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二人?の異邦人IN麻帆良(ネギま×GS美神)「第22話 ドラゴンロード」 投稿者:九重九十九 投稿日:09/02-22:37 No.1188

「あの家か・・・」

時は深夜、暗闇に支配された空間の中で黒ずくめの男が車の中から目標の家を見ていた。

「で、調査は万全だろうな?」

男は助手席に座る相棒に話しかける。

「もちろんですぜ兄貴」

助手席の相棒、ニットキャップをかぶった小柄な男はすぐに手元の資料を渡した。

「ふん・・・若造に小娘だけか・・・簡単な仕事だな」

「まったくだ、けど終わった後はその娘と・・・オイシイぜ」

相棒の男は何か不埒なことを考えているのか、下卑た笑い声をもらした。

「ほどほどにしておけよ・・・・さ、仕事の時間だ」

運転席の男はそう言うと車から降り、相棒と共に目標の家へと向かって歩いていった。
その顔には自らの腕に対する絶対の自信がうかんでいた。















「ぎょえわあああああああああああ!!!!!!!」

「いぎゃあああああおおおおおうううう!!!!!!!」


10分後、二人が侵入した家の中から悲鳴が立て続けに二回夜空を引き裂いた。
さらにその10秒後、まるで巨大な何かを叩きつける音と共に、その家を局地的な大地震が襲った。
そして、地震が収まると玄関の扉が開き、ついさっき家に侵入した男の一人、運転席にいた男が必死に形相で外へ這い出そうとした。

「だ、誰か助け・・」

だが、体を半分ほど外に出したところで急にその動きは止まり、前に進まなくなる。

「な、なんだこれは・・・ヒッ!た、助けてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

男がつかまれた足を見ると、家の奥の暗がりから光る腕が伸び、男の足を捕まえていた。
そして男はその腕に引きづられ、家の中へと消えていった。
男が引きずり込まれると、誰もいないのに自然に扉が閉まる。

「うっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

扉が閉まってから5秒後、男の絶叫と共に夜は静けさを取り戻した。

そしてその5分後、男を飲み込んだ扉が開き、一人の少女が顔を出しす。
さらに少女に続き、眠そうな顔をした青年が顔をだした。

少女と青年は、それぞれ手にずるずると何かを引きずりながら、玄関脇のゴミ集積所にそれを放り込む。
そして二人して大あくびをした後、眠そうに目をこすりながら玄関をくぐり、家の中へと入っていった。
そして再び夜の静寂があたりを包み込んだ。

やがて、雲から顔を出した月が星明りと共にその家の玄関を照らし出す。
玄関の脇にひっそりと立て掛けられた看板が、その明かりを受けて夜の闇から浮き上がった。


その看板にはこう書かれていた。

『横島よろず調査事務所』と・・・・

ちなみにそのころ、ゴミ集積所に捨てられた人っぽい物の上で、死神が二人の魂を回収するかどうか悩んでいたという。







その日の朝、横島はタマモが焼いたトーストをかじりながら朝のTVを見ていた。
その番組は定番のスポーツ特集やトレンド情報、天気予報を終えるとその日のニュースを放送しだした。

その日の最初のニュースは、全国指名手配されていた凶悪な連続強盗殺人犯が逮捕されたことだった。

「へー、この前ニュースで言ってたヤツ捕まったんだ」

横島テレビを見ていると、制服姿にエプロンといういでたちののタマモが、目玉焼きにベーコン、レタスを乗せた皿を二つ持って横島の対面に座った。

「みたいだな、しっかし凶悪なツラしてやがんなー。町であったら俺は間違いなく目をそらして道を譲るぞ」

横島は自分の前におかれた目玉焼きに醤油をかけながらつぶやく。

「何情けない事いってんのよ、それよりこの番組じゃなくて、み○さんが司会やってる番組にしてよ」

<この連続強盗犯は本日未明、麻帆・・・>

「へいへいっと・・・」

横島はぼやきながらチャンネルを変える。
一瞬聞きなれた地名が聞こえたような気もしたが、とくに気にする事はなかった。
今はただ、目の前に置かれた美味なる朝食を咀嚼する事に集中するのみである。






