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第41話 目覚めよその魂?ドラゴンダンサー登場!!! 投稿者:仮面ライダーマンティス 投稿日:06/18-18:15 No.2567
2003年4月5日土曜日午後6時・ミルクディッパー
「・・・・・」
えらく不機嫌な顔で店内を清掃するアスナ、その視線の先には・・・
「凄いわね~フィリアちゃん、そんなに星や星座の話に詳しいなんて~」
「そ、そんなこと・・・」
愛理に撫でられながら誉めてもらい、嬉しそうにする(無表情だが)フィリア。
あの事件から一週間、毎日この店に顔を出しては、アイスを食べたり、星の話を愛理としたり、良太郎になついたりとすっかり店の常連となっていた。その愛理や良太郎に見せる、少し恥ずかしそうにしながらも甘える子供らしさにはデンライナー内での女王様っぷりは微塵も感じられない。
「でも、そんなに星とかに詳しいとここの本のことも大体知っててつまらないんじゃないの?」
「そ・・・そんなことない・・・楽しいよ凄く(パパとおねえちゃんがいるんだし・・・)」
子供には少し退屈ではと尋ねる良太郎の意見を否定するフィリア。彼女のここにいたいという気持ちは、もっとも鈍い野上姉弟にはイマイチ伝わっていないが・・・
「アラ? もうこんな時間、お買い物行ってきちゃうから良ちゃん、アスナちゃんお留守番お願いね」
6時を過ぎた時計を見て、お客も少ないこともあり買い物に出かける愛理。
「いってらしゃ・・“ガシャン”キャッ!」
店を出る愛理に気を取られ、うっかり空のコーヒーカップを落として割ってしまうアスナ
「アスナちゃん大丈夫!?」
「うん、ごめん」
「謝らなくていいよ。今、箒とちりとり持ってくるから待ってて」
そう言うと良太郎は店の裏に向かった。二人がいなくなった時、悪魔が姿を現した。
「クスッ・・・ドジ」
アスナのことを鼻で笑い見下した態度をとるフィリア
「アンタね~、どうして良太郎たちがいるときといないときとで態度が変わるのよ!! 私がなんかした!?」
いつもこの調子である。良太郎や愛理がいるときはそれこそ借りてきた猫状態のフィリアなのだが、その二人が揃っていない状況になると途端にその本性を現す。
ちなみにこの日以外にも、バイトをする刹那もよく被害に合う。ちなみにこのかは天然なためか、あまりイヤミが効かず、少し苦手らしい・・・
「・・・・別に理由なんてないわ・・・唯、私はアナタがキライなだけ・・・・あなたと、あのヘラヘラしたチビ魔法使いがね・・」
「私とネギ? なんでよ!」
「理由は・・・教えてもいいけど、面倒だから言わない。ちなみにあの天然とツリ目のおばさんもキライだけど、つり目のオバサンをいじめるのはちょっと好き・・・クス、なんだか血が騒ぐから・・・」
怪しく微笑みながらSっぷりを発揮するフィリア。そのころ刹那は物凄い悪寒を感じたという・・。
「お待たせ~。アレ?どうかしたの?」
そこへ良太郎が戻ってきた。フィリアは何事もなかったかのように本を読んでいるふりをする。
「あれ? アスナちゃん手を切ってない?」
「あっ!ホントだ・・・けど大丈夫よ、これくらい」
良太郎が見るとアスナの指は割れたカップを拾おうとして軽く切れていた。
「ダメだよちゃんとしないと!」
「えっ?ちょっ・・ってヒィ!」
ほっとけば大丈夫と軽く指を舐め終わりにしようとするアスナに対し、良太郎は少し過剰に反応した。
もっとも、こうしたことくらいでアスナに気持ちは伝わらないし、良太郎自身、純粋に心配しているだけだが、そんな良太郎の対応を見て、フィリアは冷たい視線をアスナ向けた。
「・・・・良太郎。私、消毒液と絆創膏もってるからそのおば・・・おねえちゃんに塗ってあげるね・・・」
「ホント?じゃあ僕はこっち片付けるからお願いしていいかな?」
「・・・うん」
そう言ってフィリアにアスナをまかせ、良太郎は割れたカップを片付けていた。
「じゃあ・・・しみるわよ?」
