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Task.10 友情の価値③ 投稿者:クローンウィング 投稿日:03/10-01:32 No.2124  

三人の戦士が戦っていた。

一方は命の尊さを刻み込んだ赤い男達。
もう一方は憎しみと復讐に燃える赤い龍。

現状は2人の男が圧倒的に不利だった。

「どうした?随分と“不幸” じゃないか?スーパー戦隊」

銃を撃てば暴発し、あるいは故障し弾丸が出ない。
日々、メンテナンスを欠かさない彼らにとってそれは本来ありえない事態。
確率にしておよそ、1億分の1にも満たない。

そんな不幸を引き当てる。
それが………邪悪竜ターロンの残した呪い。

「やかましい!運なんて気合でいくらでもカバーできらぁ!!」

ゴーレッドは手の痛みを気合で押さえつけ、創造王を睨み付けた。
彼はバックルからV状のブーメランを召喚する。

「Vランサー…!……っぐ!!」

ブーメランから薙刀に変わった刀をリュウオーンに向けるゴーレッド。
だが、武器を握りしめるだけで彼の腕に激痛が走った。
救急戦士は思わず、長槍―Vランサーを取り落とす。

それは創造王の足元にまで転がり、彼は長槍を踏みつけた。

手が使えないゴーレッドをかばい前に出るボウケンレッド。
彼は切り札、アクセルテクターを装備し、必殺砲であるデュアルクラッシャーを構える。

「デュアルクラッシャー ドリルヘッド!」

照準はリュウオーンの胸。装甲は熱いだろうが今、この運で小さい頭を狙っても外れる可能性が大きい。

「ターゲット! ロックオン!!」

セットされたドリルが回りだす。
リュウオーンはそれを見ても微動だにしない。
いや、彼は両手を広げ笑った。

「撃つがいい! 過去このリュウオーンに二回も弾き返されているその武器で、ましてや今の貴様の運で、本当に我を殺せると思うのならな!!」

「………GO!!」

放たれたドリルヘッドはリュウオーンに向けて轟音とともに飛ぶ。
だが、………。

「……邪竜の力を舐めるなぁ!!!」

胸の前でX字に構えた剣がドリルヘッドを受け止める。
耳障りな音を立てて、回転するドリル。
そして、リュウオーンは剣を振りぬき、ボウケンレッドにドリルヘッドを送り返した!!

「そら! 自分の技で自分が吹っ飛べ!!」

ボウケンレッドはよけようと、その身をそらす、が。
………運のないことに、地面に突き出た石がボウケンレッドの足をすくった。

「ふ、不幸だぁぁぁぁぁ!!」

ボウケンレッドは情けない台詞とともにドリルヘッドを胸のアクセルテクターで受け止める。
その衝撃で吹き飛ばされ、不幸な冒険者はゴーレッドと衝突した。

ゴーレッドは火傷を負った手で受け止めようとしたため、歯を噛み締め、苦痛の声を出した。それと同時に彼のアンチハザードスーツが解除され、マスクが外れる。

もう一方のボウケンレッドも、打ち返されたドリルを受け、胸を抑えてうずくまる。

二人の戦士の呻きが戦場に響いた。

「ふん! どうした? 人の命は地球の未来なのだろう? もう立ち上がれないということはこの台詞、撤回するというのだな?」

創造王は愉快そうに言い放ち、ゴーレッドに己の剣を向ける。
彼の眼差しには凶悪なまでの眼光が宿っていた。
気の小さい者ならその眼差しを見ただけで失神して失禁、ついで昇天するだろう。

「…だれが、……取り下げるか……」
「先輩! その怪我では無理です。下がってください!!」

だが、リュウオーンに挑発されて下がるほどゴーレッド・巽マトイは冷静ではいられない。
そう、彼は決して引けないのだ。
目の前の悪しき王は言った。
(無限に、湧き、増える。いくら殺しても永遠になくならないこの世で最も醜いもの……それが命だ!!)