そのころ、警察病院で刑事らしき男が頭を抱えていた。

「いやだあああああああ!!!!来る、金色の悪魔が来るぅぅぅぅ!!!!ハンマーはいやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「来るなぁぁぁぁ!!バンダナがぁぁぁぁぁ、ライト○イバーは、ダル○ムはいやぁぁぁぁ!!」

昨夜、横島邸に進入した勇者・・・もとい、指名手配中の連続強盗殺人犯は現在、ベッドの上で包帯を体中に巻いてうめいていた。


「先生、二人からもう一度事情を聞きたいのですが、なんとかなりませんか?」

「無理だね、なにが原因か知らないがひどい精神的傷害を負っているようだ。特に金色とハンマー、さらに光にひどく脅えている。いったいさっき何があったんですか?」

「普通に調書とってただけなんですけどね・・・・」

どうやら犯人の二人組みは一度警察の事情聴取を受けたが、その途中で発作を起こし、現在の状況のようになったようである。

「しっかし事情が聞けないとなると、この調書を提出しないとならんのか・・・・こんな調書上に出したらクビになっちまう」

刑事は先ほど、まだ二人が比較的まともだった状態の時に取った調書に目を落とした。

「家に侵入すると、どこからともなく巨大な鈍器の様な物を持った金色の悪魔が背後に現れ、命からがら逃げ出すとそこでは『光りの剣』を手にした青年に切りかかられ、さらに頭上にドクロの顔をした黒い影が舞い踊ったのを最後に記憶が無い・・・・か、こんなもん提出できるかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

刑事は調書をビリビリと破きながら天に向かって絶叫する。

「病院は静かに!!!!」

「ぐへ!!!!」

刑事はしばしの絶叫の後、院長のやたらと滞空時間が長い上に、ひねりまで加わったドロップキックにより沈黙した。
この院長もかつて病魔に勝つためにプロレス道場に弟子入りした口かもしれない。

「かかってこいオラー!!」

しかもヒールのようだ・・・・





第22話  「ドラゴンロード」




「で、エヴァへの弟子入りテストが茶々丸に一撃入れることになったのね」

放課後、タマモの目の前でネギとクーが組み手を行っている中、タマモはカモに話しかけた。
ちなみにネギ達の横で刹那とアスナが剣術の練習を、そしてなぜか佐々木まき絵が新体操の練習をしていた。

「ああ、土曜日に改めて試験をやるって言ってたぜ、しっかし妙にエヴァンジェリンの機嫌が悪かったなー・・」

「あれからずっとヨコシマを弟子にしようと動いてるみたいだけど、肝心のヨコシマにその気がないからそのせいじゃないの?」

タマモが再びネギの方を見ると、ちょうど視界をふさがれ足払いをかけられるところだった。

「あれで大丈夫なの?」

「一応勝つ必要は無いからな・・・けどだいぶマシになったぜ」

タマモは頭の中でネギと茶々丸の戦闘をシュミレートしてみるが、どう考えても現在のネギが茶々丸に一撃を入れるのは無理という答えしか出てこなかった。



「ふー、今日はここまでアルね」

ひとしきり練習が終わったのか、クーがネギを引きつれタマモの元へとやってきた。
それに合わせるかのようにアスナ達も練習を終え、タマモの元へと集合する。
やがて、あたりはお茶会のような喧騒につつまれていった。


