プロローグ 投稿者:こたつみかん 投稿日:05/31-23:40 No.651
IF 哲学者と正義の味方
~プロローグ~
~ 麻帆良 ~
満たされた月が浮かぶ夜。風が桜の花びらを躍らせる道を一人の少女が歩いている。
「フンフン♪」
少女の名は宮崎のどか。少々恥ずかしがり屋な所がある本好きな女の子だ。
彼女は学校の帰り道、みんなより一足早く住んでいる女子寮へ帰っているのである。
「あっ・・桜通り・・・」
女子寮への帰り道どうしても通らなければならない噂の場所である。
「風がつよいですね~。早く帰ろうかな~♪・・」
独り言を呟きながらもどうしても噂の事が頭から離れないようだ。
「こわくない~♪こわくないです~こわくないかも~♪」
噂による自分の怖い想像を頭の片隅にやるように、同じ事を何度も自分にいいきかせる・・・。
「こわ『ざわっ』っ!!」
のどかは急に吹く風に身を縮ませながら辺りを見まわす。すると
『ザザァーー』
突然の強風に目を白黒させながら、ある一点を見て体を凍らせる。
「え・・・」
黒い帽子、黒いローブ、輝く髪、そして爛々と光るその目は明らかにのどかが普段接している日常とはかけはなれた気配をばら撒いていた。
「27番 宮崎のどかか・・・悪いけど少しだけその血を分けてもらうよ」
確認するような呟きの後、怪しい人影は空を滑りのどかへと迫っていく。
「きゃぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!!」
「魔法の射手・氷の17矢!!」「!」
ドキュキュッ!!
side ???
「ちぃっ!氷楯!」
バキキキィ!!
魔法薬による咄嗟の盾の展開により不意打ちを凌ぎながらも襲撃者はその実力に舌を巻いていた。
(始動キーなしによる魔法の射手だと?!)
頭の中では学園に所属する魔法使いを片っ端から思い出しているが、どうにも該当者が思い浮かばない。
(威力が並なのが幸いか・・・)
これで威力が高ければと背中に嫌な汗が流れるが、今は目の前に現れた魔法使いに意識を向ける。
やがて魔法の衝突による霧が晴れ、倒れそうなる宮崎のどかを支える少女に目を向ける。
「4番 綾瀬夕映・・・」
IF 哲学者と正義の味方 | 第一話 「開幕」 |