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第2話 クライマックス男、参上!(修正版) 投稿者:仮面ライダーマンティス 投稿日:03/31-12:32 No.2192
「ったく・・なんで私が良太郎の出迎えなんか・・・ブツブツ・・」
良太郎を探しに店を出たアスナとネギだったが以前としてアスナの機嫌は悪い。何か、納得のいかない顔をしているのだが・・・でも、その顔はうっすら赤くなっているようにも見える。
「あの、アスナさん?さっきからどうしてそんなにご機嫌斜めなんですか?もしかしてその・・・良太郎さんのこと嫌いなんですか?」
「べ、別に嫌いってわけじゃないけど・・・見ててなんだかイライラすることが多いのよ!何をやるにしても人の倍以上時間がかかるし!いじめっ子に何されても怒んないし!すぐ気絶するし!女の私より貧弱だし!」
やたらと良太郎の短所を挙げつねるアスナ。その機嫌はますます悪くなっていくようだ。
顔が赤いのは相変わらずだが、ネギはそのことに気付いていないようである。
「アスナさんより弱い男の人っていうのは、別に珍しくないような・・・」
「なんか言った?」
小声で漏らしたその一言を、地獄耳でしっかりと聞き、ギロリとネギを睨むアスナ。
「ひぃ!なんでもありません!で、でも話を聞く限りじゃ温厚そうな人ですよね・・・絶対に争わないような・・」
「温厚か・・・ま、確かにそうだけど・・・それで結構頑固なとこがあるから面倒なのよ・・・」
怯えるネギの疑問に、アスナは思わず5年ほど前のことを思い出した・・・
・・・・・
5年前
「ひっく・・・ひっく・・・」
当時10歳のアスナは部屋の押入れで、ずっと泣いていた。トレードマークの鈴も付けず・・いや、正確には付けたくても付けられなかったのだ。
「アスナ~、ご飯食べな体に悪いえ?そない泣かなくても事情を話せば高畑センセも怒らないて」
押入れの向こうから、末だ泣き続けるそんなアスナを心配するこのか。声こそ普通だが、表情はどこか悲しそうだった。
「ひっく・・・うう・・だって・・高畑さんに初めてもらったプレゼントなのに・・・」
泣き声が混じりながら、アスナはそのことを悲しんでいた。
というのも、彼女の一番大事な人からもらった大切な鈴を無くしてしまったのだ。いや、正確には悪意ある上級生によって川に捨てられてしまったのである。
クラスでも人望があり、クラスメイトと上級生の揉め事があればすぐに首を突っ込む彼女の存在を嫌ったものの陰湿な嫌がらせであった。
その後、なんとか捨てられた場所を聞き出したものの、そこは川であり・・・しかも、今は12月
さすがに探すにはあまりにも難しいためどうすればいいのか分からず・・・こうして泣いていたのだった。
コンコン
「あっ!はーい!あれ愛理さん?どないしたん、こんな時間に?」
途方にくれていたこのかだったが、ドアをノックする音に気付いて開けると、そこには当時高等部だった愛理が立っていた。
「こんな遅くにごめんね。うちの良ちゃん来てないかしら?まだウチに帰って来てないのよ。」
「「ええっ!?」」
それを聞き、アスナは押入れから出てきてこのかと一緒に驚いていた。既に日が落ちているのもあるが、今の時間は子供が出歩くには遅すぎるのは間違いない。
この頃も運が悪く、よく帰りが遅くなる良太郎であったが、この時間まで帰ってこないのは流石の愛理も心配になり、こうして聞きに来たのである。
「帰りが遅くなるのは、よくあることだけど・・・さすがにここまで遅いとちょっと心配で・・・」
「だったら私たちも探しにいきます!私は下校コースを見てみるから、このかは大人の人呼んできて!」
そう言うと、アスナはこのかの制止も聞かずに部屋を飛び出したのだった。
(全く・・・!人が落ち込んでるって時に世話焼かせて・・・)
夜道を探しながら良太郎を探しつつ、その旨の中では文句を言っているアスナ。
今度がどんな災難に巻き込まれたのか?果たして無事だろうか?そんな心配をしながら通学路を走る。
が、その足は寮から出て数分の所で止まる。意外なことに良太郎はあっさり見つかったのだ。
