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第36話 消さない記憶と消えた思い出 投稿者:仮面ライダーマンティス 投稿日:06/05-11:51 No.2497
「お主を傷つけられないだと?たわけたことを・・」
「どうかな?」
ヒュッ!
キン!
挨拶代わりとばかりに放たれた羽を弾く電王。彼にとって、ただ投げられただけの直線的な攻撃など全く問題ではない。
「ソレはコチラのセリフでござる。お主が投げるこの手裏剣のような羽など、例え同時に100本投げたところで全部弾く自信はある。そして、お主が空に逃げたところで・・・」
「この間のあの電車で追いかける。そしてまた町を火の海にするか?」
「なっ!!」
ピジョンイマジンの言葉にはっとなる電王、彼の脳裏には前の戦闘での燃え盛る商店街が浮かび上がった。
「貴様がまたそうするというなら、私はまた全力で街中を逃げ回るぞ? 無数の羽を撒き散らしながらな! 貴様が私をどうにか倒すころには一体どれほどの被害になるのだろうな? もっとも、その破壊活動自体が私の目的なのだから私はどちらでも構わないぞ。貴様の選択肢は二つ! この学園を火の海にして私を倒すか、少しでも被害がでないように私を人気のないところまでひきつけるか・・・後者を選択するというなら私は貴様を倒すまで他のものには手を出さん。どうする? 追う者になるか追われる者になるか?」
余裕の笑みを浮かべるピジョンイマジン。彼にしてみればどの道、未来は破壊されるし、このことを言っておいて電王が前者を選択するなどありえないと確信していた。
理不尽なこの選択に電王が出した答えは当然・・・
「クッ!」
タタタタタタッ!
屈辱的な気持ちを胸にしまいこみ、敵に背を向けて走り出す電王
例え戦士としての誇りがいくら汚されようとも、守りたいのだ。自分を信じてくれる者たちを、全力で守りたいと思える人たちを・・・
「フフ、やはりな、さあ、命がけの鬼ごっこのはじまりだ! 削除!」
バサア!
ヒュッ!
ドゴーン!ドゴーン!
上空に飛び上がると共に電王の走る道の周囲に羽を撒き散らし、連鎖爆発を起こすピジョンイマジン! あとかも地雷地帯を駆け抜けるように電王はその中を走り抜けていった。
(くっ・・瞬動を使えば逃げ切るのは容易い。だが、恐らく拙者を見失えば今度は町を襲うだろう・・・。ここは危険だが、奴が狙いやすいギリギリの速度で逃げ回るしかござらんか・・・)
「ふふ、うまく逃げろよ?疲弊しきったところ粉々に吹き飛ばしてやる」
打開策も思いつかず、ひたすら人気のない道を通りながら羽をかわし続ける電王
・・・・・
デンライナー内
「ああ~、このままじゃ良太郎君が!」
「卑怯な!あれではどの道、良太郎さんが倒され、あいつの一人勝ちじゃないか!」
「そうだね・・でも、だからって良太郎もワカマルスも、それがわかってても飛ぶことはできないだろうし・・・」
食堂車から逃げ回る電王を心配するハナたち
「ちっくしょ~、あのムッツリガラスなにやってやがんだ!ここは俺が出てって片付けてやるぜ!」
そう言って食堂車を飛び出そうと駆け出すモモタロスだったが、
カッ、
「ゲフウウ!」
ウラタロスが出した足につまずき、派手に転んでしまった。
「あっ、ごめ~ん先輩、僕って足長いからつい・・・」
「何がごめんだこの野郎! 今、急いで・・・「ストップ、先輩じゃ出てったってワカちゃんの二の舞でしょ? ここは僕が行くよ。最近運動不足気味だしね」・・って何ぃ~!?」
シュウウウン・・・
そう言う残し、食堂車から姿を消すウラタロスであった。
シュウウウン・・・
「交代だよワカちゃん」
<なっ!>
<ウラタロス!>
逃走中に突然を足を止める電王
「全く、この身体は今夜もまたデートに使う予定なんだから、あまり乱暴に使わないでほしいんだよね。ま、僕がでるからには楽勝だけど」
<なにか考えがあるんだねウラタロス?>
「当然♪」
ピッ、
<ROD FORM>
パシュウウン
ファアアン
カシャン!
