HOME
| 書架
|
当サイトは「魔法先生ネギま!」関連の二次創作投稿サイトです。ネギま!以外の作品の二次創作も随時受け付け中!
書架
その5 『踊るバカレンジャー線~学年最下位を回避せよ!!~(弐 』 投稿者:M・Tミゲ 投稿日:07/05-22:08 No.881
「なーるほど。つまりテストの為にその読めば頭が良くなるって言う、『魔法の本』を探してここに来たって事なんだな?」
図書館島、その地下へと続く階段を下りながら夕映の説明を受けたナルトは、確認するように聞く。
「ええ……いけませんか?」
夕映は、淡々とした口調でナルトに聞き返した。
「何がだ?」
「そんな物に頼って、テストの点を取ろうという事です。」
「ああ、別にいいんじゃねぇか?」
しれっと、それでいてさも当然のようにナルトは言う。
確実に反対されると思っていた夕映は、そのナルトの余りにもあっさりした態度にそれに答えに目を見開き驚きの色を顔に浮かべる。
「少し驚きました。うずまき先生でしたら、間違いなく反対すると思っていたんですが。『テストぐらいでそんな物に頼るな!気合と根性でどうにかろ』、とか言って。」
「……オレはどこぞのゲジ眉師弟よろしくの、努力バカ熱血漢じゃ無いってばよ。」
ナルトの脳裏に一瞬、サムズアップで親指を立ててニッカリ笑うおかっぱ頭の師弟が浮かぶが、それを必死になって忘却の彼方へ追いやる。
「出来ない事を何か他の道具に頼って何が悪いんだ? 勉強が出来ない、出来るようになる為に頭が良くなる本を使う。その行為のどこが間違ってんだ?……少なくとも出来ない、出来ないって言って、諦めるより数百倍マシだってばよ。」
出来ないから、何か他の物を使い出来るようにする。
これは、一つの極論でありある意味での正論だ。
古来から人間とは、己の身一つでは困難な事柄に対してその知恵を使い道具を生み出し、それを利用する事で不可を可能に変えて発展してきた生き物。
この場合も、バカレンジャーにとって困難なテストで点数を取ると言う行為を、『魔法の本』と言う道具を使って何とかしようと言う上記に適った行いだ。
理屈で言うと、ナルトが言うとおり間違いではあるまい。
ただ、今回の事に限り、何所か、何か、なんだか根本的な部分で、間違っているような気がしないでも無いが。
「その本一つで頭が良くなる。んで、テストの点も良くなるって言うんだったら、それはそれで儲け物だってばよ。てな訳で、オレも協力っすから気合入れてその本を見つけんぞっ!」
気合を入れ、高らかに手を天にかざすナルト。
「ナルト先生、気合入ってるアルな~。」
「うん。なんか頼もしいね。」
古菲、まき絵がその背中を見て楽しげに言う。
(ふむ……やはりこうし見ているだけでは、普通の一般人と何ら変わらぬでござるか。この御仁、本当に何者なのでござろうな~?)
