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第51話 目指せ脱鼻血! レッツ山ごもり! 投稿者:仮面ライダーマンティス 投稿日:07/14-00:06 No.2679
2003年4月11日午後7時30分・アスナとこのかの部屋
パアアア・・・
「よっしゃ! 準備完了! 姐さんお願いします!」
カモによって床に描かれた魔法陣が輝き、その上には顔を赤くし、緊張するネギとアスナがいた。
「あらためてすみませんアスナさん・・・出来れば僕一人でなんとかしたかったんですけど・・」
「もう、今更それはなしでしょ? ま・この手のトラブルには良太郎のおかげでなれてるし。アンタはアンタで、良太郎たちには頼らず、あの二人と“対等の条件”で戦いたいんでしょ?」
「・・・ハイ、もちろん話し合いはしようとは思いますけどソレが出来なかった時、あの二人は僕が止めなくちゃ行けない気がするんです・・・」
強い決意を秘めた瞳で答えるネギ。自身や生徒の身を守るだけでなく、父に恨みを持つエヴァとは正々堂々、逃げたりすることなく真っ向から戦い、止めることが彼女に出来ることだと思ったのだ。
実際問題、良太郎ではなくアスナに協力を要請したのも、電王とでは対等のパートナーになりえない、自分で解決したことにはならないという理由があるからである。
「じゃ、もうそう言うことはいいっこなし!・・・それじゃ、さっさとすませるわよ?」
そう言って徐々に唇をネギに近づけるアスナ・・・
ガチャ
「アスナ~、そろそろお風呂いか・・・!?・・・」
「えっ?」
その時!
刹那を誘い、一緒に大浴場へと行こうと部屋に戻ってきたこのかと刹那が来た。
目の前で起きている光景ーーーアスナとネギがキスしようとしている光景に目が点になり数秒間硬直する二人・・・
「「・・・・おじゃましました~・・・」」
「ちがーーーーう!!!」
そう言って静かに回れ右をしてその場を去ろうとする二人にしがみつくアスナ、結局契約は打ち切りになってしまった
「え、ええてええて! うちら絶対誰にも言わへんから! どうぞごゆるりと!」
「わわわわ、私も絶対だれにいいいません!」
「人の話を聞いてーーーっ!」
完全に誤解をしている二人に必死に否定しようとするアスナ、その時、間の悪い男が一人、アスナの大声を聞き、隣の部屋からやってきた。
「どうかしたのアスナちゃん?」
「あっ!良太郎君・・・実は今、アスナとネギ君がなあ・・・」
言わないと言って舌の根も乾かぬうちに良太郎に話してしまいそうになるこのか。恐らく無意識のうちにこのことを話すと自分に有利になると思ったのだろう。
「聞くなーーーっ!」
ガン!
「ブッ!?」
ソレを阻止しようとアスナは近くにあった目覚まし時計を良太郎の顔面に投げつけた! 時計は見事、狙い通りに当たり良太郎は訳もわからず気絶することに・・・
「ア、アスナさん、いくらなんでもそれはあんまりじゃ・・・」
「なんでこうなるの・・・?」
ガクッ・・・・
・・・・・・
その30分後
「あたたた・・・全く、アスナ殿は乱暴でござるなあ~」
<う、う~ん・・・あれ?ワカマルス・・>
時計を投げつけられてアスナたちの部屋で倒れていた良太郎だったが、気が付くとワカマルスが身体を使い、部屋で掃除をしていた。
「おお、気が付いたでござるか殿。いや、姫たちも入浴にいったところですし、殿を一人放置しておくわけにも行かないと言われ呼び出されたのでござる。そこでただ起きるのを待ってるだけではとも思い、勝手ながら部屋の掃除をしていたでござるよ」
<そっか、ありがとうワカマルス。でも、大丈夫なの?ここ、女子寮だけど・・・>
「な~に、後は一階のゴミ捨て場にゴミ袋を捨てに行くだけでござるし、拙者とてそう毎日毎日鼻血をふかんでござるよ1」
