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人修羅先生!(×真女神転生3) 投稿者:ナポリ 投稿日:04/09-03:33 No.127

side 人修羅



今、俺は桜咲という名らしい少女に連れられて、学園長室の前に立っている。



その連れてきた本人は、中で学園長に事情を説明している。



案内されている間に、少しこの世界の事などを教わった。



まず、彼女があの場にいたのは、彼女が退魔士であり、あの化け物どもを



滅ぼすためにいたという事。



そして驚いた事に、この世界には魔法使いが実在し、その存在は本来隠蔽されていること。



しかし俺は既にそっち側に属しているため、教えてくれたそうだ。



さらに、これから出会う学園長はその魔法使いの関東地方の長をやっているらしい。



俺は幾分緊張しながら、中からの声を待った。






「入ってきていいぞい。」





中から聞こえてきたそんな気の抜けた声に、身体の緊張感が抜けていくのを感じながら



俺は学園長室に入った。









……



…………



………………えーーーっと



俺の前にいる生物はなんでしょう?



人?……人だよな?



「君が藤堂君かな?」



あの頭の長さは一体何なんでしょう?



確実に人の限界の長さを超えていると思うんだけど?



つまりアレは人ではない……のか?



ひょっとしてパカッと開いて中からミサイルとか、ピクシーとかでてきたり……



「君……なんかすごい失礼な事考えていないかの?」



そういえば、初めての仲魔もピクシーだったなーーー









「ちょっ、ちょっと藤堂さん大丈夫ですか!?」



俺のちょっとばかり現実逃避しちゃってた思考回路はその言葉でようやく現実に帰ってこれた。



「ああ…………ごめんなさい、すこしぼうっとしてました。」



「……まあ、いいかの、それで君が藤堂君なのかな?」



この生ぶ……違った,このちょっと変わった頭を持つ和服の老人が学園長なのだろう。



さすがというべきか、その身体にまとう雰囲気はいかにも人をまとめる者のものだ。





「ええ、俺が藤堂です。」



「刹那君を助けてくれたそうじゃな、学園長として礼を言っておこう」



そういって学園長は俺に頭を下げてきた。



「頭を上げてください、俺が助けたのはたまたまですし…………」



「しかし……やっぱりここは礼を言わんと学園長として……」



そんな不満がありそうな学園長に話を進めさせる。



「それで、俺が異世界から来たという話なんですけど……」



俺がそう言うと。



「おお! そういえばそうじゃったのう」



学園長は思い出したかのように手を打ってそう言ってきた。



「それじゃあ、刹那君は出て行ってくれるかの? 君がいては話し辛いこともあるじゃろうし。」



「……はい」



そう学園長が言うと桜咲は渋々といった顔で退出していった。





―――バタン―――





扉が閉じると同時に室内の空気が一変する。



それまでの穏やかな空気は一瞬にして消え去り、



代わりに、息苦しいまでの緊迫感があたりに漂う。



「……君は何者かな?」



それまでの好々爺とした顔ではなく、冷徹な光を目に浮かべ俺にそう質問してくる。



恐らくこの顔こそが、学園長としての顔ではなく、魔法使いの長としての顔なのだろう。



(まあ……何者と言われても答えようがないような……)



「何者といっても、話したとおり、異世界から来たものです、としかいえませんね」



そう、これ以外に答え方はないと思う。



「ふむ……それが本当のことだとして、なぜ君はこの世界に来たのかな?」



この世界に来てからずっと案内されている間その事を頭の片隅で考えていた。



結果として俺の頭は一つの仮説に巡りついていた。



「俺の仮説でよければ話しますけど、そのためには、少し長くなりますが俺のいた世界の事から説明しないと……」



俺のその言葉に、学園長は



「ちょうどいい、そちらのことも聞こうと思っていたところじゃ」



そう答えてきた。









「俺のいた世界は…………」



俺は語り始めた、あの世界の事を。



世界を新しく創世する儀式の始まり



―――東京受胎―――



その日こそが全ての始まり。



この身体が得体の知れない少年によりアクマとなってしまったこと。



世界を新しく構成しなおすコトワリのこと、異界の神を呼ぶ為の精神エネルギーであるマガツヒのこと



そして……迷ったままなんのコトワリも得ることができないままカグツチへとたどり着き何も無い世界を創世したまで。



何も包み隠さずありのまま自分の経験してきた事を話した。



そう……勇、千晶、先生のことさえも話した。



話している間に自分では涙がこぼれるかな、と話し出した時は思ったが流れなかった。



過去を乗り越えたのか、それとももう涙を流しすぎたのか、人を犠牲にしたことを涙を流すほどの事では無いと心の奥底で感じているのかは分からなかった。












話終える頃には、空に浮かんでいた月は落ち、代わりに地平線から太陽が顔を出していた。



学園長は目を赤くし、泣いていた。



「まさか……そんなことが……」



学園長の口からはそんな言葉がこぼれ出る。



自分でも相当ひどい人生だと思う、正直仲魔に支えてもらえなければ



途中で死んでいたか、精神が壊れていたと思う。



「それで、俺がこの世界に来た理由なんですけど、恐らく、最後の時に望んだからでしょう」



そう……だと思う。



あの混沌の世界には大量のマガツヒがあった。



マガツヒは神をも召喚するもの。



あれだけあれば、異世界への移動も逆召喚の要領で可能だと思ったから。



「それでは、君は望んでこの世界に?」



幾分立ち直ってきた学園長がそう俺に問う。



「正確には、人のいる世界を望んだんですけど、この世界になったのは偶然でしょう。」



偶然なのは確かだろう、俺はこんな世界まったく知らないし。



「それで、君はどうしたいのかね?」



この質問への返答は俺の今後を決める重要なもの。



そう感じ、俺は少し思案してから答えた。



「俺は……この世界で人のために生きようと思います。」



俺は学園長の目をまっすぐに見つめそう答えた。



この気持ちは、俺の人としての本心からの思い。



ボルテクス界で、人を傷つけることしかできなかった俺なりの償いでもある。



「それじゃあ君の今後についてだが……今日はもうワシもこれから仕事があるから今日の夕方にもう一度きてくれんかの? その時に君の今後については決めようと思う 夕方までは真帆良を回ってみると良い……服はこちらで用意させよう、そのまま歩き回られたら変質者として通報されてしまうからの」



そのフォッフォッフォッと笑う学園長の言葉で俺は自分の格好を確認してみる。



俺の今の格好はボルテクス界にいたときと全く一緒。



つまり、上半身真っ裸(びっしり刺青入り)な訳で……



人、それを変質者という! って感じだな。



そう感じて俺は



「おねがいします……」



そう言うしかなかった。

人修羅先生! 人修羅先生! 四話

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