場所は寮からあまり離れておらず、先ほど、大事な鈴が捨てられた川との中間くらいの場所だった。
「良太郎!どこほっつき歩いてたのよ・・・って、なんでアンタそんなに濡れてんの・・・まさか・・・」
心配していたわりにあっさり見つかったことに最初怒鳴っていたアスナだったが、良太郎がずぶ濡れなのに気付き・・
そして、その手に見覚えのある物が握られているのを見て、思わず呆然としてしまう。
「あっ・・アスナちゃん、これ・・・」
チャリン・・・
握り締めていた鈴をアスナに渡す良太郎。それは鈴だった。アスナがいつも付けていた・・・
「アンタ・・・もしかして、あれからずっと・・・?」
信じられないといった顔をするアスナ。当然だろう。真冬の寒さと水の冷たさで探すのを諦めたというのに。
「うん・・・遅くなっちゃったけど・・・」
が、良太郎はといえば、それに気付いていないのか申し訳なさそうにしている。
「バ・バカじゃないの!?今何月だと思ってんのよ!!普通あきらめるでしょ!?・・・どうして・・どうしてよ!!?」
目に涙をためながら良太郎に怒鳴るアスナ。
本心では大事な鈴が見つかって嬉しい気持ちや見つけてくれた良太郎への感謝の気持ちでいっぱいだったのだが・・・
ビショビショでボロボロの良太郎の姿を見て、彼への申し訳なさやどうしてこんかことをするのといった色々な感情が混同し、思わず強い口調になってしまったのだ。
「だって・・大事なものとか、お金とか無くすのって、凄くつらいことだから・・・」
そんな彼女に対し怒られている子供のようにしゅんとしながら、良太郎は答えたのだった。
その後、このかと愛理がやってきてーー
・・・・・・
(そういえば、あの後、良太郎の奴40度の熱を出して倒れたんだっけ・・・)
「アスナさん・・・?」
歩きながら何か考えているのか、ボーッとしたアスナをネギが呼びかける。
「あっ!ゴメン、なんでもないわ!さっ!とっととさがしちゃいましょ!」
「あ、アスナさん!待ってくださいよぉ~!」
それに気付いて、慌てた様子で返事をするアスナはそのまま走り出してしまった。
ネギは置いてけぼり喰らって、慌てて追いかけるはめになったが・・・
・・・・・・
「うう・・、今日はかなり最悪の部類に入るな・・・」
その頃、良太郎は会談から転げ落ち、倒れた状態でボヤいていた。
親切な男性に道を教えられ、目的の場所へ向かう間も良太郎の不運は続いたのだ。
今のように階段から落ちるのは既に5回目。石につまずいて転んだり、犬に吠えられ驚いた拍子に犬の糞を踏んだり、やはり犬に驚かされ、そこから飛び退こうとして電柱にぶつかったり・・・
などとささやかだが、それはもう通常の人間が3年ぐらいで昇華していく不幸を一日でやってのけるほど盛りだくさんだった・・。
「ん?なんだこれ・・・?」
ふと、良太郎は自分の目の前に落ちている黒いパスケースを見つけ、それを拾い上げてみる。
それは二つ折りになっていて、片方には何も入っておらず、もう片方には何かのマークが施されたカードが入っていた。
「落し物かな?交番に届けないと・・・」
疑問に思うが落し物であることには間違いないようなので、交番に届けようと良太郎は立ち上がり歩き出した。
その黒ケースが、間もなく自分を運命のレールへと導くパスだと知らずに・・・。
・・・・・
一方このかたちはというとーー
「あっ!愛理さーん、やっぱ、買出しには絆創膏も買っといたほうがえーかなー?」
「そうねぇ・・良ちゃんのことだからきっとまた怪我して帰ってくるだろうし・・・」
カラン
「こんちわー!良太郎っち帰ってくるんだってー?」
「こんにちわー」
準備をしているこのかたちのいるミルクディッパーに、ハルナとのどかがやってきた。
「あっ、パルにのどか。あれー?夕映はどないしたん?」
先ほどハルナに連絡をしたこのかはいつもの面子に一人いないことに気づく、彼女たちのどかにハルナ、そして夕映の三人は同じ図書館探検部であり、ハルナが締め切りに追われて部屋に缶詰になる以外ほとんど一緒に行動している。
