魔法先生ネギま! ギターを持った少年11話(×キカイダー)オリ有) 投稿者:蟋蟀男 投稿日:04/08-05:06 No.90
「きゃー! 修学旅行よ! 恋のフラグ立ちまくりよ!」
「黙れ、妄想女。 ぐはっ!」
有無を言わさず、リョウの顔面に鉄拳を食らわすレイ。
今日は待ちに待った修学旅行の日。 リョウとレイは集合場所の駅へと向かっていた。
「そういえば・・・アキラ君とルミちゃんって、修学旅行、行く場所違ったわよね?」
「あぁ・・・そうだな。 だが、我に秘策ありだ・・・どんな手を使ってでも、アキラを京都に連れて行く」
アキラとルミが別々になると、護衛に支障をきたしてしまう。 どちらか一方にシャドウが集中してしまうと、被害が大きくなり、戦力的にも不安があるのだ。
そして、奇妙な笑みを浮かべるリョウ。 小さい子が見たら、泣き出しかねない顔だ。
男子と女子では集合場所が違うので、リョウは先に電車を降りる。
「さぁて・・・オイ、アキラ」
「ん? 何、リョウ?」
―京都行き新幹線
「・・・で、なんでアキラ君がここにいるのかしら?」
「何で僕を睨むんですか? しずな先生」
アキラは今、とっても気まずい状態にあった。 何故なら、男子がここにいてはおかしいからである京都行きの修学旅行は女子高だけ・・・そこに男子がいては明らかにおかしい。
しずなはとてつもない笑顔でアキラに問いかける。
「あのね、何で男子校の貴方が、ここにいるのかしらと思ってね? それも・・・バイクに乗って」
「バイクに乗ってたのは僕じゃないでしょ! だいたい、僕もどうしてここにいるのかわかんないんですから!」
「アキラ・・・言い訳はいいのよ・・・はぁ、アンタと双子って事が今日、後悔したわ」
頼りになるはずの双子はどうも勘違いしている。 どうやら、話を聞いてくれそうな状態ではなかった。
「うおぃ! お前もか! レイ、君からも・・・・・・」
「アキラ君って大胆ね~こんな美味しいシュチュエーションは滅多にこないわよ! さぁ、欲望のままに・・・・・・」
真相を知っているレイはわざとらしく、アキラをからかう。
さて、ここで、事の成り行きを説明しよう。 始めはリョウがアキラたちの集合駅に着いた時点始まった。
「アキラ、すまんが、こっちにいてくれないが?」
「あぁ、どうしたんだい?」
「ん、アキラ・・・京都に来る気はないか?」
「はぁ? 何言ってんだよ?」
突然何を言い出すかと思いきや、トンでもないことを言い出すリョウ。 だが、リョウの目は本気だ
言いようの無い、恐怖? が、アキラに生まれる。 無意識にだが、後ずさりをするアキラ。
「オイ・・・なに考えてる?」
「いや・・・別に。 ただ」
「ただ?」
「こうするだけさ!」
リョウはアキラの首根っこを掴み、用意しておいたバイクに跨り、エンジンをかける。
「うわぁ~!」
「はっはっは! 恨むんなら、兄さんを恨みな!」
「わけわかんねよ!」
最大時速600kmを誇る白いカラスで、一気に女子たちの集合駅に向かったのだ・・・因みに白いカラスの特殊能力には音速飛行があるのだが、さすがにこれを使うわけには行かない。
走ること数分・・・
「やべぇ! もうすぐ出るじゃねぇか!」
「もういいよ、戻れよ!」
「いや・・・このまま突っ込む!」
バイクに跨ったまま、ホームへ突入する二人。 見事なテクニックで、人ごみを避け、扉が閉まる瞬間の新幹線に向かって、バイクから飛び降りる。 バイクは見事に自動でその場に止まるが、二人はそういうわけには行かない・・・そのまま新幹線の中へダイブする。
そして現在にいたる・・・・・・
「リョウ! お前、一体なんのつもりだ!」
「俺は兄さんの言いつけを守っただけだ。 俺を縛るのは俺自身と兄さんだけだ」
「なにカッコイイ台詞で誤魔化そうとしてやがる。 大体、ジロー兄ちゃんがこんな事をするわけ無いだろ!」