「………人の命がこの世で最も醜い……だと?……いくら殺してもなくならないだと……?」

立ち上がる。炎を消すべき男はあえてその背に怒りの爆炎を背負いながら。
今、自分が膝を折り屈服したら、この創造王のいうことを認めることになる。
それだけは許してはならない。

「ふざけんじゃねぇ! 創世王……てめぇの腐った正根、叩きなおしてやる!!」
「我が名は創造王だ! この愚か者が!!」

リュウオーンのクレームに意を介さず、救急戦士は己の変身ブレスレット 『ゴーゴーブレス』に向かい、秘密兵器の発進を呼びかける。

「ライフバード!!」
「………」

覚えのある嫌な沈黙があたりを支配した。
これは、先ほどボウケンレッドがサバイバスターを放とうとしたときと同じもの。

「…ふん、そんなことだろうと思ったわ!!!」

竜王は救急戦士の気迫に気圧されたもののすぐに余裕を取り戻し、剣を向ける。
優越を交えたまま彼は言葉を紡いだ。

「………命など所詮、我が掌の上で翻弄される石ころのようなもの!!  ………このリュウオーンは断言しよう!! 人の命など、金貨一枚………いや、一欠片のパンにすら劣ると!!ましてやプレシャスに比べれば、人間の命などゴミ同然!!」

徐々にその言葉は熱を帯びる。かつて人に裏切られた者のみが語ることのできる言葉。
悲しいことだがリュウオーンには人を淘汰する理由がある。そして殲滅するに足る力も彼の手にはあるのだ。

創造王は全ての怒りと憎しみを込めて、剣を振り下ろした。

「さらばだ!」

だが、その言葉と刃を受け止める者がいる。

「まだだっ!!」

ゴーレッドではない。
怒りの刃を受け止めたのは熱き冒険者。ボウケンレッド。

「………リュウオーン お前は本当にそう思っているのか?」
「………当然だっ! 我はたやすく創り出せるようなものには興味が無い。そう、例えば命などにはなぁ!!」

命の価値を侮辱され、振り下ろされた剣をサバイブレードで受け止めるボウケンレッド。
リュウオーンの攻撃を受け、唯一の武器であったサバイブレードはボウケンレッドの手を離れ、遠くのほうへと弾き飛ばされた。
だが、それでも尚、ボウケンレッドは口を閉ざすのをやめない。

「…リュウオーン、俺達は冒険者だ。なら分かるだろう。俺達の求めるプレシャスもその多くが、お前の憎む人の手によって生み出されたものであると……」
「うるさい! 貴様らボウケンジャー、ゴーゴーファイブを含め、スーパー戦隊との因縁全てを、ここで断ち切ってくれるわ!!」

言葉を遮り、剣を振るう創造王。
だが、ボウケンレッドはその刃に斬り付けられながらも言葉をぶつけるのをやめない。
何度も攻撃を受け、装備したままのアクセルテクターにヒビが入り始めた。
ピシッ……という不吉な音がプロテクターのあちこちから漏れる。

「リュウ……オーン! ! …命をそうやって憎み続ける限り! 俺達は絶対……お前に……ぐ! …負けない!!」

だが、ボウケンレッドはそういいながらも地に膝を突く。
膝を突くと同時、ガラスの割れるような音とともにプロテクターも粉々に砕けた。
同時にボウケンレッドのスーツも解除される。だが、………彼は再び立ち上がった。
その姿は、まさしく不滅の牙である。

その不滅の牙が受けた斬撃は片手で数えられる数を超えている。
創造王は肩で息をしながら、疑問を抱いた。

「ボウケンレッド……貴様何故生きていられるのだ? ……運の無い貴様ならもう死んでいたとておかしくないというのに!!」

そう、運のない彼がまだ生きているという事実。
リュウオーンはそこに疑問を抱いたのだ。

いくらアクセルテクターをつけていたとて、未だ戦い続けるのは人間の身体能力でいえば、不可能だ。本来なら変身を解除して気絶するのが普通………いや、運の悪さから言って死んでいるのが普通である。

「……最初からおかしいと思っていた。もし、俺達の運が本当に無かったらターロンの爆発に巻き込まれたあの時点で死んでいる………そしてさっきドリルヘッドを返され、こいつを拾った時に確信できた。俺達の運はまだ最悪なものにはなっていないと」