「う・・・うん」
恐る恐るフィリアの前に手を差し出すアスナ、この時、もっと警戒しとけばよかったと心の底から後悔後悔するのはわずか数秒後である・・・。
パラパラパラ・・・・
「ってきゃああ~~~~! 痛っ! てゆーか熱っ! アンタそれ唐辛子じゃない!!」
「クスクス・・言ったでしょ?しみるって・・・一言いってくけど、あんまり良太郎に馴れ馴れしくしないでね? じゃないと・・・ふふ」
(こ、このガキ~~~)
良太郎の見えないところで火花を散らすアスナとフィリアであった。
・・・・・
3時間後・デンライナー食堂車内
「ってわけなのよ!あ~もうムカツク!なんなのよあいつは!?」
ナオミの淹れたマズイコーヒーを飲みながらフィリアに対する怒りを爆発させるアスナであった。
「でも、僕にはあの娘がホントそんなことするようには思えないけど・・・」
「アンタの前ではネコかぶってんの!私や刹那さんなんて毎日毎日・・姑みたいにチクチクチクチク嫌がらせされてんのよ!? ね?」
「分かるぜその気持ち!あのガキ(?)何処のどいつだかしらねーが絶対ぇ親が育て方間違えてやがんぜ!」
そんなアスナの怒りに同調するのは、アスナと同じくフィリアによる被害を受けたモモタロスであった。
「珍しく気が合うわねバカモモ! 全く、親の顔がみてみたいわよ!!」
(珍しくって・・・アスナさんとモモタロスさんって結構気が合ってるようにもみえるけど・・・)
現れた共通の敵にがっしりと手を組むモモタロスとアスナ。またの名を3-Aとデンライナーの2大バカレッド。この二人、なんだかんだで似たもの同士だったりする。
ウィイイン・・
「あっ、いらっしゃいこのかちゃんに刹那ちゃん! 今日は遅かったですね~?」
「ハァ~~、こんばんはナオミちゃん・・・」
バカレッドコンビが対フィリアについて対策会議を行っている中、学園長からのとある用事でバイトを休んでいたこのかと刹那がやってきた。
「どうしたのこのかちゃん?な~んか死んだ魚みたいな顔してるけど?」
深い溜息をつき、だるそうにしているこのかに尋ねるウラタロス
「あ~、ウラちゃんわかる?実はなあ、ウチ明日お見合いせなアカンらしくて・・・」
「「「「「見合い~~~!?」」」」」
「あはは・・・大変だね・・・」
「またなの?」
中学生がお見合いするというありえない話を聞いて驚くタローズやネギたち。学園長の趣味を良く知る良太郎とアスナは、乾いた笑いで呆れていた。
「見合いっておめー、アレだろ?結婚相手を決めるっつう、アレだよな?」
「そーなんよ。おじいちゃんの趣味でなー、ウチまだ14歳なのにフィアンセやーゆーて勝手に・・・」
「おめーのジイちゃんってあの頭のナゲー妖怪みたいなやつだろ?何考えてやがんだ?」
「なぬっ!?マジでござるかモモ!? 拙者はてっきり、学園に住み着く魔物とばかり・・・・」
「アレがこのかの母親の父親っちゅう話か・・・遺伝子の神秘ってあるんやな~」
「でも、見かけ以上に14歳の孫にお見合いなんて突飛なことするよね~。ボケた?」
「モモタロスたち言い過ぎ!」
「そうよ!アンタたちが良太郎の身体でやった数々の珍事件、一体誰が後始末してると思ってんの?」
学園長に対し無礼千万な態度をとるタローズを叱る良太郎とハナ。実際問題、学園長による助力は大きい。
事件や良太郎の正体を隠す上での情報操作から、モモタロスやキンタロスが破壊した物品の弁償による良太郎の借金の肩代わりなど様々な面で助けてもらっている。
「で?今回の相手ってのはなんなの? 医者? 弁護士?」
「はい、今回はオクレール財閥の三男アーノルド・オクレールさんです。年は18歳で現在IT関係の会社を3つ経営しているやり手だそうなんですが・・・」
「オクレールってあのCMとかでやってる奴!? すっごいところじゃん!」
「うわぁ、この人カッコイイですね~」
見合い写真とプロフィールを見て驚くネギとアスナ