「まぁ、信じる信じないはアキラの勝手だが・・・アキラもルミも狙われてんだ、二人一緒の方が、護衛しやすい。 人が多ければ向こうも簡単には手出しできないからな・・・」
それにしても、やり方には問題がありすぎた。 今から戻ることも出来ず、仕方ないので、このまま二人は京都行きの修学旅行に同行することとなる。
「それじゃ、貴方たちは新田先生たちの席にいて頂戴。 他の子たちには事情を説明しておくから」
「すみません・・・お前も謝れよ!」
「御免なさい」
こうして、修学旅行は幕を上げた。 これから起きる事件を知る者は誰一人としていない。
「はぁ」
「なんだ、元気が無いな! これから修学旅行だってのによ!」
「誰のせいだと思ってる。 はぁ、肩身が狭いぞ・・・絶対・・・女子の群れのなかに男子お前と合わせて、二人だよ?」
「いや、それは正確ではないぞ。 正しくは俺とお前と、ネギだ」
「ネギ? あぁ、あの子供先生か・・・・・・なぁ、ふと思ったんだが、労働基準法はどうなってるんだ?」
その辺は気にしてはいけない。 未来から来た猫型ロボットが何故、街を歩いていても、不信に思われないのか? と同じ様なもんである。
「なぁ、母さんとこ行かないか?」
「葉加瀬さんとこ? やめとけ、迷惑が掛かるだろ。 それに母さんって呼ぶなって言われてんだろ? あらぬ誤解を受けるから、人前では葉加瀬さんか聡美さんって呼べよ。 それか、お姉ちゃんとかだ。 わかったか?」
「了解。 んじゃ、母さんとこ行こう」
「話聞いてたか?」
なんだか、先が思いやられてしまうアキラだった。
二人は聡美のいる車両に向かうが、途中で女子たちからの鋭い視線が痛かった。 本来なら、ここにはいないはずなのだから・・・・・・だが、リョウは全く気にしてないようで、平気な顔で車両を進む。
「葉加瀬さんの車両ってここだよな? いいか、母さんは駄目・・・・・」
「母さん! 遊びに来たよ!」
「オイ! 初っ端からよ、お前話し聞いてたか?」
最初は誰しもが、普通に母親を探しているものだと思っていたが、リョウの取った行動により、それは音を立てて崩れ落ちることとなる。
リョウはすぐさま、聡美の下へと走っていく。
「母さん!」
「あら、リョウも来たの?」
どうやら、レイが先を越していたようだ。 リョウもレイもかなりのお母さんっ子なので、母親の独占欲は幼子と同じく、激しいのだが・・・・・・それが小さな子供ならまだしも、見た目の年齢が14、5歳となっては、いろんな意味で誤解を招いてしまう。
「ちょっと、母さんから離れなさいよ!」
「うるせぇ、妄想女! お前こそ、母さんから離れろ!」
「何ですって! こういうのは妹優先でしょ!」
「てめぇ! こういう時に限って、妹ぶりやがって! いつもはお姉ちゃんと呼べって、威張りやがってよ!」
「あ~・・・最悪だ~」
もう、どうにでもなれ・・・・・・と言った感じでアキラは全てを諦める。 こうなった二人を止めることは、ある意味、自殺行為に等しい。 しかし、二人が聡美のことを「母さん」と呼ぶことは、あらぬ誤解を呼んでしまうので、早急に対処せねばならない。
出来たらいいが・・・・・・
「アキラ、苦労してるわね・・・・・・まぁ、頑張りなさい」
「手伝えよ、お前も関係者だろ」
「やぁよ、蛙は嫌いなの!」
この歳で胃が痛くなってきたアキラ。 常時、胃薬を持つ日もさほど遠くは無いだろう。
「ちょっと、お待ちなさい! 聡美さん、これは一体どういうことですの!」
「あやかさん、落ち着いて、これには深いわけが・・・・・・」
「お黙りなさい! 大体、貴方がここにいることも許されることではございませんことよ!」
「僕は被害者だ! リョウ、レイ! お前たちも他人の迷惑と誤解をもたらす事をするんじゃない!
