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その1 『異界転移……されど心折れず。』 投稿者:M・Tミゲ 投稿日:04/24-17:50 No.388  

うずまきナルトは今、現在進行形において困っていた。


「どっどっどっどっどどうすれば良いんだってばよおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~…………。」


いい具合にドップラー効果発動。
今彼はその身を空に投げ出され、そのまま重力に従い地面へと一直線の矢の状態。
……簡潔に言うとつまり落下中である。



魔法先生ネギま

~麻帆良忍風帖だってばよ!!~


その1、『異界転移……されど心折れず。』



「どうすれば……てか一体、どうなってるんだってばよぉ!!?」

落ちながら器用に頭を抱えるナルト、逆さ向きなのでちょっとユーモラスだ。

「落ち着け、落ち着け~……たしか前にもこんな事が有ったってば。あの時は確か……」 

記憶を辿り必死に思い出すナルト、そうしてる内に何故か彼の額に血管浮かびだし、頬がヒクヒクと震えだす。

「だぁぁぁぁぁぁぁ思い出したってばよ!!!口寄せの修行の時あのぉエロ仙人に、崖から突き落とされたんだったぁ!!」

どうやら、今の今までその事を忘れていたらしい。
まぁ確かにあの後、イロイロあったし忘れても無理は無いかなぁとは思うが……。

「あんときゃ確か、ガマ親びんを呼び出して助かったんだってば。そうと決まれば話は早い!ホイホイホイのホホイのホイっと!!!」

『亥酉未戌申』

ナルトはその指を軽く噛み切り、そして軽々と流れるように高速で印を結び練り上げたチャクラを一気に開放する。

「久々に行くってば!『忍法・口寄せ』カモン、ガマ親びん!!!」

指を切った手を、思いっきり前へとに突き出す。

すると一瞬にしてその場に異様な流れが生まれ、その突き出された右手より一気に巨大な何かが出現した。

巨大なそれは、山のようにでかい大ガマ蛙。
ナルトの忍術 『口寄せの術』 によって呼ばれたガマ一族の親分ガマブン太その者である。

空中に出現し、水面に轟音共に着水!

間一髪の所でナルトはその上に落ち、ブン太の体の弾力により命の危機脱出である。

「ふぃぃぃぃぃぃぃ~……危なかったってばよ。」

『おうおうナルト!久しぶりに呼び出したと思えば、随分とけったいな場所に呼び出してくれたのォ!』

辺りを揺るがすような大音量のブン太の声、さすがと言うかなんと言うかこのサイズだと蛙の声も半端じゃない。

「オッス、ガマ親びん!久しぶり!!」

『挨拶はええから、状況を説明せェ。お前がワシを呼び出すなんざぁ滅多に無いじゃろうが。』

「いや、それがさぁ……」

取り合えず、これまでの経緯をそのままに説明する。
ナルト自身、自分の身に何が起こったの正確に把握できていない状態なので身に受けた事実をそのまま言葉にすると言う形だ。