「と、いうわけで、お前、僕に釣られてみる?」
パスをかざしロッドフォームへとフォームチェンジする電王。相変わらず、ウラタロスのその仕草には余裕と自信が満ち溢れていた。
「ほう、また姿を変えたか。しかしその見るからに鈍重そうな姿でどう戦う?」
「フフ、決まってるじゃないか。」
パチン
ブオオオオン!
電王が指を鳴らすと何処からともなくマシンデンバードが無人で駆けつけた。駆けつけたマシンデンバードにまたがり電王は・・・
「バイバ~イ♪」
ブオオオオン!
ガクッ!
「ぬぁっ!」
予想だにしない見事な逃げっぷりにピジョンイマジンは思わず空中でバランスを崩す。
「「「「「だああああ!」」」」」
ガシャーーーーン!
同じころ、その行動を見ていた食堂車組も盛大にこけていた。
「あんのスケベ亀~!余裕ぶっこいて結局逃げんのかよ!やっぱ俺が!」
「待って!ウラの奴、ただ闇雲に逃げてるって感じじゃない。何か考えがあるのかも・・・」
「作戦ですか・・・?しかし、今バイクで走っている道の先には土手しか・・・」
ドゴーン!ドゴーン!
ブオオオオン!
迫り来る羽を避けながら走り続けるマシンデンバード、刹那の予想通り、その走行コースは土手であった。
キィ
「フン、行き止まりのようだな」
「おっと、ココからはバイクで進めないね。」
河川敷まで来ると、バイクを降り、今度は走って川の中に飛び込んでわたろうとする電王。水深90センチ程度の川でバシャバシャと逃げているその様は正直、格好のいいものではなかった。
「ハハハッ!惨めだな電王!」
ピタッ、
ピジョンイマジンがそう勝ち誇ると電王はぴたりと川の中で止まった。と、いっても別に今のピジョンイマジンの言葉が癪だったわけではない。むしろ、その仕草からは先ほど以上の余裕・・・いや、“勝利の確信”すら伺えていた!
「どうした?もう逃げるのはやめたのか?」
「そうだね。だってもう、逃げる必要がなくなったし」
川の中で動きを止め、そのまま動かない電王
「必要がない?諦めたの間違いだろう?削除」
バサ!バサ!
ピジョンイマジンは大量の羽を電王のいる川へとばら撒く。
ヒュッ!
起爆したら間違いなく電王でも吹き飛ぶ。それほどの羽を撒き散らし、トドメの羽を川に向かって投げた!
だが・・・・、
「・・・・・何故だ? 何故爆発しない!」
連鎖爆発の準備はすべて整っているにもかかわらず全く爆発しない羽!
「ふう、お前、あんまり賢くないね~。僕の周りを見てご覧」
「貴様の・・・・ハッ!!」
電王の言葉から、ようやく真実に気が付いたピジョンイマジン!
そう、電王の周りにはプカプカと水に濡れた大量の羽が浮いていた。
「ビンゴ! 君、自分で言ってたよね? この羽は“ダイナマイト”みたいなのものだって。けど残念、湿気た花火は飛ばないよ?」
そう。電王が川の中にいる限り、地面を走り回る敵には圧倒的な攻撃力を持つピジョンイマジンのそのダイナマイトフェザーは全く無力な武器になるのである!
「さ・ら・に、ヨッと!」
シャッ!
ヒュンヒュンヒュン
「なにっ!?」
「てえええい!」
バシャーーーン!
電王はいつの間にか組み上げたデンガッシャーを使い、ピジョンイマジンを絡め取る。そして、そのままデンガッシャーを力いっぱい振り下ろし、ピジョンイマジンを川の中にたたきつけた!
バシャバシャ!