ルミも何か言えよ!」
「ちょっと、アンタと身内ってバレたら私まで変な誤解受けるじゃない!」
四面楚歌とはこのことである。 リョウとレイによる聡美を母と呼ぶことに関しては、アキラを精神的にも肉体的にも疲労させた。 付け加えると、何とか誤魔化したらしい。
色々あって、席に戻ったアキラ。
「ジロー兄ちゃんがいれば・・・・・・なんで僕がこんな目に。 はぁ、誰か助けてくれ」
「ゲコ!」
「蛙?」
そこには一匹の蛙が同情の眼差しでアキラを見つめていた。
なんだか、さらに惨めに思えてきたアキラ。
「くそ・・・両生類に同情される僕って・・・・・・てか、なんでここに蛙がいるんだよ」
何処かのペットの蛙が逃げ出したのかと思い、後ろを振り向くと、同時に悲鳴が上がる。
そこには、大量の蛙が大発生していた・・・・・・
「・・・・・・コレは夢だコレは夢だコレは夢だコレは夢だコレは夢だ!」
とうとう現実逃避を行うアキラ。 どうでもいいが、某アニメの主人公に見えてくる。
この時、親書を奪われそうになった事件が起きたものの、親書は無事だった。
桜咲刹那のスパイ疑惑というものを残して。
―京都
そんなこんなで、無事に京都に着いた一行。 先に京都に来ていたジローの出迎えを受けて、一行は京都見物に向かっていった。
「やぁ、お疲れさん。 ネギ君、妙な事は起きなかったかい?」
「あ、ジローさん・・・実は・・・・・・」
「ジロー兄ちゃん・・・・・・」
「アキラ君・・・少し見ない間にずいぶんと顔つきが変わったね・・・人生の厳しさを味わったというか・・・・・・大丈夫かい?」
げっそりとやつれたアキラを見て、ジローは驚く・・・・・・時々、小さく笑う姿はなんとも痛々しいものである。 精神崩壊の危機である。
「リョウ・・・連れて来いと言ったが、どんな方法を使ったんだ?」
「え・・・ジロー兄ちゃん、どういうこと?」
「え? いや、リョウとレイに君を連れてくるように頼んだんだけど」
「ウゾダ・・・ウゾダドンドコドーン!」
涙を流しながら、走り去っていくアキラ。 信じていたジローにまで裏切られたのだから、当然ではあるが・・・しかし、彼が何故、オンドゥル語を使ったのかは不明である。
「あ~・・・リョウ、危ないからアキラ君の傍に。 レイ、お前はルミちゃんとこにな、シャドウが動き始めたらしい・・・」
指示を受けた二人はそれぞれの場所に向かう。 二人の戦闘能力なら、天使ロボット一体なら、互角に渡り合えるはずである。 精神的にはまだ幼いが・・・・・・
「シャドウって・・・前、戦った・・・またあんなのが来るんですか?」
「あぁ・・・シャドウの構成員が直接、俺に教えてくれたよ・・・・・・それに・・・関西呪術協会の方も厄介だな・・・」
「えっ? 何でその事を、今から話そうと思ってたのに!」
「あぁ、学園長から京都に行く前にな・・・・・・シャドウと関西か・・・他の生徒たちに被害が広がらないか心配だな」
「ジローの兄貴、それなら話が早いぜ! 実はだな・・・・・・」
ネギとカモは新幹線で起きたことをジローに話す。
「なるほどな・・・・・・」
「兄貴、ヤッパリ今のうちに何とかしとかねぇと、大変な事になるぜ!」
「うん・・・だけど・・・」
ネギはまだ、悩んでいるようだった。 エヴァに続き、またしても生徒が敵かも知れないということは、彼を大いに悩ませていた。
「カモ、簡単に人を疑うな。 それにネギ君、教師である君が信じなくてどうするんだ! どんな事実があったとしても、桜咲が俺たちの生徒であることには変わりはないんだからな!」
「ネギー、ジロー先生! 大変な事が起きたわよ!」
「やれやれ・・・騒ぎが好きな生徒だな・・・行くぞ!」
「は・・・はい!」
アスナが血相を変えて、二人を呼ぶ。 どうやら、また厄介事が起きたみたいだった・・・・・・二人はすぐに現場である、音羽の滝に向かう。
波乱に満ちた修学旅行は始まったばかりである・・・・・・彼等はこれから起きることをまだ、知らない。
次回予告
遂に始まった、修学旅行。 しかし、その水面下では、シャドウの魔の手が迫っていたのだった。 さらに、木乃香とアキラとルミが攫われてしまう! そして、その犯人とは・・・・・・