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魔法先生ネギま! ギターを持った少年7話(×キカイダー)オリ有) 投稿者:蟋蟀男 投稿日:04/08-05:03 No.86

―???



そこは何処までも続く闇・・・その闇に神々の光が宿る・・・十個の球体(セフィラー)はそれぞれを二十二の径(パス)で繋いでいく・・・生命の木、セフィロトの木・・・そして各々の天使たちがその姿を現す。天使たちは皆フードを被り、素顔は見えない・・・だが一人だけ・・・ミカエルは顔を歪めていた。美の名を冠する天使が台無しだった。



「手酷くやられたな・・・ミカエル」

「くっ・・・・・・」



さらに歪むミカエルの顔・・・

まるでミカエルを馬鹿にしたような口調で呟くのは知恵の名を冠する天使『ラツィエル』



「いや待て、待つんだ相棒、そんな風に言うもんじゃないよ。彼はそう・・・彼は僕たちの中じゃ最後に作られたのだからね・・・戦闘に慣れてないのもいたしかたないのさ」



ミカエルを庇うのは理解の天使『ザフキエル』



「だが、我らのうち一人でも欠ければ、偉大なるシャドウの復活は実行することができん・・・その点についてはミカエルには理解してもらわなければならん」



セフィロトの天使たちに語りかけるのは、シャドウのエンブレムから発せられる声。今のシャドウを実質仕切っている謎の声・・・天使たちは深々と頭を垂れる。声は続ける。



「我らがシャドウ復活・・・その為にはギルの大いなる遺産、彼奴の遺子に刻まれた最終兵器『アーマーゲドンゴッド』の設計図・・・何としても手に入れなければならん・・・ザドキエル!」

「はっ!」

「今回はお主に指揮してもらう・・・」

「お任せあれ・・・」



慈悲の天使の球体は闇に溶け込み、消えて行く・・・・・・



―同時刻 葉加瀬の研究室



「大丈夫なんですかジロー先生?」

「なに、大した傷じゃないさ・・・それにしても・・・」



ジローは弟と妹を見る・・・アキラとルミの警護の為、この痲帆良学園に入学することになったのだが・・・先日の戦闘が尾を引いているらしく、リョウは明日までチェンジは不可能、レイは出力が高すぎ、これまたチェンジ不可・・・最低でもどちらか一方はすぐにでも欠点を修復せねばならない・・・



「ネギ君と長瀬には礼を言わなきゃな・・・リョウ、今度会ったら、ちゃんと礼を言うんだぞ」

「うぃ~す・・・ねぇ、〝母さん〟俺たちの修理はどれ位掛かるの?」

「そうそう、アキラ君とルミちゃんだっけ? その子たちの護衛の為なのよね? 早く修理しないと大変だと思うんだけど・・・」



シャドウも本格的に動き始めている・・・今後も先日のような天使型ロボットが現れることは確かだ・・・・・・あの恐るべき性能・・・悔しい事にジロー・キカイダーでは力不足なのだ。



「急かさないで、貴方たちはデリケートなの・・・細心の注意を払わなければ、大変な事になっちゃうんだから・・・毎回チェンジする度に服が破けるのも嫌でしょ? まぁ、一人だけ徹底すれば今日の夜までには終わるかな?」



レイのチェンジはまるで、キュー○ーハニーのようなのだ・・・つまり、一度裸になってしまう・・・・・・乙女?なレイにとって、それだけは何としてでも解決したいのだ・・・



「それじゃ葉加瀬、二人の修理頼むぞ。俺はネギ君と長瀬に礼を言ってくる」

「はいは~い、それじゃ二人とも、上着脱いでね~」

「え~・・・リョウの前で脱ぐの~」

「別にお前のを見ても興奮しないよ・・・・・・」

「まっ! 言ったわね! 見てなさい、いつかダイナマイトボディに改造してやるんだから!」



仲良く兄妹喧嘩をする二人。まるでアキラとルミのようだ・・・・・・ネギと長瀬に礼を言うついでに顔を出していこう・・・とジローは思う。



―3-A



「長瀬」

「うん? ジロー先生・・・拙者に何か?」

「なに、弟が世話になったようだからな・・・礼を言う」

「いやいや、気になさらんでください。それにしても弟さんは思いで御座るな」



どうやら、楓はリョウがロボットであることには気付いていないらしい・・・だが、只者では無い事はわかっているみたいだ。



「ははは、それは迷惑をかけた。ところでネギ君を見なかったか? 職員室にもいないんだが」

「ネギ坊主なら、エヴァンジェリンのとこで御座るよ。なんでも用があるとか」

「そうか・・・有り難う」



ジローはエヴァの住む桜ヶ丘4丁目29へサイドカーを走らせる・・・まさかすでに戦闘にはなっていないだろうか?



