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第6話 新たなる力!恐竜王光臨!! 投稿者:クローンウィング 投稿日:10/15-13:28 No.1451
「ええい、でかいトカゲが一匹や二匹増えたところで勝負が変わるか!」
メッツラーは、三体の爆竜を挑発した。
「兄貴、あのバキケロの旦那と仮契約しているのなら…」
「大丈夫、分かっているよ! 契約執行30秒間!!ネギの従者 バキケロナグルス!!」
その声と共に紫色の爆竜に力が授けられていく!!
彼の中をダイノガッツと魔力が満たし、力を与える!!
バキケロは空に向かい、咆哮を挙げた!
彼の咆哮が、開戦の狼煙となった。
爆竜ティラノとバキケロが一度に襲い掛かる!
「…バカめ!俺の体が液体化できるのを忘れたか!チェンジゴースト!!」
魔人はあざ笑い、2体の突進を液化してかわそうとした。
だが、その判断は、短慮であり浅はかだ。
なぜなら、メッツラーにとっての真の天敵はバキケロナグルスでも無ければ、爆竜ティラノサウルスでもない。
彼が警戒しなければならないのは、
「今です!ゲキ先輩!!」
「受けてみろ!メッツラー!! 必殺!ティラノソニック!!」
真に彼が警戒しなければならないのは、この守護獣の存在であった。
ティラノサウルスは口から衝撃波を放つ。
苛烈なる咆哮が、邪悪の傀儡を原始の塵へと還元する!
「ぐああぁああ!!」
メッツラーは自分の液化した体が衝撃波により消えゆくのを感じ、すぐに体を元に戻す。
液体化を解除した彼の体のうち、サーベルのついた右手は、ブスブスと煙を噴き炭化していた。
「ばかな!さっきの体当たりを食らっても何ともなかったのに!?」
メッツラーは怯みながら、視線を守護獣に向ける。
だが、攻撃はまたしても彼の背後からやってくる!
「爆竜必殺!バキバキパンチ!!」
二番手は爆竜の突貫坊、バキケロナグルス。
ネギの魔力を分けてもらい打ち出す彼のパンチの威力は、悪の装甲をいともたやすく貫きとおす!
「あががが!?」
拳の一発一発が炸裂すると同時に技名どおり、「バキバキ」と言う音が聞こえてくる。
魔人の受けるダメージは計り知れない。
「ぬうう!よくも、よくもぉぉ!!」
だが、それでもメッツラーは倒れなかった。
それはジューノイドの誇りか、はたまた人間には負けないという意地か。
大地に踏ん張った魔人は、背後に気を配る。だが、自分の後ろに最後の爆竜が居ないと安心した瞬間、彼は天高く突き上げられた!
「だっ!?ばかなぁぁあ!?」
残る最後の一体、爆竜ティラノサウルスはドリル進化した尻尾を用いて大地の下に身を潜めていたのだ。
「やった!!」
ガッツポーズをとるネギたち。
だが、メッツラーは死んではいなかった。
「…まだだ!まだ……ぁぁぁああ!!」
膝をつき倒れている魔人に異変が起きた。
一番最初に変化が現れたのは炭化していた右腕だ。
その黒い部分はポロポロとかさぶたのようにはがれおち、その下からは彼本来の体表が姿を見せていた。
驚いたことに彼の体は、再生を開始しているのだ。
それも凄まじいスピードで。
本来なら起こり得ないその事態は……巨大化する際のバグのようなもの。
こうもりを操作しているアブレラにすら予測できなかった事態なのだ。
「ぐぐぐぐ…があぁぁぁ!!」
身体の再生が進むにつれ、彼は理性を失い凶暴化する。
それが余計にまずかった。
なんと、魔人は学園の廃墟を抜け、街に向けて歩き出そうとしたのだ。
「やばい!あのままじゃ街が!!」
一番近くに居た爆竜ティラノが動く。
「行かせねぇテラ!」
ドリル進化したその尾がメッツラーにとどめを刺そうと唸りを挙げる!
だが、魔人は背後からの攻撃を察知し、
「があぁあぁ!!」
獣声と共にその目からビームを打ち出した。
付近の地面に着弾し、大爆発を起こすそれは先ほどまでのビームとはケタが違う!
「うわあぁ!」
「きゃー!」
吹き飛ぶ大地。
土くれが3-Aの少女達に降りかかる。
「行かせん!ティラノソニック!」
守護獣ティラノサウルスが口から破壊の音を発射した。
大地の粉塵を巻き上げ、煙で辺りを覆いつくしながらバーサーカーと化したメッツラーへティラノソニックが直撃する!
