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二人?の異邦人IN麻帆良(ネギま×GS美神) 「第20話 史上最強で最低の弟子」 投稿者:九重九十九 投稿日:08/26-20:38 No.1162

「あれ・・・・もうお昼?」

修学旅行から帰ってきてから最初の日曜日、アスナは配達の後の二度寝から目を覚ました。
なにやら夢を見たようだが、霞がかかったように思い出せないでいた。
アスナは夢を思い出すのをあきらめ、あたりを見渡すと、ロフトを自らの城と化したネギが、なにやら一心不乱に書き込んでいる姿があった。

「何やってるの?」

アスナはロフトに飛び移り、ネギの脇においてあったチョコを摘み食いしながらネギに声をかけた。

「あ、アスナさん。長さんからもらった手がかりを調べてたんです」

「そっか、結局なんだったの?」

「驚いてください!実はこの学園の地図の束だったんです。父さんが最後にあの部屋で研究してたものだそうです。」

ネギが地図を広げると、そこに確かに麻帆良学園の断面的な地図が描かれていた。

「えー!!麻帆良学園の地図ー!!なんでよ?」

「わかりません、暗号で書かれてるものですから・・・今解読しようとしてたんですがどうも・・・・それに他にもイロイロとやることもありますし」

「ふーん、あんた妙にウキウキしてるわねー・・・・・あ、そうだネギ」

ふとアスナは何かを思い出したかのようにネギに声をかける。

「あんた宛に小包が届いてたわよ、昨日・・・妙に大きかったけどなんなのアレ?」

「本当ですか!!!」

ネギはアスナの言葉に身を乗り出す。相当心待ちにしていたようだ。

「その地図の解読用の道具か何かなの?」

「違います、でもこれこそ僕が待ち望んでいたものであり、そして僕の切り札になる大切なものなんです」

「へー、なんかすごそうじゃない・・・・で、なんなの?」

「今実物を見せてあげますよ、ちょっと待っててください」

ネギはそういうといそいそと箱を開封するためにハサミを取り出し、箱を開けていった。






「えっと・・・・・槍?」

アスナはネギが箱から取り出したものを見て、唖然としてつぶやいた。
それには長い柄の先端には鈍い光を放つ刃物があり、その刃物のすぐ下には赤い布のようなものが巻きついていた。
どっからどう見てもまごう事無き槍である。

「そうです!これこそ!!!」

「これこそ?」

ネギはまるで自らの発明品を高らかに説明するマッドサイエンティストのように、下腹に力を込めくわっと目を見開いて槍の名を叫んだ。





















「これこそあの『けもの○槍』です!!!白面をも打ち倒し、すべての妖怪を屠る無敵の槍、これが・・・・これがあれば・・・・もうタマモさんに焼かれることはなくなります!!!!」

ネギはよほど嬉しいのだろう、目に涙を浮かべながらアスナに槍の由来を説明していった。

「あのさ・・・・ネギ・・・そんなものどこで手に入れたの?・・というかあんたタマモちゃんとガチで戦う気なの?」

「ネットオークションで出てましたよ、出品者の名前も確かに蒼○ウシオって出てましたから素性は確かです」

アスナはめまいを感じながら、ほんのわずかの望みを込めて槍が入っていた箱を見、あるものを発見した。

「あのさ・・・ネギ・・・感涙にむせび泣いてる所に気の毒なんだけどさ・・・」

「なんです?」

アスナはネギがタマモに焼き尽くされる前に、ことを治められることに安堵しながら、箱に入っていた紙を突きつけた。
そこには・・・










<このたびは我が家の家宝『のけものの槍』をご購入いただき誠にありがとうございました。この槍の名前の由来は、かつて村八分にされた人物が、キレてこの槍を振り回し、村人を皆殺しにしようとしたところ、石にけつまずいて転んだ拍子に自らの槍で死んでしまったという事からつけられました。なにぶん年代物のナマクラなので現在では殺傷力は皆無ですが、取り扱いには十分にご注意くださいますよう、よろしくお願いいします。蒼月ウツオ>

「へ・・・・・・・・・・・・・・これってけもの・・・でものけもので・・・ウシオじゃなくて・・・ウツオ・・・あの、どういうことでしょうか?」

「早い話がニセモノ?・・・もしくは類似商品ってやつね」

アスナは手紙を何度も読みふけるネギにトドメをさした。情け容赦なくバッサリと・・・

「うわーん!!!!騙されたー!!!高かったのにー!!!」

「そもそもタマモちゃんをどうこうできる様な物がネットオークション出るわけないでしょう、さっさとそれ片付けといてね」

類似商品をかなりの高額で買ったらしいネギは、打ちひしがれ膝を抱えてシクシクと泣いていた。


「カモ君のバカー!!!!!!!」

どうやら最初に槍の購入を勧めたのはカモのようだ・・・・・・願わくば、この事がタマモに伝わらないことを切に願おう。





第20話   「史上最強で最低の弟子」





「・・・・・・と、言うわけで消去法であなたの弟子になることに決めました。以後よろしくお願いしますエヴァンジェリンさん」

「喧嘩売ってんのか貴様はー!!!!!!」

闇の福音、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは今日も元気に叫んでいた。花粉症で鼻をぐずらせながら・・・



時間を少し戻そう。
槍のニセモノをつかまされたネギは、しばらくの間ショックを受けていたようだが、なんとか復活し、現在はアスナを引きつれ、とある場所へと向かっていた。

