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Stage.1「開放されし悪~ドーザ・ウル・ザザード~」 投稿者:クローンウィング 投稿日:08/09-01:18 No.1070
世界には時代を、空間を超えて受け継がれるものがある。
人を正し、平和を守るため戦う心 『正義』
絶対的な恐怖ですら立ち向かい打ち破る力 『勇気』
絶望と対を成し人の生きる指針となる想い 『希望』
世界にいるのが自分ひとりではないと感じる温もり 『愛』
これは受け継ぐべきものを携え戦った戦士達と、それらを受け継いだ魔法使い達の物語。
その物語の名は…
麻帆良レンジャーズストライク!!
Stage.1「開放されし悪~ドーザ・ウル・ザザード~」
無数に存在する平行世界。
本来なら解き放つことのないその災厄を、数ある世界の1つにむけて開いてしまったのは、日ごろのメンテナンスを怠ったからか、はたまた長時間の連続稼動により彼の頭脳とでも言うべきメインシステムがショートしてしまったからか。
とにかくその日、メインコンピュータ『オリジナルアーカイブ』は戦士達が封印した、数々のデータをとある平行世界にばら撒いてしまった。
データの名は『ダークアライアンス』
世界に存在するどんな犯罪組織よりも性質がわるく、人の存在を許容せず、ただひたすらに人を滅ぼそうとする者達が集う『悪』の象徴である。
そしてここに、その災厄が封印されたパンドーラボックスは開かれた。
その箱に封印されていたデータ…悪の怪人たちは動き出す。
その体は世界に顕現し、その頭脳には狡猾さと凶暴性を併せ持って。
よりにもよって数ある並行世界の中でも比較的戦乱の少ないその世界に。
そして世界の中でも、とある物語が今なお紡がれているその場所に。
悪意が渦巻くデータが開放されたその土地の名は『麻帆良』
「我らが最初に目覚めたようだな」
「ああ、ここは面白い市場になりそうだ。1つ、名刺代わりの開店セールとしゃれ込むとしよう」
「…」
その麻帆良の人知れぬ場所で三人の男が話し合っていた。
一人は黒い仮面を被った見事な体格の男。
もう一人は頭にカプセルをかぶせた巨大なこうもり。
そして、沈黙を守る紫の鎧を纏った騎士
「とりあえず、潜伏先にこの廃屋を見つけることが出来たのは僥倖だ。研究に必要な器具はある程度だが、集まっている。どうだ?サーガイン これでアーカイブによる封印を解除できるか?」
そうのたまった巨大こうもりの名はエージェント・アブレラ。
汎用性の高い戦闘兵から、核、磁力兵器、果ては巨大な二層歩行型戦闘マシンまで、どんなものでも売りさばく武器商人である。自身の武器を売りさばくために惑星1つを消滅させたこともある危険な人物だ。
「上々だ。すぐに仲間のデータを復元させることも出来よう」
アブレラの後を引き継いだのは先ほどサーガインと呼ばれた黒い仮面の男。
言動からも分かる通り彼はその筋肉質質な体型とは裏腹に優れた科学者だ。
「われわれの目的はただひとつ!」
アブレラは時代がかった仕草で両手を広げた。
「憎きスーパー戦隊への復讐を果たすために!」
「まずは戦力である同胞達を解放し、その後でこの憎たらしいくらいに平和ボケした世界を腐敗させてくれる!!
アブレラの台詞にサーガインが続けた。
データとしてよみがえった彼らには、儲けることも、『アレ』を探すことも二の次である。
ダークアライアンスに所属し、闇の力を受け継ぐ限り、その身に宿る破壊衝動を発散させるだけだ。
そして、そんな彼らを冷めた目で見つめる紫の騎士。
「…」
科学者と商人の二人は作られたばかりである研究室へと足を踏み入れた。
ドアが閉まると同時に妖しげな音が響く。
「貴様らは好きにするがいい…俺は、強き者と戦い、あの方を復活させるだけだ」
扉に背を向け、彼は歩き出した。
呪文を唱え自身の相棒である魔導馬バリキオンにまたがると、闇の騎士は兵(つわもの)を求め戦の場へと駆ける。
今、学び舎に最凶最悪の危機が訪れようとしていた。
一時間後 麻帆良のとある裏道。
夜の帳も下りた深夜。満ち満ちた月光を受けて、スーツを着た壮年の男性がカツカツとコンクリートの床を踏みしめ家へと急いでいた。
「…でてきたらどうだい?」
口にタバコをくわえながら麻帆良学園の教師、タカミチ・T・高畑は振り向く。
彼の視線の先には紫の鎧を纏った騎士。
「…いつ気がついた」
「気づいたのはついさっきさ、この学園には結界が張られているから普通は入れないはずなんだけどね」
