
「どうしたんだ、刹那ちゃん・・・・・あ、そうか」
横島はそういうと、刹那の頭にポンと手を置いた。
「あ・・・・」
「もちろん刹那ちゃんも普通の女の子さ、あの時言ったろ、羽があろうがなかろうが、俺にとっては刹那ちゃんは可愛い女の子さ」
横島は刹那の頭をなでながら言った。
刹那は横島の手を払いのけるでもなく、横島の顔をじっと見る。
「横島さんはどうしてそんな考え方ができるんですか?私も・・・そしてタマモさんも妖怪なのに」
「んー・・・だってなー前にいた世界じゃ、雇い主の前世は魔族だったし、今でも魔族以上にたちが悪いし・・・それに同僚に300年幽霊やってて生き返った子もいてさ・・・時々黒くなるけど。さらにタマモや人狼も同僚だったんだぜ。俺にとってはほんと今更言われても・・・」
「前世が魔族に、元幽霊、それに人狼ですか・・・・」
「そ、だからさ・・・・・俺にとってはほんと刹那ちゃんが烏族だっけか?そのハーフだからって別に変に思いはしないよ。もちろんネギやアスナちゃん、それにこのかちゃんだってそうさ」
横島が言った言葉は、刹那が長い間求めていた言葉だった。
「あれ・・刹那ちゃん。俺、なにか変なこと言ったかな、ゴメン、謝る・・このとーりだから泣き止んでくれ」
「え?私・・・・・泣いている」
刹那は横島の言葉で初めて自分が泣いていることに気づいた。
横島は刹那の突然の涙に土下座をしている。
「いえ、あの・・・横島さんが何かしたんじゃなくて・・・・そう、うれしかったんです」
刹那はしばらくの自失の後、いまだ土下座を続ける横島に、自らの気持ちを告げた。
刹那は横島の言葉が嬉しかった。
それは自分が忌まわしい妖怪の血が流れようとも、横島なら変わらず自分を、桜咲刹那という人間を一人の女の子として見てくれるということに気づいたから・・・・
そして横島が言った言葉は決してうそではないという説得力があった、それはタマモという存在を横島が何の気負いもなく受け入れているという事実に集約されていた。
「そっか・・びっくりしたよ。なにか変なことを言ったんじゃないかと思っちまった」
「そんなことはありませんよ・・・さて、ちょっと遅くなりましたけど、皆さんに横島さんが目覚めたことを知らせてきます・・・・・あ、そうだ横島さん」
「なんだい?」
「人間と妖怪でも本当に愛し合うことができるんですね・・・ちょっとうらやましいです」
刹那はそういって立ち上がると、ふすまに向けて歩いていった。
「へ?・・・・刹那ちゃんそれってどういう意味・・うわ!!」
「きゃあ!!」
横島は刹那の言葉を問い詰めるために立ち上がろうとしたが、起き抜けで足がふらついてしまい、刹那に向かって覆いかぶさるように倒れてしまった。
そしてこういうお約束がある以上、またもうひとつのお約束があるとう絶対法則がここでも例外なく発動した。
そう、タマモの到来である。
「刹那ーそろそろこうた・・・・・・・・・・・」
「「・・・・・・・・・・・・」」
あたりを沈黙が支配する。
タマモは襖を開けた光景を見て呆然としている。同時に刹那に覆いかぶさったままの横島も、そして刹那もまるで時が止まったかのように微動だにしない。
タマモは目の前の状況を冷静に考える。
目の前には目を覚ますことをずっと渇望していた横島が目を覚ましている。そのことはいい、大変喜ばしいことだ。
だが、横島を看病しているはずの刹那がどうして横島に組み敷かれているような状況になっているのだろう。
服も微妙にはだけ、さらにスカートも限界ぎりぎり状態である。
タマモは次に刹那を見た、刹那の顔は真っ赤に染まり、自分を見ている。そのときタマモは刹那の目に涙が浮かんでいるのが見えた。
状況を整理してみよう。
横島の看病を刹那と交代するために部屋の襖を開けた、ここまではいい、だが、襖を開けるとそこには刹那を組み敷く横島と、目に涙を浮かべ、衣服をはだけさせた刹那がいる。
