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第26話 翼の守護者、その名はワカマルス! 投稿者:仮面ライダーマンティス 投稿日:05/19-10:16 No.2437  

午後7時32分・桜通り近辺

イマジンの気配を察知したモモタロスは良太郎に憑依して急いで現場に向かっていた。

「クンクン・・・妙だぞおい」

<どうしたのモモタロス?>

匂いを嗅ぎ分けながら走っている途中、モモタロスは妙な違和感に気が付いた。

「イマジンの匂いが一つ増えてやがる・・急ぐぜ!」

理由は分からないがなぜか同時に2体のイマジンが、しかも同じ場所に現れている。このことにいつもの興奮以上に妙な胸騒ぎを感じたモモタロスは先ほどにも増して急いだ。

・・・・・

同時刻・桜通り

「何?何がどうなってんのよ?なんで桜咲さんの中からイマジンが?」

「せっちゃん・・」
状況が理解できないアスナたち、その眼前ではこのかと刹那、互いに互いのことを大切に思う者同士から生まれた者がそれぞれの願いを叶えるためにその場にいた。

「良くも私の喜び・・いや、契約を止めてくれましたね。アナタはそのお嬢さんの契約相手のようですが、ヤハリ私の邪魔をしますか?」

対峙する2体のイマジン、こういった現象は以前、キンタロスの時もあったが、今回は、その心だけではなくその見た目も正反対であった。

一方は禍々しい棘の塊ーー
もう一方は美しき白き翼を持つカラスーー

「無論だ。お主のような輩からこのか殿・・姫をお守りすることこそが我が契約・・・そして、お主のような輩からこの世界を守ることこそ・・・我が望みだ!」

シュン!

「なっ!?」
「消えた?」
(早い!)

ザシュ!

「グウゥ・・」

話を終えた瞬間、カラスのイマジンは一瞬姿を消したと思いきやスグ次の瞬間ヤマアラシイマジンの背後に回り、美しいとすら言える華麗な太刀筋でヤマアラシイマジンを斬り裂いたのだ!

「あれは縮地?貴様一体・・・」

突然カラスのイマジンが行った瞬間移動・・・それは、瞬動と呼ばれる近接戦闘を得意とする魔法使いや自分のような裏世界の人間が使う移動術、しかもカラスのイマジンの放ったそれはその中でも緩から急への入りまで完璧な縮地と呼べるレベルだった。
しかし、そのイマジンに驚かされるのはそれだけではない。

「ググ・・やってくれますね~、では、まずアナタから串刺しにして差し上げますよ!喰らいなさい!」

パシュパシュパシュパシュ!

そう言って今度は無数の針を打ち出すヤマアラシイマジン、その針の数は先ほどこのかに向かって放った針の寮の数倍ではあったが・・・

キンキンキンキン!

「ななっ・・!」

「児戯だな・・・」

その無数の針を避けることもなく全て打ち落としたカラスのイマジン、その動作はいたって静かで、アレだけの猛攻を受けたにもかかわらず一辺の同様も無く、むしろこの攻撃を子供の遊びー児戯とすら言った。

「あの動き・・・流派はわからないがやはり神鳴流と同様、古流の退魔剣術のそれだ・・・貴様は一体」

「夢でお会いしたのをお忘れか我が契約者?」

突然自分の中から現れたイマジンの存在、そして彼の持つ圧倒的強さに疑問が耐えない刹那に答えるカラスのイマジン。刹那は今朝の夢の最後を思い出した。

「では・・・あの声はまさか・・・!」

「左様、しかし今は無駄話をしている時ではござらん!この下郎は拙者が倒す故、お主は姫たちを連れて退く出ござるよ!」

刹那にこのかたちを連れこの場から離れるように促すカラスのイマジン、しかし、その言葉がヤマアラシイマジンにこの場を逆転する方法を思いつかせてしまった。

「!、・・・ひひっ、全くその通りですよ・・如何に彼が強くても、アナタが足手まといがいては集中できませんからねえ!」

パシュパシュパシュパシュ!

そう言って先ほどと同様の大量の針を、今度はこのか一人にターゲットを絞って狙うヤマラシイマジン、この場で戦う力を持つ刹那もカラスのイマジンも共通点としてこのかを守ろうとする。例え契約上、このかを殺せないと分かっていても必ず守ろうとする。そうなれば自分の付け入る隙もある。そう考えたのだ。

だが、刹那はこのかの元に向かったがカラスのイマジンはその場を動こうとしない。

「おや、どうしたのですか?早く助けないとあの娘、串刺しになりますよ?」

「いらぬ心配でござる」

と断言するカラスのイマジン、そう、彼は少し前から気付いていたのだ。この場に近づいてくるもう一つの“力”に

「とう!」
「ひゃっ!」

ガバッ!

シュシュシュシュ!

「「良太郎(さん)!」」

針が当たる瞬間、横から現れたM良太郎がこのかを抱き寄せ針をかわしたのだ!

