魔法先生ネギま! ギターを持った少年3話(×人造人間キカイダー、オリ有り) 投稿者:蟋蟀男 投稿日:04/08-04:59 No.82
「ネギ君・・・どうしてここに?」
「僕はまき絵さんの担任ですから・・・」
「担任? ネギ君、君はまだ子供だろ・・・なんで教師になんか?」
「修行として、日本で教師になるようにって・・・それより、まき絵さんに一体何が?」
ジローは先ほどのことをネギに話す。
自分が近くにいながら、まき絵に危害が加わったことをジローは悔やんでいた。自分に魔力を感知することが出来ずに、追跡も出来なかったことをネギに頭を下げて謝る。
「すまない! 俺が不甲斐無いばかりに・・・この少女にも怖い思いをさせてしまった」
「そ・・・そんな、頭を上げてください! ジローさんは6年前、父さんと一緒に僕たちの村を助けてくれたじゃないですか!」
そう、ジローはナギと共にネギの住む村を救ったのだ・・・ジローはその後ナギと別れ光明寺博士たちの住むヨーロッパに向かい、今に至るのだ。
根が真面目なジローは自分の犯した失態が許せない。過去、それを逆手に取られ、悪魔たちに服従回路を強化され、操られたのだ。
「と・・・とにかく、ジローさんが見た吸血鬼って一体どんなのでしたか?」
「そう・・・だな・・・ロボットではないな・・・知っての通り俺は魔力は感知出来ないが、魔法使いであることは間違いない。ただ・・・」
「ただ?」
「アレは大人ではないな・・・見た目は子供・・・女の子だったな。チラッとしか見えなかったが、まず間違いない」
ジローの手がかりだけでは、犯人が割り出せない・・・小さな女の子はこの痲帆良には数え切れないほどいる。
再度、ジローが自虐に走ってしまう・・・
「すまない・・・魔法関係となると、俺は何の役にも立たない・・・」
「そんな事はないですよ! とにかく、ジローさんだけが目撃者なんです、明日は僕と一緒に桜通りを見張りましょう、僕と一緒なら魔力が感知できますから!」
「あぁ、そうさせてくれ」
その後、医務室を後にしたネギは偶然ジローと帰り道が一緒だったらしく、サイドカーで送ってもらうことになった。
「そういえば、俺は今度、ここの音楽教師と2-Aの副担任として働くことになったんだが・・・」
「えっ! 本当ですか? 3-Aって僕のクラスですよ!」
「なるほど・・・学園長が俺のよく知る人物とは言っていたが・・・ネギ、お前のことだったのか。
っと、ここでいいんだな?」
「はい、有り難う御座います。ジローさん」
「ん?」
「明日は犯人を捕まえましょうね! それじゃ、お休みなさい!」
ネギが寮へ入っていくのを見送った後、ジローはアキラとルミの家へ帰る。
ふと思い出したように、ジローは呟く。
「あそこ・・・女子寮って書いてあったよな?」
ネギも大人になったか・・・と妙な誤解をしてしまうジロー。
この誤解を解いたのは、この吸血鬼騒ぎが一段落ついてからだという事は、また別の話。
家に着いたジローはばれない様に、家に入っていく・・・どうやら、二人ともグッスリと眠っているようだ・・・ルミの方は布団がグチャグチャだったので、掛けなおしてやる。
やれやれ・・・と呟き、小さな笑みを浮かべるジロー。この子たちはもうダークともシャドウとも関係ない・・・利用しようとする者は誰であろうと二人には指一本触れさせないと誓う。
―翌日
「それじゃ、ジロー兄ちゃんいってきます!」
「行ってらっしゃい、ルミちゃん」
アキラは朝練ですでにいないので、ルミを見送っる。
「さて・・・俺もそろそろ行かないとな・・・」
ジローは教材を鞄に詰め、サイドカーを走らせる。今日は2-Aの副担任として、着任する日だ。
自信はないが、少し楽しみしながら、痲帆良学園へ向かう。
「え~と、此方は光明寺ジローさんで、このクラスの副担任として着任していただきました」
