HOME  | 書架  | 

当サイトは「魔法先生ネギま!」関連の二次創作投稿サイトです。ネギま!以外の作品の二次創作も随時受け付け中!

書架

[]

第37話 役立たずは誰!?第一回デンライナーリストラサミット! 投稿者:仮面ライダーマンティス 投稿日:06/10-21:42 No.2513  

2003年3月29日土曜日午後3時・ミルクディッパー

お客も一段落し、今の内に夕飯の買い物を済ませるといって愛理は出かけた。アスナたちもこの日は夕方から来るということなので良太郎は一人店の掃除をしていた。

「ふう。アスナちゃんたちが手伝ってくれるから、あんまり掃除する箇所がないや・・・」

既に店内はほとんどピカピカにし終え、やることのない良太郎。休憩にと椅子に座った彼は、じっと店のに置かれた望遠鏡に目を向けていた。

『覚えていればそれはなくならない』

先日、姉が言った言葉が静かな店内の中で彼の心に響く。
その言葉はきっと真実・・・
覚えていること、その大切さは愛理も自分も分かっている・・・
しかし、その真実は必ずしも優しいものとは限らない・・・

(忘れたままでいい訳ない。・・・けど、もし姉さんが本当のことを思い出したら・・・・)

脳裏によみがえるのは、いつも笑顔の姉の涙・・・
それは封印した過去の記憶・・・
冷たく悲しいその真実が再び姉の中によみがえることを良太郎は何より恐れていた・・・

ギュッ!

いつのまにかその望遠鏡の前に立ち、その下に隠していた懐中時計を握り締める。凝った飾りのないシンプルなデザインだが、どことなく安物にはない品格を感じる。コレクターから見てもなかなかな一品だ。そしてその裏にはとある英文が刻まれていた・・・。

「・・・・さん?良太郎さん?」

「・・わあっ!刹那さん!?いつからそこに?」

ふと、我に返ると、目の前には刹那がいた。
慌てた良太郎はとっさに持っていた懐中時計をもとあった場所でなく自分のポケットにしまってしまった。

「あっ・・・いえ、すみません。ずっと声をかけていたのですがなかなか反応がなくて・・・大丈夫ですか?」

なんとなく元気がなく、しかも寝ていたわけでもないのになかなか自分に気が付かない良太郎を心配する刹那。心なしか良太郎の顔もどこか青ざめて見える。

「そ、そうなんだ・・・ゴメン・・・」

「い、いえ、それはいいんですが・・・大丈夫ですか? その・・やはり疲れているとか・・・?」

「大丈夫。ちょっと考え事してただけだから・・・」

「・・・そうですか・・・」

何かを隠している。
刹那にはスグそのことがわかったが、あえてそれ以上の詮索はしなかった。まず第一に良太郎のことだからよからぬ隠し事ではないのはわかるし、何より、会ってまだ二月たっていない自分がそんなこまかいことを聞くのはずうずうしいとも感じたのだ。
・・・知りたいという本心は別にして・・・
二人の間に少し居心地に悪い空気が漂った。

カラン♪

「いらっしゃ・・・えっ?」

そんな沈黙から一分と立たないうちに、店にお客が入ってきた。ただし、そのお客は普段から見る愛理目当ての男性客でも付近に学生でもなく・・・・

「あ、あの・・君一人ですか?」

大体ネギと同い年くらいの少女であった。
印象的なのはその紅い髪の毛、人形のように整ったかわいらしい顔立ちに、ある種年相応とも言える黒を基調としたいわゆるゴスロリの服に身を纏い、その手には男の子と女の子の二つの人形が抱きしめられていた。
初等部の子という可能性もあったが、それにしてもこの年の子が一人で喫茶店にくるというのは珍しい

「・・・・お金はある。一人できちゃ悪い?」

お母さんを待っているのかはたまた迷子か?
とにかく聞こうと彼女と同じ目線にしゃがみこみ、なれないつくり笑顔をする刹那に対し、少女は愛想なく応えた。
その見た目とは違い、ハッキリ言って態度はあまり可愛げがない。
元来あまり子供が得意ではない刹那はそんな態度に動揺してしまい、どうすればいいかこまったが、その態度はスグに豹変した。

