HOME
| 書架
|
当サイトは「魔法先生ネギま!」関連の二次創作投稿サイトです。ネギま!以外の作品の二次創作も随時受け付け中!
書架
EPISODE.1「覚醒」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:06/11-23:36 No.720
EPISODE.1「覚醒」
SIDE:翔馬
オッス、オラ○空!!…すいません、嘘つきました。
“源 翔馬(みなもと しょうま)”
それが俺の名前である。別に異世界からトリップしてきた主人公でもなく、選ばれし勇者でもなく、至って普通の高校生である。あえて普通と違う所をあげるのならば、両親がいなく、一人の女性――かなりの美人でメガネっ子、しかも巨乳(笑)――に弟として引き取られた事である。そんな一般ピープルの俺が、なぜか―――――――――――――
『またんかい、ワレ!!』
『いてもうたるぞ!!』
そんなどこの関西のヤクザやねん? みたいな台詞を言い放つヤツラに追われております。
しかも―――――――――
「つか、人間じゃないし!?」
そう、そいつらは人間じゃなかった。RPGなどのゲームみたいな羽が生えてたり、角があったり…ま、ぶっちゃけバケモノ? ただ俺は近道しようと、森の中を通っただけなのになんでバケモノに襲われなきゃならんねん!?
『いいかげん、諦めい。逃がさんぞ?』
そんな事を言ってくるヤツラに、
「諦められるか~~~!!!!」
そんな事を叫びながら走り続ける俺。――――いや、何で俺こんなに冷静なんでしょうか? 普通、こんな時は慌てるんじゃないか?…それとも――――“オレハアンナバケモノヲシッテイル…?”――――。
そんな考えが頭に浮かぶが、生まれてこの方あんな奴らとお付き合いした覚えは無い。覚えがあるとするならば、“俺”が生まれる前――――記憶を失う前―――?
そんな事を考えながらも、俺の足は止まらない。奥歯の加速装置を押すようなイメージでさらに加速。“麻帆良のゴッドスピード”は伊達じゃないっ!!…まあ、そんな戯言を言いつつも追ってくるバケモノたちを引き離す。もう少しで森を抜け出られる…!!
俺はさらに加速。あと少しで――――
『惜しかったな。もう少しで逃げられたんやが』
そんな声が俺の耳に――――
そして、俺の心臓に向けてカラスのようなバケモノが、その手に持つ槍を突き出し――
「“神鳴流奥義――――斬岩剣”!!」
そんな声があたりに響き、俺を殺そうとしたカラスを衝撃波が襲う。
バシュッッ!!!
そして、俺が振り向いた先には髪を片側にまとめた中学生くらいの女の子が――――その手に野太刀を構えて立っていた。
(――――ああ、彼女は何て…)
その彼女に呆然と見惚れていた。
(何て、“萌え”なんだ…)
…おや? 何考えてんだ? 俺?
SIDE:刹那
侵入者を感知した私は、たまたま近くにいたエヴァンジェリンさんたちと一緒に現場に向かう。場所は森の中。敵はおそらく20体以上。センサーを持つ茶々丸さんによれば、東洋系の召喚術が使用された形跡があるらしい。…もしかしたらお嬢様を狙う輩かもしれない。僅かに解かっている情報を確認しながら現場へ向かう。少し手前でエヴァンジェリンさんと、その従者である茶々丸さんと別れる。彼女たちは、背後から召喚者を叩くそうだ。…妥当な判断だろう。術者が消えれば、召喚されたモノも消え去る。いくら魔力を封印されていても彼女は百戦錬磨の吸血鬼。そこらの術者に負けるわけが無い。
そんな事を考えつつ森に向かっていると、その中から一人の男性が走ってくる。
(――――!? まさか、一般人が巻き込まれたのか!? )
おそらく、召喚者を見てしまったのだろう。つまりは――――口封じ。
私も彼の方へ向かうために、走る。――――彼はこちらには気付かない。
彼は、一般人とは思えないスピードで走ってくる。もう少しで森を出ようとしたその時、彼の頭上を飛び越えて、カラスの姿をした鬼が襲い掛かる。
『惜しかったな。もう少しで逃げられたんやが』
そう言いながら、槍を突き出す。狙いは――――心臓。
彼は反応できない。ならば、私が――――!!!