「フム・・・静かな良い所じゃないか・・・戦闘は起きていないらしいが・・・うん?」



エヴァの家から茶々丸が出てくる。向こうも此方に気付いたようだ。



「ジロー先生・・・どうしました?」

「いや・・・ネギ君が此方に来ていると聞いてな。今いるのか?」

「はい、マスターの看病をお任せしました」

「そうか、家に入ってもいいよな?」

「どうぞ。今のマスターには戦闘などは無理ですから・・・」



ジローはエヴァの家に上がる・・・あの性格からは考えられない程、ファンシーな人形が沢山ある・・・・・・少し唖然とするも、気を取り直してネギを探す・・・



「ネギ君? いるのか?」

「ジローさん? 二階です・・・今エヴァンジェリンさんの看病を・・・」



二階に上がるジロー。そこにはベッドで横になるエヴァと彼女を看病するネギの姿がある。

ジローはエヴァの顔を覗き込む・・・昨日の彼女では考えられない寝顔だった・・・少し辛そうだが



「やれやれ・・・こう見ていると可愛いんだが・・・なぁ?」

「えぇ・・・あのジローさんはサウザンド・マスター・・・父さんの事、何か知っていますか?」

「何故だい?」

「いえ・・・どんな人だったのかなと・・・」



ジローは腕を組んで考え込む・・・サウザンド・マスター・・・ナギは自分の命の恩人だといっても過言ではない・・・そして、短い間だったが彼と彼の戦友たちと共に戦った事もある・・・



「君のお父さんはね・・・それは勇気のある人だったさ・・・僕はそれを間近で見てたからね。何度彼に助けられたか・・・敵に操られた僕を助けてくれたのも彼さ・・・ただ・・・」

「ただ?」



ジローは思い出しないような顔をして、間をおいた・・・そして重たい口を開く。

思い返せば、数十年前・・・大戦の真っ只中。悪魔たちに操られた自分を、体術と魔法でねじ伏せ、行動不能にまで追い込んだとき・・・



「あの男・・・僕を助ける為に・・・絶対服従の呪いをかけたのさ! おかげで十回、あの馬鹿の命令を聞かなければいけなかった! まぁ、すぐに使いきったけどね・・・彼の最後の命令は君の力になってやってくれ・・・・・・だから俺はこの痲帆良に来たのさ・・・他にも理由はあるんだけど・・・」

「そですか・・・でも、絶対服従の呪いって・・・」

「あの時はあれしかなかったのさ、そうだ・・・リョウが世話になったな」

「いえ、世話になったのは僕の方です・・・リョウさんのおかげで僕は勇気を持つことができました!」

「そうか。それじゃ俺はまだ用事が残っているからな・・・襲うなよ」



ニヤリと笑みを浮かべるジロー・・・・・・ネギは顔を真っ赤にして否定する・・・



「え・・・ちょ・・・僕は先生ですよ! それにエヴァンジェリンさんは生徒で・・・教師と生徒がそんな関係なったら駄目だってお姉ちゃんも言ってましたし・・・そ、そういえばジローさんこそどうなんですか! 葉加瀬さんの研究室に泊まりこんでいるって聞きましたよ!」

「あぁ・・・別にやましい事は何も無いさ。リョウとレイを作っていた・・・君も女子寮に上がりこんでいるんだろ?」

「ぼ・・・僕は学園長に言われて・・・」

「ははは、そういう事にしておくよ。それじゃな」



誤解ですよ・・・とネギは訴えるが、ジローの耳は届かない。

サイドカーを走らせ、自宅へと帰宅する。出迎えてくれたのはルミだった。どうやらまだ無事のようだ。



「お帰りなさい、また工学部の女の子の部屋に泊まってたでしょ! ネタは上がってるのよ!」

「やましいことは何もしてないさ・・・それに・・・ルミちゃんも最近は帰りが遅いらしいじゃないか?」

「だ・・・誰に聞いたの! はっ・・・アキラね!」

「さぁ? そういえばアキラ君は?」



この家に帰ってからアキラの姿が見えなかった。まだクラブでもやっているだろうか?



