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第38話 弱さへの訣別?たった一人の戦い 投稿者:仮面ライダーマンティス 投稿日:06/14-22:59 No.2538  

3月30日日曜日・デンライナー内

リストラ候補をかけた熾烈な戦いは続いていた・・・

「はい!あ~がりっと!先輩また“大貧民”ね♪」

続いて・・・

「って今度は大貧民!? アンタらマジメに決める気あんの!?」

いるのだろうか?

「があああ~! トランプも却下だあ! つーか誰だ、ゲームなんかでリストラ候補を決めようなんてバカなこといいだした奴は!」

「あまりにもベタなので言いたくないのでござるが・・・お主でござる」

負けたからとトランプを投げ捨て勝負にいちゃもんをつけるモモタロスにワカマルスは小学校の林間学校のときとかこういう奴、必ずいたなという冷たい視線と口調で答えた。

「しかも負けるたんびにゲームを変えとるしな~・・・」

「ホントホント、人○ゲームの次は黒○げ危機一髪でその次は大貧民。しかもぜ~んぶドベだし」

そう、ようは何をやってもビリ=リストラなので、モモタロスはゲームによる決着に講義をしたのだ。自分で言い出した事なのに!

「うるせえうるせえ! 要は役に立つ奴が残ればいいんだろ? だったらみ・・みんしゅしゅぎらしく投票で決めようぜ!」

ちなみに彼はみんしゅしゅぎ=民主主義の意味は知らない・・

「へえ、まだあきらめないっていうの? いいよ別に」

「うむ、まあ一理ある意見でござるしな。ではこの場にいるハナ殿たちに誰がイチバン必要か投票してもらおう」

イマジンたちの目線は彼らのアホな争いを呆れながら見ていたハナたちにむけられた。

「私達で? ・・・そうね、なんだかんだでワカマルスかしらね。一番まともそうだし・・・」

「フッ、やはり見ている人間にはわかるでござるな。ハナ殿ありがとうでござる」

ハナによりワカマルスに一票

「私は・・ウラちゃんですかね~?このあいだは大活躍だったですし、やっぱり頭がいい人が一人くらい必要なんじゃないですか?}

「フフ、ありがとナオミちゃん♪」

ナオミによりウラタロスにも一票目

「そう? やっぱりなんだかんだ言ってもキンタロスの力だっていざっていうときには必要なんじゃない?」

「おおきにアスナ!」

そして、アスナによりキンタロスにも一票

ということは・・・

「また俺かよおおおお!?」

ネギの投票を残し、既に票がないのはモモタロスのみ

「決まりやな」
「やはりこうなったでござるか。悪く思うなよ、モモ」
「さようなら先輩、わかれは“とっっっても”さみしいど『食えない魚は海にかえす』しかないしね」

既にお別れムードのウラタロスたち。

「ま、まだだ! ネギ!お前は俺を見捨てねーよな!?」

「えっ? え、ええと・・・」

最後の投票者ネギに泣きつくモモタロス、今にも泣き出しそうなウルウルとした瞳で見つめるその瞳は必死さと寂しさに溢れていた・・。

「モ、モモタロスさんが・・・いいと思います・・・。」

その熱意(?)に負けたのかモモタロスに一票入れるネギ。しかし、視線はモモタロスから背けられている・・・。

「ひゃっほーい! どうだてめーら? やっぱわかる奴にはわかるってこったな! つーわけで投票は無効!引き分けだ!」

「せんぱ~い、それって泣き脅しじゃん。かっこわる~」

「しかも子供相手に・・・見下げたっやっちゃな~」

「う、うううるせえ!そんな簡単に降りて溜まるかバカヤロー!こうなりゃ今度はUNOで決着だ!」

そう言ってまたゲームを始めるイマジンたち、
・・・もう彼らのことを未来から来た侵略者といっても誰も信じないだろう・・・。

・・・・・

ギャーギャーギャー

そんないつもやかましい食堂車から離れたデンライナーの一番後ろの車両VIP席内

ズズ・・・

まるでホテルの一室のようなふかふかのベッドにきらびやかな内装の部屋でコーヒーを飲む女性が一人。年は18前後といったところで白いドレスを纏った落ち着いた雰囲気をもつ美人。
しかし、なぜか、先日ミルクディッパーに訪れた謎の少女フィリアと同じ紅い髪で彼女が持っていたのと同じヌイグルミを持っていた。
そしてそのヌイグルミは昨日、フィリアにしたように語り掛けてくる。

