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第8話 阻止せよ!麻帆良ファイヤー作戦!!③ 投稿者:クローンウィング 投稿日:12/17-02:13 No.1731  



漆黒の刃をぎらつかせながら狼鬼は4人の戦士…龍宮、ネギ、アバレッド、デカレッドに迫る。
その足取りはゆっくりであったが、故になおさら迫力があった。

「……」

四人は黙ってつばを飲んだ。
ゴクリ……という、何気ない音が響く。

ネギはかつて、京都で戦った大鬼神にもおとらぬ迫力を出す男に畏怖を感じ。
龍宮は、大気はおろか肌すら切り裂かんと錯覚させる殺気を、わずかに震える手で押さえ。

アバレッドとデカレッドは狼鬼の一挙一動に隙がないのを見て、己の持つ武器を強く握り締め。

各々がこちらに歩いてくる鬼を見つめた。

そして狼鬼も足を止め、戦士たちと対峙する。
だが、四人は動かない。

否、動けないのだ。
今は糸がピン、と張り詰められた状態。
その糸はほんのわずかな緊張で切れる。

例えるなら一発の銃弾や、ただ一言の呪文で。
故に四人は動けない。

ただ、己が武器を構えるだけである

「…どうした?そっちが来ないなら…こちらから行かせてもらうぞ!!」

狼鬼が動いた!
その動きはあの機関車仮面よりも速く、不規則で捉えがたい。

例えるなら黒い疾風だ。

その黒い疾風は一直線にアバレッドに向かう。
いや、一直線というには御幣がある。

それは時にジグザグに、時に垂直に、進路を変える。
だが、戦士たちはその動きを視線で追う事ができない。

故に、アバレッドは目を閉じ、自分の直感に頼る。
そして…。


『チィッ』と何かが擦れる音がした。


「オオォッ!!」

風の導きと、研ぎ澄まされたダイノガッツが彼に好機を知らせる。
アバレッドは吼え、ティラノロッドを大上段から振り下ろす!



……だが、ティラノロッドが砕いたのは地面だけだった。

本来なら当たるはずの攻撃を狼鬼は後ろに飛び退る事で避けたのだ。

「っそんな!?」
「甘い!」

黒き疾風はいったん後退し、再びアバレッドに斬りかかる。
言葉にすると長く感じるだろうが、アバレッドがロッドを振り下ろし、狼鬼が再び斬りかかった時間はコンマ数秒である。

「ぐあぁぁ!」


その刹那に攻撃を受けたアバレッドは胸から火花を散らし、吹っ飛ばされた。
彼の体を覆っているアタック・バンテッド・レジスタンス・スーツが無かったら盛大にハラワタをぶちまけ、絶命しているだろう。

「…凌駕!……くそっ!Dマグナム!!」
「我が魔眼から逃れることはできん!!」

仇といわんばかりにデカレッドのDマグナム、そして、龍宮の二挺拳銃が火を噴く。

だが、

「……遅いわ!クレセントウェイブ!!」

「っ!風花!風障壁!!」

三日月刀から幾多も放たれるエネルギーカッターが銃弾を飲み込み、四人を襲う!!

「うぁぁぁ!!」

爆炎と煙が少年少女と戦士たちを覆った。

狼鬼は未だ、油断無く自分の獲物を構えている。
彼は察知していたのだ。唯一行動してこなかった少年…ネギが自分の攻撃と同時にバリアーのようなものを張ったのを。

故に、彼は目をそむけることなく前を見る。
生あるものをすべて射殺すその凶暴な眼で。

だが、煙の晴れたとき。
そこには、少年と少女を守った故にボロボロになった二人の戦士が膝を地面に付いていた。
狼鬼の攻撃がネギの結界を破ったのだ。

「すご…」

千草は口に手を当ててつぶやく。
なけなしの魔力で術を使い、援護しようとしたが、どうやらそれも無用らしい。

彼女は口に手を当てていないほうの手に握っていた呪符を懐に戻す。



勝負は付いた。



この場が、そう思わざるおえない状況にあったのだから。



「………ここまでだな」

狼鬼は三日月刀を構える。
繰り出すのは先ほどのクレセントウェイブのエネルギーカッターを一つに凝縮させた彼の一撃必殺!

「ハァァァ!……ムーンライトソニック!!」

斬首の一撃は四人を死地へ誘おうと唸りを上げて襲い掛かった!!