「えっと・・別に悪くないよ?カウンター席でいいかな?」

「(!!)・・・ありがとうございます。りょ・・・お兄さん」

刹那の時とはうって変わり、子供らしい表情で良太郎にお礼を言い、素直に席に着く少女、その表情にこそ変化はないが若干口調が明るくなり、心なしか顔が赤い。
正直、また冷たい態度で返されると覚悟した良太郎にはとても意外だった。

「君にはちょっとコーヒーは早いよね? ちょっとまってて、今アイスを用意するから。それと、ここにある本は何でも読んでいいから」

「うん、私、星の本大好きだから読んで待ってる・・・」

引き続き良太郎の言うことを素直に聞き、本棚から手ごろな星の本――主に星がテーマになる童話関係の本を抜き取り、少女は読み始めた。表情に変化はあまりなかったが明らかにさっきとは別人のような態度をとる。

「(さっきのはちょっと緊張してたのかな?)じゃあ、刹那さん、少しお店をまかせていいかな?」

「あっ、はい」

刹那の返事を聞き店の奥に向かう良太郎、態度が改まったこともあり、刹那も安心したのだが・・・

パタン

「・・・・・」

良太郎が店の奥にいったのを確認すると少女はさっきまで読んでいた本を閉じ、また、能面のような無表情に戻る。そして、ただ黙って席にすわっていた。その見た目的には変わりないが明らかな態度の変化に動揺する刹那

「あ、あの? よ、読まないの・・本?」

「“この店”にある本は全部もう読んだからいい・・・」

(? 読んだ? 全部? この娘一体?)

「・・・いつまでそこのいるの?」

少女の言ってることが理解できずその場で考え込む刹那に対し、最初の時と同様に冷たい口調で遠まわしに「そこにいると邪魔」と言われる刹那ハッキリいってこの状況は非常につらい。

「お待たせ、コーヒー以外はこれしかないけどいいかな?」

そこへカウンターに戻ってきた良太郎の手にはアイスクリームがあった。ミルクディッパーは基本的にはコーヒーのみの本格的な喫茶店なのだがコーヒーが苦手な人や親子での来店のときのためにアイスクリームもメニューとしておいてあるのだ。もっとも基本的には子供お客はめったにこないし、季節的にも頼む人がいなかったので仕舞ったままであったが・・

「・・・うん、私アイスも好きだから・・・」

そう言って先ほど閉じた本をいつの間にか開いた状態に戻し、さもおとなしく本を読んでいたフリをする少女。
刹那はなんだかもう、わけがわからなくなっていた。

カラン♪

「ただいま~。あら~、ウチにこんな可愛いお客さんが来るなんて珍しい!お名前は?」

ちょうとそんなタイミングで戻ってきた愛理、何も知らない愛理はさきほど刹那が最初に言った言葉とほぼ同じセリフを少女に聞いた。

「あ、愛理さん、その娘は・・・」

そんな愛理を心配する刹那、どーゆうわけかこの少女は良太郎にのみ素直で自分にはどこか厳しい態度を取る。愛理も自分と同様に冷たい態度を取られるのではと心配したが、またしてもその推測は外れることになる。

「あ、あの・・・フィリア・・・フィリア・ナターシャ・・・その・・来ちゃ・・・ダメ?」

またしても豹変した態度を取る少女、同じような質問をしたというのにさっきとは全く違った態度をとり、ここにいちゃダメ?とどこか悲しげな口調できいている始末

「そんなことないわよ。ウチのお店ってあんまり子供がこないから珍しくって、ゆっくりしていってねフィリアちゃん」

「・・・ありがとうございます」

(あれ・・・? もしかして私だけが嫌われているのでは?)

