HOME  | 書架  | 

当サイトは「魔法先生ネギま!」関連の二次創作投稿サイトです。ネギま!以外の作品の二次創作も随時受け付け中!

書架

[]

人修羅先生!(×真女神転生3) 投稿者:ナポリ 投稿日:04/09-03:35 No.129

side 人修羅



俺はあの思い出したくもない地獄の一週間を乗り越えて、再び学園長室の前にいる。



目的は、俺が副担任をすることになっているクラスの担任を紹介されることになっている。



しかし、本当の目的はあの"怪奇!長頭爺さん"を痛めつけることにある。



なにしろ、あの部屋の中では、そりゃあもう凄まじい教育をしてくれやがったからだ。



アクマの体で良かったなんて思ってしまったぐらいだ



頭の中ではすでにあの爺さんを如何に痛めつけるか、そのことだけを考えている。



俺は深呼吸を一つして、勢いよくドアを蹴り破るように部屋に入った。



俺は書類に向かっている、学園長にツカツカと早歩きで詰め寄っていく。



学園長の頭に浮かんでいる冷や汗は完全に無視。



「ど、どうしたんじゃ!? 藤堂君?」



そんな台詞も聞く耳持たず。



俺は学園長を片手で締め上げた。



「あんたのせいで、俺はあんな目にあったんだ。だから、俺にもあんたを痛めつける権利はあるよなぁ」



自分で口の端が持ち上がるのが理解できる。



――ニタァ



擬音にするとそんな感じの笑みが俺の顔に張り付いているに違いない。



「ぐぇぇ、だってそうでもしないと君は先生出来ないじゃろう」



締め上げられて、青い顔をして言う学園長の



言い分は理解できる、しかし……



「分かっちゃいるが、感情面で納得いかねえんだよ!」



つまり、これはただの八つ当たりな訳だ。



「こ……この、極悪非道」



ハッ! アクマに何を言う。



すでに、青を通り越して土気色になっている学園長。



その時



「失礼しま……って何事ですか!?」



ドアを開けて現れたのは眼鏡をかけた、小さな少年だった。



俺は手を離してその現れた少年を見る。



見かけはまだ小学生ぐらい、しかし小学生はまず着ないであろう、スーツを身に着けている。



「学園長、この子は?」



まだゲホゲホ咳き込んでいる学園長に問いかける。



「おお、本当に良いところに来てくれたのネギ君。……藤堂君、彼が君のクラスの担任じゃ」



「へーー、この子が担任…………っておい」



見事なノリつっこみ



このまだ小学生ぐらいの少年が担任?



まさかこの爺さん俺と同じようにこの子にもあの教育を……それだったら俺の拳による制裁を……



「ああ、ちなみにこのネギ君は自分の力で大学卒業程度の学力を持っているから、君が多分今考えているようなことはないぞ」



人の心を読んで来るとは……見た目的に考えても本当は妖怪サトリじゃないのかこの爺さん?



