HOME  | 書架  | 

当サイトは「魔法先生ネギま!」関連の二次創作投稿サイトです。ネギま!以外の作品の二次創作も随時受け付け中!

書架

[]

第46話 対決!金髪の吸血鬼VS金色の天然グマ!! 投稿者:仮面ライダーマンティス 投稿日:06/30-18:18 No.2620  

「やべえ! 良太郎の奴、襲われてるぞ!」

ガタ!

コーヒーを飲んでくつろいでいる最中、モモタロスは良太郎の危機を察知する!

「イマジン!?」

「違え!けどなんかヤバそうだ!待ってろ良太郎~~~!」

シュウウン・・・

そう言ってデンライナーから飛び出し、良太郎の所へ飛んでいくモモタロス。
それに続き、アスナたちも外に出ようとする。

・・・・・

「フフ、そういえば貴様からは時々、妙な力を感じることがあったな。どんな味がするか少し楽しみだ・・・」

「ひゃあああ~~~」

チュウウウウウ~~

良太郎の首筋に牙を立て、血を吸い取るエヴァンジェリン。
貧血気味の上、何が起きたかわからないまま首を噛まれた良太郎は3秒で気絶してしまった!

チュウウ~~~

(フッ、情けない・・600年生きて、これほどあっけない男は初めてだ・・・で肝心の味は・・って、ウグ・・・)

容易に血を吸うことに成功したエヴァ、そこへ!

「待てーっ!」

朝感じた不信な魔力から桜通りの見回りをしていたネギが杖に乗って駆けつける!
だが、エヴァはそんなネギが来たことにも気づかず・・・

「おえええ~~~不味っ!なんだこの血は!?」

「えっ?」

良太郎の首筋から牙を離し、吸い上げた血を吐き出すエヴァンジェリン。その姿にネギは呆気にとられる。

「ウップ・・・ここまで不味い血、今まで飲んだことがないぞ!? 血の味の良し悪しを決める魔力などかけらも感じられない上に血自体が恐ろしく薄い(貧血のため)・・・そしてその貧相な旨味の代わりに口の中に広がる得たいの知れない負のエネルギー・・・ええい! 胸やけがする!!」

ポイッ!

エヴァンジェリンは飲み終えた空き缶を捨てるように良太郎を投げ捨てると、そこでようやくネギに気づいた。

「あ、あの~・・」

「って、いたのかぼーや!?」

「え、ええ。って、それより貴方は確かウチのクラスのエヴァンジェリンさん! まさか、あなたが!?」

「フッ、そうさ、私が噂の吸血鬼の正体・・・そして、かつて魔法界でその名を轟かせし最強の・・「てめー、良太郎に何しやがるーー!」
って今度はなんだ!?」

自慢げに自己紹介をしようとするエヴァを怒鳴りつけるのはM良太郎であった。

「俺、参上!」

「モモタロスさん!」

(なんだこいつ!? さっきまでと雰囲気がガラリと変わったぞ? それにやつを取り巻くあの赤いエネルギーは?)

先ほどまでとは別人の好戦的な瞳。そして彼女も始めてみる魔力とも気ともことなる生命エネルギー。
それらを含めた良太郎の豹変振りにエヴァンジェリンは驚く。

「クンクン・・・イマジンじゃねえみてえだが・・血の匂いがしやがるな? 一体ナニモンだてめー!」

「・・・それはこっちのセリフだ野上良太郎。ただの運のないボンクラ男だと思ったが・・貴様一体何者だ?」

「あん?・・ったく、また可愛げのないガキんちょシリーズか?テメー、年上にむかって何だその態度は!」

フィリア、リュウタロスに続く、生意気そうな年下に怒りを覚えるモモタロス。しかし、その判断は間違っていた。

「クッ! 私をガキ扱いするとは・・・いい度胸だな小僧!」

ピシッ!

