HOME  | 書架  | 

当サイトは「魔法先生ネギま!」関連の二次創作投稿サイトです。ネギま!以外の作品の二次創作も随時受け付け中!

書架

[]

人修羅先生!(×真女神転生3) 投稿者:ナポリ 投稿日:04/24-20:58 No.393

side 人修羅

俺はピクシーを肩に乗せ、夜の麻帆良を見渡す事の出来る世界樹の天辺付近の枝に腰かけている。

視界一杯に広がる都市の光。

ボルテクス界では見れなかった分、この光景は余計に感慨深いものがある。

麻帆良が一斉に停電するまで後残すところ数分。

麻帆良の街は嵐の前の静けさ……と言うよりもただ停電の中出歩く馬鹿は居ないので皆屋内に閉じこもっているだけか。

今日の昼間にネギ君から情報を交換した所、エヴァンジェリンは氷属性の魔法を使うらしい。

それなら俺には対処法が幾らかある。

そのネギ君は俺の今晩仕掛けてくるという発言に、橋に魔方陣を描いたり、どうやらコレクションしているらしい魔法具の手入れと放課後は忙しそうだった。

そんなわたわたと慌てているネギ君の様子を思い出し、クスリと笑った時。

フッっと電気が消え、辺りは月光だけに照らされる真の夜の闇となった。

「始まったか……」

それから遅れる事数秒。

今までにこの学園内では感じなかった、強い魔力を感じた。

恐らく……いや間違いなくこれがエヴァンジェリンの物だろう。

場所は…………女子寮か!

「行くぞ、ピクシー!」

「うん!」

脚に魔力を集め女子寮の方角目掛け飛び出す。

建物の天井に着地し、その勢いのまますぐさま、また飛び出す。

電気の消えた町並みが視界に入っては後方に吹き飛ぶように消えていく。

――――見えた!

あっという間に女子寮が見えてきたは良いが、さて何処から入ったものか?

下手に玄関から入って何も知らない女生徒に痴漢扱いされるのは流石に勘弁してもらいたい。

エヴァンジェリンだって人に知られないように今居る所に結界を張っているだろう。

なら……そこに直接進入するしかないか。

俺は始末書を再び書く覚悟で、両手で顔を守り強い魔力の感じられる箇所の窓を破って女子寮内に侵入した。

どうやら中は大浴場らしい、湯気でほんの僅かだが視界が不明瞭だ。

そのまま浴場の床に着地した俺を待ち受けていたのは……

その中心部にある、休憩所の様な所の屋根に絡繰を従え悠然と立っているエヴァンジェリン。

どうやら、俺よりも早く到着していたらしいネギ君は、何故かメイド服の明石、大河内、佐々木、和泉の4人に囲まれている。

俺のガラスを割る音に気付いたのだろう、全員が窓の方を向いて硬直している。

その間に俺はネギ君の横に急いで移動。

「やあネギ君。メイド服を着た女子生徒4人に囲まれてるなんて中々に素敵な状況だな」

ポンと背後から肩を叩くとネギ君は驚いた声をあげる。

「とっ藤堂先生いつの間にどうやってそんな所に!?」

「さっき窓から入って単純に走って来ただけだけど?」

そんな雑談中に明石達四人は俺が入ったことに警戒しているのか先ほどネギ君を囲んでいたときよりもいささか距離が空いている。

茶化しては見たが……どうなってるんだ?

「カズト……あの子たちからエヴァちゃんの魔力と同じ力を感じるけど……」

確かにピクシーに言われて初めて気付いたがその通りだ。

ネギ君にどういう状況なのか説明してくれる様に目配せする。

「皆はエヴァンジェリンさんに連なる吸血鬼になって操られています。後で吸血鬼化に対する処方を行えば直るんですけど……」

「へえ……」

人を操るか……好かんなそういうのは。

「はははは!! 藤堂カズト! 貴様一人が来た所で力を取り戻した私を止める事は出来んぞ!」

調子に乗ったエヴァンジェリンの声が浴場に響く……俺一人じゃなくてピクシーも居るんだが?

この場でその鼻っ柱をへし折ってやりたい衝動に駆られるが、それではネギ君の成長の為にもならないだろうし、何より学園長に宣言した手前何とか堪えた。

「ネギ君……放課後に色々と動いてたって事は何かしら策があるだろう? 明石達は俺が引き受けるから、君はエヴァンジェリンをその策に嵌めて屈辱を味あわせてやれ。」

高笑い中のエヴァンジェリンの耳に届かない様、声を小さくしてネギ君に告げる。

「……分かりました」

ネギ君は決意のこもった声で応えてくれた。

その短いやり取りの間に、明石達がジリジリと間合いを詰めてきている。

「それじゃあ……作戦開始だ!」

俺の合図と同時にネギ君が手に持った杖に乗り、俺が破った窓から外へと逃げ出す。

「ハッ……逃げ出すとはとんだ腰抜けだな!」

悪態をつきながらエヴァンジェリンがそれに続き、絡繰もまたエヴァンジェリンに続く。

「あーーー! 待ってよせんせー」

操られた状態の明石達4人が窓に向かい駆け出そうとするが……そうはさせん

脚を生かして、回り込んで先を塞ぐ

「おっと……お前さんたちの相手は俺だ。」

「えーー! ネギせんせーのほうが可愛いからネギせんせーと遊びたいなー」

佐々木はつまらなさそうに抗議の声をあげるが、生憎ネギ君はエヴァンジェリンと対決中だ。

その邪魔をさせるわけにはいかない。

「まあ藤堂せんせーでもいっか……遊ぼーーー!!」

その言葉を皮切りに4人が俺目掛けて、襲い掛かる。

「ピクシー! お前も相手しろ。ただし、気絶させるだけだ間違っても大怪我なんかさせるんじゃないぞ」

「りょーかい!!」

俺の肩からピクシーが飛び立つ。

「えーい!!」

「やーー!!」

可愛らしい声とは裏腹に、俺に対して繰り出されている攻撃の速度は普通の人間なら当たったら大怪我は免れないような凶悪なものだ。

こりゃあ一般の女子中学生の出せる力じゃないな。

見たところ特に魔力を使ってる形跡も見られんから、脳のリミッターでも外してるのか?

