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第28話 守るのは君の全て!良太郎の叫びとワカマルスの決意! 投稿者:仮面ライダーマンティス 投稿日:05/20-16:18 No.2442  

「キェエイ!」

シャッシャッ!

「よっ!ほっ!」

ヤマアラシイマジンの素早い突きを紙一重で避ける電王、戦いは履く熱意していた。
真っ向勝負においては電王に分があるかに見えた今回の戦いだが、意外と苦戦を強いられていた。
その要因は二つ、一つは、武器のリーチの差である。ヤマアラシイマジンの槍の長さは約2メートル、ロッドモードのデンガッシャーと大体同じくらいで剣で戦うソードフォームでは基本的に自分の間合いに入る前に攻撃されてしまい。なかなか反撃出られないこと。
そして、もう一つはヤマアラシイマジン自身のスピードである。
突きを出す速度も脚の動きも今いる3フォームの中で最もスピードのあるソードフォームのそれよりも明らかに早い、仮に間合いが同じロッドフォームにチェンジしても恐らくこの動きにはついてこれないだろう。今は、モモタロスの優れた反射神経で何とか渡り合っているといった所である。

「チッ、お前、単なる卑怯者かと思ってたが結構やるじゃねーか!何で不意打ちばっかすんだよ?」

「フフフ、わかってませんね~、ただ獲物を倒すだけでは獣と変わりません。追い詰めて苦しめて、存分に相手の心を支配してしとめる。それが私の美学なんですよ。こんな風にね!」

パシュパシュパシュ!

「!、野郎また!」

正面からの戦いに集中したと思いきや、またしても隠れてこちらを見ている5歳のこのかに向かい攻撃をするヤマアラシイマジン!
やはり彼の目的は、“どのようにして電王を倒すか”ではなく、“どのようにして電王に苦しみを与えるか”のようである。

「ヒャッ!」

キンキン!

だが、このかに向けられた針は一本の剣によって弾かれた!

「姫!」
「チャンバラ女!」

何と、弾いたのは右肩を負傷し、本来ならとても野太刀など振れないはずの刹那であった。
その瞳は何故か紅く、そして髪の毛には白いメッシュが入っていた。

「バカな、あなたはとても剣など握れる腕では・・・まさか!」

「フン!貴様の推測どおりさ。足の使えぬ拙者と・・・」

シュウウン・・・

憑依を解き、姿を見せるワカマルス。刹那の髪と瞳が元に戻る。

「手の使えぬ私が一つになれば、まだ戦える!」

そう、お互いに負傷した刹那とワカマルスは互いのそれを補う為、憑依によって、W刹那になっていたのだ!
無論、本体である刹那の体が癒えたわけではないので肩への負担はあるが、それでも、動かすワカマルスの動きに支障をきたすことは少ないのである。

「お姉ちゃんって・・・もしかして、せっちゃん?」

目の前の自分を助けてくれた、年上の少女に質問をするこのか、背丈こそ違うが、その髪型も、顔も、いつも自分を守ってくれるその姿の何もかもが、そうであったためだ。

「はいお嬢様、私は桜咲刹那、何時の時代だろうと、例えアナタが何処にいようと、アナタを守り続ける者です!」

「せっちゃん!」

その言葉に思わず抱きつくこのか、難しいことは良く分からなくても、刹那が今も未来もそばにいて守ってくれる。ただ、そのことが嬉しかったのだ。

タッタッタッタ、

「良太郎さん、このかさんを安全な場所へ・・・って。刹那さんどうして!?」

駆けつけたネギたちだが、何故か休んでいるはずの刹那とワカマルスがいたことに驚いた。

「アスナさんにネギ先生、お嬢様をデンライナーの中へ!」

「おい、ハナクソ女!テメーはついでにあっちの車の中でのびてる奴らを頼む!動けーねー奴を庇ってたら戦いに集中できねー。」

「わかった。さ、このかコッチよ。」

「誰がハナクソよ!ったく、」

「あっ、僕も手伝います。大人一人くらいなら持ち上げられますし」

電王と刹那の支持の元、アスナはこのかを抱きかかえ、ネギとハナはこのかが乗っていた車の中にいた運転手たちを救助しにいった。

「ぐぐ・・・、本当にムカつきますね~、私の楽しみを何度も何度も・・・!」

またしても楽しみを奪われ、苛立ちを募り始めたヤマアラシイマジン、邪魔者を減らしたつもりが、うまくいかなかったことも相当頭にきているようである。

「何度でも邪魔してやるさ。ワカマルス!」

「おう!」

シュウウン・・・・

再び憑依し、W刹那へとなる二人、

「行くぞ!」

シュン!

