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第5話 炸裂!怒りのダイノパワー!!前編 投稿者:クローンウィング 投稿日:09/17-18:26 No.1284  




「急ぐぞ!少年、案内を頼む!」
「こっちです!二人とも僕についてきてください!!」

ティラノレンジャーはものすごいスピードでアスファルトの大地を駆けた。
その彼をネギが箒に乗って先導する。
しんがりはアバレッド。
彼も常人にはあるまじきスピードで大地を疾駆した。

学園に向かう途中で大勢の人々の流れにぶつかる。
彼らはおそらく学校の教師、生徒達。
学園が破壊されつつあることで皆、必死の形相で逃げ出している。
休日で、普段に比べ人が少ないのが幸いであった。
だが、それでも逃げて来た人は決して少なくはない。

三人はやりきれない思いを胸に秘め校舎の中へと入り、階段を駆け昇り、学園長の部屋へと向かう。
すでに校舎の壁には無数の穴があき、光線を受けたであろう扉のほとんどは無残に破壊されていた。

(ひどい…)
(また、間に合わなかった…)

ネギとティラノレンジャーがそう思いながらも三人は駆ける。

その時!ひときわ大きい音が響いた。

「みなさん、もうちょっとで学園長室です!」

ネギが角を右に折れ学園長室へとたどり着く。

……そこはすでに、部屋と呼べるものではなかった。
床は裂け、天井からは太陽が覗き、壁は天井を支える柱以外、ほとんどが無くなっている

ヒーロー達とネギは勢いもそのままに部屋に突貫した!




魔法使いが全員突っ伏している、その部屋では三体の単眼魔人が彼らにとどめを刺そうとサーベルを振り上げていた。

「アバレイザー!」
「レンジャーガン!!サンダースリンガー!!」

光線が3体のメッツラーを弾き飛ばす!

「だ、大丈夫ですか?皆さん!?」

ネギが教師の一人、瀬流彦に駆け寄った。
彼は右腕が曲がってはいけない方向に曲がっている。
一目見て重傷と分かる傷を負っていた。
他の教師達も同様である。

「ぐ…ネギ君、無理だ。君ではヤツには…」
「大丈夫です!来たのは僕だけじゃありませんから!!」

ネギは瀬流彦に答える。
そういうと、ネギは背後にいる二人を見た。

頷く二人。
そして若い教師に駆け寄るティラノレンジャー。

「……安心してください。もうだれも傷つけさせません」

そういうと、ティラノレンジャーは黙って構えた。

「…ふん、来たな。スーパー戦隊。ちょうどいい。ここが貴様らの墓場だ!」

三人のメッツラーはそういうと襲い掛かる!

「罪のない人々を襲った貴様らを許しはしない!この胸に宿る正義と!!」
「俺たちのダイノガッツにかけて!!」

二人のヒーローはそういうと、メッツラーに向かい竜撃剣とダイノロッドを構える。

「ミラージュビーム!!」

そう叫び、単眼から光線を照射する三人のメッツラー。だが、先頭のティラノレンジャーはそれを避けようとしない。

「ハァッ!」

竜撃剣が輝きを放つ。
その研ぎ澄まされた刃は増幅されたミラージュビームを反射し元の送り主に送り返した。
「な!」
「が!」
「ぬ!」

その反射したビームをまともに食らってしまい、思わず吹っ飛ばされるメッツラーたち。
太古の伝説の金属、ジュウメタルで作られた竜撃剣とティラノレンジャーの技量で初めて為すことの出来る技といえるだろう。

「貴様ら…よくも!受けるがいい、俺の真の力を!チェンジゴースト!!」


立ち上がり、そう叫ぶや否やメッツラーは1人に戻り、液体と化して地面に出来た裂け目の中に逃げ込んだ!!

「な!」
「しまった!!」

きょろきょろと辺りを見回すダイノヒーローとネギ。
だが、攻撃は予想外のところからやってきた。

「アームストレッチ!!」

巨大なマジックアームが上空から伸び、ティラノレンジャーを吹き飛ばしたのだ!

