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第48話 冴え渡る推理、名探偵ウラタロス! 投稿者:仮面ライダーマンティス 投稿日:07/04-23:24 No.2636
「・・・って言うのが、オレッちと兄貴の出会いなんでさー♪」
ネギとの出会いを良太郎たちに話すカモ、ネギも懐かしい思い出に浸りながら話を聞いていた。
「へ~~~漢ねえ」
「ところで兄貴、見たところちっとも進んでねーみてーだなパートナー選び? まあ、オレッちが来たからにはスグ運命的なパートナーを探し出してやるぜ!」
と、やる気まんまんのカモ。そう、彼の目的はこれであったのだ。
「運命的って・・・そんな都合よく現れるの?」
「まーかせてください姐さん! しかもオレッちの見たところ、ずばり! 兄貴の運命的なパートナーは兄貴のクラスの中にいますぜ!」
「ええっ!?」
自称オコジョ妖精の特殊能力からそう断言するカモ、その言葉にはネギは勿論、アスナも動揺した。
「ささっ、そうと決まれば早速パートナーを探しましょう! な~に、全部オレッちに任せておけばバッチリでさあ」
「えっ?今からさがすん?」
「流石にもう遅いのでは・・・?」
明らかに何かに焦っているカモに疑問をいだくこのかと刹那。特に刹那はその焦りの理由は分からないがどこか妙な雰囲気のカモに若干不信感を持っていた。
そしてネギはそんなカモの違和感には気付かず、何か決心したような仕草でこう言った。
「ごめん、カモ君。すごくうれしいけど・・・パートナー探しは、今の問題が片付いたらでいいかな?」
「えっ?」
「ネギ・・・・」
決意を感じさせる眼差しに一瞬ドキリとするアスナと間抜けな声を出すカモ。
「な、何言ってるんすか兄貴!? 問題が起きたからこそパートナーが必要なんじゃねーっすか! 危険なことなら尚更!」
「違うよカモ君・・・もし、僕の近くにパートナーがいるなら・・その人が僕にとって運命の人なら、こんなことで巻き込みたくない。ピンチのときに頼りにするだけなんてそれじゃ、結局戦いの道具でしかないよ。僕は・・・僕を励ましてくれたクラスの皆にとって恥ずかしくない先生になりたい! ・・・その中にパートナーがいるなら尚更」
強い決意を感じる一同。彼らの目の前には昨日からついさっきまでのナーバスになっていた少年とは別人のたくましい顔になったネギがいた。
「でもネギ君、大丈夫なん?」
「ハイ! 確かにまだ怖いですけど・・・でも、僕も良太郎さんみたいに強い人に・・・“やらなきゃいけないと思ったことをやる人”になりたいんです! 良太郎さんみたいに命を狙われても全然平気な人に!」
ネギは今まで間近で戦いを見てきた。
無論、本気で手伝いたいという思いがあったが、今まではどこか少し彼の中では“手伝い”という線引きがあった。それが今、自らに降りかかった最初の戦いに対し、勇気をくれた!
「イヤ・・・ちょっとくらいは危機感もった方がええと思うで? 良太郎君は単にぬけてるというか、変に肝がすわっとるだけやし・・・」
目に炎が灯っているネギにささやかなツッコミをいれるこのか、アスナと刹那もウンウンと頷き、良太郎は困った顔をしている。
一方、カモはよく事態が分からないが、現時点でネギがパートナー探しを後回しにしようとしている事実だけを感じ取り焦っていた。
(マズイ・・・このまま追手や手紙が来るまでになんとかパートナー契約を行った使い魔としての既成事実を残さねえと・・・)
愛らしい見た目の裏側で、カモはなにやら色々と腹黒い計算をし、ネギたちに聞こえない声で一人ブツブツと呟いていた。
「あの・・・? キミ大丈夫?」
そして、追い詰められたカモの思考・・・怒りの矛先は、自分よりはるかに大きいにもかかわらず、小動物のようなオーラを放つ良太郎へと向けられた。
「ダラー!何気安くタメ口聞いてんだあ!」
ドカーン!
