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Task.10 友情の価値① 投稿者:クローンウィング 投稿日:02/05-22:24 No.1986  


初めに気付いたのは、学園に結界を敷いた本人である、近衛翁であった。

彼は芝刈り機オルグの珍妙振りにフォッフォッフォとバルタン笑いを見せていたが、その異変を感じるや否やすぐに顔をキリリと引き締め皆に問うた。

「…諸君、何か感じないかの?」

話を振られた魔法使い達は少しいぶかしげな顔をしたが、一人が索敵用の使い魔を出そうと試みる。
彼の手に光が灯る………だが、その光は使い魔の形を成すことなく、彼の手の上で霧散した。

「!! 魔法が使えない!?」

驚愕の叫びは他の魔法使いたちにも伝染する。

詠唱するもの、アーティファクトの効果を試すもの……そのほぼ全てが無力化していた。すべて完璧な手段で行っているにもかかわらず、である。

「そんな………なんで?」
カランと杖を取り落とし、ネギがうめく。

「………ハカセ。ラボに戻ろう。私たちでこの原因を突き止めければ…」

超は友人にそう言うと、研究室に戻ろうときびすを返す。
だが、戻る必要も無かった。

「愚かな人間共、我らの声が聞こえるか?」

突如、巨大な影が麻帆良を覆う。
皆が上を見た。
上空に浮かび上がったのは立体スクリーン。
そこに映し出されるのは先ほどアブレラと通信していた鋼鉄の王。

「我が名は皇帝バッカスフンド マシン帝国バラノイアの皇帝である! これより我らはこの世界全てを鋼で覆い、我が植民地とする。魔法使いたちよ。貴様らの牙はもがれた。もう魔法とやらは使うことはできずこの学園から逃げ出すことも叶わん。
そうそうに投降するがいい!ハッハッハッハ!!」

響き渡る耳障りな笑い声。
手段はともかく、誰が自分たちの力を奪ったかは分かった。
だが…それが分かったところでどうしろというのか。

「……ヤバイよ…これ」

美空が呟く。
何人もの魔法使いもまた力を失い、うなだれた。

映像が途切れる。

力を失った魔法使いたち。
だが、彼らは決して牙をもがれたわけではない。

そのことを証明するようにひときわ鋭い目で立体スクリーンのあった場所を見つめ続けている少女がいた。


超鈴音


彼女は一言呟く。
怨嗟をこめて。

「……許さない…!!」

超の過去に一体何があったのか?


そして魔法使いたちは力を取り戻すことが出来るのだろうか?


Side ??



図書館島。
学園都市麻帆良でも一際異彩を放つその場所は、失われた知識の多くが眠る場所。

今、その入り口に三つの影があった。
創造王リュウオーンとその配下である。
「プレシャス反応は中々に高い。期待できそうだな」

創造王はそういいながら手で押せば開く扉を剣で斬り払い、その奥へと突き進む。
その背後に一つの視線を感じながら…。



「開放されて早々奴と戦うことになるとはな」

トレジャーハンター、明石暁は秘宝の元へと赴こうとするリュウオーン達を見て呟いた。

ジャリュウの長は先へとわき目もくれず、先へと進む。
だが、明石はリュウオーンの後を追わなかった。
「一人になる瞬間を狙っていたというわけか」

後ろを見ずに声を掛ける。
彼が声をかけると同時、背後の地面が盛り上がった。
カードから開放され、辺りを調査していた時からずっと感じていたその気配は、いよいよ若きトレジャーハンターに襲いかかろうと迫る。

未だ、明石は敵のほうを向いてはいない。
「相手が一人なら倒せる」という敵の見え透いた意図と複数の足音が彼の口元に笑みを浮かばせた。

明石暁は若きトレジャーハンターである。
だが、彼をより的確に表すにはもう一つ修飾語をつける必要があった。

『若き、伝説のトレジャーハンター』

その二つ名は不滅の牙。

この無謀な挑戦者たちには身をもって教えてやらなければなるまい。
自分の二つ名の意味を。

いかなる罠も潜り抜け、何人もの遺跡荒らしを倒してきた『不滅の牙』の右手には携帯電話型特殊ツール…アクセルラー。

「やめておけ。お前たちでは俺には勝てない………」

そこで明石は初めて背後を向き、襲い掛かってきた青い戦闘兵の刃をその携帯電話で弾いた。

「レディ!ボウケンジャー・スタートアップ!」

アクセルラーが駆動し、彼の体は赤いスーツに包まれる。

「もう一度言う。やめておけ。お前たちでは俺には勝てない。この……ボウケンレッドには!」

戦士は満を持して現れる。

「シネイィィ!!」

妙なイントネーションで、その先頭兵は口を利いた。
ボウケンレッドは敵の手にある刃を弾き返しながら、その兵を見つめる。

「……おかしい、資料にあるヒドラー兵とは少し違うぞ」
「シネィ!」
「シネィ!」

わらわらと湧き上がる青い体をもつ雑兵たち。
彼らは確かに通常のヒドラー兵とは違った。

口を利くのもそうだが、一番異常なのはその頭部だ。
彼らの首の上にはどういうわけか、乗用車が載っていた。
頭に赤、青、黄色、高級車、軽自動車、果ては救急車に霊柩車。 
まるで、博覧会である。