その様子を、少し遠目に眺める楓。
それとなくナルトを監視しているが、それに気付いているのか気が付いていないのかナルトはどこまで何時ものままだ。
(監視していてもその素性が分からないなら、それとなく仕掛けてみても良いかもしれないでござるな。)
魔法先生ネギま
~麻帆良忍風帖だってばよ!!~
その5、踊るバカレンジャー線~学年最下位を回避せよ!!~(弐)
「しっかし、すげぇ量の本だな。」
視界に映される光景、それを呆然と眺めながらナルトは言う。
目の前に広がる本の山、山、山。
何十にも重なった本棚に納められた本、それの山。
その様は正に知識の山、そう呼ぶに相応しい光景だ。
「ホントに凄い……見てください!これなんか、すっごく珍しい本…」
「あ、ネギ先生。貴重本狙いの盗掘者を避けるために……」
はしゃぎ、喜び勇んで一冊本を本棚から取ろうとするネギ。
それに気付き夕映が止めよとするもしかし、それは少々遅かった。
カチッ……
本に手を書けた瞬間、そんな音がした。
さらに何かが弾かれる音、同時に風を切り裂きネギに迫る矢。
それに気が付いた楓が、ネギへと到達する前に矢を掴もうとする。
が、しかし。
「うひゃッ!!!?」
「!!?」
その矢は楓の手を、そしてネギをも避けるの様な軌道を取り、あっさりと本棚の一角に刺ささった。
「――ワナが沢山仕掛けられているので、気をつけて下さい。」
「うっそー!!」
「死ぬわよ、それー!!」
まき絵と明日菜が、喚くように驚きの声を上げる。
流石の彼女たちも、目の前の非常識な自体に目に涙が浮かんでいる。
(おかしいでござるな……)
そんな中矢を掴み損ねた楓は、突き刺さった矢を見ながら心中呟く。
(あの軌道では間違いなく矢は、ネギ坊主に刺さっていた筈でござる。読み違えた…………ん?)
何気なく下げた視線、その先の床になにやら黒く尖った物を刺さっている。
(っ!! これは手裏剣!?)
しゃがみ込み、手にとって見るとそれは彼女にとっても馴染み深い物。
忍具・『手裏剣』。
忍者と呼ばれる者たちが考案し、そして使用してきた忍の道具それがすなわち忍具。
その中で最も使用頻度が高く、そして最も知られている物それが手裏剣だ。
用途によって様々な形をしているが、基本は十字型にかたどられ刃であり中心に穴が開いていると言う物だ。
扱いが簡単で汎用性が高いが、その分それ一つで使用者の技量が如実に現れる。
(何故こんな物がここに?……別段と視線や気配は感じないでござるから、他の忍が影から付けて来ていると言う事は考え難い。となると、この中にこれを投げた者がいるという事でござるが……。)
そこで楓は、ざっとこの場にいる面子を見回す。
この中の誰かが自分と同じ“忍”である可能性が有る、それも自分に投げられた手裏剣の存在すら気付かせ程の技量を持った。
(……って、考えるまでも無いでござるな。)
そんな事が出来そうな者、その可能性がある者、外部の者で無いとすればこの中には一人だけ。
「~♪」
口笛を吹きながら楽しそうに辺りを見回してる体育教師、うずまきナルトその人のみである。
(そうなると、ナルト先生は忍者と言う事になるでござるな。それならば今までの運動能力や、体育のでの変わった授業の事も説明がいくでござるし……やはり最初の黒板消しの事は、演技でござるかな?)
楓は、気付かれぬように何気なく視線を向けたっという風にナルトを観察する。
今の彼の服装は何時ものジャージ姿でも背広姿でも無く、紺色のアンダーウェアに緑のやたらポーチの付いたベスト、それにこれは常に着用しているがマークの入った金具が付けられているバンダナと言う格好だ。(つまりは木の葉の忍服。)
……格好的にも、忍者に見れなくも無い。
(確かめる為にも、やはり隙を見て仕掛けてみるが吉でござるかな。ニンニン♪)
取り合えず、ナルトと楓の忍対決もそう遠くは無さそうである。
合掌(ナルトの受難に)
◆
「皆さん。この先に休める場所が有るそうなので、そこでお弁当にしましょう。」
地上と連絡を終えた夕映が、全員に呼びかける。
「おー♪」
「待ってたアルよー!」
全員が休めるだけの広さがるある場所に、シートを引き弁当を広げるバカレンジャー+α。
ここに来るまでにも多くのトラップがあり、それら全てを異常な体力切り抜けてきた彼女達。
ある場所では落とし穴に落ちるのをリボンで回避し、ある場所では落ちてくる本棚、本の雨を弾き返しそれらをあっさりと掴み集めたりして、兎に角とんでもない体力のみでこの図書館島を切り抜けてきた。
ぶっちゃけ、腹も減るだろう。
「あ、これオイシー。」