心配する良太郎を余所に、何処から来るのか分からないその根拠のない自信で答えるワカマルス、そのままゴミ袋を持って部屋を出て、大浴場の直ぐ近くを通り過ぎようとした時・・・
「いや~、さっぱりしたねえ~」
「パル!そんな格好ででてはしたないですよ?」
「まあまあ、ゆえっち今日は妙に暑いからしかたないじゃ~ん」
「確かにこうやって肌をさらけ出したほうが夜風も涼しいでござるな~」
「ま・女子寮だしな」
「ひゃ、ひゃあ~~!」
風呂から上がり、廊下を出たところで、バッタリクラスメイトと遭遇したW良太郎。熱いからという理由で薄着で歩く、しかもハルナ、真名、楓とスタイルのいいものばかりが集まっているところででくわしてしまうという、相も変わらず運のない状況に遭遇してしまった。
「あれ?良太郎っちじゃん! どしたの悲鳴なんてあげて?」
「またなんか災難にあったの?」
(というか、また良太郎さんの顔がかわっているような・・・)
(この雰囲気・・・以前変身した時の良太郎殿でござるな・・・)
(ワカマルスとか言う奴か・・・あいかわらずコロコロ代わっておもしろいな・・・)
パニクるW良太郎を前に冷静なハルナたち、当然ながらその原因が自分達の格好だということに気が付いていない・・・
「ど・どしたのではござら~ん! 年頃の娘がなんと言う格好で廊下を歩いてるでござるか!」
言葉を標準語で話すのを忘れるほどパニック状態に陥っている。
というのも目の前にいる5人は夕映を除き、露出が高い寝巻きであったり、胸のボタンを一つ外した状態、ハッキリ言ってワカマルスには鼻血一歩手前の格好である。
「わあ~、なんか良太郎君、お父さんみたいなこと言うね~。もしかして照れてる?」
「ててててて、照れてなどござらん! せ、拙者はもう少し恥じらいをもってと・・」
「わあ赤くなった。なんか今日の良太郎っちかわいいね~」
(ガーン! か、かわいい・・・)
ハルナの言ったその一言に激しくショックを受けるW良太郎、“硬派でカッコイイサムライ”キャラを作ろうと頑張っていた彼に突き刺されたその真逆ベクトルを行く言葉にキツイ一撃だった。
「う、うわあああ~~~~ん!」
その言葉を聞いて数秒後、W良太郎は捨てようと持ったゴミ袋を持ちながら泣きべそをかいて部屋に戻った。
目には涙、鼻からは血をたらしながら・・・
・・・・・・
デンライナー食堂車内
「シクシクシク・・・拙者がかわいいなどとは・・・」
良太郎から離れ、食堂車の中に戻っても以前立ち直らず、ワカマルスは隅の席で体育座りをして落ち込んでいた。
「ったく情けねーなあ、ちょっとガキの肌が見えたぐらいでピューピュー鼻血吹きやがって」
「ハナヂブーー♪」
そんなワカマルスを見ながらコーヒーをすすり文句を言うモモタロスと彼をからかおうとするリュウタロス。しかし今回はそんな二人にも反応しないほど今回の落ち込みようは凄かった。
「でも確かに問題だよね~。このままだと良太郎、あの女子寮から出てかなきゃならないしさ~。てゆーか最近のワカちゃんってポジション鼻血ってかんじだよね」
(ガガーーン!! ポ、ポジション鼻血・・・)
ウラのもっともな意見に更に落ち込むワカマルス。確かに新学期が始まってからというもの、彼は鼻血を吹いてぶっ倒れること以外やっていない。
エヴァによる吸血など問題にならないほど大量の鼻血をわずか数日で吹きまくる彼が今後このまま女子校エリアで生活するなど、リトルリーガーをメジャーのマウンドに立たせるほど不可能といえる。
本人もソレは重々分かっていた。
(クッ・・・たしかにウラのいうとおり・・・こうなればアレしかござらんな・・・!)
・・・・・
翌日12日土曜日午前5時37分
(・・・遅いな、また何かトラブルに巻き込まれたのか?)
