HOME  | 書架  | 

当サイトは「魔法先生ネギま!」関連の二次創作投稿サイトです。ネギま!以外の作品の二次創作も随時受け付け中!

書架

[]

プロロゴス 狐転じて美少女と成る 投稿者:mike 投稿日:05/04-01:19 No.438


  神とは何か
  神とは無限者にして完全者である

  無限者たる神はすべての矛盾を内包し得る唯一の存在である


 それはつまり


  主が父なる神であると同時に完璧な美少女であることを示している

  すなわち

  主は包容力のあるお姉さんであると同時にちょっとわがままな妹でもあり

  又

  犬耳少女でありながら猫耳少女たり得るのだ


 そして全天一神に忠実な天使は語る



        『  アレに萌えなければ天使ではない  』と





    プロロゴス【 狐転じて美少女と成る 】





 とあるアパートの一室で、一頭の毛並みの黒い狐が横たわっていた。
 ピクリとも動かず、死んでるのではないかと思われるそれは、しかし息をしているのがわかる。
 何故か狐は、うず高く積まれた油揚げの上にいた。

 微動だにしないまま数刻が過ぎ、夜も明けようという時、狐の身体に変化が起きた。
 微かな燐光を放ち始めたのだ。燐光は徐々にその数を増していき、ついには狐と油揚げの山を覆い隠した。
 白い光に包まれ、一つの小山と化したそれは、粘土のように今度はその形を変じていく。

 まずそれは細く長く、丸太が立てられたようなシルエットになった。そして、底辺は半分に割れて二又状になり、頂点は小さな球体を形作る。また、球体の下の辺りからは二本の棒が突き出す。それはあるいは人のように見えなくもない。
 その出来損ないの人間は形を整えていき、白光が消える頃には完全な人の姿になっていた。
 衣一つ纏わないそれは、見た目は14・5の少女。髪は灰がかった黒で、ポニーテールに縛った房毛の毛先は若干白っぽくなっている。
 誰が見ても完璧な人間だった。頭からピョコンと生えた狐耳を除いて。

 少女は確かめるように自分の身体を見下ろす。
 すらりと伸びた肢体、つつましやかに膨らんだ乳房、張りのある小さな臀部。その全てが人間の少女のものだ。
 ふと、自分の裸身をまじまじと見ているということに恥ずかしさを感じ、少女の頬が朱に染まった。
 見る限り狐の名残がないのが確認できると、すぐに身体から目を背け、いそいそとあらかじめ用意してあったバスタオルを羽織った。
 そして今度は頭を触る。そこには、ふわっとした手触りの中、指に引っかかるものがあった。
 それを少女は念入りに調べる。
 大まかに言うと三角形で、片面には短く細い毛が生え、もう片面にはそれがない。触っていると少しくすぐったかった。
 それが狐の耳だとわかると、少女は溜め息をついた。


「よし。耳はちゃんと残ってるな」


 その容姿にそぐわない男っぽい口調の、しかし外見に見合った愛らしい声には安堵の色が滲んでいる。
 と隣の部屋に通じる扉が勢いよく開け放たれ、一人の男が耳が痛くなるような絶叫と共に現われた。


「ぬおおおおっ。自分の裸身に赤面する狐耳娘とは!わかっているではないか」


 入ってきたのは長身長髪の男だ。非常に秀麗な顔立ちをしていて、ただ立っているだけで一つの美術品のような雰囲気を醸し出している。
 その整った容貌がセリフの異様さを際立たせている。


「何をだよ。だいたい僕は本当は男なんだから仕方ないじゃないか」
「自分が男だと思い込んでいるという設定か!確かにこれを攻略するには相当な努力と献身が必要だ。だがしかし、人とは障害が多いほど情熱に沸き立つもの。それを巧みに利用し障害を配置することで、キャラクターの魅力は最大限に引き出される。考えたな、賀茂!」
「思い込んでるんじゃなくて、本当に男なんだよ。アブデル」


 これには少女に変化した賀茂も呆れ果てる。

 そもそも賀茂は狐ではなく、名は賀茂是雄、霊媒師の家系に生まれたというだけの普通の男子高校生だった。しかし、ある事件で死んでしまった賀茂は魂と記憶をそのままに狐に転生したのだ。
 そして偶然、妖狐の仔として生まれ変わった彼は二度と狐に戻れない代わりに人間に変化して、元の生活を取り戻していたのだが。
 その彼が、なぜ再び狐に戻ったのか、どうやって戻ったのか、そして何故今少女に変化したのか。


「いや、すまん。お前のあまりにも見事な美少女っぷりに我を忘れてしまった」


 アブデルはふうと息を一つついてから言葉を続けた。


「以前男に変化した時はなんと愚かな奴と思ったが、今となってはお前の『神の愛』に脱帽するばかりだ。これほど完璧な美少女に化けるとは思っていなかったぞ。耳を残させなくても問題なかったか」
「やっぱり、残す必要はなかったのか」


 賀茂に狐の耳が残っていたのは別に賀茂が未熟だったからではない。
 狐が変化するとき、耳や尻尾を残すのには理由がある。狐は変化に特化した種族であり、化ければ人間との間に子をなすことさえできる。しかし、それは完璧すぎるのだ。完全な人間になってしまえば二度と狐に戻ることは出来なくなってしまう。だから耳などを残して完全な人間化を防ぐ。
 逆に人間になりたければ、狐の部分を残さなければいい。かつて賀茂はそれを実行した。

 そして今回、本来決して狐に戻ることは出来なかった賀茂は、天使であるアブデルの霊力を使って無理矢理狐に戻ったのだ。そして、少女に化けるにあたって、また狐に戻る際にアブデルの強大な霊力は魂に悪影響があると諭され、しぶしぶ残すことになった。