「こいつらは……?」
「久しぶりだな!ボウケンレッド!!」

創造王リュウオーンは入り口で彼を待っていた。
背負った双剣の一本を大地に突きたて、まるで遺跡の守護者のように。

どうやらリュウオーンは彼を倒してからゆっくりと財宝を探索するつもりらしい。

「リュウオーン、貴様 この地で何をするつもりだ!」
「知れたこと! 人間を滅ぼすまでよ!!」

リュウオーンの脇から二人の怪人がのっそりと現れる。

「SSスタタンゾ! バラモビル! そいつを血祭りに上げろ!!」

一人は先ほど、講堂で火災を起こしたSSスタタンゾ。
もう一人は、体が歯車と自動車の部品で出来た機人、バラモビル。

「いかに、貴様といえこいつら二人を相手に生きてはいられまい」

リュウオーンの自信は伊達ではなかった。
ダッダッダッダと、見かけによらず軽いフットワークでボウケンレッドを取り囲む二体の怪人。

「燃えろスタタンゾ!」

SSスタタンゾはガスポンプから大火炎を放つ。
ボウケンレッドはそれを前方に転がり込むことで回避した。
「ボウケンジャベリン!」

手の中に出現した槍でSSスタタンゾの懐を突こうとするボウケンレッド。
だが、もう一体の怪人、バラモビルが彼の背後から合図を下す!

「やれ!車ヒドラー兵!」

バラモビルは戦闘に関してこれといった特技を持っているわけではない。
だが、バラノイアの力を継ぐ彼には機械としての邪悪な知識があった。

命を歪め、生み出す力……改造手術。
それによって生み出されたのが目の前の、車ヒドラー兵。

「くっ!」

ボウケンレッドは迫り来る車ヒドラー兵たちに苦戦する。
その力も機動力も、資料にある普通のヒドラー兵とは違う。
ギリ…とマスクの奥で歯を噛み締めながらボウケンレッドは悪しき刃を捌く。
だがさらに彼の背後から追い討ちが掛けられようとしていた。

「スタスタスタタンゾ~」

不気味に笑いながらSSスタタンゾは片手を挙げる。
彼の背後から現れるのは自動車にワゴン、軽トラック。
その数およそ20台。
皆、無人にもかかわらずアクセルをふかし、そのヘッドライトがボウケンレッドを睨み付ける。

「おまえにこいつを全部かわせるかな?」
「さぁ、【突撃したくなるガソリン】の威力、思い知れスタタンゾ!!」

バラモビルとSSスタタンゾがボウケンレッドを指差す!
荒れ狂う乗用車たちはクラクションを鳴らし、彼に襲い掛かった!!

オフロードを力の限り走る車たちが粉塵を巻き上げ、怪人たちの視界を奪う。
乗用車たちはものすごい音を立てて車ヒドラー兵もろとも、ボウケンレッドを押しつぶした!!

「…………死んだか?」
「おそらくスタタンゾ」

リュウオーンとSSスタタンゾが車の残骸を見つめ、確認をとる。

「お~い! あったぞぉ!」

車の破壊跡を見に行ったバラモビルは、ボウケンレッドのジャベリンを空に掲げた。

「死体が見つからないのは気がかりだが、まぁ良かろう。先へ進むぞ!!」


三体の怪人は残った車ヒドラー兵を引き連れて奥へと進む。
数々の罠を入り組んだ道を抜け、行き着いたところは開けた玉座。

かつて、ネギ・スプリングフィールドとその仲間たちが頭の良くなる本を手に入れようと進入した場所である。

今、その場所には魔導書はない。
元々、あの魔導書は偽物であり、ネギたちを懲らしめた後は無用な面倒にならぬように近衛翁の手で保管されていた。


だが、リュウオーンはにやり、と笑い……
「ここがいい。準備こそしていないが、召喚するわけでもないからな」
その音と共に銀光、そして形容しがたい色の血が迸った!!

「ス、スタタンゾォォ!?」

耳障りな悲鳴が響く。
リュウオーンが近くにいたSSスタタンゾの腹を刃で割ったのだ。

「……魔方陣はこやつの血で書けばいい。問題は贄だ。悪魔と会話をするにはそれなりの供物を必要とする……」
創造王は部下を殺したことに微塵も罪の意識を感じさせない声でつぶやき続ける。

「いや、そもそも封印を解くのだから指輪を壊すだけでよいのではないか……?いや、しかし…それでは」

オカルトの知識を総動員しながら剣で魔方陣を描くリュウオーン。
彼の不気味な背中にバラモビル、そして申し訳程度の頭脳を身につけた雑兵たちは恐怖した。

「お、俺たちもやべぇんじゃねぇか?」
「ニ……ゲロ」
「ニゲ…ロ」
「ニゲロ!!」

バラモビルを筆頭に怪人たちは逃げ出す。
戦って死ぬならまだしも悪魔の生贄にされるなど、御免被る。
そう言わんばかりに。

だが、リュウオーンは彼らを追いかけようとも引きとめようともしなかった。
なぜなら………

「……くせぇな。なんて臭いだ……」
血で描いた魔法陣の中、カタカタと音を立てその指輪…魔導輪が口を開いたからだ。

「ん?……そうか、お前が俺を呼び出したのか」
「その通り!この創造王リュウオーンが貴様を呼び出したのだ!!さあ、我に無限の知識を授けよ!!」

果たして指輪に封じられた悪魔はその知識を、創造王に授けてしまうのだろうか?