「……って事なんだてってばよ。」

『むぅ、成るほどのぉ……。』

その説明を聞いて、ブン太は何やら神妙な面持ちで唸る。

「親びん、何か分かるってば?」

『ナルト。お前ェ、ひょっとしたらとんでも無い場所に呼び出されたかもしれぞ。』

「とんでも無いところぉ?呼び出されたぁ?……ガマ親びん、どういう事だってばよ~?」

妙な言い回しをするブン太に、ナルトはその頭を捻らせる。

『そのお前が吸い込まれたちゅぅ黒い穴じゃがな、そりゃ本来ワシら口寄せの妖魔や動物等が呼び出される時に開くもの、言わばゲートのようなもんじゃ。』

「……って事は何か!オレってば、ここに口寄せされたって事かよ!!?」

『まぁ、そうなるな。見たところ、ここはお前の居た世界とはちーと違うようじゃけんの。』

ブン太のその言葉にナルトは、そこでようやく自分の当たりの様子を見回した。


ナルトの目に写る辺りの光景、そこは明らかに木の葉の里と……否ナルトの世界の物とは異なるもの。


「何処だ、ここ?」

思わず間抜け面で呆気に取られるナルト。
辺りが暗いのは夜だから仕方無いだろう、ガマ親分が水に浸っているのも自分が湖の上から落ちて来たのだか問題は無い筈。

ただその湖の奥に見える景色は、明らかにおかしい。

「何だあの走る鉄箱は? それに、あの町は何だってばよ?……火の国の城下町でもあそこまででかくねぇぞ。」

自分の近くの巨大な橋を走る見た事が無い鉄箱(自動車)、異様な数の電気が点き(ナルト主観)夜なのに異常に明るい街。
強固そうでブン太より遥かに高い建築物、異常なまでに整えられた綺麗な道、それら全てがナルトにとっては異様な物であった。

『じゃから言うとるじゃろうが!ここはお前の居た世界と違うとな、詳しくは分からんが、恐らくお前の常識は通用せんぞ。』

「…………ん? ちょっと待てよ。ここが異世界って事は分かった、んで~オレがどうやら口寄せで呼び出されたって事も分かった。」

『オウ!よーやっと分かったか。でっかくなっても物分りの悪さは変わらんな!』

ブン太は咥えたキセルを吹かせ、ニッカリと笑いながら頭に立つナルトに言う。

「うるせーってばよ!……でも、おかしい無いか?」

『んぅぅ?』

ナルトは、真剣な面持ちで周りを見渡しながら言った。

「口寄せで呼ばれたんなら、その呼び出した術者が居るはずだろ……なのに俺が出て来たのはこの湖の遥か上空、とても人がいれる場所じゃ無いってば、ここいら辺りに人の気配も無いし。第一、口寄せには契約が必要だろ? 俺は、そんな呼び出され契約なんざした事が無いってばよ。」

ナルトの言ってる事は正しい、口寄せには幾つかのプロセスが有るのだ。

先ず口寄せを使用した術者
もし、もしナルトが口寄せで呼び出されたのであれば此処にその呼び出した術者がいる筈だ、術者が居なくては基本的に口寄せは起きない。
次に契約。
いくら術者が居ようと、口寄せに呼び出す物と血判により契約しなくては呼び出せない。
基本的に口寄せ出来るものには制限は無く、妖魔や動物は当然、忍具や“人”でさえ契約すれば呼び出すことが出来る。
現にナルト最初の中忍試験では、巻物から術式によりイルカ先生が口寄せされているし、ナルトの一期上のテンテンはポンポンと忍具を口寄せする。

『確かにのぉ……』

「な? おかしいだだろ?」

必死に今の状態について考えるナルト、しかし考え悩めども中々に答えは見つからない。

しかしブン太には、ナルトの今の状態について一つ心当たりがあった。

『……ナルト』

「あん?」

『お前、どうやら口寄せ失敗による事故召喚に巻き込まれらしいようじゃの。』

「口寄せ失敗の事故召喚~? 何だってばよ、それ?」

聞き覚えの無い言葉を聞き取り、ナルトはそのままブン太へと聞き返す。

『口寄せの術が失敗した場合、時たま起こる現象じゃ。口寄せが失敗した時は普通は何も出ずに終わるんじゃけん、極稀にその失敗した口寄せを媒体として『異界への門』が開く。その門に吸い込まれ、その異世界に飛ばされるちゅーのがそれじゃ。』

「……マジ?」

『冗談でこんな事、言えると思うか?』

ブン太の言葉に、無言で首を横に振るナルト。
口調もそうだが、とても冗談で言えるような事では無い。
冗談だとしたら、余りに幼稚すぎる。

「…………ものすっっっっごく嫌な予感するんだけど、その事故召喚って奴から元も世界に戻る方法は?」

なるべく望みは捨てない方向で、希望を込めてブン太へと聞き返す。

『残念じゃが、んなもんありゃせんわい。何せ開く門は不規則で、何所に繋がるかは分からんけんのォ。』

しかし、その希望はあっさりと砕かれる事となった。


「…………なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」


ナルトの絶叫、頭を抱えて声を張り上げる。

どうでも良いが、幾ら夜の湖の沖で見つかり難いとは言えこんな巨大蛙が居れば大騒ぎ間違い無しなのだが。
……まぁ彼等のその辺の常識は未だ無いから仕方が無いかもしれないが。