「!! な、何だ、コリャ!?」

「か、体が動かない!?」

エヴァンジェリンが指をくいっと曲げると、ネギとM良太郎の体は突然自由を失った。

「こ・・・これは糸・・?」

スタッ

「ほう、さすがに優等生だけあるなネギ先生。その通り、人形使いの技術の応用だ。これで貴様らは身動き一つとれんぞ?」

立ったまま身動きが取れない二人を電柱の上に登ってまさに見下すエヴァンジェリン、だが、そんな彼女が逆に驚かせられることになる。

「グギギ・・・なめんじゃねーぞ、このガキィ~~~!でやあああ!!」

ブチブチブチ!

「なっ!?」

自分の体を拘束する目に見えない糸をなんと力まかせに引きちぎるM良太郎。ちなみにこの糸は、並みの戦士タイプの使い手ではまず力で引きちぎれるものではない。

「ハッ、どうだガキ! こんなもん俺には通用しねえ! ちょっと、お仕置きしてやっからそこから降りてきやがれ!」

「チッ、本当に訳の分からん奴だ・・・ならこれでどうだ!」

ビッ!

「ヌオッ!」

「えっ?」

再び、M良太郎の体を拘束する糸! しかし、今度は、先ほどよりもより強力な力で拘束する・・・

「ググ・・・、今度は、切れねえ!」

「フハハハハ!当然だ馬鹿者! 今の状態の私が使える可能な限りの糸の全てを貴様を巻きつけたのだからな! 最早馬鹿力でどうにかなるようなレベルではない!」

高笑いをしながら勝ち誇るエヴァ

「モモタロスさん! ・・クッ、エヴァンジェリンさん! 一体なんでこんなことをするんですか!? クラスメイトであるまき絵さんや良太郎さんを襲って・・目的はなんですか?」

「フフ・・・教えてやろうか? それはお前を倒すための準備をするためさネギ先生・・・いや、サウザントマスター、ナギ・スプリングフィールドの息子、ネギ・スプリングフィールド!」

「「なっ!」」

エヴァの意外な目的の驚くネギとM良太郎

「フフ・・・驚いてるようだな。なぜ、私が貴様の父親のことを知っているか教えてやろう。私の目的は奴の息子である貴様の血を吸い取り、この忌々しい呪いを解くことだ!その名も『登校地獄』を!」

「と、登校地獄?」

聞きなれない呪いに首を傾けるネギ、そんなネギに対し、万感の思いが募ったのか、涙目になりながら語った。

「そうだ! 貴様の親父がその強大な魔力でかけた永遠に登校し続けなければならないという意味不明かつバカげた呪いだ! このアホな呪いのせいで私はもう15年もの間、ノー天気なクラスのバカどもとお勉強させられてんだよ! 貴様の親父のせいでな!」

ナギへの怒りを息子であるネギにぶつけ、怒鳴り散らすエヴァ。

「そ、そんなあ~、僕に言われても・・・」

「ププッ、だっせ~」

そんなエヴァを見て、M良太郎は鼻で笑う。体の自由を奪われた彼のせめてもの抵抗なのだが、火に油を注いでしまった。

「何か言ったか小僧?」

ギリ!

「イテテテテテテ!」

エヴァは指を動かし、M良太郎の拘束を強める。
どうやら彼=モモタロスは女性にとことんいじめられる星の元に生まれてきたらしい・・・

「フハハハハ! 泣き喚け小僧!」

「あっ!」
「あっ、ばかっ!」

勝ち誇ったエヴァンジェリンもらした言葉にハッとなるネギとM良太郎。
そう。知らなくて当然だが、彼女は今、最悪のNGワードを言ってしまった!

シュウウン・・・

「泣けるでえ!!」

ブチブチブチ!

「なっ!!??」
「やっぱり・・・」

M良太郎の身動きを完全に止めていた糸を簡単に引きちぎるK良太郎!

「誰や今泣く言うたんわ!?」

先ほどまで食堂車で爆睡していたキンタロスには、もちろん状況はつかめていない。
ただ、エヴァの言った『泣き喚く』という言葉に反応し、本能のまま憑依したのだった!