 しかしアブデルは筋金入りの変態だ。悪影響がどうとかいうのは自分に耳を残させ、狐耳娘にするための嘘ではないかと疑っていたのだ。
 とはいえ、魂に悪影響と言われれば、賀茂に真偽が分からない以上、その通りにせざるを得なかった。


「なに、嘘だったわけではないぞ。ただ、お前の魂がどうなろうが、それがお前の意志を尊重した結果なら、なんら俺には責任がないというだけの話だ」


 さらっと責任を放棄するアブデル。
 賀茂の守護天使として、それでいいのだろうか。
 そういえば似たようなことを前にも言われた気がする。


「とにかくこれを着ろ。狐耳中学生娘を見せてくれ」


 そう言うアブデルの手には学生服があった。
 赤と茶を基調にした制服(もちろん女子用)で、ベストとチェック柄のスカート、無地のブラウス、紺のオーバーニーソックス、タイは赤いリボンタイだ。さらに、女物の下着まである。
 イヤだと大声で叫びながら逃げ出したくなる。しかし、そこはぐっと我慢して、賀茂は不慣れながらも、一つ一つ丁寧に着込んでいった。


「あの近衛とかいう、生きているだけで何の益もない、老木のような奴もなかなか粋な計らいをするではないか。奴もこの女子中学校というエデンを守護する『神の僕』だったというわけか」


 しきりに頷くアブデル。


「変化する前に渡されたものなのに、なんでサイズがぴったりなんだ」
「決まっているだろう。主のお導きだ」
「アンタな・・・」


 ピンポーン


 唐突に部屋にチャイムの音が響いた。
 賀茂とアブデルは時計を見る。


「もうこんな時間か。迎えだ。行くぞ、賀茂」
「あっ、待てよ、アブデル。このままじゃ外に出れない」


 賀茂は狐の耳をおさえて言った。


「なに!?まさかその神の奇跡を隠そうというのではないだろうな」
「それはそうだろ。このままじゃ騒ぎになるし」
「そんなことを気にする必要はない。おまえは立派な『神の僕』だ。だから何も恥じることなどないのだ。たしかに男が美少女に化けるということは恥ずかしいことのように思えるかもしれん。しかしな賀茂よ、男なら一度は美少女になってみたいという願望を持つものだ。美少女とは神の似姿であり、つまりそれは神への回帰願望に他ならない。それを叶えたからといって、誰がおまえを責められようか。たとえ世界中の野郎共が嫉妬に狂い、おまえを責めたてたとしても、俺はおまえを庇護しよう。だから賀茂よ、俺をお従兄ちゃんと呼んでくれ」
「べつに恥ずかしいからとかじゃないし、そんな呼び方もしないから」


 ピンポーン


「早く何とかしないと」
「なら、これを被るがいい」


 そう言って渡されたのは、ハンチング帽だった。
 たしかにこれなら耳を隠せそうだ。
 しかし、


「まさか最初から用意していたのか」
「まあな。美少女は見世物ではないからな」
「だったら最初から出せよ」


 賀茂はアブデルを睨んだ。
 しかし悲しいかな、少女になった賀茂ではまったく迫力はない。今の賀茂とアブデルの身長差なら尚更だ。
 が、それを見てアブデルは一歩後退った。


(なっ、なんだこの気持ちは!『上目遣いで睨む』とはこれほどの威力があるのかっ。上目遣いでおねだりもいいが、これもかなり・・・・・・。そうかっ!これが好きな娘をいじめてしまう男の子の気持ちか。このときめきが!このときめきをもう一度っ!)

「出してください。お願いします、だろう?」


 さっそく、いじわるなお従兄ちゃんに成りきるアブデル。


「アホなこと言ってないで早く渡せ!」
「そんな態度で世の中渡っていけると思ったら大間違いだ」
「・・・・・!」
「・・・」


 Let's enjoy いじわるお従兄ちゃんlife

 ・・・・・・玄関のドアの前では、中から聞こえる楽しげな声に、迎えに来た男(実はタカミチ)がどうすればいいか困っていた。






  賀茂が変化するおよそ半日前・・・


「サウザンドマスター!?」
「お父・・・さん?」


 満月に照らし出された四つの影。
 驚き慌てる少女、茫然自失の少年、無機質な少女、そしてそれらを見つめるサウザンドマスターと呼ばれた青年。


「久しぶりだな。エヴァンジェリン」
「貴様ッ、死んだはずじゃ!?」
「まさか。俺がそんなヘマするわけないだろ」


 そう言ってサウザンドマスターはエヴァンジェリンに歩み寄る。


「そんなことより」


 サウザンドマスターは目の前まで来て足を止めた。
 その顔には昔と変わらない、人を小ばかにしたような、しかし温かみのある笑みを浮かべている。


「悪かったな、十五年もほったらかして。呪いを解いてやるって約束だったのにな」


 エヴァは何も言わないず押し黙ったまま、身体を硬直させた。
 サウザンドマスターは、そっと手を伸ばす。


「ほんとうに、悪かった」


 とても真祖とは思えないほど無防備なエヴァンジェリンの髪に、サウザンドマスターの手が触れる。
 と、その時


「コラーッ この変質者ーーーーっ!!いたいけな子供に何すんのよーーーっ」


 突如、乱入してきたツインテール少女、神楽坂明日菜の豪快な飛び蹴りが炸裂した。
 サウザンドマスターはきりもみしながら宙を舞う。


「ああーーーっ!!」×2


 二人の叫びも空しく、サウザンドマスターは月の光を浴びながら八階建ての屋根の縁の向こうへ消えていった。 

麻帆良に涙はいらない 一章 賀茂葉子と阿部テル

  HOME  | 書架top  | 

Copyright (C) 2006 投稿図書, All rights reserved.