「身長185センチの八頭身。年収は数百億で大財閥とはいえ、気楽な三男。趣味はテニスにスキーでルックスは申し分もない上にこのか好みの外国人・・・今までの中じゃ一番好条件じゃない?そんなにイヤなの?」
これまでこのかは全然タイプじゃない相手とのお見合いもいやいやながらやってきた。しかし、今回は年齢も近い上に顔もこのかの好みのストライク、ここまで嫌がるこのかがアスナは不思議であったがそれには理由があった。
「そうなんやけど・・・ねえ?せっちゃんと良太郎君はどう思う?ウチがお見合いするの」
「えっ?わ、私は・・・そ、その本音を言えば・・・反対なのですが・・・やはりお家の問題となると・・・」
本心では大反対ではあるものの、拾われた立場にある刹那には、やはり面と向かって反対と言えずにいた。一方良太郎は・・・
「う~ん、難しいよね・・・。僕も本当はいやなんだけど姉さんが作る健康食品とか黙って食べるし・・・。本当の気持ちを言えばそれで楽になるかもしれないけど、それで姉さん・・このかちゃんのおじいちゃんが傷つくこととか考えると、ただイヤだっていうのも・・・できないよね?」
人一倍周りのことを気遣う良太郎は自分とこのかを重ね合わせての意見を述べた。
唯断る、自分の本心を伝えるというのも大切だが、何事においてもそれはあてはまらない。学園長にしてもこのかのことを考えて(少なくとも良太郎はそう思っている)のことだろうし、それをただ否定することなど出来ないと感じたのだが・・・。
(むぅ~~~二人とも~ウチが聞きたいんはそうゆうことやなくて~)
お家や気持ちといったことを主張する良太郎と刹那に対し、面白くない顔をするこのか。彼女が聞きたかった言葉は期待とはうらはらなものであった。
「フン! わかった。じゃあウチ見合いしちゃうもんね~。良くみたらかっこええし、このまま結婚しちゃおうかな~」
「お、お嬢様!?」
「じゃ、明日早いし、ウチももう寝るからお休み・・・ベーだ」
期限を悪くし、良太郎に帰り際あkんべーをしながらデンライナーを降りるこのか、刹那はオロオロしながらそれについていった。
「僕なにか悪いこと言ったかな?」
皆にソレを尋ねる良太郎に鈍いモモタロスとネギ、それにアスナとキンタロスは頭に?マークを飛ばし、他の面々は少し呆れていた。
・・・・・・
午後11時ミルクディッパー
「それじゃあお休み、良ちゃん」
「うん、お休み」
そう言って店からでて帰路に着く愛理を見送る良太郎、前回のナイトイマジンの襲撃によりメチャクチャにされた部屋の修理が済むまでの間、また当面は店で寝泊りすることになったのだ。
(でも、なんでこのかちゃん、あんなに機嫌が悪かったんだろう・・・)
先ほどのこのかのことが気になりつつ、徐々に意識がまどろんできた良太郎・・・
<ねえねえ、お見合いって何するの?>
<? えーと・・・知らない男女が会って、お話したりしながらお付き合いするか決めて、相手のことが気に入ったら結婚することかな?>
突然頭の中に聞こえてくる謎の声。しかし、寝ぼけていることと、モモタロスたちのせいですっかりこういった頭の中での会話に慣れてしまった良太郎は特に疑問を持たず、会話を続けた。
<結婚!? じゃあ、このかおねえちゃん結婚しちゃうの!?>
「まだそうと決まったわけじゃ・・・」
<イヤだイヤだ!ねえ、だったらそのお見合いの相手、消してもいいよね?>
「消す!? さっきから何言ってるの!? てゆーか君だ・<答えは聞いてないよ!>・・うわああ~~~!」
ようやく事態のおかしさに気づき起き上がろうとする良太郎。だが、突然現れた強い力によって押さえつけられ・・・
キュピーーーン
紫の光を放つ良太郎の瞳。その顔はともすれば無垢な、ともすれば邪悪にも見える微笑が浮かんでいた。
・・・・・
2003年4月6日午前10時
学園内のとある教会の裏
「ニャー、ニャー」
「わあ~子猫だ子猫だ~!」
「ね? お兄ちゃんここにいればいっぱい子猫がいるでしょ。 ここならさっきお兄ちゃんが見つけた子も寂しくないよ」
たくさんの愛らしい子猫たちに囲まれうれしそうにする良太郎?