「“神鳴流奥義――――斬岩剣”!!」
私の放った技が、鬼を吹き飛ばす。
そして、今だに呆然としている彼を注視する。
彼の格好は、麻帆良学園男子高等部の制服。黒髪で、少し幼さを残した顔立ち。そして、何よりも目を引くのは彼の目――――その血よりもなお紅い色をした瞳を見つめてしまった。
その特徴的な目をした人物は、私が知る限りただ一人――――
「源さん…!?」
彼を私は知っていた。なぜ、違う学校の生徒である彼――――“源翔馬”を知っているのかというと、彼が私達、中等部で英語教える“源しずな”先生の弟であり、お嬢様――――“近衛木乃香”お嬢様のルームメイトである、“神楽坂明日菜”さんの幼馴染でもあるからだ。よく、神楽坂さんに会いに来ていることを私は知っている。そんな関係で、お嬢さまとも仲良くしているようだ。
彼が死んだら、お嬢さまは悲しむ――――!!
私は、彼がやって来た方に視線を向ける。その視線の先から、まだ十数体の鬼がこちらに向かってくる。
――――彼を逃がさないと…!!
記憶操作は後でも出来るだろう。まずは彼を逃がさないといけない。私は彼の前に立ち塞がり、後の彼に、
「早く逃げて!!」
そう叫んだ。
しかし、彼は呆然として私を見つめている。殺されかけたショックで思考停止状態なのだろうか?
ならば――――この場で立ち向かうしかない!!
この場で、彼を守りながら戦うことを決めた私は、手に夕凪を構えて向かってくる鬼の集団に突っ込んでいった。
SIDE:翔馬
俺を助けてくれた少女は、俺に逃げろと言った後、俺を追いかけてきたバケモノどもに突っ込んでいった。
(――――おいおい、幾らなんでも無茶だろ!?)
そんな俺の内心が彼女に聞こえるはずもなく、そのまま手に持った剣を構えて走っていった。
それを呆然と見送る俺だったが、すぐに正気に返る。
あんな――――俺よりも年下の少女が戦っているのに、俺は何もできないのか―――!?
そう、あんな“萌え”要素をたっぷり持った美少女を危険な目にあわせるなど“漢”の恥!!
おそらく彼女は、あんなバケモノたちに対処できる力を持った人間なのだろう。しかし――――あんな、ちっちゃくて可愛くて中等部の制服の下にスパッツはいてる美少女剣士などというそれ、どこのギャルゲー? みたいな美少女を放って置けるかぁぁぁぁぁ!!
そんな俺の心の叫びが聞こえるはずも無く、彼女は次々と襲いかかるバケモノたちを叩き切っていく。
その動きは華麗にして正確無比。とても中学生が振り回せるとは思えない日本刀を疾風の速さで振り回している。
そんな彼女の、真・三○無双じみた動きを見た俺は、彼女の勝利を悟る。彼女は俺が予想した以上の剣士だ。どこぞのフレイ○ヘイズの少女並みの剣腕の持ち主かも知れない。この様子なら俺みたいな素人が何かしたらかえって邪魔に――――
そんな事を思いながら彼女の戦いを見ていたが、少しずつ彼女の動きが衰えていくのが解かった。俺は戦う事に関しては素人だが、端から見ていた俺にはその事が解かった。いくら彼女にどんな力があろうとも今だ中学生の少女の身体。体力はバケモノたちとは比べようも無い。
(やばいか…? どうする? 俺!?)
彼女は立ち止まること無く、バケモノたちを切り伏せていくが、その動きははっきりわかる程遅くなってきていた。
すでに、5、6体のバケモノを切った彼女。切り伏せられたバケモノはなぜか消えていく。だが、まだ10体ほど残っている。しかも残っているのはデカイ奴ばかり。まあ、ぶっちゃけ強そうな奴ばかりが。息を乱しながらも、彼女の瞳に弱気な光は無い。むしろ、絶対に倒すという気迫が彼女の目から伝わってくる。
彼女がヤバイ――――だが、俺に何が出来る? 別に伝説の暗殺拳を会得している訳でも、悪魔の実を食べた訳でも、死が見える魔眼を持っているわけでもない、ただ運動神経がいいだけの一般人だ。――――あ~こんな事なら、明日菜の友達の古菲って子に誘われた時、中国武術研究部に入ってたら良かったぁぁぁぁぁぁ~~!!!
そんな俺の葛藤が解かるわけも無く、さらに戦い続ける少女剣士。
しかし、だんだんと動きが鈍くなってきている。そして、つい大振りの一撃を一番でかいバケモノに振り下ろす!!
しかし、その一撃はバケモノの腕に食い込んだまま外れなくなってしまった。
彼女の顔が驚愕に変わり、一瞬その動きが停止する。
それを見逃すはずも無く、別のバケモノが彼女に向かって斧をふ振り下ろそうとする。
それに気付いた彼女は、間一髪で刀から手を離して後に下がる。
なんとか致命的な一撃を喰らうことは免れたが、その代償として武器を失ってしまった。
(いよいよマズイ…!! 何か俺にできる事は無いか…!?)