何故か野上姉弟にはすこぶるなついている謎の少女フィリア・ナターシャ。それから愛理が話す星の話を目を輝かせながら聞いたり、ほんの整理をする良太郎の様子をじーっとみていたりする彼女に対し、刹那は疎外感を感じていた。

1時間後

「あら、そろそろネギ君たちも来るかしら? フィリアちゃんも、よかったら仲良くしてね? ネギ君って言ってフィリアちゃんと同じくらいの男の子がもうすぐ来るのよ」

ピクッ

ネギの名前に急に反応するフィリア、愛理の質問に答えることなく急に席を立つ

「どうかしたフィリアちゃん?」

「・・・・帰ります。アイスクリームは300円でいいんですよね?」

チャリン

カウンターにお金を置きいそいそと店を出ようとするフィリア

「えっと・・なにか悪いことでもしたかな・・・?」

先ほどまであんなに楽しそう(無表情だが)にしていたフィリアが突然帰ると言い出し、何か気が付かないうちに気を悪くするようなことをしてしまったのかと心配する良太郎。しかし、少女は首を横にフリそれを否定する。

「・・・良太郎も愛理さんもなんにも悪くない。・・・今日は楽しかった。また来る・・・」

まるで良太郎に心配をかけないようにと最後だけ微かに微笑み、フィリアは店を後にした。

(・・・アレ?そう言えばあの娘、なんでアイスの値段を知ってたんだろう?)

良太郎がそんなささやかな疑問に気が付いたのはそれからしばらくしてからであった。

・・・・・

<オイオイ、いいのか―――? せっかく出てきたってのに肝心な奴に挨拶もしないで?>

「別にあんな人たち肝心でもなんでもない。私はあの二人に会えればそれで良い・・・・それと“コッチ”での私の名前はフィリア・・・」

<素直じゃないね~フィリアは。でもまあそれがまた可愛いんだよね~>

人気のない道を一人で歩く少女の心に語りかける男と女の声。フィリアはその声に動揺することもなく、当たり前のように会話をしていたのだった。

・・・・・

深夜・学園長室

「なるほどのう。それが先日起きた雪広邸の事件の全貌。で、事件は現地にいた良太郎によって解決したのじゃな?」

「はい、いつも事件のほうを上手くごまかしてくれてありがとうございます」

学園長室で先日の事件の報告をするハナ。イマジンによる事件が起きたとき、その事実の隠蔽や良太郎の正体の保護、情報の漏洩防止などの協力を要請している現状、実は事件の発生や解決のたび、こうして学園長室へ足を運んでいたのだ。ちなみにこの場には良太郎の正体を知る高畑と学園長以外の魔法先生はいない。

「な~に、混乱をさけるためじゃしのう。まあ最も、商店街の一件も含め、その存在は認知されてしまったがのう・・・」

「僕たちに出来ることは、せいぜい、良太郎君の正体をばらさないこと・・・くらいですかね? 出来れば、イマジンの誘いにも耳を傾けないようにとも生徒達に連絡したいのですが」

「難しいのう、それは・・・。そう言ったことを学園側から言い出せば必然的にこっちがなにかを知っているのがバレてしまう。ワシらは良太郎のこと以上にワシらの存在を隠し通さねばならんからのう。それに事を荒立てて本国の連中に嗅ぎまわられるのも厄介じゃ」

学園長の言う本国=魔法世界―――そこは魔法を初めとする様々な異能の力を管理する裏社会の秩序とも言うべき場所。しかし、そこを司る全てのものが善良であるわけではない。
封建的な考えに基づき表社会と隔絶しようとする者。様々な規則に従うしか能のない保守的かつ事務的な者。その国に置いて、より自分の立場を強化・維持しようとする野心的・利己主義な者も少なからずいる。そんな連中にどんな魔法ですらなしえない“時間移動”が可能な“時刻の列車”。そして、本国でも屈指の実力者である高畑と同クラスの力を持つ電王の存在を知られれば、どんな事態になるか。そもそも、魔法世界にその存在を知られること事態で時刻の運行に影響を及ぼすことも考えられる。
そう言った面からも考え、魔法の存在がバレることは何をおいても避けるべき問題であり、また、その立場から学園側から協力できることというのも限られていたりするのだ。

「情けない話じゃ・・・。良太郎がいつも身体を張って戦ってくれるというのにワシらに出来ることはあまりに少ないとは・・・戦闘にしても実質イマジンとガチで戦えるのはタカミチくらいなもんじゃし・・・」