『頭の上で大声だすな!耳に響くじゃろが!!』

「んな事言ったって……ど、どどどうすれば良いんだってばよ!? オレ、帰れないって事じゃん!!」

『諦めるんじゃな。諦めてこの世界で頑張って暮らせ。』

「そんなの有りかーーーーーーー!!! 責任者出てこ~~~い!! 大玉螺旋丸、フルパワーでおみまいしてやるっ!!!!!」

そんな事を叫んでも責任者が出てくる訳無いと分かってるのに、それでも今のナルトは叫ばずにはいられない。

『あああ!煩くて敵わん!!』

ブン太は行き成りその長い舌を伸ばし、グルリとナルトに巻きつけ捕らえた。

「…………あのぉ~親びん? 行き成り舌なんて巻きつけて来て、一体何をするお積りです? なんか~嫌な予感ビンビンなんですが。」

『来ちまったもんをグダグダ言うなんざ男らしく無いでぇ、ナルト~。覚悟決めて、この世界で楽しく生きてこんかい!!』

ゆっくりと舌を振りかぶり、軽く頭を上えと逸らし。

『ほれ、早速あの街にでも行って、新しい生き様見つけてこいやぁぁぁぁぁ!!!』

勢い良く振り下ろし、思いっきり放り投げた。

「ウギャアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ~~~…………!!!!」

再び、ドップラー効果発動。
大振りで投げられたナルトは、まるで矢の如く一直線に飛んでいく
方角は学園都市『麻帆良』、その一番奥にある女子エリアの方向。

『ガーッハッハッハッハッハ!! 相変わらず面白い奴じゃ! お~っといかん、ワシもはよぉ帰えらなぁ母ちゃんにどやされる。』

ブン太は、その言葉を残し大きな白煙を上げその巨体を彼の世界へと帰した。



行き成りの話、麻帆良学園学園長である近衛近右衛門は微妙に困っていた。

「どうしたもんかの~……。」

彼が困って事柄、それは2-A組の体育教師と広域指導員の不足と言う二つの問題。
詰まるに教師の、人手不足と言う問題。

(参ったのぉ……広域指導員の方は他の先生方に無理して貰えば今のままでも不可能では無いんじゃが、2-Aの方はそうも言ってられんしのぉ)

麻帆良学園中等部2-A組、このクラスは非常識なほど独特な個性の持ち主が揃っている学級。
普通絶対いないだろこんな奴等、と言うような生徒のオンパレード、奇人変人学級2-A組。
中にはまともな普通の生徒もいるが、そんな生徒も何所か普通とちょっと違う所が有ったりする色んな意味での問題クラス。
問題クラスとは言っても別段、素行が悪いわけでは無い。
彼女達は変わってはいるが、根はいい生徒ばかりだというのが近右衛門学長をはじめ女子中等部を受け持つ先生達の意見。


そんな彼女等の授業で、絶対に教員が担当したがらない授業それが『体育』。


何故かこのクラス、体を動かすという事にかけては正に超人オ○ンピック的な者達が数多く存在する。
一部ではあるが、自分達より(むしろ常人レベルを超えて)遥かに動ける女子中学生、それを目の当りにした体育教師達は自信を失い、何を教えていいか分からず皆担当教員を降りてしまう。
故にこのクラスの体育教師は、固定の教師が居らず常に2・3人の教師がローテーションにて受け持っている状態なのである。

「何所かに2-Aの体育教員をこなし、なお広域指導員を出来るような超人的な先生はいないものかのぉ。そんな人材がおったら、魔法先生でも霊能教師でも元暴走族教師でも、今だったら何でも雇っちゃうんじゃが」