「えぐえぐ・・・・30万円もしたのに・・・・」

失礼、どうやらまだ復活していないようである。

「30万って・・・普通の感覚ならとてつもない高額なんだけど、対タマモちゃん用にしてはえっらい安い買い物ね・・・あ、そうださっき言ってたやりたいことってなんなの?」

アスナはこれ以上この話題をふるとネギが沈み込むだけなので、違う話題をふる。

「あ、それはですね・・・・今回のことで僕、力不足を実感しました。ですから強くなるためにあの人に弟子入りすることに決めました」

「へ?・・・弟子入り?」

アスナはネギの凛々しい表情に微妙に胸をドキドキさせながら、目的地へ向けて歩いていった。




しばらくして・・・

「何?私の弟子にだと?アホか貴様」

どうやらネギの弟子入り先はエヴァのようである。
しかし、花粉症で花をぐずらせながらエヴァはネギの頼みを一蹴した。

「一応貴様と私はまだ敵なんだぞ!?貴様の父サウザンドマスターには恨みもある、大体私は弟子など取らん。戦い方などタカミチや横島兄弟にでも習えばよかろう」

「でもタカミチは出張でなかなかいないですし・・・・それに横島さん達は・・・」

ネギはエヴァの提案に口ごもる。

「横島忠夫にタマモもそれなりに強いだろう、特に横島忠夫は常に私の意表をつくぐらいだ。なにが不満だ」

「あの・・・・・エヴァンジェリンさん・・・」

「なんだ?」

「飛び込むとしたら、煮えたぎるマグマと逆巻く大嵐の海とどちらに飛び込みます?」

「なんだその究極の選択は、どっちも普通に死ぬぞ」

「どちらか答えてください!」

ネギは妙に力のこもった目でエヴァに答えを促す。

「む・・・どちらかといえば逆巻く大嵐の海だな・・」

「では、100mの高層ビルから道路へむかって飛び降りるのと、同じく100mのがけから海に飛び込むのとどっちにしますか?」

「そうだな・・・・それならまだ海のほうだな・・・しかしその高さなら水でもコンクリートと同じ硬さだぞ」

「・・・エヴァンジェリンさん、二つの選択を選んだ理由はなんですか?」

「まだつづくのか・・・まあいい、そうだな・・・・まだ私が選んだヤツのほうがまだましだからかな・・・たとえ万分の1でも助かる可能性がありそうだからな・・」

エヴァはいいかげんネギの質問にウンザリしたのか、すこし睨むように答えた。

「そういうことですよ、エヴァンジェリンさん・・・・」

「なにがそういうことなんだ?」

エヴァはネギが何を言っているのか理解できないようだ。

「ですから・・・エヴァンジェリンさんに弟子入りする理由ですよ」

「ほう・・・そうか・・・」

「そうなんですよ・・・・」

「そうか、私のほうが"まだまし"という意味か・・・」

「ええ、そうです・・・タマモさん達に弟子入りしたら、冗談抜きで生身で大気圏突入をやらされかねません。たとえわずかでも強くなって生き残る可能性があるとしたらエヴァンジェリンさんだけなんです!!」