だが………。
「やったか!?」
「があぁぁぁ!!」
「っ!?」
光線が煙を断ち割り守護獣を打ち抜いた!
本来、煙や蒸気のあるところではレーザーの威力は落ちる。
それにもかかわらず守護獣のダメージは大きかった。
それに反し、メッツラーはダメージこそ受けていたが、ほとんどの傷が再生を開始している。
……あの魔人を倒すには一撃必殺。
再生を開始させず倒すほかない。
「くっ!このままじゃ…」
(ゲキ……ティラノレンジャー、ゲキよ)
その時である。
あせるゲキの脳裏に声が響いたのだ。
ゲキはこの声の主を知っていた。
「この声は…守護獣か!?」
(爆竜たちとの合体を果たすのだ)
「合体だと!そんなことが…!?」
(我らは世界こそ違えど同じ太古の遺伝子を持つもの。汝らのダイノガッツがあれば必ず合体を果たせる)
「………分かった。今、戦えるのは俺たちだけだ。必ず合体し皆を守って見せよう!」
(そうだ。そのダイノガッツがきっとこの世界を救えるはずだ。……最後にキーワードを言っておく、この合体の起動呪文。それは――)
「凌駕!少年!聞こえるか!?」
「ゲキ先輩!?」
「アームドティラノさん?」
二人の返事が返ってきたことを確認してアームドティラノは言葉を続けた。
「これから三体の竜を合体させる!」
「な!」
「ええ!?」
その言葉は、アバレッド、ネギだけでなく二体の爆竜も驚かせた。
「マジかテラ!?」
「爆竜と守護獣が合体するなんて聞いたこともないバキ!」
だが、アームドティラノはそのまま言葉を続けた。
「守護獣も爆竜も元は同じ恐竜という種族なんだ。俺たちの中にあるダイノガッツを信じろ!今、俺たちがやらなければこの都市が……この世界が滅びてしまうかもしれないんだぞ!!」
「「「「!!」」」」
その言葉で、アバレッド、ネギ、バキケロ、爆竜ティラノの全員が覚悟を決めた。
腹が据わったのだ。
「やりましょう!ゲキ先輩!!」
「爆竜の底力、見せてやるテラ!!」
「ここが踏ん張りどころだバキ!!」
ネギは背筋を伸ばした。
深呼吸する。
紡ぐ言葉は一つ。
「僕も力になれるか分からないけど……手伝わせてください!」
その言葉にアームドティラノはうなずく。
彼は、自分のダイノバックラーに嵌っているメダルを外すと、それを赤い円錐状の宝石。
『ダイノクリスタル』へと変化させる。
そして、言葉と同時にそれをセットした!
「皆!俺の後に続いて叫ぶんだ。行くぞ!『爆竜・ダイノミッション!!』」
『『『『爆竜・ダイノミッション!!』』』』
爆竜ティラノが大地を駆ける。
彼は宙に飛ぶと、自らの尻尾を付け根から切り離した。
その巨体は折りたたまれ、彼の身体は真紅の下半身である脚部、大腿部、腰部を形作る。
彼は普段、左腕と上半身の一部も形作るが、今回は違う。
だが、彼のここまでの変形はアバレンオーとほとんど変わらない。
続いて、守護獣ティラノサウルスが形を変える。
彼が作るのは胸部、そして頭部だ。
いつも守護獣たちと合体するときと違い、頭が競りあがり、その獰猛さを残す肉食恐竜の頭部は胸部の装甲へ変わる、両手は残したまま。
守護獣の両足はくっ付き、そのまま一つのジョイント部分を形成し、爆竜ティラノの下半身と合体する。
最後に変形するのはバキケロナグルス。
彼も爆竜ティラノと同様、合体の際はアバレンオーナグルスになるときの変形と同じだ。
身体が変形し、彼はハンマー状になった右腕に変わる。
守護獣の両手はそのまま接合部分だ。
それにナグルスの右腕が、そして爆竜ティラノの尻尾であるドリルの左腕が、それぞれ接合される。
最後に守護獣の胸部から大獣神と同じ頭が現れる。
合体神はそのハンマーアームから蒼い光を送った。
ネギはその光を受け、宙へと浮く。
少年はオコジョ妖精を肩から下ろすと彼の体内へと吸い込まれる。
目の前に迫る鋼鉄の装甲にネギは思わず目をつむり――!