「ひゃああ~~」
バタッ
自分より弱いものには強いカモのオコジョキックが炸裂! 何故か吹き飛ばされ、気を失う良太郎・・・
「良太郎君っ!?」
「フェ・・フェレットにも負けた・・・」
「アホかーーっ!」
イタチにすら敗北する史上最弱のヒーロー=良太郎。
彼のその情けない姿を見て、このかは心配し、刹那はこの男に少なからず憧れを抱いている自分が少しいやになり、そして、アスナは毎度の事ながらツッコミを入れた・・・
「うきゅ~~~」
転んだ拍子に頭をぶつけ、良太郎は気を失う。今回のことで分かったこと。
それは彼の戦闘能力はカモと同じく某白いイタチを倒したガ○バなネズミ以下であるということだけである・・
「ちょ、ちょっとカモ君!? 今のはひどいよ1」
「へっ! オレッちは漢と認めた奴以外の野郎にゃ容赦しねーんでさあ! 大体なんすかあのもやしは?」
そう言ってカモは気を失った良太郎をバカにしたような目で見る。彼の中のある種のシックスセンスが目の前にいる良太郎を大して役に立たないもやしと断定したのだが、その考えが間違いだったとスグ気がつくことになる。
シュウウン・・・
「誰がもやしだこの野郎! テメー、からあげにすんぞ!」
ガッ!
「モモタロスさん!」
(やっぱり出た・・・)
「ひぎゃあああ!」
突然目を覚まして自分の事をわしづかみにする豹変した良太郎にビビるカモ! 先程までの草食動物のような雰囲気は吹き飛び、本気で自分を食べそうな野獣のような瞳に激しくビビった・・・
「ど・どどどなたですか兄貴!?」
「どなたって・・・一応良太郎さんだけど・・・」
「テメー、ネギのツレだからって大目に見てりゃあ偉そうにしやがって、おしおきがひつ<もお!イタチさんに乱暴したらダメだよ!>・・・“シュウウウン・・・”わあ!かわいい~!」
そう言って強引に入れ替わったのは無類の動物好き、リュウタロスであった。
「それそれそれそれ~~♪」
コチョコチョコチョ・・・
「ひゃひゃひゃあ! お、お主ナイステクニックじゃの・・じゃなくて、なんなんすか~~」
いつも良太郎の30分前に活躍する赤い獣拳使いの青年のようなナイステクニックでカモのお腹をさすり、気持ちよくさせるR良太郎
「えへへ~、あっ! このかお姉ちゃんも!」
ヒシッ
「ひゃっ!良・・リュウ君!?」
「お嬢様!?」
R良太郎はこのかが近くにいることに気付くと直ぐに抱きついた。
「お、お嬢様からは~な~れ~ろ~」
R良太郎をなんとかひっぺがえそうとする刹那だが、イマジンがとりついた良太郎の力は強く、微動だにしない。
「あ、あんなぁ、リュウ君。実は今ちょっと立て込んでるから、こういうんはまた今度にしてくれへんかな。リュウ君はええ子やからわかってくれるね?」
「えっ・・・、う~ん、わかった!じゃあ、今度ね~」
シュウウン・・・
「ふう。全く、リュウタにも困ったもんだよね」
「アンタもよ、ウラタロス!」
メシッ!
リュウタロスが離れた後でもこのかに抱きついたままのU良太郎の顔面に蹴りを入れるアスナ
「あたたた・・・」
「ったく次から次へと・・・なんなのよあんたたち?」
いつにもまして好き勝手に出てくるタローズにアスナは怒りを通り越して呆れてしまう。普段ならこんなことハナが許さないのだが
ファアン!
ガチャ、
「ゴメンアスナちゃん! ちょっとの間でいいから避難させて!」
「やっほ♪」
「ハナさんにナオミさん!」
(な、なんだよ次から次へと?)