「そうか・・・おまえは私をそんなふうに思ってたのか・・・いい度胸をしているな、フフフフフ」

「いやーそんなに褒められても、あはははは」

「「あーはっはっはっはっはっはっは!!!」」


ネギとエヴァはお互いに笑い声をログハウスの中で響き渡らせていた。
もっともエヴァの顔はこれ以上ないぐらいに引きつっていたが・・・















「・・・・・・と、言うわけで消去法であなたの弟子になることに決めました。以後よろしくお願いしますエヴァンジェリンさん」

「喧嘩売ってんのか貴様はー!!!!!!」


そして時間は元に戻る。


「喧嘩を売るなんてそんな・・・どうか僕を弟子にしてください!!今なら僕の神様に紹介して特殊な魔法も使えるようになりますからー!!」

「いるかそんな異界の魔法なんぞ!!といか貴様まだその魔法持ってたのか!!!捨てろさっさと!!」

「そんなー唯一の取引材料なのにー!!」

ネギはエヴァに弟子入りを断られ、なみだ目になりながらエヴァの足にしがみついた。

「ええいしがみつくな!なつくな!!・・・だからその捨てられた子犬のような目はやめろ!!」

「お願いしますよー!なんでもしますからー!!」

「なんでもだと・・・」

エヴァはネギの「なんでもする」という発言に反応し、すこし考えるようなしぐさをする。

「そうか・・・そんなに私の弟子になりたいか・・・」

「ハイ!!」

「では私の足をなめろ・・・そして永遠の忠誠を誓え。それが出来たら弟子入りを考えてやってもいいぞ・・」

「え・・・」

「どうした、なんでもすると言ったのは貴様だぞ」

エヴァはネギの前に素足を突きつけ、背後にゴゴゴといった効果音を背負いながらネギに無茶な要求を突きつけた。

「アホかー!!!!」

しかし、ネギがなにか言うより早くアスナがハリセンを見事にエヴァの顔面に叩き込んだ。
それは魔法障壁を無視した見事なまでのクリティカルヒットであった。

「なに突然子どもにアダルトな要求してんのよー!!」

「ああああ、貴様弱まってるとはいえ、真祖の魔法障壁を適当に無視するんじゃない!!」

「それにネギがこんなに一生懸命頼んでるのにちょっとひどいんじゃない」

「マテ、神楽坂明日菜・・・さっきのが一生懸命人に頭下げて頼む態度か?激しく疑問が残るぞ・・・というか普通なら話をする前に叩き返されても文句言えんぞ」

「う・・・・で、でも・・・」

「それに頭を下げたくらいで物事が通るなら世の中苦労はせんわ!・・・ハンそれとも貴様・・」

「な・・なによ」

「なんでぼーやにそんなに肩入れするんだ?それともホレたか?」

「な!!」

アスナはエヴァの言葉を聞くと、見る見るうちに顔を真っ赤に染め上げていった。
その後、例によってエヴァVSアスナのまさしく子どものじゃれあいの発生により、ネギの弟子入りの件がうやむやにされかけたが、なんとか最後には後日、弟子に取るかどうかテストを行うことで話がついたのであった。



「テストはともかく、とにかくぼーやは一回きちんと頭を下げろー!!!」

エヴァはネギが弟子になったらまずは礼儀から教えようと、この時心に誓ったのであった。




同時刻、横島忠夫は喫茶店でとある女性と待ち合わせをしていた。

「ちょっと早すぎたか・・・・」

「そうでもないぞ(でござるよ)」

「ちょうどよかったみたいアルね」

横島が席に着き、ウエイトレスにコーヒーを注文した所で背後から三人の女性から声をかけられた。
横島に声をかけた三人は龍宮、長瀬、クーであった。

「そのようだ・・・あ、自由に注文していいよ。ここは俺が奢るから」

横島は彼女達に席を進めると、メニューを渡す。

「さて、さっそくだけど突然私たちを呼び出してどういう用件なんだい?」

龍宮はメニューを見ながら横島に呼び出した理由を聞く、だが、その目線はメニューから外れることはなかった。

「んー・・まあ早い話が修学旅行の事件のことなんだけどね・・ぶっちゃけ報酬の話」

横島はそう言うと、懐から封筒を三つ取り出し龍宮達に手渡した。
龍宮達は封筒を手にし、その厚みにビックリする。
重さと厚みからおそらく一人20万は入っていると思われる。

「いやー、あの時アイツらの足止めしてくれなかったら正直やばかったからな。お礼の意味も含めてちょっと多めにしたんだけど・・・・・もしかして相場より少なかった?」

「いや、十分だ・・・学園長からも別途もらっていたからね・・正直横島さんからもらえるとは思ってなかったよ」

「けどよいのでござるか?本山の件でその・・・大変なのでは?」

「正直多すぎるアルね・・・私は強いのと戦えれば十分アル」

龍宮は仕事の報酬として素直に受け取ったが、長瀬とクーはそれを受け取ることに躊躇する。
たしかに中学生には大金であるし、もらっても使い道に困りそうである。

「例の件については気にしないでくれ・・・なんとかするさ・・うん・・きっと・・たぶん・・・めいびー」

横島は魔法世界で最近噂になっている『関西呪術協会本山消滅事件』を思い出し、冷や汗を浮かべた。
ちなみに、長は横島達が麻帆良に帰った後、何か耐えていたものが切れたかのようにぶっ倒れたそうである・・・・・洗面所の前で・・・
その時の目撃者の話によると、長は突然「神は死んだー!!!」と叫び、髪をかきむしった後鏡を砕いて倒れたそうだ。

「それならいいでござるが・・・・」

「クーちゃんも臨時のお小遣いとおもって受け取ってくれ、いまさらつっかえされても困るしな」

「うーん・・・それじゃあ遠慮なくもらっておくアルね」

長瀬とクーもようやく納得したのか、封筒をポケットにしまいこんだ。

「ほんで、ここからが本題」

「「「本題?」」」

「そ、ネギのことでさ・・・・じつはネギは魔法のことがばれるとオコジョにされるらしいが・・・・」

「つまりこれには口止め料も込みという意味でござるか?だとしたら心外でござる」

長瀬は自分達がネギの魔法のことを言いふらすと思われたことに、少々気分を害したようである。
だが、横島はそれこそ心外であるというふうに笑うと長瀬に答えた。

「まさか、口止め料込みだとしたらもっと多く包んでるさ。さっきのは純粋な報酬とお礼。それ以外の意味はないよ・・・しかしそれなら俺の心配は杞憂だったみたいだな」

「まったくネ、私たち口は固いアルよ」

「じゃあ、くれぐれもよろしくな・・・・お、やっと注文が来たみ・・・た・・・い」

横島は彼女達がネギのことを言いふらすような人間でなかったことに安堵しつつ、ウエイトレスが持ってきた大量のパフェとケーキを見て絶句した。

「おお、まちかねたよ」

「おいしそうでござるなー」

「実際おいしいネ」

彼女達は注文の品が来ると嬉しそうにそれを食べだした・・・机の上が埋まるほどの大量のあんみつ、だんご、パフェ、ケーキ、etc・・・・
横島は普段コーヒーに砂糖を入れるのだが、これでは見てるだけで口の中が甘くなってしまいそうになり、ブラックで喉におしこんだ。
ちなみに横島は会話が一段落したのに落ち着いたのか、現在は冷静に彼女達をじっくりと見ていた。












(むう、中学生のくせにあの胸は反則やー!!!中学生でなかったらナンパできたのにー!)