「なっ!」

「ハアッ!」

ザシュ!

瞬動を使い一瞬でヤマアラシイマジンの前に立ち、夕凪で斬りつけるW刹那、その動きは、電王以上であった!

「ウグ、バカな・・・!例え高速移動できるイマジンが憑依したとしても、昨晩のイマジン本体の時と同等・・・いや、それ以上のスピードで攻撃ができるなど・・・」

「普通はな、だがこの体の主、刹那殿は元より気の扱いに心得がある。肉体の操作を拙者にゆだねても、それは可能、加えて拙者という外部からのエネルギーが付加された。つまり・・・」

「気と・・・魔力の合成・・・!?」

気と魔力、その相反する力は合成されることによって爆発的な力を発揮する。その分、本来は制御が難しいのだが、この場合、刹那が気をコントロールし、ワカマルスはその存在そのものが意思を持つエネルギー体=意思を持つ魔力のような存在であるため双方のコントロールがとれている。つまり、今の刹那はカンカ法を使って戦っているのと同じ状態なのである。

<な、なんだか凄く強いね刹那さん達・・・>

「って、感心してる場合じゃねーだろ!おい、チャンバラコンビ!人の獲物を横取りすんじゃねー!」

パワーや防御力は電王に及ばないものの、瞬動術や流派は不明だが、完成された太刀筋でヤマアラシイマジンの間合いの中に入り込み、攻撃をするW刹那、今の彼女は、少なくとも、ヤマアラシイマジン相手においては、明らかに電王より優れていた。
そのことが非常に面白くないモモタロスは、自分達が優位になっているにもかかわらず野次を飛ばした。

「そうもうすなモモタロス殿、実際戦いとは相性でござる故、心配せずともトドメはお主に譲るでござるよ」

と余裕に構えるW刹那、気遣うべき人もあたりにはいない為、遠慮なく戦うことが出来る彼(彼女)は圧倒的な強さであった。

「ぐぐ・・・、かっこつけやがって~!いるかんなおこぼれ!」

その余裕がさらに気に入らない電王=モモタロス、悔しさのあまり地団駄を踏んだ。
そして、そんなモモタロス以上に悔しい・・・というより屈辱を感じているのは当然・・・

「ハァ・・ハァ・・・調子に乗ってんじゃねえぞクソ共が!何度も何度も人の楽しみ奪いやがって!」

と、ブチキレるヤマアラシイマジン、その叫びにより、後ろ髪の針は逆立ち、醜悪な顔は一層すごみを増した。

「ちょっと遊んでやらあマジになりやがって!獲物風情が守るだなんだウゼーんだよ!テメーだゴミ共は黙って俺に刺されればいーんだよ!俺様に対して、必死に命乞いして泣きわめきゃあいいんだよ!!」

聞くに堪えない暴言をぶちまけるヤマアラシイマジン、その見た目以上に醜悪で禍々しい心は前面に現れていた。

「・・・どうやらお主は、拙者が思った以上に救いがたい外道のようでござるな。もう良い、拙者の奥義であの世に送ってやる。」

パアア・・・

以前、M良太郎が鉄パイプで『俺の必殺技』を発動させた時と同じように、夕凪に魔力のような白い光が灯る。

(ぐ・・ぐぞおお!こんな所で・・・こんなゴミ共に消されるなんて・・・何か・・・何か方法はねえのか?)

すがるような思い出あたりを見回し、逆転の手段を考えるヤマアラシイマジン、そんな彼に、残酷な運命の神はチャンスを与えてしまう。

「せっちゃーーーん!」

<お嬢様!>
「姫!」

なんと!先ほど気絶させたこのかが怪我をしたまま外に出た刹那とワカマルスを心配して、アスナたちと入れ違いに外に来てしまったのだ!
そんな彼女を見てヤマアラシイマジンはニタアとイヤらしく笑った。

「キヒッ!どうやら運命は俺様の味方のようだな!」

シャッ!

「<しまっ・・>」

W刹那が一瞬このかに気を取られた瞬間にこのかの元へ行き、このかの顔に針を突きつけるヤマアラシイマジン!

