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第8話 阻止せよ!麻帆良ファイヤー作戦!!② 投稿者:クローンウィング 投稿日:11/29-22:29 No.1673  





「来たか…」

男はブルバドスを背負い一言、嬉しそうに呟いた。
麻帆良山の火口付近、その洞窟。
エンジンの音と何かを破砕する音が同時に響く。
やがてそれは止み、こちらに駆けてくる足音が聞こえた。

「…待っていたぞ」

ブーバはもれ出る息の間から言葉をつむぐ。
千草は、目の前の武人と洞窟付近の入り口に現れた5人とを見比べた。

「…宇宙海賊ブーバ!ここで何をするつもりだ!!」

ゲキの言葉と共にバン、凌駕の三人がブーバの正面に立ちはだかり構える。

「…さてな、俺に勝てたら教えてやるさ!かかってこい!!」

ブーバは自身の相棒…ブルバドスを振るう。
風を切る音が響く中、それを合図にヒドラー兵がうじゃらうじゃらと湧き出した。

「来い!スーパー戦隊!!」

三人が構える。

「ダイノバックラー!」
「爆竜チェンジ!」
「エマージェンシー!デカレンジャー!!」

三人の赤い戦士がブーバと、千草に向けて突撃する!

「おお!」
「竜撃剣!」


ブーバの大刀とティラノレンジャーの聖剣が交差する。
そのまま、互いの剣はつばぜり合い、離れて、もう一度、二度、三度と刃と刃がぶつかり合う。

「ほう、この剣捌き…貴様、相当の使い手と見た!気に入ったぞ!」

ブーバは剣を打ち鳴らしながら、叫んだ。
その顔には笑みが浮かんでいる。


「ゲキ先輩!」
「ティラノ先輩!」

ゲキの救援に向かおうと、アバレッドとデカレッドは戦っている二人の元へと駆けようとその足を動かす…だが、

「やってまえ!猿鬼!熊鬼!」

突如、二枚の符がサルと熊の巨大なぬいぐるみになり、二人の行く手を遮った!

「お兄さん方、うちと少々遊んで行っておくれやす」

艶やかに笑いながら千草は扇子で口元を隠す。
すでに先ほどの人生を諦観した様子は微塵もない。
何が彼女をここまで変えたのか?

(うちは『悪党』としての高みを…真の自由を目指す!)

たとえ、自分が世界を壊すとしても手に入れたいものがある。
それは、真の自由。
自分を縛るのは自分が定めた法のみ。
それすなわち、誇り高き真の『悪党』
例えて言うなら、目の前でブルバドスを振るうあの男の如く!
自分もそんな生き方をして見たいのだ。

だから彼女は変わる。
自分自身を変えるきっかけを作ってくれた男の恩義に報いるために!!

「今日のうちをなめたらあかんえ!」

千草は、懐からカードを取り出す。
それは式神を呼び出す札でもなければ、呪札でも、護符でもない。

それはアブレラから手渡された一枚のカード。

目の前の猿鬼と熊鬼ではデカレッドとアバレッドには勝てない…そう気付いているから、彼女は切り札を切る。
…最も彼女も、そのカードを良く知らない。

(スペードのA…なんてしゃれた切り札やない…さしずめジョーカーやな)

彼女はそう思いながら、カードを洞窟の天井に着くほど高く放り投げ、すばやく両手で印を組み真言を唱えた。
それは本来異界より鬼神を召還する術である。
あの巨大こうもりはその辺を心得ていたんだろう。
アブレラが千草に渡したのは鬼の札であった。
そいつは、鬼は鬼でも、ただの鬼ではない。

「闇の僕よ、我が問いかけに答えたまえ!オンキリキリ・バジャラ・ウンハッタ!!」


カードが宙を舞う。
そこから時空が裂け、中から現れるは機械に角の生えたような怪物。
鈍い銀と緑で彩られた細長い体。
右腕には鋭い鎌。
人間とは違い、足元にひとつだけ付いている血走った目。

