魔法先生ネギま! ギターを持った少年10話(×キカイダー)オリ有) 投稿者:蟋蟀男 投稿日:04/08-05:06 No.89
「ふぅ・・・ホテルのチェックインも終わったし・・・久々に羽でも伸ばすかな」
一足先に京都へ来ていたジローは街に繰り出していた。
最近はずっと戦闘ばかりだったので、こういうのもたまにはいいものである。
「ヤッパリ、平和が一番だな」
「すみません・・・少しよろしいでしょうか?」
「はい?」
振り向くと、スーツを着た紳士が立っていた。 手にはパンフレットと地図を持っているところから、観光客だというのがわかった。 京都は複雑で東西南北がわからなくなってしまうといわれている・・・多分この紳士もそれに引っ掛かったのだろう。
「いやはや、京都には始めてきましたもので・・・・・・少し道に迷ってしまいまして」
「あぁ、それならわかる所なら案内しますよ」
「本当ですか! いや~有り難うございます」
―都心
「此方、α班、ターゲットの尾行を再開する・・・・・・」
「誰と話してんの?」
何処から持ってきたのか、小型通信機とロングコートという怪しさ大爆発のスタイルで尾行しているレイとそれに続くルミ。
先ほどからすれ違う人たちの視線が痛い。
「いいの! ほら、動いたわよ!」
「もぉ~・・・・・・」
こそこそと後をつける二人。
ただ、レイが期待するような展開は起きず、ネギと木乃香は普通に買い物を楽しんでいた。
「何故? 何故、あんなことやこんなことが起きないの・・・・・・おかしいわ、不思議だわ、ありえないわ! 女と男が二人になったら、何かが起きるのがお約束ってもんでしょ!」
「あのね・・・そんなことが度々起きてたら、少子高齢化なんてならないわよ・・・あら?」
「あぁんの、カップルめ・・・・・・二人の恋は邪魔させないわ!」
「あれ? あの二人・・・と、もう一人ってA組の・・・」
勿論、カップルとは変装した円と桜子(+美砂)
「貴女たち!」
「ちょっと、レイ!」
レイは三人の前に立ちはだかる。
「何のつもりかは知らないけど、人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて地獄へ落ちろ!」
「なぁぁぁに言ってんの、あんたは! 御免なさいね!」
急いで、レイを抑えるルミ。 突然のことに驚きを隠せない三人娘だった。
「あ・・・あなた、B組のルミさん?」
「釘宮さん・・・また何て格好を」
「・・・・・・」
「そんなことはどうでもいいわ! 二人の禁断な恋は必ず成就させるのよ、この私の手で。 誰の差し金かは知らないけど、邪魔するってんなら私が相手になるわよ!」
ファイティングポーズを取るレイ。 だが、三人娘はそれをスルーして、ネギと木乃香の妨害に戻ってしまう。
「止められるものなら、止めて見せなさい! こっちは怖いクライアントの依頼のためなのよ! いくわよ二人とも!」
「させない!」
美砂が円と桜子を連れていこうとすると、レイはそれを阻止しようとする。
どちらも一歩も退かず、睨み合いが続くのだ。
「ママ~」
「いけません!」
「あの親子、事あるごとにいるわね・・・・・・」
いつもの親子が通り過ぎると同時に両陣営は動き出す。 美砂は円と桜子の手を引き、レイがその間に割り込もうとする。
だが、上手い具合にレイを避ける三人。
「行ったわよ、ルミちゃん!」
「え、ちょっとちょっと!」
彼女たちが馬鹿騒ぎを起こしている間に、ネギと木乃香がすでに目の届かないところにまで移動しているのだった。
彼女たちがそれに気がつくのはそれから数分後のことだったとか・・・・・・
―京都
「いや~真に、真に申し訳ない! 貴方の貴重な御時間を頂いてしまって」
「いえ、気にしないでください。 どうせ、明日には元気が有り余るほどの子供たちの相手をしなければいけませんから」
「ほほぉ、大変ですな~。 そうだ、お礼といっては何ですが、何かご馳走しましょう!」
「あ、いや・・・・・・」
どうにもこの紳士のペースに巻き込まれてしまうジローだった。
二人は近くの飯屋に入る。
「ジローさんは何になさいますかな? あ、君、この鯖の煮込み定食を」
「あぁ・・・それじゃ僕は、エビフライで・・・」
「おや、見た目によらず可愛らしいものを注文しますな。 まぁいいでしょう。 それにしても助かりましたよ、京都に来たのはコレで初めてでして・・・・・・親切な人はいるものだ、ねぇ、キカイダー・・・いや、光明寺ジローと呼ぶべきだね?」
「何だと? 貴様、何者だ?」
紳士を警戒するジロー。 下手に動けば、周りの人にまで危害が加わってしまう。
だが、紳士はそれを制する。
「待ちたまえ、私は戦うつもりなどないよ。 今の私は遠隔操作で動かしているダミーだからね」
「・・・・・・」
「そう、力まずに。 ほら、食事をしようじゃないか」
紳士は運ばれてきた鯖の煮込みを食べ始める。 しかた無くジローもエビフライを食べ始める。
「食事だというのに、そう警戒しなくても。 この私には戦闘力はないよ」
「何故俺と接触した?」
「いやなに、少しだけ君たちに興味がわいたものでね。 さて・・・まずは・・・シャドウはこの京都で行動を起こす」
「なに? 言っていいのかそんなこと?」
紳士は小さく笑うと、話を続ける。
「フフフ、言ったでしょう? 貴方方に興味が湧いたと。 それより、知りたくはありませんかね?