「ひゃっ!」

「このか!」
「姫!」

「テメーら動くんじゃねーぞ!!ヒヒ、ちょっとでも妙なマネをしたらこのアマぶっ刺すからなあ・・・ヒヒ、言っとくが今の俺はマジでなにすっかわかんねーからな・・よおし、まずはてめーら、武器を捨てろ!」

「くっ!」

「ッキショー!」

カラン、

悔しがりながらも要求を呑み、デンガッシャーと夕凪を地面に置く、電王とW刹那、人質という現状以上に今、このヤマアラシイマジンにどんな些細な刺激を与えるのも危険と考え、素直に従った。

「ヒヒヒヒヒヒヒ、よおし、次だ、そこのブス!今すぐカラスとの憑依を解きな!今すぐだ!」

「・・・・・」

シュウウン・・・

無言で要求を呑み、憑依を解き、刹那とその横にワカマルスが現れる。

「よおし、クソガラス、テメーはこれを喰らいな!」

ドスッ!

「ぐわああ!」

手に持っていた槍をワカマルスの左太ももに突き刺すヤマアラシイマジン、コレによりワカマルスは両足を負傷し、完全に身動きが取れなくなった。

「ワカマルス!」
「ワカちゃん!」

「っのヤロ~・・・!」

怒りに震える拳を押さえる電王、人質さえいなければ今すぐ殴りかかりたい、そんな気持ちで一杯だった・・・良太郎も含めて、

「ヒヒヒヒ、テメーはそうやって芋虫みたいに這いずり回ってな。これからはじまるショーを見ながらな!おいブス!次はテメーの番だ!体中針だらけにしてやるから動くなよ?」

そう言うって今度は、刹那に向けて針を放つ構えを取るヤマアラシイマジン

「・・・・わかった。」

「おいチャンバラ女!」

覚悟を決めたような顔でヤマアラシイマジンの前に立つ刹那、その顔には恐怖も怒りもなくいたって落ち着いた表情だった。

「せっちゃん!もうやめてえな!ウチなんかの為に・・・これ以上皆が傷つくのなんか見たくない!」

泣きながら刹那を止めようとするこのか

「ひひ・・ヒーーッヒッヒ、最高だな。おい?どうする、愛しのお嬢様がこういってることだし、泣いて命乞いするなら許してやってもいいぜ?変わりにコイツを刺すから。」

「テメー・・・いい加減に!「テメーは黙ってバカみたいにつったってろ特異点!終わったら相手してやっからよ!」」

「貴様・・・」

地面をはいずりながらヤマアラシイマジンを睨み続けるワカマルス。

「ヒヒ、どんな気分だお嬢様ぁ?テメーがノコノコ現れたせいで、あの女は串刺し、当然アイツの契約者であるあのカラスもくたばる。最後はあの特異点もな!」

「うう・・・」

何も出来ない自分に、それどころか自分がいることで大事な友達がきずつくことをただ黙って見ている現状にただ、涙を流すことしかできないこのか、普通に育った14歳の少女にはあまりにも残酷な現状である。

・・・・・

デンライナー内

「あのイマジン・・・許せない!」

目の前で起きているあまりにも卑劣な行いに、怒りを顕にするネギ、杖を持ち外に出ようとした!

「待って!今、君が出てもどうしようもない!ここは・・・」

「で、でも・・・」

「落ち着きなってネギ君!・・・気持ちは正直、よくわかるからさあ・・」

「あのイマジン・・・許せへん!!」

自分の無力さを痛感するネギ、コレまで何度か良太郎と共に戦い、戦力とまではいかないまでも。フォローくらいできたのに、今何も出来ない自分が悔しくてたまらなかったのだ。それは無論ハナやキンタロス、いつも冷静なウラタロスですら同様であった。

「せっちゃん・・・死んじゃうん?」

不安そうに見つめる5歳のこのか、彼女もまた泣きそうだった。

「・・・大丈夫だよこのかちゃん!刹那さんも未来のあなたも絶対助かる!・・・だって、二人にはヒーローがついてるんだもん!」

不安、怒り、無力さへの苛立ち、そういった全てを押さえ込み笑顔でこのかを励ますアスナ、絶望的状況で、助かる根拠などなにもない今だが彼女は祈り、信じた!
普段はまるで頼りないが、自分が悲しんだ時、皆が苦しんでいる時、何度も立ち上がった少年のことを!

・・・・・

「せっちゃん!・・・」

「・・・・心配ありませんお嬢様、例えこの体が滅んでも、心は、いつもアナタとともにあります。・・・守ることはもう出来ませんが・・・大丈夫、後は良太郎さんに任せますから・・・」

<!、刹那さん?>

そう言って電王の方をちらりと見る刹那、当然意思疎通は出来ないが、この時、何故か良太郎にはその視線から彼女が何を言いたいのか手に取るように分かった。

『奴が私への攻撃に意識を向けている隙にこのかを救え』

と・・・、

「ヒヒヒヒ、気持ち悪いレズが、精々気取ってあの世へ行け!」

パシュパシュパシュ!