「ポテチいる人~」
「欲しいアル~!」
広げられたサンドイッチ、お菓子などを全員でワイワイと食べる。
当然ナルトも、夕食が未だであったためその食事を存分にと味わう。
(美味いのは良いんだけど……ラーメンはねぇのがちょっと残念だってばよ。)
そんな事を考えているナルト。
取り合えず、弁当でラーメンを持ってくる奴はそうは居ないと思う。(たまにカップ麺と、お湯持参して来る奴もいるが……(作者経験談))
因みに此処までのナルトの活躍、最初の手裏剣により矢の方向転換を除けば可も無く不可も無くと言った所。
今の所は目立った活躍は無し。
「……ん?」
そこでネギが、妙は気配というか空気と言うかそんな物に気が付く。
「……アスナさん、ナルト先生。」
「ん?」 「あん?」
「先程から感じていたのですが……この図書館、変ですよ。」
「え?どういう事よ?」
「つーか、変だって言うのは分かりきってる事だと思うってばよ。」
全くである。
ナルトの観点から見ても、こんな図書館はやっぱり異常。
忍びとして生きて来たため、トラップにもそれなりに許容認識があるナルト。
流石にナルトの世界でも、図書館にこんなにトラップを仕掛けたりする事は無いだろう。
禁術を記した書などが封じられてる場所ならば別であろうが、それにしても図書館全体にトラップを仕掛ける事はしまい。
……そもそも普通の図書館は、こんな本を読ませる気が有るのか無いのか分からない作りはしていない。
「いえ、そういう訳では無くて。何かこう……僕のとは別の魔法の力を感じます。」
「「!?(魔法の力……!?)(魔法!?)」」
ネギのその言葉に、アスナは純粋な驚きを、ナルトは驚きの中に期待の篭った表情をそれぞれに浮かべる。
「ちょっ!それってどーいう意味よ……って言うかアンタ、うずまき先生の前にそんな事を言っていいの!?」
「いえ、何となくですけどそんな感じがするんです。あ、それとうずまき先生は既に知ってますので……。」
「……ふーん、てことはこのうずまき先生もやっぱり魔法使いなの?」
「いえ、そういう訳では無く……」
「オレは忍者だってばよ。忍者。」
気楽に、そして軽くナルトは、自分の正体を暴露する。
学園長より、なるべく秘密にするように言われているのに臆しも迷いも無く、即答とはコレいかに……。
「に、忍者!!?……あ、いや逆に納得か。」
その暴露にアスナは、最初こそ驚きの表情を浮べるものの、その顔はすぐさま納得の物へと変わってしまう。
彼女は、ナルトの異常な運動能力、妙な発言、妙な授業をに前々から 『なんか、忍者ってイメージよね~、この先生って』 等の考え忍者服姿のナルトを想像していたりしていた。
そこにこの発言、驚きよりも納得の方が強く感じていまう。
「んで話を戻すけど、それってやっぱり『魔法の本』が本当に有るって言う事?」
あっさりと話を戻す明日菜。
……まぁ今更この2-A(クラス)に忍者の先生が一人増えたところで、そこまで大騒ぎする事では無くなっているのかもしれない。(現に明らかに忍者のなの一人いるし……)(汗)
「いや、本かどうかはちょっと……」
「――――何さっきから二人でコソコソ話してるの――?」
「今日はアスナとネギ君、ホンマに仲え~な~。」
二人の会話に、いきなりまき絵と木乃香ちゃちゃを入れる。
「なっ!……違うわよ、別に私は~」
「えへへ、アスナとネギ君は何時も一緒のベットで寝てるもんなー。」
「「「へぇ~~~~」」」
「こっ、このかー!あれはコイツが勝手に入ってくるだけでしょ!!」
ワイワイがやがやと騒ぎだす。
「……なぁ、ネ~ギ。」
「え?あ、はい。なんですか、ナルト先生?」
その騒ぐ面子を横目に気にしながら、ナルトはネギに声をかける。
「さっき、魔力が如何とか言ってたよな?……それってつまり結局の所、魔法が、もしくはそれに関する物が此処に有るって言う事だよな?」
「え、ええ。恐らくそうだと思いますけど。」
「…………」
その言葉にナルトは顔を伏せ、沈黙したまま肩をワナワナと振るわせだす。
「あ、あの~ナルト先生? 如何したんですか、急に……」
「うっしゃーーーー!!!!」
「あわっ!!?」
ネギの言葉を遮り、ナルトは行き成り手を高らかに上げそして歓喜の雄叫び上げる。
心配して覗き込んでいたネギは、突如としたナルトの奇行に驚き尻餅をついてしまう。
「ふっふっふっふっ……ようやく、ようやく。ふふふっふっふ。」
彼には似つかわしくない、暗く不気味でそれでいて怪しい(危なく)笑みを浮かべながらナルトは、ブツブツと小さく呟きだす。
……マッドニンジャー(忍者)?