携帯の時計を見て、いつも時間前には来ている良太郎が来ていないこと心配する刹那。なぜなら彼の性格上、寝坊などの本人の過失で遅刻するより何かに巻き込まれ遅刻する可能性のほうがはるかに高いからである。
「おおっ刹那殿! おはようでござる!」
そこへちょうどのタイミングで待ち人が来た。
・・・・何故かリュックに荷物を詰め込んで・・・
「ワカマルス! 朝からどうして・・・というかどうしたんだその荷物は!?」
「うむ。実はこれから殿の身体を借りて休日の間山ごもりをしようと思ったのでござる!」
「や、山ごもり・・・?」
いつにもまして妙なことをいうワカマルスの言動に耳を疑う刹那。それとは逆にW良太郎の顔はワクワクとした感じをしている。
「うむ、地図を見ればこのあたりは山がたくさんあるでござるからな~、山奥に入り、自然の中で過ごし、滝にうたれれば拙者の中の“邪念”も取り払えるでござる! 前にTVやってたでござるよ!」
(テ・テレビ・・・)
その言葉遣いもそうだが、ワカマルスはわりとTVとかに影響されやすいという、リュウタロスとは違った意味での子供っぽさを持っていたりする。
「そういうわけで、明日の夕刻までには帰えるゆえ、心配は無用と皆に言っておいてはほしいでござる」
「そ、それはかまわないが、良太郎さんの身体は平気なんですか?」
<大丈夫、ワカマルスも憑いてるし>
そう言って心配する刹那をよそにW良太郎は元気に山ごもりへと向かうのであった。
・・・・・
午前7時55分
「--という話だそうです。」
朝の稽古を終え、今朝の出来事をこのかたちに話す刹那。
「わざわざありがとな~せっちゃん、せやけどそれやとちょい困ったことになるなあ・・・」
「困ったことですか?」
刹那が首を傾げるとアスナは呆れた口調でその困った理由を話した。
「あのバカ、昨日(私が時計を投げつけて)ここで気絶したでしょ?そん時これ忘れてったのよ・・・」
アスナが取り出したのは黒いパスケース――今の良太郎にとって命の次に大事なものといっていいライダーパスであった・・・
・・・・・・
午前8時10分・食堂車内
「あのムッツリ~!勝手に良太郎の身体使って遊びに行きやがって!自分だけずりーぞ!」
「全く困っちゃうよね~、土日は予定が詰まってるのにさ」
「なんの予定よ? あんたたち良太郎がどこにいるかわからないの?」
アスナたちから事情を聞き、慌てるハナたちなぜなら・・・
「う~ん、良太郎君のことやから山の中でバッタリイマジンに会う~なんてことがあってもおかしゅうないしな~」
というこのかの発言に誰もが頷く・・・・
「・・・・・ダメだ、あのヤロー山ごもりとかいって変にテンション高くしやがってるから締め出してんのとおんなじ状況だ!」
「う~ん、ワカちゃんってあれでリュウタの次に力強いもんね~。僕らでも大まかな居場所しかわかんないよ」
「まあ、心配ないやろ! ワカはこん中で“オレの次”にマトモなやつやからな~」
「寝言は寝て言えデカグマ! テメーの次ってそれ、ドベじゃねーか!!」
キンタロスのボケにツッコミをいれるモモタロス・・・まあ、実際問題誰が一番マトモかという点は置いといて、確かに一見一番マトモそうな性格をしていて、何より良太郎の言うことをよく聞くワカマルスだが、妙な真面目さと今回のちょっと明後日の方向をむいた考えや行動パターンが現れ、少し心配になってきた。
「・・・やっぱり私が探しにいってきます!」
「僕も空からさがしてみますよ。モモタロスさんたちもついてきてくれませんか?」
良太郎の不運、ワカマルスの微妙な天然ボケが齎す珍事が心配になった刹那とネギは探しに行くことを決意する。アスナとこのかもそれに同意した。
「けど歩いてついていくのは出来るけど砂もモモたちじゃネギ君の杖には・・「これに入れていきなさい」・・フィリアちゃん!」
さらにそこにフィリアも加わった。彼女の手にはリンディンやウィルのほかに動かない3匹のヌイグルミがあった。
「良太郎を探すなら、私がこの中にポチたちを入れてあげる・・・・」
「誰がポチだ!」
「でもこれでモモタロスさんたちも一緒に飛べますよ。あの・・・ありがとうございますフィリアさん・・」
「・・・別に、アンタなんかにお礼を言われる筋合いはない・・・それに、気安く名前で呼ばないで・・・」
お礼を言うネギに対して他の人間以上にそっけない態度をとるフィリア、あまり人に、特に異性に嫌われたことのないネギにはこの視線は痛かった
「は、はお・・・えーと、ナターシャさん・・・」
「・・・・フン」
・・・・・・
同時刻・???