「ええい、次から次へと・・貴様一体なんなんだ!?」

「俺か? 俺の強さは泣けるでえ~」

「ハッ?貴様何を言ってるんだ!“真祖”の吸血鬼たる私をバカにしてるのか!?」

「“死にそう”?・・・そうかお前、うっかりそんな高いところに登ったのはええが、怖くて降りられなくて死にそうなんやな!? それで泣き喚いとったんか・・・」

「死にそうじゃなくて真祖だボケ! つーか人の話を聞けーーーっ!!」

成立しない会話のキャッチボールにすっかりペースを乱されるエヴァ。別にK良太郎は悪気があるわけでも、耳が遠いわけでも、ついでに寝ぼけているわけでもない。
ただ、ちょっぴり天然で、思い込んだらどこまでもという困った性格なだけなのだ。
そんな天然グマとエヴァの相性は最悪だった・・・。最早エヴァの言葉を聴かず、K良太郎は電柱に近づくと、

「フン!」

ドゴッ!
バキバキバキ・・・

「なっ!」

張り手を打ち込み電柱をたたき折った! そのあまりにも常識外れた力と行動に、一瞬エヴァは飛ぶのを忘れ、柱ごと落ちそうになる。

「あわわ・・・」

ガシッ!

「なっ!?」

「もう大丈夫や」

落ちそうになったエヴァをお姫様抱っこでキャッチするK良太郎は優しく微笑みかける。

「く・・・ええい、馴れ馴れしいわ! はなせ小僧!」

小ばかにされた気分になりK良太郎の腕の中で必死に暴れるエヴァだが、鋼の肉体をもつK良太郎はピクリともしなかった。

「ハハハッ、よっぽど助かって安心したんやな? よしよし」

ブチッ!

あくまで子ども扱いするK良太郎の対応に、ついにエヴァの堪忍袋の緒が切れた。

「ええい! もう許さん! 吐き気がするほど不味いがこうなったら貴様の血、一滴残らず吸い尽くして殺してやる!」

カプッ!

そう叫び、再びK良太郎の首筋に牙をたてるエヴァだが・・

カキン!

(?)

「ぎゃあ~~~!歯が・・歯が欠けた~~~!?」

そう、突撃すればコンクリートの壁すら打ち砕くK良太郎の鋼鉄の体に歯など通るはずもない・・・。逆に満月の時のみ現れるその鋭い牙は欠けてしまったのであった。

「うぐ・・・なんで私がこんな目に・・」

糸は効かない、人の話も聞かない、血も吸えない・・・
600年生きてこれほど訳の分からない目にあったことのないエヴァンジェリンは思わず涙目になる。そしてお約束というべきか、その泣きたい原因を作ったK良太郎は懐から紙を出す。

「涙はこれで拭いとき。鼻もかめるで?」

「うぐ・・・誰が泣くか馬鹿者~~~!」

そう叫んでK良太郎から降りるとエヴァは走り出す。そこにお迎えが来た。―――空から。

ヒュウウウン!

「なっ!あなたは!?」

空からやってきたもう一人の少女に驚くネギ。なぜなら彼女もまたネギのクラスの生徒、絡操茶々丸なのである。

「いったん引くぞ茶々丸!」

シュタ、

茶々丸の飛び乗り空へと飛ぶエヴァ

「フ、フン!どうも今日は日が悪いようだから宣戦布告だけにしておいてやる! ぼーや! そういうわけだから、私と私のパートナーである茶々丸は、貴様の血を吸うために付け狙わせてもらうからな! せいぜい次の満月までに貴様も従者を見つけるなり何なりして対策を立てるのだな! ハハハハハ!」

「そ、そんなあ~~・・」

ネギはそのあまりにも理不尽な態度に怯える。察するに力は大きく封印されているようだが、それでも先ほどの糸といい、空まで飛べるパートナーといい、正直、勝てる気がしなかった。

「そして・・・野上良太郎! ここまで私を怒らせた男は貴様で二人目だ・・・殺す! 私がぼーやの血を吸い、復活した暁には絶~~~対! 貴様を殺すからな!!! 覚悟しとけ!」