・・・主に長瀬と龍宮の胸を・・・
しかし、横島は気付いているのだろうか・・・普段からさっきまでの態度で女性に接していたら、少なくとももう少しモテるであろうことに・・・
これでは中学生相手には好青年、それ以上にはただの変態という、すべてのロリ属性を持つ男性に呪い殺されそうなスキルの保持者ということになる。

<いまさら彼女達相手に何を躊躇してるんでしょうかねー>

<中学生相手はいくらなんでもまずい・・・と本能的に察知しとるんやろうなー>

頭の中でいろいろと不埒なことを考えている横島に、いつぞやの神々しくも禍々しい声が聞こえてきた。

<けどルシオラさんは0歳でしたよ>

<けど見た目が大人やったからな・・・一部発育がアレな部分があったようやがな・・>

<でしたら目の前の彼女達も問題ないでしょう、実際長瀬さんと龍宮さんはそんじょそこらの高校生をも軽く凌駕するスペックを誇ってますしね。クーさんにしたってチャイナなカンフー娘ですよ、その筋の人にはたまらんでしょうに>

<ま、そりゃそうやけどなー・・・・で、横っち。正味の話なんで彼女達があかんねん?>

(また貴様らか・・・いいかげんにしてくれ・・)

横島はさすがに三度目ともなると慣れたのか、心の中で会話するすべを身につけたようである。

<まあまあ、えーやないか。で、なして龍宮や長瀬の嬢ちゃん達はあかんねん?>

(やかましい!!中学生に手を出してたまるか!!・・・つーか消えろ貴様ら。せっかくしばらく静かで安心してたのに復活しやがって)

<あ、それは横島さんの内面世界に作った別荘がこのたび正式な神魔の保養所になりましてね・・・それがまた繁盛してまして>

<忙しくてちょっかいかけられなかったんや・・まあ、たまーに息抜きに刹那の嬢ちゃんやネギ坊主のところにも邪魔しとったけどな>

(まてや!!人の中に勝手に保養所・・・・・アレ?)

<どうかしましたか、横島さん>

横島はしばし沈黙し、何かを思い出そうとする。そう、なにかが引っかかるのだ・・・こうピンク色の・・・

(ああ!!なんか思い出した!!貴様らあのピンク色の建物はなんだー!!!)

どうやら夢の内容を思い出したようである・・・しかし玉藻とのやり取りまでは思い出していないようだ。

<なんだと言われても・・・保養所ですけど?>

(だからってあの外観はねーだろ!!まるでラブホじゃねーか!!)

<いや、だってな・・・・・最初は他のデザインで設計して施工してたんや・・・せやけどな・・>

<なぜか最後にはあの系統の形で完成してしまうんですよねー・・・・・何回か作り直したんですが、アラビアンハーレム風、大奥風、中国後宮風、SM御殿風にとそれぞれなってしまい、内装もバリエーションに富んでいましたよ・・もはや横島さんの業としか・・>

(マテヤ・・・最後のSM御殿ってなんだー!!)

<横っちにその素養があるっちゅーことやろうな・・・>

(お・・俺って一体・・・・)

<ちなみに今の形になる前はなぜか小学校か中学校の校舎みたいな建物になるところやったで・・・もちろんピンク色の・・>

<サっちゃん達魔王総がかりで念を込めながら修正して、ようやく今の形に落ち着いたんですから>

<やっぱ魂は正直っちゅーことやな・・・ロリの素養どころかペドの素養もバッチリあるで横っち、あははは>

<まったくですね、素直になればいいのに、あはははは>

(素直・・・俺がロリ・・・あはははははははははは)

<<(あーっはっはっはっ)>>

横島とキーやん、サっちゃんは心の中で大笑いの大合唱を始めた。

















<<ということで迷わず彼女達にGO!!>>

「何がGO!!じゃこの脳内神どもー!!!!俺はこの身のプライドと全存在に賭けてロリとちゃうわー!!」



「どうしたんだい、横島さん・・・突然叫びだして」

「なにやら難しい顔で考え事してたようでござるが・・・・」

「このパフェ美味しいアルね・・モグモグ」

横島は最後の最後で怒りに耐え切れず、大声を出してしまった。
当然その声は店内に響き渡り、周囲の耳目を集中させる結果となった・・・同時に美人三人を引き連れる男の敵と言う視線が4割ほどあったようである。