「ねえクーちゃん、ネギはなんとかなりそう?」

「んー、ネギ坊主は反則的に物覚えがいいアル。普通なら2~3ヶ月で覚える物を2,3日で覚えたアル」

「じゃあ、茶々丸さんとの試合もなんとかなりそう?」

「正直時間が足りないアルね、なんとか土曜日まで稽古はつけるアルが」

アスナの質問にクーはすまなさそうに答える。

「せめて隠し玉になる必殺技か裏技でもないと難しい・・・か」

タマモはクーの言葉の後を継いでアスナに答えた。

「そうアル、いくつか技の練習方法は考えているアルが、時間がなさすぎね」

「ちなみにどんな修行なの?」

「一応道具は持ってきているアルが・・・・」

タマモの言葉に、クーは持ってきていた巨大な風呂敷包を開いた。

「「「「「布団?」」」」」

クーが取り出した物を見て、唖然としてつぶやいた。
というかアレを担いで寮から学校まで来たのであろうか・・・

「そうネ、これをこの木の枝に引っ掛けて・・・出来たアル」

「・・・・・・これで何をするの?」

「この布団に拳をつけた状態で打ち抜く修行ネ、これが出来たらどんな密着状態でも最大の打撃を打ち込めるアル」

「それって虎砲・・・・」

クーの説明に刹那がつぶやく。

「そんなの無理に決まってるじゃないのー!!まして土曜日までなんて絶対に無理!!」

「ちょっとやってみますね」

アスナの叫びを他所に、ネギは好奇心を刺激されたのか吊るされた布団へと近づき、拳を布団に当てて打ち抜く。
だが、その拳は布団埋まるだけで布団はビクともしなかった。

「あははは、やっぱりダメでした」

「当たり前でしょ、だいたいそんなこと不可能に決まって・・・・」

アスナは最後まで喋ることが出来なかった。
なぜなら、途中でアスナの背後から何かやわらかい物を打ち抜いた音が響き渡ったからである。

「「「「「・・・・・・・・・」」」」」

アスナの前にいた刹那、クー、ネギ、まき絵、カモはアスナの背後に視線を固定したまま目を大きくおっぴろげていた。
アスナは恐る恐る振り返ると、そこには布団に拳を貫通させたタマモがキョトンとした表情でアスナ達を見ていた。

「以外に簡単に出来るのね、それにけっこう面白い」


「「「「「「できるかぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」」

この時、タマモを除く全員の心が一つになったという。






次の日の朝、まき絵は練習場所の広場で呆然とつったっていた。
ちなみにネギはまき絵の後ろでカタカタと小刻みに震えている。

そしてまき絵達の前方には、とてもイイ笑顔のクーとタマモ、そして眠そうな顔をした横島がいた。

「あの、なんでタマモちゃんとお兄さんが?」

「あ、なんか面白そうだったからね、それでヨコシマは特訓用道具の荷物持ち」

まき絵はタマモの説得に一応納得するが、ネギは相変わらず震えている。

「ネギ先生どうしたの?」

「お・・・恐れていた事が・・・あのクーフェさん。」

「何アル?」

「ひょっとして今朝の修行はタマモさん達が?」

「そうアルよ、昨日ネギ坊主が帰った後、二人で修行方法を考えていたアル。昨日は失敗したけど今日は大丈夫ネ」

「あ!なんか急にお腹が!!というわけでクーフェさん。今日は僕帰りますね」

ネギはそう言うと、シュタっと片手を上げながら回れ右をして駆け出した。

「あら、お腹が痛い割にはずいぶんと元気良さそうね」

だが、すぐにタマモに回り込まれた。

「ネギ、諦めろ。俺だって今日は寝ていたかったんだが、なんかタマモが妙に乗り気でな。食を握られてる身としては逆らえんのだ」

横島は気の毒そうに言うと、ネギをひょいとつまみ上げ、肩に担ぎ上げた。

「というわけでネギ先生、朝は私達が徹底的に基礎体力を、午後はクーちゃんが実戦形式で鍛える事になったからね」

「いやあああああああああ!!僕は横島さんみたいに人外魔境の境地に逝きたくありませーん!!それに授業がー!!!」

「はっはっはっネギ、なんか今のセリフで急に俺もやる気が出てきたぞ・・・大丈夫だ死にかけたら文珠で直してやる、体力だってバッチリ元に戻るぞ」

横島は額に青筋を浮かべながらとてもイイ笑顔でネギに答えた。
目は少しも笑っていなかったが。

「アスナさん助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」




「ん?なんかネギに呼ばれたような・・・・そんなわけないか」

ネギの叫びは配達中のアスナには届かなかったようである。




一日目(水曜日)

「いやああああああああああ!!!」

「はーい叫んでる暇があったら腹筋を続けないと大変よー」

「んー、もうちょっと火力増やすか」

「ちょっ、やめ!熱!燃えるー!!」

ネギは現在、体力の限界に挑戦させられていた。
その修行内容はというと、木の枝に足を固定されて逆さ吊りの状態になり、その下でネギを火で焙るという状態である。
ネギは炎から逃れるために、強制的に腹筋とエビ反りを繰り返していた。

「うーんまだまだ余裕あるわねー」

タマモはネギの限界を正確に見極めているようである。
ちなみにタマモの手には、師匠から修行という名の拷問を受ける幸薄い高校生が描かれているマンガが握られていた。

「熱!髪が燃えるー!!」



二日目(木曜日)