ネギに対して以上に敵意を剥き出しにするエヴァ。

「?? なんやよう分からんが・・・気ぃつけて帰るんやで~」

だがそんな彼女の敵意など分からないK良太郎は空を飛ぶ二人にまたな~と手を振る。

「く~、帰るぞ茶々丸!」

「ハイ、マスター」

最後の最後まで話がかみ合わず退散したエヴァであった。

「ネギ~、良太郎~!」

「アスナさん!」

それから数分後、ネギの動きを拘束する糸をすべて千切ったところにアスナたちがかけつけた。

「って、良太郎が吸血鬼に襲われてるって聞いてきたのになんでネギがいんの? てゆーか吸血鬼は??」

「それがその・・・」

なぜかその場に居るネギや倒れた電柱など状況がさっぱりつかめず説明をもとめるアスナだったが、ネギはどこから説明したらいいものか困っている。
というか、正直ネギにも、状況がつかみきれていない・・・

シュウウン・・・

「あれ? 僕どうして・・?」

そこでようやく目を覚ます良太郎。これでますます状況の把握が困難になったかと思われたところで、二人の男性がやってきた。

「それは僕たちが説明しよう・・・。」

「高畑先生!」
「おじいちゃん!」

「ほっほ・・また派手にやらかしたのう・・・良太郎、この電柱の弁償代も借金に付け加えておくぞい?」

「ええっ!?」

突然現れた学園長と高畑。
どうやら彼らはすべての事情に精通しているらしい。一同は場所を変えて話しを聴くことにした。

・・・・・

デンライナー食堂車

「は~い、コーヒーお待ちどうさまで~す♪」

「ああ、ありがとう」

「あなたがここのオーナーさんじゃな? いつも孫たちが世話になってます」

「いえいえ」

ナオミが出したコーヒーを受け取る高畑と、オーナーに挨拶をする学園長。
二人がここに来るのは初めてのことであるが、タローズを含めて全員に事情を話すにはここが一番と判断したのだ。

「それにしても・・・うーむ、お主らが良太郎の仲間のイマジンじゃな?」

「おうよ! しっかし、じいさん・・・改めて聞くけど、アンタほんとに人間か?」
「ありえないよね~、骨格的に。このかちゃんが似なくてよかったよ~」
「わあ、こないだのおじいちゃん? また走る?」

ブチッ!

「良太郎・・・借金10パーセントアップ・・・おじいちゃんの心は傷ついた・・」

「ええっ!?」

次々と借金が上乗せされてゆく良太郎。今日一日、大半を気絶して過ごしていたというのに、知らぬ間にドンドンひどい目にあってゆく、彼の財布の中身と血液はすでに風前の灯であった・・・。