「どうも、音楽教師、工学部顧問として勤めさせてもう、光明寺ジローだ。多分あの学園長のことだから、すでに知っている生徒もいるだろうが、これからもよろしく頼む」
楽天家のような格好をし、ゴーグルを掛け、ギターを背負うといったジローの姿に一同は静まりかえる・・・が、すぐに質問の嵐がジローを襲った。
「皆さん、落ち着いてください! それじゃ、この時間は質問タイムにしますので、ジローさん」
「あぁ・・・それじゃ・・・手を上げてくれるかな?」
皆、一斉に手を上げる。
ジローは迷いつつも、名簿を見ながら当てていく。
「それじゃ・・・二番の明石裕奈」
「ジローさんって何歳なんですか?」
初っ端から、返答に困ってしまう質問である・・・完成して数十年はたつが、見た目とかけ離れてしまう。迷った挙句、ジローは何時か本で読んだことのある言葉を口にする。
「え・・・永遠の二十歳だ」
「え~本当のこと教えてくださいよ~」
本当の事を教えてしまうと、人間でいう十二、三歳に当たってしまう。さすがにジローもそれは恥ずかしいので、はぐらかす。
「秘密があるほうがカッコイイだろ? 次・・・二十四番、葉加瀬聡美」
「あの! 光明寺ってあの有名な光明寺博士とご関係が?」
「俺の父だが?」
コレは間違いではない。
「本当ですか? あの、一度でいいので光明寺博士とお会いできないでしょうか?」
工学部に通っている者たちにとって光明寺博士は憧れの的である。それは聡美とて例外ではなかった
「すまない、父は病にかかっていてね・・・でも、後で工学部に顔をだすから、その時に父から預かったビデオレターを見せてあげるよ」
歓喜の声を上げる聡美。
次にジローが当てたのは、パパラッチこと朝倉和美だった。
「ジロー先生は、今まで付き合ってきた女性は?」
「いないよ。憧れだった人はいるけどね」
「なるほど・・・なんの捻りもないですが、特技は?」
「ギターかな? 一応音楽教師だから・・・後はトランペットとかも練習したかな、ダブルネックギターも最近は練習して弾けるようになったかな?」
いい終えると同時にチャイムが鳴る。
和美はまだ質問したがっていたが、またの機会でもと思い、諦める。
「それじゃ、ネギ君、今夜な」
「はい、お願いします」
ふと、ジローは見覚えのある少女に気がつく・・・
「あれは・・・昨日の・・・」
ジローはエヴァと茶々丸の席に行く。
どうやら、向こうも気がついたようである。
「はっ、まさかお前が副担任とはな・・・」
「やぁ、絡繰茶々丸でいいんだよね」
「はい、よろしくお願いしますジロー先生」
「私は無視か!」
その声にやっとエヴァの存在に気がつくジローだった。口には出さないが、背が低かったので全く見えなかったのだ。
「なんだ、お前もいたのか・・・それにしても中学生ねぇ・・・まぁ、もう俺を破壊しないよにしてくれよエヴァンジェリン」
そう言って、教室を後にするジロー。
数分後、あることに気がつくジロー・・・昨日見た、吸血鬼の特徴とピッタリ一致するのだ・・・それに彼女は魔法使いである。
「まさかな・・・偶然かもしれんが・・・一応ネギ君には報告しておくか・・・」
あまり人を疑うことをしないのは、ジローの良い所でもあり、悪い所でもある・・・
「えぇ~! エヴァンジェリンさんが犯人?」
「声が大きい!」
ハッと口を塞ぐネギ・・・どうやら誰にも聞かれなったらしい。
だが、まさか自分のクラスの生徒が魔法使い、それも吸血鬼騒ぎの犯人かもしれないという事は、ネギの頭を混乱させた。
信じたくないのはジローも同じだが、あれ程、条件にピッタリなのはそうそういない。
自身も彼女の魔法を身に染みている・・・
「信じたくはないが、要注意だな・・・それじゃ、俺は工学部に顔出してくるから・・・迂闊に手をだすなよ」