<ったく、ウチの女王様が静かにしろっつったのに全くこりねえな~食堂車のタコ共は・・・>
<よっぽど飼い主が放任主義なんだね~。どうすんの?>

「・・・・私が来て良かった。やっぱりあのバカな連中や“年増”になんか・・・良は、任せられない・・・」

そう言って女性はしずかに部屋のすみに飾ってある写真を見つめた。遊園地で撮った写真らしく、観覧車をバックに20代中盤くらいのなぜか頭にたんこぶができた優しそうな青年に抱きしめられた2,3歳の赤い髪の少女が写っていた。

(待っててね・・・私があなたを守るから・・・)

・・・・・

同時刻・病院付近の公園

「そっか~、この娘たちがお前が言ってた幼馴染か~。よろしくな!俺、横田健!んで右から川中綾に栗田霧乃、んで岩島な!」
「俺だけ名前なしかよ!」

「アハハハ、近衛このかです。よろしゅうな」
「さ、桜咲刹那です。はじめまして」

先ほど再会した友人達と話し込む良太郎たち。自己紹介も終え、楽しい時間を過ごしていた。どうやら彼らは春休みを利用して、突然転校してしまった良太郎に会いに来たらしい。
なにせこの学園には見学に来た入学希望者のための宿泊施設まであるので、会いに来るだけでちょっとした旅行になる。
探し出すのに苦労するかと思ったが案の定、病院に担ぎ込まれた良太太郎を見て難なく再会できたというわけだ。

「しっかし野上は相変わらず病院に縁があるよね~。知ってる、二人とも? こいつ、こっちの方にいた時も年がら年中病院に担ぎ込まれたんだぜ。いや~いっぱい見舞いしたな。こいつのあだ名知ってる?“貧血王子”だぜ?」

「そ、そんなことないよ僕だって、そんなしょっちゅう倒れてるわけじゃ・・・」

「倒れてたよ~。それにホラ!いっつもついてなかったし! 中一の時の遠足なんて、一人で山の中を遭難してしてたし。確か、林間学校のときも一人だけバスに乗り遅れたしね~」

「そうそう! 普段だって校庭を歩いてりゃかならず野球部やサッカー部のボールが激突してたし。 砲丸投げの鉄球がコイツの目の前に落ちてきたときは流石に焦ったけどな!」

「あはは~、全く同じやな今と・・・」

お互いに面識はなかったが良太郎の不幸話という共通の話題で盛り上がるこのかと健、綾、岩島たち。良太郎は恥ずかしいらしいが、健たちの知る良太郎の武勇伝?とこのかの知る小学校のころの武勇伝で話題にことかかない状態だった。

(・・・・・・)
(・・・・・)

だが、そんな中でもあまり口を開かないものが二人いた。刹那と、
仲間内の中では一番おとなしそうな少女、霧乃である。
二人ともただ話を聞きながら先ほど買ったお茶を飲み、トキドキ霧乃は刹那やこのかをじーっと見つめていた。

「あははは、そういや刹那さんだっけ?野上の昔話には出たことないけど・・・彼女か?」

「「ブッ!」」

岩島の発言にお茶を吹きだす二人

「ゲホ・・・ち、ちがいます・・・」
「そ、そうだよ・・・ただのクラスメートだよ・・・」

(・・・・ほっ・・・)

慌ててフォローする良太郎、その話を聞いてほっとする霧乃

「ああ、そう言えば野上君ってたしか女子校に転入しちゃったんだよね? あいかわらずぶっとんだ人生送ってるよね~」

「ちきしょ~、うらやましいなおい! 誰か彼女できたとか?」

「い、いないよそんな!最近ちょっとゴタゴタしてたし・・・」

思わず転校してからの日々を振り返る良太郎。なんというか、可愛い幼馴染達との再会とか出会いといったラブコメ・ギャルゲーよろしくな展開以上にインパクトのある。嬉しくないイベントが目白押しだった・・・。

(ちょっとかー・・・、良太郎君、それ多分ちょっとやないと思うでー。インパクトありすぎやろ?)

