魔法先生ネギま! ギターを持った少年4話(×人造人間キカイダー、オリ有り) 投稿者:蟋蟀男 投稿日:04/08-05:00 No.83
「エヴァンジェリン! 何故こんなことをする!」
「そうです! 同じ魔法使いなのに、何故こんなことを!」
「この世には・・・・・・良い魔法使いと、悪い魔法使いがいるんだよ・・・先生方」
ニヤリと冷たい笑みを浮かべるエヴァ。
魔法薬を投げつけ、呪文を詠唱する。
「氷結・武装解除!」
「ちっ・・・・・・」
ネギとのどかの盾となるように、ジローが前に立つ。
両腕の裾などが粉砕するが、元々人体には害が出ない魔法である、ジローには傷一つない。
「フフフ・・・・・・」
霧が出現し、姿が見えなくなるエヴァ。
ネギとのどかにはどうやら、被害はなかったようだが、ジローの場合はこの服一着だけなのだ。
捕まえたら、弁償させる・・・と決意するジロー・・・
「ネギー!」
「何や今の音? ネギ君、ジロー先生」
「吸血鬼が出た! 宮崎を頼むぞ、神楽坂、近衛!」
「身体には影響はないはずです・・・何とか、誤魔化しておいてください!」
先ほどの音を聞いて、何事かと駆けつけた、アスナとこのかに気絶したのどかを二人にまかせ、ジローとネギはエヴァを追う。
気付いた、エヴァは橋を飛び越え、空を舞う。
「飛んだ! ただの魔法使いじゃないぞ!」
「ジローさん、杖に掴まってください!」
「その心配は無用だ!」
ネギは杖で空を飛び、ジローは足の裏のジェットで空を飛ぶ。
「ロボットか・・・・・・リク・ラク・ラ・ラック・ライラック、氷の精霊17頭・集い来たりて敵を切り裂け・『魔法の射手・連弾・氷の17矢』」
17本の氷の矢が二人に襲い掛かる・・・が・・・それは何者かの手によって、防がれてしまう。
「なに! 貴様、何者だ!」
三人の戦闘に割り込んできたのは、白い鎧を纏ったロボット・・・ジローはそれに見覚えがあった・・・滅んだはずのシャドウロボ・・・シャドウナイトそのものだった。
「シャドウナイト・・・生きていたのか!」
「キカイダー・・・久しいな・・・何年ぶりかな?」
「ふざけるな! 何故、お前が生きている! シャドウは滅んだはず!」
そう、シャドウは本拠地とともにダークの秘密兵器『アーマーゲドンゴット』によって、滅んだはずだった・・・だが、そのシャドウの幹部であるシャドウナイトが今、目の前にいる。
シャドウナイトは不気味な笑い声を上げ、そのモノアイを大きく見開く。
「ははは! 確かに・・・だが、本拠地があのようなお粗末な山だけと思ったら大間違いだ! だが、ビックシャドウ様はあの本拠地で、戦死した・・・だが我らシャドウ構成員はシャドウの復活を目指している! 手始めに、プロフェッサー・ギルの遺子、アキラとルミを頂きに来たのだが・・・まさか貴様が護衛をしているとはな・・・・・・」
「二人はもう関係ない! ネギ君、エアヴァンジェリンは任せたぞ!」
「えぇ! わ・・・わかりました!」
ジローはシャドウナイトに突進し、ネギ、エヴァから遠ざかっていく。
数十m離れた後、ジローはシャドウナイトを突き放し、マシンガンを発射する。
「ははは! そのような豆鉄砲は、雑魚にしか通用せんよ!」
「そうか・・・なら! チェンジ・スイッチオン! ワン、ツー、スリー!」
電流火花がジローの身体を駆け巡り、その身体をキカイダーへとチェンジさせる。
キカイダーは高く跳躍し、両方の手刀をシャドウナイトに喰らわせる。
「ダブルチョォォォォップ!」
「むぅん! やるな、キカイダー!」
手刀を剣で受け止めると、モノアイから光線を発射する。それをキカイダーはブラスターで打ち消す
そこからは、キカイダーの手刀とシャドウナイトの剣が交わる。
シャドウナイトの剣をキカイダーは手刀で受け流す・・・だが、シャドウナイトは回し蹴りを浴びせる・・・続けて、踵落としがキカイダーに炸裂する。
「グアァ!」
「はははは!」
地面に叩きつけられるキカイダー・・・だが、すぐに立ち上がり、ブラスターでシャドウナイトを撃つ。避け損ねたシャドウナイトは右腕を吹き飛ばされる。
「ちっ・・・」
「待て!」
逃げようとするシャドウナイトを追うキカイダー。