「その僕にしたって仕事でいないことが多い・・・そう言えばネギ君たちもよく同行しているそうだね?」

「え、ええ、よくやってくれてますよ?」

話題はネギたちの方へ向けられる。
この二人には彼らは唯の生徒ではなくいわば娘や息子、孫も同じ、気になって当然といえよう。

「うむ、刹那はともかくネギ君は未熟じゃし、アスナちゃんやこのかにいたっては一般人。あまり深くかかわらせたくないのじゃがのう・・」

「あの・・・すいません」

申し訳なさそうに謝るハナ、成り行きとはいえ、良太郎の友達を巻き込んだことに後ろめたさを感じるし、生徒の安全を守るものとして、一人の孫思いのお祖父ちゃんとして、学園長の気持ちは至極当然のものであるのがよくわかるからだ。

「あ、いや・・・、別にハナ君を責めてるんじゃないんじゃぞ? それこそ、良太郎には何度も助けてもらったわけじゃし、第一、それをいうなら良太郎が一番たいへんじゃしなあ~。最近からだの具合はどうじゃ?」

「え、ええ、新しく来たワカマルスっていうのがその、よく鼻血を出すせいで貧血気味で・・・他にも筋肉痛・寝不足・その他もろもろで・・・」

ハナは溜息交じりで良太炉の近況を話す。生来の不運に加え、五重人格とも言える一人ゴレンジャーライフ。はっきり言って疲れないのがどうかしていると言えよう・・・。そんないつも近くで見ているハナも、子供のころからよく知っている学園長たちも正直、心配でしょうがなかった。

「・・・良太郎君も色々大変な時期なのに・・・」

「そうじゃのう・・・できればそっとしておいてあげたいのじゃが・・・」

「えっ?」

学園長や高畑の言葉に疑問符をならべるハナ、その理由とは?

・・・・・

同時刻

バイトを終え、女子寮への帰路につく良太郎とアスナたち、しかし、若干一名、非常に足取りの重い者がいた。

「なんか・・・日に日に体が重くなっていくような・・・」

「だ、大丈夫ですか良太郎さん?」

フラフラとする足、眠気でうつろな瞳、そして疲労と貧血から青褪めた顔をする本編の主人公・野上良太郎である。

「あやや~、良太郎君なんやもう限界って感じやな~」

「限界っていうか・・・なんかもう、救急車呼んだ方がいいようにも見えますけど・・・」

学生にとって、短いが宿題もなく気候も穏やかな、非常にのんびりできる春休みだというにもかかわらず、最近ますます頻繁に現れるイマジンとの戦闘と日々の不運&憑依生活からぶっちゃけ少しも休めていない良太郎であった。

「やっぱり・・・イマジン4体っていうのはかなり大変かも・・」

<辛そうだね~良太郎?良かったら帰り道僕が変わってあげようか?気分だけでも違うと思うし>

「ウラタロス、ありがとう・・・」

シュウウン・・・・

「あっ!ちょっと良太郎!?」

そんな弱音を吐く良太郎に心配“したふり”をするウラタロスが優しく語り掛けてきた。
何度だまされているのかわからないにも関わらず、良太郎はあっさりその身体をウラタロスに預け、眠りに入ってしまう。

「ふう、お休み良太郎・・・さて、これからカラオケにでも行かない皆?」

「うわっ!一瞬で良太郎君を裏切った!?」

「誰が行くかっつーの! 今何時だと思ってんのよ!?」

世間一般からいって、今はもう学生が遊び歩いて良い時間ではない、
というアスナの言葉をU良太郎は全く理解せず依然と憑依を解かない・・・

「そっか、じゃあ他の娘と遊ぼうかな?」

ピッ、

「いや、だからそうじゃなくて・・・」

そう言ってU良太郎は、良太郎の携帯に本人が知らぬ間に登録した由美という番号にかける。

『は~い由美で~す♪ や~ん、良太郎。ひさしぶりじゃん♪』

「ああ、最近メールばっかでごめんね。実は今久しぶりに“こっち”にこられてさ。今から会えない?」

『ええ~、今から~? 由美ぃ、もう寝ようと思ってたんだけどな~』

「由美の顔が無性に見たいんだけどな~?」

甘い口調で由美を誘い続けるU良太郎、断ってはいるものの、電話の女性もまんざらでもないといった感じに聞こえる。

「ああ~、良太郎君の体がウチらの知らんところでどんどん汚れてくな~」

「えっ!?じゃ、じゃあ、良太郎はもう・・・!!?」

「そやろな~? もうとっくにそういうことは経験済みなんとちゃう? 身体だけ」

(ガーン!)