「えっと、あなたが藤堂カズトさんですか?」



何故だか幾分怯えながら俺にそう質問してくる少年。



「ああ、俺が藤堂カズトだ……君は?」



そう問いかけると少年は礼儀正しく



「僕は3ーA担任のネギ・スプリングフィールドと言います。これからよろしくお願いします」



そう言ってきた。



「ああ、よろしく」



俺はそう言って握手を求めて手を差し出す。



ネギ君は一瞬驚いた顔をして、その後満面の笑みで握手してくれた。



「どうやら二人とも、自己紹介は終わったようじゃの…………ああ、言い忘れておったが藤堂君も"こちら側"じゃから、ネギ君に何か困った事があったら相談すると良い」



学園長はそう言うが俺に普通の学校生活において解決できる事なんてそんなにないぞ。



何しろ高校にも結局最後まで通って無かった……いや通えなかったからな。



「そろそろ授業の始まる時間じゃ、お互いの事は廊下で質問しなさい。」



そして俺はネギ君と共に、担当するクラスに向かった。








side 3ーA



ホームルーム前とあってざわついている教室。



「ねえ、聞いたー?今日うちのクラスに副担任が来るんだって」



そうクラス全体に聞こえるような声で言うのは3ーAの元気娘、佐々木まき絵。



「ああ、そういえばネギがなんか言ってたわね」



答えるのは跳び蹴り中学生、神楽坂明日菜。



「むむ、この麻帆良の情報通たるこの私が情報戦で遅れを取るとは……不覚」



この台詞は朝倉和美。



その情報を得て、かわいらしい罠を仕掛け始めるのが鳴滝姉妹。



この他にもこのクラスには忍者やら、退魔士といった一癖も二癖あるメンバーが揃っている。



さてさて、そんなクラスの副担任となってしまった、『人修羅』藤堂君



彼もまたこの異端揃いのクラスにおいて最高級の異端となるのだが。



人を求めたアクマ『人修羅』はこの度晴れて人のために働く事となる。



彼の運命は一体どうなる事やら……








side 人修羅



廊下を歩く間でのネギ君との会話で分かった事は



まず、ネギ君は魔法使い、その事はクラスの神楽坂に知られてしまっている事。



この事を知られたらオコジョにされてしまうらしいがうっかり喋ってくれた。



何て言うか……流石に10歳児なだけはあって何処か抜けてるな。



俺の事を魔法使いかと、聞いてきたがそこはまさかアクマです。なんて言える訳が無いので適当にお茶を濁しておいた。



そしてどうやら、俺の担当する3ーAは凄まじいクラスらしい。



昨年度の期末テストでは最下位脱出のために命懸けの冒険をしたり、高校生とドッジボールで対決したり。



それに加えて俺には学園長の孫を護衛する任務もある。



(ハァ……先行き不安だよ。)



そうこうしてる内に教室の前に着いたらしい。



すると



「あっ!すいません藤堂さん、職員室に忘れ物をしてしまったので、取って来ますから、先に教室に入って自己紹介してて下さい。」



ネギ君はそう言うが早いか職員室の方に駆けていった。



俺はポツンと廊下に取り残された訳で……どうしましょうか?



まあとりあえず教室に入ろう思いドアに手を掛ける。



(ん?ドアが少し開いている?)



ふと、上を見ると黒板消し。



(引っかかってやるのもいいが、まあ……やめとくか)



そう思ってドアを開ける。



―――ポスン



そんな音をたてて黒板消しが床に落ちチョークの粉を散らす。



それを見届けてから中に入ろうとドアの中に一歩を踏み出す。



その俺の視界に突然入ってきたのは、吸盤のついた3本の矢



ドアが開くのに連動した罠か。



(ずいぶん凝った罠を仕掛けるもんだ)



そう思いながら、右手で全ての矢を掴み取る。



そこで気を抜いたのが拙かった。



―――グイ



(ん?)



安心しきりもう一歩を踏み出した足に感じる何か引っ張られる感覚。



それもそのはず足にはロープが引っかかっているのだから



―――ガッコォン



頭に感じる衝撃。



状況を判断すると、どうやらロープに連動した、タライが落ちてきて頭に当たったようだ。



しかし、この体の耐久力は伊達ではない。



この程度、トールのハンマー、ミョルニルに比べたら、痛くも痒くもない。



何事も無かったかのようにそのまま教卓の前に立ってクラスの全体を見渡す。



えーーーっと、確かにこのクラスは凄まじいクラスのようで。



まず目に付くのが、ロボットがいること。



そして留学生なのか、明らかに日本人でない子がいること。



それも一人ではなく、複数。



それから、なんか見えづらいけど幽霊が一人。



俺を何だか警戒してる目で見ている子が数人。



後の子は怯えた目で見ている。



中でも双子なのか、ほとんど同じ容姿をしている子はガタガタ震えている。



そして流れる沈黙…………気まずい



(な……何とかしてこの場を和ませなければ)



そのためにはどうしたものか……そうだ!



「おい、さっきの罠を仕掛けた奴」



俺がそう言った瞬間双子のうちのお団子頭の方がが弾けたように声を出す。



「あ、あれはお姉ちゃんが……」



その声に慌てたようにもう一人が立ち上がって声をだす。



「ふ、史香だってノリノリだったじゃないか!!」



そういってお互いに責任を擦り付け合い口論を始める。



「おい」



「「ひっっ」」



何でそんなに怯えるんだ……俺、もう泣きそう。



「姉妹喧嘩は良くない、姉妹は仲が良いことが一番だ、それに……中々にいい罠だった」



上に意識をもたせておいた後に死角である下に張っておいた罠を確実に対象に当てる……中学生の考える罠にしては非常に出来が良い。



「「「「「「はあ?」」」」」」



ぬおっ!何でクラス中からそんな声が聞こえる?