「ジロー兄ちゃん、話はまだ終わってないよ!」

「ははは、良いんだよ。君も年頃だしね・・・おや?」



ブツン・・・と一斉に電気が落ちる・・・この家だけではない・・・外を見れば、外灯の明かりも消えてしまっている・・・今は夕方なのでそんなに暗くはないのだが・・・



「あれ~・・・今日は大停電の日だけど・・・まだ時間じゃないと思うんだけど・・・・・・」

「そういえば・・・職員会議でも言ってたな・・・夜の八時からのはず・・・早まったか?」



だが彼らは気付いていない・・・痲帆良学園付近にはまだ電気が通っていることに・・・そして、シャドウの侵攻が始まったことを・・・



―痲帆良学園 コンピューター室



「我が胞子は撒いた・・・後は・・・ムッ! 誰だ!」

「うあっ!」



ザドキエルは何者かの視線を感じ取り、右腕の触手を伸ばし捕らえる。

捕らえられた少年はジタバタともがくが、触手は手放そうとしない・・・



「おや・・・これはこれは・・・ギル・ヘルバートの息子ではないか・・・」

「な・・・離せよ!」

「見つかってしまっては元も子もない。しばらく着いて来てもらう」



ザドキエルの足元に魔方陣が描かれ、ザドキエルはそれに沈んでいく・・・

入れ替わるように、入ってくる影が二つ・・・エヴァと茶々丸だ。



「何者かの気配を感じたが・・・」

「いえ、生体反応などは感知していません」

「そうか・・・よし、始めろ」

「了解」



そして・・・夜・・・何時までたっても帰ってこないアキラを心配したジローはルミに留守番を任せ、学園に向かう・・・ちょうど学園も停電が起きた頃だ・・・だがそれには気付かないジロー・・・



「一体何処にいるんだ・・・ん?」



何か小さなものが近づいてくる・・・カモだ。



「なにやってる・・・また下着泥棒か?」

「ジローの兄貴! ちょうど良かった! ネギの兄貴が!」

「ネギ君がどうした?」



嫌な予感がする・・・まさかアキラも・・・と考えてしまうジロー。



「エヴァンジェリンの奴に呼び出されて、大浴場の方に!」

「なんだと! お前はここに残れ、俺が行く!」

「ちょ・・・なんで皆、俺っちの話を聞いてくれねぇんだ!」



一人取り残されるカモ・・・考えても仕方ないので、彼は急いでアスナの元に走る・・・

一方、ジローは大浴場に辿り着く。そこには、メイド服を着た茶々丸、まき絵、裕奈、大河内アキラ、亜子の姿があった・・・そして、彼女たちに囲まれる女性・・・魔力感知が出来ないジローでもわかる・・・只者ではない・・・そして・・・誰だ?



「おや・・・先生方・・・ボウヤ・・・お前のパートナーはどうした? まさかジロー先生ではあるまい?」

「あ・・・あなたは・・・」



女性はフッと笑う・・・だが・・・



「どなたですか!」

「侵入者か!」



見事に転げ落ちる女性・・・すぐさま立ち上がり、幻術を解く・・・



「私だ、私! 揃いも揃って、ふざけおって!」

「エヴァンジェリン! アキラ君をどうした?」

「アキラ? 大河内のことでもないだろうし・・・知らんなそんな奴・・・私が用事があるのはそこのボウヤだけさ! ヤレ下僕ども!」



茶々丸はジローへ、他はネギへと襲い掛かってくる。

ネギの方はいつもとなんら変わりはない・・・よく見たら脱がされている・・・だが、ジローは違った・・・いつの間にか接近を許してしまった・・・茶々丸のロケットパンチが飛んでくる。



「ちっ・・・・・・」



ジローとネギがエヴァたちと戦いを繰り広げている間・・・ザドキエルは街を疾走していた・・・フードが揺れ、チラチラと顔が覗く・・・それは酷く歪んでいた・・・何故なら今の彼は人間体ではなく、戦闘形態へとチェンジしていたからだ・・・ザドキエルが目指すのはアキラとルミの住む家・・・



「もぅ・・・二人と遅いんだから・・・」



夕飯の支度を終え、数本の蝋燭を灯すルミ。コンコンとドアをノックする音に気が付き、玄関へ向かう。アキラかジローが帰ってきたと思ったのだ・・・ルミはドアを開ける。



「遅いわ・・・よ・・・誰?」

「し~・・・・・・」



フードを被った男は機械の腕で静かにという合図を出す・・・次の瞬間にはルミは麻酔薬で眠らされていた・・・機械の腕に抱かれ、眠るアキラとルミ・・・ザドキエルはまたもや魔方陣を描き、沈んでいく・・・遂にアキラとルミがシャドウの手に落ちた・・・だがザドキエルの任務はまだ終わっていない・・・痲帆良学園に侵入させた自らの胞子・・・そろそろ頃合だ。



「メインコンピューターへアクセス・・・検索、神楽坂アスナ、近衛木乃香・・・該当・・・侵入・・・プロテクト解除・・・魔法式電子プログラム・・・解除・・・コピー開始・・・」



厳重に守られたメインコンピューターへ侵入するザドキエル・・・魔法で強化されたプロテクトすら解除し、様々な情報をコピーしていく・・・



「任務終了予定時間・・・十分後・・・以後待機・・・」



次回予告

遂にシャドウの手に落ちたアキラとルミ・・・そしてアスナと木乃香のデータをコピーする・・・シャドウの目的とは一体? ジローは二人を救い出すことが出来るのか? レイ、リョウの修理は間に合うのであろうか?

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