と、心の中でツッコミを入れるこのか

「ゴタゴタって・・・ああっ!確かお姉さんが結婚したんだっけ!去年言ってたもんね『年明けには結婚する』って!」

((!!!!))
(結婚!?)

綾が言った何気ない一言にはっとなる良太郎とこのか!
そして刹那も突然の話に驚いた。

「ああ、そういやそんなこといってったな~。何?じゃあ、引っ越したのもそれに関係あんのか? だったらそう言えよな~。三学期になったら突然転校することになったっていわれてさビックリしたじゃねーか!」

「なあ、せっかくだから今からお姉さんの店に行っていいか? 俺ら直接あったことねーしさ」

「・・・ごめん、実は二人とも出かけてて・・・」

そんな良太郎の心を知らず、姉に会ってみたいと言う健たち、思わずウソをついてしまった。

「あ、ああ、せやったら今から良太郎君の部屋にいかへん? お菓子とか買って皆で騒ぐんも楽しいよ!」

このかも良太郎のウソに相槌を打ち、店に近づけないよう誘導する。

「ああ、それいいね! じゃあ私ら女の子チームはお菓子とか買ってくから健たちは先にいってて」

「了ー解、せいぜい野上のエロ本でも隠してまってるよ!」

「持ってないよ~!」

このかの提案に綾たちも賛成、一旦男女に別れることになった。

・・・・・

30分後

一通り買い物が終わったこのかたちは綾たちとともに女子寮に向かいながらおしゃべりしていた。

「へえ、綾ちゃんって健君と付き合うてるんか。あんまそうみえへんな~」

「まあ、中一のころから野上君含めてずっと五人1セットだったから。さすがに皆の前じゃね~。でも二人っきりだと結構ラブラブなんだよ~」

「ええな~、ウチも彼氏ほしいかも・・・」

「お、お嬢様!?」

このかの言葉に動揺する刹那、ちなみに彼女は学園長のお見合いにもずっと反対し続けている。
このかにはまだ早い、というかこの先一生早いと花嫁のパパのような心境である。

「アハハッ、でも女子校じゃ、そのへんきびしいよね~。唯一の男子が野上君じゃ、いないも同然か~」

良太郎がお相手ではちょっとと思う綾。友達としてはまあいいけど彼氏にはちょっと・・・、という俗に言う“いい人”が良太郎の前の学校でのイメージだったりする。唯一人を除いて・・・

「そ、そんなことないよ綾!野上君はカッコ・・・いいわけじゃないけど。でも、いつも周りに気を使うし、弱いのに私が不良に絡まれたら助けてくれた(正確には助けに入ろうとして転び、大量に血を流しながら近づく姿にドン引きして不良が逃げた)し、私は!」

「え、ええと霧乃ちゃんてまさか・・?」

「そ・野上君をおいかけてきたんだよね~♪」

顔を真っ赤にしながらコクリとうなずく霧乃を見て、刹那とこのかは呆気に取られていた。

「ええと・・・ど、どこがええの霧乃ちゃん? 良太郎君って顔はまあまあやけどびっくりするくらいひ弱やし、やたら面倒に巻き込まれるし、ついてへんし(ある意味最近なにか憑いとるし・・・)」

「そ、そうですよ。い、いい人ですけど、あんまり頼りには・・・(ごめんなさい良太郎さん)」

そしてやたらと良太郎のダメなところを上げ連ね反対する二人、その様子を見て、綾は

(ハハ~ンなるほど・・・こいつは面白いかも・・・)

などと考えていた。もし、彼女がハルナと出会っていたのなら間違いなく友人になれただろう・・・。

「まあ、それで別れ際にさあ、霧乃が転校のわけを聞いたわけよ。そしたら野上君『どうしても今、そばにいてあげなきゃ行けない人がいる』って言ってさあ。私が思うに・・・お姉さんでしょ?」