Side ブーバVSティラノレンジャー



場所は変わりここは麻帆良山の火口にある洞窟。



そこで二人の剣士が切り結んでいる。熱気を孕んだ空気を冷やすように、鋭い音を響かせて。

「オ!オ!オ!ォ!!!」

怒声ともに宇宙海賊の大剣、ブルバドスが竜撃剣もろともティラノレンジャーを砕こうと迫る。

「ッぐぅ!」

一方のティラノレンジャーは劣勢だ。
彼はブーバの剣から、ただの破壊願望とは違うものを感じ取っていた。

故に剣士としては失格かもしれないが、彼は全力を出せずにいたのだ。


「宇宙海賊ブーバ!貴様、一体何が目的で戦う!?」
「知れたことよ!貴様らを倒す!」


打てば響く、という具合に返された言葉にティラノレンジャーはブルバドスを受け止めながら、首を横に振った。


「違う!!今のお前の剣には確かに『戦いたい』という願望がある!だが、その思いに負けないぐらい『誰かを思う心』が剣に宿っている!ブーバ、お前には戦わなくてはならない理由があるんじゃないか!?」


その、言葉にブーバの剣に若干の動揺が走る。
だが、それもほんの一瞬。


「世迷言を!」


すぐに己の獲物…ブルバドスを回転させ、それをティラノレンジャーの頭上に振り下ろす!


「世迷言ではない!お前の剣にある、護りの型。それは破壊しか知らぬものには使えないものだ!!」


そういうと、ティラノレンジャーは自身が言ったその護りの型を取って見せた。

竜撃剣を頭上で構え、大上段に振り下ろされたブルバドスをそのまま、受け止める。


「ハァァ!!」


そして、剣を使わずにその剣から発するオーラで相手を吹き飛ばした!!


ブーバはその剣気に押され、余儀なく後退する。
足を後ろに踏み出してはいない。
だが、オーラ…剣気を受け止めた彼の身体がザザザ…!!と後ろに押しのけられたのだ。


「今のこの技は、背後や足元に護らなければならぬ者がいて動けない時、隙を出さずに迎撃するためのものだ。
ただ破壊、略奪しか知らぬ者はこの技は使わないし、使えない…攻撃を受け止めるより、…避けたり、受け流すほうが反撃には有利だし、…なにより、剣気を使うくらいなら、脚で相手を蹴り上げればすむ」

ティラノレンジャーは肩で荒く息をしながらも、宇宙海賊を諭す。

「お前は、まだ剣気を使ってはいないが、その剣筋は本当に真っ直ぐだ。
ブーバ、君はまだ罪を償えるはずだ!無駄な戦いをやめて、この世界を護るために共に戦おう!」

だが、ブーバの返事はにべもない。

「断る!俺は骨の髄まで宇宙海賊よ!何より、貴様との戦いは無駄などではない!この俺の魂が震え、過去に戦った、あの男を思い出す!!」


彼の剣筋は真っ直ぐでありながら、より強く、荒々しくなってゆく。


「ティラノレンジャー!貴様は戦いを心地いいと感じないのか!?立ちはだかる強敵を大地に打ち倒したとき、自分の鍛錬が、努力が認められたと、実感しないのか!?」

「……感じないといえば嘘になる!だが、誰かを傷つけるより守ったほうが戦士らしいとは思わないか?」

「っ!貴様、そうまでして戦わずに剣を収めたいか!この臆病者め!!」


ブーバとティラノレンジャーの剣戟は、いよいよ激しくなる。
だが、その決闘を邪魔しようという者がいた。


ソイツは洞窟の天井に張り付き、メインカメラで主に映像データを中継していた。

だが、主のほうは限界だったらしい。

天井に張り付いていたコウモリ…メカバットは突如飛来しブーバの腰についていた巾着を掠め取った!


「……!アブレラ!何の真似だ!!」
「時間切れだ」


無常にそう告げると、機械のコウモリはその口にくわえていた袋を麻帆良山の火口に投げ込む!!


メカバットはギシギシと歯車をこすり合わせながら、ティラノレンジャーをみて笑った。

「残念だったな。スーパー戦隊。コレで貴様らもおしまいだ。今投げ込んだレドン鉱石はこの火山のマグマと触れることで反応を起こし、大噴火する。そうなれば麻帆良…いや、日本中が壊滅的な被害を受けるぞ!ハッハッハッハ!!」

だがティラノレンジャーは動じない。
いや、彼はティラノサウルスのマスクの中で笑い声をもらした。

「残念だったな。エージェント・アブレラ」
「……何?」

ティラノレンジャーは、言った。真実を。

「レドン鉱石はマグマと触れたりなどしていない。いまごろ、その石は『彼』の腹の中だ」

「彼だと?…………っぬぁ!しまっ…!」

メカバットは振り向いた。
振り向くと同時に、ザバァと溶岩の中から『彼』が現れる。

マグマよりもなお紅いその体躯。
すべての悪を食いちぎる強力なアギト。
気高さと理知性を秘めた青い双眼。

彼、守護獣ティラノサウルスは現れると同時、邪悪なる機械のしもべをそのアゴで粉々に噛み砕いた!!