「うん、ありがとう♪ でもこのネコたち誰が面倒見てるの~?」
「お兄ちゃん知らないの? 茶々丸だよ! あっ、茶々丸だ! お~い!」
手を振る少年の目線の先にはペコとかるくお辞儀をする良太郎のクラスメート茶々丸がいた。
少年は茶々丸を見て駆け足で近づく
「ねえねえ茶々丸、あのおにいちゃんがダンボールの中に捨てられたこの子を拾ってきたんだけど一緒に面倒みてくれない?」
「野上さんがですか?」
「そうだよ! ねえ、この子たち、君が飼ってるの? だったらたまにでいいから僕もここで一緒に遊んでもいいかな~?」
子供のような仕草で茶々丸にお願いをする良太郎にほとんど会話をしたことがないとはいえ、違和感を感じる茶々丸。
だが、不思議と彼女にはそんな長太郎に悪意などを感じない。まるで、いつも自分になついてくれる子供達と同じにおい?を感じた。
「ええ、かまいません。それじゃあこの子達エサをあげるのを手伝ってくれませんか」
「わ~い!やったーーー♪」
「僕も僕も!」
無邪気に喜ぶ良太郎と少年はネコにエサをあげたりして楽しい時間を過ごした。
「ねーねー良太郎、知ってる? 茶々丸ってロボットだから飛べるんだぜー! すごいよね?」
「ホントー? ネーネー、じゃあビームとかは撃てるの? 変形は? 合体は?」
「・・・・変形機構などは搭載しておりませんが、光学兵器などの兵装はもっています」
“クラスメイトがロボットでした”という衝撃的事実にも全く驚かず、一緒にいる少年と同様に目をキラキラさせる良太郎。なんというか子供そのものである。
「すごーい!じゃあさ、じゃあさ、飛んで見せてよ!」
「・・・申し訳ありません。実はこれからマスターと予定が入っておりまして、」
「え~~、そっか~、じゃあ今度! 今度絶対だよ!」
「分かりました。では、」
「「バイバ~イ!」」
ペコとお辞儀をして、その場を去る茶々丸に手をふる少年と良太郎
「あっ、そう言えば僕もこれからママと出かけるんだった!じゃあね、良太郎。またね~」
「うん、またね~♪」
すっかり仲良くなった少年とも別れ、良太郎もまた、目的地を目指した。
「さてと・・・クンクン、お姉ちゃんのにおいはこっちからだな・・・待っててねこのかお姉ちゃん♪」
・・・・・・
同時刻・デンライナー内
「ハァ・・ハァ・・うーん、なんかとんでもないことになっちゃったな~」
「そうね・・・ほとぼりが醒めるまでこの中で非難してましょ」
息を切らせながらデンライナーに飛び乗ったネギとアスナ。なぜ彼らが朝っぱらから逃げるようにデンライナーに来たかというと・・・
「パートナーの話、一体どうして皆知ってるんでしょうか?」
「ていうか、魔法はバレてないけど、皆明らかに誤解とかしてない?なんかアンタ、王子様になってるし・・・」
今朝、イギリスから来たネギの姉、ネカネから届いた手紙で持ち上がったパートナーの話。それがどこをどうなってか、歪められた形で女子寮内を駆け巡り、大変なことになっていたのだ。
そして何処に行っても追いかけられると判断したネギたちはひとまず
決して入ることが出来ないデンライナー内に隠れることにしたのだ。
しかし、実はこの避難したこのデンライナー内でも実は事件が起きていた・・・。
ウィイイン・・・
「皆さんおはようござ・・・“ビシッ!バシッ!”「ぎゃあああ~~~~~!」ってえモモタロスさん!?」
自動ドアを開けたネギたちが見たのは衝撃的な光景であった。
「まったく・・・ご主人様を見失うなんてどういうこと? 良太郎に何かあったら・・・叩くわよ?」
ビシッ!