何故、シャドウが子供二人・・・正確にはあの子たちの背中の設計図を狙うのか? 我等の科学力ならギルの残したあの兵器より、さらに強力な兵器を開発することは可能です。 では何故? それは簡単なんです・・・非常に簡単だ・・・あの二人にはある特殊能力が秘められている。 ギルの正妻、あの二人の母親の能力をそのまま引き継いだのです・・・・・・」
「特殊能力? 魔法か、それとも超能力か?」
「あえて言えば、超能力に近いですな。 シンクロ、同調、同化、我々は様々な呼び方で呼んでおります。 もう、大体は理解しているでしょう? あの二人は周りの機械、それもロボットに限って、同調してしまうのです・・・同調したロボットはその力を数倍に上がり、限界以上の力を出すことが可能となるのです。 さすがに詳しいことは教えられんがね。 どうやらギルは『アーマーゲドンゴッド』にあの二人を同調させようとしていたらしいがね。 あぁ、奢るよ。 君、お勘定を」
紳士は店員に金を支払って、店を出る。
一人残されたジローは先ほどのことを考えていた。 あの二人にまさかその様な能力を持っていたとは思っても見なかった。 詳しいことは教えてくれなかったが、シャドウが二人を狙う理由は秘密兵器ではなかったのだ、それはついで・・・真の目的はあの二人の能力だった。
「アキラ君、ルミちゃん・・・君たちは・・・あの男、一体何の為に?」
―???
「どういうつもりだ? ザフキエル」
「おや? 何のことかね?」
「フン・・・貴様がキカイダーと接触したことはわかっている。 それも例のことを話しおって」
ラツィエルはザフキエルを睨みつける。 ザフキエルはいつもの態度でそれを流す。
「いやいや、私はフェアな勝負が好きでね。 敵に塩を送るという言葉もある」
「まぁいい。 しかし、今後もこのような事があるならば、私にも考えがある・・・貴様は私の右腕だ、できれば始末したくは無いのだがな」
「肝に銘じよう。 では失礼させてもらう」
ザフキエルの球体は暗闇の中へと消えていく。
「心などという不確定なものを心酔しよって・・・我々に心など必要ないのだ!」
―都心
「な~んか、拍子抜けよね~」
レイとルミは痲帆良行きの電車で自宅へ帰る途中だった。 あの後、ネギと木乃香はデートではなく、アスナの誕生日プレゼントの買い物だったといことが判明する。
「あのね、元はあんたの勘違いからでしょ! まったく・・・あら?」
ルミは自分に向けられる視線に気がつく。 此方を見ているのは、長髪の美人だった。
「あの・・・なにか?」
「え? あら、御免なさい。 知り合いに似てたものだから」
「はぁ・・・ほら、レイ、痲帆良に着いたわよ」
二人は電車を降りる。 そして、それを見届ける女性。
「あの子ね・・・・・・ミカエル」
「あぁ、だが行動は京都についてからだ。 ここでは下手に動けん」
「了解」
次回予告
待ちに待った修学旅行。 だが、そんな楽しい旅先でもシャドウの魔の手が迫っていた。
三体の天使がキカイダーたちの前に舞い降りる・・・彼等はこの危機を乗り越えることが出来るのか?