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第35話 忘れさせたい記憶?小夜子の望みとスケベ亀 投稿者:仮面ライダーマンティス 投稿日:06/04-13:02 No.2496
午後2時40分・雪広邸客室
突然のピジョンイマジンの襲撃を受けプールが破壊。学園からは最近、性質の悪い不良グループがいてその仕業ではというウソの情報が流されたこともあり、屋敷内は警備の者がものものしくしていた。
「そっか・・・じゃあ、あのイマジンはまだ・・・」
「うん、とりあえず僕がネギ君のそばにずっといれば、簡単には襲って来れないと思うけど・・・」
そこには、気を失ったあやかを除く、アスナ、このか、刹那、ネギそして良太郎とかけつけたハナがいた。
「でも、ひとまずは契約者を捜さないとね。このお屋敷の人の可能性もあるし・・・」
「だとしても雪広さんが契約者という線は考えられませんね。しかしだとしても解せません」
「せやな~、いいんちょやったら確かにネギ君を独占したいくらいは考えるかもしれへんけど、せやったら命狙うんはおかしいし・・・」
「けどあいつ、いいんちょに死なれたら契約が達成できないとかも言ってたわよ? どーゆうことよ一体?」
未だ見つからない今回の契約者について話し合う良太郎たち。確かに今回のイマジンの行動パターンは今まで以上に複雑で読めない。
しかし、万が一に備え、契約者を抑えるのは必須でもある。あーでもない、こーでもないと議論しているうちに、部屋をノックする音が聞こえた。
コンコン
「失礼いたします。皆さんにお茶をお持ちいたしました」
「小夜子さん!いいんちょの具合はどう?」
「ええ、軽く頭をぶつけただけらしいので大丈夫だそうです。直に目も醒める思いますよ。」
ソレを聞いてほっとするアスナたち。だが、良太郎にはそれとは別に、ふと気になることがあった。
「あの、大丈夫ですか小夜子さん? 顔色が悪いですけど・・」
「え、ええ・・・」
「そりゃあ、あんなことがあったんだもの。顔色くらい悪くなるでしょ?」
確かにその通りではある。しかし、ソレを差し引いても小夜子の様子はどこか変で、まるでなにかに怯えているようにも見えた。
「そ、それでは皆様、私はまだ仕事が残っているので・・」
そんな心のうちを悟られたと思ったのか、小夜子はお茶とお菓子を置いたらまたそそくさと部屋をでてしまった。
残されたメンバーも流石にそんな小夜子の様子が気になった。
「やっぱり、あのメイドさんが?」
「う~ん、そらないと思うんけどな~」
「そうよ。あの人のことは昔から知ってるけど、『子供を殺せ』みたいな願いをするような人じゃないわ、絶対!」
なんとなく怪しいと感じるハナに異議を唱えるアスナとこのか、他の者達もそれには納得なのだが・・・
「・・・でも、勝手な解釈で動いちゃうのがイマジンだし・・・やっぱり気になるよ。ウラタロス、頼めるかな?」
<フフ、やっぱりこういうときは僕だよね~、わかってるじゃない良太郎>
シュウウウウン・・・・
「「「「ウラタロス(さん)!」」」」
当然身体を明け渡した良太郎に驚く一同。
「良太郎に頼まれてさ。“魚心あれば水心”、やっぱり女性関係は僕の出番でしょう」
「ま、まあ確かに・・・」
今一つ、ウラタロスのことは信じられないが、確かに今最適な人物ではあるなとハナも思う。
「ま、一つ見ててよ。特にネギ君。君はなんだか将来的に女性問題で苦労しそうだから参考にしたほうがいいと思うよ?」
「は、はぁ・・」
「ちょっとアンタ!ネギに変なこと吹き込まないでよ!」
警戒心をむき出しにしてネギをU良太郎から引き離そうとするアスナ。確かに彼のやること言うことはイチイチ子供の教育に宜しくない。実際、ウラタロスはその正体を知る者の中では全く信頼がなく、彼に対して好意的なのはこの中でも超がつくほどお人よしな良太郎と天然なこのかくらいである。
(全く・・・良太郎さんは何を考えているんだ・)
特に刹那はそういった気持ちが強い。元来軽薄な男が嫌いということもあるが、それ以前に病院(第13話)で初めて会った時もそうだし、それ以降の助けてくれた良太郎のことを全く考えてないように見える夜遊び三昧。なにより良太郎の顔でヘラヘラとした態度をとることが許せず、正直なぜ良太郎がウラタロスを仲間にしているのか不思議であった。
それは彼も同様・・・
(全く・・・、なぜ殿はそのような役をあの破廉恥亀にやらせるでござるか?)