以上のことを総合して考えると・・・・・・横島が刹那を襲っているという答えが導き出される。
いや、まて・・・これは何かの間違い、幻覚かも知れない。
そう、心は氷結地獄のごとく冷たく、頭の中は地獄の業火のごとく熱く・・・・・落ち着いて考えよう・・・・
ここですでに何かが間違っているが気にしてはいけない。
そして10秒後・・・・
「ヨコシマ・・・・・・」
「ナ・・・ナンデゴザイマセウ、タマモサン・・・」
「こっのケダモノがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「まてー!話せばわかるー!!!」
「問答無用ー!!!!」
40分にわたる攻防の後、庭の隅で墓石に横島の名前を彫っている死神の姿を見たのを最後に、横島は再び三途の川へと旅立っていった。
「あうー・・・ヨコシマ・・・ごめんなさい」
「まあ、なんだ・・激しい誤解があったがようだが、とにかくお互い無事で何よりだ・・・うん」
刹那の命がけの説得により、妖怪大決戦に終止符うった横島とタマモはすでに完全に上りきった朝日を見ながらたそがれていた。
ちなみに横島たちの後方にはでかい汗を後頭部に浮かべているネギ達一同がそろっていた。
「だから、さっきの刹那ちゃんとのことは事故なんだ、そしてその後に起こったことも・・・・」
「そうね・・・これは不幸な事故よね、地震や台風と同じで人間じゃあどうしようもなかったのよ」
横島とタマモはまるでなにかを誤魔化すように事故という言葉を強調する。
「確かに被害は災害と同じですね・・・・・かなりピンポイントですけど・・・」
「その災害っていうか、これってどう考えても人災なんだけどね・・・・」
「人間どころか真祖の吸血鬼たるこの私ですらどうにも出来なかったがな・・・・」
「はわわわ・・・お父様・・・」
「魔法も気も使わずにいったいどうやったらこんな芸当が出来るんでしょうか・・・・」
「霊力ってやつでもなさそうだしな・・・・」
上から刹那、アスナ、エヴァ、木乃香、ネギ、カモの発言である。
さらにその背後で龍宮以下魔法関係者が呆然と立ち尽くし、朝倉、早乙女、綾瀬にいたっては、あまりの出来事にトラウマと化したのか、木陰でガタガタと身を寄せ合って震えていた。
そして詠春達はというと・・・
「本山が・・・本山が・・・あーっはっはっははははははHAHAHAHAHAHAHA!!!見よ、本山がまるでゴミのようだ!!!」
「長ーしっかりしてくださーい!!!!」
灰燼と帰した本山の前で詠春は壊れていた・・・良く見ると詠春の髪の毛がハラハラと抜け落ちていっている。
行き着く先は某神父なのかもしれない・・・合掌
後に、その修繕費用1億円は横島とタマモの共同の借金として計上されることになったという・・・ちなみにこれでも本来の修繕費用の3割以下である。
関西呪術協会本山壊滅後、逃げるようにアスナ達はホテルへと戻っていた。
「いやーまたまた大変だったねー・・・」
ホテルへと戻った朝倉は、班別写真を撮るためにカモを肩に乗せて歩いていた。
「まったくだぜ・・・姐さんたちの身代わりがストリップを始めてたときはどうしようかと思ったぜ・・」
「でも昨日はもっと大変だったんでしょ?」
「まあな・・・・でも気のせいか今朝の騒動のほうが大変だったような気もするけどな・・・というか横島の兄貴はなんで原型とどめないくらいに打撃くらったのに普通に生きてるんだ・・・石の槍が刺さったときは死に掛けたってのに・・・」
カモの質問に答えられるものはいなかった・・・しいて言えばギャグかシリアスかの違い・・としか言いようがないであろう。
「あはははは、どうしてなんだろうね・・・・というか深く考えたらいけない気がするよ、うん・・・さて、それでは仕事へと行って来ますか」
