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人修羅先生!(×真女神転生3) 投稿者:ナポリ 投稿日:04/12-20:47 No.294

side 人修羅

――ジリリリリリ――

でかい音を立てる目覚し時計に拳を一発

時計は吹っ飛ぶ訳でもなくその場で粉々に砕け散った。

「ふあぁぁーーーあ」

大きく布団の上で伸びをする。

外では朝日の中、小鳥がチュンチュンとさえずっている。

時間は粉々となった時計にかろうじて残っていた文字盤から予想するに、6時

この一週間、全くといって良いほど寝ていなかったので、この程度の睡眠では全く足りないのだが

今日もまた授業があるのでそうそう寝ていられない。

腹が減ったと主張する腹に手を当ててふと考える。

「朝食…………どうしよう?」

昨日の晩はこの家の浄化をして、掃除してそれからやってきた相坂と適当に話をして

それから精神的に疲れていたので夕食も取らずに泥のように眠ったので、キッチンには一度も入っていない。

「何かあれば良いけどな……ないか?」

昨日までそりゃもう凄まじい幽霊屋敷だったのだ、食料などある筈もない。

しかし、前の持ち主が長期保存可能な缶詰でも残していってくれていないかと、希望を胸にキッチンに向かう。

キッチンに着いて捜索した結果、驚くべき事が明らかになった。

それは……

「なんで冷蔵庫の中に食材がこんなに?」

そう! 何故か冷蔵庫が稼動していてさらに中には大量の食材がはいっていたのだ。

おそらく学園長あたりが俺が飢え死にしないように入れてくれたのだろう……

「こんな事するくらいなら、除霊しておいてくれよ……」

たぶん俺に対する嫌がらせの一環なのだろうが……

この事は食材を入れておいてくれたことで差し引き0にしておいてやるか

しかし、ここで問題が一つ発生した。

それは…………俺が全く料理なんかできないこと。

こういったときにはボルテクス界で行っていた行動を取ろう。

―――俺ができないことなら仲魔に頼ればいい

「来てくれっっ」

こんな事で呼び出すのは正直申し訳ないとは思うが、背に腹は変えられん!!







「主様できましたよーー」

居間で約束どおり呼び出したピクシーと何故か無事だったテレビを見ている俺にキッチンから声がかかる。

キッチンから料理を持って現れたのはやや黒めの肌を持つ日本神話における女神

「こんな情けない事で呼び出して悪いな、キクリヒメ」

「いえいえ、主様のためならお安い御用ですよ」

カチャカチャと料理をテーブルに並べながら穏やかにキクリヒメは笑いかけてくる。

流石に地母神なだけに次々にテーブルに並んでいく料理はどれも美味しそうだ。

昨日乗った事によって気に入ったのか、俺の頭の上で転がっていたピクシーも今にも涎を垂らしそうな顔で料理を見つめている。

「ふふっっ、それじゃあ朝食にしましょうか。」

「ああ、ピクシーももう待ちきれないみたいだからな」

そう言うとピクシーは

「ムー―、私そんなに食い意地張ってないもん」

唇を尖らせて拗ねたように言い返してきた。

そんな可愛らしい顔を見ているとついつい調子に乗って意地悪をしてしまう。

「そんな食い入るように料理を見つめて言っても説得力がないぞ」

そんな俺の言葉に怒ったのか、今度はピクシーは俺に向かってジオを放ってきた。

「ぬおぉぉ!! ジオはやめろぉぉーー!」

「止めて欲しかったら、謝れーーー」

そんなピクシーとの追いかけっこをキクリヒメは笑顔で見つめている。

「ほらほら……主様もピクシーさんもじゃれあいもそれぐらいにしないと料理が冷めてしまいますよ?」

そのキクリヒメの言葉でようやくピクシーは俺を追いまわすのを止めてくれた。

いやね……ジオはそこまで痛くないんですけどね?