ヤマアラシイマジンのの針が刹那に放たれる!

「せっちゃん!」

「ヒャハハハハハ」

泣き叫ぶこのかとそれをこの上ない喜びにし、笑うヤマアラシイマジン!

<モモタロス!>

「わーってるよチキショー!!」

放たれた瞬間走り出す電王

(さようならこのちゃん・・・最後にまた友達になれて嬉しかった・・・良太郎さん・・・後は頼みます・・)

目を瞑り、穏やかな表情で針を待つ刹那、
だが、その針は、彼女に届くことは無かった。

ダダダダダダダ!

「ガアア~!」

「!!!、何!?」

「りょ・・良太郎さん!?」
「良太郎殿!?」

シュウウン・・・

驚く一同、刹那に針が当たる直前、電王は針に背を向け、針の攻撃ををすべて背中で受け止めたのだ。
その衝撃により、電王は変身を完全に解除、良太郎に戻ってしまった!

・・・・・・

ドサッ!

「先輩!」
「モモ!」

良太郎の体から弾き飛ばされ気を失うモモタロス

・・・・・

「っつう・・・・」

如何にオーラアーマーという強固な装甲で守られてるとはいえ、アレだけの攻撃を受けて無傷ではすまない、肋骨に激しい痛みを感じる良太郎、どうやら何本か折れているようである。

「テメー!何勝手なことしてやがんだ!順番だっつたろーがこのクズ!」

思い通りにならなかったことを怒鳴り散らすヤマアラシイマジン

「良太郎さん!なんて無茶をするんです!私の合図は理解していたでしょう!?」

「うん・・・だから止めたんだ・・・」

痛みを堪えよわよわしい声で言う良太郎、なぜか、刹那に対し軽く怒っているようにも見える。

「だったらなぜ?わかるでしょう!アイツが私を狙った一瞬がお嬢様をお救いする最大のチャ・・・「だってそしたら刹那さんが死んじゃうじゃないか!出来るわけ無いよそんなこと!!!」・・・!」

力いっぱい声を張り上げ、刹那にむかって怒鳴る良太郎、彼がココまで誰かを怒ったのは、生まれて初めてのことである。
言葉を失う刹那に対して、今度は悲しそうな声で良太郎は続けて言った。

「どうして?どうしてもっと自分の事を大事にしないの?刹那さんがしているのはこのかちゃんの・・・君の大事な人の大事な人を傷つけることなんだよ!?」

「!!」
(良太郎殿・・・)

良太郎の言った言葉に強い衝撃を受ける刹那とワカマルス

「大事な人を・・・一生懸命守りたいっていう気持ちは凄くカッコいいけど・・・でも、守りたいのはその人の命だけ?本当に大切な人ならその人の大事な人も!大事な思い出とかも!そういうの全部まもりたいんじゃないの!?そういう気持ちを無視して、自分だけ、いなくなればいいなんて・・・そんなのズルイよ!!!」

己の思いを、全て刹那にぶつける良太郎。
彼はとにかくいやだったのだ。このかが死ぬことも、刹那が死ぬことも、刹那が死んでこのかが泣く事も、やっとつながった二人の絆が、こんなところで断ち切られてしまうのも、全部・・・

「・・・か、勝手なのはどっちですか!?あなただって、自分がつらいのを我慢しているじゃないですか!」

「僕のことはいいの!酷い目に遭うのは慣れてるし!」

反論を唱える刹那に対し、子供のような理屈をこねる良太郎、命がけの状況にもかかわらず、なぜか、痴話喧嘩のようなかんじになっていた。

「そんな勝手な理屈・・・、矛盾しているじゃないですか!」

「矛盾して立っていいよ!とにかく僕はこれ以上このかちゃんの悲しい顔も刹那さんの悲しい顔も見たくないんだ!!」

「---ボッ!---なっ・・!」

その言葉に他意が無いことは理解しつつも、顔を赤くしてしまう刹那

(良太郎君・・ありがとう)

刹那が助かった。以前自分は命の危機に晒されながらもこのかは心のそこからそのことを喜び、助けてくれた良太郎に感謝した。
この時彼女が流した喜びの涙は、良太郎が刹那の支持を従っていたら決して流されることの無かった涙である。

(良太郎殿・・・お主は・・・)

ワカマルスの脳裏に、かつての、未来という名の過去に起きた記憶がよみがえった。
それは、彼が幼かった日、大事なものを目の前で失ったあの日・・・

『ーーー、アンタはまだ、小さいんだから、私が守ってあげる、だからアンタは、アンタが大きくなったとき、心のそこから守りたいと思う人が出来たときまで、その命はとっておきなさい。でも、私みたいに・・・姉ちゃんみたいにその人の前からいなくなって悲しませるようなことしちゃダメよ?その人の・・・その人の大事なもの全部まもってあげなさい!』

大事な人が残してくれた最後の言葉ーーー

(姉さん!俺は!)