このかの爆弾発言に顔を真っ赤にする刹那。というか、確証がないとは言え、本人が無自覚のまま貞操を奪われた(?)可能性がある良太郎、なんとも悲しすぎる話である・・・。

「あの~、汚れるってなんですか?」

「ガキは知らなくていいの!ていうかウラぁ!あんたいいかげんに・・・」

『じゃ~あ~、由美のこと愛してるって言ってくれたら行っちゃおっかな~?』

「なんだ、そんなことかい? バカだなぁ~決まってるじゃないか・・・」

「って、人の話を聞け~~~~!!!」

「わぁ、アスナさん!何度もいいますけどその体は良太郎さんですよ!?」

イマイチアダルトな展開についていけないネギとエロガメの暴走を全力で止めるためにキックの体勢になるアスナ
だが、このウラタロスの暴走に腹を立てているのは彼女以外にもいた。

「愛して・・・・“シュウウウウン・・・”るわきゃねーだろタコ!!!とっとと便所行って寝ろ!!!」

『な、なによ酷い!良太郎のバ~・・・』

ピ!

突然暴言をはかれて怒り出す由美の言葉を最後まで聞かず、M良太郎は電話を乱暴に切った!

「モモタロスさん!」

<ちょっと先輩何すんの!?今の娘NO,3だったのに!>

「なにがNO、3だ、ふ“ざける”んじゃねーぞスケベ亀!良太郎の身体を勝手に使うなって言ってんだろーが!」

ウラタロスの抜け駆け・・・もとい勝手な行動に腹立てるモモタロス、しかし、彼の一言がさらに余計な火種を生む!

ふざける=ざける=泣ける

「泣けるでえ!」

シュウウン・・・

「ゲッ、今度はキンタロス!?」

「おお~、ふざけるから泣けるを連想してきたんやな」

「ええっ?ちょっと苦しくありませんか?」

ポン、と手を叩き納得するこのか、アスナはもう呆れていた。

「誰や俺の強さが見たい言うたんは!」

<いってねえっつーの!テメーは檻にでも入ってろこのデカ熊!>

シュウウウン・・・

突然出てきたキンタロスを追い出し、再び体の主導権をにぎるモモタロス

「てめーら揃いも揃って良太郎のお情けでいられるのを忘れてんじゃねーぞ!少しは遠慮しろ!・・・つーわけで今夜は俺が使う!」

「ちょい待ち!なんでそうなるのよバカモモ!」

何気に良太郎の主導権をとったついでに外に出かけようとするM良太郎を止めるアスナ

「い、いいだろちょっとくらい!あのムッツリガラスの奴やれ殿のことを考えろとか殿の体力がどーとか殿、殿、殿、殿うるせーんだよ!」

<誰が口煩いムッツリガラスでござるか!このたわけ!>

シュウウン・・・

「全く!お主らには忠義という言葉がないのか!殿の身体を勝手に使い余計な負担をかけおってでござる!」

「わあ、ついにワカちゃんもきたえ」

「アンタたちね~・・・」

ついに全員集合した“タローズ”たち、良太郎の体内で壮絶な言い争いがはじまった。

<ケッ!な~にが負担だバカヤロー!それを言うなら良太郎が最近フラフラな一番の原因はテメーがピューピューピューピュー噴水みてーに鼻血ふきまくるからだろーが!ガキのクマパンなんか見て興奮してんじゃねーぞこのムッツリ!>

「ななっ!お、己~、武士に対して何たる無礼!そこになおれ!叩き斬ってくれるわ!!」

<そうそう、今のは酷いよ先輩。何もアスナちゃんだっていつもクマパンはいてるわけじゃないのにさ>

<論点ずらしてんじゃねー!今はパンツのことなんてどうでもいいんだよこのエロ亀エロ蔵!>

「そ、そうでござる。あ、あまりパンツ、パンツと連呼するな・・・思い出してまた鼻血が出るでござる・・・」

<思い出し鼻血なんて聞いたことねーよ!つーか、やっぱりムッツリじゃねーか!や~いエロガラス!>

「だから拙者はムッツリでもエロでもござらん!というかお主、拙者がそこ以外に弱点が無いからと言ってバカみたいに鼻血鼻血とたった一つの些細な弱点を攻め立てるなどバカ丸出しではござらんか!や~いバカ鬼~!」