「あー、実は夕映の奴ちょっと大事なもの落としちゃったみたいでさー、せっかくの良太郎の歓迎会だから私たちにはこっちに行けって言ったんだけど・・・」
「何でもおじいちゃんからもらった大事なものらしいです・・・。」
困ったように答えるハルナに続き、心配そうにのどかも答えた。
・・・・・
「ない・・・いったいどこに落としたんだか・・・あれがないと・・・まずい!」
先ほど、良太郎が落ちた階段付近で必死にあるものを探す少女がいた。
年は二十歳前後。スラリと背の高くきりっとした顔立ちが印象的な女性だ。女性は必死に『あるもの』を探していた・・・。
「ん?これは・・・」
少女がふと目をやるとそこにはロケットが落ちていた。中をあけてみるとそこには品のいいおじいさんの写真があった。
「誰かの落し物かしら?でも、今はパスを探さないと!」
そう言って、少女はロケットを手にその場を後にした。
その数分後ーー
(ああ、ここにもない・・・全く私はなんということをしてしまったのでしょう・・アホです!救いがたいアホです!よりにもよって、おじいさまロケットを・・・)
夕映は十数分前まで良太郎がいて、ほんの数分前まであの女性がいた階段で猛烈に後悔していた。ゆえに気付かずにいた。
そんな彼女の背後から迫り来る“なにか”があった!
ズシャァア!
(!!)
ザアアアァ!
“それ”が夕映の体内に入ると、夕映の体から大量の砂が零れ落ち、その砂が彼女の目の前で怪物の姿になった!!
「なっ!」
それはまるで子供向け番組に出てくる怪人の姿・・・どことなくライオンを思わせる怪物はなぜか上半身と下半身が逆に位置に存在し零れ落ちる砂の体で夕映に近づき言った!
「お前の望みを言え・・・どんな望みも叶えてやる。お前が払う代償はたった一つーー」
「私の・・・望み?」
あまりにも非現実的な光景に思考が凍りつく夕映だが、怪人の言葉にある思いが浮かんでくる。
・・・・・
所変わってーー
「けっ!せっかくカモがいたっていうのに、ついてねーなー!」
柄の悪い高校生のチンピラ4人組はタバコをふかしながらダベっていた。
つい先ほど気の弱そうな格好のカモを見つけあっさり財布を巻き上げたのだが、その金をパチンコであっという間に使い切ってしまったのだ。
「しっかし、さっきのアイツは笑えたな!財布取られること前提で名前書いてるなんて!」
「まったくなー!ああいうやつばっかだったら俺らも楽だよなー!ヒャハハハ!!」
そのことがおかしなことのように笑い出すチンピラたち。そんな時であった。
「おっ!見ろよ!噂をすればアイツ!」
「うっわ~。一日に二回も俺らに会うなんてさいなんだね~」
不良の一人の目に、先ほどかつあげした少年の姿が映っていた。その少年はやはり野上良太郎だったりする。今は何かを探すように周りをキョロキョロ見ながら歩いている。
パン!
「わっ!・・あれ?これボクの財布?」
「よお!またあったな~」
「えっ?」
いきなり何かを投げつけられ驚くが、それが自分の財布だと気付いた時、良太郎は不良たちに取り囲まれてしまう。
「イヤー実はさー、キミのもらったお金、僕らさっき使い切っちゃったからさ~。また、補充して欲しいんだよね~?」
「えっ・・・でも、ボクもうお金が・・」
柄の悪いのに絡まれ、完全にビビる良太郎
「だったら俺らがキミん家に出向くからさ~。連れてってよ」
「そ、それはちょっと・・・」
バキッ!
「わあっ!」
不良の言葉に良太郎は断ろうとして、顔面を殴られてしまう。
ちなみに断ったのは、姉を不良から守る為・・・ではなく、どちらかというと不良を守る為であったりする。
良太郎の姉、愛理の独特の雰囲気や美しさにより、学園内の人気が高く、また親しまれている。
そんな所にこの不良たちがいったらどうなるか?実は一度、そんなことになったことがある。その時はーー
だが、そんなことを知らない怒りを顕にしーー
「いいから金持ってこいっつってんだろこのボケ!俺ら怒らすと怖いよ!?」
と、怒鳴り散らす。そして、再び殴ろうとしてーー
「コラー!あんたたち何やってんの!!」
正義の味方バカレッドことアスナがやってきた!