「アハハ。学園長、いくら良太郎君が気に入ったからってそんなにいじめちゃかわいそうですよ。 それより、本題入ろうか。まずは・・・」

そう言って高畑はナオミのだしたマズイコーヒーを飲みつつ、簡単にエヴァの正体、ネギを狙っている理由、彼女の呪いなどについて話した。

・・・・・・

「と、まあ、そんなところかな?」

すべての話しが終わるまで10分もかからなかった

「ふ~ん、なるほどね~。ま・確かに15年も同じ釣堀にいたらいやになるよね~」

「でも、そんなすごい人やっつけちゃうなんて、ネギちゃんのお父さんってすごいんですね~」

「うむ。少々呪いの内容はアレでござるがな・・・」

話しを聞き終わり、それぞれ思い思いの感想を述べる一同。理解度に差はあるものの、大体の事情は全員把握したようである。

「ようするにエヴァはネギをお父さんの代わりに血を吸って、元の悪の大ボスに戻るのが目的なんですか、高畑先生?」

「まあ、そんなところだね。僕たちもネギ君が来ると決定したとき、ある程度こうなることは予想していたんだが・・・」

「おい! ちょいまてメガネ! するってーとなんだ? お前らはネギがアブねえってのは分かっててずっとほっといてたってわけか?」

「ちょ、ちょっとバカモモ!やめなさい!」

高畑の一言に聞き捨てならないと立ち上がるモモタロス、ハナの制止も聞かず、そのまま高畑に近づき問い詰める。

「どうなんだオイ? 人のかわいい弟分が危ない目に合うって言うのにほっといたのか? 返答次第じゃただじゃおかねーぞコラ!」

そう言って高畑を問い詰めるモモタロス、魔法使いだろうと英雄の息子だろうと彼にとってはネギはかわいい弟分にして身近にいる数少ないかわいげのある子供でしかない。
そんな子供のピンチをほったらかしにしたという事実をほっとけないでいたのだ。

「モモタロス・・・」

基本的には高畑の味方であるアスナだが、やはりそこらへんはモモタロスとある程度同意権らしく、止めようとはしつつも高畑の答えを聴きたそうにしていた。

「・・・・すまない。だが、言い訳をさせてもらうなら。今まで放っておいたのには二つ理由があるんだ。ひとつはさっきいった呪いの力と学園結界、これがある限り原則エヴァは力をほとんど出せないし、動ける事件や場所に大きな制約がある。満月の前後数日でもなければほぼ普通の女の子と変わらないということ、もう一つは彼女が基本的に無駄な争いを好まないこと、特に女子供は絶対殺さない・・・まあ、要するに根はそれほど悪い奴じゃないということかな?」

「うん! それについては俺も同意見やで高畑さん!」

「キンタロス・・・起きてたんだ?」

珍しく眠らずに話しを聞いていたキンタロスにちょっとびっくりする良太郎。彼は続けて語った。

「聞けばあの娘、人間からその吸血鬼になって長いこと生きとるんやろ? そらあ、人に言えん苦労もしとるやろうし、悪いことをやってたかもしれんが俺にはわかる! あの娘はそんなに悪い娘やない! 俺はそう信じるで!」

「けっ!寝ぼけたこと言ってんじゃねーぞこのタコグマ! さっきあのガキ、良太郎をぶっ殺すとかもいってたぞ!」

「ええっ!?」

初耳の爆弾発言にびっくりする良太郎!

「せ、せやけどエヴァちゃんって女子供は殺されへんのやろ?・・・子供って何歳くらい??」

「う~む・・昔の日本では14,5あたりでもう大人扱いじゃったからな~」

「エヴァの価値観で考えると・・・ギリギリアウト・・・かな?」

「そんな~~~!」

別に人事だと思ってネギの話を聞いていたわけではないが、それでもターゲットに自分も含まれていることに良太郎は嘆く。というか、状況的にネギよりしんどい・・・

「アンタ・・・また一人命狙う奴ができたわね・・・」

「アハハ・・・モテモテやな良太郎君は・・・」

そんな彼を同情と哀れみの目で見るアスナたち。

「だだだだ大丈夫じゃよ良太郎~、ほ、ほれ、さっきも言ったが根は悪い奴じゃないし、お主の電王の力なら完全復活しなければ多分大丈夫じゃて・・」

「うう・・・」

「・・・まあ、話しをまとめるとネギ君、今回の件、僕らは基本的に口も手も出さないつもりだ。無論、釘は刺しておくつもりだが、エヴァがまともに聞くとも思えないしね・・・」

「タカミチ・・・・」

少し良太郎の問題に脱線しかけた話しをネギに戻す高畑。彼は真剣なまなざしでネギを見つめ言った。

「ネギ君、君の修行地にここが決まったのは分かってると思うが決して偶然なんかじゃない。今回のことも、今まで君が見続けてきたイマジンと良太郎君との戦いにも、君は深く関わる運命にあった。無論、その運命を避けるのも受け入れるのも君次第・・・避けたところで誰も責めないし、君が必要とするなら僕が君を守ろう・・・」