ここにもウラタロスに不信感を抱く武士が一人・・・
だが、今回二人は知ることになる。この場にいる誰にもできないウラタロスのある種の魔法を・・・
・・・・・
台所
「ハァ・・・・」
仕事があるといってアスナたちの所からでたはいいものの、実際のところそんなものはなく、一人になりたかった小夜子。プールの爆発は不良グループによるもの、学園から言われたこの報告を信じてはいるが、それでも昼間見た幻が気になってしょうがない。
『お前の望みを言え・・・』
砂の怪物が言ったあの言葉が頭から離れずにいた。
「随分と疲れた顔をしていますね、小夜子さん?」
「! りょ、良太郎様・・・」
そんなうつむいた彼女の肩をU良太郎は後ろからポンと叩く。
「良かったら僕に話してみませんか?どんなことでも話すだけで案外楽になりますよ?」
「え・・でも・・・」
躊躇する小夜子。実際問題、いい年の大人があんな夢みたいな出来事を10歳以上年下の少年に話すのには抵抗があった。だが、これでくじけるウラではない。
「フフ、小夜子さんは少し気を張りすぎているんですよ。」
スッ、
「えっ・・・」
小夜子の手をそっと握るU良太郎。そのことに彼女は不意にドキッとしてしまう。そして、U良太郎はその青い瞳で小夜子を見つめ、話を続けた。
「他のメイドさんたちも言ってましたよ。小夜子さんはとてもカッコよくて皆の憧れだって・・。でも、だからこそ、あなたは誰にも何も相談できずにいたんじゃないですか?」
「りょ、良太郎様・・」
「僕みたいな子供じゃ、あなたを助けることなんて出来ないかもしれない。でも・・それでも、あなたの力になりたいんです。あなたが・・・」
小夜子の手をより強く握り締め、母性をくすぐるような眼差しで見つめられ、小夜子は完全に釣り上げられていた。
「はわわわ・・・やっぱウラちゃんはすごいな~。良太郎君の顔であんなこと言われたら、ウチも釣られてまうかも・・・」
「す、すごいですねウラタロスさん・・・会話を始めて一分足らずで・・・」
ウラタロスの話術に感心するネギ。このかはそんなU良太郎を見て、真っ赤になっていた。
バキッ!
一方この二人は・・・
「ひぃぃ!ア、アスナさん顔が怖いんですけど。どうかしましたか!?」
「べっつにぃ~」
「せっちゃんもなんやおっかないえ?どないしたん?」
「い、いえ別に・・・」
すこぶる機嫌の悪いアスナと刹那であった。
そして、U良太郎と小夜子の会話が開始されて5分後・・・
<・・だってさ、ビンゴみたいなだね良太郎>
<うん・・ありがとう、ウラタロス>
「いやいや~、さ、小夜子さん。夢の話をして、気分も晴れたし今度は僕と・・「出てけーーー!!!」ゲフッ!」
シュウウウン・・・
アスナのとび蹴りがU良太郎の後頭部に直撃!
吹き飛ばされて憑依を解除する良太郎。
「あ、アスナ様?こ、これは一体?」
自分達の話を立ち聞きされていたことに驚く小夜子。
「ごめんなさい小夜子さん。でも聞いて、今小夜子さんが言った怪物って夢じゃなくて本当のことなの!」
「ええっ!?」
驚愕する小夜子。そしてハナたちはひとまずイマジンについてのことだけを小夜子に話した。
・・・・・
「そんな・・じゃあ、私があんなことを望んだばっかりに・・お嬢様やネギ様は・・・」
「ええ、多分小夜子さんの『雪広さんが生まれる前に亡くなられた弟さんのことを忘れてほしい』という願いを、生きていたら同じ位の年になってたネギ君を消すことでかなえようとしたのね・・・」
ハナの説明に小夜子はショックを受ける。
「わ、私・・見ていられなかったんです!お嬢様がいつまでもあの日の出来事に縛られ、挙句、ネギ先生が担任になられてからは、ちょっと危ない方向に走り出して・・。それならいっそ、忘れてしまったほうがいいと・・・」
これ以上、あやかが悲しみにとらわれて生きていくのを見ていたくない。今回起きた事件はそんな一人の使用人の主を思う心から起きた悲劇だったのだ。
そんな小夜子を見て、良太郎は自分と重ね合わせる・・・。
「確かに・・・つらい記憶なら思い出してほしくないって気持ち、凄くわかります。・・・僕も同じだから・・・」
「良太郎・・・」
「良太郎君・・・」
小夜子を見て今まであまり口に出したことのない胸のうちを語る良太郎、その理由を知るアスナとこのかはそんな良太郎を心配した。
「でも、やっぱりそれは間違ってると思うんです。だって、忘れちゃったら思い出すことも出来ないんですよ? それって、凄く悲しいことじゃないかって思うんです」
「良太郎様・・・」
良太炉の言葉が小夜子の胸に響く。その口調はさきほどとは異なるどこか悲しげな、しかし曇りのない真実を語る黒い瞳から小夜子は目を逸らせなかった。
「それに、その人の記憶を消したら・・なかったことにしたら、その人はその人じゃなくなっちゃう・・・。弟さんが死んでつらいことがあったから、そんな時励ましてくれたアスナちゃんと仲良くなれたんだし、ネギ君とも仲良くなった。だから・・・」
ドゴーーーーン!
(((((!!!)))))
突然鳴り響く爆音!