「よ・・横島さん、もう僕限界です・・・」

「大丈夫だネギ、もう少ししたらその苦痛は消える」

「ほ・・・本当ですか・・・」

「ああ、人間限界を超えると脳内麻薬が分泌されて苦痛を取り除くように出来ているんだ。もっともその後は地獄の苦しみなんだが」

「はいはい二人とも、喋ってないでとっととこぎなさい!ネギ先生、スピード落ちてきたわよ!!」

ネギは現在麻帆良学園を2時間にわたり時速80kmで自転車をこいでいた。
普通お子様用自転車どころか、レーサ用で峠の下りでもない限りは不可能な速度だが、自分への魔力供給でなんとかしのいでいた。

「いやだああ!!!もう無理ですー!!横島さん、お願いですからこれ解除してくださーい」

「あー・・・気の毒だが無理、昨日言ったがタマモが乗り気な以上俺じゃ何も言えん・・ネギ、食とカネを握られたら男は何も出来んぞ・・」

ネギはほとんど泣きながら自転車のサドルを見る、そこにはサドルから剣山のごとく針が伸びていた。
よく見ると、ネギの足も逃げ出せないように固定してある。

「かつて俺が喰らった呪いだ・・・刺さると痛いからなー。ま、死ぬ事はないから文珠が切れるまであと一時間がんばってくれ」

ネギの状況は、自転車から逃げ出せないようにされ、文珠により時速80km以下になると、ネギの尻に剣山が突き刺さるという凶悪な呪いを文珠により自転車にかけられていた。

「な・・・なんで横島さんは平気なんですか・・・」

ネギはすでに体力も魔力も限界なのだが、なんとか気力を振り絞りペダルをこぎ続ける。
一方横島はタマモと二人乗りをしながら涼しい顔でネギと走っている。

「なんでと言われても、慣れとしかいえないよなー」

「横島さん・・・・前から・・思ってたんですけど・・・本当に・・・人類ですか?」

ピキ・・・

ネギの言葉に昨日に引き続き横島は額に青筋を浮かべた。

「はっはっは、まだ余裕がありそうだな、じゃ設定速度を10キロあーっぷ」

「そんなぁああああああああああ!!!!!!!」

その日、麻帆良を駆け抜ける二台の自転車が風になった。







三日目(水曜日)

「あのー横島さん?タマモさん?」

「なんだネギ」

「僕はいったいこれから何をされるんでしょうか・・・ていうかこれはいったいどういうことですかぁぁぁぁぁぁ!!!」

ネギはここ最近癖になりつつある絶叫をあげた。
なんかこうイロイロといっぱいいっぱいのようだ。
ちなみに現在のネギは、どこから手に入れてきたのかゴツイ服を着せられ、なにやら木製の円筒形のようなものにグルグル巻きにされている。

「明日はいよいよ本番でしょ、だからネギ先生の基本防御力の強化が目的よ」

「説明になっていませーん!!だいたいこれでどーやって防御力を強化するんですかぁぁぁぁあああ!!」

「はっはっは安心しろ、ちゃんとその辺は考えてある。万が一のための文珠もバッチリストックしてあるぞ」

「それって重症確定って意味ですか?僕に死ねと言ってるんですね?ていうか横島さん絶対に楽しんでるでしょう!!!!」

ネギはタマモが転校してきてより鍛えに鍛えられた直感により、己に死亡フラグが立っていることを性格に把握していた。

「あの、タマモの姐さん、横島の兄貴・・・・なんでおれっちまで・・・」

ネギが泣き叫ぶ横でカモが呆然とつぶやく。
そのカモもネギと同様に円柱に縛り付けられていた。

「カモ・・・アスナに聞いたけどまた下着ドロやったらしいわね・・・」

「しかもご丁寧に俺を犯人に仕立て上げてな、証拠の下着を俺のベッドにおいていきやがって・・・ちょっぴり嬉しかったがそのおかげで、昨日タマモのアーティファクトの機能を存分に堪能する羽目になっちまったんだぞ」