「(ギクッ!)な、なななっ・・」

綾の言葉に動揺するこのか、その様子から綾の推理は核心に変わった。

「さっきの様子でわかったよ。野上君って基本的にウソとかつかないから健たちはごまかせたけど、お姉さんの話になったら露骨だったもん。どう?」

「お嬢様・・・」
「こ、近衛さん・・・」

「あ、あううう・・・」

綾の言葉に刹那と霧乃も続く、皆、このかだけが知る良太郎の過去に興味津々といった感じだ。
このかは観念し、良太郎には悪いと思いつつも、皆に真実を話すことにした。

・・・・・

同時刻・良太郎の部屋

「うわ~、マジで女子寮に住んでんのな! 羨ましすぎ!やっぱこう、隣に住んでる女子から『カレー作りすぎちゃって』とかいってお裾分けとかされてんのか!?」

「岩島、お前ドラマ見すぎ!」

「うん。時々このかちゃんが煮物をくれたりするけど」

「ってまじかよ! お前、あの娘たちとは友達じゃなかったのか?」

「? 友達だけど?」

実際男の大半が喜ぶような話を普通にする良太郎。
まあ、実際のところそのお裾分けには姉の激マズ健康食品もあったりして、嬉しいことばかりではないのだが・・・。

「ちきしょー! 野上!お前の幸運、俺によこせーー!」

良太郎をうらやましく思いふざけてプロレス技をかける岩島

「あいたたたた、これ以上なくなったら僕死んじゃうよー!」

男なら誰でも一度は憧れる一人暮らし、しかも場所は女子寮という羨ましい状況ではある。だが事実上、彼は一つの肉体に5人の精神が同居していてプライベートなんて、あったものではない。

「まあ、お姉さんも今新婚ラブラブなんだろ? だったら、のこのこお邪魔するわけにはいかねーよな」

「そ、そうだね・・・・」

健の言葉にまたしてもあやふやな返事をする良太郎。友人にも言えない彼の隠し事、それは・・・

・・・・・

同時刻

「・・・・・なるほどね~」
「そんなことが・・・」
「野上君・・・」

このかから話を聞き、それぞれに短い感想を口にする刹那たち、皆、その話に衝撃を受けている様子であった。

「ウソついてゴメンな、別に良太郎君も悪気があってしたわけじゃないんやけど・・・」

「ああ、わかってるってそんなの、昔から野上君って自分が苦しいのとか我慢しちゃうような人だし、別に怒りもしないし、その話を本人の前で言う気もないって、唯、霧乃?ちょっと呼吸をととのえようか?アンタそんなんじゃ話聞いたことバレちゃうし、もう道もわかるから、二人は先に行っててくれるかな?」

そう言って、一旦霧乃が落ち着くまで分かれることにしたこのかたちは先に女子寮へと向かい、綾たちは近くのベンチで休み、霧乃は気持ちを落ち着けようとした。

「・・・まあさ、よかったじゃん本当のことがわかって、何か事件に巻き込まれて無理に転校させられたとかじゃないし、こっちでも野上君それなりにたのしそうだしさ。」

「・・・・うん。」

「アンタさあ、こないだサッカー部の沢渡君に告白されたんでしょ?いい機会だから付き合ってもう忘れたら?」

「別に・・・もう気持ちの整理とかはついてるし、野上君に好きな人がいるっていうのはうすうすわかってたから・・・けどせめて、一緒に・・・卒業したかったなって・・・」

<それが貴殿の望みか?わが契約者よ・・・>

ザアアアアア・・・・

「!! な、何!?」

「キャアアアア!」

霧乃が小さな望みを囁いた瞬間、彼女の身体から砂が零れ落ち、騎士の姿をしたイマジン=ナイトイマジンが姿を現した!!