<まあまあ、二人とも、ケンカするならココ(良太郎の体)じゃなくてデンライナーに戻ってきてからにしたら?その間に僕が使うから>

「<バカ言うな(でござる)このスケベ亀!さりげなく自分が一番特するようにしくんでんじゃねー!>」

「せや!ここは中間とって俺が良太郎の身体をつかって・・・」

「テメーは黙ってろ冬眠熊!つーかなんだよ中間って!」

「そうでござるキンタ!悪いが今は取り込み中でござる。というか、他の奴らもまとめて出て行け!」

今現在良太郎の身体に憑依しているワカマルスが周りにうろつくモモタロスたちを取り払おうとする。

<うるせえ!テメーこそ出て行け!てえい!>

シュウウン・・・

右腕だけ憑依するモモタロス。ワカマルスを追い出すために彼がやった必殺技、それは・・・

バサア!

「きゃっ!」

「ぬおおおっ!」

ブシュ!

バカな小学生とかがやる必殺・スカートめくりであった・・・。

<おっ!今日はクマじゃないんだ。いや~ラッキー♪>

めくられたアスナのパンツを見て例によって鼻血を噴出すW良太郎。それとは逆にウラタロスはうれしそうである。

「アフウウ・・」

<待ってたぜ!>

シュウウン・・・

情けない声を出して良太郎の体から抜け落ちてゆくワカマルスに代わり、モモタロスが良太郎に憑依する。

「へへ、作戦勝ち~。っつうわけで今夜は俺が・・「何すんのよこの変態五重人格~~~!!!」ゲハア!」

勝利に喜ぶM良太郎に対しアスナキックが炸裂!
モモタロスは数メートルにわたり吹き飛ばされた。良太郎の肉体と共に・・・

「アスナさん!また良太郎さんの体が!」

「しまった!良太郎、大丈夫・・・ってきゃあああ!なんかヤバイかも!?」

反射的に良太郎をぶっとばしてしまい、慌てて吹き飛ばされた良太郎に駆け寄るアスナたちだが、残された良太郎の体は鼻と頭からダクダクと血を流し、白目をむいて倒れていた。そして元もと悪かった顔色は、既に人類かどうかも怪しい色になっていた・・・。

「ひゃあああ!良太郎くうぅぅん!?」

「これってもう僕の魔法で直せるレベルじゃないですよ!?」

「きゅ・・救急車~~~~!」

ピーポーパーポー

夜の街にサイレンが鳴り響いたという・・・・

・・・・・

一時間後・デンライナー食堂車内

「「この・・・バカイマジン!!!」」

ドカ!バキ!ボコ!

「いてっ!」
「っつう~」
「む?」
「あいた!」

アスナとハナ、デンライナーの2大女王様による鉄拳制裁が炸裂!

「あんた達のせいで良太郎、瀕死じゃない!イマジンと戦う以外良太郎の体を使うなって何度言えばわかるのよ!?ワカマルス!今回はアンタにも責任があるんだからね!!」

「うう、確かにムキになった拙者にも落ち度がある・・・この上は腹を切ってお詫びを!」

「ってわ~!またハラキリですか!?やめてくださいワカマルスさん!」

以前のときのように腹を切ろうとするワカマルスを全力で止めようとするネギ

「ケッ!元はといえばこの亀が抜け駆けしようとするから悪りーんだ!反省しろよ!」

「あっ、そりゃあないんじゃない先輩?今回良太郎が倒れる原因を作ったのは先輩でしょ?」

「グゴオオオ~~~」

一方、他の三人はには全く持って反省の色が見られない。というか一人は寝てるし・・・
そんなイマジンたちの態度を見て、ついにハナはキレた!