巨竜が鋼を咀嚼する音が響く。
ゴリゴリという音を聞きながら両雄は剣を下ろした。


「剣を収めてくれないか?ブーバ」
「………いいだろう。邪魔が入って興が削がれた。貴様との決闘、次回に持ち越す。その時まで、その竜撃剣を磨き上げておけ」

ブーバはそういうと、姿を消した。
だが、気配はまだ残っている。
おそらく、あの女の符術師を迎えにいったのだろう。

「……俺たちは…戦わずに分かり合うことはできないのか?」

一言、つぶやくとティラノレンジャーもまた駆ける。






戦いはまだ終わっていない。










『ガピー…ザ!ザザザ……』

一方のアブレラはモニターの前で立ち尽くした。
いやな音を立てながら、彼の見ていたスクリーンには白黒の砂嵐のみが写される。

「……この私ともあろうものが!」

バン!と拳を机に叩きつける死の商人。

彼は失念していた。この麻帆良山の火口には竜が…守護獣が眠っていることを。

だが、………彼を怒らせる理由はこれだけにとどまらない。

「くそっ!メカバット一体、5万円のマイナスだ!!」


 『ドォカァン!!』


アブレラが被害金額を叫ぶと同時、ものすごい音が響いた。

「ぬおおお!?」

彼は耳をふさぎ、壁脇のマイクに叫ぶ。

「サーガイン!何が起きた!!」
「アブレラ!奴が……ウルザードが裏切った!!今、追っているがブーバの『首輪』を強奪して、学外に向かっている!!」

「な、何だと!?」

アブレラは天を仰ぐ。
彼の頭の中では、札束が羽根をつけどんどんと飛び去っていった。

優れた頭脳は基地の被害額、おそらく帰ってこない怪重機の代金、Etc,etc……それら被害金額を計算し、占めて1000万円を超えていることを理解すると、机にもう一回拳をたたきつける。

「お、おのれ…!スーパー戦隊!……ウルザード!!この落とし前はきっちりと付けてもらうぞ…!!」




哀れな金の亡者は天に向かって咆哮した。












再び時は戻り、狼鬼が4人の戦士に止めをさそうとしていた時、麻帆良山へ向かう、一つの影があった。

彼は、先ほど超鈴音から解放され、事の次第を告げられて、麻帆良山に向かっていたのである。

「待っていてくれ!戦士のみんな!!俺もすぐそこへ向かう!」


そういいながら」、彼は自分愛用の日本刀を掲げ、地を駆ける。

軽い音を立て、木々の間を縫い、風と同じ速度で。


そして到達する。


戦士が足を止めたのは、麻帆良山の火口入り口を見渡せる高台。

彼が戦場に駆けつけた時には、既に味方の戦線は崩壊寸前にまで追い込まれていた。

赤き二人の戦士は地に膝を突き、報告にあった魔法使いの少年と、一人の少女がこめかみから流れる地を拭いながら、彼らをかばい前に出ている。

たなびくマフラーが視界の隅に入り、今まで吹き付けていた激しい向かい風が追い風に変わったのを知った彼は、改めて武器を握る手に力を込めて戦場を見渡した。

何も動じる必要はない。そう、風の流れが変わったのと同じように戦場の流れも変わる。いや、変えてみせる。その為に自分はここへ来たのだから。



「ハァァァ!……ムーンライトソニック!!」



彼は飛び降りる。戦士たちの盾となるために。
ネギたちに迫る狼鬼の一撃、…彼は、それを瞬時に見極める。



そして………戦士の日本刀が閃いた!!



「秘剣…新飛羽返し!」



斬首の一撃…ムーンライトソニックがプラズマエネルギーを帯びた刀によって相殺される。


狼鬼は目を細める。
喜悦ゆえに。

新たな戦士が現れた。

止めを刺し損ねたことなどどうでもいい。
また一体、復讐する相手が増えただけのこと。
それがうれしい。


より多く、自分を封じたものたちに恨みをぶつけることができる。


「変わった力を持っているな…何者だ?貴様」

その答えに彼は名乗る。

雄大なる大鷲の名を。


「バルッ!イーグル!!」


プラズマエネルギーを吸収し、力を溜めた、今の彼に敵はいない!
両手を翼に見立て、彼は再び名乗った。


「太陽戦隊 サンバルカン!!」


次回予告


四人目の赤き戦士、バルイーグル。
交差する赤き大鷲と黒き狼。

そしてDAを裏切ったウルザード。
火山での戦いは次回、執着を迎える!

次回 麻帆良レンジャーズストライク!!

「阻止せよ!麻帆良ファイヤー作戦④」





今回の新規登場

バルイーグル(二代目) (太陽戦隊サンバルカン)

本名 飛羽高之 25歳の地球平和守備隊空軍将校。
初代バルイーグルが、NASAに行くことになった際に彼、飛羽が選ばれた。
日本刀の扱いと航空機の操縦技術は天下一品。明るく、冷静なリーダータイプの人物である。ちなみにフレーバーテキストには、初代のものを使用。無論、二代目のも使用する予定。

麻帆良レンジャーズストライク!! 第8話 阻止せよ!麻帆良ファイヤー作戦!!④

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