「むっ、この悲鳴は!」

部屋に向かう最中に霧乃の悲鳴を聞き、走りだす刹那とこのか、そこに駆けつけると

「お二人とも大丈夫ですか!?」

「こ、近衛さんに桜咲さん・・・い、今・・・」
「へ、変な怪物が現れて・・・・『貴殿の望み・・・その男が元の場所に戻る。つまり今の居場所を壊せばいいのだな?』って言って、女子寮の方へ・・・」

・・・・・

「にしてもあいつら遅いな~、野上、ちょっとその辺探しに行こうぜ」

「そうだね、じゃあ行き違いになっちゃうとあれだし岩島君が残って皆が着たら電話して」

「了~解」

そう言って一旦部屋を出る良太郎、彼がこの行動を後悔することになるのはこのすぐあとである・・・

(あ~あ、いいよな~野上はハーレムに住んで健の奴は淡白なふりしてラブラブで・・・栗田は告白されるし・・・)

心の中で愛だ恋だに花咲かせている友人達を羨ましく思いながら部屋でねっころがる岩島、そんな時!

パリーン!

「わあああ!」

窓から侵入したナイトイマジン

「一つ尋ねる!ここは野上とかいう男の部屋に違いないな?」

「そ、そうだけど・・・ア、アンタ何者!?な、なんかの仮想!!??」

「やはりここか・・・よし、早くココを出て行くことを薦めるぞ小僧!でないと・・・」

腰にさした剣を抜き取り、岩島を脅すナイトイマジン

「な、ななななんだよいきなり!アンタ新手の空き巣かなんかだろ!こ、こここはにがさないぞ・・・」

「フフ、残念だ・・・」

イマジンのことを変装した空き巣かなんかだと思い戦いを挑もうとする岩島・・・

ガシャーーーーーン!

「! 今の音・・・」
「ああ、野上の部屋からだ!」

窓が割れた音に続き部屋から聞こえた何かものを壊す音に気づき戻ろうとする良太郎たち

「良太郎さんん!」

「刹那さんたち・・・!・・どうかしたの栗田さん!?」

その途中で同じく駆け足で部屋に向かおうとした刹那たちと合流する。
良太郎にはすっかり青ざめた表情の霧乃が気になった。

「じ、実は・・・今回の契約者が・・「わああああ!」」

ドン!

「岩島君!!」

部屋まで数メートルという廊下で扉ごと吹き飛ばされた岩島が目の前に現れる!

「の、野上・・・悪ぃ・・空き巣捕まえようとしたんだけど・・」

額から血を流す岩島は意識が朦朧としていた。

「空き巣?」

「恐らく私のことだ!」

部屋の中から名乗りを上げるナイトイマジン!見ると良太郎の部屋はあらゆる家具が壊され、メチャクチャにされていた。

「ほお、契約者も一緒か、ちょうどいい。貴殿の望みは叶えた。今度はコチラの番だ!契約完了!」

ガチャン!

霧乃の身体を使い、過去へと飛ぶナイトイマジン

「栗田さん!」

シュウウン・・・

慌てて霧乃にかけよりチケットをかざす良太郎、日付は2002年2月14日にと記されていた。
直ぐにでも追わねばいけないところではあったが、額から血を流し倒れている岩島とショックで気絶した霧乃が心配なため、一旦二人を病院へと運ぶことにした。

・・・・・

30分後

「二人とも大丈夫ですよ。男のこの方は出血がおおかったようですがキズ自体は浅いですし、女の子の方も直ぐに目をさましますよ。」

(((((ホッ)))))

二人の無事にそっと胸をなでおろす一同、しかし、良太郎たちはそうもいってられない。

「おい、野上!一体なんなんだよ?さっきの怪物とかさ・・・」

「・・・・うん、イマジンっていうんだ。帰ったら事情を話すから・・僕がなんとかしてくる。」

「なんとかって、お前があんなわけわかんねえ怪物と戦うのかよ!?無茶だって!」

当然の疑問を投げかける健に短く返事をし、病院を出ようとする良太郎。当然そんなことをしようとする彼を止めようとする健だが

「・・・・巻き込んで本当にごめん。」

良太郎はその言葉に返事すらせず、病院の廊下を走り出してしまった。

(僕のせいだ・・・!僕が疲れてモモタロスたちを締め出さなければ・・・栗田さんに憑いたイマジンにも直ぐ気づけたし、岩島君も怪我せずにすんだ・・姉さんのことも・・・僕が・・・僕がもっと強ければ・・・・!!)

