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人修羅先生!(×真女神転生3) 投稿者:ナポリ 投稿日:04/12-20:46 No.293

side 人修羅

――カツカツカツ――

夜の廊下に響き渡るのは俺の足音だけ。

現在時刻は7時

日は既に沈み、普通の生徒はもう帰っている時間だ。

ピクシーはさすがに人に見られるとマズいので、明日また召喚するという約束をして帰ってもらった。

誰も居なくなった学校というのはどうしても寂しさが付きまとう。

昼間の生徒の賑やかさを知っているから、なおさらそう感じているのかも知れない。

こんな所には長居したく無いな、サッサと見回りを終えて、桜咲の所に行くか。

そう思って、歩調を速め各教室を見回っていく。

その時にふと、何かの気配を感じた。

その気配の元を探って見るとその発生源は……

「3ーAに誰か居る?」

俺はダッシュで3ーAの教室に向かった。

教室が近づくにつれて気配がはっきりしてくる。

この感じには覚えがあった。

この気配の持ち主はおそらく、3ーAの窓際の席に居た幽霊少女のもの

確か名簿に何故か載っていた名前は……相坂さよ。

特に悪霊とかではなく一人で寂しそうに座っていたのが印象的だった。

何故、3ーAで幽霊なんてしているのか聞いてみるか……

そう決めてドアを開ける。

中には俺の予想通り、白い髪に赤みがかった目、そして今の麻帆良の制服とは違った黒いセーラー服

幽霊少女――相坂さよがそこに居た。

相坂がこちらを向き、俺と目が合う。

瞬間、相坂は

「っっきゃああああぁぁぁぁぁっっっっ!!」

凄まじい叫び声を上げた。

なっ何故だ? 何故叫び声をあげられなければならないんだ?

この状況を冷静に分析してみよう。

まず舞台は夜の学校、そして俺の現在の格好は黒スーツ姿、極めつけに顔面の刺青がうっすらと青白く発光している……

そりゃあ叫びたくもなるよな……

おそらく恐怖のためなのだろう。

口をパクパクさせて放心状態の相坂

俺は相坂にツカツカと近寄って気をはっきりさせる為、頬を軽く叩いてやる。

「おーい相坂、俺は化け物でも不審者でもないぞー」

ペちペちと叩いている内に段々と相坂の目に理性の光が戻ってくる。

「あ……あれ? 私……?」

「あーー怯えさせて悪かったな相坂」

安心させようと頭に手を置いて謝る。

「えっ? 藤堂先生? 私の姿見えてる……それに私触られてる?」

なんか驚き顔の相坂

「あっと! 頭触られるのはのはさすがに嫌だよな。」

俺は慌てて相坂の頭から手を離す。

「そっそうじゃなくて……藤堂先生何で私の事が見えてるんですか? それに私にさわれるなんて……どういうことですか!?」

身体がアクマで以前悪霊を殴って退治してました……なんて言えるワケもなく。

「まあ……ちょっと特別な体質で……」

と、無茶な理由でごまかした。

「本当に……見えてるんですよね?」

何故か念を押してくる相坂……なんだか目が潤んでいるような?

「ああ、見える聞こえる触れるの三拍子揃っているぞ。」

よく考えたら我ながら凄いな……

超一級の霊媒体質ってやつだな。

「ふええぇぇぇぇーーーん」

「ぬおっっ!?」

何故だ? 何故泣かれなければならないんだ?

とっとにかくなんとかしなくては……

こういう状況は昔から非常に苦手だ。

「おっ俺が何かしたのなら、謝るから頼むから泣きやんでくれぇぇ」

今にも土下座をしそうな勢いな俺

「違うんです。私嬉しくって……」

それから、相坂は泣きながら話してくれた。

――60年間この教室で地縛霊をしてきたこと――

――その間誰にも気づかれることが無く、逆に恐れられ避けられてきたこと――

「そっか……」

俺には相坂にかける言葉が無かった。

相坂の苦しみは相坂にしか分からない。

俺がどうこう言える事では無いから。

「だから私こうして見てくれる人が見つかって……嬉しくって泣いちゃいました。」

そう言って赤い目のまま笑いかけてくる相坂

――その顔にある笑顔があまりにも幸せそうで――

「なっ何で藤堂先生まで泣くんですか!?」

――この身体でも人を救えることを教えてくれて――

「……有難うな」

「えっ? どうしました?」

「いや……ちょっと貰い泣きしただけだ」

それにしてもこれから相坂はどうしようか?

知った以上このまま放っておくわけにはいかない。

そうだな……

「えっとさっきの話だと、相坂は学校の近くには出歩けるんだよな?」

「はっはい。最近は夜怖いのでコンビニて夜を明かしてますけど……それが?」

夜が怖いって……それで良いのか幽霊って

でもそれなら……

「じゃあこうしよう相坂。お前が夜中寂しくなったら住所教えておくから俺の家に来い、話し相手くらいにはなってやる」

幸い、学園長が用意してくれた家は学校の近くにある(まだ一度も見てないが)