エヴァの事も気にはなるが、それは今夜だ・・・今は工学部に顔を出すことにする。
大学工学部の研究室に着いたジローは部員を集め、自己紹介と光明寺博士のビデオレターを上映する
「どうも、今度からこの工学部の顧問になることになった光明寺ジローだ。今日は君たちの憧れでもある、光明寺博士からビデオレターを預かっている・・・君たちにささやかな宿題を授けよう」
そう言って、ビデオをデッキに入れる・・・映ったのは、白衣姿の光明寺博士だった。ちいさな咳をし、光明寺博士は話し出す。時々、ペットロボットが画面を横切るが、あえて気にしないでおこう。
『え~・・・痲帆良工学部の諸君、君たちの活動は友人でもある、学園長から聞いておる。学生が作ったとは思えんほど、素晴しい作品ばかりじゃ』
部員たちは憧れの光明寺博士に褒められ嬉しそうな顔をしているが、彼らはその後、徹夜に悩まされ続けることになる・・・・・・
『では、君たちに宿題を授けよう・・・コレじゃ』
電子ボードに映し出されたのは、一般人が見ても理解できない、難解な方程式・・・因みにコレは開発初期のジローのボディの設計図を暗号化したもの・・・さすがにブラスターや電磁エンドなどの武装ははずされているが、学生では到底不可能な―技術的にも金銭的にも―スペックが写されている・・・そう、暗号を解読してもさらに難解な設計図・・・光明寺博士の悪戯(すぎる)である。
『では、学生諸君、このビデオレターは三分後に消去される。メモの用意は言いかね? ではカウントダウン・・・』
皆、一斉にメモを取り始めるが、ペットロボが電子ボードの前を意図的に飛び跳ねるので、なかなかメモを取ることが出来ない。遂に時間きて、ビデオレターは消去される・・・・・・
何人かメモを取ることが出来なかったが、取ってもまず解読は不可能である・・・そうジローは踏んでいた。
「それじゃ、皆、協力しあって頑張ってくれ」
多分無理だと思うけど・・・と思いつつ、研究室を後にする。まさか、この中の一人・・・聡美が自力で解読するとは思ってみなかったが・・・・・・
因みにアキラとルミの家に住むことになったジロー。自宅となった家に帰宅する。
「ただいま~」
「お帰りなさい。ジロー兄ちゃんが先生になるなんて思ってみなかったよ!」
「本当、なんで昨日黙ってたの? 私のクラス、2-Cだから今度会いにきてよ!」
やはりこの双子を見ていると、心が和む・・・この子たちにはもう、幼い日の思いをさせてはいけないのだ。
「二人とも、今日はちょっと仕事があるから夜出かけるけど、ちゃんと留守番しているんだよ?」
「大丈夫だよ! ルミはわかんないけど・・・」
「私は子供じゃないよ! アキラの面倒は私が見るから、大丈夫!」
「ははは、大丈夫なようだね・・・それじゃ頼むよ」
そして夜になり、ネギと待ち合わせしていた場所へと移動する。
どうやら、ネギはまだ来ていないようだ・・・しかた無いので、そのまま待つことにする。
「さて・・・ん? あれは・・・宮崎のどか・・・来た!」
「きゃぁぁぁぁ!」
「待てぇ、吸血鬼!」
今まさに、のどかに襲いかかろうとする吸血鬼。その間に割り込む、ジロー。
「ジローさん!」
「ネギ君! のどか君を!」
遅れて、ネギも到着する。
月明かりと電灯にともされ、吸血鬼の顔が判明する・・・・・・
「やはり・・・お前が」
「そんな、エヴァンジェリンさん!」
「フッ・・・こんばんわ・・・ネギ先生、ジロー先生」
彼らの前に立ちはだかるのは、不敵な笑みを浮かべるエヴァンジェリン・・・・・・
ネギは杖を構え、ジローはマシンガンを向ける・・・
次回予告
遂に激突するジロー、ネギとエヴァンジェリン・・・だが、そこへ謎のロボットが割り込む!
自らをシャドウ破壊ロボと自称する怪ロボット・・・滅んだはずのシャドウのロボットが一体何故?