友人を傷つけてしまった時運を責める良太郎、己の無力さを強くかみ締めたその顔には涙がついていた。彼は今、イマジン以上に許せなかったのだ。自分の無力さが・・・

「わ、私もいきますお嬢様!なんだか心配ですし、」

「あっ!せやったらウチも・・・」

良太郎に続こうとする刹那とこのか

「あっ、待ってこのかちゃん!」

しかし、そんなこのかを綾が止めた。

「どないしたん?」

「じょ状況は良くわからないんだけど・・・さっき野上君がもってたカードに去年のバレンタインの日付が入ってたよね?室はその日に霧乃にちょっと・・」

そう言ってその日付に起きた出来事をこのかに放す綾

「ってわけなの。な、なにか役に立つかな・・・?」

「(せやったんか・・・じゃあやっぱり良太郎君は・・・)・・うん、ありがとうな綾ちゃん!」

綾に教えてもらった話であることを確信したこのか、そんな二人のやり取りを見て健も

「あの!・・・あいつのこと・・野上の事を頼むな・・俺らじゃなんもできねーから・・・」

わけのわからない状況に巻き込まれ、ソレをなんとかしようと一度も見たことがないような険しい顔で出て行った友人を気遣ったせいいっぱいの言葉、このかはその言葉にもちろんといって微笑み、刹那に続いた。

・・・・・・

「変身」

パシュウウン!
ファアアアアアン!

病院の屋上でプラットフォームに変身する良太郎!
デンライナーも素早く現れた。

・・・・・

食堂車内

「あれ?なーんでいつの間にかこっち(現代)にきてんだおい?」

突然時刻の砂漠から現代に現れたデンライナーに驚くモモタロスたち、基本的には砂漠を走るだけのデンライナーがこのように現れる状況は一つ・・・

プシュウウ!

「ハナさん!イマジンがあらわれて過去へ飛びました!」
「そんで良太郎君が今過去に向かうって・・・。」

「ウソ!」

突然知らされた事件に驚く一同

「マジかよ!?」
「全然気が付かなかったよ。」
「完全に閉め出されとったしな~」
「・・・妙でござらんか?何ゆえ殿は拙者たちの誰とも融合していないでござる?」

「「「!! そういえば」」」

ワカマルスの言葉にハッとなる三体、例えイマジンの存在をキャッチできなかったとしても、現れて変身した以上、四体のいずれかと共に向かうはず、しかし、この食堂車にはタローズが全員揃っている。

<皆ごめん・・・ちょっと一人で戦いたいんだ・・・どこまで出来るかわからないけど・・・・>

そんな彼らの気持ちを察して、コックピットから語りかける良太郎

「一人でだと!?何考えてんだよ!」
「まさか、本気で僕たちを・・・!?」
「リストラっするちゅうことか!?」
「殿!無茶でござる!どうかおやめください!」

リストラの不安と、何より良太郎を心配する気持ちタローズを襲う。

「うわ~良太郎ちゃんも本気みたいですね!」

「良太郎があんなこと言うなんて・・・アンタたちまたなにかやったの!?」

そんならしくない良太郎の態度に以前のラビットイマジンの時のようなことがなかったかと尋ねるハナ

「(ギクッ!)そ、そういや・・・良太郎が寝てる間に冷蔵庫のプリン食っちまったこと・・あの時は賞味期限がきれてたから捨てたっつったのがばれたかな・・・?」

「そう言えば僕も前良太郎のお金で勝手にスーツとかかっちゃたの・・・あの時は良太郎呆れるだけだったけど、まさかまた根に持ってるのかな?」

「俺が原因かもしれん、実はこの間、良太郎がプラモデル作っとったんやけどその途中で寝てもうてな。完成直前やったから仕上げたろ思ったら壊してもうた・・・あん時は素直に謝って許して暮れたんやけどなあ・・・」

「ま、まさか拙者のせいではござらんよな?確かに一昨日、悪漢に絡まれた少女を助けた後抱きつかれ思わず鼻血を吹いて殿のお気に入りのシャツを血塗れにしてしまったが・・・」