朝倉はそういうとカメラを持って撮影に向かった。
三班の部屋
「ふふふ、私雪広あやかはこの修学旅行で一回りも、二回りも成長してしまいましたわ」
「なにが成長したの?いいんちょ」
あやかの言葉に村上が返す。
その言葉に、あやかは背後に無意味に花をしょいながら返した。
ちなみに全員下着姿である。
「決まっています!ネギ先生への『愛』がですわ!!」
「あやかは最近こっちも成長してるんじゃない?」
ちづるがあやかの背後から胸をわしづかみする。
「なななな何を!」
「久しぶりにくらっべっこして見ましょうか?千雨さんもどうかしら?」
「な!誰がおめえらみたいな爆乳と!!」
「はいはい、押さえてちうちゃん。村上もザジもこっちむいてー・・・・・ってタマちゃんは?」
どこからともなく入ってきた朝倉が写真を撮ろうと全員を集めるが、タマモの姿見えないことに気付いた。
「タマモさんでしたらあそこに・・・・」
あやかの言葉にその方向を見ると、そこには・・・
「くふ・・・くふふふ」
カードのようなものを手にしたタマモが、それを見つめながら怪しい笑みを浮かべていた。
あたりには微妙にピンク色のオーラが立ち込めている。
どうやら、横島がキスをした時に、反射的にカモが仮契約を成立させたようである。
ちなみに、記念すべきファーストキスの証拠(しかも横島から)としてすでに横島に見せ、横島が苦悩するのを横目に笑顔を浮かべていたという。
「タ・・・タマちゃん・・・」
「くふふふふ・・・」
「さっきからずっとこれですわ・・・何かいいことあったのでしょうか」
「うーんどうなんだろうね・・・」
ちなみに朝倉、早乙女、のどかは横島とタマモがキスをしたことは知らない。
「ま、いいや・・・いいんちょ、タマちゃんこっちにもってきて」
「もってきてって何をするんです?」
「ん、ちょっとね・・・はいチーズ!」
パシャっという音と共に、朝倉以外の下着姿がばっちりと撮影される。
「てめ!何勝手に写真とってやがる朝倉ー!!!」
「朝倉さーん!!」
朝倉はナハハハと笑いながら逃げていった。
後に、タマモはその写真に写っている、自らのだらしない顔を見て、朝倉に向かって本気で狐火を放つかどうか真剣に検討したという・・・・きつねうどん一週間で手を打ったようではあるが・・」
その後、エヴァの乱入により5班のメンバーと朝倉を交え、京都観光をすることになった。
途中、長と横島が合流し、ネギの父親の滞在したという家に向かい父親の手がかりを捜索する。
もっとも時間がなくてさしたる成果はなかったが、長から父親が研究していたという紙の束を受け取った事が唯一の成果であった。
時は進み、ついに修学旅行最後の日となり、帰りの新幹線の中、タマモは何かを探すように車両を歩いていた。
「あ、いたいた」
「おう、タマモか」
タマモが探していた横島を見つけ、空いている横島の隣にちょこんと座った。
「クラスの席にいなくていいのか?」
「大丈夫よ、ネギ先生には言ってあるから」
「そうか・・・・・」
その言葉の後、しばし静かな時が流れる。
聞こえるのはただ互いの呼吸の音のみ。
「ねえ、ヨコシマ・・・・・」
そんな中、タマモが横島に呼びかけた
「なんだ?」
「約束・・・守ってくれてありがとう」
「まあ・・そのなんだ・・こっちこそ助けてくれてありがとうな・・・お礼に帰ったらなにかおごってやるからな」
「ふふ、私はもうお礼はもらったわよ・・」
タマモはそういうと懐から仮契約カードを横島に見せる。
「う・・・・」
「だから・・・これは私から・・・私を一人ぼっちにしないでくれたヨコシマへのお礼・・・受け取って」
タマモはそういうと横島の唇へそっとキスをした。
「タ、タマモ・・・」
「ふふ、じゃあ私はそろそろみんなの所へ戻るわね。じゃあね」
タマモは横島から顔を離すと、笑顔で横島に告げ、小走りにクラスの皆のもとへと帰っていった。