一人ボソッと呟く近右衛門、そんな都合のいい存在がある筈無いと分かりつつも言葉に出してしまう。


……しかし、世界は彼を見捨て無かった。


何回目か分からない溜息をついたその瞬間、激しい轟音と地響きが中等部校舎を揺るがす!!
隕石でも落ちてきたかのような音と衝撃が、学園長室にまで響く。

「な、何じゃー!!?」

驚き、窓から外を覗く近右衛門。
見ると其処には、地面に人の形をした穴がポッカリ開いた。

「……」

行き成りの事態に、ポカンと口を開け呆けてしまう。

「……取り合えず、行ってみるかの。」

何とか立ち直り冷や汗を垂らしつつ、確認の為に近右衛門は外へと向かった。



「いって~~ってってってって……ちっくしょう、親びんの野郎思いっきり投げやがって、もうちょっとで死ねる所だったてば。」

自分の形の穴から這い出しその場に座り込み、ナルトは自分を投げたブン太へと文句を垂れる。
普通、『死ねる所』どころでは無く間違いなく『死ぬ』のだがこの男、あちこち汚れてはいる物の外傷は全く見受けられない。

「あ~のクソ蛙め~!!オレってばアレだ!やっぱりあいつ等みたいな両生類が大っ嫌いだぁ!!!!」

そんな事を一人で巻くし立てていると、背後の方に人が近づいて来る気配をナルトは感じ取る。
気配消さず、足音すら消さずに近づいて来る事から敵意とかそう言った物は無いだろう判断できる。

「だれか来んな…………ま、いっか。ここが異世界だって言うんなら、誰かに会って話を聞いた方がイイに決まってるって!」

楽天的に考えてナルトは、こちらに近づいて来る者が自分の所まで来るのを待つ事にした。
成長し相手の気配を感じ取れるようになりそれなりに頭が回るようになっても、こう言う前向きと言うか楽天的と言うかお調子者というか、そういう所は変わってないらしい。


「…………不躾な質問で悪いんじゃが~、君は何者じゃな?」


ナルトの真後ろに立った人物、即ち近衛近右衛門はその人物を近づくと静かにそう問いかける。

「名前は、うずまきナルト。木の葉が隠れの里の忍者で上忍……そう言うアンタは?」

相手に背を向けその場に座り込んだまま、ただ油断無く気は張りつつナルトは喋る。

「ワシか?ワシは、近衛近右衛門。この麻帆良学園の学園長じゃよ。」

「マホラ……ガクエン~? 聞いた事無いなぁ、こんなだけ大きな里なら聞いた事ある筈……やっぱり異世界とか言うやつ決定かってばよ。」

首を傾げながらそんな事をブツクサと言うナルト。

そんなナルトの後姿を見る近右衛門、彼は心中かなり焦っていた

(此れだけ無防備に、背中をも向けて座ってるだけだと言うのに全く隙が見えん……。)

背を向け無防備に座っている目の前の青年、しかし近右衛門にはその姿に全く隙を見つかられない。
もし少しでも敵意を見せようものなら、目の前の青年は一瞬で反撃に移れる。
そんな考えさえ起させる程、全くの隙が見受けられない。

今更ながら近右衛門には、この場に一人で来た事が悔やまれた。
もし目の前の青年が敵ならば、もしこの場で戦いが起こったのならばいかに自分でも唯ではすまない。

(本当、今更じゃがの……遅いかもしれんが念話でタカミチにも連絡しとするか)