ボウケンレッドは懐から何かを取り出す。
それを見たリュウオーンは驚いた。
先程、自分が不要と捨てたものがそこにあったから。

「貴様、いつの間にその魔導輪を!?」

銀色のドクロはにやりと笑う。
そのドクロ…魔導輪は男の声でいった。

「冒険者よ……お前は俺の名の意味を答えた………お前ともう一人の男の運を元に戻してやろう」

次の瞬間である。
林を書き分けて何者かがやってきた。
足音は複数。

「ここだよ! ……居た!」

指差して現れたのは先ほど、リュウオーンに酷い目に合わされた四人の少女。

釘宮円
柿崎美砂
椎名桜子
和泉亜子

勝利の女神がやってきた。それも四人。
腰にゴーレッドが呼ぼうとした武器ツール。ライフバードを抱えて。

「その女たちは並の人間より強い運を持っている。そいつらと共にいることで貴様らの運も徐々に回復するだろう」

「礼を言う……魔導輪・ザルバ」
「きにするな」

不滅の牙と魔導輪のやり取りを見てリュウオーンは赤い顔を怒りでますます赤くした。

「ばかな! どうやってあの小娘どもを……ライフバードとやらを持ってきた!?」
「力を使えば造作も無い。俺様は自分を嵌めた者に、念話で語りかけることができるのさ。例え、そいつが遠くにいようとな」

一方の4人の少女は、巽マトイにライフバードを差し出した。
桜子が焼け付いた戦士の手を見て心配そうに様子を尋ねる。

「手の怪我……大丈夫なんですか?」
「………いいから君達、早く逃げるんだ。ここにいたらまた危険な目にあうぞ」

ボロボロの腕を酷使して、彼はざっとライフバードを点検する。

動力機構……異常なし
各部欠陥……通信、飛行機能のみ。主砲発射に支障なし。
エネルギー……残存率97%

「……いける!」

救急戦士の目は…思いに燃えていた。
明石暁もまた同じである。

「ライフバード! ブレイカーモード!!」

マトイはライフバードに変形を命じる。
それは、鳥であることをやめ、巨大なバズーカ砲……ブレイカーモードへと姿を変える。

「戦士として……冒険者として……何より、人の命を助ける、護りし者として……創造王! 貴様の悪事を許しはしねぇ!!」

リュウオーンに向け、照準を合わせる巽マトイ。
だがその指は振るえて、もはやまともにトリガーを引くことすらままならない。
彼の手に限界が来ているのだ。

突っ立っていた四人の少女達はそっと主砲に腕を添えた。
手の震えが止まり、機体が安定する。

「! まだ逃げていなかったのか! いいから速く逃げるんだ!!」
「いやです!!」

凛とした声で美砂が言う。
円が言葉を続けた。

「お願いします。命を助けてもらったお礼に……私達にできることをさせてください」
「君達の体だって、危険なんだ! きちんと治療を受けなければ命に関わるかもしれないんだぞ!!」

言い募るマトイを明石が諌めた。

「先輩。今は彼女達の力を借りましょう。先輩だけじゃ……その攻撃を行うことはできません」
「明石……!」

少女達はもう一回頭を下げた。
真摯に。ただひたすら真っ直ぐに。

「お願いします! 手伝わせてください!」

だが、リュウオーンはそんな少女達の想いを踏みにじる。

「貴様らは……そうか、さっきの小娘共か。……おとなしく業火に抱かれて消し炭になっていればいいものを!!」

そういってリュウオーンは剣を向ける。
罪の無い少女たちに。
そして……その言葉でリュウオーンの過去を知る明石暁も、彼を撃つことに躊躇いは無くなった。

「リュウオーン……貴様、この少女達を殺そうとしたのか」

明石は確認を取るように問いかける。返ってきた返事はこの場の皆を激昂させた。
「さあなぁ、ゴミをいちいち捨てたか確認するほど我は几帳面ではない」

挑発するように創造王は高笑いをした。
亜子と桜子は怯え、美砂と円は恐怖と怒りをない交ぜにした表情でリュウオーンをにらみつける!

「……ゆるさねぇ! 人の命を……ゴミだと!?」
「リュウオーン! お前はもう……冒険者でも、ネガティブですらない!! 怪物だ!!! ……俺達がここでお前を撃つ!」

戦士の二人は構える!
命の、友情の価値を絶やさぬために!!