「こ、これは!」
「コレで君の武器は全部役立たずだね?一丁あがりっと」
水浸しになった体をわなわなと振るわせるピジョンイマジン
「わかったかワカちゃん?相手が空を飛ぶからってこっちも空を飛ぶだけなんて、川の中に入って手づかみで生きている魚を取るみたいなもんだよ。相手を上手く自分の有利なところにおびき寄せて、調子に乗ったところ一気に! これが釣りってもんだよ」
<・・・・・・>
ウラタロスの鮮やか(?)な手口に絶句するワカマルス。なまじ飛べる分、相手を地上に叩きつけるなどという発想は考え付かなかった。いや、出来なかったのだ。
「お、己!」
ヒュッ!ヒュッ!
キン!キン!
湿った羽をせめて通常の攻撃くらいにはとなげつけるピジョンイマジン、だが、電王はそんな投げられた羽を避けることすらせず、その装甲で弾いた。
「そんなダメになった餌じゃ僕は釣れないよ?ていうか、釣られたのどう見てもきみだし」
「くっ・・・・」
「そして、釣られた魚は三枚のおろされる。ってね!よっと!」
ザシュン!ザシュ!シュッ!ダン!ダン!
水辺から逃げ出そうとするピジョンイマジンに対し、反撃を開始する電王!デンガッシャーで切りつけ、突っつき、そして容赦のないキックを次から次へと流れる水のようにお見舞いし続けた。
元来 接近戦が苦手なのに加え、頼みの羽も無力化され、最早なすすべもなかった。
「さて、そろそろ仕上げといきますか。てえい!」
ヒュッ!
バシュウウウウン!
「がっ!か、体が・・・・!?」
デンガッシャーを投げつけたれ、身動きが取れなくなるピジョンイマジン。その眼前に的を連想させるような八角形のエネルギーが浮かび上がる。
「せえええい!」
ドーーーン!
「ぐわあああああ!」
その八角形に向けてとび蹴りを見舞う電王!
ドゴーーーン!
デンライダーキックの炸裂!
ピジョンイマジンは、50メートルは吹き飛ばされ川の中で爆発した!!
・・・・・
デンライナー内
「ふ~、やっぱり適度に運動はしないとね。あっ、ナオミちゃんコーヒー一つよろしく♪」
「は~い、お疲れ様で~すウラちゃん♪」
ナオミに渡された青いコーヒーを飲み、『いい汗かいたな~』といった感じのウラタロス。別段戦いが好きというわけではないのだが、やはり娯楽の少ないデンライナー。どんな形であれ、外に出るのは悪くないといった感じなのだろう。
「ケッ!な~にが運動だ!おいこら亀、今度俺を転ばせたら処置しねーからな、おい!」
「はいはい」
ご機嫌斜めな今回ほとんどいいところなしのモモタロスを無視し、コーヒーを飲みながらパソコンで遊ぶウラタロス、そんな彼をワカマルスはじっと見つめ考え込んでいた。
(あの時、拙者にはあのような打開策は思いつきもしなかった。それをあっさり思いつき、結果的にほとんど被害を出さずイマジンを倒した・・・)
「一人じゃないから」
「!! と、殿!」
そんなワカマルスの心の声を聞き取ったのか、思いつめた彼に声をかける良太郎。続けて語った。
「ワカマルスに出来ないことが、ウラタロスには出来た。きっと他にも、モモタロスにしか出来ないことやキンタロスにしか出来ないこと・・もちろんワカマルスにしか出来ないこともある。だから、皆で自分に出来ることをやろう。そうすればきっとどんなイマジンがきても大丈夫だから。・・皆がいて、初めて電王なんだから」
「皆がいて・・・でござるか」
直情的で無茶苦茶だが、熱き闘争心と優しさをもって、常に敵に立ち向かってゆく炎のような戦士モモタロス=ソードフォーム
つかみ所のない性格、その無数のウソで本心を隠し、全てを見透かし、敵を翻弄する流水のような策士ウラタロス=ロッドフォーム
豪放で大雑把だが、義理人情に厚く、その驚異的力と真っ直ぐな心で道を切り開く大地のような闘士キンタロス=アックスフォーム
高潔な精神と心優しき主のため、それに仇なすものをその美しき技でなぎ払う疾風のような従者ワカマルス=スピアーフォーム
性格も能力も全く異なり、仲も一概に良いとはいえない。長所と短所を併せ持つこの4人という欠片を良太郎という枠にはめて完成する一つの“ジグソーパズル” ソレが電王なのである!