「ようやく、見れるってばよ……ふふふふふふ。」
「……あのぉ、ナルト先生~さっきからどうしたんですか?」
冷や汗を浮かべ、腰が引けながらもナルトに問いかけるネギ。
ぶっちゃけ今のナルトは、それほどまでに不気味で一杯だ。
「……ん? いや別に~、何でも無いってばよ~ネギッ。ハッハッハッ~、。」
白々しく、爽やかに、それでいて全く持って不気味に笑いながら答えるナルト。
「ソ、ソウデスカァ、ハハハハハ……」
余りに不釣合いな不気味さ、普段からは考えられないような危うさ(マッド数値)、そんなナルトにネギは片言で返すしか出来なかった。
では、そのナルトの心はと言うと。
(ようやく……ようやく、『魔法』って物が見れるってばよ!!!!!)
住居の件やら慣れない授業やらでスッカリ機会を逃し、ネギに魔法を見せて貰う事を逃してしまったナルト。
彼の世界では、子供に聞かせる御伽噺の中だけで存在した『魔法』。
ぶっちゃけ彼も、見れると期待していたソレが中々見れなくて鬱憤が溜まっていたのだろう。
(魔法~♪ 魔法~♪……ああ、どんな物かはやく見たいってばよ。)
ようやくソレが見れるということで、楽しみで仕方が無い様子だ。
……ここにあるかもと言われているのは『魔法の本』であって、『魔法』自体がある訳では無いであるが。(詳細は不明)
ま、兎にも角にも。
合掌。
◆
その後も、トラップタップリ、危険タップリの図書館を歩いていくバカレンジャー+αの御一行様。
・
・
・
その一、数百メートルはあるであろう本棚の上をバランスハイク。
「なっ……! ここは本当に図書館なのー!!?」
「本棚あるやん?」
「こんな所にある本、誰が読むのよー!!」
全くである。
「流石にこの辺りまで降りると人外魔境の様相を呈してきますね……ところでうずまき先生、そのようにピョンピョン跳ねながら此処を歩くのは流石に危ないと思うのですが?」
鼻歌まじりにスッキプしなら本棚の上を移動するナルトに、夕映は取り合えず突っ込んでおく。
「大丈夫! 大丈夫!! 今のオレは、ばーちゃん、エロ仙人、オカマ蛇が同時に襲ってきても勝てる! それくらいにハイテンションなんだってばよっ!!」
「言っている例えが、全くもって意味不明です。」
取り合えず、物凄まじく失礼な例えだ。
……特に最後が。
・
・
・
その二、なぜにかある地底湖。
「つ、冷たいーっ!なんで湖が……」
「うえー、下着がぐしょぐしょー。」
……いや、別に図書館『島』だけあって、周りは湖なので地底湖があっても不思議では無いのだが。(汗)
「んな~、ナルト先生?」
「ん? どうしってばよ、このか?」
「ウチ目の錯覚か、ナルト先生が湖の『上』を歩いてるように見えるんやけど~……」
「いや、錯覚じゃないってばよ。」
ナルト、濡れるのが嫌だからと思い生徒達の前で水上を 『水面歩行の業』 で移動。
……この男、正体をちゃんと隠す気あるのだろうか?