ただ電撃なだけに全身が変な感じになるんですよ、それが嫌いなだけです。








「ふーーー、食った食った。美味しかったよキクリヒメ」

「カズト……その台詞親父くさいよ?」

「……黙れ」

食事が終わってそんな心温まる会話をしながら食器を片付けていく。

洗い物はキクリヒメに任せて、俺は今まで着ていたTシャツとボルテクス界で着ていた短パンの格好から着替えるために自分の部屋に向かう。

俺に付いてこようとするピクシーはキクリヒメに渡しておく。

「しっかし、生活必需品の類はこの家に用意されてるんだよなぁ」

クローゼットの中に用意されていたスーツに手を通しながらそうつぶやく。

この家には探索した結果、食材だけではなく日用品の類までも十分な量があった。

しかし、用意されている服は基本的な下着類のほかには……

「やっぱり黒スーツしかないんだよな……」

クローゼットを開けた瞬間視界に広がったのは一杯の黒スーツ

これを着たら俺はまたヤのつく方々と間違えられる事に違いないのだが

この状況ではどうしようもない。

今度の休日は洋服を買いに行こうと硬く決意した。

そんなこんなで着替え終わり、朝食をとっていた居間に戻ると

洗い物が終わったのであろうキクリヒメとピクシーがテレビのニュースを見ていた。

「どうした? 何か面白いニュースでもしてたか?」

「いえ……ただ珍しく思っているのと、それにこの世界の情報を得るのも大切だとおもいまして。」

そういえば、俺がこの世界に着いて今までに入手した情報って教師になる為の知識以外は全部裏の事で

表の情報は全然知らないんだよな……

そう気づいて俺も腰を降ろしてニュースを見ることにした。

流れてくるニュースは芸能人のスキャンダルや政治問題などだったがその中で気になるニュースが流れてきた。

「……それでは、次のニュースです。昨日また京都市内で強盗殺人事件が起こりました。

これで同一犯によると思われる京都周辺での事件は12件目です。犯行の特徴は襲われたのは神社仏閣

の宮司や住職などで、鋭い刃物で刺された後、何者かによって皮をはがされています。また、内部が荒らされて何かを探したような形跡もあるとの事です。」

そのニュースを聞いて脳裏にある事がよぎったが、頭を振って否定した。

―――アイツがこの世界にいる訳がない―――

キクリヒメとピクシーは何の気にした風もなく、芸人のギャグに笑っている。

一通りニュースを見たところで、学校に行くのにちょうどいい時間となったので玄関に向かう

ピクシーは俺と一緒にどうしても学校に行くといって聞かないので、ポケットに詰め込んで学校に向かう事にした。

キクリヒメは今日の所はこの家の掃除をしてくれると言うので留守番をしてもらう事にした。

玄関に立ち、出発しようとしたところで、見送りにでてくれていたキクリヒメに止められた。

「あっ! 主様ネクタイが曲がっていますよ」

そう言って俺のネクタイに手を掛けクイクイと俺のネクタイを直してくれる。

すると突然、ハッと何かに気づいたような顔をして急に俯いてしまった。

「どうしたんだ? 何か俺の格好で変な所でもあるか?」

俯いたキクリヒメの表情は分からないが、なんとなく頬が赤いような……?

「いっいえ……なんだか……新婚家庭みたいだなって思って……」

「はあ……新婚家庭ねぇ……ってなにいいいぃぃ!!!」

たっ確かにさっきの行動は甘い甘い新婚家庭の行動そのものだったが……

そう考えた瞬間、突き刺さるような殺気を感じた。

「へぇ……私の目の前でそんな行動取るって勇気あるじゃない……カ・ズ・ト?」

俺の目の前には鬼女がいました。

そりゃもう形はちっちゃいけどモイライ三姉妹なんて目じゃないくらいの鬼女が。

「ウフフフ……死んでみる?」

「ご免こうむる!!!!」

俺は脱兎のごとく逃げ出した。

あんな状態のピクシーに逆らえる勇気は俺にはありません。

「逃がしてたまるもんですか!! ジオ! ジオ! もいっちょおまけにジオ!」

森の中を逃げ回る俺の周囲に次々と電撃が落ちる。

「お前少しは人目を気にしろぉーーー。ってヤバッ、だからジオは止めろってふっ服が焦げるぅーーーー!!」

ちなみに『乙女の仲裁』によるストッパーの筈のキクリヒメはまだ玄関で自分の言葉に恥ずかしがってました。







あれから俺はなんとかピクシーをなだめることに成功して、学校に向かって走っている。

ちょっぴり服が焦げているのは見てみないふりをしてやって欲しい。

まだ朝なのに既に焦燥しきっている体に鞭打って頑張ろうとしている俺には表彰状をあげたいくらいだ。

朝のゴタゴタで少々遅れてしまって学生のラッシュに巻き込まれてしまったようで、凄まじい数の学生が各々の校舎に向かって急いでいる。

その学生の波を掻き分けやっとの事で校門まで着いたところで人の輪が目に付いた。

ちょっと足を止めてその人の輪が何なのか確かめようと近づいたら……

―――ドゴン―――

鈍い音と共にゴツイ男どもが吹っ飛んだ。

吹っ飛んでいった男たちの元いた場所には少女が一人。

その姿を確認した途端、俺は頭が痛くなった。

3―Aにはなんだってこんな個性的な奴が多いんだ……

つーかあの細腕の何処にあの大の男達を吹き飛ばせる力が入ってるんだ?

名前は特徴的だったので覚えている確か……古菲だったかな?

関わりたくないと思ってそそくさとその場を後にしようとすると

「ム、そこを行くのは藤堂副担任! 昨日の矢をかわした動きは只者じゃなかったネ。手合わせ願うアル」

そんな事を言ってきましたよ。

しかも、問答無用で攻撃仕掛けてきてるし……暴行罪で訴えるよ君?

本日の俺は非常にストレスを溜めているため、ストレスの多少の軽減の為の運動と思いその申し出に乗ってやる。

「ハアッ!!」

古の放った拳を右手で払う。

続けざまに放たれた肘打ちを同じく肘でブロック。

古の小柄な身体から繰り出される中国拳法らしい攻撃を全て受け、捌き、防ぐ。

中国拳法の動きの中には相手の思いもよらない方法で攻撃する型もあるのだが、俺は中国の武神であるセイテンタイセイに習っていたので避けることができる。

「ふむ……やるじゃないか古。良く鍛錬してるな」

素直な賞賛の言葉が漏れる。

この拳の切れと重み、攻撃パターンの多さ、俺がもし人間だったならまともにぶつかったら3秒で撲殺されるな。

「はあっ、はあっ……一体藤堂副担任は何者アルか、ワタシの攻撃が掠りもしないなんて……」

幾度となく古の拳を捌いているうちに何時の間にか古は攻撃の手を止めていた。

「何者かと聞かれたら、お前のクラスの副担任だとしかいえないんだが……」

何となく気まずくなって、頬をぽりぽりと掻く。

おっ気付けばもう登校しないと拙い時間じゃないか。

「そうだ。お前が俺の事を本当に知りたいんだったら俺に一発拳を叩き込んでみろ。俺の秘密を話してやるよ」

俺は疲れて座り込んでいる古にそんな言葉を残して学校へと向かった。

人修羅先生! 人修羅先生! 九話

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