「あいてー!もう叩いてるじゃねえか!」
「あの~フィリア様? 僕も女の子と遊ぶのは大好きなんですけど、ちょっとこういうのは趣味じゃないって言うか・・・」
手足を縛り付けられ、大人の姿になったフィリアに鞭で叩かれるモモタロスとウラタロス。
「離せーーー! 殿に・・殿になにかあったらと思うと・・・このワカマルス一生の不覚でござるーーー!」
「はやまるんやないワカ!」
一方ではキンタロスが切腹しようとしているワカマルスを必死に止めている。
「な、なんなのこの状況・・・?」
「アスナちゃん!ちょうど良かった。良太郎知らない。」
そんな何時にもまして騒がしい食堂車内でネギたちが来たことにようやく気が付いたハナ。
「えっ?良太郎がどうかしたんですか?」
「消えたんや・・・!俺らにも全く感知できへん・・・」
「えっ?」
重苦しい口調で事態を告げるキンタロス
ハナが続けて説明に入る。
「モモたちが異変に気が付いたのはついさっき。いつもはとっくに起きてるはずの良太郎がいくら呼んでも反応がなかったの・・・それで心配になって愛理さんに電話したら『遊びに行ってきます』って書置きだけ残していなかったって・・・」
「遊びに行く?・・・まさか・・・!」
良太郎らしからぬ書置きにアスナはピーンときた。
「多分・・・良太郎に新しいイマジンが取り憑いて・・・」
「またなのーーーー!?アイツ一体何処までついてないのよ!?」
「いやアスナさん憑いてるんですってばこの場合・・・」
「クマパン女のいう通りだ!良太郎の奴またどこからか野良イマジンを拾ったに違いねー! ちきしょー、あれほど家にはそんな余裕がねーって言ったのに!」
まるでペットを拾ってきた息子を叱る母親のようなモモタロス。だが、事態はソレよりも深刻だった。
「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないわよ駄犬、問題はその憑いたのがパ・・良太郎の制御が効かないほど強力だっていうこと・・・」
「特異点の力が効かないなんて・・・とにかく良太郎を探さなくちゃ! フィリア、協力して!」
事態の深刻さを感じ取るハナとフィリア。ハナはアスナやネギ、そしてフィリアにも協力を要請した。
「・・・・・仕方がない。本当はアナタたちなんかと手を組みたくないけど・・・・良太郎が心配だから手伝ってあげる」
「お互い様よ! で、ハナさん? 具体的に何をすればいいの?
「そうね・・・とにかく一番いいのはバカモモたちが身体に入って、今いるイマジンを追い出すことだから、ココにいる4人がそれぞれモモたち一体ずつと組んで探し回りましょう」
そうして手早く打ち合わせが行われ、それぞれウラタロス・ハナチーム、キンタロス・アスナチーム、ワカマルス・ネギチーム、そして、モモタロス・フィリアチームに分けられた。
「ってちょっと待て! なんでオレがこのガキと組まなくちゃ・・「ガタガタうるさい」ギャフン!」
チームわけに異議を唱えるモモタロスを容赦なく蹴るフィリア。その瞳は炎のように燃えていた。
「私だってアンタみたいな下品な奴隷、欲しくもなんともないけど一番鼻がきくっていうから使ってあげるのよ? とにかく意地でも良太郎を探しなさい。いい?理解したポチ?」
「誰がポチだこのクソガキ! 駄犬から奴隷ってどんどん扱いが酷くなってるじゃねーか!」
「口の利き方は全く成長してないわね・・・一つ忠告しておくわ。もし、良太郎に万一のことがあったり・・・あのおばさんよりも見つけるのが遅かったら・・・コレに強制憑依させるわよ?」
そう言ってフィリアはテーブルの上に恐ろしいものを置いた。それは・・・
「ト、トイレットペーパー!?」
「そ、一度体験してるからわかると思うけど、私は貴方達を無生物に憑依させることが出来る。そして一度憑依されると私の了承なしじゃその物が壊れたり使えなくなったりしなくちゃ抜け出せない。しかもそれは80メートル・・・意味わかる?」