「どうやってるん?」
「ひとえに、修行の成果だってばよ!」
「そーか、修行の成果か~。修行すると水の上を歩けるようになるんか~。ナルト先生って、凄いんやな。」
あっさりと、『修行の成果』の一言で納得してしまう木乃香。
いや、間違ってはいないんだが……それでいいのか?
「ん、まぁな。何て言ったってオレってば将来、最強の火影になる男だかな。」
いや、本当、ほかには何も言わないから、頼むから、隠そうとしてくれ。
・
・
・
その三、ロープを使って下が見えないほど高い本棚からの降下。
「ひえっーーーーーー!!!」
「死ぬっ…! 死んじゃうよぉーーっ!!」
いかに運動能力が優れていようと、普通の女子中学生はこんなこと怖くて出来まい。
……何人かやっぱり全く持って平気、いやそれどころか楽しんでいる者達がいるがまぁそれは割愛しておくとしよう。
「ナルト先生、今度は垂直に壁降りてるように見えるんやけど~、それもやっぱ修行の成果なん?」
「ん~このか~、同じネタを二度やるのはNG……。」
「その発言もNGや♪」
ガコンッ!
木乃香の宝○、『トンカチツッコミ(地味に激痛なボケ殺し)』が発動。
ナルトの頭を直撃し、中々に言い音を立てる。
「……痛い。地味に、それでいてものすっごく痛いってば。(下手したらサクラちゃん突っ込み並に。(汗))」
微妙に涙目で言うナルト、その表情がまたその威力を物語る。
額から流れる血が、ギャグっぽくて言い感じだ。
ナルトは、その痛みに誓う事にした。
(このかの前で、ボケるのはなるべくよそう…………痛い。)
ちょっとした学習をするナルトであった。
何だかんだと言いながら、意外と順調(?)に進む一行。
(『魔法』が見れることに浮かれたナルトの、ギリギリな行為や発言が多少見受けられていたりするが)。
そしてついに彼等は目的の物、即ち頭が良くなると言われる『魔法の本』が置かれている部屋へと辿り着く。
「す、すす、凄すぎるーっ!! こんなんアリー!?」
「私、こーゆーの見たことあるよ!! 弟のPSで!」
「ラスボスの間アルー!」
彼女達の目の前に広がる光景、それはさながら秘法の遺跡の最深部の如き場所。
照らされる壮大な部屋、石造りでありながら所々装飾の施された壁や天井、その奥には小さな高台がありその場に佇むは二体の巨大な石像。
そしてその二つの巨体にはさまれる様に置かれている物、それこそが目的の物である筈の『魔法の本』
即ち。
「!? あっ……あれは!!!」
その本を見たネギが、いきなり驚きの声を上げる。
「ど、どうしたのネギ!?」
「あの本は伝説の『メルキセデクの書』ですよ!! 信じられない! 僕も見るのは初めてです!! なぜこんなアジアの島国に!?」
『魔法の本』改め『メルキセデクの書』。
ウルガタ訳聖書『創世記』によると、メルキセデクと言うのは人の名前でサレムの王、至高の神の司祭であるメルキセデク。
この書は、恐らくその彼が記したされる物なのだろう。
「ふーん…あの本ってば、そんなにすごい物なのか?」
「す、凄いもなにも、あれは最高の魔法書ですよ!!! 確かにあの本ならちょっと頭を良くするぐらい簡単かも……。」
「そ、そんなに凄いのか……ただのボロい古本にしか見えねぇんだけどなァ。」
聖書に書かれる人物が記したと言う事は、少なくても紀元前よりの産物。
歴史的価値や考古学的価値だけでも、その価値は量り知れない。
もっとも、本に興味のない者から見ればただのただの古臭いボロ本に過ぎない訳だが……。
「兎に角、あの本さえあれば最下位脱出できるんでしょ!!」
「やったーーー!」
何人かが、本に向かって駆け出す。
「一番ノリある~!!」
「あ~私もー!」
本の置いてある台へ、一直線に走り出す。
ようやく目的の場所に辿り着き、ようやく目的の物を見つけたので彼女達も気が抜けたのだろう。
そういう瞬間に限り、大抵が抜き差しならないどんでん返しがあったりする。
「あ! みんな待って!!」
その後を追うネギ、木乃香。
「あんなに貴重な魔法書、絶対ワナがあるに決まってます! 気をつけて!!」
大声で呼びかけるネギ、しかしそれは少し遅かった。
次の瞬間、台へと通じる渡し盤が突如として割れる!