「アンタたち・・・私達が知らないところでもずいぶんひどいことしてたのね・・・」

「そっりゃあ良太郎さんも怒りますよ・・・。」

思い思いに己の罪を告白するタローズたち
そのあまりにも酷い良太郎の人生に同情しつつ、モモタロスたちの行動にあきれ返るネギたちであった。

「・・・・・・」

そんなタローズやアスナたちに何も応えず、電王は過去に到着した。

・・・・・

2002年2月14日木曜日

(結局・・渡せなかったな・・・)

日が沈み始める時間帯、しょんぼりとした表情で帰路につく霧乃、その手にはキレイに放送された。本来はもう渡すべき人の下へいくはずだったチョコレートがあった。

ガタン

もうようはない。これ以上このチョコを見ていたくないとチョコレートをゴミ箱に捨てる霧乃、その直後

ザアアアア・・・
バタッ!

体から砂が零れ落ち、気を失う霧乃、そして砂から姿を現したのは・・・

「フッ、無事到着・・・さて、何から壊せばいいものか・・・・」

願いを叶え過去へと飛ぶこと、唯ソレだけが頭の中に支持されていたが、いざ飛んでみても何をすべきなのか皆目見当がつかない。あたりを見回し、破壊するものを模索するナイトイマジン、そこへ

ファアアアアン!

「やめろお!」

デンライナーから現れた電王!

「特異点か!」

「やああああ~~~!」

武器を使えないプラットフォームで飛びかかろうとする電王、だが、

「ハア!」

ザシュン!

「わああ!」

その動きは容易く見切られ、逆にナイトイマジンのロングソードに斬理付けられてしまった。

「うう・・・」

「フッ、これが今まで10体以上の同胞を葬った噂の電王か?大したことがない。」

「わ、わあああっ!」

吹き飛ばされ、地にひれ伏されながらも立ち上がり、再びナイトイマジンに飛び掛る電王、

「ちぃ!」

シュン!
フッ!

「何!?」

「たああ!」

ドン!

今度はナイトイマジンの太刀を見切り懐に飛び込んで体当たりをする電王、ナイトイマジンも驚く。

「くっ!」

ヒュン!ヒュン!

その後続いた太刀もひっしながらよける電王、その動きたどたどしいものだったが、それでも、以前同じくプラットフォームで戦ったラビットイマジンの時に比べ、避けるのが上手くなっていた。
身体はモモタロスたちにまかせきりとはいえ、これまで命がけの戦いの最前線に立たされたことにより、良太郎自身の運動神経の教科と何より、攻撃に対する恐怖心というものが減少したためと言える。
いわばこれは良太郎自身の成長の証・・・だが、

「ほほう、思ったよりやるな。では本気を出そう・・・ハアッ!」

ザシュンザシュンザシュン!

「うわあああ~~~!」

それでもそう簡単にはいかない。いかに成長したとは言え、ハッキリ言ってまだまだ素人レベル、侮っての攻撃ではない本気の一撃の前にはやはり手も足も出ない。

・・・・・・

食堂車内

「「「「良太郎(殿)!!」」」」

食堂車内を緊張が走る!
追い詰められている良太郎を見て、なぜ自分を呼ばないのか?焦りと不安にかられるタローズと

ガタッ!

「アスナさん?」

「ベルトのボタンを押してくればアンタたちは入れるんでしょ?私がいってあのバカに押すように言ってくる!」

「ああ、ウチも!」
「私も!」
「ぼ、僕もいきます!」
「ちょっと皆!?」

そう言って飛び出したアスナに続くネギたち、車両にはタローズとナオミだけが残された。

・・・・・

「フフフ、よく戦ったがコレまでだ。」

ザシューーーン!

「わああああ!」

ナイトイマジンによる何度目かの本気のこうげきが炸裂!
電王は吹き飛び・・・

チチチチチチ・・・

(・・・・・!・・・・)

どさっ!

いつものように電王の戦いを見守る影、懐中時計の男と激突してしまった!

「す、すいません!」

シャラン!