「・・・・ああ、そう、アンタたちの態度はよ~くわかったわ!決めた!あんた達4体の中から一体“リストラ”するわ!!」

「「「「な、なに~~~~!!!???」」」」

その言葉に衝撃を受けるイマジンたち、ワカマルスですら切腹しようとするその手を止めた。
いや、モモタロスたちだけではなくアスナたちもその発言には驚いた。

「何言ってやがんだこのハナクソ女!良太郎がそんなことするわけねーだろ!」

「そうね、けどこのままじゃ良太郎の体も限界だし、そしたらあんたたちはまとめて地獄行きよ?」

「うっ!」

痛いところをつかれ、言葉を失うモモタロス。
確かに現状、契約者である良太郎が死ぬと彼らはまとめて死ぬ。そして、そんな大事な良太郎の身体はすでに天国への階段上りつつある。
このまま全員道連れで仲良く天に召されるか、それとも一人悲しいお別れで残りの者が助かるか。自分勝手な者が多いタローズの決断きまっていた。

「・・・確かに、殿に何かがあってはマズイ。ここは辛い決断ではあるが・・・」

「せやな、良太郎の幸せが第一や!」

「まあ、このままじゃ良太郎も沈没確実だし、仕方がないよね・・・」

「決まりだな。じゃあとりあえずムッツリガラス!お前が辞退しろ」

かくしてはじまった第一回リストライマジン決定戦!
まず初めに名を上げられたのはワカマルスであった。

「ハアッ!?何ゆえ拙者が自ら事態せねばならんのでござるか!?」

「決まってんだろ!テメーさっき切腹しよーとしてたじゃねーか!もう止めねーから好きなだけ腹でもなんでも斬れ。それで万事解決だろ?」

「確かにワカちゃんの鼻血ブーが一番良太郎にダメージあたえているよね? 本人もその気だし、あれ? それとも切腹ってポーズだけだったりする?」

生真面目なワカマルスから攻め立てるモモタロスの作戦に便乗し、ウラタロスも援護に入る。そう、この戦いは基本的に全員が敵であると共に味方、より攻撃しやすいそうなターゲットに狙いを絞るのが定石である。

「ふ、ふざけるな!拙者はいつでも覚悟はできているでござる・・・だが、今のでよーくわかってでござる!やはりお主らのようなロクでなしに殿はまかせられん! ここは是が非でも勝ち残らせてもらうでござるよ!」

だが、ワカマルスも負けていない!徒党を組んで一人をせめたてるその卑劣さを逆に利用し反撃に出た!

「ワカのいう通りや!ここはやっぱり良太郎のことを大事に思っている俺とワカが残る!出てくんはモモかウラのどっちかや!」

そんなワカマルスに強力な助っ人が登場!日ごろから仲のいいキンタロスが加わった!
モモ&ウラVSワカ&キン、戦いはタックマッチに!

「ほお~、てめーら後からノコノコと入ってきたくせに言うじゃねーか!こーいうのは早いもの勝ちなんだよ!」

「フン!早ければ言いというものではござらん!重要なのはいかに殿のことを大事にしているかという心でござる!お主らはただ、己の欲求を満たしたいだけでござろう!」

ぶつかり合う主張!議論は熱を増し、誰がリストラにふさわしいかという言い争いは大いにもりあがった!

「・・・・あの、アスナさん。今日気が付いたんですけど、良太郎さんってもしかして物凄くかわいそうな人なんじゃ・・・」

「もしかしなくてもそうでしょ・・・」

(本当は全員リストラしたい気分よ・・・)

・・・・・

3月30日日曜日午前10時・麻帆良中央病院

「それじゃあ野上さんお大事に~」

「ありがとうございました。」

一晩病院でゆっくり休み退院することになった良太郎と荷物をもってくれている刹那とこのかが一緒だった。

「大丈夫、良太郎君?まだ顔色悪いで?」

「うん、体調のほうはもうすっかり・・・」

言葉とは裏腹にやはり元気のない良太郎を心配するこのかと刹那。

「と、とにかく今日はモモタロスたちを締め出してゆっくり休んでください。今ちょっと立て込んでますし・・・。」

立て込んでいる・・・というのは当然リストラ問題についてである。
昨日話し合った結果、良太郎の性格上、リストラには反対する可能性がある。そう考えたハナの提案により、リストラ者が決定し、出て行くまで良太郎をデンライナーから遠ざけようという話になっていたのだ。
このかと刹那はいわばその見張り役。