<なるほど・・・、皆が集まって、か。拙者もまだまだ未熟ござる>
良太郎の言葉をしみじみと胸にしまいこみ、、ウラタロスについて、ちょっとだけ慣用になるワカマルスであった。
・・・・・
10分後
「もうすぐ到着するけど、降りる場所はあのお屋敷でいい?」
時計を見つめながら良太郎たちに質問をするハナ
時間は2003年の日付で午後6時である。
「ううん。姉さんの店も忙しいだろうし、直接店で降りるよ」
「えっ、いいんですか? まだアスナさんやネギ先生が・・・」
そんな刹那の質問に良太郎は首を横に振った。
「今は、邪魔しないほうがいいと思うから」
「せやな~、ウチらはお邪魔になるだけやろうし、帰って愛理さんとこ手伝おか」
「?、は、はあ」
良太郎の意見に同意するこのか、意味がわからなかったが、取りあえず刹那もその意見に従うことにした。
・・・・・
2003年・雪広邸内
「・・・全部、なくなってしまいましたね・・・」
爆発させられ、無残な状態になった弟の部屋を力なく見つめるあやか
「申し訳ありませんでした!私が・・・私が、あんな怪物に愚かな願い事さえしなければ・・・」
その横で泣きながらあやかに詫びる小夜子。あやかはそんな小夜子に気付き優しく抱きしめた。
「お嬢様?」
「いいんですよ、小夜子さん。私を思ってのことでしょう? 大丈夫。それに、もう忘れた方がいいのかもしれま「何言ってんのよこのショタコン!」・・モゲッ!?」
あやかを盛大にキックするアスナ!
「な、何しますの、このおサル!人が悲しみにくれている時に!」
「アンタこそ何言ってんのよ!出来もしないのに忘れるなんてカッコつけて!アンタみたいな生粋のショタが、こんなおもちゃがなくなったからって忘れられるわけないじゃない!」
「なっ!」
「ったく、こっちはねー、そんなアンタのためにネギを連れてきてやったのよ? ほら、もうあんまり時間もないけど、今日一日こいつがアンタの弟よ! 連載が止められる以外のことはなんなりと言っていいから!」
「あわわわ、アスナさん!引っ張らないで1」
そう言ってネギをあやかに渡すアスナ
「アスナさん・・・」
「じゃ、私は帰るから!ネギ、夕飯までには帰ってきなさい!」
そう言ってアスナはぶっきらぼうに帰ってしまった。
「・・・アスナさんは今日いいんちょさんを元気づけようとしてここにきたんですよ。今日がお誕生日なんですよね? 弟さんの」
「えっ・・・?」
その言葉にハッとなるあやか。そう言えばそうであったのを思い出し、また、よく考えた、アスナや良太郎が毎年この日には、なんだかんだと理由をつけては家に来たのを思い出していた。
(全く・・・小さいころから普段は乱暴者なのに・・・)
アスナのことを考え、涙がこぼれるあやか。しかしそれは悲しみから来るものではない。
「それで、僕なんかじゃ弟さんの代わりには不足かもしれませんけど、宜しかったらなんなりと・・・」
「ふふっ、ありがとうネギ先生。・・・では、邪魔者もいなくなったし、先ほどの続きを・・・」
そう言うと、あやかはネギの手を引き自分の寝室へと連れて行こうとする・・・
「えっ?えっ?続きってなんですか?なんでベッドにいくんですか!?な、何をするですか・・・キャーーーー!」
「オーホッホッ!確か期限は夕食までということでしたわよね?時間もないことですし、余計な前振りはなしにして“最初から最期まで徹底的にクライマックス”といたしましょう!!!」
「何モモタロスさんみたいなこと言ってんですか!?誰かーーーーー!!!」
「お嬢様!」
先ほどまでの悲しみもアスナが言ったことも忘れ、おおはしゃぎするあやか。この後、小夜子を含む屋敷にいる全使用人が総力を結集してネギとあやかを引き離し、なんとかネギの純潔は守られたという・・・。