ちょこまかと逃げるシャドウナイトを遂に捕まえるキカイダー。
「捕まえた! 大車輪投げ!」
「うおぉぉぉぉ!」
シャドウナイトは屋根を貫き、建物の中へ落ちていく。
「ジローさん!」
「えぇ! ちょっと、ジローって・・・ジロー先生?」
キカイダーがシャドウナイトを投げ落とした建物には、ネギとアスナがいた。
調度、アスナがエヴァを蹴り飛ばし、エヴァが去っていったところだった。
「ネギ君! エアヴァンジェリンはどうした?」
「あの・・・逃げられました・・・」
その後、泣き出すネギ・・・
「あぁ、もう! 泣かないでよ、もう大丈夫だから・・・ね?」
「うぅ・・・」
「泣き虫なところは変わっていないな・・・・・・」
キカイダーはネギの頭に手を置き、撫でてやる・・・昔からこうすれば泣き止んだのだ・・・
「グオォォォォォ!」
突然、屋根を突き破り、シャドウナイトが飛び出てくる。
あちこちがへこみ、モノアイは潰れてしまっている。大車輪投げの影響により、どうみても戦闘は不可能な状態だった。
「よくも、この俺をコケにしてくれたな! 許さんぞ!」
「なに、アイツ!」
「さっきのロボット!」
ボロボロのシャドウナイトは残った左腕で、剣を持つ。だが、それもただ持っているに過ぎない・・・・・・火花が散り、鎧が剥がれ落ちるシャドウナイト・・・・・・
「暴走か? だが、これで!」
キカイダーは両腕をスパークさせ、電磁メスを作る。両腕をクロスさせ、シャドウナイトに突っ込み、そのボディを切り裂く。
「電・・・・ジ・エンド」
「グアァァァァ!」
直後にシャドウナイトは爆発を起こし、破片が飛び散る。
シャドウナイトに頭部がキカイダーの足元に転がってくる・・・どうやら、電子頭脳は生きているらしく、小さな声が聞こえる・・・
「馬鹿な・・・馬鹿な・・・ばかな・・・バカナ・・・バ・・・」
キカイダーはシャドウナイトの頭部を踏み潰す・・・・・・粉々になった破片を回収するキカイダー
「ジロー先生・・・貴方・・・一体何者なの? エヴァちゃんは吸血鬼だし、茶々丸さんも・・・変なロボットは出てくるし・・・」
「俺はお前たちの副担任だ・・・神楽坂、ネギを助けてくれたのか?」
「え・・・はい」
「そうか・・・礼を言う。ネギ君は優秀でも、まだ子供だからな・・・寮まで送ろう」
サイドカーで二人を送るジロー。
ネギはまだ落ち込んでいる・・・自分の生徒が吸血鬼とその従者・・・さらに魔法使いは良い人という、イメージが崩れてしまったのだ・・・ショックは大きいはずである。
「着いたぞ・・・」
「すみませんジロー先生。ほら、ネギ」
「う・・・うん」
「あ・・・ちょっと待て」
アスナがネギを連れて、寮に入ろうとするのを止めるジロー。
前から疑問に思っていたことを聞き出そうとする。
「ネギは違うところに住んでいるんじゃないのか? 十歳でも、一応男なんだぞ?」
「ジロー先生、それは、学園長が・・・・・・」
「本当か? アノ学園長でもそんなことは・・・・・・」
妙なところだけ、信じないジロー・・・その後も何度か説明したが、ジローはどうやら信じていないようである。
「・・・まぁ、そういうことにしておこう。また、明日な」
「ちょっと、ジロー先生!」
サイドカーのエンジン音で、アスナの声が届くことは無かった。
ジローは先ほどのシャドウナイトの言っていたことが気になっていた・・・シャドウの復活、アキラとルミの誘拐予告・・・相手が相手なだけに、授業中などでも、平然と襲ってくるであろう・・・自分一人だけでは、対処できないかもしれない・・・・・・
そう考えていたジローは無意識にハンドルを工学部の研究室へ向かわせた。
「新しい・・・ロボットを作るしかないか・・・」
レイ=ダブルオーを開発できるジロー・・・今も設計図は頭の中に残っているが、どうしても作る気にはなれなかった・・・自分の手で破壊した弟を思い出してしまうのだ・・・だが、シャドウは必ず、行動を起こす・・・その時自分一人では手に負えないかもしれない。
「自身は無いが・・・俺の作った良心回路を付けてみるか・・・材料もある・・・」