「いや・・なんでもないよ・・・ちょっと疲れてるだけ・・うん・・悪いけど俺はもう帰るね、支払はこれで・・あ、お釣りはいいからね」

横島は机に万札を2枚ほど置くと、ヨロヨロと喫茶っ店から出て行った。

「ふむ・・・なかなかいい目利きをしているな」

「そうでござるな・・・レシートも見てないはずでござるが」

「お釣りが252円アルね」

デザートだけで19748円も食べる彼女達はいったい・・・・・それともほぼピタリの金を渡した横島を賞賛すべきなのだろうか・・








「いやーよかったな、兄貴」

「ほんとに、アスナさんが粘ってくれたおかげです」

「い、いや別に・・・あれはエヴァちゃんが変なことを言い出すから・・・」

ネギ達はエヴァの家を辞した後、次の目的地へ向けて歩いていた。

「ところでさ・・・なんでエヴァちゃんと茶々丸さんがいるの?」

「私がいるとなにか不都合があるのか?神楽坂明日菜・・・私も横島忠夫に呼ばれてるのでな・・・」

どうやらネギの次の目的地は横島邸のようである。




「わざわざ呼び出してゴメンね、アスナ、ネギ先生、それにエヴァと茶々丸。今横島を呼んでくるわね」

タマモはネギ達を客間に通し、横島を呼ぶべく部屋を出て行った。

「横島さん、僕達を呼んでどうするつもりなんでしょうか?」

「そのくらい頭を働かせて考えろ、というかこのメンツが集まるということは修学旅行の件以外ありえんだろうが」

「あれ?でもそうすると刹那さんやこのかさんはどうしたんですか?」

修学旅行の件での話なら、刹那と木乃香がいないのは確かにおかしな話である。

「そんな事まで私が知るか!大方二人してどこかにシケこんでるんじゃないのか・・・・ところで神楽坂アスナ」

「な、なによ突然」

さっきからずっと黙っていたアスナにエヴァが話しかける。
突然話しかけられ、驚いているのか、それとも他の理由があるのか、声が妙に上ずっている。

「さっきからずっとぼーやの顔を見ながら百面相をしていたが、何かあったのか?・・・どうした、顔が赤いぞ」

「え?」

ネギはエヴァの言葉に改めてアスナを見ると確かに顔が紅潮し、呼吸も妙に浅い。
しかも横島の家に来る途中に、なにやら石柱に頭をぶつけるなどという奇行も行っていた。

「あああ、アスナさんやっぱり風邪ですか?大変だすぐに薬を!」

ネギは先ほど来る途中にやったのと同じように明日菜の額に自分の額をあて、熱をはかった。
するとアスナはさらに顔を赤くし、硬直する。

「クククク、ぼーや心配するな。そいつは風邪でもなんでもない。いたって健康体だよ」

「そうなんですか?けど熱がありますよ、ほら顔も赤いし」

ネギは心配そうにアスナを見つめる、だがアスナはそのせいで益々赤くなっていった。

「安心しろ、少なくとも病気ではない・・・・・・いや、やはり病気か、それも不治のな」

「な、なななな」

アスナはエヴァの言葉にもはやまともに言葉を返す事も出来ない。

「どうした、神楽坂アスナ。さっき私の家では否定していたが、そのせいで意識したのか?」

「そ、そそそそんなわけあるかー!!!私は高畑先生一筋なのよー!!!」

アスナは自らに言い聞かせるように絶叫するが、なぜか自分でもその言葉にむなしさを感じてしまっていた。
もはやアスナは自分の心が分からず、ただパニックに陥るだけであった。
そしてパニックに陥ったアスナの取った行動は、エヴァ邸の時と同じようにハリセンを召還して物理的にエヴァを黙らせようとする事だった。
だが、腐っても鯛、エヴァも弱まっているとはいえ真祖の吸血鬼である。そう何度も同じ手はくわなかった。

「ふん、そんな攻撃をそう何度も喰らうか!」

エヴァはそういうとすぐにその場から飛びのき、アスナのハリセンをかわす。
だが、その時横島が扉を開けて入ってきた。

「おう、お待たせ」

そして吸い込まれるようにエヴァの後頭部へむけて、横島があけた扉の角がエヴァの後頭部にめり込んだ。

ゴメス!!

「あ・・・・・・・・」

さっきまでの喧騒が嘘のように静まり帰った。
エヴァはあまりの痛みに後頭部を抑えて声も無くうずくまっている。

「あの、マスター・・・頭は大丈夫ですか?」

「茶々丸さん、その言い方だとイロイロと誤解を招きそうな気がするんだけど」

「あ、申し訳ありませんでした。ではマスター、頭は正常ですか?」

言い直しても結局あまり変わらない茶々丸であった。

「あーすまんエヴァちゃん。頭大丈夫か?」

「貴様もかー!!横島忠夫ー!!!」

横島のセリフにとうとう切れたのか、エヴァは横島に怒鳴りつけた。
後に横島はこのときのことを述懐してこういった。

「目には涙を浮かべて、後頭部にでっかいたんこぶをこさえて叫ぶお子様吸血鬼の姿は妙に可愛かった」




その後、むくれるエヴァをなだめすかして話をしようとした横島だったが、刹那と木乃香がいないことに気付いた。

「あれ?刹那ちゃんとこのかちゃんは来てないのか?」

「知らん、そもそもあいつらと一緒に来たわけではないからな」

その時、横島たちに来客を告げる呼び鈴が鳴り響いた。
タマモはすぐさま玄関へ駆けつけ、来客を出迎えに行ったのだが、しばらくすると困惑した顔で横島の元へと帰ってきた。