「ぐあ!」
「くくく」

メッツラーは上の階から大きく開いた穴を使い、自在に伸びる右腕で攻撃してきた。
三人の攻撃のとどかない範囲で魔人が愉快そうに哂う。

「くそっ!アバレイザー!」

だが、アバレッドの攻撃が当たる前に、再びメッツラーは液状化し逃げおおせる。

「そんな……体を液体化するなんて一体どうすれば…」

思わず呟くネギ。だが、そんな事を言っている間にもメッツラーは、アバレッドの背後で体を再構築する。

「危ない!」

振り返るアバレッド。だがすでに遅かった。

「っがぁ!」
「はっはっは!!」

サーベルで彼を切り裂き笑い声を響かせるメッツラー。

「くそ、せめて次にやつの現れる場所が分かれば…」

アバレッドが呻く。
確かにそうだ。
メッツラーは攻撃するときは実体を取っている。
なら次にどこに現れるか分かれば対処の使用もあるのだ。
(僕に…未来を見通す力があれば…)

だが、ないものをねだっても仕方がない。
(一か八か、あの一つ目お化けが出たところに出来る限り急いで呪文を叩き込む!)

幸い、敵は自分をマークしていない。
だが、詠唱を開始した瞬間だった。

「残念だが…呪文を詠唱させる隙は与えん!!」

そういうと、メッツラーは、あの際限なく伸びる腕でネギを弾き飛ばす!

「あぐ!」
「ネギ君!」
「少年!」

飛ばされた反射的に視線でネギを追うヒーローの二人。
だが、その隙をメッツラーが見逃すはずがなかった。

「これで終わりだ!ミラージュビーム!!」

ものすごい音がした。
残り少ない床を全て砕く勢いで照射された破壊光線は、ネギもヒーローも床に倒れた魔法使い達も全て吹き飛ばさんばかりである。

粉塵が巻き上がり、辺り一帯の視界が奪われる。
メッツラーは、眼を凝らした。

「ほう…まだ、生きていたか」

煙が晴れた時、そこには三人の人影があった。
ただし、二人のヒーローの姿はない。
紅い服を纏った二人の男性が、傷ついたネギと教師達をかばい、満身創痍ながらも立っていた。

「……凌駕、生きているか?」
「……ええ、なんとか。ゲキ先輩もまだ戦えそうですね」

ネギは、素顔をさらした二人…ティラノレンジャーとアバレッドの二人を見つめた。
すでに二人とも足は震え、額からはおびただしい量の血が流れている。
まだ、戦うと言うのだろうか?

「二人とも、もうやめてください!」
「そこの小僧の言う通りだ、やめておけ。貴様らは俺には勝てん」

「舐めるな!力が小さくとも、俺たちは戦士だ!!」
「その通り!反撃はここからですよ!」

ゲキと凌駕は気丈に振舞う。
だが、二人は先ほどまでの姿…アバレッドとティラノレンジャーになろうとはしなかった。
いぶかしげに思ったメッツラーだがすぐに思い当たったらしく笑い出す。

「…ははは、なるほど。貴様ら…。アーカイブから完全な状態で開放されたわけではなかったのだな?」
「…?」

ネギが不思議そうな顔をした。
メッツラーの言っている言葉の意味が良く分からないのだ
そのネギにメッツラーは面白そうな顔で付け加えた。

「説明してやろう小僧。こいつらは本来ならしかるべき手順を踏まなければこの世界に来ることが出来ない。
だが俺の目の前の二人はその手順をキャンセルし、無理やりこの世界に来た。故にこいつらは戦闘で全力を出せていないし、一度変身を解除してしまうと、アーカイブの指令がない限りもう二度と変身できない。
……これは傑作だ。この世界はもうもらったも同然だなぁ!」