そう、召喚した鬼…。

悪鬼 オルグ。

物から姿を借りるそいつの名は……。

「芝のあるところカッターの雄たけびあり!芝刈り機オルグ、参上!!ここの芝目はなかなかだぜ!!………って芝がない!」

「(がくっ)」

千草は思わず地面に四つひざを付いた。
いくら、鬼の仲間とはいえ、芝刈り機に憑く鬼が強いはずないだろう。まだ一般的な善鬼、護鬼の方がましである。

「ええい!とりあえずやってまえ!芝刈り鬼(しばかりき)!そいつら倒したら、あとで好きなだけ芝刈らせたるから!」

勝手にオルグの名前を変え、千草は命令する。

(まぁ、見かけは結構怖そうやし、意外とやるかもしれんな)
「うおおおお!」

と、勢いだけはいい声を上げ、芝刈り鬼…もとい芝刈り機オルグは猿鬼、熊鬼の相手をしているデカレッド、アバレッドに突貫してゆく。

すでに洞窟ではなく、場面は洞窟の外にある平地へと移っていた。
今、火口にはブーバとティラノレンジャーの二人が居るだけだ。

千草は外に出ると眩しく照りつける太陽に目を細める。
時刻は午後二時。

今、善と悪。
二つの誇り高き信念が音を立ててぶつかり合う!

その戦いの内の一つ、アバレッド・デカレッドVS式神軍団の決着がいともあっさり尽きようとしていた。

状況は当然…というべきかレッドの二人が押している。
デカレッドとアバレッドは過去タッグを組んで戦ったことがあるだけによく息が合っているのだ。
式神軍団はどうにかこうにか凌いでいる。

「ガリガリ!ガリガリ~!!」

だが、愉快な乱入者によりふたりの連携に一瞬のずれが生じた。

「クマ~!」
「しまった!避けろ凌駕!」

それは爆竜戦士が背後を向いた瞬間。
その隙を突き熊鬼の爪がデカレッドの銃撃をかいくぐり、アバレッドを背後から切り裂いた!

「うぁ!」

思わずうめくアバレッド。
その隙を芝刈り機オルグは見逃さない。

「ガリガリガリ!」

芝刈り機オルグは人で言う足元の部分に鋭い丸鋸を持っている。
それは耳障りな回転音を立てアバレッドの足を傷つけた!

「ぐぅあ!」
「大丈夫か!?凌駕」

アバレッドは地面にひざを付く。
デカレッドは彼の元に駆け寄り、芝刈り機オルグとその脇に立っている猿鬼と熊鬼を見た。

「ガリガリガリ~!弱い!弱すぎるぞ~。国立競技場の雑草を刈るより容易いわ~」
「ウキッ♪」
「クマ~!」

三匹の鬼に馬鹿にされる二人。

「な、なんか…屈辱…」
「まぁ、オルグはともかくあんな可愛い着ぐるみに倒されたら恥ずかしいですよね」

自尊心を傷つけられたデカレッドとアバレッド。
アバレッドはふつふつと沸いた怒りを咆哮に変え、アバレモードにチェンジする!

「ウォォォ!」

そしてデカレッドも…

「スワットモード、オン!」

二段変身した戦士たちはその牙で敵を蹴散らす!

「だりゃだりゃだりゃあぁ!!」

怪我をした足を引きずりつつ、三匹を腕から伸びた爪で一気に蹴散らすアバレッド!

「ガリィッ!」
「ウキィーッ!?」
「クマッ!」

その攻撃にまるでお手玉のごとく宙を舞う、三匹の鬼。
そこをデカレッドがDリボルバーで一気に打ち抜く!