武器をなくしてもなお衰えない闘志で、手刀から真空刃みたなモノを飛ばす少女。だが、あきらかに彼女の不利は明白だ。
次々襲い掛かる攻撃をかわし続けるが疲労で足がふらつき、倒れこんでしまう。
そんな彼女に、バケモノの持つ巨大な斧が振り下ろされようとしていた――――
その光景を見た俺は、何も考えずに飛び出した。
そして――――
ザシュッッッ!!!!
俺の身体を灼熱が通り過ぎ、今まで感じたことのない激痛が身体を走る。
ドサッッ!!
熱い。まるで風邪を引いた時のような熱さだ。いつのまにか俺の身体は地面に取れこんでいる。誰かが叫んでいるようだが聞こえない。
俺の意識がだんだんと薄れていくのが解かる。これが“死”というものなのだろうか――――?
いやに冷静にそう思った。
もう、目も耳も触感すらも感じない。ただ、なぜか自分の心臓音だけが聞こえる。
ドクンッッッ!! ドクンッッッ!! ドクンッッッ!!
心臓の音がうるさい。
この音が止んだときが俺が死ぬ時だと理解しているのに、俺はその音が早く止む事を願っていた。
その意志に答えるかのように少しずつ小さくなってきている音。
そして、意識を手放そうとした俺の脳裏にフラッシュバックが起きた。
『この子供を実験体として――――王の力――――オルフェノクの――――社長の命令では――――木場勇治の――――成功すれば寿命の問題が――――覚醒すれば“地のベルト”の装着者に――――』
そんな俺の知らない記憶が――――
まさかこれは俺が忘れていた記憶――――!?
台に寝かされていた俺の周りで白衣を着た研究者が話している。
しかし、はっきりと聞こえるのは少しだけ。
“王”
“オルフェノク”
“木場勇治”
そして“地のベルト”――――
その単語のみが記憶に残る。
これが俺の失くした記憶の欠片なのだろうか――――?
そして、俺の脳裏には今の俺の最初の記憶。初めて姉である“源しずな”とあった時の記憶が――――
『はじめまして。私は“源しずな”と言うの』
俺が目を覚ました時には、今までの記憶が全て無かった。
俺が誰なのか? 家族は? そしてこれからどうすればいいのか?
何も解からず、ただ呆然とするしか無かった俺に、“名前”と“家族”を与えてくれた姉さん。
『行く所が無いのなら、私の弟にならないかしら?』
――――俺は姉さんに何も恩返しをしていない……!!
『そうね――――“源翔馬”って名前はどう?』
こんなトコで、死ぬわけにはいかない……!!!
俺はそんな思いを胸に、死に抗おうとするが――――
ドクンッ! ドクンッ…! ドクンッ……
少しずつ俺の心音が小さくなっていくのが解かる。
急速に遠のいていく意識。
ドクン…、ドクン……、ドクン………――――
そして、俺は――――
“死んだ”――――
SIDE:刹那
私は呆然として、その光景を見ていた。彼が私を庇い、切られるその様子を――――
私が予想していたよりも、召喚されていた鬼たちは強かった。私が全力で立ち向かっても、5,6体ほどの鬼を切ったところで限界だった。疲れと、神鳴流の技を使ったことにより“気”を大量に消費したことで、身体能力が低下していく。それでも気力を振り絞って一番大きな鬼に向かって夕凪を振り下ろした。
普段ならばそんな攻撃をしないが、疲れから思考も低下していた。
その一撃は、鬼を両断することもできずに鬼の腕に食い込む。
――――!?
とっさに夕凪から手を離し、距離をとる。
私が武器を失った事に勢いづいてか、鬼の攻撃が苛烈さ増す。
それを“斬空掌”などの技で撃退するが、さらに“気”を失い、身体がふらつく。
そして、ついに身体が言う事をきかずに、転んでしまった。
そして、私に振り下ろされようとする鬼の巨大な斧。
私は、それを見つめながら死を覚悟した。
(ああ…このちゃんともう一度話したかったなぁ…)
最後にそんな事を思う。
そして、襲い来る衝撃に覚悟しようとしたその時――――
私の目の前に、誰かが割り込んできた。
そして――――
ザシュッッッ!!!!
そんな音が響き、割り込んできた人間――――
私が助けた、“源翔馬”という少年が斧の一撃を受けていた。
――――え?