横島はタマモの姿が消えてからもしばらくは呆然としていたが、そっと自らの唇に手を触れた。
「まったく、タマモのやつ・・・・・なあ、ルシオラ・・・どうやら俺はタマモのことを・・・いいよな、もう・・・・」
横島は唇から手を放し、そっとつぶやいた。
「ただ・・・・アイツが中学卒業するまで俺って耐えれるのか・・・・それに刹那ちゃんも可愛いよなーええ臭いやったし・・・・ハッ!!俺はロリコンじゃねー!!!!!」
横島にとって新たなる苦悩が生まれた瞬間だった・・・・・
第19話 end
「タマモ・・・・」
「誰?私を呼ぶのは・・・」
タマモが気がつくと目の前に金髪を腰まで伸ばした和装の女性がたたずんでいた。
「あなたは・・・・玉藻・・私の前世ね」
「いかにも、我が名は玉藻」
「なぜ私の前世がここにいるの?というかここはどこ?」
「ここは意識と無意識の狭間、そして我はお主の力の残滓、まもなく消え行く存在じゃ・・我が愛しき娘よ」
玉藻の説明にタマモは辺りを見渡す。だが、あたりは淡い光につつまれ何も見えない。
「で、私に何の用なの?なにかあるから私を呼んだんでしょ?」
「うむ、お主にちと確認をの・・・タマモよ、我は九尾の狐、はるかなる昔闇の中から生まれ出でた化生じゃ・・もちろんお主もな」
「当然ね」
「だから我は光を求めた・・・光の中で暮らす人間を、その温もりを・・・そして我はその光を手にすることはかなわなかった。だが、お主はその光を手にすることが出来たのか?」
タマモは玉藻の質問にしばし考え、そして顔を赤くしながら玉藻に答えた。
「私はもうその光と・・温もりと出会っているわ、それは私を助けてくれた人、そして私が助けたい人・・・・」
「ではその光、けして離さぬことじゃ・・・・」
「当然!九尾の狐のプライドにかけてヨコシマを離したりしないわ!!!」
「そうか・・・それを聞いて安堵した・・・我がかなわなかった幸せ・・光の中の温もり。お主はもう見つけていたか・・・・よき出会いに感謝を、そして我が娘に幸あらんことを」
そういうと玉藻はゆっくりと姿を消していった。
「絶対に幸せになるわ、だから安心して・・・・お母さん」
タマモはそういうと再び夢の世界へと旅立っていった。
そのころ、現実世界では
「ちょ!タマモさん!!!私にそんな趣味はありませ・・もがががががが」
「えへへへヨコシマー離さないわよー」
どうやらタマモは深層意識で玉藻と出会っている最中、その表層意識はヨコシマとの幸せな夢を見ているようである。
「わー・・・いいんちょとタマモちゃん・・いつの間にそんな関係に」
「おうディープ・・・・」
「スクープだー!!!ブラコンタマちゃんは百合だった!!」
「朝倉さん!!!それに早乙女さんに柿崎さん!!ふざけてないで助けてくだ・・・・・・・・・・・ハウ」
横島タマモの三度目のキスは雪広あやかとであった・・・・
(あとがき)
修学旅行のラストエピソード『祭りの後』これにて完了です。
いやー修学旅行編は長かった・・・
さて、あとはオリジナルをはさみつついよいよ7巻のエピソードに突入です。
もっともその前にまだ未解決の説明があったりするんですけどね、特にエヴァへの。
なんせ文珠の理不尽な能力をまざまざと見せ付けられていますから当然黙ってないでしょうね。
さらに・・・・これが重要なんですが。エヴァが活躍してないからネギがエヴァへの弟子入りする理由の一つが死んでたりしています。
さーてどうやって収拾つけようかな・・・まあ、これを考えるのが結構楽しかったりするんですけどね。
さて、次回はとりあえず修学旅行編終了記念の外伝「世界迷作劇場2」となります。
さて、題材と配役どうしようかな・・・・
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