「着装!!」

まるでマントを羽織るように巽マトイはそのスーツを着込む。
電子音と共に彼の体は再び、アンチハザードスーツに包まれた。

彼は少女達を庇う様に構える。

「ゴーレッド!」
巽マトイは姿を変えて敬礼の形をとった。

「人の命は地球の未来!」
そう言いながら天に広げた両手を胸の前でぎゅっと握り締める。

「燃えるレスキュー魂!!」
手の位置を変えてゴーレッドは高らかに謳う。己の所属するチームの名を!
「救急戦隊!」

「轟!」
ボウケンレッドと。
「「GO!」」
円と亜子がそれに呼応し、

「ファイブ!!!」
彼はそこに光臨した!



「レディ! ボウケンジャー!! スタートアップ!!」

一方のボウケンレッドもそのスーツを装着する。
全ての装備を装着し、額のランプに光が灯った。

「熱き冒険者……ボウケンレッド!」
パチン、と指を鳴らす。その音が魂の燃える最初の音。

「果て無き冒険SPIRITS!」
親指で、彼は己の胸を指差す。
俺の魂はここにある、とその指で示しているのだ。

ハンドルを回すように腕を回転させ片手を天に突き出す。
彼の名はいつもそのチームと共にある。
彼は叫ぶ。己が半身の名を!!

その名は!
「轟轟戦隊!」

「「「ボウケンジャー!!!」」」
美砂と桜子も共に叫び、ポーズを決める。
二人の少女はなんともいえない爽快感を味わった。


「しゃらくさいわぁ!!」
リュウオーンが双剣を持って襲い掛かってくる。
茶番は御免だと言わんばかりに。

「俺がやつを引き止めます! その隙に!!」

残った唯一の武器、サバイブレードを使いリュウオーンの攻撃を受け止めるボウケンレッド。だが、攻撃を受けると同時、彼の体は大きくかしぐ。

熱い気持ちとは裏腹に。彼の体には、限界が来ているのだ。
そんな体で無理をしているボウケンレッドの気持ちにこたえるためにも。
時間を、想いを、無駄にするわけには行かない!

ゴーレッドは二人の戦いを見ながらトリガーに手をかけた。
柿崎と桜子はゴーレッドの両肩を支え、亜子が後ろにつく。
最後にゴーレッドがトリガーをかけている指に円が自分の指を重ねた。

「………俺が合図をしたら、君がトリガーを引くんだ。できるか?」
「………はい」

円は神妙に頷いた。
ゴーレッドは後ろの三人にも声をかける。

「こいつを発射したらすごい衝撃が来る。……腕が折れるかもしれないぞ? ……覚悟はあるか?」

美砂、桜子、亜子の三人もまた頷いた。
そして、首が縦に振られたのを確認したゴーレッドは正面を向く。
視線の脇には剣を交える創造王と熱き冒険者。
ゴーレッドは自分の後輩を助けに行きたい気持ちを抑え、必死に前を見る。

王と不滅の牙の剣が交差し、半歩離れた。
まだだ。リュウオーンとボウケンレッドが十分に離れていない。
今、発射したらボウケンレッドも無事ではすまない

……あと、少し。
ゴーレッドの意図を汲んだのだろう。
熱き冒険者は、一気に2歩下がる。

………今だ!
「明石! どけ!!」

ボウケンレッドは最後の力を振り絞り、飛ぶ。
同時にゴーレッドが叫んだ!!

「カラミティブレイカー!!」

ゴーレッドと円の指が同時にトリガーを引く。
幾色もの閃光が迸り、その全てがリュウオーンに直撃した!!