先ほど破壊した、シャドウナイトや昨日破壊した、ロボットたちの残骸・・・調度、一体分は出来るぐらいの部品はあるはずだ。それに、良心回路が破壊された場合の予備として、自らが設計、開発した良心回路がある・・・不完全かもしれないが、対処方法はある。
「あっ! ジロー先生、どうしました?」
「あぁ、すまないが一つ研究室を貸してくれないか?」
近くにいた、学生に研究室を借りようと話しかけるジロー。
「あぁ~・・・すみません、全部使われてるんです・・・」
「そうか・・・」
「でも・・・葉加瀬の研究室なら、すこしはスペースが開いてるかもしれませんよ」
「ふむ・・・わかった。宿題がんばれよ!」
「はい!」
学生の肩にポンと手を置いて、励ましてやるジロー。
聡美の研究室に向かうジロー・・・何か妙な音が聞こえる・・・大方宿題でも片付けているのだろうと思うジロー。
ノックをし、返事を待つ・・・だが、返事が返ってこない・・・
「熱中しているな・・・葉加瀬、すまんが邪魔するぞ」
「・・・・・・」
「オイ、葉加瀬!」
「は・・・はい!」
ビックリしたような声を上げる聡美。
その時、様々な機材がドミノ倒しのように崩れていく・・・小さな爆発がおき、余計に機材が散らばる。
「あぁぁぁぁ! どうしよ・・・折角、解読したのにぃぃぃぃぃ!」
「大丈夫か? 怪我はないよな?」
葉加瀬を起こしてやり、散らばった機材を片付けてやる・・・数機のコンピューターが火花が散っている・・・どうやら、もう使いものにはならない。
「あ・・・はい・・・はぁ・・・折角、光明寺博士の宿題が解読できたのにぃ~」
「アレを解読したのか? だが・・・これじゃ、データは吹っ飛んだな・・・」
「うぅ~・・・それで、どうしたんですか?」
「あぁ・・・研究室の空きスペースを貸してもらおうと思ってね・・・」
「いいですよ・・・向こうの部屋が空いてますよ。狭いですけど」
奥の方の使われたことがなさそうな扉を指差す聡美。
仕方なくその部屋を使わせてもらうことにするジロー。
「一体、何するんですか?」
「あぁ、少しね・・・すまないが、一人でやりたいんだ」
「嫌ですよ、解読した宿題のデータ全部パーにしたんですから・・・それに先生の腕がどれぐらいなのか知りたいですし」
「困ったな・・・・・・」
あまり人には見せたくはないのだが・・・彼女はがんとして譲らない。
確かに悪いことはした・・・だが・・・コレばかりは見せたくは無い・・・のだが、彼女の熱意に、遂に折れてしまう・・・
「わかったよ・・・だがコレだけは約束してくれ、絶対に人には言わないと!」
「わかっています! それで、一体なにするんですか?」
「・・・ロボットを開発する・・・それも戦闘用だ・・・いいか、生半可な戦闘用ではない、対ロボット・対人・様々な戦闘を想定したものだ」
そう、ジローの頭の中に入っているレイの設計図は完全な戦闘用のロボット。元々、ジローもイチローも戦闘用ではなく『死ぬことの無い自然警備隊員』というのが、元々のコンセプトだった。
ジローは弟である、レイにはせめてもと思い、戦闘力を特化したのだ・・・
「はい! だけど・・・機材は・・・?」
「心配は要らない。とにかく、設計図を作成する・・・葉加瀬、すぐに準備してくれ! 俺は機材を運んでくる!」
「はい!」
こうして、ジローと聡美の共同開発が始まる・・・・・・
設計図はレイのものだったが、ジローは少し手を加える。設計図に描かれたロボットはジローにとっては父親でもあり弟でもある・・・ハカイダーだった。
―???
「シャドウナイトの反応が消えた?」
「はっ、どうやら、作戦に失敗した模様でございます」
一体のシャドウマンが巨大なエンブレムの前に立つ。シャドウナイトの破壊がすでにシャドウではキャッチされていた。
赤と黒の非対称のシャドウのエンブレムは発光しながら、音声のみを響かせる。
「たった二人の子供を誘拐するのに、わざわざ護衛の下に向かうこと自体が間違いなのだ・・・シャドウナイトは過信しすぎるところがあるからな・・・次をシャドウロボットをすぐさま派遣せよ! なんとしてでもギル・ヘルバートの遺子を手に入れるのだ!」
次回予告
遂に動き出すシャドウ・・・・・・次なる刺客がアキラとルミを襲う!
一方、自身をなくしたネギは寮を飛び出してしまう・・・そこで、彼が出会った少年とは?