そんな微妙な雰囲気の中ようやく救世主が現れた。



「すいません!遅れました……ってあれ?」



ネギ君……この状況を何とかできるのは君しかいない!



「藤堂さん、まだ自己紹介していないんですか?」



「ああ、すまないちょっと罠を仕掛けられたりしててな」



大体こんな雰囲気の中でできる訳がないじゃないか。



「それじゃあ、僕から……えーークラスの皆さん、こちらがこれから副担任になる藤堂カズト先生です。」



「「「「「「えーーーーー!?」」」」」



瞬間、クラスが揺れた。



「この人が副担任!?」



ネギ君が生徒たちに詰め寄られている。



……俺ってなんか教師らしくないところでもあるのかな?



「「「「「このヤク○が!?」」」」」



3―Aのこうげき



ひとしゅらのせいしんに893のダメージ



ひとしゅらのせいしんはくだけちった。



「お……俺はヤク○じゃねぇぇーーー」














どうやら何分間か我を失って暴れていたようだ。



「それじゃあ、今日のホームルームは藤堂先生への質問時間にしまーす。」



幾分、疲れた顔でそういうネギ君。



その言葉に、おずおずと何本かの手が挙がる。



当てるのはネギ君



「それじゃあ……まずは鳴滝風香さん。」



当てられたのはあの罠を仕掛けた双子の一人



「えっと、あの罠の事怒ってないんですか?」



ふむ、つまりさっき怯えてたのは怒られると思ったからか。



「いや、全然怒ってないぞ、なにしろ身体が頑丈でね、あの程度何でもないんだよ」



そういって笑いかけてやる。



それで大分クラスの雰囲気も和やかになったらしく、次々質問が飛んでくる。



「藤堂先生、歳はいくつですか?」



「えーーっと、19だな」



「その年齢でどうやって先生になったんですか?」



「…………ノーコメント」



「担当教科は?」



「数学を担当する事になっている」



「ひょっとして先生、この間私のこと助けてくれませんでしたか?」



「ん?ああ君はこの間の……あの後無事だったかい?」



「その節はありがとうございました!」



やはり感謝されるというのはいいことだな。



「じゃあ、ハルナこの人がこの間言ってた、優しいヤク○さんなの?」



そんな台詞は俺の精神の安定の為聞こえなかったふりだ。



その他にも当り障りのない質問をされた。



「じゃあ時間的にこの質問が最後ですね……朝倉さん、どうぞ」



「フッフッフッフ、先生私の質問には正直に答えてもらうよ」



なにやら不穏な空気を感じる……



「ズバリ!その刺青はなんなんですか?」



ぐっ、聞きづらいであろう事をズバッと聞いてくる。



「まあ、ちょっと前に色々あってな……元々望んで入れた訳じゃないんだが……深くは聞かないでくれ」



俺の雰囲気を察したのか朝倉もそれ以上突っ込んでこなかった



「それじゃあ次、恋人とかいますか?」



「そういった関係の人はいないな」



俺は一週間前にこの世界に来たばかりなのだから、居る訳が無い。



そもそも前の世界でも残念ながら俺には恋人なんてものは居なかった。



「あ……やっぱり」



朝倉が小さくそう呟くが俺の耳にははっきりと聞こえている。



更にそれと似たニュアンスの言葉がクラスのあちこちからチラホラと聞こえてくる。



……ちくしょう



「じゃあ、好みのタイプは?」



「包容力のある人かな?」



まあ、俺がアクマであることを包容できる人なんてそうはいないだろうが。



「んーーーまあいっか、質問は以上です」



ここはやっぱり俺が最後にまとめるべきだよな。



「それじゃあ皆さん、これから1年よろしくお願いします。」



俺の3-Aとの初対面はこうして終わった。

人修羅先生! 人修羅先生! 六話

  HOME  | 書架top  | 

Copyright (C) 2006 投稿図書, All rights reserved.