「ウソ!ネギはここにいるのにどうして!?」
「わかりません。と、とにかく行って見ましょう!」
そう言って一同は爆発音が聞こえた場所に走った。
・・・・・
「!!、これは!?」
駆けつけた部屋の惨状を見て驚く一同。そこは、本来生まれてくるはずだったあやかの弟のために用意された部屋であった。
その部屋はピジョンイマジンの羽によって燃やされ、中にあったおもちゃなども全て破壊されてしまっていた・・・。
「ああ、なんてことを・・・」
その惨状を見て崩れ落ちる小夜子にピジョンイマジンは気が付く。
「おお、ちょうどいいところに来た。そのガキを始末するには邪魔がいたのでアプローチを変えてみた。どうだ?これでこの屋敷からあの女の弟に関する記憶にゆかりのある物は削除された」
「ち、違う・・・私は、こんなこと・・・」
「いいや、お前の望んだことだ。そして今度は貴様が俺の望みを叶える番だ。契約完了」
ガチャン
小夜子を扉にし、ピジョンイマジンは過去へと飛んだ。
シュウウン・・・
「小夜子さん!」
大慌てでハナは小夜子に駆け寄りチケットをかざす。チケットにはピジョンイマジンのイラストと共に、1994年3月26日の日付が現れた。
「九年前の今日・・・てことは」
「あやかさんの弟さんが生まれてくるはずだった日だ。・・・行こう!」
そう言ってハナからチケット受け取りそれをパスに装填する。
ファアアアン!
雪広邸の前にデンライナーが姿を現す!
それに乗り込もうとする一同だが、
「あっ!ネギ君とアスナちゃんは残ってくれるかな?」
「「えっ?」」
良太郎は突然アスナとネギの乗車を拒んだ。
「もうすぐあやかさんも目が覚めるだろうし、小夜子さんも心配だから・・・、うまく僕たちのことはボカして説明してあげて。それから傍にいてあげて」
「ハ、ハイ!」
「で、でも、ネギはわかるけど私も?」
「うん、きっと今のあやかさんにはアスナちゃんの言葉が必要だから・・・」
そう言い残し、デンライナーは過去へと走り去っていった。
「私が・・・必要?」
・・・・・
1994年3月26日午後3時16分
「はい、わかりました。ではあやかお嬢様が変えられ次第、お車で病院に向かいます。・・・はい、」
ガチャ
電話を切る小夜子。その電話の主は、彼女の上司である当時のメイド長から。
電話によれば、現在出産のため入院中のあやかの母親がいよいよ出産とのこと。予定日より少し早いということもあり、この日はあやかは友達と出かけていたので、今はその帰り待ちといった状況である。
「フフ、いよいよお生まれになるのですね。あやか様もお喜びになられるでしょうね・・・」
これから訪れる悲しい現実など知る由もなく、小夜子はあやかの帰りを楽しみにしていた。そのとき、
ザアアアア・・・
「うっ・・・!」
体から砂が零れ落ち、小夜子は気を失う。その砂は集まり、ピジョンイマジンに実体化した!
バタン!
扉を開け、雪広邸の庭を見据えるピジョンイマジン。
「私が爆破したプールがある。上手く飛べたようだな。では手始めにこの屋敷から削除するか」
そう言って屋敷に羽を投げようとしたその瞬間!
ファアアアアアン!!
「来たか」
プシュウウウン・・・
現れるデンライナー。ピジョンイマジンはこのことがわかっていたらしく冷静に構える。
「いくよワカマルス。変身」
ピッ、
<SPEAR FORM>
パシュウウン
ファアアン
カシャン!
パアアァ
パスをセタッチし、舞い散る桜の中、スピアーフォームへと変身する電王!
「今度は逃がさんでござる。お主が踏み躙った主を思う従者の願い。そして、目的のため破壊した商店街の人たちのため、必ず倒す!!」
いつも以上に気合を込める電王。
「フフ、逃げるだと? バカなことを言うな。そんなことせずともお前はもう、俺を傷つけることなどできはしない」
しかし、一度は自分を追い詰めたスピアーフォームを前に至って余裕のピジョンイマジン。果たして?
・・・・続く・・・・
おまけ
【デンマギファイル】
U良太郎・・・ウラタロスが良太郎に憑依した状態。瞳は青くなり、青いメッシュがかかった髪を7・3にわけ、黒ブチのメガネをかけたクールな少年風になる。
イケメンではあるが少し頼りない良太郎の顔に知的さと自信がが加わり、その甘~い話術とマスクをもって次々に女の子を口説き、毎夜毎夜夜の街に繰り出してゆく。ちなみに現在は彼女が15人(下は中学1年生から上は40代のお母様まで!)におり、普段はウラタロスが何処で手に入れたのかわからないパソコンを使いメールのやりとりをしている。
このおかげで良太郎はしょっちゅう徹夜で肉体を使われ、疲労がためる上に、なにかとアスナの蹴りを受けることになる大変はた迷惑な事態が多いのだが、今回のように相手のウソや隠し事を見破るなど、その優れた知性はときたま役に立つ!?
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