「ら・乱暴はやめてください!」
一緒にいたネギも、多少怯えながらやめさせようとしている。
「あれ?アスナ・・・ちゃん?」
アスナの登場に良太郎は少し驚いていた。ココはまだ女子高エリアから離れている。なので、来ると思っていなかったのだ。
「ったく・・・やっぱりこういうことになってるし・・・相変わらずね、良太郎」
溜息混じりにアスナがぼやいていた。予想していたとはいえその通り・・・いや、それよりも斜め上を行っていたが・・・の不幸ぶりに、頭が痛かったりもする。
「あっれ~?お宅ら、もしかしてこいつの弟や妹かなんか?泣けるね~。クソ弱い兄貴を助けに来たってか?」
「おいおいこの子、結構かわいいじゃん!ねえ、彼女?俺らと遊んでくれたら、お兄さんイジメんのやめてあげるよ?」
不良たちはいやらしい目をしてアスナに近づく。
「だれが妹よ・・・あんたたちこそ、どっかいきなさい!」
あくまで強気なアスナは、威嚇するように睨む。が・・・
「ああそう?だったらお兄さんとそこにいるガキは痛い目見てもらおうかな?」
一人がそう言うと、鉄パイプを握り締める卑劣な不良たち、その様子にネギは慌てて杖を構える。魔法がばれることはこの時考えていない。
「アスナちゃん!ボクは平気だから逃げて・・・」
「うるせえ!くたばれ!!」
「良太郎ーーー!!」
「や・やめてください!」
良太郎が立ち上がってアスナの目の前に立つと同時に、不良の一人が鉄パイプを振り下ろした。
最悪の光景を予感し、叫ぶアスナ。ネギも止めようと呪文を唱え始めーー
「おっと!」
バシッ!
「なっ!?」
「えっ!?」
「うそ・・・!」
鉄パイプを振り下ろした不良が。その光景を見たアスナが。驚きの眼差しで見ていた。
ネギすら予想外のことに、呪文の詠唱が止まっていしまっている。何が起きたのか?それはこの場にいた者たちには予想外のことだった。
先ほどまで一方的にやられていた良太郎が振り下ろされた鉄パイプを見事にキャッチしたのだ!だがそれだけでは終わらない。
「フン!」
「ウワアァ!」
良太郎はそのまま鉄パイプをつかみ、人間離れした力で男ごと鉄パイプ振り回したのだ!男は思わず手を離し、遠心力で数メートルとんだ!
いきなりのことに不良は思わず手を離し、遠心力で数メートル飛んで行きーー
ドサッ!
バサッ!
「俺、参上!」
飛ばされた不良が地面に落ちて気絶した時、良太郎は着ていたコートとマフラーを脱ぎ捨て、なにやらポーズらしきものをとっている。
よく見れば髪の毛は逆立ち、髪の一部と瞳は赤くなっていて、なにやら体つきも変わったように見えていた。
「りょうた・・ろう?」
あまりのことに驚き、声も出ないアスナ。
「こいつは俺の契約者だ。ここまでやられて見過ごすわけにはいかねーな!」
「こ・この野郎!なめやがって!!」
良太郎の豹変・・・驚いたもののこのまま逃げては名折れと感じた不良たちは鉄パイプを構えた!
彼らにしてみれば、ふざけたことをされたと逆上しているのだが・・・故に気が付かなかった。良太郎の異常な豹変に・・・
「ほお、やるってか?だが気をつけろよ?俺に前振りはねえ!最初っから最後まで徹底的にクライマックスだぜ!!」
拳を構えながら不良たちに向かってゆく良太郎。その表情は笑顔であった。
「ふざけてんじゃねー!」
ドカ!バキ!ボコ!
それはあまりに一方的だった。一斉に襲い掛かるチンピラを良太郎瞬く間に倒して地にひれ伏しさせた!