ちなみにこの事件以降、しばらくネギは“クライマックス”という言葉に対し、体が反射的に恐怖を感じたという・・・。
・・・・・
午後9時・ミルクディッパー
「た、ただいまー」
店のお客も大体帰り、閉店の準備をしなする良太郎たちの元へネギが帰ってきた。
「あ、おかえりー。大丈夫やった?」
「え、ええなんとか・・・」
ネギは先ほどの恐怖を思い出し、身体を震えさせる。だが、それでもと、アスナにあやかの言葉を伝えた。
「あ、あのアスナさん、いいんちょさんが『ありがとう』って言ってました」
「あ・そ」
テーブルを片付けながらなんでもない風なふりをするアスナだが、その心のうちは言うまでもない。
「でも、アスナちゃん優しいわねー、毎年この日はあやかさんの家に行くものね」
友達思いなアスナを感心と誉める愛理
「い、いや、そんなことないですよ。結局いいんちょの大事なものも守れなかったんだし・・・」
愛理の言葉に照れつつ、少し後悔するアスナ。自分がもっと早くそのことに気づいていれば・・・そう感じているのであった。
「そんなことないわよ~、例え、物とかがなくなっちゃっても覚えていれば、それはなくならないもの」
「覚えていれば?」
そんなアスナに愛理は笑顔で語った。
「そう。あやかさんが覚えていれば、その亡くなった弟さんはずっとあやかさんの心の中に残るわ。それに今日、アスナちゃんたちがしてあげたこともね」
それが存在していた。
その事実を覚えているだけで、その存在があった証明になる。
過ぎ去った“時間”は思い出という形で心の中に残るのだ。
そんな愛理の言葉を聴き、良太郎は溜まらず、言ってしまう。
「・・・・姉さんも、昔のこと・・・思い出してみない? その、望遠鏡のこととか・・・」
「え?」
「「!!、ちょっ!良太郎(君)?」」
良太郎が店の中心に飾られた望遠鏡を見つめながら愛理に言った言葉にその真実を知るアスナとこのかは、はっとなる!
「思い出す?」
そう言われ、そのままその望遠鏡を無言で見つめる愛理
ポタッ、
(((((!!)))))
見つめているうちに愛理の目から一滴の雫がこぼれおちた。本人は何故そんなことが起きたのか不思議にしていたが。
「ゴ、ゴメン姉さん!僕が変なこと言って!」
自分が言ってしまった言葉に後悔し、良太郎はハンカチで愛理の涙を拭く。
「良ちゃん?」
一方、涙が出たわけもなぜ良太郎がこんなにも心配しているのかも分からない愛理はきょとんとしていた。
「え・・・えーと、そ、そろそろ夕食にせーへん?」
その気まずい空気をなんとか払拭しようとそそくさと動き出すこのか。他の者たちもその意見には賛成らしく、夕飯の仕度を急いだ。
「あ、あのアスナさん、さっきのは・・・」
それでも、気になるのは必然。仕度をしながらネギはアスナにさっきのことを聞こうとした。
「シーッ、色々あるのよ。気になるかも知れないけど、今は良太郎も大変だし、少しそっとしてあげて」
事情を知りながらその全貌はしゃべらないアスナ。しかし、彼女の顔つきから、あまり容易く聞いていいものではないと悟り、ネギもこれ以上のことは聞こうとしなかった。
(やっぱり、まだ・・・早いのかな?でも、いつかは・・・・)
閉ざされた姉の過去。今はまだその“扉”を開ける覚悟はない。・・・しかし、『それでも、それでも何時かは・・』と願い続ける良太郎であった。
“覚えていればそれはなくならない”
大事なものを失くしてしまった姉から出た言葉を胸に、世界の記憶を守り続ける彼の戦いは・・・
・・・・続く・・・・
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