一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
まさか、一般人である彼が私を庇うことなど予想できるはずも無い。
しかし、現実に彼は私を庇って地に臥している。
仰向けに倒れた彼の傷は致命傷だ。その胸を袈裟懸けに叩ききられた傷は、治療専門の魔法使いにもどうしようもない。
――――なぜ、この人は私を庇ったんだろう?
そんな疑問が私の疲れた頭によぎる。
(こいつらと同じ、バケモノである私をなぜ――――?)
後から思えば、私が烏族のハーフである事など彼が知る由もないのに、彼がなぜ私を庇ったのか不思議に思った。いままで私を助けてくれるような人など、このちゃんか西の長。神鳴流の師範である鶴子様や、その妹の素子様しかいなかったから――――
――――! そんな事を考えている場合じゃない!! 彼を助けなければ――――!
「しっかりしてください!!」
そんな事を叫びながら倒れた彼に呼びかける。
頭の冷めた部分は、『無駄だ。すぐにその場を離れて逃げろ!!』とわめくが、それを無視して彼に呼びかける。
「源さん!!」
私の叫びも空しく、彼の心臓音が段々弱くなってくる。
そして、ついに――――
その心臓は、動きを止めた――――
彼の死を見てしまった私は、何も考えられずに目の前の敵に襲い掛かった。
先ほどの疲れが嘘のような動きができている。
怒りと悲しみ――――そして、彼に対する罪悪感。
そんな感情を原動力に限界を超越して私は戦う。
神鳴流では、心を静め、明鏡止水の心で戦う事を第一とするのだが、この時の私にそんな余裕はなかった。
だが、そんな無茶も長くは続くはずも無い。
数匹の鬼を倒したときに、糸が切れたかのように倒れる。
肉体が限界を迎えたのだ。
地面に倒れこむ。地面の冷たさが心地よい。
そんな事をぼんやり思いながら、ふと彼の遺体に目を向ける。
彼を見ながら、私は謝る。
(すみません…私をかばったばっかりに…助けられなくてごめんなさい――――)
そんな事を思いながら、彼を見つめる。
私もすぐに彼と同じように死ぬ――――
そんな諦めが混じった感情が胸に宿る。
だが、その時――――
死んだはずの彼の体がゆっくりと起き上がった。
(え――――?)
確かに彼の身体は心臓を止め、死んだはず――――
しかし、彼はゆっくりとだが起き上がっていく。
そして、完全に立ち上がりその目を開く。
そこには、彼の特徴的な紅い瞳があった。
その瞳に、私は目を奪われた。その瞳には生きようとする凄まじい意志が込められていた。
そんな呆然とする私を放って、鬼たちは生き返った彼に向かう。
その様子を見て、私は我に返る。
とにかく、彼が生きているのならば逃がさなければ――――!!
「源さん!! 逃げて!! 早く逃げてください!!」
私がそう叫ぶが、彼は反応しない。
そして、次の瞬間鬼たちが彼を殺そうと襲い掛かる!!
その時、彼に異変が起こった。
彼の顔に、紋様のようなものが浮かび、彼の身体が一瞬蒼い光に包まれる、
次の瞬間、彼は頭部が馬の形を模している、鎧を纏った騎士のような異形に変身していた――――!!
その異形の騎士は、その手に大剣を顕現し鬼を迎え撃つ。
その攻撃は、とても華麗といえるモノでは無く、力任せの攻撃だった。ただ単に大剣を敵にぶつける。技もなにも無い、素人のような剣技だった。
だが――――
その力は尋常では無い。その一撃には十分すぎる力とスピードがあった。
人を軽く超えるはずの鬼の力を完全に凌駕し、その攻撃を鬼が持っている武器で受け止めようとするとその武器ごと鬼を切り裂く。
そして、次々に鬼を倒していく。
そして、最後の鬼を切り倒し、この場には私と彼――――異形の騎士である“源翔馬”だけになった。
私は、動きを止めた彼に話しかけようとした次の瞬間、彼の変身が解け彼の身体がくずれ落ちる。
「み、源さん!?」
私は彼の名前を呼びながら駆け寄る。
彼に近づき、その様子を見る。
――――どうやら、気絶しているだけのようだ。
その事に安堵する。
そして、ふと空を見上げる。
――――ああ、今日は満月なのか。
私たちの頭上で、おおきなまるい月が輝いていた。
これが、烏族のハーフである私――――“桜咲刹那”と、 “ホース・オルフェノク”に覚醒してしまった赤い瞳の少年…“源翔馬”との出会いだった――――。
――――To be contenued
HOME
| 書架top
|
Copyright (C) 2006 投稿図書, All rights reserved.