数では当然、不良たちの方が上だが、今の良太郎はそれすら上回る力を持っていた。不良たちはあまりの異常さ故に、そのことに気付かずにいたのだ。
「あ、あの・・・なんか、聞いていた人とはずいぶん違うみたいなんですけど・・・」
先ほどの説明とは全く違う印象の良太郎に、ネギは戸惑っている。
「う・・うん・・」
アスナも言葉が出ないようだ・・・。
「ひっひいぃ・・許してくれぇ!」
先ほどの威勢はどこへやら、まるで神に祈るように泣き叫び、命乞いする不良の一人
「そう言うなって、たった今思いついた俺の必殺技をおみまいしてやっからよぉ!必殺・・オレの必殺技!」
だが、良太郎は全く聞いておらず、それどころかいつの間にか持っていた鉄パイプを構えている。
しかも、気合を込めると鉄パイプには赤い陽炎のようなものが纏われていた。
(あ・・あれは魔力・・!?)
鉄パイプに纏われていく力を見て、ネギはそう判断しーー
「ダ・ダメよ!良太郎!ダメーーー!」
アスナは良太郎がしていることを止めようと必死に叫んだ!
ブン!
「ヒイィィ!!」
ドゴーーーン!
すさまじい勢いで振り下ろされた鉄パイプ
だが、あたったのは不良の顔ではなく地面だった。
「お・・い・・邪魔すんなよ今いいとこなんだから・・」
突如動きが鈍る良太郎
<キミ・・・誰?>
「どうでもいいだろ、んなことは・・」
何かに答えるかのようにそんなことを言ったかと思えば、再び鉄パイプを振り上げる良太郎。
<良くない!良くない!!>
シュウウ・・・
カラン・・・
だが、動きが止まったかと思うと、握っていた鉄パイプは零れ落ち、良太郎の髪と瞳、そして雰囲気は元に戻った。
「わ・・わあああ!」
自分のみに起きたことに驚き、混乱した良太郎はその場を逃げ出してしまう。
「あっ!ちょっと待ちなさいよ!」
あわててそれを追うアスナとネギ
そしてそれを見つめる少女
(押さえ込んだ・・・あの子まさか・・・!)
パスを探していた少女の目には、驚きとそして期待が込められていた。なぜなら・・・
「あの子ならなれる・・・電王に!!」
電王・・・少女が探し続けたその存在、それこそこれから迫り来る脅威からこの世界の“記憶”を守る唯一つの希望・・・
決意にも似た声でそのことを言うと、少女は良太郎が走り去ったところへ向かい、駆け出すのだった。
・・・・・
一方、残された不良たちは助かったことにホッとし、すぐさま逆上した。自分達がやったことを棚に上げ、良太郎に復讐しようと立ち上がるのだが・・・
「君たち、ちょっといいかな?」
「ああ?なんだうっせぇ~な。こっちはむしゃくしゃしてんだ。ぶっ飛ばされ・・・・えっ?」
声をかけられて、更に怒りを増した不良の一人が振り返り、声をかけた者を殴ろうとして、固まる。
何事かと何事かと他の不良たちも振り返り・・・同様に固まった。そこにいたのは、広域指導員の高畑であった。
この学園にいるものであれば、大抵走っている人物であり、不良たちからは恐怖の象徴として恐れられている。
どうやら、今までの騒動の一部始終を見ていた。者の誰かが通報し、駆けつけたらしい。
「君たちだね?人を殴ったっていうのは?」
「ヒィ!?待ってくれ!やられたのは俺たちだぞ!!」
高畑の言葉に怯える不良。確かに不良たちはボロボロで、地面にはなぜか穴も開いている。
不思議に思い、話を聞いてみるが・・・良太郎がこんなことをしたと聞いて首をかしげた。高畑も良太郎のことは小さいころからよく知っている。そして、高畑の知る良太郎は、例え、自身がどんな目に遭っても決して暴力には訴えない。人の痛みを誰よりも理解できる。優しく強い心を持った自分がもっとも信頼する少年の一人なのである。
そんな彼がこんなことをするなんておかしい・・・そう思い更に詳しい話を聞いていくと、かつあげをしたことが判明。
そのことに気付かれあれこれ言い訳する不良たちであるが、その後、彼らは深く反省することになる。
・・・続く・・・
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