そういった環境を有効活用しないとな

「いっ良いんですか? 私幽霊ですよ?」

「別に悪霊じゃ無いんだから別に気にするな、他人の好意には甘えておけよ。」

それから俺はしきりに礼を言う相坂と別れて、校内を見回って桜咲の所に戻った。

森に戻ってみると桜咲は既に息も絶え絶えといった様子だったので、今後三日に一回修行を見るという事にして帰らせた。

残ったパワーにどんな様子だったか聞いてみる

「パワーどうだった?」

「あの年齢としてはかなりの使い手ですね。それに覚えも早く教えがいがありましたよ。月並みですが、天才の部類に入ると思います。」

ふむ……才能に努力、そして信念が揃っているって事は

「……強くなるな」

「ええ……」

「それから主殿気づいておられましたか?」

唐突に質問してくるパワー

「何の事だ?」

「あの少女には人ならぬモノの気配が混じっている事です。」

ああ……その事か

「本人が言ってくるまで気づいていないフリをしてやるのが良いだろ。」

桜咲にも事情があるだろうしな。

本人が話してくれるまでは此方から心の中に踏み入るような真似はしない方が良い。

「主殿の御心のままに……それでは、私は今日の所は帰らさせていただきます。」

「今日は世話になったな。これからも頼むよ。」

「主殿の為なら……」

だんだんとパワーの姿は薄れていき、最後には何も無かったように消え去った。

「さてと、今度は敷地内の見回りか……」

パワーを見送り、そう独り言を言って見回りをしようと歩きだした時

俺の耳に

「きゃああぁっっ!!」

本日二度目の悲鳴が響き渡った。

俺の足は瞬時に声の聞こえた場所に向かって駆け出していた。

向かった先は桜通り。

だんだんと視界の先の状況がはっきりと分かってくる。

倒れている女生徒が一人――あの見覚えのある顔はたしかウチのクラスの生徒――

それに……

「……魔女?」

金髪黒マントの魔女っぽい格好をした何者かがいた。

状況から判断するにこの黒マントがウチの生徒を襲った可能性が高い。

どうやら襲われたであろう生徒は見た感じ寝ているだけのようだ。

その事実に少しホッとする。

「貴様……俺の生徒に何をした」

俺に背を向けている黒マントを少々威圧感を出して振り向かせる。

しかし、威圧感など全く気にする事無くこちらを振り向いてニンマリと笑っている黒マント

その顔の全体はは帽子で隠れていて良く分からない。

「やあ……藤堂先生」

っっ!? 何故俺の名をコイツが知っている?

「フフッ、私が誰か分からないって顔をしているな」

「お前……何者だ?」

コイツからは本当に微妙だが魔の気配がする。

こちらの世界でそういった知り合いはいなかったはず……

「ククッ、ヒドいな先生。生徒の顔を忘れるなんて」

そういって帽子を外す黒マント

月に照らされたその顔には見覚えがあった。

「お前は……エヴァンジェリン・A・K・マクダネル……だったよな?」

「ああ、正解だよ。」

黒マントの正体もまたウチのクラスの生徒だった。

「で……何をしていたんだ?」

「私の二つ名が『闇の福音』だと言ったら、大体予想はつくだろう?」

いや全く分からないんだが……

そもそも俺はこの世界の裏の事情など全く知らない。

「それってどういうことだ?」

俺がそう口に出した瞬間、エヴァンジェリンはガガーンと音が聞こえそうなくらいショックを受けていた。

「私はそんなにマイナーなのか? いや、私が活動していなかったからか? どっちにしてもこれじゃあ得意そうに名乗った私が馬鹿みたいじゃないか?」

とかブツブツ言っている。

俺はその落ち込んでいる姿を見てそれまであった警戒心が一気に薄れていくのを感じた。

なんていうか……いかにも悪ですって格好なのにそこまで悪意が感じられないんだが……?

「まあいい、藤堂カズト貴様は私と同じ闇に属するモノだろう? 教室では上手く隠していたつもりだろうが私には分かるぞ……そこでだ、私の協力者になれ!!」

ハァ?

何様のつもりでしょうこのょぅι゛ょは?

俺は偉そうにふんぞり返っているエヴァンジェリンに近づいて……頭にチョップ!

「それが先生にものを頼む態度か!? 大体俺の今の目標は『目指せ一般人!』なんだ、裏の事に俺を巻き込むな!」

頭を押さえてうずくまっているエヴァンジェリンにそう宣言する。

「っっ!! オマエその外見で一般人に見られると思っているのか?」

――ビキッ――

俺はその一言でロアのペトラアイを受けた時のように石化した。

それに気を良くしたのかエヴァンジェリンはさらに追い討ちをかけてくる。

「大体、暗闇で刺青を光らせている一般人がどこの世界にいる?」

「うぐっっ!!」

今日一日で傷だらけとなった俺のハートに塩を塗りこむような事を平気で言ってきやがる。

「フンッ、この馬鹿が。今日は貴様と話しているうちに何だか疲れたから一旦退くが、貴様はいつか泣いて私の従者にして下さいと言わせてやるからな!!」

エヴァンジェリンはそう言って俺が石化している間にその場から去っていった。

俺は石化が解けた後寝ていた生徒を寮まで送っておいた。

「そう言えば、エヴァンジェリンは何が目的だったんだろう?」

そんな俺の独り言は夜の闇に溶けて消えた。





オマケ

「ハァー疲れた疲れた」

俺はただいま学園長に用意された家に向かって歩いている。

用意されてから今まで一度も帰る事ができなかったので、今から初めて家を見るのだ。

「えーっとここらへんに……ひょっとしてアレか?」

俺の目に飛び込んできた建物は明らかに異質な物でした。

大体周りが森な時点で予想はついてたけどさ……

「何で幽霊屋敷なんだよーーー!!」

外観は立派そのもの。

平屋建てのかなりいい感じの広さを備えた日本家屋。

しかし周囲一帯に明らかに負のオーラを撒き散らしている多分俺の家。

ちょっと悪霊っぽいのが窓からはみ出している。

ドアを開けたらそこに広がる悪霊パラダイス。

襲い掛かってくるのを左ジャブで撃退しながら、一つの決意をする。

「あのジジイ、今度はあの長頭を輪切りにしてやる……」

中を破魔の雷光で無理やり力づくで浄化して俺はやっと眠る事が出来ました。

人修羅先生! 人修羅先生! 八話

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