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第2話 エネルギッシュな面々と顔合わせ 投稿者:夏野竜輝 投稿日:06/18-00:58 No.760

案内された女子寮の管理人室――――さすがに夜中だったので、全員寝ていた――――に着いた一同。

「すまないな、わざわざ案内してもらって」
「いえ、気にしないで下さい」
「これからは仕事で一緒になるかもしれないからね……」

2人を帰した後、ランディウスは早速管理人室の中に入った。
そこには生活に必要なものが一通り揃えられている。

「至れり尽くせりだな」

自分のいた世界とは異なる点が多いため、慣れるまでには時間がかかりそうだ。
それでも早いのに越したことはないので、説明書と格闘することが決定された。

「さて……」

召喚時に持ってきた(?)財宝を部屋の片隅に置くと、さっさと就寝に入る。
管理人である以上は、まず寮周辺の掃除をしなければならないだろう。
ここは勝手知ったる場所ではない……だから朝早く起きるために。

新たな世界での生活を考えつつ、ランディウスは眠りにつく……





第2話 エネルギッシュな面々と顔合わせ





午前4時――――

「……」

まだ暗いだろうと言われそうだが、目を覚ましたランディウスは洗面台で顔を洗う。
真冬の冷たい水は、未だ寝惚け気味の頭を覚醒させるには充分だ。

着替えると、箒と塵取りを持って出動。
任務・女子寮周辺の掃除――

「……」

学校というものは、得てしてゴミが多いのだが……麻帆良学園もご多聞に漏れず、だった。
まずは空き缶・空き瓶・ペットボトルを拾い始める。資源ゴミこそ絶対に集めておくべきだ、と声を大にして言いたいものだ。

「やれやれ……」

空き缶はアルミ・スチールに分別の後、専用のゴミ箱へ。

次は紙屑・埃など所謂燃えるゴミを箒で掃いていく。
これがなかなかに多く、わりと時間がかかるのはどこでも共通である。

「……」

掃いて、掃いて、掃いて、掃いて、掃いて、掃いて、掃いて、掃いて、掃いて、掃いて――――ただひたすらに僅かな雑念もなく掃きまくる
そしてゴミ箱へ。
以下エンドレスで、半時間から1時間ほど。

「ふぅ……こんなところか」

そろそろ明るくなり始めた、という時間に掃除が終わる。

「周りが綺麗なら気分も良い、か」

てきぱきと掃除を進めていく中、最後に花壇傍に落ちている潰れた空き缶を残すのみとなった。

「これで最後っと……」

中腰で屈んで、それを掴み、拾い上げた瞬間……

「どわぁぁぁぁぁぁっ!」


がしゃがしゃがしゃこーん!


けたたましい音を立てて、ランディスの元に先程拾ったはずの空き缶が飛ぶように集まる。
突然のことになす術もなく、空き缶クラッシュを喰らったランディウスは空き缶にうずもれた。

「……もう、トラブルは……嫌……」

どうやら最後に拾った空き缶がトラップの元らしく、拾い上げたと同時に強力な磁力を展開。
先程集めた空き缶がその場に飛ぶように集まり、引っ掛った者を襲撃する仕組みらしい。
とはいうものの、ランディウスにそれを見破る術は無い。

身体に張り付いて離れない缶達を引き摺るようにしてゴミ箱へと向かい、右手で握ったトラップの大元をそこに叩き込む。

「便利といえば便利だけど……痛かったなぁ」

確かに、磁力を帯びた缶にポイ捨てされた空き缶が集まる。その元をゴミ箱に捨てれば、空き缶も自然にそちらへ向かうであろう。
しかし……悪意のあるトラップ不審者避けを前向きに捕らえるあたり、ランディウスの人の良さが表れているのかもしれない。



管理人室に帰り、朝食の準備をしようとすると……

「おはよう、ランディウスさん」
「おはようございます、ランディウスさん」

真名と刹那がいた。

「おはよう。龍宮さん、桜咲さん」

普通に挨拶を返したところで、ランディウスはハッとなった。

「で、何故2人がここにいる?」
「いてはいけないのか?」
「いや、そうは言わないが……というか、鍵をしていたんだが」
「……細かいことを気にしてはいけないよ」

なら何故目を逸らすのだ、真名よ?
ランディウスの脳裏に、野伏としての訓練を受けている双子のプリンセスの妹が過ぎっていく。

「なんか納得できないが、まぁいいか。で、本当は何しに来たんだ?」

これ以上の追求は無意味と考えたため、本題に戻す。

「貴方のことを説明するためさ」
「説明?」
「ランディウスさんがここの管理人になったことを知っているのは、私と龍宮、学園長達だけです。ここまではいいですね?」
「ああ」