なるべく焦らず冷静さを保ち、何をしているか悟られないように外面にも気を使い近右衛門は、念話にて広域指導員のタカミチ・T・高畑へと緊急の連絡を取った。

《……聞こえるかの?》

《はい、どうしました学園長?》

《至急、学園長室方まで来て欲しいんじゃ。姿を隠してのう。》

《轟音がしたので、たった今そちらに向かっているところですよ……何かあったのですか?》

《うむ、不審者……と言って良いかどうかは疑問じゃが。少々、不思議な青年を見つけてのう。出来れば少々相手の出方を見たいから、隠れて待機していて欲しいんじゃ。》

《不思議な青年……ですか。そういう事ならわかりました。》

《よろしく頼のぞ。》

念話を終え、心中少しばかり胸を撫で下ろす近右衛門。
その間も、ナルトへの警戒は怠らずに続けている。

そのナルト本人は、気こそ緩めて無いものの相変らず無防備な姿勢でなにやら考え込んでいる。
時々ブツブツと漏れる独り言が、知らない者から見れば少々不気味だ。

「……兎に角、こんな所で立ち話もなんじゃ。込み入った事情がおありの様じゃし、どうじゃな?ワシの部屋にでも来て、茶でも啜りながら来て話すと言うのは?」

タカミチが近くに来た事を確認できると、近右衛門は一種の賭けに乗り出した。

もし目の前の男が、自分達や学園に何ならかの害をなす為にこの場に現れたのだとしたらこんな申し入れを受ける意味は無い。
ここまで隙が見えないのだから、目の前の男は相当に腕が立つのであろう、下手したら自分よりも強い可能性すらある。
そんな力を持つ男が、わざわざ今の申し入れを受ける必要はなく、この場で自分に手を出してくれば良いのだ。
何せたった一人で目の前のに立っているのだ、態々こちらのホームグランドに来る必要は無い。

だが反対に、この青年が害をなす敵では無いとしたら。
近右衛門は、一先ずそちらの可能性に賭ける事とした
当然、安全策としてタカミチを近くに待機させているし、自分自身も即座に使える無詠唱魔法、速攻の攻撃方法などを頭に思い描かせておく。

しかし、帰ってきた言葉は彼の予想に反して、なんとも気の抜けるものだった。

「ああ、いいてばよ。オレってば腹も減ってるし、出来れば飯も出してくれっとあり難いんだけど……」

ゆっくりと立ち上がり、その首をコキコキと鳴らす青年もといいナルト。
あっさりと、正に拍子抜けするほど楽天的な、それでいてサバサバとした明るい口調。

「……そうか、では着いて来てくれるかの?」

「あいよー……ふぅこれでようやく落ち着けそうだてばよ。」

無造作に振り向き、手を頭の後ろに組み背伸びをするナルト。

(なんか~……めちゃくちゃ軽いのう。)

余りの緊張感の無さに、近右衛門は先までのの自分の警戒がなんか馬鹿みたいに感じられた。



「……なるほどのぉ、それでここに来てしまったと言う訳か。また、随分と難儀じゃな。」

「あ、やっぱり近衛のじっちゃんもそう思う? オレってば、流石に今回は死をマジで覚悟しかけたからな。」

学園長の部屋で床に座り、ラーメンを啜りながら親しげに談笑する二人。
あの後互いに質問し合い、その事情や世界の事などを説明し合ってる内に何時の間にこの様な仲になっていた。

近右衛門は、最初こそ警戒しいつでも攻撃等に対処出来るように心がけていたが、話してるうちにナルトの人となりや性格が掴めて来て、彼自体が真っ直ぐな信用の置ける人物である事を眼力から見抜き。
ナルトは、近右衛門が今なお敬愛している人物の一人、三代目火影よ似通った雰囲気を持っている事からすっかり警戒を解き。

そして、いつの間にやらこんな雰囲気が出来上がった。

「……ふむ、そうなるとナルト君はもう帰れないと言う事に成るの。良いのか? 聞いた話じゃと、君には夢が有るのじゃろ?」

「ん? ああ、確かに諦めはつかない……って言うか諦める気も無いけど。けど本当に帰る方法が無くて、一生こっち暮らさないいけないととしてもだ! オレの夢、『誰もが認める最強の火影』って言うのは別にこの世界でも実現可能だって!!」

『諦める気は無い』、この言葉が表わすようにナルトは未だに元の世界に帰ることを諦めていない。
当然と言えば当然、いかに能天気のような彼でも自分が居た世界をそう簡単に捨てられる筈も無い。
ようやく自分が里の中で認められるようになり、多くの仲間が出来ただけにその思いは強いだろう。

しかし、それで止まる彼でも無いのだ。
ナルトという者は、起こってしまった事態にただ流されるだけ可愛らしい性格をしていない。
むしろそれに足掻き、もがき、無様でも『諦めない』と抗い動き続け、そして最後には結局何とかしてしまう。
そう言う人物、それが『うずまき ナルト』。

