第三話 変なところがあってもいじめはいけません。 投稿者:モフ・ハイマニューバ 投稿日:05/12-17:07 No.496
やられたら三倍にして返せ。売られた喧嘩は買え
どちらも土方さんたちに教わったことでさァ (沖田総悟)
第三話 変なところがあってもいじめはいけません。
<side タカミチ>
「? 何ボーっとしてんでさァ。もしかしてこれがそっちの挨拶なんですかィ?」
そいつぁ、ずいぶん物騒な挨拶だァ。などと嫌味とも取れる軽口を彼は言った。
だが、僕の耳にそんな言葉は入っていなかった。
「君は…今何をしたんだい?」
「何って…飛んできた氷をこれで弾いて逸らしただけでさァ」
彼はいつの間にか持っていた銃を見せるとそう言った。
「なるほど……それを撃ってあれを逸らしたのか…」
どうやら武器を持っていないというのは僕の勘違いだったようだ。
だが、その安心もエヴァの言葉を聞くまでだった。
「タカミチ、あいつは銃など撃っていない」
「何だって!?……そういえば、確かに銃声はしなかった。
しかし、だとすると彼はいったいどうやって…」
「!! タカミチ!そんなことはあとだ!!」
突然エヴァがタカミチを突き飛ばす。それと同時に
――ドゴオォン、ドゴオォン、ドゴオォン
銃声が鳴り響いた。
<side 沖田>
「あれ?またですかィ?たく、こっちが挨拶返しただけでしょう。
しっかりしてくだせェ」
いつの間にか立ち上がっていた沖田は銃を懐にしまうと
「どこの世界にそんな物騒な挨拶がある!!」
「さっき、あんただってやったじゃないですかィ」
「あれは挨拶じゃ……!! 貴様、わかっててやってるだろ」
「さて、何のことですかねィ」
エヴァと言う名の少女はこちらに殴りかかろうとするが男―エヴァはタカミチと読んでいる―に腕をつかまれており動けない。
「離せタカミチ!!」
「落ち着くんだエヴァ。今はとりあえず彼から話を聞こう」
「なんですかィ、聞きたいことって。スリーサイズは秘密ですぜ」
「誰もそんなの聞きたくないから。
…じゃあ、まず君はいったい何者なんだい?できれば身分証のようなものを見せてもらいたい。」
「ああ、そうか。はじめから身分証を見せればよかったんだ
―これが身分証ですぜ」
沖田はタカミチの言うことがもっともだと思うと懐から警察手帳を取り出し、開いて見せた。
「『幕府特別武装警察 真選組 一番隊隊長 沖田総悟』?」
「上司のせいでこんなところまで吹っ飛ばされたみたいなんでさァ」
沖田はすべてを土方のせいにした。悪意100%で。
だが、彼らは沖田が考えもしなかったことを言った。
「そんな組織、聞いたことがないぞ。タカミチ、知っているか?」
「いや、僕も知らない。…でも最近出来た組織なのかもしれない」
沖田は自分の足元が消えたような感覚に陥った。
<side エヴァ>
(確かに驚いたような顔は見れたが…)
話を聞いてみるとその組織はここ数年で出来たばかりだが活躍は表立ったものらしい。
世間ではヤクザ警察、チンピラ警察24時とか呼ばれていたらしいが
そのどちらも私たちは聞いたことがない。
「どうするタカミチ?このまま外へ放り出すか?」
「……いや、学園長のところへ連れて行こう。
もしかしたら何か知っているかもしれない」
「……それがいいのかもしれないな。
――おい、聞こえたか、今からここの責任者に会わせてやる。
ついてこい」
「やっと決まったんですかィ。さっさと決めろよな」
こいつ、殺してやろうか。
そんなことを考えるが気を取り直すとエヴァたちは学園長のところへ向かった。
<side 沖田>
――学園長室前
「ここだ、タカミチが連絡を取ったから大丈夫だろう。
さっさと入れ」
エヴァにそう言われ沖田は扉を開けた。
「よく来てくれた、君が」
―バタン
沖田は扉を閉めた。
「部屋間違えてますぜ。早く遠くへ行きやしょう。病気が移る」
「いえ、あれが学園長です」と茶々丸が教えてくれた。
「マジでか」
沖田、本日二度目の驚きである。
<side じじい>
「何でワシだけこんな扱い?」
<side 妖怪ジジイ>
「いや、変わってないから!むしろ悪くなってるから!!」
<side 変な頭>
「それただの特徴じゃん。…もういいからそれでいいから」
「…大丈夫ですかィ?」
心配する誰かの声が聞こえる。
「何故扉は閉めたのかは置いておくとして、大丈夫じゃよ。
だからそんな哀れみの目で見るのはやめてくれないか」
「ちっとも大丈夫そうに見えませんぜ、その頭」
「どういう意味?」
「そーゆー意味でさァ」
「あ!そーゆー意味ね。高畑君、こいつを殺せ」
学園長は頭をかくと話を続けた。
「とりあえず、君の話を聞かせてもらえないじゃろうか」
<side 沖田>
沖田はそういわれると自分の知っている限りのことを話しはじめた。
天人のこと、幕府のこと、攘夷志士のこと、万事屋のこと、
そして、自分が所属していた真選組の活動や仲間のことも知っていることをすべて(重要機密について以外)話した。
周りにいた奴らは皆黙ったまま、ただ話を聞いている。
すべてを話すと、学園長(と呼ばれていた人物)が口を開いた。
「どうにも信じられないことじゃが………
君は異世界から来たようじゃな」
………………はい?