「というわけでカモ・・・あなたは私の直接のお仕置きと、ネギの修行に付き合うのとどっちを選ぶ?」

「そんな究極の選択はいやだぁぁぁぁ!!!!」

カモはネギと同じように泣き叫んだ。

「ちなみにお仕置きは私のハンマーで叩き潰す予定だけど・・・食らってみる?100ktハンマー、しかも追加効果もバッチリよ」

「ぐ・・・そ、それじゃあネギの兄貴の修行に付き合うぜ、まだそっちのほうが命があるかも」

「じゃあ決まりだな、それじゃあネギにカモ、この文珠離すんじゃないぞ」

横島はネギとカモに一つづつ文珠を手渡した。
そして横島はそのまま円柱の下部にに文殊を埋め込んでいく。

「さて、ネギ!この修行が卒業試験だ!!これもかつて俺がやったことだが、生きて帰ってくればかなりの耐久力がつく!それに俺の時とちがってちゃんと手加減してあるから大丈夫だ・・・・・・たぶん」

「たぶんって何ですかぁぁぁぁ!!それに手加減って言ってもどうやってするんですか!!」

「大丈夫だって、成層圏までしか打ち上げないから」

「成層圏てナニ?!ていうか本当に生身で大気圏突入やるんですかあああああ!!!」

「それじゃあヨコシマ、発射!!!」

「おっけー、点火!!!!」

横島の言葉とともに円柱の中央に配置された"爆"の文殊が発動した。
さらに回りに配置された"翔"の文殊でその爆発力を受け継ぎ、ネギとカモを乗せた円柱はロケット並みの加速力でグングン上昇していく。
ちなみにネギとカモに渡された文殊は"冷"である。

「「いやあああああああ!!!!!!!!!!」」

「打ち上げ成功ね」

「完璧だな、あれなら成層圏ぶちぬけるかもな」

横島とタマモは上昇していくロケットを見上げる。

「横島さん達のばかああああ!!絶対に生きて還ってやるぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

三日間の修行でずいぶんとたくましくなったものである。


3時間後、学校が始まる前に無事ネギは回収されたことを追記しておこう。

「あはははははは・・・・地球って赤いんですね、これで三倍です」

炎に包まれたネギには地球は赤く見えたようである。何が三倍なのかは不明であるが。







当日(土曜日)

「ネギ・スプリングフィールド、弟子入りテストを受けに来ました!」

ネギは世界樹前の広場でエヴァ達を待ち受けていた。
なぜかネギの背後にはアスナ達はもとより横島にタマモ、さらにまき絵にアキラや亜子、明石が応援に来ていたりする。

「よく来たなぼーや、では早速はじめよう。お前のカンフーもどきで茶々丸に一撃でも入れられれば合格、手も足も出ずくたばればそれまでだ」

「その条件でいいんですね?」

ネギはエヴァの条件を聞くと不適に笑う。

「ん、ああ・・・なんか妙に自信ありげだな」

「この一週間の修行の成果を見せてあげます!朝はタマモさんと横島さんの拷問のおかげで、午後のクーフェさんの修行が天国の安らぎに感じられるほどでした!!」

「なあ、ぼーや・・・・いつぞやは横島兄弟に修行つけられるのがイヤだから私の弟子になるとほざいてなかったか?私の弟子になるために横島兄弟の修行を受けるというのは本末転倒と言わんか?」

「・・・・・・成り行きです・・ええ、成り行きだったんです!!けど今日で・・今日であの地獄とおさらばできます!!生身で大気圏突入することも、自転車で新幹線をぶち抜くことももうないんですうううううううう!!!」

ネギは感極まったのか、ネギは涙を流しながら神にむかって祈りだした。

「よく生きていたな・・・なんかお前がこの前言っていたことの意味がようやく理解できた気がするぞ、確かに私のほうがまだましかもしれんな・・・」

「というわけで茶々丸さん!いきますよ!!」

ネギはひとしきり神に祈りをささげた後、気を取り直して茶々丸にむかって構えた。

「それでは始めるがいい!!」

エヴァの号令とともに茶々丸とネギの壮絶な戦いが幕を開けた。









「う・・・・・・・」

小鳥の鳴き声があたりひびき、朝日がネギを照らし出すころ、ネギは目をさました。

「あ、ネギ大丈夫?」

「僕は・・・テストは?」

「合格だよネギ君」

ネギを膝枕したまき絵がネギに試験の結果を伝える。

「ふん、負けたよぼーや、面白いものも見せてもらったしな、約束どおり稽古はつけてやる。いつでも小屋にくるといい。ああ、それとカンフーの修行は続けておけ、どの道体力は必要だしな・・・いや、むしろカンフーより横島兄弟の修行をつづけたほうがいいかもな・・・」