「どうしたタマモ、刹那ちゃん達じゃなかったのか?」

「いやなんというかこう・・・見てもらったほうが早いわね」

タマモの言葉に一同ハテナマークを浮かべながら玄関へと向かった。
そしてそこで繰り広げられている光景はというと。





「刹那、偏見もあるだろうけど私は祝福してあげるわよ」

「このか、いつからそんな積極的に」

「刹那さん、このかさん、これはいったい・・・」

「桜咲刹那、式には呼んでくれ。祝儀ははずんでやるぞ」

「刹那さん、このかさんおめでとうございます」

「あーなんというか・・・・美人同士だから俺的には眼福なんだが、なんかもったいないなー」

上からタマモ、アスナ、ネギ、エヴァ、茶々丸、横島の発言である。
そしてその発言の元凶はというと。

「せっちゃん好きやー」

「ああああああ横島さん、これはその、違うんですー!!!」

このかに抱きつかれて困惑した表情の刹那であった。


「なあ、刹那の姐さん。もしかしてこのか姐さんはネギの兄貴の机にあったチョコ食わなかったか?」

一同が生暖かい目で刹那達を見る中、どうやらカモはこの現象の原因に心当たりがあるようだ。

「チョコですか?そういえば食べてたような気がしますが」

「それだ!あれはほれ薬入りのチョコだから食べちゃだめだぜ」


どうやらこのかの状態はほれ薬が原因のようである。

「な!!ほれ薬だと!!!!ネギ、俺にもすこしわけ・・・ウム、ソンナ物デ人ノ心ヲアヤツッチャイケナイゾ・・」

横島が全ての男の夢を手に入れようと、ネギに交渉しようとするが。
背後からすさまじいプレッシャーをかけられ、即座にその発言を撤回した。
ちなみに刹那も微妙に気に入らないといった表情をしている。
と、同時になにかを想像したのか顔を赤くしていた。

「なあ、アスナの姐さん。姐さんもひょっとしてチョコ食わなかったか」

「あ、そういえばおきた時に食べたような」

「じゃあ、姐さんもホレ薬の影響があったんだぜ」

アスナはカモの言葉に、いままでの出来事がホレ薬のせいであると確信し、安堵のため息をついた。


「で、結局どうするの、これ」

タマモはあまりのアホらしさに頭痛を感じながら横島に尋ねる。

「ま、薬が切れるまで待つってのは・・・・」

「却下ですー!!!お嬢様は嫌いではありません、むしろ好きですが、けしてこのような関係を望んでるわけではありませーん!!」

「だ、そうよ」

「はー、しゃあないな。ホレ、使え」

横島はそう言うと、刹那とアスナに"覚"と入った文珠を放り投げた。
アスナ達は即座にその文珠を使い、ホレ薬の効果を消していった。





ホレ薬騒動が一段落した後、横島たちはようやく一息ついたのかお茶をすすっていた。

「さて、そろそろ説明してもらおうか。横島忠夫、修学旅行の件について呼び出したのだろう」

まったりとした空気に一息ついたエヴァがようやく話の本題に入るため、横島を促した。

「あ、そうだったな・・・・さて、なにから話そう」

「そうだな・・・では横島忠夫、貴様達は何者だ。茶々丸に貴様とタマモのことを調べさせても麻帆良に来る前のデータは何一つ無い。いくらなんでもおかしすぎる」

エヴァの言葉に横島達の事情を知る刹那は不安そうに横島を見た。
だが、当の横島は少々戸惑ったような顔を浮かべるだけだった。

「何者といわれてもだな、俺なんてどこにでもいる普通の男なんだが。まあ、タマモはちと特殊だが」

「貴様のようなヤツが普通にゴロゴロしてたら世界は終末を迎えとるわー!!」

「まあ、確かにコイツがそこらじゅうに増殖したらエライことになるでしょうね・・・」

タマモは横島がそこら中にいる光景を想像したのか、体を抱きかかえて身震いする。

「え、えらい言われようやな」

「それにこの私を出し抜き、そしてあのスクナを簡単に滅ぼしたお前が普通の男だと?馬鹿も休み休み言え。そもそも貴様の気は刹那達とあまりにも違う。それにタマモにいたっては九尾の狐と来ている。ふざけたセリフも大概にしないと普通という言葉が棍棒もって殴りに来るぞ!!」

「ま、さすがにもうごまかせんか」

横島はそう言うと諦めたように深いため息をついた。

「最初に言っとくけどこれから話すことは他言無用だ、特にタマモについては学園長にも秘密にしてくれ」

横島の言葉に一同は小さく頷いた。
そして横島は皆に説明していった。自らの霊能力、そしてタマモのことについて説明していった。ただし、自分達が異世界の住人であるという事は省いていたが。
話が文珠のくだりになるとエヴァは不思議そうにつぶやいた。

「結局その文珠とかいうのは、使用者のイメージを反映して望む現象を引き起こすということか?」

「ま、限界はあるけどな・・・スクナの時みたいに反則的な使用方法もあるけどな」

「しかしそのようなアイテムは聞いたことが無いぞ」

「僕も聞いたことありません、これでも日本に来る時はけっこう調べたんですけど」

「ま、そりゃそうだろうな」

「どういうことだ?」

「だってこれ俺が作ってるからな」

「「「「なにー!!!」」」」

「横島さんってすごいんやなー」

さすがに文珠のことまで聞いていなかった刹那も含めて全員が驚きの声を上げる。ただ、木乃香だけは事情が分かっているのか分かっていないのかのほほんとした表情を浮かべている。

「貴様がこれを作っているだと!ばかな、洋の東西問わずこんな非常識なアイテムの製法など聞いたことが無いぞ!この珠の製法を一体どこで学んだ!!それよりも教えろその製法を!!!」

エヴァは横島から文珠の製法を聞きだそうと横島に食って掛かる。

「いや、製法つっても・・・」

「もちろんタダとは言わん。望むだけのをくれてやる、貴様が望むのなら私を好きにしてもいいぞ!!」

なにかに切羽詰ってるのか、エヴァは自分がとんでもない爆弾発言をかましたのか気付いていないようだ。
そして、エヴァの言葉と同時にタマモを中心としてすさまじいプレッシャーが横島に浴びせられる。
ネギとアスナにカモ、そして木乃香までそのプレッシャーに打ち震え、部屋の隅ガタガタと震えていた。
ただ、刹那だけはその場にとどまり、なんとも微妙な戸惑いを含んだ表情で横島を見ていた。