刹那の説明に聞き入るランディウス。

「それ以外の人達は貴方のことを知りません。かつ、ここは女子寮――――」
「……うっ!?」

ランディウスの顔が青くなった。
そう、2人が事の次第を説明しないと、とんでもないことになるのだ。
下手をすれば不法侵入で警察に逮捕される……二戦役を戦い抜いた英雄が不法侵入で逮捕など、笑い話にもならない。

「いや、危なかった……」
「納得してもらえたようだね」
「あ、ああ、助かるよ」

かつてラリオハ温泉で起こった騒動の記憶を呼び起こされ、ランディウスは恐怖する。
義弟と戦友で組んで、近衛騎士団を賄賂で買収し、襲いくるモンスターを排除までした……そう、全ては覗きのために!
しかしその結末は、真っ先に突撃した義弟がメテオを喰らうという――――およそシャレにならないものだった。
何とかごまかしきったものの、バレていたらどうなっていたか……近衛騎士団ともども地獄巡りは間違いなかっただろう。

この一件で女性の怒りを深く脳裏に刻み込まれているため、誤解されるわけにはいかないのだ。

「ところで、まだ時間はあるか?」
「はい、ありますが」
「なら朝食を食べていってくれ。簡易的なものなら直に出来る」

そう言うと、返事を待たずに台所へ消える。



15分後のテーブルには、卵とウィンナーとチーズを混ぜて焼いたもの、ブリの醤油焼き、ワカメと豆腐と油揚げの味噌汁、それにご飯が並んでいた。
それを見て、2人はポカーンとなっている。

「どうした?」
「……なんというか、日本の料理に詳しいんだなって思いました」
「ああ、それは……」

大使という立場上、ランディウスは多くの国を回っている。
そんな中で、イェレス大陸の東のエルサリア大陸より、さらに東にある日本皇国で日本料理を食す機会があった。
従来のものとは違う、独特なその料理にハマッたために独学で学んでいたりするのは仲間内での秘密となっていた。
まぁ戦場では食事をすぐに終わらせる必要があったので、簡易的なものでもいいから自分で作ろうとした結果が出ているのだが。

「と、いうわけだ」
「なるほど……しかし……」
「まだ何かあるのか?」
「これのどこが簡易的なんだい? 思いっきり腕を振るってると思うのは私達だけかな?」

当然の疑問に、フッと笑みを浮かべるランディウス。

「それこそ細かいことだろう。気にしてはいけないな」

さっきの意趣返しだ、と顔に出ている。

「さぁ、冷めないうちに食べてくれ」
「なら遠慮なく」
「「「頂きます」」」

ここで多くは語らないが、食事を終えた時の真名と刹那はとても満ち足りた表情をしていた。
普段どんな食生活をしているのか、非常に気になる。

「はぁ~……」

食後のお茶を飲みながら、3人はまったりしていた。



午前6時過ぎ、そろそろ他の者達も起き出すという時に、真名と刹那は女子寮玄関前に集合をかけた。
無論、ランディウスのことを紹介するためである。

「なぁアスナ~、一体何なんやろな?」
「さぁ……龍宮さんと桜咲さんは重大発表がある、って言ってたけど」
「くぅ~っ、私の情報網に引っ掛からないなんて……っ!」
「さて、何事でござるか」

十人十色な反応の中、真名と刹那が話を切り出す。

「朝早くからすまない。実は学園長から急なお達しがあってね」
「先日に定年退職された寮の管理人の後任が決まったので、その紹介のために集まっていただきました」

瞬間、一同が騒ぎ出した。

「後任決まったって、早いねー」
「そうだね」
「ま、関係ねーか」

真名がパンパンと手を叩くと、静寂が訪れた。

「で、その後任のことだが……」


ゴクッ……


張り詰める緊張感。
瞬きさえできないほどの空気が周囲を支配する。

「その方はです」
「「「「「…………ええ~~~っ!?」」」」」

緊張が霧散したかと思うと、いっせいに叫び声が上がった。
女子寮の管理人が男なので無理ないが。

「う、嘘っ!?」
「あらあら、前代未聞ねー」
「……」

多くは驚いているようだが、まだ当人を見てないのではっきりモノを言わない。むしろ様子見である。
明確に否定されないだけ、常識から外れているのかもしれない。

「百聞は一見にしかず。まずは当人に御挨拶願おう」

真名がそう言うと、ランディウスが玄関から出てきた。

「本日より女子寮管理人に着任したランディウス=ルナカリバーだ。ここに来る前は、とある国で大使をやっていた。
麻帆良に来たのは昨日で、まだ右も左も分からないペーペーにすぎない……至らないところもあると思うが、よろしく頼む」

ルナカリバーというのは、ランディウスの戸籍上の苗字である。
さすがに名前だけだとマズイからと、学園長が配慮したのだ。


し~~~~~~~~~~ん………


(やはり、男が管理人というのはマズイか)

そんなことを考えつつ、別のことに思考が及ぶ。

(ん? この魔力は……強いな。けどあまり感じないのは……なるほど、あの子の仕業か)

長く続いた二戦役はランディウスの人を見る目に変化をもたらしていた。
その他にも、何人か腕の立つ者を看破している。

「「「「「さ……」」」」」
「さ?(サーペンマスター?)」

一同の唱和した呟きに、ランディウスが耳を傾ける。

「「「「「山賊スタイルっ!!!!!」」」」
「さ、ん……!?」


グサッ!!