ワカマルスの中で一つの決意が生まれた!

「ってえ・・・さっきから何俺様を無視して盛り上がってんだテメーら!!もういい!」

ブン!

「ひゃっ!」

「お嬢様!」

腹を立てたヤマアラシイマジンはこのかを刹那と良太郎の前に投げつけた。

「まとめて串刺しにしてやるぜ!ドクズ特異点!テメーは結局なにもまもれねーんだよ!!」

パシュパシュパシュパシュ!!

3人に向けて針を打ち出すヤマアラシイマジン、肩を負傷した刹那や変身していない良太郎にはそれを防ぐ術はない、今度こそ絶望的かに思えたそのとき!

シュウウン・・・

「・・・・得物を借りるぞ刹那殿。」

「えっ・・・?」

小さな声でそう囁いた良太郎は地面に落ちていた夕凪をとり前へ出た!

「ハアッ!」

キンキンキンキン!

「なにっ!?」

「あの動きは・・・!」

大人でも扱うのが難しい野太刀を振り回し、遅い来る針を一つ残らず打ち落とす良太郎!刹那にはその太刀筋に見覚えがあった!

「・・・・やらせはせん。・・・・我が主と主の愛する者を傷つけるようなマネは、このワカマルスがやらせはせん!!」

強い決意を秘めた瞳でヤマアラシイマジンを睨みつける良太郎・・・いや、その瞳は紅くつり上がり、伸びた髪の毛をちょんまげのような形(ポニーテール風?)に束ね白いメッシュがついたワカマルスが憑依した良太郎=W良太郎であった!

<ワカマルス・・・君どうして?>

突然の憑依に驚く良太郎

「良太郎殿、お主の熱き思い、強い意志に惚れたでござるよ。あなたこそ拙者が捜し求めていた使えるべき主君、これからは拙者が、アナタの剣となり、その行く手を阻むものをなぎはらいます!」

「ゴチャゴチャゴチャ・・・今度はなんだってんだよ!!」

さらに怒り狂うヤマアラシイマジン、最早、最初とはまるで別人である。

「フフ、さあ我が主良太郎殿、最初のご命令をお気軽にお申し付けください。『あそこにいる下種な獣を容易く倒せ』と」

・・・続く・・・

おまけ
【デンマギファイル】
ワカマルス・・・2003年の現代にやってきた未来人のエネルギー体が桜咲刹那に憑依し、彼女が思い描く“自分自身”のイメージによってこの世に現出した姿。名前は牛若丸からきている。
真に命を懸けて使えたいと思える主を探すことと、過去に飛んだのはイマジンの脅威からこの時代の人々を守るためであり、実体化した後は噂で聞いた電王と共に戦いと考えていたが、憑依する過程で、自分とよく似た刹那を見つけ、イマジンの契約とは別に彼女の“このかを守りたい”という望みをかなえようと憑依した。
流派は不明だが、神鳴流のような退魔の剣術を初め、あらゆる武術や武器の扱いに精通し、瞬動術などといった技術も習得した武芸百般、小柄でパワーは劣るがそのスピードと技でそれを補ってあまりある強さを秘めている。
良太郎の思いを聞き感動し、彼を主として共に戦うことを誓う。性格はまじめで堅物、一度コレと決めたらてこでも動かない頑固者ではあるが、語尾の“~でござる”といったイメージ作りをするなど結構可愛いところがある。
良太郎への絶対的な忠誠心の元、彼に迷惑をかけるモモタロスたちとは徹底的に対立しあうことになる。特にウラタロスとはこの後ある事情から犬猿の仲になる。
まじめな性格で忠誠心が厚く、一見、良太郎に取り付いたイマジンの中では一番マトモに見える彼だが、実は麻帆良学園で生きていくにはあまりにも致命的な“ある弱点”があったりする・・・。

イメージCVは野島健児さんです

仮面ライダーDEN-O-MAGI 第29話 疾風の如く!誕生新フォーム!!

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