「知識を求める魔人よ。俺の名はザルバ。この【ザルバ】の名の意味を言え。そうすれば一つだけおまえの質問に答えてやる」

リュウオーンは一つだけ、という言葉に眉をしかめたが、すぐに答えを出した。彼は両手を広げ絶叫する。

「簡単だ!貴様は知識を授ける指輪、ならば貴様の名である『ザルバ』とは太古の言葉で「知識」に他ならん!」

自信満々に答えた創造王だが……。
魔導輪……ザルバは答えず、逆にリュウオーンに問いかける。

「創造王リュウオーンとやら……お前さん、知識を得てその先に何を求める?」
「我は人を超越し、人を滅ぼす!」

野望に酔いしれ、リュウオーンは両手を広げ頭上を見た。

「何のために?」
「人こそがこの世界で最も不要であると、証明するためだ!人とは害悪しか生まぬ!人は闇を、お前たち悪魔を恐れる。だが、私に言わせれば悪魔とは人そのものだ!」
「……なぜ、そこまで人を毛嫌いする。お前も元は人間だろう」

ザルバの言葉にリュウオーンの顔が変わる。
彼は憤怒の眼差しで指輪を見た。
「違う!私の中に巣食っていた脆弱な心は当の昔に死んだ!今の
私はジャリュウ一族の長、リュウオーンだ!」

ザルバは哀れむ目つきで彼を見た後、ため息をついて言った。
「どの道、お前に俺は扱えない。なぜなら…………」

「なぜなら、魔導輪の名の意味を……お前は理解することができないからだ! リュウオーン!!」
「何!?この声は!!」

リュウオーンは自分が通ってきた入り口を見据える。
現れたのは自分が殺したと思っていた男。
オレンジ色の消防服を着た男に肩を借り、不滅の牙がそこにいた。

「そのプレシャス、魔導輪の名は「ザルバ」旧魔戒語と呼ばれる言語が指し示すザルバの意味は……『友』だ」

明石のその言葉……そのあまりの皮肉にリュウオーンは思わず歯軋りした。
自分が口汚く罵った人間の中でも最も忌むべき名を…この指輪は所持しているというのだ。

「何者にも心を開かないお前に、そいつは過ぎた代物だったみたいだな」

オレンジ色のコートの男…巽マトイがそういいながら構える。

「くそ………この私を馬鹿にしおって!!!!」

リュウオーンはそういいながら指輪を遠くに投げ飛ばした。
それを機にマトイと明石の二人は構える。

「着装!!」

初めに変身したのは巽マトイ。
マントのようにスーツを身に着ける。
電子音と共にマスクが彼の頭部を覆う。

「ゴーレッド!」

光臨するのは赤き救助者。
そして不滅の牙もまた変身する。

「レディー・ボウケンジャースタートアップ!!」

アクセルラーが駆動し、一瞬のうちに彼の体もまた特殊スーツに身を包まれた。

「熱き冒険者 ボウケンレッド!」

現れたのは二人の守護者。
命という名のプレシャスを保護する戦士たち。

「人の命は地球の未来!!救急戦隊GO!GO! ファイブ!!」
「果て無き冒険SPIRITS!!轟轟戦隊ボウケンジャー!!」

「出場!!」



二人の戦士は両手の人差し指をリュウオーンに向ける。
さあ、反撃開始だ!!


次回予告

友を信じ戦う男と、人の命を何より大切な宝と説く男。
だが、冷たい心を持つ創造王は彼らを愚かとあざ笑う。
そして、魔法使いたちにも新たな脅威が迫ろうとしていた!

次回 麻帆良レンジャーズストライク!!

Task.10 友情の価値②

お楽しみに!!




今回の新規登場

バッカスフンド(超力戦隊オーレンジャー)
バラノイア帝国の皇帝。機械だけど妻子持ち。
見た目はけっこうふざけているがかなりの戦闘力を誇る。
(前回、書き忘れていました)


バラモビル(激走戦隊カーレンジャーVSオーレンジャー)

バラノイアが壊滅した後、人々をクルマ人間に改造し、
自分の王国を作ろうとした。ちなみに彼にはこの後の
見せ場も用意してあったりなかったり。

ボウケンレッド(轟轟戦隊ボウケンジャー)

24歳。ボウケンジャーのリーダーを務める。凄腕のトレジャーハンターであり、冒険と仲間を深く愛する。普段はまとめ役なのだがからかわれることも多い。

麻帆良レンジャーズストライク!! Task.10 友情の価値②

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