「迷ったでござる・・・」
<ええ~~~~っ!?>
ネギたちが今まさに良太郎を探しにいこうとしている時、案の定彼らはトラブルにさいなまれていた。
「う~む、やはり素人が闇雲に歩くのは危険でござったか?」
<素人って、ワカマルス山ごもりとかしたことあるんじゃないの!?>
「いやいや、拙者はバリバリ都会っ子でござるから、山ごもりもTVでしかみたことござらん」
と、自信満々に答える都会っ子にしてテレビっ子のワカマルス
<そんな~、でもなんでそんなに余裕があるの?>
「ふっふっふ・・・拙者が殿を巻き込んでのこの修行でこのような無策なわけがあるわけなかろう?大丈夫!キチンと方位磁石を持ってきたでござるよーーー!!」
元気いっぱいに方位磁石を取り出し答えるワカマルス、先程からの元気はこの切り札を持っている故らしいのだが、良太郎はそんな彼に冷たくこういった
<でも、それって僕たちがどこから来て、何処に向かっているか分からないと意味がないんじゃないの・・・?>
「えっ・・・・・」
<・・・・・・・>
しばしの沈黙が二人を包み・・・
「しまったあああーーーーーーっ!!!で、ござるぅうううう!!!!」
<やっぱり・・・・・>
あまりにも致命的すぎるミスにW良太郎はしばらくその場で打ちひしがれていたという・・・
・・・・・・
そのころ
「うひゃー! こうやってネギ君に載せてもらうの初めてやけど、こうしてるとやっぱネギ君って魔法使いなんやな~」
「アハハッ、杖の周りには力場をはってますから安心してくださいねこのかさん」
「けどやっぱ空からじゃなかなか探しにくそうだね?」
数いる人員をより効率的に使うため、ネギとこのかは空から、アスナとハナ、刹那とフィリアはそれぞれ地上から三手に分かれて良太郎を探していた。
「それにしても・・・これで良太郎はいつも変身してるんだ。ねえハナさん、これをもってれば私も電王になれたりしないの?“俺、参上”とか言って」
良太郎のパスをマジマジと眺めながら、ハナにふとした疑問をぶつけるアスナ。別になりたいというわけではないのだが、あの弱い良太郎がこのなんでもない黒いパスケースで変身するという現象が不思議に思えたのだ。
「う~ん、わからないけど多分できないと思うよ? 電王に変身できるのは特異点だけだから、アスナちゃんが特異点っていうならできるだろうけど・・・」
「・・・・ねえ、ハナさんやイマジンがたまに良太郎のことをそう呼ぶけど・・なんなの??」
今まで気にはなっていたが、なかなか聞く機会がなかった話題について触れるアスナ、ハナは少し考えたが、すぐに自然体に戻り話した。
「そうね・・・分かり易く言うと・・・」
・・・・・・
「時の干渉を受けない存在・・・・ですか?」
ちょうど同じころ、刹那もまた、同行しているフィリアに特異点について聞いていた。もっともこっちはあまりにもフィリアの冷たい態度を消すためという方向ではあるが、
「・・・・例えばの話、この時代でバカ面下げて生きてる私の父親が殺されたとしても、私という存在は消えない・・・・全てが繋がっている時の中で、独自の“存在する力”を持つ存在・・・未来からきたイマジンの意思を退け、時を守ることも、過去へ飛び、歴史を変えることも可能な存在・・・ちなみに“能力”ではなく“存在”のことをさす・・・・」
「存在・・・・ですか・・・」
漠然としたことは分かったものの、イマイチ理解が出来ていない様子の刹那、実は勉強が苦手だったりする。
「えーと・・・フィリアさんも特異点なんですよね・・・? もしかして、未来の良太郎さんともお知り合いとか・・・」
「妻よ」
「ええっ!?」
「・・・・本気にしてどうするの?・・・残念ながらまだ予定・・・それでもオバサンに負ける気はしないけどね・・・」
「は、はあ・・・」
「どうでもいいけどよ・・・・なんでお前俺をふんでんだよおっ!」
フィリアの足元から大声が響き渡る。それは何だか良く分からない不細工な生物のヌイグルミに憑依させられた上、『どうもニオイが嗅ぎ取れねえ』とぼやいたがため、『だったら大地にひれ伏してでもさがしなさい』と地面に踏みつけられ、強制的にニオイを探させられていたのだった。
「うう、なんで俺ばっかいつもこいつとチームなんだよ・・・」
・・・・・・
午前11時25分
「グス・・・申し訳ないでござる殿・・・」
<しょうがないよ。とにかくなんとかして帰ろう? 山ごもりはまた別の機会に・・・>
ワカマルスがなんとか立ち直り、とりあえず歩き出そうとしたとき
バキューーーーン!
「!! 今のは!?」
<銃声!?>
静かだった山に響き渡る銃声、鳥達は一斉に気から飛び立ち、ものもおしい空気が山を包んだ
<いってみよう!>
「御意でござる!」
ダッ!