「やっぱり、荷物は僕が持とうか?」

「ダーメ!良太郎君はちゃんと休まなあかんて!」

女の子に荷物を持たせることに気が引けた良太郎だったがこのかは荷物を渡そうとしない。

「・・・・ウチはせっちゃんやアスナみたいに強くないし、これくらいさせてえな・・・」

「お嬢様・・・」

自分には力がない、いつも命がけで戦っている良太郎に対し、いつも笑って迎えることしか出来ない現実にこのかは少し悲しかったのだ。

「このかちゃん・・・そんなこと「ああ!やっと見つけた!おーい良太郎!」え・・・?」

突然名前を呼ばれ振り返る良太郎、そこには、良太郎と同い年くらいの男女の4人組がいた。

「やっぱり野上君だ!さがしたよ~」
「なんだよ~。病院にいれば高確率で見つかるっつう綾の予想てきちゅうじゃん!」
「おお、それより良太郎!その娘たちだれだよ?つーか紹介しろ!」

親しげに良太郎に話しかけてくる彼ら、刹那とこのかには覚えがない。

「あっ、紹介するね二人とも、皆は僕がこないだまでいた中学校の友達なんだ。」

「ああ!」

「そうでした。」

良太郎の説明で納得する二人、

しかし何故良太郎の昔のクラスメートが遠く離れた麻帆良に来たのか?
その答えは次回に・・・

・・・・続く・・・・

おまけ
【その頃、彼らは・・・】

カラカラカラ・・・

「よっしゃあ10がでた!一気にトップだぜ!」

そう言ってマップ上に置かれた紅い車を10マス前に進めるモモタロス。そう、彼らは今、人○ゲームをやっていたのだ。
無論、遊びではない。

「な~に喜んでんの先輩? トップに出ただけじゃ勝ちってわけじゃないでしょ? それに・・・うわっ!『上司を殴ってリストラ』だってさ!いやあ~不吉な未来を予見してるね~♪」

「うるせーぞ亀!テメーなんてダントツのどべじゃねーか!つーか子供作りすぎだろ!」

「いやいや、これが後々役に立つのさ。ソレより次はキンちゃんでしょ、確かワカちゃんは三回休みだし」

「くっ・・」

「・・・で、なんで人○ゲームなわけ?」

あの後一旦家に帰ってから改めて様子を見に来たアスナは、帰り際まで白熱した議論を繰り広げていたモモタロスたちが何故、人○ゲームに熱中しているのか、その理由をナオミを聴いた。

「いやですね~、あの後結構遅くまで盛り上がったんですけど。オーナーが来て、『VIP客室のお客様からうるさいという苦情がありました』って連絡があって、静かに遊ぶようにっていわれたんですよ~」

「遊ぶって・・・あれ?VIPなんとかって何?」

「このデンライナーの一番後ろにある車両ですよ。中は完全なゆったりプライベートルームになってて食事も最高級品。好きな時代に降りられるし、許可がなければオーナーでも立ち入れないプラチナ席なんですよ~」

「へ~、どんな人が乗ってるの?」

「さ~あ? バイトの私にはわかりません。」

「ええっ? ナオミさんてバイトだったの!?」

と、VIP席よりそちらの話題が気になったアスナしかし、彼女がそんなVIP乗客と今後深く関わることになるのは少し後の話・・・


DRTさんへ。
もうお気づきかと思いますが、今回から登場のオリキャラ“フィリア・ナターシャ”は以前、DRTさんに送っていただいた“フェイト・ナターシャ”をモデルにしています。フェイトだとフェイト・アーウェンクスとかぶってしまうので名前を変えての登場となりました。

また、話の都合上髪の色や性格に若干変更がありますが、送っていただいてありがとうございます!
フィリアは物語の重要な鍵を握る少女なので今後の活躍に期待してください。

仮面ライダーDEN-O-MAGI 第38話 弱さへの訣別?たった一人の戦い

  HOME  | 書架top  | 

Copyright (C) 2006 投稿図書, All rights reserved.