「いらんいらん、そんなもん。つーか教えるの無理だし」

だが、そのプレッシャーに気付いた風も無く横島は飄々として答えた。
そんなもん扱いされたエヴァは、額に微妙に青筋を浮かべながら再び横島を問いただす。

「無理とはどういうことだ!」

「だってそれはアイテムっつーより俺の能力だし」

「は?」

エヴァは横島の言っている意味が分からず困惑する。

「ま、見てな。いまその文珠をつくってみせるよ」

横島はそんなエヴァを見て口元に笑みを浮かべながら言った。
そして横島が手をかざすと、横島の手のひらにすさまじい力が集中しだした。

「な・・・これは・・・」

横島の霊力がやがて手のひらに集まり、そして圧縮されていく。
やがてその力が珠の形を形成し、力の奔流が収まると、瑠璃色の珠が横島の手のひらに鎮座していた。

「文珠は俺の霊力を圧縮して作り出したものだ、だから俺にしか作れん」

横島はそう言うと文珠を意識下にしまいこんだ。

「そうか・・・ではその文珠を一つくれないか?もしかしたらその文珠で私の呪いも解けるかもしれない」

エヴァは自らを縛る呪いを文珠の力により解こうと考えていたようである。
だが、世の中はそう都合はよくなかった。

「うーんどうだろうなー、見たところエヴァちゃんの呪いって無茶苦茶強力なんだよなー。たぶん一つじゃ無理だろうな」

「一つでは無理だと?それでは複数で使えば解けるということか?」

「ああ、文珠は複数を同時につかえばどんどん強力になるからな、もちろん制御も難しくなるが・・・たとえば簡単な呪いなら"解"と入れればいいが、"解呪"と入れればより強力になるんだ」

「では二つくれればいいではないか」

「だから無理だって、二つ以上の文珠使用はそれこそ俺にしか出来ないんだから」

「ではお前が解いてくれないか、もちろん報酬は弾むぞ」

エヴァは横島なら自分の呪いを解けるかと最後の希望も込めて横島に聞く。

「あ、それも無理」

だが横島の言葉は無情にもエヴァの最後の希望を打ち砕いた。

「なぜだ!!貴様が使えば強力な解呪も可能なんだろうが!!」

「だから言ったろ、文珠はイメージが全てだって・・・・そもそも魔法が分からん俺がその呪いをどうやってイメージしろってんだよ」

「ぐぐぐぐぐ」

最後の、本当に最後の希望を打ち砕かれたエヴァはうなだれ、悲しそうにうつむいた。

「あー力になれなくてすまんな・・・こればっかはどうしようもないんだ」

「エヴァンジェリンさん、気を落とさないで下さい。前にも言いましたが僕がうんと勉強してその呪いを解いてあげますから」

「まあ、気を落とすなって言っても無理でしょうけど。文珠も万能じゃないってことよ、諦めなさい」

気を落とすエヴァに横島、ネギ、タマモが声をかける。
だが、エヴァはそれに答えることもなく、ただうつむいている。

しばらく痛い沈黙があたりを支配する、横島はそろそろ何かギャグでもやって空気を変えようと思案し始めたころ、唐突にエヴァは宣言した。

「よし、決めた!!!横島忠夫、貴様は今から私の弟子だ!!!」


時が止まった・・・・








そして時が動き出す。

「「「「「「は!?」」」」」」

横島を筆頭に全員は、エヴァのあまりに唐突な発言に戸惑う。
特にタマモにいたっては『何ボケてんだこのお子様吸血鬼は』といった視線でエヴァを見ていたりする。

「あのー、エヴァちゃん。もう一度言ってくれないか」

横島が皆の意見を代表してエヴァに問う。
当のエヴァはさっきまでの意気消沈振りが気の成果のようにハイテンションである。

「ん?どうした、聞きそびれたのか。しょうがないも一度言うぞ、貴様は今からこの私、闇の福音エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの弟子だ!光栄に思えよ」