そこへ部屋のトイレのドアからハナとナオミがこっちの方へとやってきた。
性格がコロコロ入れ替わる男になぜか突然トイレのドアから現れた女性。それと彼女達が出てくるとき一瞬見えた扉の向こうの砂漠と列車。
魔法世界についての知識が豊富なカモでも、この場で起きた数々の出来事には驚いた。
「いやさ~、今日はホラ、あのイマジンが落としていった下着とかアスナちゃんのブラとか衝撃映像が満載だったでしょ? それでワカちゃんが食堂車を血の海にしたってわけなんですよ~~」
・・・・・
そのころ食堂車
ダクダクダクダク・・・
「うう・・・、なんでこの学校の中はこう刺激的なものが多いのでごじゃりゅ~・・・」
「ぐごおおおお~~~」
食堂車では床を水浸し―“血浸し”にし、尚鼻血を出し続けるワカマルスとそう言った異変に全く気付かないまま爆睡するキンタロスだけが残されていた。
・・・・・
「オーナーが清掃員を呼んでくれてるんだけど、明日の昼頃まではどこかで時間を潰してくれって・・・悪いんだけど今晩泊めてもらえないかな?」
「え、ええいいですけど?」
「いやいや、ワカちゃんもアレだけど良太郎が脱げたアスナちゃんを凝視したのも問題だよね?」
<ウ、ウラタロス!?>
「凝視?」
U良太郎の放った余計な一言にアスナはギロリと睨みを聞かせる。
「確かにそうですよね~?見てたのは2,3秒でしたけど視線はしっかり。良太郎ちゃんも男の子なんですね~♪」
そしてさらに追い討ちをかけるナオミ
「アンタね~」
「フ~ン・・・良太郎君、ムッツリやったんかぁ~」
「良太郎さん・・・」
<わわっ!誤解だよ~~~!>
睨みつけるアスナに、じと~とした視線をぶつけるこのか、刹那にいたっては軽蔑の眼差し的なものをぶつけていた。
なんだかんだいって良太郎もお年頃、咄嗟の出来事の上、相手が意中の少女、ソレくらいは許されそうなものだが・・・
彼女達のその視線はその後しばらく続いたという・・・
「ほな、ウチは予備の布団とってくるえ。なんか秘密のお泊り会みたいでワクワクするな~♪ せっちゃんも一緒にやらへん?」
「えっ!?い、いやその・・・」
「ホントにワクワクするね~♪」
「ってアンタらはアッチでしょ!」
ノリノリのこのかの申し出に顔を真っ赤にする刹那と邪念100パーセントでドサクサ紛れに一緒に参加しようとするU良太郎、そしてそれを牽制するアスナ。
(まじい・・・なんだか良くわからねえけど一国も早く行動をおこさにゃ・・・)
(・・・・なるほど)
すっかりパートナーの話は忘れられていた中、カモは一人(一匹)焦りを感じていた。そんな妙な様子の彼をU良太郎は何かに気付いたように見つめていたのであった。
ちなみにその夜
「う~ん、ネギ君ってかわいい~」
「わわっ! ナオミさん!?」
ネギとともにロフトのスペースで眠るナオミ。ネギは顔を真っ赤にしていたが、『これでゆっくり一人で寝れる』とあっさりアスナに引き渡されてしまったのであった。
「ん~~、こらあ! バカモモ~」
「ありゃ、ハナさん夢の中でもモモちゃんしばいとるんか」
・・・・・
翌日・午前8時
「えっ? 良太郎、午後の授業は休むの?」
「うん。早くあのイマジンの契約者何とかしないとね」
昼休み、良太郎は、ハナと共に昨日取り逃がしたダックイマジンの捜索のため午後の授業は休むと言い出した。
「あや~、大変やな正義の味方も、モモちゃんでも分からへんの?」
「ああ。あの変態アヒルの奴なかなか尻尾をださねえし、それにそいつの契約者も妙なんだよな~。なんかスゲー近くにいる気がすんだけど、イマジンが憑いた人間のニオイがしねーっつーか、俺の鼻おかしくなっちまったか?」
よもや人間以外に憑いているとは気付かないモモタロスは初めてのニオイに流石に困惑していた。
「私もご一緒しましょうか? お二人で闇雲に探すには大変かと」
「大丈夫だよ刹那さん。まだ確証はないけど、ウラタロスに考えがあるんだって」
シュウウウン・・・
「そういうこと。『魚心あれば水心』僕に釣れない“もの”はないよ」
自信満々のU良太郎に信頼を寄せる良太郎。
普段はウソしかつかないスケベ亀だが、彼が考えがあるというときは必ず何かしてくれるという確かな信頼があった。
「へぇ~、要するにエロイマジンにはエロイマジンで対抗ってわけね?」
・・・というのも確かにあったりする・・・
「それでさ、アスナちゃんと刹那ちゃんにちょっと頼みたいことがあるんだけど」
「?」
「何よ?」
そう言ってU遼太郎はネギたちに聞こえないようにごにょごにょと二人にあることを頼み、ハナと共に出かけたのだった。
(よっしゃ! あの良太郎とかいう訳のわからねえ男がいねー間にとっとと行動に移るべ!)