いままで気づかなかったのが不思議なくらい濃密な魔力が眼前のナイトから放たれている。
「それだけの魔力を持ちながらこの距離まで気づかせず、あまつさえこの学園の結界に探知されずに入ってくるとはね。…僕に何のようかな?」
「笑止。戦士が合間見える時、行うことはただ1つだ…ウー・ザザレ」
「!?」
それだけ言うと、紫の騎士は呪文を唱え自身の剣と盾を召喚する。
そのまま慣れた手つきで引き抜いた剣をタカミチの眼前へ向け言い放った。
「俺と戦ってもらおうか」
教師であるタカミチは、目の前の騎士を見た。
彼から放たれるその気…争いを求める殺気は『今はまだ』血の気配こそしないものの、この地に平安をもたらすものでないのは明らかだ。
なにより、先ほど唱えた未知の呪文。
この恐るべき脅威を放っておくわけにはいかない。
(この男を放っておけば間違いなく麻帆良に災いをもたらす)
タカミチは彼をそう判断し拘束する事に決定する。
…最も相手がそれをおとなしく許すはずもないが。
「…良いだろう」
そういうとタカミチはポケットに収めていた拳を牽制代わりに一発打ち込んだ。
拳を刃、ポケットを鞘代わりにして放つ彼の必殺技の1つ、『居合い拳』である。
本来なら見ることすら敵わない拳撃は、本気で放てば一撃で鉄板すら穿つことが出来る。
「ふ、なかなかやるな」
が、その一撃は止められた。敵は剣で彼の拳を弾いたのだ。
「それはどうも」
最初の一発を止められたことを特に驚きもせずタカミチは飄々と答える。
そして今度は居合い拳を連続で打ち出す。
だが、その技は敵の騎士に見切られていた。
「ドーザ・ウル・ザザード!!」
タカミチの拳が盾に着弾する瞬間、魔法使いでもあるその騎士は自身の持つ盾…ジャガンシールドからケルベロスを召喚したのだ。
召喚された二体のケルベロスは彼のこぶしに噛み付く!
「っく!」
あらかじめ、気で手をガードしている故、ダメージは少ないが、隙を見せるには充分な一撃!
だが、タカミチとて幾多もの試練を潜り抜けてきた戦士である。
ウルザードがその隙を狙い、剣を振り上げる前に瞬動術でかわそうとした。
ところが、そうはいかなかった。
彼の足元がいきなり盛りあがり、ヌラヌラとした青い手がいきなりタカミチの脚を掴んだのである。
「な!?」
「ぬ!」
ウルザードは一対一の戦いを邪魔された故、剣をいさめようとしたがすでに遅く、その剣はタカミチの肩を切り裂いた!
「ぐっ、ううう」
「…ちっアブレラの仕業か。この勝負、預けておく」
彼はそういい残すとタカミチの足元を剣で突き刺す。
形容しがたい悲鳴と共に、地中に潜む何かが絶命した。
地中から剣を引き抜き不気味な色の血を払い、ウルザードは呪文を唱える。
「ウーザ・ドーザ・ウジュラ」
去り際に彼は…侘び代わりだろう、自分の名を名乗り消え去った。
「我が名は魔導騎士 ウルザード いずれまた会うだろう。さらばだ、拳撃の魔法使い」
そこまでだった。タカミチはウルザードが魔方陣で転移したのを見届けるとその場に崩れ落ちる。
どうやらあの剣は自分の血液と一緒に魔力をも奪ったようだ。
彼は、最後に自分の友人である子供先生を思い返すとそのまま目を閉じた。
To be continued….
キャラクター紹介 (レンジャーズストライクのキャラクターのみ)
魔導騎士 ウルザード (魔法戦隊マジレンジャー)
強きものを求め戦う、魔法と剣技に長けた戦士。
正々堂々とした戦いを好む。
闇の陣営でありながら戦士でないものには決して手を出さないという誇り高い信念を持つ。
魔導馬 バリキオン (魔法戦隊マジレンジャー)
ウルザードの愛馬。
時空をわたる術をもつ。
悪、正義の概念に関係なく、戦士として誇り高い魂を持つ者のみに力を貸す騎馬。
惑星宇宙犯罪者(アリエナイザー) エージェント・アブレラ(特捜戦隊デカレンジャー)
頭の中にそろばんと天秤秤が入っている。
主に作戦、資金面でのサポートが彼の仕事だが戦闘能力も決して低くはない。
自分は表に出ず、裏からこっそり操るのが彼のやり方である。
宇宙忍軍ジャカンジャ 暗黒七本槍(五の槍) サーガイン(忍風戦隊ハリケンジャー)
かつてさまざまな惑星で猛威を振るった宇宙忍軍の一人。
二刀剣術とカラクリ技術を用いて戦う。
ちなみに彼の肉体もカラクリ技術によるもので本体は頭部に潜んでいる、ありのような虫型の異性人である。
甘いものはきらいだとか。
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