ランディウスの心臓を言葉という名のアルハザードが穿つ!
ちょっとやそっとのことではビクともしないランディウスだが、これは予想外だったらしく、その場に蹲ってしまった。

「お、俺の格好は山賊……山賊か……」

沈む沈む――――誤解はされなかったようだが、別の意味で良くない誤解をされたようだ。

「ら、ランディウスさん?」

焦った刹那が声をかけるが、ランディウスは虚ろな眼差しで虚空を見つめていた。
時節、自嘲気味に何事かを呟きつつ。

さすがに場の空気の淀みが伝わったのか、一同が詫びることで収集がついた……が、ランディウスの受難は終わらない。
今後、このことでからかわれる時がないとは断言できないのだから。

「ま、まぁ気を取り直して……質問タイムに入ろう。ランディウスさんに質問があるなら手を挙げろ」

真名が呼びかけるなり、シュバッと挙がる手・手・手・手・手……全員挙げてるんじゃないかと思われる。
その勢いに押されつつも、ランディウスは指名していった。

「えーと……早乙女さん」
「はい! ランディウスさんの年齢は?」
「18だ」

「次は……雪広さん」
「はい。ランディウスさんの趣味は何ですの?」
「最近は料理に凝ってるな。後は鍛錬・談議というところだ」

「佐々木さん、どうぞ」
「特技は何ですか?」
「剣術・馬術と、強いて言うなら交渉かな」

この後も色々な質問が飛ぶものの、際どいものには無難に返していく。
大使として諸国と交渉にあたってきた実績があってこそなのだが、それがこの場で発揮されるのは些か悲しいものがあると思われる。
そして、いよいよ質問も終盤になってきた時……

「これで最後だな。朝倉さん」
「はいよ」

絶対に指名してはいけない者を指名してしまうランディウス。
【麻帆良パパラッチ】を異名取る朝倉和美は嬉々として質問に立つ。

「ランディウスさんはどこか戦いに行くような格好してるけど、それは何故ですか?」
「ここに来た時、これしかなかったからだよ(嘘は言ってないな、嘘は)」

「なるほど、なるほど……じゃ、次っと。ランディウスさんは今まで何人の人と付き合いましたか?」
「付き合ったことはないな。皆無だ」

実際のところ、ランディウスは幾人かからモーションをかけられている。
が、この場では皆無と言った。言わざるを得なかった……有り得ないことだが、この会話を聞かれていたら後々大変なことになるかもしれないからである。
大使に就任してからは、各国が女で籠絡しようと工作をかけてくる始末で、すっかり女から遠ざかっていたことも原因の1つなのだが。

「さ、質問タイムはこれで終わりだ……皆は、そろそろ学校の時間じゃないかな?」

これ以上質問されると何を言ってしまうか分からなくなってきていたので、ランディウスは質問タイムを打ち切った。
時計を見ると、始業時間が迫っているのが本当だと分かったので、一同は急いでその場を立ち去った。
麻帆良学園の登校時間はある種の戦争状態と言っても過言ではないほど苛烈である。一部では名物とさえ言われるほどだ。

「ランディウスさ~ん、いってきま~す!」
「いってきまーす」
「ああ、いってらっしゃい」

返事を返し、一同を見送ったランディウスは管理人室に戻った。



「ちょっと遅いが、風呂に行くか」

女生徒がいない時、寮の大浴場【涼風】は貸切状態に出来る。
清掃時間までに出ることを心がけておけば、何ら問題はないということだ。
カコンシス王城の浴場も広いが涼風も広いなぁと思いつつ、ランディウスは昨夜の戦いの汗を流した。

サッパリした後は、不審者・覗き・サボリ等がいないか入念にチェックしていく。
とはいえ、精神を集中して気を探るだけだが……この日は誰もいなかった。
余談だが、もし不審者・覗きがいた場合は問答無用で粛正することになっている。

一通りの作業を終え、管理人室へと戻る。
後は深夜の見回りまで時間が空くのだが、ここで色々とやるべことがあるのを思い出した。
さしあたって、やらなければならないことは――――

「ここにあるものの使い方と、国内法・国際法の勉強か」

ランディウスはこの世界についての勉学に励むことにした。

魔法先生ネギま! ~副担任は大使~ 第3話 英雄VS真祖

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