なにかと邪魔になりそうな良太郎が消え、行動に出ようとするカモであった。
・・・・・
5分後・女子寮内中等部2年生の部屋
「それでこれが昨日までの地図と怪物の目撃された場所です。これでいいですか先輩?」
あの後、U良太郎は“あるもの”を取りに行くために2年生の部屋へと赴いていた。その部屋には登校の準備を整えていた少女がおり、彼女は前もって準備しておいたのだろうメモ書きが施された地図をU良太郎に渡す。
「フフ、ありがと秀美ちゃん♪ お礼は今度ゆっくりと」
「あ~ん、先輩にそう言われて秀美うれしい~~♪」
そう言って舞い上がる少女。
彼女の名前は相川秀美。和美の所属する報道部の2年生にして数いるウラタロスの彼女の一人でもある。
「やっぱり持つべきものは釣り上げた魚たちだよね~、さてと・・・やっぱり」
秀美から貰った地図をざっと見て肯くU良太郎。この地図のおかげで彼の中の推測は核心へと変わったのだ。
「何か分かったの、ウラ?」
「うん。ハナさん、見てみな。そもそも今回、魔法先生が何人も動いていて大して早く飛べるわけでもないあのイマジンを見つけられなかったのはホラ、こことココみたいにかなり距離が離れているのにほとんど同時刻に下着が盗まれてたり、こことここ見たいにやっぱり離れた場所で怪物の目撃例と下着ドロが出たところがあって、さも瞬間移動でもしたみたいに見えたからだよ」
地図についてあるメモも見ながら一つ一つを確認するU良太郎。彼の言うとおり、その発生分布はランダムかつところどころありえない時間で犯行が行われている。
「けど、瞬間移動なんてできる奴が昨日の先輩との戦いでわざわざ飛んで逃げる?」
「確かに・・・!! じゃあまさか同時に二体のイマジンが!?}
「フフ、50点かな? まぁ、少なくとも二種類の泥棒がいるのは確かだね。ホラ見て、こっちは干してあるうち、女性ものの下着だけをとってるのにここは干してある物を全部って具合にね。 それで、そういったの別にマジックでなぞると・・・」
そう言って赤いマジックで節操なく下着を盗んだりするほうを、青いマジックで女性のものだけを選んで盗むものを線でつなぐと、ある特徴が地図に現れた。
「赤い方は特定の圏内をこの倉庫みたいなところを中心に中心に円状に動いてるわね・・・青い方は・・・ってこれって!?」
青いラインを見てハッとなるハナ、U良太郎はニヤっと笑って説明に入った。
「気付いた? 青いラインはまっすぐこの女子寮に向かってきてその過程にあった下着を盗んでる。つまり・・・」
「コッチのラインはイマジンじゃなくてあの・・・」
「エロイタチ君ってことだね。なんか初めて見た時から僕と似た匂いを感じたんだよね」
「分かってたの!? じゃあなんでわざわざこんな・・・!」
「大丈夫。僕らがいるとあのイマジンもなかなか手を出しづらいだろうし、それより万一の時のためにあのイマジンの寝床を確認しときたいしね?」
全てを見透かしたような言動のU良太郎はハナを連れて地図上で言う赤いラインの中心点へと向かったのだった。
・・・・・・
数時間後・女子寮
パアアアアーーー
「ネギ先生・・・・」
眩い魔法光に包まれ、うつろのな瞳でネギを見つめるのどか。
「よっしゃあ! ささっ、ネギの兄貴! このお嬢ちゃんにキスすれば晴れて契約完了っす!」
「はううう~、どーゆうことカモ君!? パートナーはまだいいって言ったのに・・・」
「なに、悠長なこといってるんすか? 若いうちは色々な経験を積んだほうがいいんすよ! 大体お試しなんすからもっと気軽に・・「子供に何やらせてんのよ、このエロオコジョ!!」ムギョ1?」
バフン!