「……ここがコクピット」
目を開けた。装甲との衝突はしなかったようだ。
コクピットはアバレンオーと良く似ているものだった。
ネギは自分の目の前にある、ちょう腰の高さに安置されたバスケットボール大の透明な水晶球に両手を触れた。
どうやらこれが操縦桿らしい。
アバレッドは黒曜石のような球。
アームドティラノはルビーのような紅い球をそれぞれが手に取っていた。
三人は互いの顔を見て、黙って頷く。
合体は成功したのだ。
手をかざしている宝玉から操作の仕方と、三体の竜の声が聞こえる。
三人は声をそろえて叫んだ!
「「「完成!合体神 恐竜王(ダイノキング)!!」」」
ポーズを取る巨大な鋼鉄の神…恐竜王。
「すごいです…」
「…これがスーパー戦隊、ヒーローの力」
ハカセと夕映が呆然としたまま恐竜王を見上げる。
胸に在る守護獣ティラノサウルスの眼が輝く。
「行くぞ!」
『ウォオオ!!』
頭部の角が輝き、恐竜王は吼える!
Side ダークアライアンス
「バカな!?奴ら…異なる戦隊同士で合体を行っただと!?」
モニターを見ていたアブレラは思わず声を荒げた。
「……だが、奴らがそこまでの戦闘力を持っているわけでもあるまい、第一合体を果たしたところで所詮、張子のトラのはず……だ」
サーガインは少々楽観気味に自分の意見を述べた。
とは言うものの、そのモニターに打ち出されている姿を見て徐々に、声が尻すぼみになっていく。
そしてサーガインの希望的観測はことごとく打ち砕かれることとなる。
ダークアライアンスにとっては最悪の形で。
「ううおおぉぉ!!」
背後の合体を感知し、メッツラーが突撃をかけてくる。
「行くぞ!」
「「おう!!」」
三人は声を揃え、水晶に思いを込めた。
それに答え、天空から一本の剣が舞い降りる。
その名を恐竜剣『ゴッドホーン』
全ての竜を従える王はその剣を掴んだ!
彼の手は普段はドリルとハンマーだが、有事の際には拳が現れ剣が握れるようになるのだ。
それと同時にネギが詠唱を開始する。
それは自分の従者に力を与える魔法。
だが、この状況で呪文を唱えるとき、それは鋼鉄の武神に新たなる力が加わることを示す!
「契約執行30秒間!!ネギの従者 バキケロナグルス!!」
恐竜王の右腕が黄金に輝く。
迫るメッツラー。
恐竜王は剣を右手で構える。
メッツラーの目が妖しく明滅する。
そして、メッツラーの目から破壊光線が破壊される瞬間――!!
「超伝説!アバレ雷光斬り!!!」
メッツラーは、その剣に閃光の輝きを見た。
…いや、輝きしか見ることが出来なかった。
彼がきづいたとき、すでに自分の中枢は粉々に砕かれていたのだから。
剣筋は光。
衝撃は雷。
それこそが、爆竜と守護獣、そして、魔法使いの力が合わさった究極の一撃である!!
「ギギギ……バ、バイ・ザ!マーン!!!」
メッツラーは死ぬ間際に、自分の仕える帝国の主を讃えた。
両手を挙げた格好で、彼は爆散する。
「やったー!!」
彼らの戦いを見ていたハルナが宙に飛び、ガッツポーズを取る。
今、麻帆良にひとまずの危機は去った。
だが、エージェント・アブレラはすでに第二の作戦を展開していたのである!
次回予告
動き出すアブレラの第二次計画。
衝撃の身の内を語る超。
そして、新たな戦士が麻帆良の地に光臨する!
次回 麻帆良レンジャーズストライク!!
Episode7 ガンスリンガー・ボーイミーツガール
今回の新規登場
恐竜王(ダイノキング)
下半身と左腕は爆竜ティラノが。
右腕はバキケロが。
胴体と頭部は守護獣ティラノが構成した巨大ロボ。
イメージする際にはアバレンオー(ナグルス)の両手足。
胸の部分に守護獣ティラノザウルスの頭。
そして頭部は大獣神というのを想像していただければよろしいかと。
必殺技は魔力供給した腕を使い、光の速さで剣を振るう
『超伝説!アバレ雷光斬り!』
一秒間におよそ30回近く敵を切りつけるスピード技。
むろん、彼は他にも必殺技を備えている。
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