その言葉にネギは驚き、振り返った。
二人はさっきの力を使えないにも関わらず戦おうとしている…そんな、勝ち目のない戦いに普通なら、誰も身を投じたりしない。

「たとえ、勝ち目が1%でも信じて戦い抜く。それが……スーパー戦隊だ!!」

ゲキは剣を構える。
そして、凌駕も先ほど自分が取り落としたアバレイザーを拾い、メッツラーに照準を合わせた。
だが、メッツラーは意識を失っている老人を物陰から引っ張り出した。
近衛翁である。
彼は部屋の一番奥…つまりメッツラーの背後にいたためミラージュビームを受けることはなかった。
だが、人質として取られてしまったのだ。

「念のためだが、保険をかけておく。大人しくすることだ。このじいさんが残り少ない命をここで終える前にな」

二人は死を覚悟していた。
だが 絶望をひっくり返す、逆転の女神たちがすぐそばまで来ているのを3人は知らない。
そして、もはや、用を成さなくなったその扉が音を立てて開かれた――!!

「!貴様らは!!」

メッツラーが扉を開いたほうを見る。
そこには7人の少女がいた。

図書館娘とシスターズ、ハカセと超である。
そして、超はネギの持つ恐竜図鑑を掲げた。

「ダイノ伝記よ!世界の危機に答えアーカイブからの声を告げよ!封印解除!!!」

彼女の言葉に、恐竜図鑑は形を変えた。
かつて、過去にあった出来事を全て記した伝説の書物がある…その名はダイノ伝記。

そして、その本から溢れ出た光は再び、ヒーローの二人を包み込む!

オリジナルアーカイブが不完全にも関わらず、彼らを一番最初に解放したのには3つの理由があった。

1つはネギ・スプリングフィールドの中のダイノガッツにアーカイブが反応を示したこと。
結果、ネギは新しい力を手に入れることが出来た。

2つ目は彼らが単体でも比類なき戦闘能力を誇ること。生物が進化する中で忘れた原初の闘争本能に秘められた力は何物にも代えがたい。

そして、3つ目がこのダイノ伝記の存在である。
過去における全ての出来事を記録しているこの本は例え、不完全な状態で戦士が解放されてもすぐに力を取り戻せるように処置が施されていた。

いってしまえば異世界のスーパーコンピュータ…オリジナルアーカイブは全てを知っていたのだ。

「これは……なんで君は俺たちにも知らされていなかった解放の方法を知っているんだ!?」
「ゲキ先輩!今は後にしましょう。ダイノガッツがすごい勢いでみなぎる!!……さあ、いくぜ!一つ目!!こっからが反撃の大アバレだ!!」

凌駕はダイノブレスを押して叫ぶ!!
ゲキもティラノサウルスのメダルをダイノバックラーに嵌めこみ叫んだ!!

「ダイノバックラー!!」
「爆竜チェンジ!!」

彼の姿が再び変わる。

金色のメダルの輝きを受け降り立つは1億7000万年前からの力を宿す紅き恐竜戦士!

顎を模したマスクが吼え、猛り狂うはダイノアースからの力を借りし爆竜戦士!

ざっと身構える二人の戦士。
彼らは名乗る。自分の名を、役割を、なによりその存在意義を!!

「元気莫大 アバレッド 凌駕!」
「正義無限大 ティラノレンジャー ゲキ!」
「ダイノガッツをその身に宿し」
「ダイノ伝記にその名を刻み」
「「見参!我ら2大恐竜戦隊!!」」

二人の背後で(なぜか)爆発が起きた。
おお、とおもわず拍手するネギたち。
ちなみに背後の人々はすでに避難済みである。

背後の爆発と共に立ち上がる赤いスモーク。
それは反撃の狼煙だ。
真の力を解放した今、彼らに敵はいない。


さぁ、戦え!ダイノガッツの荒ぶるままに!!


次回予告   ついに本領を発揮したWダイノヒーロー!
       そして、ついに魔法使いとヒーローの反撃が始まる!

麻帆良レンジャーズストライク!! 第5話 炸裂!怒りのダイノパワー!!中編

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