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第8話 阻止せよ!麻帆良ファイヤー作戦!!① 投稿者:クローンウィング 投稿日:11/11-00:01 No.1586  

紐男爵を撃破したデカレッドは屋上から降りてきた少女と窓や扉から出てきた魔法使いたちに改めて敬礼の構えをとった。

「本日付でこの世界に配属された赤座番伴です!気軽にバンって呼んでください!!」

そこまで言って彼は変身を解く。
すると、一人の人物がデカレッドの元に歩み寄った。
凌駕である。
変身を解除したバンが彼の肩を軽く小突く。
2人が再会するのは数年ぶりであった。

「御久しぶりです。バンさん」
「おう!久しぶり!」

以前、2人は地球のピンチの際にこことは別の世界で共闘したことがある。
2人は過去、地球を襲撃した(*)あの事件を思い返していた。
その時、今度はゲキがバンに歩み寄る。

「…ティラノレンジャー・ゲキだ。よろしく頼む」
「あ、凌駕から話は聞いています。始めまして、ティラノ先輩!」


ゲキが手を差し出し、バンがそれを握る。

「ヤァ、初めまして。君が『バン』ダネ?」

ゲキと握手を終えたバンに、さらには超が握手を求める。
赤座番伴、恋とは違うところでモテモテであった。

「手順を踏んでこちらに来たということは、情報の方はちゃんと伝わっているのカナ?」
「委細承知、万事解決!俺に任せてください!」

ドン、と自らの胸を拳で叩くバン。
言葉から察するにこちらの事情…魔法使いなどについての存在は知っているらしい。

その時、超はふと、紐男爵がデリートされた場所を見た。
彼女は疑問に思っていたのだ。

「……おかしいネ。連中はもうこちらの戦力をあらかた調べたはず…それなのに怪人一人と兵士達だけの御粗末な構成で攻めてくるなんて、ゲーム好きの個体の仕業にしても………」

そこまでいって超は顔を上げた。
彼女の頬を一筋の汗が伝い、口が動く。
声にこそ出さないが、彼女は『まさか…』と呟いていた。
超は未だ部屋の中にいるハカセに向かって怒鳴る。

「ハカセ!この都市を上空から探査していたさっきの衛星とモニターを繋いで!」

返事を返すより早く、ハカセの指がキーボードを叩き、素人が作り上げたにしては信じられない出来栄えの衛星が、麻帆良のあちこちを映し出す。

そして…!

「いた…!」

衛星に備えられているレンズアイの1つが、ブーバともう一人の映像を捉える。
とたん、研究室にまた騒ぎが起こった。

「天ヶ崎千草だ!」
「バカな!ヤツは今関西呪術協会によって幽閉されているはずだぞ!!」

騒ぎを無視しつつハカセと超は話を進める。
「あの男、間違いないヨ。DAの中で最強と名高いゴズマ軍の幹部クラスの一人…宇宙海賊ブーバ!」
「…2人は麻帆良山に向かっているようです。あそこは守護獣ティラノザウルスの復活で火山活動が再開されているはず。…何をするか、大体見当が付きますね」

ハカセはモニター中継をしながら不吉な事を呟いた。
ほかの魔法使い達も額に汗をかく。

「…仕方ないネ。真名とデカレッド、それにダイノヒーローの二人とネギ坊主は急いで麻帆良山に向かってもらえるカナ?」

「ロジャー!って、え?君も行くの?」

バンはパトストライカーに乗り込もうとする龍宮を見て意外な顔をする。

「今は緊急事態だ。急ごう…それから、私は龍宮真名という。以後よろしく頼むよ。刑事さん」
「龍宮…真名ちゃんね。これ、一応一人乗りなんだけど…」
「心配いらない。何とかなる」
「…しょうがない!……凌駕!ティラノの先輩!そっちは足、大丈夫ですよね!?」

凌駕とゲキが勢い良く首を振った。
横に。

「ライドラプターはこの世界に来れないんです」
「俺のロードザウラー1もだ。済まないが君の巨大パトカーに乗せてくれ」

バンは叫んだ。
「1人乗りって言ってるでしょ!四人も入りません」
「いや、なんとかなるさ。よっと」

そういうと、ゲキはひょいっとジャンプし、ドアを開けて進入する。

「う~ん、これで行くのはいいしても、山を進めるかなぁ?」

首をかしげる凌駕。
だが、ドアからゲキの声が響く。

「凌駕、早くしろ!置いてくぞ!!」
「だから、入らないって言ってるでしょ!……ちょっと!真名ちゃん!龍宮さん!髪、髪掴んでますって!あだだだ!!」

「おお、これは失礼。ネギ先生。君はどうする?」
「いえ、僕は杖があるので…」
「よし、では急ごう!出発だ!!」

ゲキの声と共にパトストライカーが発進する。
巨大マシンは勢い良くアラームを点灯させ山へと入っていった。

見送りだす一同の胸に一抹の不安を残しながら。


同刻

麻帆良山、火口へと通じる洞窟。



そこにカラン、と下駄の音を響かせて。
もう一方はザ、と大地を踏みしめて。

二つの『悪』がそこに到着した。

彼らは迷うことなく、一本道を奥へ奥へと歩いていく。
途中立ち入り禁止の札とバリケードに阻まれたが、男が背中に背負っていた大剣、ブルバドスでなぎ払って閉ざされた道を進む。
そして…。