そこへアスナと刹那が現れた。アスナがカモを潰すと魔方陣が消え、のどかは気を失っていた。
「アスナさん!?これは一体・・・?」
「え、ええと兄貴、これはその・・・」
「全く子供をたぶらかして・・全部わかってんのよ」
「昨日ウラタロスがあなたの行動を怪しんでゴミ箱から見つけた手紙に全て書いてありました。ネギ先生、これです」
そう言ってネギは刹那から手紙を受け取りその内容に驚愕した。
「そんな・・・! 下着泥棒二千枚ってどーゆうことカモ君!?」
「あわわ、ち、違うんです兄貴!オレッちは無実の罪で・・・」
ここにはいないウラタロスの推理によって、言い逃れのできないほど追い詰められたカモ、そして、そんな彼に更なる不幸が襲い掛かる。
「ここにいたのか、小さき契約者よ」
バサア!
「!! イマジン!?」
夕暮れの空からダックイマジンが姿を現した!
「良太郎が探してた昨日の奴!」
「あわわわ!お、お前は昨日の夢にでてきた・・・!」
「夢ではない。さあ、今度はこっちの契約を果たしてもらおうか?」
そう言ってカモを握り締め再び空へ羽ばたくダックイマジン!
「兄貴~~~~~!」
「カモ君!」
「私も追うわ! 刹那さんは本屋ちゃんをお願い!」
「は、はいっ!」
カモを助けるため杖に乗って追いかかるネギとソレを走って追いかけるアスナ。先頭のダックイマジンがそれほど早いわけではないのでなんとか追いつける。
・・・・・
数分後・女子校エリア外れにある倉庫
「貴様の望み、『山のような下着がほしい』だ。受け取れ」
ヒョイ
「ムギョ!?」
そう言って本当に山盛りになっている下着にカモを投げつけるダックイマジン!
「追いついたーー!ってうわっ!これ全部盗んだ下着!?」
ほぼ同時に追いついたネギとアスナもその光景に驚いた。と、同時に違和感を感じた。
「あれ? でもおかしくないですかカモ君が埋もれているパンツの山って男の人のだけじゃ・・・?」
そう、その違和感とはパンツの種類のことである。老若男女あらゆる下着を盗んだダックイマジンにもかかわらずカモの回りには男物のトランクスやブリーフ、ふんどししかなかった。そして、気になる女性下着の行方は・・・
「よっこいせ。さて、準備も出来たし過去へと飛ぶとするか!」
ズルッ!
風呂敷いっぱいに女性下着を詰め、背負うダックイマジン。その光景にこけるアスナ。やはり趣味であった!
「コラー!アンタなにやってんのよ!?」
「フフッ、昨日言ったはずだぞ? 趣味を兼ねた仕事だと!」
なんの恥じらいもなくどうどうと答えるダックイマジンの前には、アスナの突っ込みも通用しない・・・
「では契約完了っと・・」
ガチャ!
そう言ってカモの小さな身体を開くダックイマイジンだが、当然小さい
「小さいな・・・もうちょっと伸びろ!」
ビニョーーーーン!
「あいたたたた!痛い!マジ痛い!」
強引にカモの身体を引っ張って扉を広くし、過去へと飛んだダックイマジン。空間を歪曲させて現れる扉のため可能な荒業だが、かなり痛そうなカモであった。
「ネギ君、アスナちゃん、大丈夫!?」
そこへ、一旦報告のために学校に戻っていた良太郎とハナが駆けつけた!
ヴィイイン・・・
ぐったりとしたカモにチケットを添えるハナ
「発行完了! いくよ良太郎!」
彼らの追撃が始まる!