そして!そのまま奈落の底にまっさかさまぁ……………
「キャーッ!!!!」 「いたー!」 「わぁ!!」
…………にはならなかった。
「おーいお前等ァ、大丈夫か?」
唯一落ちなかったナルトが、上から座り込んで声をかける。
「いたた…。」
「……え?な、何これ?」
割れた渡り盤の下にはちゃんと足場があり、そしてその足場には何やら書かれた一つの大きな石版が置かれていた。
その石版に書かれていたもの、それは……。
『☆英単語TWISTER☆ ver10.6』
「コレって…?」
「ツ…ツイスター……ゲーム?」
アスナ、まき絵が呆然とそれを見て呟く。
と、その時。
『フォフォフォ』
突如として妙な、そして何所かで聞いた事がある笑が聞こえる。
そしてその刹那、石像の目に光が宿りその巨体が行き成りと動き出す!
『この本が欲しくば』
『ワシの質問に答えるのじゃー!フォフォフォ♪』
「キャーーーーーーッ!!!!!!?」
巨大な動く石像、いわゆる俗に言うゴーレムがそれぞれ剣、石槌(ハンマー)を構え本の前に立ち塞がる。
「ななな!石像が動いたー!!?」 「いやー!!」 「おおおお!?」
こんなファンタジーがその眼前に、しかも唐突に出てくれば誰だって大抵は驚く。
ましてやそれが現在に日本人、それも一般的な女子中学生なら直の事だ。(ここにいる者達が、一般的あるかどうかはたはた疑問が残るが…。)
「すげぇ……石像が動いてるってばよ。これが魔法ってやつかぁ。」
呆然と、そして目をキラキラと子供のように輝かせながらナルトはゴーレムに見入る。
彼にとっては待ちに待った 『魔法』 らしい魔法、驚きよりも喜びが勝っているようだ。
(でも、あの声は間違いなく近右衛門のじっちゃんの声だってば……微妙にじっちゃんの気配もするし。)
ただ流石に忍者、興奮しながらも隠された(?)事実、隠れている人の気配にあっさりと気が付く。
(って事はあの動く巨大石像は近右衛門のじっちゃんが動かしてる?……傀儡の術に近い物か?)
忍術・『傀儡の術』
ナルトの世界で、忍達が使う特殊な術の一つ。
カラクリ人形を、己がチャクラ (体力や精神力に密接に関係してる生命エネルギーの類い) の糸にて自在に操る術。
その操れるカラクリ人形の量によって、その傀儡師(忍者)としての技量が見て取れるもの。
ただ意外に難しい術で、その使い手は少ない。
技量の高いもの程、同時に扱えるかカラクリ人形の数が多いとの事。
(でも、気配がするって言ってもなんか遠くにぼやけてる様な感じなんだよなぁ。それあそこまで巨大な人形を操るなんて……やっぱり魔法ってすげぇってばよ!!)