「しかし……この世界にも忍びの里はあるが、君が居たような世界の物は大分異なるぞい? その~火影と言う称号も無いしのぉ。」

申し訳無さそうに、ナルトの言葉に残酷であろう事実を告げる。

「無ければ作ればいいてばよ!! オレがこの世界の初代火影にって存在になって! んで、皆にそれを認めさせる。何所までも『自分の言葉を曲げない』、昔も今もそれが俺の『忍道』だってばよ!!」

無ければ作る、『諦め』てなんてやらない。
その瞳に強い意志を宿し、その言葉に確固たる決意を乗せ、意外性No1のドタバタ忍者うずまきナルトは、ハッキリとその『忍道』に乗っ取り宣言する。

『異世界に飛ばされもう帰れないかもしれない』、その程度の事実で彼を止める事は出来ない。
止まらず夢に向かって突き進む、壁を乗り越え時には粉砕すりして彼は今まで生きてきた。
その彼にっては、『異世界』などと言うのは壁にすらならないのかもしれない。

(この歳にしてこれ程の強き意志の篭った目を…………これなら任せられるかのう?)

近右衛門は、ナルトの目に宿る意思の炎その真っ直ぐな信念を垣間見てある事決心した。
それは……。


「では、どうじゃな? 先ず手始めにここで教師をして見て、ここ者達からそれを認めさせていくというのは。」


とまぁ、そういう事。


「……マジ?」

瞬間、その言葉を理解したナルトは、聞き間違いではと言う思いと共に一言聞き返す。

「マジじゃ」

それに即答、近右衛門。

「いやけどさぁ、オレってばやらないといけない事が……」

「火影と言う存在は武勇、知略、そして指導力に優れた者が成れるものでじゃろ? なら、ここで生徒達に教えその指導力を身につけいってはどうじゃな?」

会話の中で、火影とはどれ程凄いものなのかは散々ナルトが説明……と言うか語った故の言葉。

「いや、けど……」

「それに、この世界に無いものを行き成り認めさせる大変な事じゃよ。先ずは一部の場所から認めさせ、そこから広げていく方が効率は良いぞ?」

「でも、それでも……」

「それに、ここを出て行ってどうやって食べていく気じゃな? この世界の通貨は持っておらんのじゃろ? これからも色々と入用になるじゃし、ここで教師として働くのも悪くは無いと思うんじゃが?」

ナルトは、なんとか言い返そうとするもそこは海千山千の近右衛門、付け入る隙を与えずナルトを絡め取る。
話術が得意では無いナルトは、どんどんと逃げ道を塞がれていく。

そして…。

「……だ~~~~~!!!分かったよ!ここで教師として働く!!そんかわし、ここをオレの火影忍伝の中心地にさせてもらうからな!!」

終に折れた。

「ふぉふぉふぉ……かまわんよ。ワシも君が何所まで行けるのか、見てみたいしの。」

そう言いながらその懐から、一枚の用紙を取り出しナルトの前に置く。

「それじゃ、ここにサインを。」

その言葉に従い、ナルトは指された場所にサインを入れた。
それを確認し、近右衛門は嬉しそうな好好爺の笑みを浮べ告げる。

「これで君は正式にこの麻帆良学園、女子中等部の教師じゃよ。教える科目は『体育』……なぁに、忍者である君には簡単な事じゃよ。」

「しょうがない…………ま、でも、やるからには全力投球!!ビシバシ行くってばよ!!!」

「あ、そうじゃ。この世界では先にも話した通り、魔法使い達がいて魔法使いの世界というものが有る。彼等は普段、魔法を一般人に隠しておる。君の忍術もも魔法のそれに近い様じゃから、生徒達やほかの教員達にも隠しといてくれ。」

「……なんかメンドーだな。まぁ、そういう事なら分かったって。」

「ふむ、ではこれからヨロシクの。ナルト先生。」

「オウ!!……なんかさー、先生って響きくすぐったいけど良いな。」

そう言って異世界、麻帆良学園で教師をする事になったナルトは、昔らか変わらぬ無邪気な、それでいて明るく太陽の様に力強い笑みを見せるのだった。


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麻帆良忍風帖だってばよ!! その2 『史上初? 忍者先生の誕生!』

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