エヴァはそう言うと茶々丸を引きつれ、家へと帰っていった。

「ありがとうございま・・・・・・ってタマモさん達との修行はもういやあああああ!!!!!!!」

エヴァの弟子として正式に認められたネギ、はたして彼にやすらぎの時はくるのであろうか・・・・彼の内面世界に三途の川が形成される日も近いかもしれない。





第22話   end






「しかしネギ先生がんばったわねー」

「ああ、正直あそこまで修行の成果があるとは思わなかったな・・・」

横島とタマモは、ネギと茶々丸の勝負が終了すると二人で家路についていた。

「4時間も茶々丸に打たれ続けて持ちこたえていたもんね、スタミナと防御力に重点置いたのは正解だったわ」

「まったくだ、しかも最後は見事に決めてたしな」

横島はネギが最後に茶々丸に決めた技を思い浮かべた。




4時簡にわたって打撃を受け続けたネギは、すでに満身創痍であったが、その目は死んでいなかった。
だが、技術に圧倒的な差がありすぎた。
いかにネギのスタミナ、防御力が横島並みに近づこうとも、肝心の攻撃があたらなければ意味がなかった。

やがてネギが茶々丸に上に向かって吹き飛ばされ、天高く舞い上がる。
やがて、上昇が止まり落下するネギはふと昨日のことを思い出した。生身で成層圏を突破し、大地に落下する瞬間を・・・・

「いやだあああああああああ!!!!!」

ネギは最後の魔力を自らに供給し、そして不思議なことに重力を無視して無理やり落下軌道を変えた。
それは見る人が見たら虚空瞬動という技であると気づく。
事実エヴァはそれを見逃すことはなかった。

そして落下軌道が変わったネギはそのまま茶々丸の攻撃をかわし、腕を十字にクロスさせて茶々丸に体ごと飛び込んだ。
それはまさしく『天空×字拳』であった。
ネギは茶々丸に攻撃を叩き込んだことを確認すると、そのまま力尽きたように崩れ落ちた。



「ねえヨコシマ、今日は帰ったら何するの?」

横島がネギと茶々丸のことを思い浮かべていると、その顔を覗き込むようにタマモが声をかけてきた。
その顔があまりにも近く、横島は一瞬心臓が跳ね上がる。

「き、今日か・・とりあえずしばらく寝たらナンパでも・・・・・・ってタマモさんナゼ突然ハンマーを構えてらっしゃるのでしょう・・・」

横島はタマモに一瞬ドキッとしたことを悟られないよう、ポケットからハンカチを取り出し、汗をぬぐう。
だが、それと同時にタマモの表情がみるみるうちに険しくなり、やがてアーティファクトを具現化し、それを使い慣れたハンマーの形状に変える。

「ヨコシマ、あなたがその手に持つものは何かしら?」

「何ってこれはハンカチ・・・・・・ってしまった!!これはカモからワイロでもらったしずな先生の下着・・・・じゃなくてカモが俺を陥れるために入れたものですよ・・・タマモさん」

「ふーんカモがねー」

「そうなんだよ、あはははは。あいつはまったく懲りないヤツだなー」

タマモのうろんげな瞳が横島を射抜く、その視線に横島は冷や汗をダラダラと流し始めた。



「そんなごまかしが通用すると思うかぁああ!!!食らえ、天誅ぅぅぅぅぅぅ!!!」

タマモはハンマーに雷をまとわせ、横島に叩き込んだ。
ちなみにこの時、ハンマーの重量表記が『1Mt』と表記されていた。


「ぎゃああああああああ!!!!!!」


土曜日の朝、メガトンハンマーを叩き込まれた横島の絶叫が響き渡った。





(あとがき)
ネギ弟子入り編がこれにて終了しました。
ちょとネギをいじめすぎたような気もしますが、ネギファンの方はご容赦ください。
それに見合うだけのパワーアップはしているはずですから・・・たぶん。

さて次回はダンジョンかな

二人?の異邦人IN麻帆良 「第23話 地下迷宮の宝物」

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