だとしたら、こいつらは速い所で気絶させないと明日は凄まじい筋肉痛に悩ませる事になるな。

「ピクシー固まって来られると手加減しにくい。散らして一人一人相手するぞ!」

「分かった。ジオ!」

電撃を避ける為に俺に群がっていた四人が散開する。

どうでも良いが、ジオが当たりかけた……っていうか掠ったんですけどピクシーさん?

俺の右前方へと驚異的な跳躍によるバク転で逃げた佐々木に、走って接近。

バク転の欠点は行動中は前方が見えないこと。

「あれ?」

綺麗に着地した佐々木が不思議そうな顔をする。

離れたと思った相手がまたも自分の目の前に居れば仕方が無い反応か。

「すまんがちょっと眠っててくれ」

佐々木の顎を手刀で擦るように打つ。

脳を揺らされた佐々木はいくら今身体能力が向上していても、人間である以上抵抗する事も無くあっけなくその場に崩れ落ちる。

「まき絵とばっかり遊んでるのはずるいよーー!!」

左側面から迫るバスケットボールを左手で受け止める。

「明石……パスはもっと優しくだ。こんな荒っぽいパスじゃ誰も取れんぞ?」

「せんせーは取ってるじゃない……それより遊ぼ?」

ボールの飛んできた先に明石が居たので何処から取り出したのかは分からないが、明石が投げたのだろう。

「いいだろう。あいにくバスケ部の顧問じゃないが俺がバスケを教えてやるよ」

俺の台詞が終わるか終わらないかの間に明石が俺に迫る。

俺もバスケットボールでドリブルをしつつ明石に向かい……

「よっと」

明石の目前で速度を一気に落とし、身体を回し明石の背後に回りこむ。

俺の行動に面食らったのか明石の動きが止まる。

「チェンジオブペースはバスケの基本……忘れちゃいかんぞ? それじゃあお休み」

バスケットボールを手に持ったまま逆の手で首筋に軽く手刀を落とす。

カクリと力を失った明石の身体はその場に倒れこむ。

ピクシーの方は…………終わってるな。

あっちはもう大河内も和泉も二人とも既に意識を失っているようだが……なんと言うか……うわぁ

ピクシーが何をしたのかは分からないが何だか意識を失ってる二人が物凄いうなされてるんだが。

つーかピクシーが気絶している和泉の上に乗って高笑いしてるし

くっ黒いオーラが見えてますよピクシーさん!

「あの……ピクシーさん?」

高笑いを中断しピクシーがこちらに向き直る。

「ん? なぁに?」

うひぃ! その笑顔すっごい怖いです。

「えっと……そいつら何か気に障ることでもしたのか?」

「うふふふふ……気に障ることですってぇぇぇぇ!!」

黒いオーラが膨れ上がり俺の膝が意思に反してガクガクと震え始める。

和泉と大河内もその気にあてられたのかうなされ方が酷くなる。

「こいつらはねぇ……私の事を『昆虫』って言ったのよーーー!!!!」

膨れ上がった黒オーラがその叫びで弾け、俺を吹き飛ばし、浴場の湯に波を立て、残っていた窓ガラスを残らず割った。

「まったくこの超可愛らしい私の何処か昆虫なのよ……似てるのなんか羽だけじゃない!」

ブツブツとピクシーがまだ愚痴を漏らしているが、何か言うとまた爆発しそうなので放っておこう。

それよりもまずはこの気絶している4人の処理だ。

此処では窓ガラスが全壊でこいつらが風邪を引いてしまう。

理想を言えば何処か人目のつかない所に放り込んで置けばいいのだが

さて、どうしたものかと悩んでいると。

「ちょっとカモ、ホントにここで良いんでしょうね!」

「ああ間違いないぜ、ここに魔力が集まってやがるエヴァンジェリンの野郎はこの中だ!……と思う」

タイミング良くカモと神楽坂の声が脱衣場の方から聞こえてきた。

「ちょうど良いところに来た!!」

ガラリと脱衣場への扉を開け、神楽坂の手を両手で握り締める。

うん! ホントちょうどいいタイミングで来てくれた。

まずは状況説明をして……

「ちょっとアンタがアレやったの……?」

その前に止められました。

神楽坂の目線の先には4人の気絶した姿。

誤解される前に完全否定して説明しないと、神楽坂は口よりも先に手が出るタイプだからな。

「あいつ等はエヴァンジェリンに操られて俺に襲い掛かってきたから正当防衛で気絶させた。特に外傷は無いだろうから明日には目覚めているだろう。そこで神楽坂、君に任務を一つ授けよう。あいつ等をどっかの人目につかない部屋に放り込んで置いてくれ。俺はエヴァンジェリンを追っていったネギ君の所に行くから」

そこまで一息に言い切って、クルリと向きをかえ窓の方へと駆け出し、途中でピクシーを拾い上げる。

「ちょちょっと待ちなさいよ!!」

そんな言葉を背に受けて俺はネギ君を追うために再び夜の麻帆良を駆け出した。

人修羅先生! 人修羅先生! 十六話

  HOME  | 書架top  | 

Copyright (C) 2006 投稿図書, All rights reserved.