「へへ、俺、間一髪の所で参上!このか、ケガはねーか?」

「う、うん・・・全然」

実際に怪我は無いこのか、しかしモモタロスは気が付いていないが、この時強く抱きしめられたこのかの顔は赤くなっていた。

「さ~てと・・・、おいおい、何だか状況がさっぱり掴めねーな。おいクマパン女、一体どうなってんのか80字以内で説明しろ」

「誰がクマパンよ・・・私のも良くわかんないんだけどあっちの棘棘の奴がこのかの体から出てきて私たちを襲ってきてあの桜咲さんの体から出てきた奴が私達を守るって戦ってるの!」

ときっちり80字以内で状況を説明する律儀なアスナ

「フ~ン、まあいいや、取りあえずアッチのハリセンボンは殺っちまっていいってこったな?」

カシャーン

モモタロスなりに状況を解釈し、今ココで倒していいイマジン=ヤマアラシイマジンを倒すためベルトを装填

(ぐぐ・・・、今度は特異点ですか、ええい邪魔者ばかり・・ここは使命優先で一旦・・・)

「変・・・」

パシュパシュパシュ!

変身途中のM良太郎に針を打つヤマアラシイマジン

「し・・おわっ!テメーコノヤロ!不意打ちするにしても人がカッコよく決めてる最中に攻撃するんじゃねー!マナー違反だろうが・・・って、いねー・・・」

M良太郎への攻撃に一同の視線が集中した一瞬の隙を突きヤマアラシイマジンはその場を撤退した。

「ちっくしょ~!また逃げられた~!」

シュウウン・・・

と、嘆きながら憑依を解くモモタロス、どうやら彼の欲求不満はまたしてもクライマックスを向かえそうだ。

「ええっと・・、取りあえず皆怪我が無くて良かったけど・・・」

全員の無事を確認し、視線をカラスのイマジンの方に向ける良太郎。すると今度はカラスのイマジンが良太郎に語りかけてきた。

「お主が電王でござるな?実は拙者、折り入って相談があるでござる」

・・・・・・

午後8時10分・デンライナー食堂車内

ヤマアラシイマジンがこのかを狙っているため一同は非難の意味も含めてひとまずデンライナーの中に入った。

ウィイン

後続車両から姿を現すハナ

「ハナさん、どう?このかの具合は」

「大丈夫、ちょっと怖い目にあったショックで疲れてるだけ、ゆっくり休んでれば元気になるよ。」

心配そうなアスナを安心させようとするハナ、このかは今、デンライナー内のベッドなどがある医務室で休んでいる。本来の時間旅行者が使用する時、酔ったお客や具合を悪くしたお客のために用意された設備だ。

「それで?そっちのカラスは何だって?」

とカラスのイマジンを睨むハナ、相変わらずイマジンに対しては高圧的だ。

「うん、それがね・・・」

良太郎はハナがこのかを見ている間にカラスのイマジンが放したことをハナに説明する。

・・・・・

「一緒に戦いたいですって!?」

「左様でござる拙者は元より、過去を変えることに対して否定的でこの時代についたら、我が契約者にふさわしい清き心と純粋な願いを持った者と契約し、肉体を得てイマジンと戦うことが目的だったでござる。そんな折、電王の噂を聞き、何れは共に戦いたいと願ったところなんと我が契約者のご友人とは、運命を感じる出ござるよ。」

「ダメだダメだ!絶対ダメー!これ以上邪魔者が増えたら・・「「アンタは黙ってなさい!」」・・うう、」

断固としてカラスのイマジンの加入を阻止しようとするモモタロスだが、話の腰を折ったことをハナとアスナに叱られた。
一方では感慨にふけるカラスのイマジン、なぜか語尾に“ござる”をつけ、やたらと侍風の口調で話していた。

「ござるってアンタ・・・確か、桜咲さんの契約のためとか言って出てこなかった?ってことはやっぱり過去に飛ぶことが目的なんじゃないの?」

「それは違うでござるよアスナ殿、拙者はあくまで契約者刹那の『このか姫を守りたい』という一途な願いに強い共感を覚え、契約し力を貸したでござる。別に過去へ飛ぶ気など毛頭ござらん」

「私の・・・願い?」

「そういえば、桜咲さんって前も助けてくれたよね?一体このかとどうゆう関係なの?」

と、以前からの疑問を刹那にぶつけるアスナ、このかとは小学校からの付き合いで、刹那とも中等部1年から同じクラスであったがこの二人が話しているのを一度も見たことがない。故に疑問だった。

「話したほうがいいんじゃないかな刹那さん?僕も詳しいことが知りたいし」

「良太郎さん・・・分かりました。」

良太郎にそう言われ、話す気になった刹那、やはり真名の言う通り、良太郎には人の心を開く力があるようである。
そして、刹那は話した。自分の生まれー正体のことはぼかして、このかの家に引き取られたこと。このかが初めての友人で、愛しく、そして守りたいと思ったこと。自分の無力さを痛感し強くなるために修行をし、このかが魔法の世界に関わって危険が及ばないようにそっと影から守っていたことを・・・・