「ひ・・ひぃぃいいいいいい~~~!なんで俺だけこうなんだよ~~~!」
(((ご愁傷様モモ(先輩))))
女王の機嫌を損ねたら即トイレットペーパー。モモタロスに課せられたあまりにも大きなペナルティーにウラたちは内心モモに同情した。
「さ、じゃあいくわよリンディン・ウィル・ポチ」
「だからポチじゃねえ~~~~~!」
・・・・・
麻帆良学園都市特別結婚式場
広大な敷地と規模をほこる麻帆良には、映画館や遊園地など様々な施設がある。
この結婚式場もその一つである。都市に住む教師たちの結婚式はもちろん、お金のない学生結婚の場合は学割まで聞くサービス満点の施設で、単なる披露宴以外にも、お見合い会場として利用される場合もある。
「フォフォフォ。この度はどうも、わざわざお越しいただいてすまんですのう」
学園長がお辞儀をする相手は今回のこのかのお見合い相手アーノルド・オクレール、その父レイジー・オクレールであった。
「トンデモアリマセーン!日本有数ノ学園都市ヲ見学デキテサイコーデース」
「私モコノカサントオアイデキルナラドコデモカマイマセーン!」
カタコトの日本語でさわやかな対応をするオクレールだったが内心は・・・
(分かってるよな、マイ・サン。相手はコレだけの都市を牛耳る学園長の孫、いずれは学校事業にも業務拡大を考えている我がオクレールコンツェルンのため意地でもお見合いを成功させなサーイ)
(分かってるよパパン。な~に、日本のリトルガールなんて皆金髪碧眼にはメロメロさ~。それに、今朝夢の中に出てきた神様がボクの望みを叶えるっていってたしね~)
と、いう企てがあったりする。
しかし、彼らはその後激しく、この縁談を後悔することになる・・・
ザアアア・・・・
そんな自分の悲劇的運命にも零れ落ちる砂にも気づかず、彼らは浮かれていた。
・・・・・・・
見合い会場前
純和風なお見合いを楽しみたい人のために用意された風流な日本庭園の門の前、黒服のガタイのいい男たちが立っていた。
そこに、その男達に話しかける帽子とヘッドホンをつけた少年が一人・・・
「ねえ、ここに、このかお姉ちゃんいるんでしょ? 通してよ」
「このか様のお友達の方ですか? 残念ながらここをお通しするわけには・・・「いいよね?」」
パチーン♪
指を鳴らす良太郎。
・・・・・
「どうかなせっちゃん?」
「お、お似合いですお嬢様。本当にお美しい・・・」
見合い用の着物に着替えたこのか、感想を求められた刹那は顔を真っ赤にしながらありのままの感想を言った。
「えへへ、ありがと♪」
そんな時であった。
ゾクッ!
(!! これは・・・)
言い知れぬ強い“抜き出しの力”の存在を感知する刹那。その気配には微塵の悪意も殺気のような鋭さもない。ただ、強いて言うならば、全くの穢れを知らない大きな力の塊、とでも言えばいいのか。
そんな力がコチラに近づいてきている。
「どないしたん、せっちゃん?」
「申し訳ありませんお嬢様。少し外の様子を見てきます」
そう言ってこのかのいる部屋を後にする刹那
「・・・変なの。は~あ、それにしても来てもうたな~。オクレールさんかあ、前のウチやったら結構なびいてたかもしれんけど・・・良太郎君のアホ・・そりゃ『行かないでください』とか言うんは期待せえへんかったけど、ウチの見合いなのになんでおじいちゃんに気ぃつかうんや・・・まあ、オクレールさんには悪いけど適当にやって帰ろ・・「ききっ!悪いがそう言うわけにもいかないぜ~」ヒャッ!」
独り言を呟いていたこのかの前に姿を現す西遊記の孫悟空を象ったイマジン=モンキーイマジンが姿を現す。
モンキーイマジンはこのかの口を塞ぎ、自身の要求を述べた。
「キキィ、俺はお前の今日の見合い相手にこの見合いの成功を契約されてな、悪いが二つ返事でOKしてくれねーかな? そうすりゃ即契約完了なんだわ」
(ん~!ん~~!)