「マテ!!いったいなぜに俺がエヴァちゃんの弟子にならんといけんのだ!!」

「愚問だ!貴様は魔法のことを知らない、だが魔法を理解し、私の呪いを理解すれば私の呪いを解くことが出来ると言ったのは貴様だぞ」

「いや、確かにそう言ったけど、だからなぜに俺が弟子に?」

「ええい、わからんヤツだな、貴様が私の呪いを解けるように、貴様に私直々に魔法を教えてやると言ってるんだ、感涙にむせび泣くといい。あーっはっはっはっは」

エヴァは感極まったのか、高笑いをあげる。

「だからマテや!!そもそも俺に拒否権はないのかー!!いまさら勉強なんぞイヤじゃー!!!」

「さあ、明日からビシビシしごいてやるぞ!!」

「話を聞けー!!!!」

「あのー・・・僕の弟子入りの件忘れていませんよね・・・エヴァンンジェリンさん」

横島の絶叫も、そしてネギのつぶやきもむなしく、エヴァにその言葉が届くことはなかった。



「あの、タマモさん。いいんですか?アレ・・・」

いまだに高笑いを続けるエヴァを尻目にお、大きくため息をついたタマモに刹那が話しかける。

「なんかドっと疲れがでたわ、まあ手札が増えるんならいいんじゃないの。もっともアイツがまともにエヴァの言うこと聞くとは思えないけどね」

「そ、そうなんですか」

「勉強嫌いだったからねー、アイツ。それに馬鹿だし」

「エヴァンジェリンさん、苦労しそうですね」

「間違いなくね・・・さ、刹那横島たちはほっときましょ。いまから夕食作るけど食べていくでしょ」

タマモは横島たちを見捨て、食事の準備をするためにエプロンを身に着ける。

「あ、私も手伝いますよ」

「じゃあ、お願いね。なんだったらみんなで泊まっていくといいわよ、寮のほうには横島から伝えとくから。あ、けど横島にちょっかいかけちゃダメよ」

「たたたたタマモさん!!!!」

いきなりの不意打ちに動揺し、真っ赤になる刹那。

「隠しても無駄よ、横島のこと気になるんでしょ」

「いえ、その気になるというか、あの・・・・・」

「ま、普段は馬鹿でイロイロとアレだけどさ、アイツって懐が深いというか・・・本質に気づくと例外なく好きになっちゃうのよね、大方刹那もそんな感じでしょ・・・もっとも私もその口だけどね」

タマモはペロリと下を出し、ごまかすように台所に入っていった。
刹那はしばし、タマモが入っていった台所と、横島がいる部屋の方をキョロキョロと見回していたが、まるで気合を入れるように両手で頬を叩くとタマモに続いて台所に入っていった。

「タマモさん、まだ私は自分の気持ちがよくわかりませんが、横島さんは嫌いではありませんよ」

それは現在の刹那にとって、異性に対する最大限の好意の発露であった。













「死神が料理をしているー!!!しかも包丁の扱いがうまいー!!!!!!!!!」

その後、台所から刹那の絶叫が響き渡った。
麻帆良の夜は今日も平和にふけて行った。





第20話  end







夕食の後、タマモは仮契約の説明をカモから受けていた。

「ふうん、呪文を唱えると専用の道具がでてくるのね・・・じゃあアデアット!」

タマモが呪文を唱えると、タマモの手にはただの鉄の棒が握られていた。

「なにこれ?」

「絵と違いますね・・・・でもやっぱりタマモさんてハンマーなんですね」

ネギは仮契約カードに目を落とすと、そこには巨大な大槌を持ったタマモが描かれていた。
ちなみに称号は「九つの理を知るもの」とある。

「これじゃあいつものハンマーとかこんぺいとうの方がいいんじゃない?」

「そんなはずは・・・あ、もしかして。姐さん、いつものハンマーを思い浮かべてもらえますかい?」

タマモはネギの言うとおり、いつもの突っ込みようハンマーを思い浮かべた。
すると、鉄の棒は見る見るうちに巨大なハンマーへと変わって言った。
さらにこんぺいとう1号を思い浮かべるとこんどはその形へと変わっていく。

「へー、面白いわねー。けどこれならいつもの方が使いやすいわね」

「なあ、タマモ・・・・」

「なによ横島」

「そのハンマー、いつものヤツと書いてある字が違わないか?」

横島に言われ、タマモはハンマーの先を見る、そこには『100kt』と書かれていた。

「ひゃくK?・・なにこれ?」

「あの・・・タマモさん、それってひょっとして100キロtと書いてあるんじゃ・・・」

「あ、ネギ先生意味わかるの?で、これってすごいの?」

「タマモさん、100ktといったら10万トンという意味なんですが」

なんと普段タマモが使っているハンマーの千倍の重量である。

「タマモ・・・いくらなんでもそれで突っ込みはやめてくれよ、普通に死ねる」

横島は10万トンのハンマーに押しつぶされる自分を想像し、背筋に冷や汗を浮かべていた。


一方、アスナ達はこのかの仮契約カードを見ていた。

「へーこのかのカードってこんなのなんだ、白ってこのかにピッタリねー」

木乃香のカードは白拍子のような格好をした姿が映し出されていた。
アスナもっとよく見ようとカードをじっと見ていると、あることに気づいた。

「あれ?なにこれ?」

アスナはカードの隅がすこしめくれあがっていることに気づいた。しかも、その下にはなにやら別の絵も見えている。
アスナは好奇心にかられ、誰にもばれないようこっそりとカードをめくっていった。


















「・・・・・・・・なんでこのかがカーデ・・・巫女・・・・私は何も見ていない、私は何も見ていない、私は何も見ていない」

3分後、アスナはカードが二度とめくれる事のないように強力な接着剤で貼り付け、カモにカードをつき返していた。
意味不明な言葉を発しながら。


「姐さん、なにかあったんですかい?」

アスナはカモの質問にも沈黙を守り通した、そしてこの時のことについては生涯にわたって口にすることはなかったという・・・





(あとがき)
なんとか最低週一回の更新に間に合いました。
じつは私のPCがご臨終を迎えてしまいまして、全データがクラッシュ。そして新しいのを購入したり、バックアップを復旧したりで大忙しでした。

さて、今回でエヴァが横島を弟子にすると宣言していますが、まだ横島はそのことには了承していません。
今後どのように展開していくか、私も楽しみです。
それではまた、来週更新がんばります。

二人?の異邦人IN麻帆良 「第21話 幽霊と嫉妬とロリコンと」

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