「そうだったんですか・・・」
「ぐぅ!・・なんて・・なんて泣ける話なんだ~!」
「ごっつ泣けるで~」

刹那の話を聞き終え、刹那の思いの強さを感じるネギと話を聞いて大泣きする脳みそ筋肉のモモとキン

「そういうことだったんだ・・・なーんだ、だったら早く言ってよ刹那さん!」

比較的暗い口調で話した刹那に対してアスナは明るく言った。

「神楽坂さん?」

「アスナでいいよ刹那さん!友達の友達は友達だもん!だから、刹那さんの気持ちは良く分かったし、その刹那さんのために戦うって言うそのイマジンもきっといいまじんよ。でしょ?」

「うん、そうだねアスナちゃん。この子名前決めないとね。」

アスナのその優しさになぜか嬉しくなる良太郎。彼女のこういうところは以前から良太郎も好感をもっており、当然、カラスのイマジンのチケット共有も府圧返事で了承した。

「ケッ!勝手にしろい!」
「ま・楽できていいしね~」
「うん!俺もかまわんで!」
「ま・様子見ってことで・・・」

とモモタロスやハナも了承する。

「良太郎殿、アスナ殿、かたじけないでござる!刹那殿よいかな?」

「ああ、宜しく頼む・・・えーと、」

名前を呼ぶのに困る刹那、良太郎の言うように、やはり名前が必要なようである。

「でも、この人は一体何のイメージなんでしょうか?羽だけなら天使みたいですけど・・・?」

じーっとカラスのイマジンを見つめる一同、体格的には小柄でスマート、身長は165といったところ、美しい白い羽が特徴的でそれ以外はそれほど華美でない程度に装飾があり、顔はカラスで、全体として他のイマジンに比べ“美しい”といった印象がある。

「刹那さんは一体どんなイメージだと思う?」

「ええっと・・・そうですね・・」

なかなか名前が思いつかないのでアスナはこの姿の創造主である刹那に何をイメージしたのか尋ねた。そして、刹那には言いにくい心当たりがあった。

「(あの白い翼・・・カラスを模した顔・・恐らくアレは私自身なんだろうが・・・)そ・そうですね・・・多分、牛若丸じゃないかと思います。」

と、刹那自身がとっさに思いついたウソでごまかした。

「牛若丸って・・確か、源義経のことですよね?」
「えっ?そうなの?」

日本に来て幾分かたちこの国の歴史にも多少造詣ができてきたネギとは対照的にそのことを知らなかったアスナ、やはり国の壁よりバカと天才の壁の方が厚いようである。

「牛若丸・・うしわかまる・・・ワカマル・・・ワカマルスなんてどうかな?」

と、提案する良太郎、相変わらずのセンスが伺える。

「ワカマルス・・・でござるか?うむ、牛若丸と軍神マルスをかけたでござるな?なかなか気に入ったでござる!」

「え?別にそういう深い意味は・・・」

少々認識に誤解があるものの、自分に付けられた名前を気に入るワカマルス、今ココにデンライナーの新しい乗客が誕生した!

その頃、医務車両では・・・

ザアアア・・・・

(フフ、うまくいきましたね~、まさか連中も逃げたと見せかけて、再び契約者の体に入ったとは思わないでしょうし・・・ヒヒ、)

このかにヤマアラシイマジンの魔の手が忍び寄りつつあった!

・・・続く・・・

おまけ
【デンマギファイル】
ライダーパス・・・良太郎がハナから渡された。デンライナーを利用する権利が与えられるパスケース、見た目は定期入れに近く、中にライダーチケットを装填することでチケットに書かれた日付にタイムスリップすることが出来る。良太郎は偶然か必然か、これを拾ったことで、運命のレールへと導かれていった。
良太郎が時刻の運行を守る上で最も大事なものであり、このパスの所持者には以下の権限が与えられる。

1、1時1府1秒などといったぞろ目の時間に扉を開けるとデンライナーに乗り込むことが出来る。(この時チケットがあればさらに時間移動も可能)、また、この権利はパス所有者本人だけでなく、ハナやアスナたち良太郎の仲間やはてはモモタロスなどのイマジンと言ったチケット共有者にも与えられる権利

2、電王への変身、必殺技の起動(これは特異点に限る)

3、マシンデンバードの起動キー

4、有事の際、デンライナーを通常のダイヤから切り離し、イマジンが破壊活動を行う時代に移動、デンライナーの操縦や場合によっては武器システムを使用する権利

5、チケット共有者との共有権の選択

仮面ライダーDEN-O-MAGI 第27話 外道ヤマアラシイマジン!デンライナーでの攻防

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