・・・・・続く・・・・・
おまけ
【フィリアの暖かい夜】
ハナとナオミがアスナたちの部屋で止まっている頃、フィリアはリンディンとウィルをつれて夜の学園内を彷徨っていた・・・
「全く・・・なんで私たちまで・・・」
「しょうがないよ~。オーナーさんが『この際全車両の大掃除を行います』ってはりきっちゃったんだから」
「で、今日はどこで寝るんだ?、まさかパパの所に泊まるのか?」
「・・・・(ボッ)そ、そんなことできるわけないじゃない・・・昔ならいざ知らず・・・」
一瞬良太郎に優しく抱きしめられて眠る自分を想像し赤くなるフィリア。しかし実際そういう訳にもいかず、どうしようかと迷っていたところ・・・
「アラ? フィリアちゃんじゃない。どうしたのこんな遅くに?」
「! 愛理さん・・・・」
フィリアが振り返るとそこには、店を閉め、自宅に帰る最中だった愛理がいた。
「いくら学校の中でも危ないわよ? おうちまで送ってってあげようか?」
こんな時間に一人でフラフラしているフィリアにあえて深い事情は聞かず、心配のみする愛理。
「えと・・・きょ、今日からお父さんとお母さんが出張で・・・え、駅まで二人を送って帰るところだった・・・」
そんな愛理には申し訳ないと思いつつ、フィリアはとっさにウソをついてごまかす。
「まあ、そうだったの・・・じゃあ今日は一人で?」
「・・・うん」
「そう・・・、ねえ良かったらお姉ちゃんの家に泊まらない? この近くのマンションに住んでいるんだけど・・」
フィリアのウソを鵜呑みにし、心配になった愛理が誘う。狙っていたわけではないがフィリアにしてみれば渡りに船であった。
「・・・いいの?」
「ええ。私も一人だからちょっと寂しくて、一緒におしゃべりしましょ♪」
「・・・・うん」
そうして愛理に手を引かれフィリアはついていった。
・・・・・
ミルクディッパーから程近いマンション。付近に住む職員やその他の人のために学園に設置された住宅である。
「え~と・・・あった♪良ちゃんが昔使っていたパジャマ。まだ残しておいてよかったわ~。はい、フィリアちゃん」
「・・・ありがとう」
押入れの中から子供用のパジャマを出す愛理、2LDKのその部屋は、一人暮らしには少し不自然に見えた。
「去年に買ったんだけど、一人暮らしなのに“なぜか”2LDKのマンションなんて買っちゃって・・ドジね~」
「・・・・・」
その住まいが本来ならもう結婚しているはずの人と一緒住むために二人で買ったことを忘れている愛理。フィリアはそんな彼女を見て切ない気持ちに駆り立てられた。
「ねえ愛理さん・・・一緒の布団で寝てもいい?」
「ええ♪」
空き部屋がもう一つあったが、あえて愛理と同じ布団に寝ることにしたフィリア、無意識のうちに少し顔から寂しさが出ていた愛理もうれしくなった。
「ねえフィリアちゃんのパパとママってよく出張するの?」
「・・・・・うん、世界中を飛びまわって、ほとんど家に帰ってこない・・・」
ベッドのなかで愛理に抱きつくフィリア、さっきのウソの延長線上にある話だが、これはウソではなかった。
「私を良・・・親戚のおじさんに押し付けて、その癖世間では誰もが認めるスゴイ人たちとか誉められて・・・だからキライなの・・・」
「そう・・・・、でも、フィリアちゃんみたいな優しい子のパパとママならきっと素敵な人たちなんでしょう?」
「・・・・そんなことない。」
ぶすっとした表情を見せるフィリア、そんな彼女を見て愛理は可愛く思った。
「ねえ、フィリアちゃん?これからも時々こうしてウチにとまりにこない? そうしてくれたらお姉さんもうれしいんだけど」
「・・・・・うん」
暖かい布団と愛理のぬくもりの中、徐々にまぶたが重くなってきたフィリアは最後にそう返事して眠ってしまった。
「フフ、おやすみフィリアちゃん♪」
そう言って愛理も眠りについた。
(・・・・愛理お姉ちゃんがお母さんだったらよかったのに・・・)
夢の中、フィリアはそう願ったという・・・・
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