「……っくぅ!!」

美砂の顔が苦痛で歪む。桜子も亜子も同様だ。
精一杯踏ん張っているのに、じりじりと勝手に足が後退してゆく。
腕が、足が、体中が悲鳴を上げている。
それほどまでにカラミティブレイカーの力は凄まじい。足だけで踏ん張っているゴーレッドの力が無かったら、撃った反動で自分達もダメージを受けていただろう。

だが、こうげきを受けて尚、創造王は無事だった。
彼はボウケンレッドの攻撃を受けたときのように剣を交差させながら、ほとんどの攻撃を受け止め、凄絶に笑う。

「お、のれぇぇぇぇ………! だが、まだだ! この程度の一撃、絶対に耐えてくれるわ!」

だがリュウオーンの笑みも、後ろにドリルが当てられるまでだった。
「………この距離なら、打ち返されないし、暴発してもかまわないな」

デュアルクラッシャーをゼロ距離で構えボウケンレッドは狙いを定める。

「な! なにぃ!?」
創造王は焦る。が、彼は今両手を離す事ができない。離してしまえば、今度はカラミティブレイカーの直撃を食らう。

「ボウケンレッド! この距離でそれを撃てば、貴様とてただでは済まんぞ!アクセルテクターも付けていないというのに!!」
「………受けろ! リュウオーン! これがお前を馬鹿にした人の力…命の…友情の力だ!!」

リュウオーンの必死の勧告を無視してボウケンレッドはそのドリルを放つ。
GO! という掛け声と共に、閃光と轟音が同時に爆ぜた。

「明石ィィィィィィ!!」

絶叫するゴーレッド。
視界が白く染まり、少女たちは目を閉じた。



そして………













彼らが目を開けたとき。
そこには変身を解除し、ボロボロになった不滅の牙と。墓標のように大地に突き立つ焼け焦げた二振りの剣があった。

「………明石!!」

ゴーレッドは変身を解除すると、すぐさま彼の元に向かう。
少女たちもまた彼らの元へと向かった。



争いの一つに終止符が打たれる。
だが、一つの災いを止めて尚、3つ、4つの災いが起きようとしていた。




Side DA

エージェントアブレラは巨大なスクリーンごしにバッカスフンドと会談をおこなっていた。
彼らの共有する画面には、互いの顔とは別に二組の怪人の姿。

トリノイド12号 ヤツデンワニ
中級オルグ No.27炭火焼オルグ

「これが、オルグとトリノイドという個体か。初めて見たぞ」
「陛下、こいつらは我らの情報と食料を持って、現在麻帆良都市内に潜伏しています。もしこやつらの顔にピンときたらすぐに私のところに連絡を入れていただきたく」

DAも一枚岩というわけにはいかない。むしろ異なる組織が手を組んだら、手柄を取り合い、腹を探り合うのが普通である。
そういう点では、アブレラも、バッカスフンドも、サーガインですらも影で対立している。
現状の協力関係は薄氷の上にあるものと同意義。

その中でもアブレラは自己の闇を隠蔽するのに長けていた。
自尊心の強い相手にはとりあえずゴマをする。
商売人の基本である。

案の定、というべきかバッカスフンドはアブレラのゴマすりに気を良くしたらしく、お尋ね者の報告を安請け合いし、その会談は幕を閉じた。

「さて……サーガインはヤツラを………裏切り者の抹殺に使う者たちを開放したかな?」

不気味にマントを広げ笑いながら、アブレラは次の野望を画策する。

愉快。愉快。なんと愉快。
魔法使い達は力を失い、スーパー戦隊は次々と沸きでるDAを駆逐することができない。
もはや、チャックメイトまで後一手。

そう、王を取るためなら、多少の犠牲はつきものだ。
自分という王を守り、この世界という王を取るため、死のコウモリは盤上を油断無く見回す。抜かりの無いように。

そして、アブレラは思うのだ。
金儲けは楽しいが、それに伴い策を弄するのもなんとまた愉快なことか。

死の商売人は種を蒔く。
争いの種。絶望の種。災厄の種を。

次に芽吹く災いの中心にいるのは二人の少女。
そして夢に向かって走る者たち。

呪文を失った魔法使いたちが再び詠唱を取り戻すのは一体いつになるのか。


次回予告

その出会いは必然だった。拳をひたすらに鍛え上げる少女、古菲とリョウと名乗る謎の男。
そして文左衛門と名乗る謎の料理人と四葉五月。彼らは傷ついた土地で一体どんな夢を見るのだろうか?

次回 麻帆良レンジャーズストライク!!

「拳の流儀 料理の心」

お楽しみに!!



今回の新規登場
なし

麻帆良レンジャーズストライク!! 第11話 拳の流儀 料理の心①

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