良太郎の支持を聞くと同時にW良太郎は銃声の聞こえたところへ走り出した。
・・・・・
「やっりぃ!どうだ俺のテクニックはよ?」
「すっげ~、野生のきつねを一発でしとめるなんてマジしびれたっす先輩!」
「よっしゃ~俺もまけね~っすよ!」
猟銃を持った大学生らしい3人の男が楽しそうに話している。
言うまでもないが彼らこそ山を騒がせた銃声の正体である。
「なるほど・・・狩猟でござったか」
スタッ!
(((!!)))
そんないい気になって笑い合っている彼らの前に木から飛び降りて挨拶をするW良太郎、まるで山に住む天狗にでもあったかのようにきょとんとした顔で自分を見つめる彼らに対し、尋ねた。
「ここで狩りをしていいのかも疑問でござるが・・・お主ら、なぜしとめた獲物を持ち帰らん? 食うなり毛皮にするなりやりようがあるでござろう?」
W良太郎は打ち抜かれたきつねを拾い、男達に渡そうとした。
「ひっ! い、いらねえよそんな気持ち悪ぃ」
「・・・・何?」
だが、男達の中心にいる他の二人から先輩と呼ばれている男は、まるで汚いものを見るような目をする。W良太郎にはそれがひどく、癇に障った。
「お、俺たちは別にそいつを食おうとか思ってやったんじゃねえんだよ。趣味だ趣味!」
「そ、それよりお前、この近くにいるって事は麻帆良生だろ? 頼むよ今日のことは黙っててくれ!こんなゲームなんかで停学とかなんてなったらと思うとさ~」
後輩の二人もそれに続く、3人とも見つかってヤバイとは思っていても許可なく狩猟をやっていたことやきつねを殺したことに対しては全く反省に色が見られない
「趣味に遊び・・・お主らは遊びでこのきつねを殺した・・・ということでござるな?」
ギロ!
(((ビクッ!)))
W良太郎の鋭い視線に凍りつく三人、そのうち一人が泣きそうな顔で言った。
「な、なななんだよ! 狩猟なんてみんな昔からやってんじゃん!コイツは猟銃だぜ?動物撃ってなにが悪いんだよ!?」
「・・・・別に、殺したことが悪いとは言わん。人は多くの命を食らい、ソレを糧に生きている。狩猟もまた生きるうえでの一つの文化、許可をとっているかは別としておおいにけっこう・・・・だが、目的もなく、遊びで殺し、挙句己が奪った命をゴミのように扱うなど・・・・外道が、絶望の花を咲かせてやるでござる!」
ゴキゴキゴキ!
「「「ギャアアアアアア~~~~~」」」
先程の銃声よりもさらに大きな、男達の叫びが山に響いた。
「フン、とっとと下山して二度とこの山に上るなでござる」
「くっそ~、覚えてやがれえ!・・・あいたたたたた」
リーダー格らしい男があまりにもお決まりな捨て台詞を残し、去っていった、3人揃って両腕をプラプラさせながら・・・
「全員肩を外してやったでござる。フッ、せいぜいリュウタがいなかったことを幸運とするのだな・・・」
と、余裕を見せるW良太郎、剣士の中には獲物がなくとも戦えるように柔術をマスターしているものが多いが、彼もまた、その口であった。独自の柔術は決して男達に外傷を与えず、きれいに肩を外したのだった。
「さて、このものでござるが・・・・」
しばし勝ち誇った後、W良太郎は悲しげな顔で腕に抱きしめた理不尽な理由で奪われた命に目を向けた。
<大したことは出来ないけど・・・供養してあげよう>
「・・・・御意、しかしとなるとどの道どこか広いところを探さねば・・・」
「だったらこの先の川原など如何でござるか?」
「おおっ!ナイスアイデアでござる、さすがは殿!」
<えっ?今喋ったのワカマルスでしょ?ござるって言ってたし>
「??? 拙者は何も・・・「ハハハッ、ここでござるよ良太郎殿!」」
シュタッ!
二人の会話に割って入った謎の声の主は、先程W良太郎が男達の前に姿を現したのと同様、木の上から降りてきた。
「驚かせてすまんでござるな良太郎殿・・・でいいのかな今は?」
「お主は以前の忍者娘!」
<長瀬さん!>
姿を現したワカマルスと同じござる言葉を使う少女は長瀬 楓であった!
・・・・・続く・・・・・
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