彼の世界にも両手の指の数の傀儡人形を同時に操ったりする者や、100体もの人形を同時に操るような化け物じみた術者もいる。
だがここまで巨大なしかも石像の人形を、遠隔でチャクラの糸さえ感じられない状態で操れる術者などまず存在しない。
少なくとも、ナルト自身は見た事も聞いた事も無い。
故に目の前の光景は神秘であり、そしてそれは彼の想像していた『魔法』 = ナルトにとっては興奮歓喜の物と言えよう。
(これなら、”あ~んな魔法”や“こ~んな魔法”もあるかも……ウッシッシッシシシ、楽しみだってばよ!)
今の彼の表情、ぶっちゃけ『イチャイチャパラダイス』の新刊が出ると知ったときの彼の担当上忍そっくりだったりする。
下でゴーレムのだす英単語ツイスターに苦戦中の生徒を忘れ、ナルトはそのゴーレムの動きに魅入っている。
いや、彼が英単語なんぞ分かるわけ無いから、特には問題は無いんだろうけどさ。
何はともあれ、合掌。
◆
ツイスターゲームも、段々と佳境に入っていく。
「あたたたたたたっ!!!」
「痛い! いたいです……」
「きゃぁーーー!!」
「も、問題に作為を感じるです……。」
「死ぬぅ!! 死んじゃう~~~~!!」
ごちゃごちゃこんがらがり、一体どうやったらそんな体勢なるのか分からない状況に陥るバカレンジャー。
本当(マジ)に作為でもあるんじゃないの? と聞きたくなるよう状態である。
『では最後の問題じゃ、『DISH』の日本が訳は?』
「え…ディッシュ……?」
分からず古菲が呟く。
「ホラ! 食べるやつ!!食器の……!!!」
「メインディッシュとかゆーやろー!」
ネギと木乃香が必死に叫び、ヒントを出す。
「わ……わかった! 『おさら』ね!!」
明日菜がそのヒント、いち早く答えを割り出す。
「『おさら』 OK!」
体勢が辛いせいか、明日菜そしてまき絵が慌てて手足を動かす。
「「お!」」
「「さ!」」
苦しい体勢に耐えながら、必死にそして急ぎ慌てて文字に手足を置いて行く。
……しかしそこで焦り、慌てたのがいけなかった。
時間制限が特にある訳では無いので、しっかりと確認すればこんな事にはんらなかったであろう。
自業自得なのか、それも相手がこれを見越して作為的に慌てるように問題を出していたのかそれは分からないが。
兎に角、詰まるところ何が言いたいのかというと。
「「ら!!!」」
そして押されるのが、『る』の文字。
「…………」
「…………」
「…………」
辺りが沈黙に満たされた。
「……おさる?」
『ハズレじゃな。フォフォフォ…』
「ちがうアルよーーッ!!!!」
「アスナさん―――!」 「まき絵―――!」
痛恨のミス。
「る」と「ら」の場所を間違え、そして答えは不正解。
そして振り下ろされるは無情の鉄槌、すなわちゴーレムの持つ巨大なハンマー。
振り下ろされたそれは、轟音を立てそしてあっさりと彼女達の足場を崩し去った。
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!!」
「アスナのおさる~~~~!!」
反応する間もなく、あっさりと彼女達はその場所から落ちていく。
まっさかさまに、暗闇の底に、これはいくらなんでもと怪我するだろって言う勢いで。
「……いや! 近右衛門のじーちゃん、それはいくらなんでもやり過ぎだってばよぉ!!!」
ゴーレムに見とれていたナルトも、流石にこの事態に我に帰る。
そしてそのまま、なんの躊躇いも迷いも無く、さも当然と言うように。
ナルトは、その身を皆が落ちた穴へと投げ出した。
「間に合うか……? いや!! 間に合うとか間に合わないとかじゃなくて、間に合わせるんだってーのォォ!!!!!」
ナルトは、咆哮と共にその身を加速させた。
TRY NEXT NEGI MAGI THE BOTTOM OF THE EARTH LIBRARY OF PHANTOM……
HOME
| 書架top
|
Copyright (C) 2006 投稿図書, All rights reserved.