第一話 自己紹介はまず自分からはじめましょう 投稿者:モフ・ハイマニューバ 投稿日:05/10-20:02 No.483
皆が大変な頃、沖田は……
カチッカチッカチッ
「…あれ?もう終わりですかィ」
携帯をいじっていた
第一話 自己紹介はまず自分からはじめましょう
<side 沖田>
「役に立たねぇなぁ、土方さんの携帯は」
そう言うといじっていた携帯を後ろに捨て、
ポケットから別の携帯を取り出してまたいじり始めた。
しかし、携帯の電源ボタンを押しても電源は入らない。
どうやらこちらも充電切れらしい。
「………」
沖田はその携帯をまたポケットに戻すと投げ捨てた携帯を拾い上げ、
――バキッ
へし折った。
そしてへし折った携帯を前方に全力で投げ、腰を下ろした。
(良い子は絶対に真似しないでください。)
何かにぶつかった音が聞こえるがもう関係ないらしく考え事に集中している。
「さて、どうするかねィ」
携帯は使えないため連絡も取れない。
月明かりのおかげで多少は見えるが見知った場所ではない
と言うことぐらいしかわからない。
まさに八方塞の状態だ。
「ま、いいや。土方さんが迎えに来るまで待つとしやしょう」
考えるのをやめたようだ。
沖田は愛用のアイマスクを懐から取り出すとそれを着け、眠った。
<side ???>
話は数分ほど前に戻る。
「気配のするほうに来てみれば……!!!」
少女が頭を抑えながらそんな恨み言を言っている。下をよく見てみると近くに壊れた携帯が落ちていた。
どうやら、これにぶつかってしまったようだ。
「マスター、大丈夫ですか?」
傍にいた少女―ロボットは自分の主を心配している。
「ええい! 誰だこんなものを投げつけてきた奴は!!」
「マスター、侵入者の反応はすぐ近くです」
「何?……確かにすぐ近くにいるな。
となると、まさか向こうがこちらに気付いて
投げてきたと言うのか!?」
「その可能性は否定できません」
それを聞くと少女は少し考えた。
この従者が言うことはもっともだ。
しかし、いくら力を封印されているとはいえ、満月の日に気配を消している『真祖の吸血鬼』の気配を察知することなど、
その辺の雑魚には出来ないはず。
そうなると敵はかなりの実力者ということになる。
「…おもしろい。
最近は雑魚ばかりで退屈していたのだが…
今日は少し楽しめそうじゃないか」
少女はニヤリと笑うと従者と共に気配のするほうに走った。
が、
「ね、寝ている……」
気配の先にいたのは、一人の眠っている男。
狸寝入りかと思ったが完全に寝息を立てているし
茶々丸に調べさせてみると睡眠状態にあると言う。
気絶しているのかとも思ったが気絶する奴は
アイマスクなんかするはずがないので違う。
こいつは侵入者ではないのかとまで考えたが、
近くに他に気配がない。茶々丸も同意見だ。
となると、こいつは侵入者の癖に侵入した先で寝ているということになる。
「……!(怒)」
そう考えると無性に腹が立つ。
こいつを強敵と判断し警戒した自分に、
その可能性を示唆した従者に、
そしてなにより、こいつ自身に無性に腹が立った。
「おい、起きろ」
すると男はアイマスクをはずしながら
「うるせーよ 土方。てめーがかわりに働けよ」
と言いこちらを見た。
<side 沖田>
「…あれ?」
今 目の前にいるのは、金髪の幼女。
土方は黒髪の瞳孔開きっぱなし男。
とても同一人物とは…
「金髪の幼女に全身整形ですかィ?
土方さんもたいした趣味をお持ちで……」
「誰が金髪の幼女だ!!
それに私は土方ではない!!」
「あれ?おかしいな…ずっとイライラしてるから てっきり土方さんかと……」
「誰のせいでイライラしていると思っているんだ!!
それに人をイライラだけで判断するな!!
そんなのを基準にしてたら世界が『土方』で溢れかえるわ!!」
「おやおや、見苦しいですぜ。人に八つ当たりするなんて」
「くっ……、まぁいい、貴様、何者だ?
どうやってここまで侵入してきた?
そして…… 貴様の目的は何だ!!」
一気にまくし立ててくる幼女に沖田は、
「そんなに一辺に話してわかるわけないだろィ。
それに、それが人に物を尋ねる態度ですかねィ」
と答えた。
幼女は
「黙って答えろ」
と言うが沖田に
「黙ったら答えられないでしょ」
と返され屁理屈だとわかっていても
さらに苛つかされることになる。
そんな幼女に沖田は
「人に名前を尋ねるときはまず自分からって
習わなかったんですかィ」
と言った。
<side ???>
今こいつはなんと言った?
従者が宥めようとするがそれでもマジ切れ寸前
挙句、こんなことまで言われた。
「……いいだろう」
ふん、そんなに聞きたいなら教えてやろう!
そして後悔するがいい!!
私の名を聞いたことを!私をここまで怒らせたことを!
「いいかよく聞け!
我が名は『闇の福音』
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ!!」
あとがき
どうも、先ほどは大変失礼いたしました。
何があったかは失礼だとは思うのですが聞かないでください。
こんな私ですが次も読んでいただけると光栄です。
それではまた次の話で