「・・・・・」

ネギは高畑の言葉をかみ締めるようにしっかりと聞く。その顔には、言葉への理解があると同時に、やはり恐れや不安もあった。

「まあ、次の満月まで時間もある。ゆっくり考えなさい。それじゃあ、僕と学園長はお暇しようか・・」

そう言って食堂車からおりる準備をする高畑と学園長。ちなみに今回のもう一人のターゲット、良太郎に対しては・・・

「まあ、色々大変だろうけど・・・がんばって」

と、実に簡単なアドバイスを残したという・・・・

・・・・・・

「しかし良いのかタカミチ? ネギ君はお主にとって大事な友人なんじゃろ? ワシの意向に無理して付き合うことはないぞい?」

「ハハッ、大丈夫ですよ。今はまだ、不安や怯えがありますけど、きっと彼なら・・・」

デンライナーを降りた帰り道、みんなには伏せていた本心を語る高畑、さっきは少々キツメのことを言ったがその本心はネギへの期待に満ちていた。

「うむ、じゃが良太郎はどうじゃ? ぶっちゃけかなりビビっとったぞ?」

「それならもっと心配ないですよ。あの子は昔から望まない寄り道をする子でしたけど、最後には必ず問題を片付けてちゃんと目的地にたどりつきますしね。ふふ、きっと彼に関われば彼女もいい方向に進むでしょうしね」

「ほう、その彼女とは、エヴァのことか? それともアスナ君のことか?」

「両方・・・ですよ。」

そう言って、高畑は今から少し前、初めてアックスフォームで戦ったときのことを思い出した。
あの時から彼の胸には良太郎への期待が消えたことがない。エヴァンジェリンやアスナ、それに刹那やネギなど、彼の周りには暗い“過去”を持つ者が多い。
深い闇の中にあり、いっそ消してしまえばいいとすら思うときがある。
だが、彼なら・・・彼と彼を支えるちょっと無礼者だが優しい心を持つ彼らなら、そんな暗い過去に希望と言う名の明かりをともしてくれる。自分には出来なかったことをしてくれると。

だからあえてこの程度のことで心配などしないのだ。

・・・・・続く・・・・・

おまけ
【血の代償?】

ネギたちへの宣戦布告を終え、帰宅したエヴァと茶々丸

「大丈夫ですかマスター?」

「うぐ・・、ああ」

しかしその体調は優れないようである。

「くそっ、どうなっている? 今日は満月で、しかも何人かの人間の血を吸って大分魔力も回復したというのに、なんだか普段より体調が悪いぞ・・・」

手足が鉛のように感じる倦怠感とまるでつまらない式典などから帰った後のような心地悪い疲労感に包まれるエヴァ。

「くそっ・・全部あの野上良太郎の血を飲んでからだ・・ああ、ダルっ・・」

足を半分引きずりながらリビングに移動しようとするエヴァだったがこれだけではすまない・・・

ガッ!
ビターーン!

「ヘブゥ!」

「マスター!」

普段ならなんでもない家のわずかな溝のつますき転ぶエヴァ、慌てて駆け寄る茶々丸

「大丈夫ですか?」

「あ、ああ、ったく今日は厄日だ! もういい、とっとと留守録した“今日の囲碁”でも見て寝るぞ!」

そう言ってTVをつけようとするエヴァに茶々丸は言いにくそうに言った。

「申し訳ありませんマスター、残念ですが録画は出来てないようで・・・」

「何~!なぜだ?お前が録画予約に失敗するなどありえんだろ!」

「それが、どうも留守中の8時ごろに付近で停電が起きたらしく、そのせいでビデオの時計が消えてしまったのが原因のようです」

「なっ・・・」

楽しみにしていた番組を見そびれガックリするエヴァ。その停電の原因が先ほどのK良太郎による電柱破壊によるものなのは言うまでもない・・・

「の~が~み~~~~! ずぅぇえったい(絶対)殺す!! この最強無敵の悪の魔法使いが思いつく限りの最大の苦しみをあたえて殺す!!!」

こうして彼女の良太郎への憎悪は増すばかりであった・・・

仮面ライダーDEN-O-MAGI 第47話 新たなトラブル発生!・・・カモ?

  HOME  | 書架top  | 

Copyright (C) 2006 投稿図書, All rights reserved.