「が!」
「ウキィ…」
「クマァ…」

デカレッドの攻撃で猿鬼、熊鬼が元の呪札に戻る。

そして芝刈り機オルグは撃たれて体制を崩し、さながら犬神家よろしく、頭から地面に落下して大地に突き立った。

「…なんか、ああいう形で着地されると後味が悪いな」

「ですね。…そうだネギ君は!?」


そのネギたちは、すでにこちらに向かってきている。


千草は4対1という、絶望的な状況に立たされた。

(あかん。ここで引いたら…)

その時、千草の懐から一枚、札がこぼれた。
先ほどの『芝刈り鬼』と同じく、オルグと呼ばれるその鬼は…無機質な目で札から千草を見ている。

だが、千草はそのカードを開放したくなかった。
なぜなら封印されているにも関わらずそのカードから漏れる魔力が、すでに尋常な量ではないからだ。
到底、自分に御しきれるとは思えない。
だがここであの四人を打倒するにはほかに手はない。

「……一か八かや」

天空高くカードを投げる。
日光を反射したそのカードは、不気味なことに黒く輝いた。
彼女は再び印を組み、呪文を唱える。

自分に残された魔力をすべて注ぎ込み。
女は『鬼』の封印を解く。

「闇の僕よ、我が問いかけに答えたまえ!オンキリキリ・バジャラ・ウンハッタ!!」

カードが歪み、黒雲と時空の渦を作り出す。

先ほどより格段に大きい黒雲に2人のレッドと少女と少年と一匹は油断なく身構えた。


黒雲から笛の音が響く。


麻帆良にヤツが…伝説の鬼が降臨する。



額に生えるは猛々しい一本の角。
後頭部には王者の風格すら思わせる立派なたてがみ。

瞳は金色。
その瞳孔は夜空を統べる満月のごとく。

耳元まで裂けし口からは牙が除き、その全てを殺せそうな牙を隠すように、今は笛がその口元に当てられている。

全身を漆黒の甲冑で包み。
その背には三日月を思わせる、刀を背負い。

降臨した伝説の狼。
その名を…。

「…俺を呼び出したのは貴様か。何ゆえ、俺を眠りから揺り起こした?」

狼は笛をしまいこみ、女に問うた。
彼の背にある三日月刀がぎらぎらと黒曜石のように輝く。

「あ…ぁ…」

千草は狼から立ち昇る闘気に圧倒されて何もいえない。
ただ、だまって震え続ける。
だが、パン!と両手で頬を叩き、自分自身を叱咤すると彼女は精一杯のハッタリを込めて鬼に事の次第を告げた。
契約の儀式である。

「御身の力を持ちて我に破をもたらさん。わが願い成就せしめん暁には、供物を捧げ、汝を七代まで崇め奉らんことを」

片膝を着きこうべを垂れる。
千草の言った台詞を要約すると

『貴方の力を貸してください。目の前にいる者たちを倒してくだされば、望むものを用意し、あなたを神として後々まで讃えましょう』

という言葉になる。

「…いいだろう。そこにスーパー戦隊がいる。起きる理由はそれで十分だ」

鬼は千草から視線をはずし、立ちふさがっている4人を睨みつける…。
ネギの肩に登っていたカモが、ヒッと声を上げ、地面に落下した。

漆黒の獣鬼は大地を照り付ける太陽に向かって咆哮する。
どこか物悲しくなるその声を聞きつつ、4人は構えた。


「俺の名は狼鬼。デュークオルグだ。赤き戦士たちよ!かかって来るがいい!!」


封印を解かれた鬼…その名は狼鬼。
今、新たな牙が戦士たちに牙を剥く!



次回予告

開放された新たなる闇、狼の顔を持つ男はその場にいる者たちを圧倒する。
そして、ブーバとティラノレンジャーの決闘も、いよいよ苛烈さを増してゆく。

次回、麻帆良レンジャーズストライク!!

第8話 阻止せよ!麻帆良ファイヤー作戦!!③




今回の新規登場

芝刈り機オルグ(百獣戦隊ガオレンジャー)

芝を刈ることが大好きな怪人。
戦闘の際には右手の鎌と足元に付いた丸鋸を使って戦う。
ちなみにとどめこそ差されているものの、未だ存命。
(ジャッジメントをしていないので)

狼鬼(百獣戦隊ガオレンジャー)

1千年前に封印された伝説の鬼。
風のごとく早く動き、相手を翻弄する。
本人はオルグといっているがその正体は……。

麻帆良レンジャーズストライク!! 第8話 阻止せよ!麻帆良ファイヤー作戦!!③

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