その衝撃でいつも手にしている懐中時計を手放してしまった男
電王は謝るとともに落ちた時計を掴み渡そうとしたが、時計の裏に刻まれた“ある英文”をみて驚いた!

「!!! これって・・・まさか!」

ガバッ!

「あっ!」

電王がその見覚えのある時計を見て何かに気づき、慌ててその男の顔を見ようとした瞬間、男は電王が持つ時計を奪うように持ち去り、その場を走り出した!

「あっ!待って・・・「逃がすわけにはいかんぞ特異点」うわあ!」

思わず男を追いかけようとした電王に斬りかかる電王

ドサッ!

「うう・・・」

度重なる攻撃についに限界を超え倒れる電王、最早、ベルトを押す力も残されていない。

「ここで貴公を残すと後々面倒そうだからな。悪いがココで死んでもらう!」

剣を天高くかかげ振り下ろそうとしたその瞬間!

ブン!
キン!

「なっ!」

ナイトイマジンの剣を止める小さな二本の剣!
しかしそれは人間ではなく・・・

「へへ、悪いけどこの子はご主人様の大事な人なんだ。悪いけど殺らせないよ?」

それはフィリアが・・・なぞの女性が持っていた女の子のヌイグルミだった!

「てええ!」

キン!

ヌイグルミはその小さな体から渾身の力を込め、自分が受け止めていたナイトイマジンの剣を弾く。

「えへへ、どんなもんだい!」

「あいかわらずバカ力だな~リンディンはよお~」

そんな女の子のヌイグルミに続いて弓をもった男の子のヌイグルミが姿を現した。ヌイグルミは倒れて気を失った状態のプラットフォームの様子を見た。

「ああ!ひどいなあもう!それよりその人生きてる?」

「ああ、気を失ってるだけみてーだな。安心しな“マスター”!」

男の子のヌイグルミがそう呼ぶと柱の影からVIP席にいた美女が姿を現した。

「そう・・・よかった」

電王の無事に安堵の表情を見せる女性、その後ここまで電王を痛めつけたナイトイマジンに敵意むき出しの視線をむけて静かに睨みつけた。

「なんだ?我々のことをしっているようだが・・・電王の味方か何か?」

「味方・・・確かにそう・・ただし電王じゃなくて“この人”のね」

そう言って少女が二枚のカードを出す。
それは魔法使いの契約の証、パクティオーカードである。ただしそこに書かれたイラストには二体のイマジンが描かれていた。

「そして・・この人の敵は・・・皆私の敵・・・契約執行」

パアアア!

輝きだすカード!
果たしてこの女性は何者なのか?

・・・・・続く・・・・・

おまけ
【デンマギファイル】
ピジョンイマジン・・・2003年の現代にやってきた未来人のエネルギー体が霧島小夜子の思い描く“ノアの方舟”からなぜかハトをイメージしてこの世に現出した姿。小夜子の『お嬢様が悲しい思い出を忘れてほしい』という望みを叶え、過去に飛ぶことを目的としている。
時速280キロで飛行が可能、また、その羽の一枚一枚がダイナマイト下図発分相当の爆発力をもつ火薬で出来ており、その羽の先端のダーツが物体突き刺さることによって着火し、爆発する。また火薬と同じ性質であるがゆえ、爆発しなくても火薬としてはいきており、わざと地面に羽を撒き散らし連鎖爆発を起こすことも可能。シンプルだが相手が飛ぶことのできない者ならば、驚異的な存在と言えるが反面、水に濡れると爆発しないというもろい面ももっている。また、爆発する武器をもつ都合上接近戦ようの武器を待っておらず、また苦手である。
忘れるという望みをあやかが弟を思い出しそうな物=ネギや弟のための部屋を削除することで強引に望みを叶え、過去へ飛ぶも策士ロッドフォームの前に敗れ、デンライダーキックを受け爆発した。
削除が口癖

ピジョンイマジンはMr、ゴールドさんのアイデアからいただきました。ありがとうございます。

仮面ライダーDEN-O-MAGI 第39話 過去がくれる希望、新たな決意をこの胸に!

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