口をふさがれ助けを呼ぶことが出来ないこのか。恐怖と共に、あることを思い出していた。
(あれ?そういえば前にもこんなんが・・・そうや、ワカちゃんが来た時や・・あん時は声が出せへんかったのに良太郎君が助けに来てくれたんやったなあ・・・流石に二回目期待するんわずうずうしいかな? でも・・ウチ・・)
ドゴーーーーーーン!
((!!))
そんな緊迫した状況を吹き飛ばす巨大な爆音!!
「い、今のっておじいちゃんたちがおるお見合い会場・・・?」
「何っ!? で、では俺の契約者が・・・!」
契約者の安否を心配し、慌てて爆発した場所に向かうモンキーイマジン。
このかも学園長を心配し、同じ方向に向かった。
・・・・・
爆音が鳴り響く少し前に時間が遡る。
学園長とアーノルド親子は既に会場で待ち、後はこのかの着替えが終わるのを待つばかりといった状況であった。
「ホホホ、すまんのう。このかの奴も相手がこんな素敵なイケメンじゃから着替えにも気合が入っとるんじゃよ」
「気にしないでくださーーーい。レディの着替えに時間が掛かるのは万国共通デース。」
孫の気持ちも知らず、呑気なことを言う学園長とアーノルド
♪~~~~♪~~~♪~
そんな彼らの耳にこの日本的な雰囲気のこの部屋には似つかわしくない音楽が流れる。
「? なんじゃこの局は?」
「ヒップホップですかね~?向こうから聞こえま~す」
そう言って音が聞こえる扉の向こうをあけるアーノルド。そこには美しい日本庭園が見えるはずだったが・・・
「「「なっ!?」」」
目の前で起きている事態に驚く三人!
なんと庭園内では良太郎を中心に、先ほどまで門の警備をしていた黒服たち6人が、一糸乱れぬ見事な動きでクライマックスでジャンプな曲にあわせ踊っていたのだ。
チャッ!
曲が終わり、踊りをやめると良太郎は自分達を見ている三人に・・いや、アーノルドの存在に気がついた。
「あっ、見~つけた♪」
「ワッツ? キミは一体?」
「りょ、良太郎! お主、こんなところで何やっとんじゃ!?」
「うん、そいつが僕のこのかお姉ちゃんを取るっていうから消しにきたんだ♪ いいよね? 答えは聞かないけど!」
「「「なっ!?」」」
笑顔でとんでもないことを言う良太郎に言葉を失う三人。
そして良太郎は、ベルトを装着し、今まで一度も押したことがない紫のボタンを押した!
「変身♪」
ピッ、
<GUN FORM>
カシャン
ファアアン
ガシャン!
紫のアーマーが展開。竜の形を模したデンカメンが変形し装着され、電王は新しい形態ガンフォームへと変身!
果たしてどうなるのか!?
・・・・・続く・・・・・
おまけ
【デンマギファイル】
リターナー・・・戦いに敗れたイマジンがその肉体を残したまま、あふれ出した暴走イメージによって変態した姿。体格が一回り大きくなり、本来巨大にならなければ保てない膨大なエネルギーが凝縮され、圧倒的な戦闘能力を誇る。
ギガンデスの突然変異らしいのだが、現段階では謎の老紳士ですらその詳しいことは分からず現在調査中。出現条件などはわかっていないが憤怒や嫉妬・強欲など七つの大罪からとった七タイプが存在するとされる。
その圧倒的なパワーは明らかに電王が対抗できるレベルを超えており、前回は不完全だったこともあり、なんとか倒せたが、現状通用する技は4フォームの中ではエクストリームスラッシュ0のみと言える。
本編では騙られなかったがアレだけのパワーをあの大きさで保つのは明らかに無理があり、恐らく、ある一定時間以上暴れていたら肉体が吹き飛び、自爆されていただろう。
現在、謎の老紳士はリターナーについて研究しており、もし彼が故意にリターナーを発生させる方法やリターナーに自我を持たせることができたら凄まじい脅威になると言える。
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