「着いたな」

彼らは、地球が本性をさらけ出すソコへとやって来た。

グラグラと熱気が顔や身体にかかり熱い。
こんな時でも顔色1つ変えないブーバはすごいと千草は思う。

だが、額からでる汗の理由は暑さだけではない。
彼女の少々多い汗の理由。
それは今、自分の手の中にある赤い鉱石。
これを火口に投げ入れば自分は…。

「本当にいいのか?それを投げ入れれば、お前は正真正銘『人類の敵』だぞ」

男は自分を気遣っているのだろうか?
だが、その気遣いももう無用なことだ。
すでに自分は…再び麻帆良の地を踏んだ時点で、全てを捨てる覚悟を持っている。

「ええんや。うちにはもう復讐しかない。その復讐までなくしてしもうたら、何にもなくなってまう」

達観したように…いや、諦観したように千草は笑う。
その表情がブーバの心に、1つの波紋を作り出した。

「何にもかも無くなる…結構じゃないか。何にもないということは限りなく自由だということだ。お前を縛る鎖も千切れて無くなる」
「!…あんたに何が…っ!」

ブーバのその言葉は千草の心をよくないほうに刺激した。
千草は副官の頬を平手打ちしようと手を振り上げる。
が…彼女はそれを下ろす。
無駄だと分かっているのだろう。
大体、頬の部分を鉄鋼で覆っている男に平手打ちなどまるで漫才ではないか。

「………自由ね…うちは所詮、俗物や。悪党としても三流やし。やっぱ自由より富や栄誉のあるほうがええ」

実も蓋も無い意見にブーバは笑う。

「富も栄誉も持っているヤツから奪えばいい。自由であるならどこへでも羽ばたき手に入れることが出来るだろう」

その言葉に符術師は目をぱちくりさせる。
……させた後、一瞬の時を置いて笑い出した。
目に涙を浮かべ、腹を抱えながら。

「あはははは、奪えばいい……か。何や、あんさんも結構な悪党やなぁ」
「当たり前だ。俺は悪党の中の悪党、宇宙海賊。法如きで俺を縛ることは出来ん」

ブーバはそういうと、レドン鉱石を千草の手から奪い取り、鉱石と彼女の瞳とを交互に見つめる。

「貴様は呪文を使うなりして、ここから去れ。もうすぐこの地は火の海だ。レドン鉱石を投げ込めば2時間後に、今俺たちのいる火山が大噴火する」

「…あんさんはこれからどないするんや?」
「俺は心配いらん。怪重機とやらがある」
「そうやない。あんさんは自由を愛するお人やのになんであいつらに歯向かわんのや?」

その言葉に、ブーバはガシガシと頭を掻いた。

「人質を取られている。最も奪い返せるはずもないのだがな」
「…」

沈黙が辺りを覆う。
だが突如、宙を飛ぶメカバットの無粋な怒鳴り声が周囲一帯の静寂を切り裂いた!


Side DA

「ええい!ブーバ!何をしている!!とっととそれを投げ込め!」

騒ぎの主はアブレラである。
すでにヒーローたちが迫る中でこんなのんきに話していたらそりゃぁ、不安にもなるだろう。

「心配いらん、奴らが現れてもこれを投げ入れるのに何の支障もありはしない」

ブーバのその言葉にアブレラはますます不機嫌さを増していく。

「ブーバ。貴様、あの女がどうなってもいいのか?女の命は我らが握っているのだぞ!!」

「…!」

その声にブーバはビクッと肩を震わせる。
恐怖ではない。
純粋な怒りでだ。

「アブレラ…貴様、シーマに手を出してみろ!このブルバドスでその首を切り落とすぞ!」

激情を露に吼えるブーバを見て千草は少し複雑な顔をした。

(人質に取られたんは女だったんか)

「……何度もいうが覚えておけ。あの女はサーガインが厳重に封印している。貴様も我らが軍団の一員なら無駄な抵抗はやめるのだな」

メカバットはブツン、と口を閉ざす。
その時、車のエンジン音とバキバキと何かを破壊する音が響いた。

急勾配の山…それも山頂付近で、である。

「来たか。千草、下がっていろ。奴らは俺が倒す」

武人は剣を抜いた。

「…レドン鉱石を投げこまないんか?」
「それは奴らと決着をつけてからだ!」

遠く、火山の入り口から足音が聞こえる。
その音を聞き、ブーバは心が躍動するのを感じた。

(チェンジドラゴンはいないといっていた…だが、俺の心は高鳴っている。カミラの時は致し方なかったが、今度は奴らを負かし…その上でレドン鉱石を火口に入れよう。大丈夫だ。千草には奪い返せる筈もないといったが、『ヤツ』がいる限りシーマの身の上はしばらく安全のはず………余計なこととは考えるなブーバ。今はスーパー戦隊を倒すことに全力を尽くせ!!)

ブーバの目を見て千草は実感する。
かれが正真正銘のアウトローであり、戦好きである事を。

ならせめて、サポートだけでも…と彼女も懐から符を取り出した。


今、ヒーロー達と無法の武人が合間見える。
勝利の女神は一体どちらに微笑むのか?
そして、シーマの命は?

次回 麻帆良レンジャーズストライク!!

阻止せよ!麻帆良ファイヤー作戦!!②



(*)特捜戦隊デカレンジャーVSアバレンジャー 


今回の新規登場 

なし…あれ?

パトストライカー

全長28m。全高9.3m。
巨大な六輪パトカー。
時速500kmで走り悪党を追い詰めるデカレッドの相棒。
総重量1300t

すみません。前回の話で書き忘れていました。

麻帆良レンジャーズストライク!! 第8話 阻止せよ!麻帆良ファイヤー作戦!!②

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